« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »

2010年4月

2010年4月30日 (金)

ロック勢が活躍

今週の着うたチャート

2010 年4月21日~2010年4月27日付チャート

今週の着うたチャート。初登場ではロックバンドの活躍が目立ちました。

大丈夫

まず1位は、ヒルクライム「大丈夫」が2週連続で1位を獲得。着うたシーンでの圧倒的な人気を感じます。

そして、まず初登場のロックバンド1組目。2位には、先週の15位からDOES「バクチ・ダンサー」が一気にランクアップしてきました。シングルチャートでも今週3位にランクインしましたが、シングルに続き、着うたでも上位にランクイン。アニメタイアップの強さを見せ付けました。

3位には先週2位よりワンランクダウンながらも、まだまだ強い坂本冬美「まだ君に恋してる」が続いてロック勢がもう1組。4位にBUMP OF CHICKEN「魔法の料理 ~君から君へ~」がランクインしてきました。ちなみに先週1位の「HAPPY」は着うたフルの配信がない模様で、こちらの曲だけがランクインしてきました。こちらはNHK「みんなのうた」で流れるだけに、幅広い層の支持を狙ったということなのかな?

他に初登場は2曲。9位に、先週のシングルチャートで2位となったPerfume「不自然なガール」が、10位にKG「きっと、ずっとduet with MAY'S」がランクインしています。

KGは着うたチャートだけでやたらと名前をみかけるHIP HOP(?)シンガー。配信オンリーで、女性ミュージシャンとのコラボ曲ばかりをリリースしています。かなり露骨な着うたヒット狙いなのですが・・・ただ、それでもギリギリ10位というのは、この手法も、もう飽きられてきているってことだよなぁ。次は厳しいかも。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートでは、人気企画の第4弾が見事1位獲得です。

VOCALIST4(通常盤)(CD13曲収録)

女性ボーカル曲をカバーして大きな話題となった徳永英明のVOCALISTシリーズ第4弾「VOCALIST4」が「VOCALIST3」に続き1位獲得です。初動売上も「VOCALIST3」の11万6千枚からアップして12万枚を記録しています。第4弾ということで、そろそろ飽きられはじめてないか?なんて思ってしまったのですが、すいません!むしろいまだに人気が伸びているのですね。ビックリしました。

2位はジャニーズ系アイドルユニットNEWSからの別働ユニットテゴマスのニューアルバム「テゴマスのあい」がランクインです。初動6万5千枚は、前作の初動8万枚を下回る結果となってしまいました。

そして、今週は、着うたチャート同様、ロックバンドの活躍が目立ちます。こちらでは、今、もっとも勢いのある新人バンド2組が一気にランクインです。

まず4位に9mm Parabellum Bullet「Revolutionary」がランクイン。残念ながら初登場の順位は、前作の2位からランクダウンしてしまったものの、初動売上は3万7千枚と、前作の3万枚からアップし、まだまだ人気が上り調子であることがうかがえます。

そして6位には、THE BAWDIES「THERE'S NO TURNING BACK」がランクイン!!シングル「HOT DOG」が初のベスト10ヒットとなりましたが、アルバムもついにベスト10入りです。前作「THIS IS MY STORY」を、ほとんど衝動買いに近いレベルで購入し、すっかり気に入ってしまっただけに、この大ブレイクはうれしいところです。

初登場ベスト10入りはあと1枚。8位にウェールズ出身のヘヴィーメタルバンドBullet For Valentine「Fever」がランクインしています。

着うた&アルバムチャートは以上です。それではまた、来週の水曜日に~!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年4月29日 (木)

音と音のぶつかりあい

Title:FRESH
Musician:detroit7

FRESH

以前、ベスト盤のレビューでも似たようなことを書いたかもしれませんが、とにかく、detroit7がカッコいい!

ミッシェルなき後を告ぐ、正統派のロックンロールバンド・・・とまで言ってしまうと、残念ながら現段階ではそのレベルにまでは達していないかもしれません。でも、ガレージロックの影響が強いストレートでハードなロックンロールサウンドを奏でていながらも、メロディーは意外とポップで聴きやすい、というスタイルは、ある種ミッシェルにも通じる部分があります。

で、今回発売されたのが、様々なミュージシャンとのコラボレート作をおさめた7曲入りのアルバムなのですが、これがまたカッコいい!!

1曲目のMYSSとのコラボ曲「Turn up Fader」からして、エレクトロサウンドとロックンロールサウンドががっちり四つに組んでいるロッキンなディスコチューンで、自然と身体が動き出してしまうそうですし、続く「C'mon,C'mon,C'mon」も同じく、打ち込みのサウンドとガレージパンクが融合した、ビート感の強いカッコいいナンバーになっています。

SOIL&PIMP SESSIONSの元晴と組んだ「PEANUTS BUTTER BOMB」は、グルーヴィーなガレージロック。フジファブリック金澤ダイスケと組んだ「VIVID SANDI」も、同じくガレージロックながらも、どこかサイケな雰囲気も感じます。

どの曲も、メロディーというよりも、あくまでもサウンドを前に押し出したアレンジになっていて、いわばコラボレート相手との、音と音とのぶつかりあいといった感じ。detroit7としての個性もしっかりはっきしつつ、相手の個性をちゃんと取り込んだような音を作り出していて、コラボならではの作品になっているのがとても魅力的です。

そして、元SPARTA LOCALSの安部コウセイと組んだ「サンデーボーイ」は、ノイジーなバンドサウンドが鳴り響く中ながらも、唯一、しっかりとメロディーとボーカルを聴かせるナンバー。メロディーの面でも、detroit7の魅力を垣間見ることが出来ます。

正直、少々マンネリ感もあるいままでのオリジナルに比べても、バラエティーがあって断然、すばらしい出来に感じました。ロックンロールって、本当にカッコいいなぁ・・・そう感じることの出来るコラボレートアルバムです。

評価:★★★★★

detroit7過去の作品
FEVER

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月28日 (水)

2週連続1位!

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートは、BUMP OF CHICKENが2週連続1位を獲得しています。

魔法の料理 ~君から君へ~

先週の「HAPPY」に続く2週連続のリリースとなる「魔法の料理~君から君へ~」が見事1位を獲得しました。初動10万4千枚は、先週の「HAPPY」9万6千枚を上回る成績。次は、そろそろ久しぶりのニューアルバムでしょうか?ちなみに、先週1位の「HAPPY」も今週4位にランクイン。2曲同時のベスト10入りとなっています。

以下、2位3位も初登場。2位はaiko「向かいあわせ」、3位DOES「バクチ・ダンサー」と並びました。

aikoは、先日ニューアルバムをリリースしたばかりですが、これはそのアルバムからのリカットではなく、純然たる新曲。映画「ダーリンは外国人」の主題歌にもなっています。

DOESの新曲は、映画「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」の主題歌。アニメ「銀魂」がらみのタイアップがついた時のみヒットを記録している、極端なタイアップ依存型で、前作「夜明け前」は最高位89位・・・・・・。アニメタイアップでブレイクしちゃったミュージシャンは、曲だけにファンがついて、ミュージシャン自体にファンがつきにくい傾向はあるのですが、彼らに関しては極端だなぁ・・・。曲に興味を持っても、それを歌っている人たちに興味がいかない、というのは、もうちょっと自分の興味を広げればいいのに、と寂しく思います。まあ、ミュージシャンにそれだけの力がない、と言えるのかもしれませんが。

で、4位「HAPPY」をはさんで5位にはノースリーブス「Lie」がランクイン。AKB48からの別働ユニットだそうです。

続く6位は、残念ながら今週は3位かあランクダウン、坂本冬美「まだ君に恋してる」はこの位置につけました。ただ売上は、先週の2万4千枚から2万2千枚と、さほど下落していないだけに、まだまだロングヒットが期待されます。

以下、7位から10位まではすべて初登場が並んでいます。

7位 Crow Song/Girls Dead Monster
8位 ずっと好きだった/斉藤和義
9位 ヒマワリ-Growing Sunflower-/SPEED
10位 Dear Friends-友へ-/フレンズ

Girls Dead Monsterはアニメ「Angel Beats!」の劇中の登場人物のユニットによる曲だそうです。

8位斉藤和義は、先行配信の着うたでも上位にランクインしてきましたが、シングルでも見事ベスト10入り!初動1万4千枚は、前作の6千枚から大幅にアップしています。やはりあのCM、曲が印象に残るもんなぁ~。

9位は復活したSPEEDの新曲。ただ、順位的にはかなり厳しい結果に。もっとも、なんだかんだいってもベスト10入りできる人気は見事といった感じですが・・・。

もっと厳しいのが10位フレンズ。フジテレビ系バラエティー「ヘキサゴンII」からのユニットなのですが、同じく同番組からのユニットまいける&はなか「学校へ行こう」とのスプリット・シングル。なんか、完全に乱発気味なのですが、売上の面はそろそろギリギリな感じ。「ヘキサゴン」人気も、今年の前半限りくらいかなぁ??

シングルチャートは以上です。次は、金曜日にアルバム&着うたチャートで~。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月27日 (火)

注目の新音源!

Title:VALLEYS OF NEPTUNE
Musician:JIMI HENDRIX

ヴァリーズ・オブ・ネプチューン

60年代を、いや、ロックの歴史を代表する天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックス。いまなお多くのファンを抱え、数多くのミュージシャンに影響を与え続けています。このたび、彼の残した音源をリリースするレコード会社が、ソニーミュージックへと移籍。あらためて彼の代表曲が、DVD付リマスターとしてリリースされました。そして、そんな中で目玉となったのが、未発表音源を集めたこのアルバム。特に表題曲「VALLEYS OF NEPTUNE」は、(アウトテイク集などには収録されたことがあるそうですが)公式盤としては純然たる未発表曲だそうで、大きな話題となっています。

1970年にわずか27歳の若さで夭折した彼ですが、その後、多くの未発表音源がリリースされました。それは、彼が、数多くのジャムセッションを行い、たくさんの音源を残していったことや、エクスペリエンスのノエルとミッチが、エクスペリエンスの印税に対する権利を安値で手放してしまったことなども大きな要因のようです。

ただ、彼の生前の作品を聴いていると、その音楽性は実に多彩で先進的。ブルースやヘヴィーロック、サイケなどの要素だけではなく、ジャズや、メタル、下手したら、90年代のグランジロックにも通じるものがあるのでは?と思わせるような、簡単に「○○ロック」とカテゴライズできないような、ジャンルレスな音楽性を感じます。

音楽に対する天才的な感性を持っていた彼の頭にはどんな音が鳴っていただろうか?もし彼が夭折せずに、その後も音楽活動を続けていたらどのような音を鳴らしていただろうか?そう感じるファンが多いからこそ、多くの未発表音源がリリースされた・・・のかもしれません。

・・・・・・・・・うーん、偉そうな知ったかぶりはこのくらいにして・・・・

とにかくこのアルバム、めちゃくちゃカッコいいです!!

