熱いロックンロール!
Title:フラカン入門
Musician:フラワーカンパニーズ
昨年、結成20年を迎えたベテランバンド、フラワーカンパニーズ。その20年を記念してリリースされた、オールタイムベスト盤。タイトル通り、フラワーカンパニーズを聴いたことない人に、フラカンがどんなバンドかわかる、そんなアルバムです。
フラワーカンパニーズの音楽を、一言で言えば、とにかく「熱い!!」
骨太のロックンロールサウンドはもちろんのこと、ボーカル鈴木圭介のがなるような歌い声もとにかく熱いのですが
なによりも彼らが熱く、そしてフラワーカンパニーの大きな魅力となっているのはその歌詞でしょう。
彼らの書く歌詞は、いわば生きるための応援歌・・・と書くと、J-POPでありがちな「ここではないどこかの本当の自分を探しにいこう」みたいな歌詞を想像してしまうかもしれませんが、そうではありません。
彼らの歌の主人公は、辛い日常の中で必死に生きようとする人たち。そんな彼らが生きる意味を見つけ出し、前に進もうとする、そんな彼らを後押ししようとするのが彼らの書く歌詞の世界だと思います。
例えば、14人のミュージシャンが1枚のアルバムで同時にカバーして話題となった「深夜高速」では、
「生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜を探してる」
(「深夜高速」より 作詞 鈴木圭介)
と叫び、「夜明け」では
「何かが起こりそうな気がする
何かが起こせそうな気がする
もし何も起こらなくても
もし何も起こせなくても
そんな事は問題じゃない
そんな事は問題じゃない」
(「夜明け」より 作詞 鈴木けいすけ)
と後押しをする。かなりストレートなメッセージ性をもった曲ですが、それだけに、ストレートに心に響いてくるものがありました。
個人的に印象に残ったのが、「東京タワー」。東京を代表する建造物ではあるものの、時を経て、時代遅れになった感すらある東京タワー。しかし、それでも力強く立っているタワーの姿に、自分の行くべき姿を重ね合わせる歌詞は、とても印象的です。
熱く骨太のロックンロールサウンドと、熱い歌詞と、がなるようなボーカル。タイプとしては、エレファントカシマシに近い印象も受けます。ただ、エレカシよりもよりストレートなメッセージ性が特徴ですが・・・。
ただ、20年近く活動を続けているフラカン。正直言って、なぜかいまひとつ売れていません。Wikipediaによると、チャート順位は、おそらくアルバム「マンモスフラワー」の20位が最高位。
確かに、癖のあるバンドであることは間違いないとは思うんですよね。それだけに、好き嫌いはわかれるかもしれません。実は私も、以前は彼らにちょっと抵抗感も持っていました。
でも、このベスト盤を聴いて、あらためてフラカンの魅力を感じることが出来ました。いままで彼らを聴いたことない方や、特に名前は知っているけど、どうも手が出なくて・・・という方に聴いて欲しいベスト盤です。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
みちくさ日和/Fairlife
浜田省吾が、アレンジャーの水谷公生、作家の春嵐とはじめた音楽ユニット。ソウル風の曲やジャジーな曲など、なんとなく、浜田省吾が、ハマショーの名前ではやれないような音楽を、自由に楽しんでいる印象が。ポルノグラフィティの岡野昭仁や、宮沢和史、曽我部恵一など、豪華なゲスト陣も魅力。個人的には、我那覇美奈の名前を久しぶりに見れたのがうれしいなぁ。
評価:★★★★
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