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2009年12月 3日 (木)

ロマンティックな大人

Title:世界が明日も続くなら
Musician:GAKU-MC

世界が明日も続くなら

EAST ENDとしての活動があったため、ソロとしては約7年ぶりとなるニューアルバム。

目玉となるのは、やはり、桜井和寿と組んでヒットさせた「手を出すな」が収録されていることと、藤井隆に歌詞を提供しヒットした「ナンダカンダ」のセルフカバーが収録されているところでしょう。

特におもしろかったのは、「ナンダカンダ」のセルフカバーで、アップテンポなポップチューンを、横ノリの、ちょっとタブの要素も入れた、しっとりと聴かせるカバーに仕上げています。

一方、「手を出すな」の方は、シングルリリースの時も感じたのですが、完全に桜井に飲み込まれちゃってますね・・・。GAKU-MCが、というよりも桜井の実力なんだろうなぁ、やはり。

さて、今回の彼のアルバム、聴いてまずとても印象に残ったのが、その歌詞でした。

しっかりと具体的な内容を綴った歌詞は、丁寧にラップされていて、耳にすんなりと入ってきます。また、とてもロマンティックな歌詞が多かったのが印象的でした。

かつて人間にも翼がはえてたんだ、と歌う「屋上へと続くドア」も印象に残るのですが、なんといっても素晴らしいのは、夏目漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と約した逸話から着想した「月が綺麗です」でしょう。日本人の情を表現した日本人らしいラブソングは、これぞ日本語ラップともいえる作品になっています。

楽曲の方も、HIP HOPという枠組みにとらわれないバラエティーあふれる作風が魅力的。ハードロックバンドがスタジアムライブを行っているようなアレンジがユニークな「I hope you lik it」や、アコースティックなアレンジでしっとり聴かせる「リラックスリラックス」、ブルージーなアコギのアレンジをほどこした「昨日のNo,明日のYes(acoustic version)」など、ジャンルに括れない作風を聴かせてくれます。

ただ、全体的にはちょっと地味というか、薄味だったような気がします。一番の核になりそうな「手を出すな」も桜井に食われちゃっていたし・・・(苦笑)。魅力的な作品も多いのだけに、ちょっと惜しい印象も受ける作品でした。

評価:★★★★

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