原曲よりも、ファンキーになった「Stone Free」からはじまり、「Sunshine Of Your Love」ではCREAMの名曲の上を、ジミヘンが自由に遊びまわっているよう・・・。「Ships Passing Through The Night」のグルーヴもたまりません。

ラストの「Crying Blue Rain」は未完成の作品で、他の曲と比べると、中途半端な出来なのかもしれませんが、それでも彼の奏でるギターはとても魅力的でカッコよく感じます。

正直、そんなにギターに詳しい訳でもなければ、ジミヘンはオリジナルアルバムを一通り聴いたくらいで、未発表曲集を買いあさるようなマニアでもありません。

ただ、それでも、彼の、まるで歌うように表現力豊かなギターはとても魅力的。テクニックももちろん素晴らしいことは言うまでもないのでしょうが、そういうテクニックを超えて伝わってくる何かを感じます。

60年代の作品ながらも、そのサウンドは今なお古さを感じさせない普遍性があります。個人的には、1枚のアルバムとしてとても楽しめた作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TO LOSE MY LIFE..../WHITE LIES

To Lose My Life

イギリスのチャートで1位を獲得した、注目の新人ミュージシャン。美しいメランコリックなメロディーはスケール感があり、いかにもイギリスのロックバンドという感じ。いい意味でも悪い意味でもスタジアムバンドといった印象があって、イギリスの「売れ線」といった感じなのかなぁ?今後次第では、どんどんと大物になりそうな雰囲気も。

評価:★★★★

Working On A Dream/Bruce Springsteen

Working on a Dream

アメリカロック界のアニキによる新作。イギリス、アメリカともにチャート1位を獲得し、変わらない人気を感じます。曲は、いつもの彼らしいといった雰囲気かな?大物然とした部分は否めないものの、いい意味でさっぱりとした、でもスケール感のあるメロディーはとても聴きやすく魅力的でした。

評価:★★★★

Fork In The Road/Neil Young

Fork in the Road

こちらもベテランミュージシャンの新作。オルタナ系バンドからもリスペクトを集めている彼ですが、これだけの大ベテランでも、新作からはまだまだ現役感が伝わってきます。バンドサウンドがメインの、ギターロック色が強い作風は、賛否がわかれそうですが、若い世代のリスナー層には、むしろすんなりと聴ける雰囲気の曲ばかりでは?

評価:★★★★★

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年4月26日 (月)

バラードもいいけれども

Title:BEST OF GREEN MIND '09
Musician:秦基博

BEST OF GREEN MIND’09

秦基博というミュージシャン。最近はアルバムもコンスタントにベスト10入りする人気を誇ります。ただ、正直言ってしまうと、オリジナルアルバムを聴いた感想は「普通」・・・。

いや、いいミュージシャンだと思います。特に2ndフルアルバム「ALRIGHT」は、前作に比べて、かなりの成長を感じていましたし。でも、リスナーを圧倒するようなメロディーを書いてくるわけでもなく、聴き入りさせる歌詞を書いてくるわけでもなく、独特なグルーヴを奏でるわけでもなく・・・ちょっと個性的には薄いよなぁ・・・そう感じていました。

で、今回聴いたのは、彼の代表曲を弾き語りで収録した、ベスト盤的な企画アルバムなのですが・・・

いや、めちゃくちゃいいんですけれども(笑)。

まあ、ベスト盤的な選曲なだけに、いい曲が並んでいるのは、当たり前といえば当たり前なんですけどね(^^;;

ただ、2枚組のうち1枚目は、全曲ほとんどがバラードなのですが、聴いていてもまったくだれることなく最後まで飽きません。これって、ぱっと聴いた感じ地味に感じるけども、しっかりと作りこまれたメロディーを聴かせてくれるからなんでしょうね~。

中盤「赤が沈む」「サークルズ」のようなファンキーな作品もとても魅力的。バラード主体の中で、ちょうどよいバランサーとなっています。

さらに魅力的なのは2枚目。このアルバム、基本的に弾き語りツアー「GREEN MIND 2009」からの音源なのですが、そんなライブ感がアルバムにとても反映されていました。

「ファソラシドレミ」では、観客と手拍子で一体となり盛り上がり、会場の空気をそのまま伝えてくれます。こちらはバラードナンバーも織り込みながらも、軽快なポップスも多く、とても楽しい内容に仕上がっていました。

いままで、あまり注目してこなかった彼ですが、俄然気になる存在になってしまいました(笑)。ここ最近、オリジナルアルバムを出していないのですが、そろそろ新作が聴きたいなぁ~。あらためて、彼の人気の理由がわかるアルバムでした。

評価:★★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月25日 (日)

バリエーションの豊かさが魅力

Title:CREATURES
Musician:ストレイテナー

CREATURES

ストレイテナーの新譜は、「CREATURES」=「生き物」というタイトル通り、「OWL(ふくろう)」でスタートし、「Man-like creatures」を軸として、最後は「猫」で終わるのがユニークです。

さて、今回のアルバムに関して、まず感じたのは、その楽曲のバリエーションの豊かさでした。

冒頭の「OWL」「MEMORIES」こそ、ヘヴィーなギターサウンドが耳を惹くものの、前半は比較的ストレートなギターロック。良くも悪くもストレイテナーというバンドが持ちイメージに忠実な作品が並んでいました。

そして、このアルバムの、ある種の柱となるのが、先行シングルでもある「Man-like Creatures」。前半は、打ち込みのリズムと哀愁を感じるギターサウンドが、独特の雰囲気を出しています。そして後半、ノイジーなギターが、その風景を打ち破ります。その展開のスケールの広さを感じさせる、彼らの実力を感じさせる作品でした。

その後のアルバムの展開が、まさにバリエーション豊か。ピアノの音色が美しいバラードナンバー「Dark Blue Day」から、続く「DONKEY BOOGIE DODO」はファンキーなリズムがライブ映えしそう。その、ちょっとファンク風なリズムは、続く「クラムボン・インザエアー」でも感じられます。

「Diamond Philips」は、テンポのよいギターロックに、シンセの音がとてもポップに鳴り響く明るく楽しげなナンバー。ラストの「瞬きをしない猫」は、最後を締めくくるヘヴィーなロックサウンドが、耳を惹きつける、インパクトも感じるシングル向けのナンバーでした。

いままで以上に、ストレイテナーというバンドの音楽の広がりを感じたアルバムでした。もちろん、前作で魅力を感じたポップなメロディーラインは本作でも健在。基本的にはオルタナ系のギターロック路線はいままで同様ながらも、様々な顔を見せてくれる、これからの彼らの可能性についても楽しみになってくるような作品でした。

評価:★★★★★

ストレイテナー過去の作品
Nexus


ほかに聴いたアルバム

THE WORLD iS YOUR!/難波章浩

THE WORLD iS YOURS !

エレクトロ路線を大胆に導入した作品。前半は、エレクトロ+パンクといった感じで、ちょっとチグハグな感じもしたものの、後半になるにしたがって、なかなか凝った作風のアレンジも聴かせてくれました。

ただ、全体的には、どこかで聴いたことあるような音がほとんどで、エレクトロサウンドが、彼にとってどこか借り物のように感じられました。素直に音楽を楽しむスタイルは、アルバム全体から感じられる点はプラスだったと思うのですが。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月24日 (土)

こしじまとしこにモザイクが・・・。

Title:PLAYER
Musician:capsule

PLAYER

Perfumeのブレイクで、すっかり「話題の人」となって久しい中田ヤスタカですが、capsuleとしての活動ももちろん忘れてはいません。

前作あたりから、

Perfume=広い層を狙った、あえてポップな作品をつくる。
capsule=中田ヤスタカが、自分のやりたい音楽をやる。

という区分が、かなり明確になってきているような感じがします。

今回の作品に関しても、そんな中田ヤスタカがやりたい音楽を、capsuleという場所をつかって遊んでいる・・・そういう印象を受けました。

そうすると、当然、「中田ヤスタカとこしじまとしこのユニット」という意味合いも異なってきます。ここ最近は、capsuleが、どちらかというと、「中田ヤスタカ featuring こしじまとしこ」といった雰囲気のユニットになってきましたが、今回のアルバムでは、完全に、中田ヤスタカのアルバムに、こしじまとしこがゲストボーカルで参加・・・といったスタイルになっていたように感じました。

特に今回では、男性ボーカルを用いた「Player」や、「I was Wrong」のように、ボーカルがこしじまとしこではない作品も多数あり、中田ヤスタカが、ボーカルからも自由になって曲づくりを進めていることがわかります。

そう考えると、今回のジャケット写真、こしじまとしこの目にモザイクがかかった写真は、capsuleは、必ずしも彼女のボーカルにこだわらないという姿勢をあらわしたようにすら感じられます。

また、今回の作品は、比較的ビートが強く、ポップでトランシーな作品が多かったように感じました。個人的に、中田ヤスタカの最大の魅力は、類まれなそのポップスセンスだと思っているのですが、今回のアルバムでもそんなポピュラリティーは健在。そのリズミカルなサウンドとあわせて、聴いていてワクワクしてきました。

さらにタイトル曲「Player」ではラップの要素を取り入れていますし、「I was Wrong」ではちょっとR&Bの雰囲気も感じられたりと、ブラックミュージックの要素も(ちょっとだけですが)感じることが出来ます。

一方では、デビュー当初からの特徴だった、フレンチポップ的なポップチューンはさらに影が薄くなったかも。こしじまとしこの扱いとあわせて、ここらへん、昔からのファンには否定的に捉えられたかもしれません・・・。

ただ、個人的には、初期のフレンチポップ路線は、どうしても「なんちゃってピチカートファイブ」のように感じられていただけに、このままこの方向性で続けて欲しいなぁ・・・と思っています。特に今回、テンポのよいサウンドと、ポップなメロディーは本当に聴いていて耳がはなせませんでしたし、いままでのcapsuleのアルバムでは一番気に入ったかも。

勢いを感じられる今の中田ヤスタカサウンド。これからも、まだまだその活躍からは目が離せなさそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Journey/清水翔太

Journey

エレクトロサウンドがメインのアレンジと、メロウな聴かせるポップチューンがメイン・・・なんだけど、capsuleと一緒に聴くと、そのエレクトロサウンドの薄さが気になるなぁ・・・。ビートを強くしたりして、「今風」なのですが、チープな感じが否めないアレンジは、着うた仕様なのかなぁ?最後の「Let's Groove」はファンキーなディスコチューンでなかなかカッコいいと思うのですが。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月23日 (金)

こちらでも女性陣が大活躍

今週の着うたチャート

2010 年4月14日~2010年4月20日付チャート

まず着うたチャート、今週の1位は、前作で一躍ブレイクしたあのミュージシャンの曲がランクインです。

大丈夫

前作「春夏秋冬」が大ヒットしたヒルクライムの新作「大丈夫」が見事1位にランクインです。28日発売予定のシングルの先行配信。着うたでは大ヒットとなりましたが、シングルでどこまでの位置にランクインできるか、注目されます。

前作「春夏秋冬」も、特に単なるデートの打ち合わせと揶揄された歌詞を中心に、一部ではかなり叩かれたのですが、一方、アルバムでは逆に絶賛の声も聞かれたりして・・・。新作も、いかにも着うたヒット狙いの、HIP HOP風の聴かせるポップスなのですが、実際のところ、彼らの実力ってどんな感じなのでしょう?アルバムを聴いていないのでなんともいえないのですが・・・。

続く2位は、やはり強いですね、坂本冬美「まだ君に恋してる」がワンランクダウンながらも2位をキープ。3位には、先週4位にランクインしたINFINITY 16 welcomez 若旦那「愛してる」がランクアップしてきています。

そして4位には斉藤和義「ずっと好きだった」がランクインしています。資生堂のCMソングとしてテレビで多く流れていますね。ノスタルジーあふれるせっちゃんらしいラブソング。歌詞のテーマ的にはちょっとありふれた内容ながらも、せっちゃんの声が、なんか切なくて、曲にピッタリと合うんですよね~。ちょっと懐かしいあの日々を思い出しちゃったりして(笑)。

さらに5位には着うたチャートでは珍しく洋楽がランクイン。Lady Gaga「Telephone feat.Beyonce」が32位から一気にランクアップ。来日効果が出たようです。

初登場はあと2曲。6位柴咲コウ「ホントだよ」、7位Perfume「ナチュラルに恋して」は、それぞれシングルチャートでもランクインしてきましたね。着うたでも上位にランクイン。ただ、シングルとは逆に、柴咲コウがPerfumeより上の順位というのが、着うたチャートらしさ、なのでしょうか?


