アルバムレビュー(邦楽)2009年

2009年12月29日 (火)

ハードなバンドサウンド

Title:4 ALL AGES
Musician:SHAKALABBITS

4 ALL AGES

SHAKALABBITSの新作は、いわゆるB面ベスト。シングルのカップリングなどで収録されていた曲で、アルバム未収録だった曲をまとめた企画盤です。

SHAKALABBITSっていうと、おそらく一般的には、ヒットした「STAND BY YOU!!」のような、軽快なスカパンクというイメージが強いかもしれません。ただ、その一方、ここ最近のアルバムを聴くと、スカパンク色が薄れ、かなりヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるハードロック志向が強くなっているように感じます。

そういうここ最近の流れからすると、このアルバムが、かなりハードなバンドサウンドを聴かせる作品ということは納得といった感じでしょう。

曲によっては、スカのリズムなどが取り入れられていて、スカの影響を受けたことはわかるのですが、アルバム全体的にはヘヴィーなサウンドが目立ち、かなりストレートなハードロックテイストに仕上がっています。

もちろん、初期から続く、ポップなメロディーや軽快なリズムも随所に目立ち、全体的にはポップな作風にまとまっています。ほどよくハードなサウンドとポップなメロディーのバランスは、多くのリスナーの壺にはまりそうなバランスの良さを感じました。

ちょっと意外だったのは、例えば「WHAT DO THEY THINK...?」「SWISS MAMMY」も、基本、軽快なスカパンクなのですが、意外とバンドサウンドにヘヴィーさを感じるということ。今回、全曲リミックス+リマスタリングされたということで、その過程で少々雰囲気が変化したのでしょうか?それとも、私が把握していなかっただけで、初期からバンドサウンドは意外とヘヴィーなものを持っていたということなのでしょうか?

ただ、残念だったのは、作風がちょっと似た感じの曲が多かったという点。もうちょっとバリエーションがあれば、もっともっと大きなヒットを飛ばせそうなバンドなんですけどね。その点だけは、ちょっと残念でした。

評価:★★★★

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2009年12月28日 (月)

日本から世界へ???

Title:DELICIOUS JAPANESE
Musician:TERIYAKI BOYZ

DELICIOUS JAPANESE(DVD付)

TERIYAKI BOYZの新アイテムは、DJ Mix盤+ライブの模様を収録した、DVDがセットになったアイテム。いわばファン向けの作品なのですが、ただし、DJ Mix盤には、なんとJay-Zが参加した新曲が収録されていたり、Kool Keithを迎えたリミックスが収録されていたりと、かなりの豪華な内容になっています。

Amazonのレビューを見ると、「ビリオネイアの道楽」と書いて酷評されている方がいますが、本当に、ビリオネイアの道楽だよなぁ(笑)。ただ、例えばバロック期のクラッシック音楽が、いわば一部のパトロンに支えられたように、芸術というのはえてして一部の金持ちの道楽から発展する部分もあるので、ビリオネイアの道楽も決して否定はできないとは思うのですが。

ただ、Jay-Z参加の新曲にしても、Kool Keithのリミックスにしても、「おお、これが今の本場の音かぁ」という印象も薄く、やっつけとまでは言わないまでも、やはり遠い辺境の地の金持ちからの依頼による、単なるお小遣い稼ぎ・・・といった感じなのかなぁ?あまり強い印象は受けませんでした。

DVDの方は、「DO YOU LIKE JAPAN?TOUR」のファイナル公演を収録した内容。ヒップホップ系のライブって、楽器を弾いていれば様になるロックバンドのライブと異なって、それなりにエンタテイメントに走らないと、いまひとつ地味な雰囲気になってしまうのですが、それはさすが、エンタテイメント性にあふれ、とても楽しそうな雰囲気が伝わってくるようなステージになっていました。

まあ、ただ、ドキュメンタリーの方は、あくまでもファン向けかな?

