たどり着いたのは、北欧の小島
Title:eyja
Musician:原田知世
原田知世の2年ぶりとなるアルバムは、たどり着くべきところにたどり着いた傑作アルバムでした。
本作がレコーディングされたのは、北欧の小島、アイスランド。このアルバムのタイトル「eyja」も、アイスランド語で「島」を意味するそうです。
最近は、金融危機の影響をダイレクトに受けた国としてニュースにもよく取り上げられるアイスランドですが、音楽ファンにはご存知の通り、ビョークをはじめ、シガーロスやmumなど、独特なミュージシャンを数多く輩出している国でもあります。
そんなアイスランドの空気を存分に取り込んだのが今回のアルバム。「ハーモニー」や「夢のゆりかご」など、澄み切った音が魅力的で、どこか幻想的な雰囲気は、まるで北欧の森の中の湖のほとりで流れてくるような音楽のよう・・・。
今回の作品では、なんと、mumも楽曲を提供しています。彼らが提供した「us」や「予感」もとても魅力的。「us」は、静かなアコースティックギターの音色が魅力的な、幻想的なナンバー。「予感」はシンプルなストリングスの音が、幻想的な雰囲気と不気味な雰囲気を与えている不思議なポップスナンバー。彼女の声にもピッタリマッチしていて、ついつい聴き込んでしまいます。
他にも、ビョークへの楽曲提供でも知られるヴァルゲイル・シグルドソンの「marmalade」や、細野晴臣提供の「ソバカス」など、様々なミュージシャンが参加していることでも話題の作品。
そんな豪華な作家陣に勝るとも劣らなかったのが、プロデューサー伊藤ゴローの仕事ぶりでしょう。個性の強い作家陣をしっかりとまとめあげ、原田知世とアイスランドの音楽の橋渡しを見事果たしています。本人提供の作品もまた、北欧の雰囲気をきちんと醸し出しながら、原田知世の魅力を存分に表現させています。
彼女の魅力が存分に発揮されている傑作アルバム。遠い北欧の情景が、目に浮かんでくるような、そんな作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
勤労ロードショー/ユニコーン
ユーモラスなタイトルも秀逸な、ユニコーンのライブアルバム。ライブの空気感や迫力は、CDを通してもしっかりと伝わってきます。ライブバンドとしての彼らの実力を感じさせると同時に、一番感じたのは、彼らの現役感。若手バンドに全く負けない、「今のロックバンド」としての新鮮さをしっかりと感じさせてくれます。この調子なら、まだまだ傑作アルバムをリリースしてくれそう・・・。
評価:★★★★★
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