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2010年5月18日 (火)

ネット上で大きな話題のバンド

昨日、「最近のバンドがおもしろい」という話題を載せたのですが、その時、話題に出したバンドのひと組が神聖かまってちゃん。今、ネット上で大きな話題となっているバンドなのですが、その話題のアルバムを、はじめて聴いてみました。

Title:友だちを殺してまで。
Musician:神聖かまってちゃん

友だちを殺してまで。

正直に言ってしまうと、最初、聴いた時はさほどピンと来ませんでした。

楽曲は、タイトルとは裏はらに、比較的ストレートなギターロック。メロディーはポップで、インパクトもあり、十分ヒットポテンシャルがありそうな印象が。意外と「普通」という印象を受けてしまいました。

一方、歌詞に関しては、いまどきの若者の叫びを感じさせました。

かつて、若者の叫びといえば、80年代の尾崎豊に代表されるような、大人の価値観に対するアンチテーゼ。社会の中で自分たちの自由を抑圧する「権力」に対する反発、というのが大きなテーマとなっていました。

しかし、時代がかわり、そんな社会に反発していた若者たちが大人になった今、やけに物分かりのよい大人が増え、若者の自由も広がりました。そんな自由を与えられていても、社会に対してどこか抱える行き場のない不満が、彼らの歌詞からは感じられます。

社会に対して必要以上に反発することなく、どこか現状を受け入れてしまっている部分も感じられ、どちらかというと80年代的価値観を持っている私からすると、どこかジェネレーション・ギャップすら感じられました。ただ、これが今の若い世代なのかなぁ・・・ということを感じさせました。

そういう意味で、多くの若者が共感している、ということをどこか納得しながらも、ちょっと自分ははまれないなぁ・・・なんてことを感じていたのですが・・・

そんな中、ネット上で彼らがどう話題になっているのか、いろんなブログの感想などを読んでいたのですが、その中で、「最初はピンとこなかったけど、ライブ映像を見て印象がかわった」という感想を読みました。

で、試しに彼らのライブ映像を見てみたのですが・・・

はじめて彼らのライブ映像を見て、思わずゾクゾクっとしてしまいました。

圧倒的なグル―ヴを聴かせる、だとか、ユニークなパフォーマンスを見せる、だとかそんな感じではありません。

ボーカルであり、作詞作曲を担当するの子の歌う姿に、ゾクゾクっと来るものがありました。

はっきりいってしまえば、どこかいってしまったような、狂気を感じさせる彼のパフォーマンス。そんな中で、何かを伝えないといけないという、必死な姿。なにかやばいものを見てしまったような印象すら持ってしまいました。

彼は、渋谷などの街で勝手にパフォーマンスをする姿を動画におさめ、ネット上で配信していたりもしています(警官に補導されるシーンもそのまま収録されており、大きな話題にもなったようです)。最初、そういう動画配信に関しても、ある種の宣伝戦略かな?とも感じていたのですが、(正直、そういう面もゼロではないと思うのですが)動画配信という、本人の全体像を伝えられる形で、自分の叫びを多くの人に伝えようとする姿にも、感じるものがありました。

その後、あらためて彼らのアルバムを聴くと、その楽曲の各所に感じられる、世間に対するどうしようもない叫びが、よりリアリティーに感じられました。

ネットスラングで「非リア充」とでもいうのでしょうか?学校で、クラスの中心になれず、教室の片隅で、鬱積した思いを重ねている人たちの叫びを感じます。

特に、同じフレーズを叫ぶ「学校に行きたくない」は、ある種のいじめすら感じられ、その切実な叫びに怖さすら感じてしまいました。

ある意味、聴く人の世代や立場によって、その印象が大きく異なりそうな作品。だからこそ、ネット上で多くの人の絶賛をうけたのではないでしょうか?音楽的に、次の世代に影響を与える・・・というタイプのバンドではありませんが、2010年代という時代を反映したバンド・・・になる可能性を感じる1枚でした。

評価:★★★★★

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