ジャズとロックの狭間で??
Title:THE FALL
Musician:Norah Jones
ノラ・ジョーンズの新作は、ロック/ポップス色が強い作風になる・・・このアルバムを聴く前に、そういう話を耳にしていました。
今回のアルバムは、プロデューサーにキング・オブ・レオンやトム・ウェイツを手がけるジャクワイア・キングを起用。また、それに伴って、バックのバンドも、グッとロック色の強いメンバーが揃いました。
ただ、彼女の魅力って、やはりポップながらもジャジー、ジャジーながらもポップ。ポップとジャズの中間点あたりの微妙な位置付けが魅力だったりするだけに、あんまりロック寄りになっちゃうのは、どうなのかなぁ、と不安半分、期待半分でこのアルバムを聴いてみました。
で、実際に聴いてみると
なんだ、思ったよりジャジーな雰囲気じゃん(笑)。
彼女の美しいボーカルでしんみりと歌い上げる曲の数々は、いままでのノラの作品同様、ジャジーなポップソングに仕上がっており、思ったほど、以前の作品から大きな変化はないなぁ、とそう思いました。
でも聴いているうちにどうも違和感を覚えるんですよね。
それは、彼女のジャジーなボーカルと反して、バックバンドのリズムがとてもロックテイスト。横ノリのリズムでゆらいでいる彼女のボーカルに対して、バンドのリズムがしっかりと縦ノリなんですよね。
そのボーカルとバンドの絶妙なバランスが逆に面白く、ジャズでもなくロックでもない、いわばジャズとロックの狭間に入ったような、個性的な音を出していました。
「EVEN THOUGH」のような、ギターを前面に押し出した曲や、「YOUNG BLOOD」や「IT'S GONNA BE」のように、ドラムスの音を前に押し出して、ロックのグルーヴを作り出している曲など、このメンバーだからこそ生まれた、ロックテイストの強い曲も多く収録されています。
その反面、ノラの歌声をしっとりと聴かせる「BACK TO MANHATTAN」や「MAN OF THE HOUR」あたりは、かなりジャジーな雰囲気。かと思えば「DECEMBER」あたりは、フォークミュージックの香りが漂っていて、ジャズやロックをベースにしながらも、ノンジャンルな楽曲を聴かせてくれるのは、彼女の大きな魅力でしょう。
ノラ・ジョーンズとしての個性をしっかり保ちながら、新たな一歩を踏み出した意欲作。いままでのファンも安心して聴ける作品になっている一方、ノラが次にむかう方向も見えてきた作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
4:13 Dream/The Cure
基本的に、オルタナ系のギターロックながらも、どこかひねった曲調がおもしろい作品。ギターロックが好きなら、素直に楽しるポップさをもちながらも、一筋縄ではいかないようなサウンドが魅力的でした。
評価:★★★★
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