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2009年12月 1日 (火)

新たな一歩は、どこへ?

Title:DOROTHY
Musician:鬼束ちひろ

DOROTHY

前作が、約5年ぶりとなるニューアルバムだったのですが、さらに2年のインターバルをおいてリリースされたニューアルバム。昨年のツアーも、疲労による体調不良で中止され、その後の活動が休止されるなど、本調子ではない状態が続いています。

以前は、ロック色の強いシングルが発売されるなど、少々迷走気味な部分も見受けられた彼女。そんな中で発売された前作「LAS VEGAS」は意外なほど、以前からの鬼束ちひろらしい作品だったのですが、今回のアルバムも、以前と同じく、力のある伸びやかなボーカルで聴かせる美しいバラードナンバーがメインのアルバムとなっています。

1曲目「A WHITE WHALE IN MY QUIET DREAM」こそ、ボーカルとドラムスのみという、異色な作風になっていますが、「陽炎」「ストーリーテラー」などは、しっかりと聴かせるバラードナンバーで、彼女の本領発揮ともいえる作品。さらに後半の「蛍」などはピアノバラードの作品となっており、「月光」「私とワルツを」あたりの全盛期のシングル群を思い出させるようなナンバーになっています。

一方、「帰り路をなくして」のような、孤独さを抱え、心の奥を吐露するようなどこか幻想的な歌詞も彼女らしいところ。ただ、以前の活動休止中の、精神状況の悪さを反映しているとも取れるだけに、以前にまして、その歌詞にリアリティーを感じてしまいます・・・。

ただ、今回のアルバムでは、80年代風のシンセサウンドを入れたポップチューン「STEAL THIS HEART」や、アコースティックなロックチューン「I Pass By」など、明るい雰囲気を持った、バラエティーあふれるナンバーも多く収録されていました。ここらへん、徐々に彼女の状況が明るくなっていることのあらわれでしょうか?

アルバム全体としては、少々インパクトが弱く、全盛期に比べると物足りなさも感じました。ただ、活動再開後の彼女の方向性がはっきりと見えた作品だったとも思います。まだ、いろいろな意味で本調子ではないみたいですが・・・無理をしないで、新たな傑作の登場を期待しています。

評価:★★★★

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コメント

発売日に買ってから何度も聴いてます。
確かに歌が歌えなかった時期をうかがわせる曲はいくつかあったんですが、
最後の「VENUS」を聴いて一安心しました。凄く綺麗な音の中で歌う彼女の声、彼女にしては分かりやすい単語で綴られた歌詞を読んで、これから向かう先「光」みたいなものを見つけたのかな~と思いました。

そう思ってもう一度聴いてみると、重い曲もどこか希望がありそうな、そんな風に感じられました。
歌い手として凄みも増しているようで、個人的には今までの彼女のイメージを切り離して新しい一歩を踏み出した、そんな位置づけのアルバムでした。

投稿: 亮 | 2009年12月 2日 (水) 06時36分

>亮さん
そうですね。これからの彼女の方向性を指し示す「光」のようなものが感じられるアルバムだったと思います。
これからが彼女の新たな一歩といったところでしょうか?これからの活躍が楽しみですね。

投稿: ゆういち | 2009年12月 9日 (水) 23時48分

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