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートでは女性ミュージシャンの活躍が目立ちましたが、アルバムでも女性勢の活躍が目立つチャートとなりました。

Rock'n'Roll Circus

まず1位は浜崎あゆみ「Rock'n Roll Circus」。オリコンによると、オリジナルで10作1位を獲得したのは、ソロでは5人目だとか。ただ、初動売上は、前作の24万枚からさらに落ち込み、20万枚。まだまだ1位として遜色ない数字とはいえ、記録に対して単純にうかれていられない状況は続いています。

さらに、これがメジャーデビューフルアルバムとなる9位に「amp-reflection」がランクインしてきたschool food punishmentも、女性ボーカルを中心とした4人組のバンド。初のベスト10ヒットとなりました。ジュディマリのトリビュートに参加するなど、以前から、ソニーが売ろうとしているなぁ・・・ということをなんとなく感じたバンドだったのですが・・・見事、ベスト10入りしてきました。

また、4位にLady Gaga「The Monster」が着うたと同様、来日の効果もあり、先週の16位から4位に一気にランクアップ。先週、ベスト10入りしてきた坂本冬美「Love Songs~また君に恋してる」も、先週とかわらず6位にランクインしています。

一方、男性陣は10位にテレビ東京系アニメ「テニスの王子様」のキャラクター白石蔵ノ介によるアルバム「Medicine or...?」がランクインしています。

今週のチャートは以上!それでは、また来週の水曜日に~。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年4月22日 (木)

イエモンの最高傑作

Title:COMPLETE SICKS
Musician:THE YELLOW MONKEY

COMPLETE SICKS(DVD付)Blu-spec CD(TM)

THE YELLOW MONKEYの結成20周年を記念してリリースされた作品。アルバム「SICKS」をデジタル・リマスターしBlue-spec CDに収録し、デモ音源が収録されたCDとレコーディングドキュメントやメンバーへのインタビューをおさめたDVDが収録されています。

「SICKS」は1997年にリリースされたTHE YELLOW MONKEYの6枚目となるアルバムで、自他ともに評価の高い、彼らの最高傑作と言われているアルバムだそうです。

「そうです」という言い方をするのは、私自身が、「SICKS」を聴くのはこれがはじめてだから。1997年当時、THE YELLOW MONKEYというバンドについては知っていたものの、まだどこか興味が持てずにいたんです。

で、「最高傑作」という話を聴いていたので、最初、意気込んで聴いたのですが・・・パッと思ったのは、思ったより地味だなぁ・・・という印象でした(笑)。

ただ、その一方で、聴きおわった後、1曲1曲が妙に印象に残り、心の中でひっかかっていました。1度聴いた後だけで曲の感じがキッチリと記憶される・・・ちょっと地味に感じられても1曲1曲がとても個性的で主張しているナンバーが並んでいるように感じました。

楽曲は、「歌謡ロック」という言い方が、いい意味でピッタリと当てはまるような感じがします。メロディーにもサウンドにもいい意味での歌謡曲風な泥臭さが感じられます。このアルバム、イギリスでも発売されたそうですが、「日本のロック」というのを主張するには、ある種もってこいの作品だったかもしれません。

その中でも、妖艶でジャジーな雰囲気の「紫の空」があったり、ステレオの左右でボーカルを使い分ける手法がユニークな「創生児」があったり、この時期、一気にブレイクした自らを自虐的に歌った「TVのシンガー」があったりと、アレンジも歌詞もユニークで多彩。この時期の彼らの勢いを感じさせます。

リリースから13年。いまだに古さを感じさせない、ジャパニーズロックの傑作の1枚でしょう。イエモン、復活してくれないかなぁ~こういうアルバムを再度出してくるのなら、ひょっとして・・・・・・・・・。

評価:★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月21日 (水)

女性ミュージシャンががんばる中・・・

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の初登場は、女性ミュージシャンのランクインが目立ちました。

HAPPY

しかし、そんな中で見事BUMP OF CHICKEN「HAPPY」が獲得しました。2週連続シングルリリースの第1弾で、バンプらしい、ミディアムテンポのギターロックナンバーになっています。ただ、初動は前作の14万7千枚からダウンの9万6千枚と、売上を落としてしまいました。

2位はPerfume「不自然なガール」がランクイン。一時期ほど騒がれなくなったものの、初動は8万枚と前作の7万7千枚からアップし、人気を確保しています。

で、今週も順位をあげてきました。3位には坂本冬美「まだ君に恋してる」が5位からランクアップしています。まだまだロングヒットが続きそうですが、ただ、売上枚数の方は、先週の2万2千枚から2万4千枚と伸び幅は落ち込みました。このあたりが最高位か、それとも?

そんな訳で、2位3位と女性ミュージシャンががんばっているのですが、

4位 GARNET CROW/Over Drive
6位 アンジェラ・アキ/輝く人
8位 柴咲コウ/ホントだよ

と女性ミュージシャンの初登場が続きます。アンジェラ・アキはコンスタントに人気を確保してきました。この曲は、NHK「こころの遺伝子」テーマ曲だそうですが、なんとなく彼女の曲って、NHK受けがよさそうだよなぁ。

柴咲コウの新曲は、小田和正による楽曲提供だそうで、小田和正らしい、ソフトで聴かせる爽やかなポップソングになっています。

そんな女性勢の活躍が目立ちましたが、最後、9位には山下達郎「希望という名の光」がランクインしてきました。映画「てぃだかんかん −海とサンゴと小さな奇跡−」のテーマ曲。しんみりとしたポップなのですが、相変わらずのクオリティーの高さに思わず聴きいってしまう素敵なポップソングに仕上がっています。

シングルチャートは以上!アルバム&着うたチャートは金曜日に~。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2010年4月20日 (火)

ブレイクしそう。でも・・・。

Title:Tapestry
Musician:WEAVER

Tapestry

3人組ピアノロックバンドの、メジャーデビューアルバム。flumpoolの日本武道館公演でオープニングアクトを勤めるなど、徐々に話題になってきています。

ピアノは全編、爽やかなピアノの音色が心地よい、軽快なポップソング。個人的に、ピアノをつかったポップソングが好き、という理由はあるけれど、どの曲もシングルでカットしてもいいような、インパクトのあるメロディーを持った曲ばかりが並んでいました。

リスナーの壺をついてくるメロディーをしっかり書いてきていて、かつ、ピアノの音はやはり耳を惹きます。これは、売り方次第では、シングルがいきなりヒットしそうな予感が・・・

と思ったら、6月発売予定のニューシングルが、ドラマ主題歌に抜擢されたんですね。これは一気にブレイクかなぁ?十分、ヒットポテンシャルのある曲を書けるバンドだと思います。

・・・と思う一方、1曲売れた後が大変そうだなぁ、とも、このアルバムを聴いていて思いました。

似たようなタイプの曲が多く、メロもキャッチーでインパクトが強いだけに、早いうちに飽きてしまいそうです。このままなら、正直言って、シングル1枚売れても一発屋で終わりそう。

次のシングルでブレイクするのかな?それからが彼らの本当の勝負かな?好きなタイプのバンドなだけに、がんばってほしいです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Very/フルカワミキ

Very

先行シングルにもなり、このアルバムに収録されている「サイハテ」は、「ニコニコ動画」で初音ミクが歌い話題になったナンバーのカバー。こういうネットコミュニティーで産まれた曲を取り入れるスタンスはおもしろいと思うのですが・・・ちょっとアイドルポップっぽくて、このアルバムでは浮いていたかな?もし収録するなら、最後にボーナストラックみたいな形の方がよかったかも・・・。

サウンドについては心地よくて最後まで楽しめた一方、メロディーがちょっと物足りなかったかなぁ。いまひとつ、インパクトが薄くて、ピンとこなかったような・・・。全体的には、どうも印象がぼやけたような感じもしました。悪いアルバムではないと思うのですが、ちょっと残念。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月19日 (月)

KANを”カンチガイ”している人たちにも

Title:カンチガイもハナハダしい私の人生
Musician:KAN

カンチガイもハナハダしい私の人生(DVD付)

KANちゃんの4年ぶりとなるニューアルバムは、一言で言ってしまえば「ファンの壺をつきまくる傑作」といえる作品になっていました。

ファンの壺をついた・・・といっても、いつもと同じような楽曲を演る、「大いなるマンネリ」というわけではありません。むしろ、このアルバムには、挑戦的な作品も多く収録されています。

まず、そもそもの1曲目から、そのまんまPerfume(笑)の「REGIKOSTAR~レコ子スターの刺激~」からスタートしています。彼は、以前から、いろいろなミュージシャンを徹底的に研究したパロディー作品に挑戦していますが、これもその一貫。徹底的に中田ヤスタカサウンドを研究していたこの曲は、中田ヤスタカファンも一聴の価値あり!です。

続く「小学3年生」も、ビックバンドに挑戦した意欲作。タイトル通り、「小学3年生」の視点で歌われた歌詞と、サウンドのアンバランスがとてもユーモラス。また、「予定どおり偶然に」では、なんとASKAと共演しており、ASKAのボーカルを生かした作品は、いつもの彼の作品とは一風変わった作品に仕上がっています。

こんな新しいスタイルにも挑戦している彼もまた、ファンの壺をついているんですよね~(笑)。アルバム毎に聴ける違った雰囲気のユーモラスな曲もまた、大きな楽しみでもあります。

そして一方では、KANの王道ともいえる路線もしっかりと歌ってくれているのが、このアルバムのうれしいところです。

彼らしい暖かいナンバー「ピーナッツ」から、ピアノ弾き語りの「バイバイバイ」、さらには爽やかなポップチューン「青春の風」に、「ordinary days」あたりは、実にKANらしい、といえる作品。どれも心地よく、ちょっと切なさも感じられる、素敵なポップチューンに仕上がっています。