全体的に、やはりファンズアイテムという要素が強く、5,000円近い値段も考えると、ファン以外にお勧めするのは厳しいかも。って、ファン向けにしても、アルバムのおまけとして、DVDが普通についてくるような今、この内容で5,000円はちょっとないんじゃないかな?純粋に内容だけ評価すれば★4つだけども、値段の高さに、★ひとつマイナスで。

評価:★★★

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2009年12月27日 (日)

間口は広く

Title:Ghost Apple
Musician:People In The Box

Ghost Apple

このアルバムを、最初に気になったのは、レコード店の店頭でした。注目のミュージシャンとしてディスプレイされており、さらにレコード会社はte'や、9mm Parabellum Bulletなどが所属している残響レコード。以前から名前だけは知っていたのですが、このアルバムをはじめて聴いてみることにしました。

しかし、最初にサラッと聴いた雰囲気では、かなりポップなバンドだな、というイメージを抱いてしまいました。特に「月曜日/無菌室」「日曜日/浴室」あたりは、BUMP OF CHICKENあたりを思い出すようなポップなギターロックで、正直、ちょっと期待していた雰囲気とは違うかな?とすら思ってしまいました。

ところが、しっかり聴くと、その思い込みが大きな誤解であることに気がつきました。

まずリズム。パッと聴いた感じ、ポップな雰囲気を出していながらも、変拍子を多用することによって、奇妙なリズム感覚と、それに伴う不思議な楽曲の雰囲気をかもしだしています。聴いていて、ちょっと不安定な、微妙な感覚を覚えながらも、聴いていて癖になるようなリズムがとてもおもしろく感じられます。

サウンドも、シューゲイザー風のノイジーなギターサウンドを入れてきたり、アコギの音などを用いて、ちょっと神秘的な雰囲気を出してきたり。聴きこめば聴きこむほど、癖になりそうな音の世界が楽しめます。どこかシガーロスとかその近辺の影響も感じられました。

そして、やはり特筆するのは歌詞の世界でしょう。波多野裕文の書く歌詞は、抽象的ながらも文学的。人によって解釈がいろいろとわかれそうな、意味深で、雰囲気のある歌詞がとても耳を惹きつけられました。

今回の作品では、「Ghost Apple」というタイトルからして、歌詞によく「神様」の存在があらわれていました。

「このクラブのリーダーは神ではないのさ」
(「水曜日/無菌室」より)

「まったく神様のしつけがなってないな」
(「木曜日/寝室」より)

のように、どこか、神様みたいな、絶対的な存在の前であらがう男女の姿を描いたような、個人的には、そんな印象を受けた歌詞の世界でした。

彼らの音楽、いわば間口は広いものの、奥行きが深く、一度入り込むと、ズブズブとはまってしまう、そんな音を奏でています。今回の作品がメジャーデビュー作なのですが、これからが本当に楽しみなバンド。これから、ますます注目を集めていきそうな予感がします。お勧めです。

評価:★★★★★

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2009年12月25日 (金)

バランス感覚の良さ

Title:MAGIC
Musician:B'z

MAGIC(通常盤)

個人的に、B'zをはじめて聴いたのは中学生の頃。ヒットしていた「LADY NAVIGATION」が一番最初で、既にその頃からシングルをリリースすれば1位という人気を確保していました。

それから20年。いまだにシングルもアルバムもリリースすれば1位を獲得するという、驚異的な人気を確保している彼らです。

彼らがそれだけ長い間、人気を保っているのって、純粋に楽曲の良さとか言う話もあるのかもしれませんが、それ以上に、ファンがB'zに期待するような楽曲を、期待を裏切らず、きちんとリリースしているという点が大きいような印象を受けます。

しかし、一方では、今風の音を取り入れたアルバムをつくってみたりと、あくまでもB'zというイメージの中で振れ幅のあるアルバムもリリースしたりし、マンネリさを回避につつ、また、実に「B'zらしい」アルバムをつくってくる、ここらへんのバランス感覚の良さが、彼らの人気が長続きしている理由ではないでしょうか。

で、今回の新作は、また、とても「B'zらしさ」を感じさせる作品でした。

まず、シングルにもなった「DIVE」が、実に彼ららしさを象徴している作品といえるでしょう。

そのサビに歌詞は・・・

「ラララ 何ひとつ決めずに
ラララ セキララに DIVE
ラララ キミと手をつないで
ラララ アケスケに DIVE
こんなんじゃいやだもん」

(「DIVE」より 作詞 稲葉浩志)

なんか、これだけ書き出すと、メロディアスなギタポバンドの歌詞みたいです。こんなポップな歌詞にのせるサウンドは、ストレートでヘヴィーなハードロックナンバー。この絶妙なバランスが彼ららしいし、ハードなギターサウンドは好きだけど、ともすればマッチョ方面に走りがちなメタルやハードロックの世界には抵抗がある・・・というリスナー層を取り込んでいるのではないでしょうか。

同じ「Time Flies」もハードロックなナンバーが続くと思えば、逆に「イチブトゼンブ」は、かなりポップな雰囲気のナンバー。また、「TINY DROPS」はさりげなくブルージーなギターを入れてくるあたりが、ちょっと洋楽的な匂いを感じさせ、こちらもファンをひきつける要素のひとつでしょうか?

