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2009年12月20日 (日)

プライベートなカバー盤

Title:Sings
Musician:曽我部恵一

Sings

曽我部恵一名義としては約2年ぶりとなるニューアルバムは、アコースティックなライブ盤。以前行われたソロライブの会場でのみ販売されていたのですが、このたび、ファンの要望に答え、全国流通という形で再発売された作品です。

とにかくプライベート色の色濃い作品で、深夜の事務所で、テープレコーダーに録音された作品だとか。そのため、周りの雑音もそのまま収録されている、手作り感のある作品になります。

曽我部恵一としてのソロ活動をはじめてからの彼は、どうも内輪でガヤガヤ楽しんでいるような、内向きな作品が多く、楽しそうに演っているのはわかるけど、どうもいまひとつの作品が多い・・・ということは、以前からこのサイトでも何度か書いていました。

そういう観点からすると、このアルバムは究極に内向きな作品。完全に手作りな作品な上、ライブ会場のみで販売されたアルバム。ある意味、「売れる」ということを完全に無視したような作品です。

ところが、これが予想に反して、素晴らしい出来でした。それは、原曲のメロディーと歌詞の良さをシンプルに導き出した、アコースティックなアレンジだったり、曽我部恵一の優しい歌声だったり・・・そういう要素が傑作を導き出した大きな理由なのは間違いありません。

しかし、それに加えて、選曲も、このアルバムを傑作にした大きな理由のような気がします。

このアルバムの選曲、必要以上にマニアックにならず、時として、とてもベタな選曲をしています。

そもそも、The Beatlesの「Yesterday」をカバーしているあたり、逆に勇気のいる選曲かも・・・。他にも「Like A Virgin」「Stand By Me」など、洋楽を聴かない人でも知っているような、スタンダードナンバーのカバーにも挑戦しています。

個人的にはThe Velvet Undergroundや、Pixiesをカバーしていることがうれしかったのですが、The Velvet Undergroundにしても「Sunday Morning」という、あのバナナジャケットで有名な「The Velvet Underground&Nico」の1曲目を飾る曲だし、Pixiesにしても「Here Comes You Man」という代表曲。で、このPixiesのカバーもまた、アコースティックなカバーが、メロディーの良さをシンプルに引き出していて、とてもよかったなぁ・・・。

確かに、GALAXY 500やらジャックスやら、決してメジャーのど真ん中というミュージシャンではないのですが、いずれの曲も名曲揃い。それをシンプルに、曲の良さを最大限引き出したカバーは、絶品・・・というよりも、素朴な味のするお味噌汁のようなカバー。派手さはないけど、飽きの来ない、素敵なカバーアルバムでした。

評価:★★★★★

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