憧れたパリについて歌った「オー・ルヴォワール・パリ」を挟み、やはり聴き所は、先行シングルにもなった「よければ一緒に」でしょう。大上段に構えたようなラブソングではなく、好きな女の子に、「よければ一緒に」と優しく誘う素朴な歌詞が心をうちます。

ユーモア路線も真面目路線もほどよくまじった、KANというミュージシャンの魅力をあますことなく伝えた傑作だと思います。「愛は勝つ」で売れちゃったために、彼をカンチガイしている方はいまだに多いかもしれませんが、そんな方にこそ聴いて欲しい作品です。

ちなみに同時収録のDVDは、レコーディング風景を収めた作品。和気藹々とした雰囲気を・・・という部分もあるのですが、KANが、どう考えて曲をつくったかがわかるコメントも随所に収録されているため、ファンにとってもとてもうれしい内容になっています。これを見て、CDを聴くと、さらにCDを楽しめる、かと。

評価:★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月18日 (日)

気が付けば癖になっています。

このたび、「東洋一のサウンド・マシーン」クレイジーケンバンドが、2枚のベスト盤をリリースしました。

Title:CRAZY KEN BAND BEST 鶴
Musician:クレイジーケンバンド

クレイジーケンバンド・ベスト 鶴

「鶴」には、「タイガー&ドラゴン」「あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。」、また、Rhymesterと組んだ「肉体関係 Part2」などが収録されています。

一方・・・

Title:CRAZY KEN BAND BEST 亀
Musician:クレイジーケンバンド

クレイジーケンバンド・ベスト 亀

こちら「亀」には、「クリスマスなんて大嫌い!!なんちゃって」「てんやわんやですよ」などといったヒット曲も収録されています。

2枚のアルバムにわけてのリリースなのですが、両者の差は、さほど明確にはないのかな?2枚あわせて、クレイジーケンバンドというバンドの魅力を伝えるベストアルバムです。

正直な話、クレイジーケンバンドって最初、ちょっと聴いていて抵抗感ある部分があったんですよね。

あくの強い歌謡曲風のメロディーに、こぶしの利いたボーカル、一癖あるキャラクター性に、泥臭さを感じる歌詞・・・90年代以降の、爽やかで洗練(?)された「J-POP」に慣れ親しんだ耳には、違和感のある楽曲でした。

ただ、そんなクレイジーケンバンドの楽曲を、数多く聴いてくるうちに、徐々に慣れてくるどころか、癖になってすらきました。気が付いたら、彼らの楽曲を口ずさんでいたりして(笑)。

個人的に、ここ最近のクレイジーケンバンドのアルバムは、新譜をリリースするたびに最高傑作・・・というイメージがあったのですが、それは単純に私の耳が、どんどん彼らの音にはまっていった結果、なのかもしれないですね。もちろん、どのアルバムも傑作なのには間違いないのですが。

でも、ここ最近の彼らの曲について感じるのは、以前に比べて、例えば「昭和歌謡」だの「アメリカン・グラフィティ」だの、狙ったようなコンセプトを、露骨に前面に出してこなくなったかなぁ・・・ということ。あざとさ、といったら誤解される表現かもしれないですが、以前に比べて、露骨な「狙い」が薄くなり、「昭和」だとか「横須賀」だとかのキーワードに頼らなくても、クレイジーケンバンドとしての個性がしっかりとリスナーに伝わってきたかな、ということを感じます。

2枚のフルボリュームで、一癖も二癖もある曲が並んでいますが、意外とあっさりと聴けてしまうベストアルバム。どちらからでも、どうぞ。

評価:
「鶴」★★★★★
「亀」★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月17日 (土)

ベテランとしての貫禄の作品

Title:Timeless Fly
Musician:久保田利伸

Timeless Fly

約4年ぶりになる久保田利伸のニューアルバム。

彼が昔から歌い続けた、ブラックミュージックという音楽が、日本でもヒットチャートの中心となってから久しいのですが、そんな中でも、彼のこのアルバムは、絶対的な存在感をはなっているように感じます。

ある種のベテランとしての貫禄、とでも言うべきでしょうか。久保田利伸らしい、安定したクオリティーの高い作品を今回もたくさん聴かせてくれます。

「Is it over?」「The Other Half」のような、甘~いボーカルとメロウなメロディーラインを思う存分聴かせてくれるナンバーや、「Keep It Rock」や、マイケル・ジャクソンへのオマージュナンバーである「STAR LIGHT」のような、ファンキーなナンバーなど、久保田利伸らしい楽曲をしっかりと押さえた本作は、多くのリスナーも納得の内容ではないでしょうか。

また、今回の作品は様々なミュージシャンとのコラボが多いのも特徴的。「Keep It Rock」では、WISEとSpontaniaのTarantulaと、「FLYING EASY LOVING CRAZY」ではMISIAと、「M☆A☆G☆I☆C」ではKREVAと、それぞれコラボレート。また、ラストの「Moondust」では、小泉今日子のポエトリーリーディングとのコラボに挑戦しています。

全体的には、「僕じゃない」みたいなエレクトロ風のアレンジもあったのですが、あまり時代に左右されないような久保田色が強く出たような作品に感じました。その甘い歌声といいファンキーなリズムといい、ベテランとしての実力を感じると同時に、その個性を強く感じた作品でもありました。

それだけに、様々なミュージシャン、特に最近のミュージシャンとのコラボを行うことにより、今の空気を呼び込もうとすると同時に、楽曲にバリエーションを持たせようとしたのでしょうか?

最近はすっかりヒットチャートでもおなじみになったR&Bというジャンルの中でも、圧倒的な個性と実力を感じさせてくれる1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

regeneration/CHEMISTRY

regeneration

で。やはり久保田利伸の後に聴くと、どうしても分が悪いですよね・・・(^^;;

今風のエレクトロサウンドを大幅に取り入れていて、ポップになっていて、聴きやすい内容になっている一方、少々薄味にも感じられるのも事実。童子-Tをフューチャーした「あの日・・・」など、露骨に着うたヒット狙いで、少し悲しくなるくらい。

ポップで聴きやすく、悪くはないと思うのですが、どうも物足りなさも感じてしまう1枚でした。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月16日 (金)

坂本冬美の快挙

今週の着うたチャート

2010 年4月7日~2010年4月13日付チャート

なんと、今週の着うたチャートは、2週連続、坂本冬美「また君に恋してる」が1位を獲得しました。

また君に恋してる/アジアの海賊

強いですね~。下にも書いた通り、今週はなんとアルバムチャートでもベスト10入りを果たしており、見事、シングル、アルバム、着うたすべてのチャートにランクインしてきました。

2位はLOVE「大切なキモチ」がランクインしてきました。EXILEの事務所からデビューした、女性2人組ユニット。4月14日発売予定のデビューアルバムのタイトルチューンで、例のごとく、着うたでヒットしそうな「泣き歌」のバラードになっています。

3位は、相変わらず強い西野カナ「Best Friend」が先週とかわらず3位をキープしています。

初登場は、あと4位にINFINITY 16 welcomez 若旦那「愛してる」、9位にJASMINE「Jealous」が入ってきました。INFINITY16はレゲエミュージシャンで、湘南乃風の若旦那と組んだ作品ですが、以前、彼はINFINITY16のメンバーだったとか。タイトル通り、ど真ん中直球のラブソングで、4月28日発売予定シングルの先行配信です。

9位はまた着うた系の・・・と思ったら、今風のアップテンポなR&Bナンバーで、意外と悪くない印象。シングルチャートでは20位にランクインしましたが、着うたでは見事ベスト10入りです。ポスト宇多田ヒカルと言われているみたいですが・・・うーん、このシングルを聴くだけだと、ちょっと違うような印象が・・・。

他に今週、7位に木村カエラ「Butterfly」が11位から7位にランクアップ。この曲、着うたでは熱烈な支持を受けていますね。これだけ話題になってもシングルカット、とならないのが、今の時代なのでしょうか?

また、12位から8位にONE☆DRAFT「TRAIN」がランクアップし、2週目にして初のベスト10入りとなりました。HIP HOPユニット・・・なのですが、この曲は完全に聴かせるポップ。タイプとしてはFUNKY MONKEY BABYSに近いタイプなのかなぁ?でも、このタイプのミュージシャンは、完全に飽和状態だよなぁ・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

最近、シングルチャートでも着うたチャートでも話題の、坂本冬美が、ついにアルバムチャートでもランクインです。

神曲たち(DVD付)

1位は、AKB48のアルバム「神曲たち」がランクインです。2枚目となるベストアルバム・・・といっても、純然たるオリジナルアルバムは、基本的にリリースしていないみたいですが。

なんか、ネット文化とは直接関係ないユニットなのに、「神」という言葉をネットスラング的に用いているタイトルが、微妙に秋元康的なあざとさを感じていやらしい感じなのですが(苦笑)。

3位には、前作「ハイファイ新書」も大きな話題となった相対性理論のニューアルバム「シンクロニシティーン」が入ってきました。初動2万3千枚は、前作の初動1万1千枚から大きくアップ。勢いを感じさせます。

初登場はもう1枚。9位にBREAKERZ「B.R.Z.ACOUSTIC」がランクインしてきました。アコースティックアルバムという企画盤とはいえ、初動9千枚は、前のオリジナルアルバム「FIGHTERZ」の初動2万1千枚から大きくダウン。今後が気になる結果となりました。

そして、今週、着うたチャートでも1位となった坂本冬美のアルバム「Love Songs~また君に恋してる~」が先週の11位からランクアップし6位にランクイン。初のベスト10入りを果たしました。演歌勢がシングルとアルバムで同時ランクインするのは、美空ひばり以来20年7ヶ月ぶりだそうです。

ただ、このアルバム、演歌のアルバムというよりも、サザンの「夏をあきらめて」や、沢田知可子の「会いたい」などのポップソングをカバーしたアルバム。むしろ、非演歌だからこそ、多くのリスナーに受け入れられたといったのではないでしょうか。

今週の着うた&アルバムチャートは以上!ではまた、来週の水曜日に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月15日 (木)

HIP HOPとしては対極なれど。

TOKYO No.1 SOUL SETとスチャダラパー。ジャンル的には、「HIP HOP」にカテゴライズする2組ですが、楽曲の雰囲気は真逆といっていいかもしれません。TOKYO No.1 SOUL SETは、ラテンフレーバーなトラックがメインで、メロウなメロディーラインでしっかりと聴かせるタイプの楽曲がメイン。歌詞も、ある曲は映画のワンシーンのような、ある曲は1枚の絵画のような、雰囲気ある歌詞の曲を多く聴かせてくれます。