正直言うと、「DIVE」「Tim Flies」あたりの流れからは、もっと純粋にハードでカッコいいナンバーが続くのかと思っていたのですが、後半あたりはちょっとダレてしまった印象も。

きちんとB'zファンの求める要素を取り入れた作品になっていた一方、少々マンネリ気味な点も否めませんでした。そういう意味では、ちょっとファン向けかな?と思いつつ、その一方で、ファンなら満足のいく作品であったかも、と思うようなアルバムだったと思います。

よくも悪くもB'zらしさが出ていた、とてもバランス感覚の良い作品でした。

評価:★★★★

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2009年12月24日 (木)

直系ガレージパンク!

Title:All de Fashion
Musician:黒猫チェルシー

All de Fashion(オール・ド・ファッション)

時々、日本のロックシーンに出てきては、話題になりそうな、ストレートな直球のガレージパンクバンド。

最近、雑誌などでよく名前を聴くようになった彼ら。ちょっとオールドスタイルな雰囲気を感じさせるジャケット写真もいいですし、「黒猫チェルシー」という、かわいらしくもどこかひねりを感じさせるバンド名も、センスを感じさせます。

曲も、1曲目「スピーカー」からいきなりハードなギターリフが心地よいガレージパンクサウンドが炸裂。その後も「廃人のロックンロール」や、ミディアムテンポの「毛にからまって」も、ヘヴィーなギターリフが心地よいロックンロールな作品になっています。

ただ、個人的に、このアルバムを1枚聴いて、どこか違和感を覚えました。

それは決してネガティブな意味ではなく・・・それは、感覚先行で、単純に初期衝動をサウンドに載せているのとは、どこか異なるウィットさを、このバンドから感じたからです。

例えば、どこかGS風の匂いを感じる「ショートパンツ」のような、どこか60年代70年代の雰囲気をパロディー化しているような曲の作り方といい、ユーモアさと独特の世界観を感じさせる歌詞といい、決して初期衝動だけではおさまらない、プラスアルファを感じさせてくれます。

そういうことを考えながら聴くと、渡辺大知のボーカルも、熱狂的なシャウトの中、どこか醒めたような部分も感じられて、とても魅力的に感じました。特にミドリのボーカル後藤まりことのデゥオとなる「南京錠の件」は、強烈な2人のボーカルがぶつかりあい、このアルバムの中でも、特に強烈なインパクトを持ったナンバーに仕上がっています。

まだまだ若さを感じさせるバンドなのは事実だけど、今後がおもしろくなりそうな予感もします。大傑作!というレベルではないのですが、これから先が楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★

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2009年12月22日 (火)

端正なボーカルがマイナス?

Title:PARADOX PARADE
Musician:a flood of circle

PARADOX PARADE

1曲目「博士の異常な愛情」に関しては文句なしにカッコいい!!へヴィーなバンドサウンドに、ちょっとファンキーなリズムを取り入れたハードロック路線は、a flood of circleの成長を感じさせる作品だったのですが・・・。

その後の作品については、アップテンポでポップな作風が多く、例えて言えば、売れ線のビートロックみたいな雰囲気の作品が並んでいました。

ガレージやハードロックをベースとしたバンドサウンドは、随所随所に光るものがあるのですが、それに対して、歌謡ロックだと映えそうな、端正なボーカルが、彼らのサウンドだと、逆にマイナスに働いてしまったかも。

全体的に聴きやすくポップ。ヒットポテンシャルがある、という表現になるかもしれないのですが、以前の作品から感じた、彼らの目指す方向からすると、少々物足りなさも覚える作品でした。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

anthem/DOPING PANDA

anthem(DVD付)

5曲入りのミニアルバム。表題曲は、ドーパンで、タイトルが「anthem」といえば、バキバキのダンスチューン・・・かと思いきや、ちょっと地味な聴かせるポップスでした。

