ベテランとしての貫禄の作品
Title:Timeless Fly
Musician:久保田利伸
約4年ぶりになる久保田利伸のニューアルバム。
彼が昔から歌い続けた、ブラックミュージックという音楽が、日本でもヒットチャートの中心となってから久しいのですが、そんな中でも、彼のこのアルバムは、絶対的な存在感をはなっているように感じます。
ある種のベテランとしての貫禄、とでも言うべきでしょうか。久保田利伸らしい、安定したクオリティーの高い作品を今回もたくさん聴かせてくれます。
「Is it over?」や「The Other Half」のような、甘~いボーカルとメロウなメロディーラインを思う存分聴かせてくれるナンバーや、「Keep It Rock」や、マイケル・ジャクソンへのオマージュナンバーである「STAR LIGHT」のような、ファンキーなナンバーなど、久保田利伸らしい楽曲をしっかりと押さえた本作は、多くのリスナーも納得の内容ではないでしょうか。
また、今回の作品は様々なミュージシャンとのコラボが多いのも特徴的。「Keep It Rock」では、WISEとSpontaniaのTarantulaと、「FLYING EASY LOVING CRAZY」ではMISIAと、「M☆A☆G☆I☆C」ではKREVAと、それぞれコラボレート。また、ラストの「Moondust」では、小泉今日子のポエトリーリーディングとのコラボに挑戦しています。
全体的には、「僕じゃない」みたいなエレクトロ風のアレンジもあったのですが、あまり時代に左右されないような久保田色が強く出たような作品に感じました。その甘い歌声といいファンキーなリズムといい、ベテランとしての実力を感じると同時に、その個性を強く感じた作品でもありました。
それだけに、様々なミュージシャン、特に最近のミュージシャンとのコラボを行うことにより、今の空気を呼び込もうとすると同時に、楽曲にバリエーションを持たせようとしたのでしょうか?
最近はすっかりヒットチャートでもおなじみになったR&Bというジャンルの中でも、圧倒的な個性と実力を感じさせてくれる1枚でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
regeneration/CHEMISTRY
で。やはり久保田利伸の後に聴くと、どうしても分が悪いですよね・・・(^^;;今風のエレクトロサウンドを大幅に取り入れていて、ポップになっていて、聴きやすい内容になっている一方、少々薄味にも感じられるのも事実。童子-Tをフューチャーした「あの日・・・」など、露骨に着うたヒット狙いで、少し悲しくなるくらい。
ポップで聴きやすく、悪くはないと思うのですが、どうも物足りなさも感じてしまう1枚でした。
評価:★★★★
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