完全に矢野顕子の曲に
Title:音楽堂
Musician:矢野顕子
「SUPER FOLK SONG」から続く、矢野顕子のピアノ弾き語りアルバム第4弾。本作も、様々な曲のカバーに挑戦して、矢野顕子流の調理をほどこしているのですが、とにかく、選曲したミュージシャンが幅広い!岡林信康や和田アキ子といったベテランから、若手ではくるりくらいは想像が出来るのですが、なんと本作ではWEEZERやELLEGARDENまでカバー!正直、矢野顕子とは接点の薄そうなミュージシャンまで幅広くカバーするあたり、彼女の懐の深さを感じます。
そしてそんな楽曲の数々を、ピアノ弾き語りで歌い上げているのですが、どの曲も完全に彼女の曲になっているんですよね。
正直言って、くるりやWEEZER、ELLEGARDENなどは私ももちろん知っている曲なのですが、最初聴いた時、カバー曲とは気がつきませんでした(笑)。原曲の良さを生かしつつ、自由に飛び回るようなピアノの音色と、彼女なりの解釈で歌い上げる楽曲は、完全に矢野顕子の曲として生まれ変わっているようでした。
彼女のボーカルにしてもピアノにしても、決して暑苦しく感情豊かに歌い上げているわけではなく、むしろ熱量は控えめ。しかし、変に感情たっぷりに歌うシンガーよりも、胸に突き刺さるんですよね。心の一番奥の部分に、ストレートに入ってくるような、そんな独特な、魅力的な歌声は、このアルバムでも十分に堪能できました。
また、今回は、神奈川県立音楽堂で一発録りというスタイルで録音したらしく、そのため、ピンとはりつめた空気がこちらにも伝わってくるよう。ライブアルバムのような感覚で聴けるアルバムになっています。
今回のアルバムは、忌野清志郎が闘病中に、彼を励ますために歌った「きよしちゃん」も収録されています。結果として、今回のアルバムに収録されたのは追悼の意味合いもこめられているのでしょうが、こういう形での収録になるのは残念。しかし、その歌声は、亡き彼のことを思うと、なお胸に響いてきます。
ミュージシャン矢野顕子のコアの部分がさらけだされたアルバム。やはり彼女は素晴らしいなぁ~とあらためて感じたアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
PRIDE/山嵐
ハードコアなナンバーから、疾走感あるギターロック、ポップなナンバーにダンスチューンと、ハードなナンバーがメインながらも、様々な音も楽しめます。ライブは盛り上がって楽しそうだけど、アルバム単位だと、ちょっと印象が薄いかも。評価:★★★★
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