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2009年12月10日 (木)

ソロとしての本領発揮

Title:MIDAGE RIOT
Musician:伊藤ふみお

MIDAGE RIOT

元Kemuriのボーカリスト、伊藤ふみおの、バンド解散後初となるソロアルバム。彼自身、バンド活動中に1枚ソロアルバムをリリースしていますので、事実上、2枚目のアルバムとなります。

前作は、あくまでもバンドのサイドプロジェクトの側面がありました。ある種、あえてKemuriとは違う側面を出していました。それに対して本作は、あえていえばソロとしての本領発揮。ミュージシャン伊藤ふみおの様々な側面を前面に押し出したアルバムになっています。

で、そのミュージシャン伊藤ふみおなのですが、その懐の大きさに驚かされます。

以前のKemuriは、スカパンクバンド。もちろんその実力は折り紙つきながらも、スカパンク一本で、少々音楽性の幅という側面では狭かったのも否めません。

それに対して本作では、冒頭「Love is a giving thing」から、ホーンセッションを入れてあかるく盛り上げる、いわばミュージカル風なナンバー。その後も、「my funny little girl」は、あの「マイ・ウェイ」すら思い出させるような、雄大な、そして少々歌謡曲風な要素も加わった聴かせる楽曲になっていますし、「晴れわたる空へ」は、スティール・パンがとてもさわやかなナンバー・・・と、実にバリエーション豊かです。

一方、もちろんKemuri同様、スカのリズムをベースにした曲は目立ちますし、「心の鐘」のように、スカで、かつダンサナブルなナンバーなど、Kemuri時代のファンも満足いけるかと。

少々一本調子だったKemuriの曲に比べて、そのバリエーション豊かな展開は最後まで飽きさせず、かつ、今後の彼の活動が、さらに楽しみになってくるようなアルバムでした。

こういうソロとしての方向性は、ソロとしての前作「変わりつづける景色の中を」でも垣間見れていたのですが、それがよりクリアになった作風でした。彼の暖かい歌声とあわせて、Kemuriをあまり聴かなかった方でも取り込める作品。ミュージシャン伊藤ふみおのこれからが、とても楽しみになる作品でした。

評価:★★★★★

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