一方、スチャダラパーは、パーティーチューンがメイン。歌詞も、世の中を斜めから見たようなユニークな、時として、ちょっとふざけたような歌詞の曲が多いです。この一見真逆に見える両者、実は事務所とレコード会社が同じで、さらにデビューした年も同じ。以前、スチャダラパーが小沢健二と組んでヒットさせた名曲「今夜はブギー・バック」をTOKYO No.1 SOUL SETがHALCALIと組んでカバーしヒットするなどの接点はありましたが、このたび、両者が同時にベストアルバムをリリース。そしてその中に、両者がコラボした新曲が収録されています。

TOKYO No.1 SOUL SETの方がこちら

Title:Best Set
Musician:TOKYO No.1 SOUL SET

BEST SET

TOKYO No.1 SOUL SETについては、いい意味でかわらないなぁ・・・という印象を受けました。デビュー時から現在まで、一貫して哀愁あるメロディーに、1曲1曲がひとつひとつの物語のような歌詞。楽曲のパターンも、BIKKEのラップ、というよりもポエトリーリーディングのような「ラップ」の合間に、渡辺俊美の哀愁たっぷりの歌がのるというスタイルも、少々マンネリ気味な部分も否めないものの、ひとつの完成形として出来上がっています。

メロディーももちろんですが、なによりも歌詞が魅力的。良質な一編の映画のように情景が広がる「ロマンティック伝説」や、哲学的な要素すら感じる「黄昏'95~太陽の季節」。かなりストレートな失恋ソングながらも、メロディーとあいまって心をうつ「Innocent Love」など、1曲1曲実に魅力的な歌詞の世界を聴かせてくれます。

冒頭「HIP HOP」という言葉をつかってジャンル付けしましたが、そんな単純なジャンル付けではなく、TOKYO No.1 SOUL SETというひとつのジャンルを確立してしまったかのように感じる彼ら。聴けば聴くほどその世界に入り込む、実に魅力的なベスト盤でした。

評価:★★★★★

で、こちらがスチャダラパーのベスト。

Title:THE BEST OF スチャダラパー 1990~2010
Musician:スチャダラパー

THE BEST OF スチャダラパー1990~2010

個人的にうれしかったのは、以前発売したコラボレートのベスト盤には収録されていなかった、「今夜はブギー・バック」が小沢健二とのフューチャリングのバージョンでしっかり収録されていること!やはりこの曲は、今聴いても名曲だなぁ~。オザケンは、久しぶりのライブを行うなど話題になっていますが、オザケンのアルバムも、早く聴きたい!!

ちょっと話がそれてしまいましたが・・・

いい意味で変わらないTOKYO No.1 SOUL SETに比べて、こちらはいい意味で変わっています(笑)。というか、90年代あたりの曲に関しては、かなり時代を感じさせます。

TOKYO No.1 SOUL SETが、ひとつのスタイルを完成させていたのに対して、彼らはどちらかというと、その時代に合った音を選び、自分たちのスタイルに取り入れていった、という感じなのでしょうか?

また、「ゲームボーイ」やら「カズダンス」やら、やけに時代を感じるキーワードを取り入れてきたり、歌詞も、どこかその時代の空気を反映したような曲が多く、初期の作品については、リアルタイムにスチャダラパーを聴いていたわけではないのですが、どこか懐かしさすら感じてしまいました。

曲は、初期に関しては、ウィットに富んだユーモアたっぷりの、時として「おふざけ」すら感じられるような曲すらあるのに対して、最近の作品は、ウィットの富んだユーモアたっぷり・・・というのは変わらないものの、「おふざけ」的な要素はちょっとひかえめ。全体的に初期の悪ガキ的な雰囲気は薄れて、大人になったなぁ・・・という印象も。ここらへんは好き嫌いあるかも?

そんな対極的な彼ら。それにも関わらず、お互いのコラボ曲は、妙にマッチして、相性の良さすら感じるのが不思議。おそらく、どちらも音楽に対して真摯に取り組み、自分たちの世界を作り上げているからこそ、お互いの良さをいかしたコラボが出来上がったのではないでしょうか?

2枚組のフルボリュームながらも、ユーモアたっぷりの曲ばかりで、あっという間に聴き終わってしまうベスト盤でした。

評価:★★★★★

余談。

もう終わってしまいましたが、テレビドラマ「相棒」を見ていて、いたみんこと伊丹刑事が登場するたびに、BIKKEのことを思い出してしまいます(^^;;似てると思いません??

BIKKE

川原和久

(↑両者Googleの画像検索です)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月14日 (水)

演歌勢が目立つ

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

坂本冬美がヒットを続けている最近のチャートですが、今週はなんと2位から4位が演歌勢で占めるチャートとなりました。

まず1位はNYC「勇気100%」が獲得しました。ジャニーズ系の新グループで、曲はご存知光Genjiの曲のカバー。NHK系アニメ「忍たま乱太郎」のオープニングテーマとなっています。

で、それに演歌勢が続きます。

まず2位は水森かおり「松島紀行」が初登場でランクインです。2位は自己最高位、また、7作連続のベスト10入りとなり、藤圭子の記録を抜いて、演歌歌手では歴代1位だそうです。ただ、個人的に、数多い演歌歌手の中で、なぜ彼女がこれほど売れるのか、いまひとつわかんないんですよね・・・典型的な演歌といった感じで、これといった特徴も感じられないし・・・。

で、3位に氷川きよし「三味線旅がらす」が先週の7位からランクアップ。4位には、坂本冬美「まだ君に恋してる」が徐々にランクアップし、先週の5位からワンランクアップしてきました。売上も、先週の1万6千枚から2万2千枚にアップ。デイリーでは1位を獲得しており、さらに上の順位を狙えそうです。

まあ、演歌勢が目立つといっても、水森かおりはベスト10の常連ですし、目新しいところは坂本冬美のヒットくらい。初登場が少なく、相対的に演歌勢が浮かび上がってきたといったところでしょうか。

初登場は、6位に大塚愛「ゾッ婚ディション」が、10位に川嶋あい「春の夢」がそれぞれランクインしています。

大塚愛は、前作が初動1万7千枚に対して、1万1千枚までダウン。一時期の人気を考えると、いつの間にか、厳しい状況になってきています。10位川嶋あいは、久しぶりのベスト10入り。初動6千枚という低水準ながらも、前作の初動も6千枚とほぼ横バイで、固定ファン層がついている模様。ただ、どちらも、「女性ソロシンガーソングライター」ながらも、後ろに、強烈な商業主義的な影がちらつくあたり、どこか共通項を感じてしまいます(曲の雰囲気は真逆ですが・・・)。

今週のシングルチャートは新譜少な目でした。アルバム&着うたチャートは金曜日に!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

夏は近づく・・・

まだ、冬並みに寒い日もありますが・・・(^^;;

スティーヴィー・ワンダーら、サマソニ第6弾ラインナップ&日程別ラインナップが発表!
アラバキ第5弾発表!タイムテーブル&ステージ割りも決定

夏フェスがらみのニュースが続々と。サマソニ、スティーヴィー・ワンダー、一度見てみたいなぁ。あと、PIXIESもまた来るのかぁ~。行きたいけど・・・微妙かな?

個人的には、↓には行ってみようかなぁ、と思います。名古屋で見れる、数少ない音楽イベントなので・・・。

名古屋「SAKAE SP-RING」第2弾はSxOxU、HALCALIら58組

 

あと、ちょっとビックリしたニュースが。

スーパーグラス、解散を発表

実は、アルバム自体、ここ最近聴いていなかったのですが、新譜のニュースだったり、来日公演だったり、チラホラとニュースは耳に入ってきていて、まだまだがんばっているんだなぁ~という印象を持っていたのですが・・・17年かぁ。久しぶりに、昔聴いたアルバムを聴いてみようかな。ちなみにYahoo!のトップニュースにもなっていましたね。こちらもちょっとビックリ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年4月13日 (火)

今なお、大きな影響力

Title:ALL TIME SINGLES~SUPER PREMIUM BEST
Musician:THE BLUE HEARTS

THE BLUE HEARTSといって思い出すのは、小学6年生の頃。クラスで「リンダリンダ」が大流行していました。

「ドブネズミみたいに美しくなりたい」

ある意味あまりにもインパクトが強く印象深いこのフレーズが、小学6年生のがきんちょの心にも深く響きました。その意味を、どこまで把握していたか、今となっては思い出せませんが、クラスのみんなが歌っていたことを今でも覚えています。

・・・って、年齢がばれるな(^^;;

それはさておき。

こんな、小学生にも受け入れられるような、間口の広さと、それから20年近く経た今でも、同じフレーズがオーバーサーティーのおじさんの心にも触れる奥の深さ。それが、THE BLUE HEARTSというバンドの大きな魅力ではないでしょうか?

今回発売されたのは、結成25周年を記念してリリースされた、レーベルの壁を越えて収録されたオールタイムベストアルバム。彼らの全シングルが発売順に並んでいます。

シングルのみしか収録されていないものの、それが発売順に並んでいるため、彼らの活動の軌跡がよくわかります。初期衝動を保ちながら、いい意味で青臭さを感じる初期の作品から、パンクロックという主軸を保ちながらも、ロックンロールという音楽を真摯に追及しようとする姿勢を感じ、その後のハイロウズへの道筋も感じられる後期の作品まで、THE BLUE HEARTSの歩みがよくわかる作品になっています。

「1001のバイオリン」(本作にも収録)を宮崎あおいが歌ったCMが、今年話題となりましたが、今なお、多くの人々の心を打ち、多大な影響を与えているTHE BLUE HEARTS。その理由がよくわかる名曲揃いのベストアルバムでした。

評価:★★★★★

で、こちらはそれと同時に発売されたトリビュートアルバム。

THE BLUE HEARTS TRIBUTE 25th Anniversary TRIBUTE

THE BLUE HEARTS “25th Anniversary” TRIBUTE

THE COLLECTORSやBEAT CRUSADERS、同世代のバンドであるニューロティカや、ビジュアル系のMerryやらメロン記念日やら様々なバンド、ミュージシャンによるトリビュートアルバム。

どのカバーもそれなりに聴けてしまうのが、THE BLUE HEARTSの間口の広さであり、「青春パンク」と称される、似て非なるバンドが量産された理由なのか?ただ、やはり、ベストで原曲を聴いた後にこちらを聴くと、どうしようもない物足りなさを感じてしまいます・・・。

評価:★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月12日 (月)

完全に矢野顕子の曲に

Title:音楽堂
Musician:矢野顕子

音楽堂

「SUPER FOLK SONG」から続く、矢野顕子のピアノ弾き語りアルバム第4弾。本作も、様々な曲のカバーに挑戦して、矢野顕子流の調理をほどこしているのですが、とにかく、選曲したミュージシャンが幅広い!岡林信康や和田アキ子といったベテランから、若手ではくるりくらいは想像が出来るのですが、なんと本作ではWEEZERやELLEGARDENまでカバー!正直、矢野顕子とは接点の薄そうなミュージシャンまで幅広くカバーするあたり、彼女の懐の深さを感じます。