5曲の作品が、それぞれの顔を持った作風で、完全生産限定のミニアルバムということもあって、新たなドーパンのスタイルを模索した作品になっています。バキバキに音数を増やしたダンスチューンというよりも、シンプルながらもユニークな音を入れてくるダンスチューンが多く、ドーパンの新たな一歩を感じれます。

ただ、ポピュラリティーという面ではいまひとつ。ここらへん、もっと実験性とポップを結び付けられれば、一気にブレイクしそうな感じがするのですが・・・そこらへんが彼らの弱点といったところでしょうか?いい作品だと思うのですが、ちょっとファン向けかも。

評価:★★★★

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2009年12月21日 (月)

友人にお勧めしやすい1枚

Title:I Got Rhythm?
Musician:大橋トリオ

I Got Rhythm?

前作「A BIRD」の紹介のところでも書いたのですが、ちょうど1年前に発売されたアルバム「THIS IS MUSIC」が、第1回CDショップ大賞の準大賞を受賞した彼。大賞の相対性理論や、同じく準大賞を受賞したPerfumeに比べると、その注目度の面では一歩劣る感がします。ただ、「CDショップ店員が選んだ売りたい、聴かせたい作品」という意味では、一番、広い層に薦めやすいミュージシャンではないでしょうか。

例えば、好きな子に「普段、何聴いているの?」と聞かれた時に、一番、CDを貸しやすいミュージシャンとでもいうべきでしょうか(笑)。

相対性理論は、ある種の癖が強いミュージシャンですし、Perfumeはやはり世間一般的にはアイドル。「音楽性が評価されているんだよ」と熱弁したところで、思いっきり引かれかねません。

それに対して大橋トリオは、ジャズ、ボサノヴァ、シティーポップなどの要素を上手く取り入れ、かつ、あくまでもポップにまとめあげていて、無駄なスノッブ臭は感じません。

少なくとも、お勧めとして彼の音楽を聴かせたら、はまるはまらない、社交辞令か否かは別として、10人中10人「いい音楽だね」と感想を返してくれそうな、そんな作品を聴かせてくれます。

前作からわずか半年でリリースされた彼の新作「I Got Rhythm?」は、そんな彼のセンスの良さが、さらに光る作品に仕上がっていました。

明るく、爽やかなピアノのリズムが全編にちりばめられているポップなナンバー。ストリングスやアコースティックギターが、爽やかな音楽に彩りを与えています。ジャズの要素も強く、「Here To Stay」「EMERALD」のピアノには、ちょっとジャジーな雰囲気も感じますが、ジャズはあくまでも彼の音楽性を底辺で支えている「出汁」のような存在。必要以上に主張することなく、ジャジーと言われるイメージは薄く、あくまでもポップミュージックとしてまとめあげています。

今回の作品は「ダンス」をテーマとしたそうです。確かに、「sing,sing」みたいに、軽快なピアノを聴かせてくれるナンバーも多く、「VOODOO」みたいな、ちょっとファンキーな雰囲気も感じられる曲もあり、ライブ栄えがしそうな曲も多く収録していました。

本人はインタビューなどで「大橋トリオとダンスというイメージのギャップがおもしろいかなと思って作った」といっているのですが、ただ、軽快なピアノを聴かせてくれる大橋トリオの楽曲とダンスの相性は意外と良いのでは?そうも感じることの出来るアルバムでした。

もちろん後半では「ここにあるから」「僕と月のワルツ」のような、しっとり聴かせるナンバーも収録されています。ここらへんのバランス感覚の良さとポピュラーセンスをもってすれば、もっともっとヒットを飛ばせそうなミュージシャンなんだけどなぁ。

いい意味で、より垢抜けたような印象も受けた作品。前述の通り、「CDショップ大賞」の受賞組では、ちょっと遅れをとった彼ですが、これからの飛躍が期待できそうです。

評価:★★★★★

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2009年12月20日 (日)

プライベートなカバー盤

Title:Sings
Musician:曽我部恵一

Sings

曽我部恵一名義としては約2年ぶりとなるニューアルバムは、アコースティックなライブ盤。以前行われたソロライブの会場でのみ販売されていたのですが、このたび、ファンの要望に答え、全国流通という形で再発売された作品です。

とにかくプライベート色の色濃い作品で、深夜の事務所で、テープレコーダーに録音された作品だとか。そのため、周りの雑音もそのまま収録されている、手作り感のある作品になります。

