ある1日の物語
Title:うれしくって抱きあうよ
Musician:YUKI
YUKIの今回のニューアルバムは、アルバムを通じて、1日を描いた、コンセプチュアルな作品になっています。
1曲目の「朝が来る」は、そのタイトルの通り、ある日の朝をイメージした作品。どこかけだるい雰囲気の中で、一方では明るい希望を予感させる曲調は、まさしく「朝」というイメージにピッタリの作品です。
その後の前半は、明るく、祝祭色のある楽曲が並んでいます。それは、まさに明るい日差しに誘われて、外で楽しく遊びまわる、日中の風景を描いたような作品。特に、ビックバンド風のアレンジをほどこした「恋愛模様」は、古き昭和時代の駆け落ちの模様を描いた歌詞が、とても独特で、特に雰囲気のある作品に仕上がっています。
そして、このアルバムの、ある意味ハイライトとなるのが、タイトル曲でもある「うれしくって抱きあうよ」でしょう。
歌詞の内容は、いわゆる恋人同士のSexを描いたような歌詞になっているのですが、でも、決していやらしくなく、むしろ好きな人同士が、タイトル通り、一緒にいられる喜びから、うれしくて抱きあう、というとてもピュアで、暖かみのある歌詞になっていて、とても素敵な曲に仕上がっています。
そしてその後の「ミス・イエスタディ」や「汽車に乗って」は、ちょっと切ない雰囲気を聴かせるナンバー。あえていえば、ベッドの中で、昔のことを思い出している・・・といった感じでしょうか?
さらにアコギのアルペジオでしんみり聴かせる「同じ手」は、いわば子守唄。そしてラスト、タイトルそのまま「夜が来る」は、やはり夢の中、でしょうね。静かな雰囲気の中、1日が終わりをつげます。
こんな素敵なポップソングが流れる1日は、とても楽しい1日なんでしょうね~。エレクトロポップからギターロック、ジャズにバラードと、様々なバリエーションの曲を聴かせてくれます。それでもアルバム1本、しっかりと筋が通っているのは、このコンセプチュアルな歌詞の内容と、彼女のボーカルがあればこそ、なんでしょう。タイトル通り、とてもうれしくなってしまう、ポップアルバムでした。
評価:★★★★★
YUKI 過去の作品
five-star
ほかに聴いたアルバム
SWITCHING ON X/FAKE?
KENのソロプロジェクトとなったFAKE?の3年ぶりとなるニューアルバム。ドリームポップ風の作品もあったり、エレポップ風の作品があったりと、それなりの幅の広さは感じる一方、全体的には、ちょっと前のハードロック風の作品が目立ったような印象が。個人的には、やはりOBLIVION DUSTの音の方が好きかも。ただ、再結成後、最近、あまり活動をしていないみたいなOBLIVION DUSTは、今後、どうしていくんだろう?評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2010年」カテゴリの記事
- ネット配信の可能性と疑念(2011.01.05)
- 歌詞はひいてしまう人もいるかも・・・。(2011.01.03)
- 2人の主人公を軸に進む物語(2011.01.02)
- アメリカの香りが(2010.12.30)
- アバンギャルド(?)なポップスバンド(2010.12.28)
コメント