そしてそんな楽曲の数々を、ピアノ弾き語りで歌い上げているのですが、どの曲も完全に彼女の曲になっているんですよね。

正直言って、くるりやWEEZER、ELLEGARDENなどは私ももちろん知っている曲なのですが、最初聴いた時、カバー曲とは気がつきませんでした(笑)。原曲の良さを生かしつつ、自由に飛び回るようなピアノの音色と、彼女なりの解釈で歌い上げる楽曲は、完全に矢野顕子の曲として生まれ変わっているようでした。

彼女のボーカルにしてもピアノにしても、決して暑苦しく感情豊かに歌い上げているわけではなく、むしろ熱量は控えめ。しかし、変に感情たっぷりに歌うシンガーよりも、胸に突き刺さるんですよね。心の一番奥の部分に、ストレートに入ってくるような、そんな独特な、魅力的な歌声は、このアルバムでも十分に堪能できました。

また、今回は、神奈川県立音楽堂で一発録りというスタイルで録音したらしく、そのため、ピンとはりつめた空気がこちらにも伝わってくるよう。ライブアルバムのような感覚で聴けるアルバムになっています。

今回のアルバムは、忌野清志郎が闘病中に、彼を励ますために歌った「きよしちゃん」も収録されています。結果として、今回のアルバムに収録されたのは追悼の意味合いもこめられているのでしょうが、こういう形での収録になるのは残念。しかし、その歌声は、亡き彼のことを思うと、なお胸に響いてきます。

ミュージシャン矢野顕子のコアの部分がさらけだされたアルバム。やはり彼女は素晴らしいなぁ~とあらためて感じたアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

PRIDE/山嵐

PRIDE

ハードコアなナンバーから、疾走感あるギターロック、ポップなナンバーにダンスチューンと、ハードなナンバーがメインながらも、様々な音も楽しめます。ライブは盛り上がって楽しそうだけど、アルバム単位だと、ちょっと印象が薄いかも。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月11日 (日)

UKロックの正統な後継者

Title:Saturday
Musician:Ocean Colour Scene

Saturday

いまさらながらだけど、彼らって、本当に「正統派UKギターロックバンド」という言い方がふさわしいバンドですよね。

モッズ・バンドの影響を感じる、ヘヴィーな、どこか黒っぽいギターロックを鳴らしながらも、メロディーは、美メロという言い方がふさわしいような、メランコリックでポップなメロディーライン。

アコギを入れてきたり、カントリーの要素を加えたり、ストリングスを入れてきたり、バリエーションを加えながらも、あくまでもポップなメロディーとギターサウンドを主軸にアルバムは展開していきます。

「新鮮さ」みたいなものは正直薄いのは事実なのですが、その一方で、安心して聴けるアルバムだと思います。UKギターロック好きは、とりあえずチェックしておきたい作品でしょう。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

FOR(N)EVER/hoobastank

For(n)ever

ハードなギターロックにのるメロディーが、とことんポップで、洋楽をあまり聴かない方にも耳なじみやすい雰囲気のメロコアバンド。ただ、意外とヘヴィーな雰囲気のナンバーもあり、思ったおりも骨太なバンドだなぁ・・・とも思いました。

評価:★★★★

It's Not Me,It's You/Lily Allen

It's Not Me, It's You

エレクトロポップがメインとなった新作。軽快でポップな曲が並んでおり、こちらも(いい意味で)聴きやすく、楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月10日 (土)

活動休止前最後のベスト

Title:BESTOISU!!!
Musician:POLYSICS

BESTOISU!!!

先日の日本武道館ワンマンライブを最後に、メンバーのカヨがバンドを卒業し、活動休止となったPOLYSICSの、2枚目となるベストアルバム。2004年にベストアルバム「POLYSICS OR DIE!!!」をリリースしており、その後の作品を中心に選曲されたベスト盤になっています。

ちなみに、このアルバムの読み方は、「ベストオイッス!」ではなくて「ベストイス」で、「トイス」は、POLYSICSのライブではおなじみの、POLYSICS流のあいさつだそうです。

「1st P」から11年。これが最後ではなく活動休止なんですが、いやぁ~正直、このバンドがここまで長く活動を続けるとは思いませんでした(笑)。

インディーズ時代はライブを「3回見れば飽きる」みたいなことを言われていて、ステージはインパクトメイン。初期のアルバムにしても、「ライブはいいんだけど音源はいまひとつ」という印象が強く、最初は楽しいけど、あっという間に飽きるんじゃないかなぁ~なんてことを思っていたのは、多分、私だけではないはず。

そんな私の予想をいい意味で裏切ってくれたのですが、このベスト盤を聴くと、なぜ、インパクトのみといわれた彼らが、ここまで長く続いたのかがわかるような気がします。

それは、思いのほか、彼らのメロディーがとてもポップで印象に残るものだったから。

ここ最近のアルバムに関しては、バンドサウンドのインパクトという面だけではなく、メロディーもインパクトがあって、ポップでいいなぁ、という印象が強かったのですが、ベスト盤でシングル曲を中心にあらためて聴くと、彼らって、こんなにメロディーセンスのあるバンドだったんだぁ、と自分の不見識を思い知らされました。

「ケロロ軍曹」のオープニングになった「YOU-YOU-YOU」あたりは、明確にメロディーを重視しているのはわかるのですが、「YOUNG OH!OH!」にしろ「Pretty Good」にしろ「シーラカンス イズ アンドロイド」にしろ、メロディーはインパクトがあってポップで、そして何より楽しいんです!

だから、似たようなタイプのパンキッシュな作品が多くても、このベスト盤、最後まで聴き飽きることがありませんでした。

POLYSICSの魅力を、あらためて(遅ればせながら(?))実感することの出来たベストアルバムでした。彼らの魅力はライブだけではない!そう実感できました。

評価:★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 9日 (金)

ついに1位!

今週の着うたチャート

2010 年3月31日~2010年4月6日付チャート

今週の着うたチャートは、ついにあの曲が1位を獲得です!

また君に恋してる/アジアの海賊

坂本冬美「また君に恋してる」が1位を獲得。シングルチャートでも、まだ5位なのに・・・。着うたというと、中高生あたりがユーザー層の中心、というイメージが強いのですが、この曲をダウンロードしているのは、どのあたりの層なのでしょうか?もしかしたら、団塊の世代あたりが、この曲で、はじめて「着うたに挑戦」という人も少なくないかも。

2位には初登場ASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」がランクイン。あまり着うたというイメージはないのですが、こちらは、メインのファン層と、着うたのユーザー層と、世代的にピッタリ一致しそう。

3位は、まだまだ強い、西野カナ「Best Friend」が、先週と変わらず3位をキープです。

初登場5位には、L'Arc~en~Ciel「I Love Rock'n Roll」がランクインです。こちらは、ペプシのCMソングに採用された、Arrowsのヒット曲のカバー。先日、同じCMで、コブクロがカバーした「Layla」が着うたチャートに入ってきましたが、それに続くランクインです。

6位には3人組のギャルユニットJuliet「ハルラブ2」がランクインです。シングルでは初登場34位と、完全に着うた主導のヒットな訳ですが、デビュー曲が「ナツラブ」で、2枚目が「ハルラブ」で、その次が「ハルラブ2」って・・・あまりにもやっつけすぎないか?(^^;;「関東合同卒業パーティー」テーマソングという、いかにもなイベントのタイアップがついています。

10位には、浜崎あゆみ「Microphone」が入ってきています。こちらは4月14日発売予定のニューアルバムからの先行配信曲です。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートは、女性ソロミュージシャンの活躍が目立ちました。

BABY

見事1位に輝いたのは、aikoのニューアルバム「BABY」。前作「秘密」は惜しくも2位だったので、前々作「彼女」以来の1位となりました。

ただ、初動売上は13万5千枚と前作の16万7千枚からダウン。ちょっと厳しい結果になっています。

他に、女性ソロシンガーとしては、3位に坂本真綾のベストアルバム「坂本真綾 15周年記念ベストアルバム everywhere」が、5位に倖田來未のリミックスアルバム「Koda Kumi's Driving Hits 2」がそれぞれランクイン。さらに海外からは、10位にMADONNAのライブアルバム「Sticky & Sweet Tour」がランクインしています。

坂本真綾は、初のベストアルバム。初登場3位は立派ながらも、初動4万7千枚は、オリジナルとしては前作「かぜよみ」の初動3万6千枚に比べると、少々寂しい数字かも。それだけ固定ファン層の支持が強いってことなのでしょうが、声優系とはいえ、もっとミュージシャンとして普遍的に人気を確保できそうなシンガーであるだけに、もうちょっと売上は伸びてもよかったと思うのですが・・・。

他には・・・

2位にV6「READY?」が、7位にSLASH「SLASH」が、それぞれランクインしています。

SLASHは、元GUNS'N ROSESのギタリスト。これがソロ1stとなります。オジー・オズボーンや、イギーポップといった豪華なミュージシャンとコラボレートした本作には、シングルカットもされた、B'zの稲葉浩志をフューチャーした曲も収録されています・・・ただし、日本盤のボーナストラックとして、ですが。

最後に、悲しいニュースが。

英音楽界随一の策略家、マルコム・マクラーレンが死去

正直、マルコム・マクラーレンのことを詳しく知っているわけではないですし、どちらかというと、山師みたいなイメージが強いのですが、やはり音楽シーンに重要な足跡を残した人物なのは間違いないわけで・・・突然のニュースにビックリしました。去年も多くの音楽界の偉人が亡くなりましたが、今後もこういう悲しいニュースが続いちゃうのかなぁ・・・。R.I.P.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 8日 (木)

日本語でファンク!

Title:在日ファンク
Musician:在日ファンク

在日ファンク

いいねぇ~とにかくファンキーでカッコいい!!(発売日が1月6日なので)新年早々、今年を代表しそうな名盤が誕生しちゃいました!!ファンクなリズムに酔いまくる、傑作です。

在日ファンクは、sakerockの浜野謙太率いるファンクバンド。楽曲は、はっきりいってしまえば、そのまんまジェームス・ブラウンです。こういう言い方が正しいかわかりませんが、どす黒いヘヴィーなリズムに、なんか匂いまで伝わってきそうなファンクなリズム。邦楽ばなれしたファンキーなリズムは、聴いていて快感の一言です。

そして、彼らがおもしろいのは、そんなファンキーなリズムの楽曲を、あくまでも日本語の歌詞でやってしまう点なんですよね。

それも彼らの歌詞は、あくまでもファンクなリズムにのるかどうかで選んでいて、え?こんなことをサビで歌うの?と思ってしまいます(笑)。

「きず」「最北端」「罪悪感」や、さらに最近、再びホットイシューになっている「ダンボール肉まん」という言葉を、ファンキーなリズムに載せていて、その歌詞は一度聴いたら忘れられません。

でも、そうやって歌っている歌詞も、視点がユーモラスで

「アピアピ アピールしたいなら きず人間
たびたび 思い出す憧れのその包帯」

(「きず」より 作詞 Kenta Hamano)

「ソープに行って罪悪感
2回もイッて罪悪感
ゆく年来る年罪悪感
奇妙な初夢罪悪感
お昼に起きて罪悪感
おれなんか生きてて罪悪感
新聞読まず罪悪感
リーマショック罪悪感」

(「罪悪感」より 作詞 Kenta Hamano)

など、ふとした内容ながら、どこか共感できてしまうような内容がとてもユニークです。

とにかく、「在日バンド」というバンド名からしてそうなのですが、どこか流れるうさん臭さも含めて、文句なしにファンキーでカッコいいバンドです。これはライブがすごく盛り上がりそうだなぁ・・・大音量で踊りまくりたいです(笑)。

評価:★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

音楽ネタいろいろ

AKB48、新アルバム「神曲たち」初登場1位

Yahoo!のトップニュースにこれが出た時、「あれ?今日って火曜日だったっけ??」(←オリコンの週間チャートが公表される日)と思ったのですが、よく見たら、デイリーで1位かよ!