曽我部恵一としてのソロ活動をはじめてからの彼は、どうも内輪でガヤガヤ楽しんでいるような、内向きな作品が多く、楽しそうに演っているのはわかるけど、どうもいまひとつの作品が多い・・・ということは、以前からこのサイトでも何度か書いていました。

そういう観点からすると、このアルバムは究極に内向きな作品。完全に手作りな作品な上、ライブ会場のみで販売されたアルバム。ある意味、「売れる」ということを完全に無視したような作品です。

ところが、これが予想に反して、素晴らしい出来でした。それは、原曲のメロディーと歌詞の良さをシンプルに導き出した、アコースティックなアレンジだったり、曽我部恵一の優しい歌声だったり・・・そういう要素が傑作を導き出した大きな理由なのは間違いありません。

しかし、それに加えて、選曲も、このアルバムを傑作にした大きな理由のような気がします。

このアルバムの選曲、必要以上にマニアックにならず、時として、とてもベタな選曲をしています。

そもそも、The Beatlesの「Yesterday」をカバーしているあたり、逆に勇気のいる選曲かも・・・。他にも「Like A Virgin」「Stand By Me」など、洋楽を聴かない人でも知っているような、スタンダードナンバーのカバーにも挑戦しています。

個人的にはThe Velvet Undergroundや、Pixiesをカバーしていることがうれしかったのですが、The Velvet Undergroundにしても「Sunday Morning」という、あのバナナジャケットで有名な「The Velvet Underground&Nico」の1曲目を飾る曲だし、Pixiesにしても「Here Comes You Man」という代表曲。で、このPixiesのカバーもまた、アコースティックなカバーが、メロディーの良さをシンプルに引き出していて、とてもよかったなぁ・・・。

確かに、GALAXY 500やらジャックスやら、決してメジャーのど真ん中というミュージシャンではないのですが、いずれの曲も名曲揃い。それをシンプルに、曲の良さを最大限引き出したカバーは、絶品・・・というよりも、素朴な味のするお味噌汁のようなカバー。派手さはないけど、飽きの来ない、素敵なカバーアルバムでした。

評価:★★★★★

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2009年12月19日 (土)

伝説のミュージシャン

Title:俺たちに明日はない
Musician:頭脳警察

俺たちに明日はない

ロック=反権力、という、既に使い古されたような図式があります。

欧米では、RAGE AGAINST THE MACHINEのように、明確に「反権力」を打ち出しているバンドもいますし、また、かなり多くのバンドが積極的に政治的な発言を行うように、ロック=反権力という図式は、いまなお有効なように思われます。

ところが日本では、このロック=反権力という図式は、あまり当てはまりません。日本と欧米の、政治に関わるスタンスの違いもあるのかもしれませんが、日本のミュージシャンで政治的な発言をするミュージシャンは(ソウル・フラワー・ユニオンみたいな一部のバンドをのぞいては)ほとんどいません。あげくの果てには、ロックバンドと名乗るミュージシャンが「友達を大切にしよう」だの「親を大事にしよう」だの、道徳の教科書のようなことを歌いだす始末。

そんな日本でも、デビュー以来、強烈な「反権力」のスタンスを貫き、「伝説のバンド」とも呼ばれたミュージシャンがいます。頭脳警察。かなりインパクトのある名前ですが、フランク・ザッパの曲のタイトルからバンド名を拝借したこのバンドは、3億円事件の犯人モンタージュ写真をジャケットにしたデビューアルバムが、政治的な理由から発売中止になり、大きな話題を呼びました。

1975年に解散後、なんどか再結成を繰り返した彼ら。そしてこのたび発売された約18年ぶりとなるニューアルバムが本作です。

偉そうに語っておいて何なのですが、頭脳警察に関しては、再発売された話題のデビューアルバムだけが、私のCDラックの中に並んでいました。「赤軍兵士の詩」やら「銃をとれ」やら、あまりにも時代性を感じさせる政治的な歌詞が強烈的。ただ、その一方で、時代に寄り添いすぎた歌詞は、21世紀の今聴くと、違和感を覚えますし、おそらく、共感を覚えるという方は少ないのではないでしょうか。

