東京事変の「金メダル」作品?
Title:スポーツ
Musician:東京事変
このアルバム、ポップスの作品としては文句なしの傑作だと思います。
また、間違いなく東京事変としての最高傑作だとも思います。メンバーの横顔がデザインされた金メダルがジャケット写真になっていますが、この作品は、ジャケット通り、東京事変にとっての「金メダル」といってもいいかもしれません。
全体的にロックテイストの強い作風になっていて、「絶体絶命」や、配信シングルとなった「閃光少女」など、心地よいギターロックを聴かせてくれます。ここらへんは、東京事変の「バンド」としての側面が楽曲によくあらわれている、と言えるかもしれません。
一方で、ソウル風の「FAIR」や「スイートスポット」などは、いわば、ボーカリスト椎名林檎の個性を生かしたナンバーと言えるかもしれません。特に、椎名林檎の魅力がよく出ていたのは、先行シングルにもなった「能動的三分間」。椎名林檎のエロティックな側面を押し出しつつも、ポップソングの標準的な演奏時間ともいえる「3分」で意識的におさめています。ボーカリスト椎名林檎の個性を生かしつつも、あくまでもポップソングであることにこだわる、東京事変の方向性を象徴する作品、と言えるかもしれません。
ただ、このアルバム、間違いなく「傑作」だと思う反面、どうしても、椎名林檎という類まれなる個性を擁しているバンドなだけに、椎名林檎名義の傑作アルバムと比べてしまいます。その結果、やはりあの歴史的名盤「無罪モラトリアム」や、その後の作品と比べると・・・・・・と思ってしまうんです。
だからこそ、東京事変も、前作「娯楽」では、あえて椎名林檎が1曲も作曲せずに、東京事変が椎名林檎ソロとは違うんだよ、ということを押し出そうとした作品をつくったのでしょう。
しかし、本作は、椎名林檎も作曲に参加。むしろ椎名林檎らしさを意図的に押し出して、かつ、椎名林檎という突出した個性を、ポップという枠組みに収めようとした作品に感じました。
まだまだ、椎名林檎ソロの作品と比べると、薄味に感じてしまう点も否めず、まだまだバンド東京事変としてもがいている部分も感じられます。ただ、バンドとしての着実な一歩を進んだ作品だなぁ、とも感じました。
前述の通り、1枚のポップスアルバムとしては、間違いなく傑作。そろそろ、椎名林檎ではなく、東京事変だからこそ作れた作品、というのが出てくる・・・かも??
評価:★★★★★
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コメント
個人的に、何度も試行錯誤を繰り返して、今作でようやく"東京事変"というバンドがスタートした印象を受けました。
同じく今までの彼女たちの中でも1番好きなアルバムです。
"スポーツ"のタイトルの通りに躍動感のあるナンバーが並んでいるし、すごくポップな作品で何度も聴いてしまいます。
なので全体的には林檎さんの"三文ゴシップ"と真逆なアルバムかな~と思いました。その辺りも意識しているんでしょうか。
投稿: 亮 | 2010年3月28日 (日) 03時16分
>亮さん
確かに、ようやくこのアルバムで「東京事変」というバンドがスタートしたのかもしれませんね。まだまだ椎名林檎時代の作品に比べると、薄味な側面は否めませんが、これからに期待したいところです。
「三文ゴシップ」との対比も意識しているのかもしれないですね。今後、椎名林檎としてのアルバムと、東京事変としてのアルバム、上手くバランスさせながら、アルバムをつくっていくのでしょうか?
投稿: ゆういち | 2010年4月 6日 (火) 00時30分