メジャーになっても以前と変わらず
Title:paratroop
Musician:sleepy.ab
ちょっと不気味さも感じる幻想的なジャケット写真が印象的ですが、楽曲も、浮遊感のある、不思議な感触のサウンドが特徴的。ちょっとダビーな雰囲気は、Fishmansか、あるいはPolaris(最近、どうしたんだろう・・・)に近い雰囲気を持っています。
ただ、彼らがおもしろいのは、サウンドは一般的なヒットチャートからかけ離れた独特の音を出している一方、メロディーラインは一般層のリスナーにも十分受け入れられるポップチューンであるという点でしょう。もっとも、ポップなメロディーといっても、どこか癖があります。あえていえば、Fishmas meets スピッツといった感じでしょうか?
そんな浮遊感と、リスナーをつつみ込むような柔らかい雰囲気を持つサウンドと、ポップなメロディーラインは、知らず知らずのうちに、リスナーを引きこませます。このアルバムも、決してフックの効いたインパクトのあるメロディーという訳ではないのですが、知らず知らず聴きこんでしまう魅力がありました。
このアルバムでも、優しくもしっかり聴かせるメロディーが(ちょっとスピッツっぽいんですが)印象的な「ドミノ」や、恋人との別れを描いた歌詞が切なく、彼らのサウンドにピッタリとはまる「メロウ」など、彼ららしさを発揮した名曲も多く収録されています。
一方で「flee」や「インソムニア」などは、ヘヴィーなギターサウンドを聴かせてくれる、いつになくロックなナンバー。sleepy.abのさらなる音楽性の広がりを感じさせます。
まだまだ注目度は、一部の音楽ファンにとどまっている面が強いのですが、音楽ファンという狭い範囲ではなく、もっともっとファン層を広げられそうなバンドです。今後の動向が楽しみです。
評価:★★★★★
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