幅広いミュージシャンが参加
Title:THIS IS FOR YOU~THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM
Musician:THE YELLOW MONKEY
90年代の日本のロックシーンの中、独特の個性を放ち、圧倒的な人気を誇ったロックバンドTHE YELLOW MONKEY。2004年に惜しまれつつ解散したものの、その後もいまだに高い人気を誇っています。
そんな彼らの、結成20周年を記念してリリースされたのが、このトリビュートアルバム。数多くのミュージシャンが参加しているのですが、その参加ミュージシャンの幅広さが、THE YELLOW MONKEYというバンドがシーンに与えた影響の大きさを物語っています。
TRICERATOPSやTHE BACK HORNといったオルタナ系ロックバンドから、奥田民生、あがた森魚といったベテラン、9mm Parabellum Bulletにtacicaといった、最近、人気上昇中の若手バンドに、秦基博のようなシンガーソングライター、さらにはビジュアル系バンドのムックや、KREVAのようなHIP HOP勢、俳優の山田孝之、さらには、先日、ボーカルの志村正彦が急逝し、シーンに衝撃の走ったフジファブリックも参加しています。
そんな様々なミュージシャンのカバーは、TRICERATOPSの「JAM」のように、原曲そのまま、といったカバーから、THE BACK HORNの「球根」のように、原曲のイメージを生かしながら、バンドとしての個性を出してきたカバー、metalmouseの「SHOCK HEARTS」のような、原曲を大幅にリアレンジしてきた曲など、様々でした。
どの曲も、それなりにイエモンの曲の良さを生かしつつ、よく出来たカバーには仕上げていて、大はずれ、というカバーはなかったのですが・・・ただ、一方で、ちょっと物足りなさも感じました。
というのも、THE YELLOW MONKEYというバンドは、ロックバンドとしてのダイナミズムや尖った部分を持ちながらも、一方では、歌謡曲風の泥臭さや、誤解をおそれずにいえば、ある種のいかがわしさをあわせ持っていたバンド。そんないかがわしさが、ちょうどよいスパイスとなり、楽曲にたまらない魅力を与えてくれていました。
そういう怪しさがあふれていた曲に対して、カバーは、いずれもちょっときれいにまとめすぎている感じがしてしまいました・・・。そういう意味で、原曲に比べて、少々物足りなさも感じてしまったのも事実。あらためて、THE YELLOW MONKEYというバンドが、唯一無二のバンドなんだなぁ、ということを実感させられたトリビュートアルバムでした。
ただ、そんな中でも比較的気に入ったのが、あがた森魚の「4000粒の恋の唄」のカバー。アコーディオンを使った、あがた森魚らしい、レトロな雰囲気あふれるカバーは、やはりイエモンとおなじく怪しい魅力をはなっていて、不思議な感覚を覚えるカバーになっていました。
駄作ではなので、参加ミュージシャンのファンは聴いてみても損はないかも・・・。ただ、THE YELLOW MONKEY、再結成してくれないかなぁ。あらためて、彼らの偉大さを感じました。
評価:★★★★
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