洋楽と邦楽の境目
Title:Luminous Halo~燦然と輝く光彩~
Musician:Port of Notes
Port of Notes、5年ぶりとなるニューアルバム。
かなり久しぶりに聴いた彼女たちの音楽。ボサノヴァやソウルなどを楽曲に取り込んで、おしゃれなポップソングをつむいでいる彼女たちなのですが、このアルバムを聴いた時に感じたのは、なんか、歌謡曲っぽいなぁ、ということでした。
といっても、それはメロディーがベタでつまらない、とかそういう意味ではありません。確かに、彼女たちの音楽からは、様々な音楽性を感じます。しかし、哀愁たっぷりのメロディーラインは、どこか古き良き歌謡曲から感じられる雰囲気にも通じるものがあり、日本人の心の壺をそっと押してくるようなメロディーを聴かせてくれます。
例えば「甘い理由」にしても、ジャジーな雰囲気を持つ「残響」にしても、そのメロディーはどこか歌謡曲的。日本人の耳になじむような、懐かしさを感じさせるメロディーラインを楽しませてくれます。
ただ、そうとはいっても彼女たちの音楽には、センスのよい、洋楽風の雰囲気も感じてとれます。しかし、考えてみれば、歌謡曲といっても、もともとは欧米のポップスが、日本のシーンにマッチするように味付けされた音楽。どうしても「歌謡曲」というと、日本の音楽であって、洋楽からは程遠いというイメージが持たれているかもしれませんが、本当は、もっと近いものなのかもしれないですね。彼女たちの音楽は、いわばそんな邦楽と洋楽の境目。洋楽的なスタイリッシュさと、邦楽的なウィットさが同居した、そんな音楽のように感じました。
もっとも一方では、ジャジーな「残響」もそうなのですが、レゲエ風の「真夏の眩暈」や、西洋民謡の色合いが強く感じられる「If you were coming in the fall」など、「歌謡曲」などの幅を超えた、幅広い音楽性も感じられます。
しかし、どの曲にも共通しているのが、ボーカル畠山美由紀の包容力あるボーカルに、暖かいオーガニックテイストのサウンド、そしてポップなメロディー。ちょっと陳腐な言い方では、まさに「大人のポップス」という表現がふさわしい名曲をたうさん聴かせてくれる作品でした。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2010年」カテゴリの記事
- ネット配信の可能性と疑念(2011.01.05)
- 歌詞はひいてしまう人もいるかも・・・。(2011.01.03)
- 2人の主人公を軸に進む物語(2011.01.02)
- アメリカの香りが(2010.12.30)
- アバンギャルド(?)なポップスバンド(2010.12.28)
コメント