ダウンロード時代のアルバム
Title:What's flumpool?
Musician:flumpool
flumpoolといえば、デビュー前に「花になれ」がKDDIのキャンペーンアーティストに起用され、その後も、デビューしたレーベルが、アミューズとKDDIの合弁会社のレーベルだったり、積極的に配信限定シングルをリリースしたりと、ダウンロードという販売形態と密接に関わっているイメージがあります。まさに、ダウンロード時代のミュージシャン、と言えるかもしれません。
そんな彼らのニューアルバム。収録時間が79分58秒で、「世界最長収録時間」であるという宣伝文句の元に発売されましたが(その記録も、実はもっと長いアルバムがあったことが判明しましたが・・・)、長い収録時間におさめられたアルバムは、まるでシングル曲の集合体のようでした。
基本的にギターロックがメインの作風なのですが、どの曲もサビをしっかり聴かせようとする、ある意味シングル向けの楽曲ばかり。アルバムとしての一体感は薄く、ベストアルバムみたいな作品でした。
ただ彼ら、あくまでもダウンロード主体のミュージシャンということを考えると、これもダウンロード時代のアルバムなのかなぁ・・・と思いました。
要するに、ダウンロードが楽曲販売の主体になると、重要なのはシングル曲。アルバムではなく、シングルが、ミュージシャンの主戦場になってきます。
そしてアルバムは、そんなシングル曲の集合体。ダウンロードが主体になってくれば、自然にアルバムの意味合いもかわってくるのではないでしょうか?flumpoolのこのアルバムは、そんなダウンロード時代のアルバムの姿なのではないでしょうか。
個人的に、アルバムがシングルの集合体になるという方向性は必ずしも否定はしません。確かに、ビートルズ以来、アルバム単位でミュージシャンとしての主張を表現してきたスタイルがなくなってしまうのも寂しさを感じさせます。ただ、アルバムをひとつの作品として聴かせるというスタイルが完全に否定されたわけではありません。そもそも、一番最初は、アルバムはシングルの集合体だったわけで、そう考えると、一回りして昔に戻っただけ・・・そうとも考えられますし。
ただ、このflumpoolのアルバムに関しては、ちょっといまひとつだったかなぁ・・・と思いました。
1曲1曲、それなりのインパクトをもっているのですが、アルバムを聴きおわった後、いまひとつアルバム全体としての印象が薄くなってしまいます。
それはどうもflumpoolとしての個性が、いまひとつ感じられないからなのではないでしょうか?メロディーセンスや楽曲のインパクトに関して、彼らは確実に実力を持っていると思います。ただ、数多くいるギターロックバンドの中で、flumpoolだけが飛びぬけて持っているものは何か、と考えると、いまひとつ、個性を感じられません。
なんとなく、全曲があきらかに「売り」狙いで、個性が薄くなってしまっているような印象も受けるんですよね。もうちょっと突き抜けてほしいものも感じるのですが・・・いろいろな意味で惜しい部分を感じさせるアルバムでした。
評価:★★★
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