デイリーチャートを基準に「初登場1位」みたいに言われだしたら、映画の「全米1位」みたいに、「チャート1位」が量産されそう・・・。

心は熱く、目には優しく…ロック音楽誌も高齢化の波、活字拡大

「かつて若者文化の象徴だったロック音楽だが、時の流れには逆らえない?!(本文より)

雑誌「レコードコレクターズ」の活字が大きくなるという話。

いや、レココレで特集されるミュージシャンって、60年代から80年代のミュージシャンがメインだし、その音楽をリアルタイムで聴いていた世代がメインになるのは当たり前では?

リアルタイムにビートルズやジミヘンを聴いていた世代のうち、時代を遡って戦前のブルースとか、ルーツの音楽を聴いていたのだって、一部の音楽ファンくらいじゃない?それと同じで、今の20代30代が、レココレを読まないのは、別にロックを聴いていないとか、そういう話とは別次元だと思うのですが・・・。

確かに、ロックミュージックはかつての勢いはないのは事実だけど、この出来事だけで、単純に「若者のロック離れ」とかそういう話に結び付けられないんじゃないかなぁ。

以上。ちょっと気になった音楽ニュースでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 7日 (水)

そろそろ桜の時期も終わりですが・・・。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先週月曜日あたり、私が住む地域でも桜が満開になりました。そろそろ桜前線が北関東付近に差し掛かり、桜の季節も終わりに近づいています。

そんな季節にピッタリなのか、ちょっと遅くなったのか、今週の1位はNEWS「さくらガール」でした。春のシーズンらしい爽やかなポップチューン。ただ、売上は、19万5千枚と、前作の23万4千枚から大きくダウンしています。

2位はUVERworld「GOLD」。初動5万枚は、前作の5万2千枚から若干のダウンでしたが、前作はドラマタイアップで本作はノンタイアップということを考えると、健闘した結果といえるでしょう。

3位に入ってきたのがASIAN KUNG-FU GENERATION「ソラニン」でした。こちらは、同タイトルの宮崎あおい主演の映画主題歌。タイアップ効果もあってか、初動は前作の2万5千枚から3万2千枚にアップしています。

4位は、Queen&Elizabeth「LOVE WARS」。これは、テレビ朝日系「仮面ライダーW」の劇中キャラクターで、AKB48の板野友美と河西智美が演じているそうです。

初登場はもう1枚。8位にAI「FAKE feat.安室奈美恵」がランクインです。タイトル通り、AIと安室奈美恵という2人のR&B系女性シンガーが組んだ話題のシングルで、楽曲は、最近の安室奈美恵の方向性に近い雰囲気のカッコいR&Bチューン、なのですが思ったより伸びなかったな・・・と思ったのですが、AIとしてのベスト10入りは、2006年の「I wanna know」から4年ぶり。AIとしては、安室奈美恵のおかげで、久しぶりにベスト10に復活となりました。

さて、初登場はここまでなのですが、最近話題の坂本冬美「また君に恋してる」。今週はついに5位にランクアップとなりました。ただ、売上は、先週の1万4千枚から、1万6千枚と、横バイ傾向。今後もロングヒットは続くと思いますが、これ以上の上位は厳しいか?

ちょっと新譜が少なめだった今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムは金曜日に~。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 6日 (火)

熱いロックンロール!

Title:フラカン入門
Musician:フラワーカンパニーズ

フラカン入門

昨年、結成20年を迎えたベテランバンド、フラワーカンパニーズ。その20年を記念してリリースされた、オールタイムベスト盤。タイトル通り、フラワーカンパニーズを聴いたことない人に、フラカンがどんなバンドかわかる、そんなアルバムです。

フラワーカンパニーズの音楽を、一言で言えば、とにかく「熱い!!」

骨太のロックンロールサウンドはもちろんのこと、ボーカル鈴木圭介のがなるような歌い声もとにかく熱いのですが

なによりも彼らが熱く、そしてフラワーカンパニーの大きな魅力となっているのはその歌詞でしょう。

彼らの書く歌詞は、いわば生きるための応援歌・・・と書くと、J-POPでありがちな「ここではないどこかの本当の自分を探しにいこう」みたいな歌詞を想像してしまうかもしれませんが、そうではありません。

彼らの歌の主人公は、辛い日常の中で必死に生きようとする人たち。そんな彼らが生きる意味を見つけ出し、前に進もうとする、そんな彼らを後押ししようとするのが彼らの書く歌詞の世界だと思います。

例えば、14人のミュージシャンが1枚のアルバムで同時にカバーして話題となった「深夜高速」では、

「生きててよかった 生きててよかった
生きててよかった そんな夜を探してる」

(「深夜高速」より 作詞 鈴木圭介)

と叫び、「夜明け」では

「何かが起こりそうな気がする
何かが起こせそうな気がする
もし何も起こらなくても
もし何も起こせなくても
そんな事は問題じゃない
そんな事は問題じゃない」

(「夜明け」より 作詞 鈴木けいすけ)

と後押しをする。かなりストレートなメッセージ性をもった曲ですが、それだけに、ストレートに心に響いてくるものがありました。

個人的に印象に残ったのが、「東京タワー」。東京を代表する建造物ではあるものの、時を経て、時代遅れになった感すらある東京タワー。しかし、それでも力強く立っているタワーの姿に、自分の行くべき姿を重ね合わせる歌詞は、とても印象的です。

熱く骨太のロックンロールサウンドと、熱い歌詞と、がなるようなボーカル。タイプとしては、エレファントカシマシに近い印象も受けます。ただ、エレカシよりもよりストレートなメッセージ性が特徴ですが・・・。

ただ、20年近く活動を続けているフラカン。正直言って、なぜかいまひとつ売れていません。Wikipediaによると、チャート順位は、おそらくアルバム「マンモスフラワー」の20位が最高位。

確かに、癖のあるバンドであることは間違いないとは思うんですよね。それだけに、好き嫌いはわかれるかもしれません。実は私も、以前は彼らにちょっと抵抗感も持っていました。

でも、このベスト盤を聴いて、あらためてフラカンの魅力を感じることが出来ました。いままで彼らを聴いたことない方や、特に名前は知っているけど、どうも手が出なくて・・・という方に聴いて欲しいベスト盤です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

みちくさ日和/Fairlife

みちくさ日和

浜田省吾が、アレンジャーの水谷公生、作家の春嵐とはじめた音楽ユニット。ソウル風の曲やジャジーな曲など、なんとなく、浜田省吾が、ハマショーの名前ではやれないような音楽を、自由に楽しんでいる印象が。ポルノグラフィティの岡野昭仁や、宮沢和史、曽我部恵一など、豪華なゲスト陣も魅力。個人的には、我那覇美奈の名前を久しぶりに見れたのがうれしいなぁ。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 5日 (月)

幽霊たちの音楽?

Title:Shambhala Number Two&Three
Musician:Joseph Nothing

Shambhala Number Two&Three

現代美術家で漫画家のタカノ綾による、不気味かわいい(?)ジャケットが印象的な、Joseph Nothingによるニューアルバム。前作「Shambhala Number One」に続く、2年半ぶりのニューアルバムです。

Joseph Nothingといえば、「日本のAphex Twin」とも呼ばれているそうで、無機質な雰囲気の電子音を並べ、一種独特の音楽の世界を表現しているミュージシャン。「Shambhala」とは、チベット仏教で桃源郷を指すそうで、彼なりに「桃源郷」をイメージした3部作になっているそうです。

今回は、そのうち2作目と3作目が同時にリリースされたのですが、そのうち「Two」は、ある意味、彼らしい作品という感じでしょうか?「桃源郷」からイメージされる美しい音や、フレーズなどをちりばめながらも、突如入る、強烈なノイズが、不気味さを感じさせます。夢の世界の「桃源郷」には、どこか毒の部分が混じりこんでいる・・・そんなイメージなのでしょうか?

しかし、さらにユニークなのは「Three」の方。こちらは全曲フィールドレコーディングを決行。この中で使われている音はすべて、廃墟の中で、扉などをつかって出した様々な音をサンプリング。その音だけで曲をつくりあげているそうです。

それって、「桃源郷」っていうよりも「ホーンデッドマンション」なんじゃない?(笑)

それだけに、いままでに聴いたことないような、新しい音を想像していたのですが・・・

そう意気込んで聴くと、思ったよりも、リズミカルでポップな作品が並んでいました。

いや、もちろんポップといっても、単純なメロディーを奏でている、とかいった話ではないのですが、テンポよく、ミニマル的に刻むリズムが、耳にも心地よく、サンプリングした音にしても、「廃墟」からイメージするような不気味さはなく、Joseph Nothingが奏でる音世界の一部として、しっかりと機能していました。

それだけに、いい意味でも悪い意味でも思ったよりも「いつも通り」(笑)。もちろん、いつもに増して、音はシンプルで、ちょっと無機質な中にも暖かみみたいなものを感じるなど、それなりに普段の電子音と違う部分も感じられたのですが。

ただ、試みとしてはとてもおもしろいですね。世の中にある様々なものが楽器として通用する・・・もちろん、そういう試みを行ったミュージシャンは少なくないのですが、それがまたひとつ、新たな音楽として形となった作品でした。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 4日 (日)

ありのままのレミオロメン

Title:花鳥風月
Musician:レミオロメン

花鳥風月

正直なところ、CMソングで、「ありのままの自分でいよう~♪」なんて歌詞が流れてきた日には、レミオロメンは一体どうしてしまったんだ??と、軽いショックを受けました(笑)。

それだけに、今回のニューアルバムは、最初、買おうかどうか、かなり迷ったんです。結局、買ったのですが、「これが彼らのアルバムを買う最後になるかもなぁ・・・」なんてことを考えながら、プレイヤーにCDをセットしました。

例のCMソング「Starting Over」は、まさに悪い意味でここ最近のレミオロメンっぽい曲だったのですが、しかし、楽曲が進むうちに、アルバムのイメージが徐々に変わってきました。後半になるにつれて、かつての昔の古き良き(笑)レミオロメンが戻ってきたようは雰囲気の楽曲が増え、最初の心配はどこへやら、やはりレミオロメンはいいなぁ~という余韻にひたりつつ、アルバムを聴き終えることができました。

今回のアルバムの大きなポイントは、やはり小林武史のプロデュースをやめ、セルフプロデュースに挑戦したという点でしょう。

そういう原点に戻った結果なのでしょうか、特に歌詞の部分では、かつて、レミオロメンがファンを惹きつけたような、ふとした日常風景を描写した暖かい雰囲気の歌詞がグッと増えました。

特に特筆すべきは、「大晦日の歌」でしょう。恋人と過ごす大晦日の風景を描写した歌詞は、二人の間に流れる暖かい雰囲気もうまく描写した歌詞になっていて、名曲「ビールとプリン」を思い起こすような歌詞になっています。

他に、切ない片思いを歌った「恋の予感から」や、前向きな歌詞ながらも、日常という視点をあくまでも維持した「Tomorrow」など、リアリティーある日常に起因した歌詞が目立つ曲が増えています。

ここ最近のレミオロメンに、少々がっかりしていたファンも、歌詞に関しては文句なし、納得のアルバムになっていたのではないでしょうか?

