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2009年12月13日 (日)

絶滅危惧種??(笑)

Title:STRAWBERRIES AND CREAM
Musician:カジヒデキ

STRAWBERRIES AND CREAM

映画だったりサントラだったりで、このサイトでも時々登場する漫画「デトロイト・メタル・シティ」。その漫画の主人公がこよなく愛し、かつ、主人公のバンド「デトロイト・メタル・シティ」の音楽、デスメタルの対極として登場するのが、「おしゃれなポップス」。具体的には、スウェーディッシュ・ポップや、渋谷系のギターポップがその代表格として登場してきます。

ただ、実際には、現在、この漫画の中で登場するような、典型的な「おしゃれなポップスバンド」というのは、ほとんど絶滅寸前となっています。主人公が熱烈なファンである、として登場してくるカヒミ・カリィにしても、ここ最近では、おしゃれなポップスサウンドからどんどん離れて、独自の世界を構築してきています。

そんな中、今なお愚直に、おしゃれでポップなスウェーディッシュ・ポップ路線を追及するのが彼、カジヒデキ。「デトロイト・メタル・シティ」の主人公、根岸崇一の壺にピッタリはまりそうな、スウェーディッシュ・ポップスを、このアルバムでも奏で続けています。

このアルバムでも、「ミニスカート」「パッション・フルーツ」など、冒頭から、いかにもなギターポップス路線でスタート。キュートでポップなメロディーと、かわいらしい歌詞の世界は、今回のアルバムでも健在です。

スカ風のリズムを取り入れた「泡いっぱいの恋の中」や、ダンサナブルな「明日は明日の風が吹け」など、それなりのバリエーションを取り入れてはいますが、基本的には、王道のスウェーディッシュ・ポップ路線が続く作品。ある種のマンネリ気味である点も否めないのですが、これだけ愚直に、好きな音楽を演り続けるという彼には、ある種の敬意も感じてしまいます。

もちろん、昔と同じ、という訳ではなく、それなりに大人のカジヒデキも感じられ、勢いだけではない、安定したサウンドを聴かせてくれます。ただ、ベースは以前から変わらず、昔からのファンもある意味安心して聴ける作品だと思います。

先の漫画の中でも、明らかにカジヒデキをモデルとした人物が登場したり、映画の中でも彼が出演していたり・・・そもそも主題歌を提供していたりと、「デトロイト・メタル・シティ」との結びつきも強い彼。ある種、ギターポップをパロディー化し、「笑い」の対象とすらしている中、積極的に参加しているというのは、自分の音楽に対する、確固たる自信も感じさせます。

今後もおしゃれな渋谷系ギターポップスを変わらず聴かせてくれそうです。これからの活躍も楽しみですね。

評価:★★★★

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