« アイドルにアニソンに演歌に60年代風ロックンロールに・・・ | トップページ | 着うたにしては異例のヒット? »

2010年3月25日 (木)

彼女の本当にやりたいことは?

Title:ポっぷ
Musician:阿部真央

ポっぷ

正直、一応いろいろなアルバムは聴いているのですが、ここまで音楽性がバラバラのアルバムって、なかなかお目にかかれないかもしれません。

いや、先日もちょうど、27曲の音楽性がすべてバラバラっていうアルバムを取り上げましたが、あれはソロの集合体なので・・・(^^;;

基本的には、YUIの2匹目のドジョウを狙ってきたのかな?とも思える、軽快なギターロックがメイン・・・だと思われるのですが・・・。

「モンロー」は、Perfumeを狙ったの?と思うような、エレクトロポップですし、弾き語りの「もうひとつのMY BABY」は、ともすれば長渕剛の方向性。かと思えば、「loving DARLING」は、かわいらしいギターロックといった雰囲気ですし、「わかるの」は、ヘヴィーでノイジーなロックチューンと、見事にバラバラ。

まあ、ただ、1枚のアルバムで、いろいろなタイプの曲に挑戦するのは珍しくありません。でも、彼女のアルバムがバラバラに感じてしまうのって、これに加えて、歌詞や彼女のボーカルも、曲によってバラバラなんですよね。

歌詞は、かわいらしい純愛のラブソングもあれば、女性の本音を歌った曲もあり、かと思えばエロチックな曲もあったり、最後の「サラリーマンの唄」は、サラリーマンの心境を歌っていたり・・・。

ボーカルもまた、高音を生かした、かわいいボーカルの曲から、ドスのきいた(笑)ボーカルまで、こちらも曲によってバラバラ。音楽性が広い・・・といえばほめ言葉なのですが、正直なところ、アルバムの統一感が感じられず、彼女がやりたい音楽は何だろう?とすごく疑問に感じてしまうアルバムでした。

とはいっても、彼女自体は、とても実力のあるミュージシャンだと思うんですよね。確かに、アルバム通してはいまひとつとはいえ、1曲1曲は、壺をついたメロディーに、聴かせる歌詞と、良作揃い。同じクオリティーで、いろいろなタイプの曲を書けちゃうあたり、他の歌手に楽曲を提供する、職業作家タイプのミュージシャン、なのかも?

ボーカルにしても、高音はもちろん、ドスのきいた低音は、とても力があり、ともすれば、声の高いミュージシャンがもてはやされるここ最近、彼女みたいなタイプのボーカリストはとても魅力的に感じました。

彼女の本当にやりたいことは別にあるのか、それとも、こういう「いろいろな曲をやる」ことが彼女の本当にやりたいことかは、このアルバムからはわかりません。ただ、ちょっとアルバムとしてはまとまりがなく感じられました。1曲1曲はいい曲も多かっただけに残念でした。

評価:★★★

|

« アイドルにアニソンに演歌に60年代風ロックンロールに・・・ | トップページ | 着うたにしては異例のヒット? »

アルバムレビュー(邦楽)2010年」カテゴリの記事

コメント

確かにアルバムとしての纏まりは無いですね。
ま、着うたチャートが当たり前、DL販売でアルバムの好きな曲だけ買える、
大量にiPodに放り込んでボタン一つで好きな曲だけ聴く……
なんていう昨今だと、アルバムっていう販売形態が本当にベストなのかどうかっていうのは、
世代間でギャップが出てきてるとも思うんですよね。

アルバムの為に曲を作ってシングルカットするなんて、
アーティストによっては変に窮屈になっちゃう場合もあるでしょうし。
ただ、まあ、やっぱり自分も古い方の人間のようで、アルバム至上主義(?)みたいな感じで、
アルバム形態を重要視してしまうんですけどね。

正直、まだ若いアーティストですから、やりたいことがいっぱいあるんでしょうし、
方向性を決め付けてしまうのも、もったいないですね。

>他の歌手に楽曲を提供する、職業作家タイプのミュージシャン、なのかも?
ああ、確かに。そういう方向も面白そうですね。

投稿: everblue | 2010年3月28日 (日) 14時10分

>everblueさん
確かに、DLがメインになってくるとアルバムの意味も変わってくるのかもしれないですね。flumpoolのアルバムでも感じました。ただ、その点を差し引いてもさすがにチョット…(^^;;まあ、今後の彼女が、どのような道を歩んでいくのか、注目したいところです。

投稿: ゆういち | 2010年4月 6日 (火) 00時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 彼女の本当にやりたいことは?:

« アイドルにアニソンに演歌に60年代風ロックンロールに・・・ | トップページ | 着うたにしては異例のヒット? »