ただ一方で、アレンジに関しては、小林武史プロデュースの影響を強く感じるような、ストリングスを導入した、ちょっと大味なアレンジがまだまだ目立ちました。

もっともこちらも、以前のレミオロメンを彷彿とさせるような、暖かい雰囲気のギターロックという楽曲もチラホラ。こちらもセルフプロデュースに戻り、いままでの彼ららしさが戻ってきた、といってもいいかもしれません。

彼らの傑作「朝顔」にはまだまだ及ばないかもしれませんが、「風のクロマ」あたりで、「ちょっと違う・・・」と思ったファンの方には、また再度、是非聴いてほしい作品です。このままセルフプロデュースを続ければ、次回作、久しぶりの傑作にお目にかかれるかも・・・まだまだレミオロメン、期待できそうです!

評価:★★★★

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010年4月 3日 (土)

感涙のリユニオン

Title:All the People... Live in Hyde Park: 2nd July 2009
Musician:blur

オール・ザ・ピープル(ブラー・ライヴ・アット・ハイド・パーク)

ギターのグレアム・コクソン脱退以降、事実上の活動休止状態になっていたblurが、2008年12月、オフィシャル・ウェブサイトで突然の復活ライブを発表!さらに、グレアム・コクソンもblurへ復帰!!ファンにとっては、まさに大きな喜びと期待を持って迎えられたのが、昨年7月にイギリスのハイド・パークで行われた復活ライブでした。

そして、今回発売されたのが、そのライブの模様をそのまま収録した2枚組のライブアルバムです。

ライブの雰囲気をそのままパッケージしたような感覚のある録音状態で、その場の空気が伝わってくるよう。会場の盛り上がり方に、多くのファンがblurの、それも4人での復活を待ち望んでいたということが、CDを通しても伝わってくるようです。

そして選曲の方も、「Girls&Boys」「Country House」などの大ヒット曲、代表曲をおしげもなく披露する、ファンとしてはもうたまらない展開。その場にいたかったなぁ・・・と多分ファンならば、誰もがそう感じるライブであり、そんな会場の楽しさをそのまま伝えてくれるライブアルバムでした。

再結成で、今後、ニューアルバムのリリースもあるのでしょうか?来日、ということもあるのでしょうか?とても楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Hush/Asobi Seksu

Hush

「アソビ・セクス」と、日本人にとってはちょっと刺激的なミュージシャン名ですが、このバンド、ボーカルYuki Chikudateは日本人で、タイトルは、日本人が感じるそのままの意味合い、だそうです。

楽曲は、「ドリームポップ」とカテゴライズされるような、幻想的なポップ。Yuki Chikudateの透き通るようなボーカルがとても魅力的。ところどころに入る日本語の歌詞が、ちょっと不思議な感じを与えるのですが、バンドの拠点、アメリカでは、もっと不思議な雰囲気を曲に与えているんだろうなぁ。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 2日 (金)

坂本冬美の躍進続く

今週の着うたチャート

2010 年3月24日~2010年3月30日付チャート

今週の着うたチャートは、先週上位に入ってきた、あの歌謡曲が、着実に順位を伸ばしています。

BYE BYE

まずは今週の1位。加藤ミリヤ「BYE BYE」が1位獲得しました。今週のシングルチャートでも8位初登場を記録していますが、着うたでは堂々の1位。若い世代への支持の強さを見せつけました。

で、2位には、坂本冬美「また君に恋してる」が、先週3位から見事ランクアップ。シングルチャートともども、ロングヒットの様相を見せています。

3位は西野カナ「Best Friend」が2位からランクダウン。とはいえ、まだまだヒットを続けそうです。

さて、着うたチャートで、今週、初登場でベスト10入りしたのは1曲のみ。7位にランクインしたTiara「Love is... with KG」がそれです。4月27日発売予定のシングルの先行配信。彼女は、典型的な着うた狙いのミュージシャンらしく、前作も、着うたチャートでは7位にランクインしたものの、シングルでは81位(!)。着うたで気に入ったからCDに流れる・・・ということは起こらないみたいです。

で、今回デゥエットしたKGなるミュージシャンは、男性R&Bミュージシャンなのですが、彼がまた、MAY'SやらMay Jやら、着うたヒット狙いの女性ミュージシャンとのコラボばかりをリリースしているミュージシャン。ちょっとあまりにもセルアウト具合が露骨。童子-Tといい、彼といい、こういうタイプのミュージシャンが最近増えてきているなぁ・・・(苦笑)。

他には、今週、ランクアップしてベスト10に返り咲いた曲が何曲か。4位に木村カエラ「Butterfly」。先週の14位から返り咲き。まだまだロングヒットが続きそう。ヒルクライム「春夏秋冬」も22位から9位にランクアップ。いきものがかり「YELL」も14位から10位にランクアップしています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは、ベスト10のうち7枚が初登場という、波乱のチャートとなりました。

∠TRIGGER

そんな中、1位を獲得したのが、ポルノグラフィティ「∠TRIGGER」。約2年7ヶ月ぶり。かなり久しぶりのニューアルバムです。彼らの1位獲得は、2005年にリリースされた「THUMP×」以来3作ぶりとのこと。ただ、初動売上は、前作の8万3千枚と、前作の14万枚から大幅ダウン。根強い人気は保っているものの、シングルで大きなヒットを出して、人気の底上げをはかりたいところでしょうか?

3位初登場は、シングルチャートでも1位にランクインしていた東方神起「TVXQ non-stop mix Vol.2」。なんでも、海外の男性ミュージシャンが、シングルとアルバムチャートで同時にベスト3入りするのはビリー・ジョエル以来31年ぶりだそうです。相変わらずのニッチな記録なんですが、東方神起、というよりも、ビリー・ジョエルってすごかったんだなぁ(^^;;ただ、東方神起もリミックスアルバムながら、この好順位に、熱狂的なファンの存在を感じます。

以下・・・

4位 X42S-REVOLUTION/T.M.Revolution
5位 表情/チャットモンチー
7位 MAIDEN VOYAGE/Salyu
8位 CHANGE/Every Little Thing
9位 Emotion&Commotion/JEFF BECK

と並んでいます。

4位T.M.Revolutionは、ガンダム30周年を記念してリリースした、ガンダムとのコラボレートミニアルバムで、彼が歌ったガンダムの主題歌などを集めた企画盤。

チャットモンチーはB面ベストながらも5位の好順位というのは、確実に人気を確保してきている模様。ELTは、デビュー以来、ずっとオリジナルアルバムはベスト3を下回ったことがなかったのに、一気に8位にランクダウン。初動売上も2万枚と、前作の5万4千枚の半分以下。長く人気を保ってきたユニットですが、少々厳しい状況になっています。

最後、9位は、いわゆる3大ギタリストの1人、JEFF BECKの7年ぶりとなるニューアルバム。日本での先行リリースなのですが、日本でもいまだ高い人気を誇ることが証明された結果となりました。

今週のチャートは以上!それでは、また、来週の水曜日に!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年4月 1日 (木)

プラスティック製のビーチ

Title:Plastic Beach
Musician:GORILLAZ

Plastic Beach

デビュー当初の「企画モノ」的な地位から、すっかりと世界的な人気「バンド」になったGORILLAZの3枚目となるオリジナルアルバム。イギリスだけでなく、アメリカでもビルボードチャートで2位にランクインするなど、大ヒットを記録しています。

音楽的には、デーモン・アルバーンの趣味性を強く反映しています。デーモン・アルバーンといえば、「MALI MUSIC」という、アフリカ・マリのミュージシャンとコラボを組んだり、「monkey」では、中国風の音楽に挑戦したりと、ワールドミュージックにも幅広く手を広げる、広い音楽への興味をその活動から見て取れます。

今回のGORILLAZもまた、そんな音楽性の広さを反映した作品に仕上がっていました。

ゲストに、デ・ラ・ソウルやスヌープ・ドッグなどが参加していることからもわかるとおり、HIP HOPの要素も強いのですが、「WHITE FLAG」はどこか東洋風のメロディーが流れ、続く「RHINESTONE EYES」は80年代風のエレクトロポップの要素を感じます。

他にも、ロック、ポップスはもちろん、ソウルやアフリカ音楽、テクノやダブ、さらにはオーケストラを導入するなど、様々な音楽を幅広く取り入れています。ただ、どれもあくまでも取り上げ方は薄く広く。そのため、必要以上にマニアックにならず、ポップにまとめあげているのが、デーモン・アルバーンらしいといったところでしょうか?

このたび、blurの本格的な活動再開がアナウンスされました。グレアム・コクソンとの関係修復が活動再開の大きな理由だと思うのですが、デーモンもGORILLAZで自分の趣味的な部分を自由に表現できるからこそ、ファンから「らしい」音作りを求められるような、blurでの活動を本格的に再開できた・・・のかもしれません。

個人的にblurのファンなので、今後の活動で、GORILLAZでの音楽が、blurにどのように反映されるのか、とても楽しみです。

話がそれてしまいましたが・・・・・・

今回のアルバムのもうひとつの大きな特徴が、そのコンセプチュアルな内容です。

今回のアルバムタイトルになっている「Plastic Beach」は、「地球上のあらゆる大陸から最も遠い場所に位置し、人類が作り出した堆積物と残骸と残滓で形成されている」ビーチだそうで、「SOME KIND OF NATURE」「PLASTIC BEACH」のように、環境問題をテーマにしたような歌詞も見受けられました。

もっとも、様々な音楽性を取り入れ、批評性ある歌詞を書きながらも、全体としてはどこか力の抜けた部分も感じる、ポップな作風に仕上がっていたと思います。上で紹介したミュージシャンの他にも、ルー・リードやモス・デフなど、実に豪華なゲストも参加し、アルバムを盛り上げています。

今年を代表する1枚となりそうな傑作。GORILLAZもblurも、今後の活動から目が離せなさそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Years Of Refusal/Morrissey

YEARS OF REFUSAL

ジャケットがやけにマッチョテイストなのですが(^^;;それだけどこか力強さを感じさせるロックテイストのアルバム・・・と思いきや、メロディーラインなど、実はとても繊細な部分も目立ち、ポップなサウンドを聴かせてくれる作品でした。

評価:★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年3月 | トップページ | 2010年5月 »