例えばはっぴいえんどやフラワー・トラベリン・バンド、あるいは村八分などといった、日本ロックの黎明期で「伝説」と呼ばれるようなバンドの作品が、いまなお普遍的な魅力を放っているのと対象的に、彼らのデビュー作は決して「時代を超えた普遍的な傑作」ではありません。

しかし、時代に寄り添うというのもまた、ポピュラーソングの大きな魅力なのは間違いないでしょう。

さて、そう考えると今回の作品。あいかわらず「反権力」というスタンスが貫かれているのが彼ららしいところ。ここらへん、デビューから40年近くたつのに、そのスタンスは全くかわっていません。ただし、今回の作品でアンチの対象となっているのは、マスメディアやら社会全般やら、もっと広く抽象的な対象。「時代に寄り添う」という感覚はちょっと薄まっています。

ただし、その歯に衣着せぬ歌詞の数々は相変わらず。ロック=反権力は使い古された、と冒頭に書いたものの、やはり世の中のタブーに果敢に挑戦しようとするスタイルは、純粋なカッコよさを感じます。ジャケットも、見るからに悪そうなおやじ2人組なだけに(笑)、アウトロー的な魅力を放っています。

そして、頭脳警察の魅力って、単純な反権力じゃなくて、どこか歌詞にユーモアが混ざっていることなのではないでしょうか。このアルバムも、「死んだら殺すぞ」やら「ヒトを喰った話」やら、タイトルもどこかユーモラス。権力に対して真正面からこぶしを振り上げて反抗するのではなく、どこか斜めから皮肉めいて攻撃するスタイルが、単純な反権力ではなく、反権力をロックというエンタテイメントに昇華させているのでしょう。

さて、これだけ反権力、反権力といいながら、さて、CDを聴いてみようと実際にアンプのプレイボタンを押すと、あまりにポップなメロディーにビックリするのではないでしょうか。正直、もっとパンキッシュな作品を予想していた私も、彼らの作品を最初に聴いた時、意外に端正な作風に、ちょっと驚かされました。

ただ、シンプルなメロディーとサウンドなだけに、より歌詞の凶暴さが際立つのかなぁ。もちろん、そのポップなメロディーもなにげにインパクトが強くて魅力的。「頭脳警察1」の頃と大きく変化はないのに、歌詞と違ってメロディーは、時代を超えた普遍性を持っています。これもやはり彼らの大きな魅力でしょうか?

最後に。ちょっとビックリしたこと。ドラムスがLINDBERGの小柳"Cherry"昌法だったこと(笑)。かなり意外な組み合わせにビックリしました。

評価:★★★★

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2009年12月18日 (金)

キリンジ×1/2

Title:River
Musician:馬の骨

River

ミュージシャンの名前としてはかなり突飛に思えるのですが・・・「馬の骨」の約4年ぶりとなるニューアルバム。って、ご存知の通り、キリンジの弟、堀込泰行によるソロユニットです。

キリンジとしても、良質なソフトロックの名曲を数多く手がけてきた彼。それだけに、このソロアルバムも、そんな「大人のポップス」とでもいうべきでしょうか、良質なポップソングが数多く収録されています。

アコースティックテイストなソフトロック「Fine day」からはじまり、馬の骨流クリスマスソング「Carol」は、とても鐘の音がかわいらしい逸品。アコーディオンの音色がちょっと悲しげな「遠い季節」や、のんびりと聴かせる「River」をはさみ、ラストは「To Be Continued」。明るい雰囲気で終わるこの曲は、馬の骨としての活動が、今後も続くであろうことを示唆している・・・ということでしょうか??

そんな良質なポップソング揃いの作品なのですが、正直、ちょっと物足りなさも覚えました。

キリンジの場合、堀込泰行のポップソングに挟まって、兄堀込高樹の、ファンタジックながらも口語文を多用する、独特の歌詞の世界が繰り広げられるポップソングが入ってくるわけです。

そういう2人の個性のぶつかりあいが、キリンジの曲のバリエーションを広げていたのですが、正直、このアルバムは、そんなキリンジに比べてしまうと、ちょっと物足りない。結局「キリンジ×1/2」なのかなあ、ということを感じてしまいました。

もちろん、1枚のポップスアルバムとしてはクオリティーの高い作品なのは間違いないと思います。ただ、これならキリンジとしての新作を早く聴きたかったかも。

大人向けのポップスアルバムとして、お勧めはできる作品だと思います。でも、次はキリンジとして、是非。

評価:★★★★

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