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2009年12月

2009年12月31日 (木)

2009年ベストアルバム(暫定版)

今年もついにあと数十分おしまい。今年最後の更新は、今年1年を振り返る意味をこめて、今年のベストアルバム・・・といっても、まだ2009年のアルバムを全て聴いたわけじゃないので、あくまでも暫定版のベストアルバム候補ということで。正式版は、1月下旬くらいにアップします。

邦楽編

まず、上半期のベスト5は・・・

1 THIS IS MY STORY/THE BAWDIES
2 THIS IS MY SHIT/80kidz
3 ハイファイ新書/相対性理論
4 アルトコロニーの定理/RADWIMPS
5 魂のゆくえ/くるり

上記にプラスして、ベスト10候補。実は、上半期に比べて、下半期はこれといったアルバムが少なかったので、一部、上半期に発売されたアルバムも含まれています。

WONDER WHEEL/サイプレス上野とロベルト吉野
DO YOU DREAMS COME TRUE?/DREAMS COME TRUE
三文ゴシップ/椎名林檎
Bring it!/PUFFY
ノウニウノウン/たむらぱん
20/電気グルーヴ
世界のフラワーロード/100s
ガール!ガール!ガール!/クレイジーケンバンド
月が昇れば/斉藤和義
OOPARTS/the pillows

上半期は名盤が多かったのですが、下半期はちょっと勢いにかけたかな?佳作は多かった反面、これといった決定的な名盤が少々少なめだったかも。

洋楽編

こちらも上半期ベスト3は・・・

1 INVADERS MUST DIE/THE PRODIGY
2 The Crying Light/ANTONY AND THE JOHNSONS
3 The Eternal/Sonic Youth

これにプラスして、ベスト5候補。邦楽同様、上半期の作品も含まれています。

Animal/autoKratz
HOREHOUND/THE DEAD WEATHER
IMIDIWAN:COMPANIONS/TINARIWEN
LIVE AT REEDING/NIRVANA
Merriweather Post Pavilion/Animal Collective
No Line on the Horizon/U2

おもしろいことに、洋楽も邦楽と同じような状況。上半期に名盤が多い反面、下半期は勢いに欠け、また、佳作は多いものの、決定的な名盤が少ない状況になっています。

洋楽邦楽ともに、12月から1月のリリースが少ない時期に、評判がよかったものの、いままで聴いていなかった作品を聴いているので、実際のベストアルバムはまたかわるかも・・・。

今年は音楽シーンは、キヨシローやマイケルジャクソン、アベフトシに加藤和彦、さらに年末に飛び込んできたフジファブリック志村正彦の訃報と、悲しいニュースが続いてしまいました。特に、他のミュージシャンに大きな影響を与えたような、偉大なミュージシャンの訃報が続いてしまいました。

他にもCD不況、ヒット曲の不在など、ちょっと暗いニュースが続く音楽業界。来年は、少しでも多くの良いニュースが入ってくるといいですね。

来年もたくさんの素晴らしい音楽に出逢えることを願って。それではみなさん、よいお年を!

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2009年12月30日 (水)

今年最後のヒットチャート

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今年も今日を入れてあと2日。ヒットチャートの方は、今年最後。既に年末モードに突入していて、初登場は少なめです。

そんな中、今週は1位から3位まで同一ミュージシャンでチャート独占!関ジャニ∞の新曲「GIFT~白~」「GIFT~赤~」「GIFT~緑~」の3枚のシングルが、それぞれ1位、2位、3位を獲得しました。

3枚のシングルが1位から3位を独占するのは、史上初だそうです。3枚同時発売ではなく、1日ずつずらしてのリリースで、3位の「GIFT~緑~」は、集計期間が他のシングルより2日短く、そういう意味では人気のほどをうかがえるのですが・・・ただ、現状のシングルチャートだと、1位を取れるような大抵のミュージシャンなら、3枚のシングルを同時にリリースすれば、達成できてしまいそうな記録で、正直、「快挙」というのはちょっと違う感じがします。

また、初動売上も、1位の「GIFT~白~」で11万6千枚と、前作の27万2千枚から大幅減。前作は、通常盤以外に初回盤が2通り発売されたため、今回の数字がコアなファンの実数というところでしょうか?やはり3日連続リリースということで、金銭的に回避したファンもいたということかなぁ??

5位には茅原実里「PRECIOUS ONE」がランクイン。人気声優による7枚目のシングルで、初のベスト10ヒットを記録しています。

さらに8位にSEEDA「WISDOM feat.ILL-BOSSTINO,EMI MARIA」がランクインです。以前から一部では高い評価を得ているHIP HOP MCなのですが、なんと初のベスト10ヒットを記録しました。

今回、この作品、1曲入り300円という超破格値となっていますが、この値段設定がヒットの要因でしょうか?「デフレ」がキーワードとなった2009年を締めくくるにふさわしい(?)シングルと言えるかもしれません。ここ最近、CDにDVDやら、高音質リマスターやら、いろいろと付加価値をつけて高価格化して売り出す傾向が強いのですが、ひょっとしたら来年あたり、音楽業界でもCDの価格破壊とかがおきるかも??いいか悪いかは別として・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート1位2位は、ここ最近、勢いのある若手ポップス系バンド2組がランクインしています。

まず1位はいきものがかり「ハジマリノウタ」。ちょうど1年ぶりとなるニューアルバムで、前作に続いての1位獲得。初動売上こそ20万枚と、前作の24万3千枚を若干下回ってしまったものの、ここ最近、人気バンドとしての地位を固めつつあります。この勢いは来年も続きそうです。

そして2位にはflumpoolの初のフルアルバム「What's flumpool?」がランクインしました。初動9万枚で、こちらもミニアルバムとなる前作「Unreal」の11万枚から若干ダウン。ただ、前作に続いてのヒットで、その人気を固めつつあります。

で、若手2組に対して、今週初登場組残り2組は、いずれもベテラン。

まず4位にはEvery Little Thing「Every Best Singles~Complete~」がランクインしています。3枚目のベストアルバムにして、通常盤はCD4枚、初回盤は、これにDVD2枚が加わり全6枚組となったフルボリューム。初回盤は6,000円以上という高価格(!)。ELTのベテランになり、主なファン層も、こういう値段をポンポンと出せるような立場になったということなんでしょうか?

そして10位には、さらに大ベテラン。今年復活し話題となったUNICORNのライブアルバム「勤労ロードショー~Live In Japan~」がランクインしています。復帰後のステージを厳選収録したライブベスト的な内容で、懐かしいヒット曲も聴けます。ユーモアなタイトルもユニコーンらしいなぁ~。

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2009年12月29日 (火)

ハードなバンドサウンド

Title:4 ALL AGES
Musician:SHAKALABBITS

4 ALL AGES

SHAKALABBITSの新作は、いわゆるB面ベスト。シングルのカップリングなどで収録されていた曲で、アルバム未収録だった曲をまとめた企画盤です。

SHAKALABBITSっていうと、おそらく一般的には、ヒットした「STAND BY YOU!!」のような、軽快なスカパンクというイメージが強いかもしれません。ただ、その一方、ここ最近のアルバムを聴くと、スカパンク色が薄れ、かなりヘヴィーなバンドサウンドを聴かせるハードロック志向が強くなっているように感じます。

そういうここ最近の流れからすると、このアルバムが、かなりハードなバンドサウンドを聴かせる作品ということは納得といった感じでしょう。

曲によっては、スカのリズムなどが取り入れられていて、スカの影響を受けたことはわかるのですが、アルバム全体的にはヘヴィーなサウンドが目立ち、かなりストレートなハードロックテイストに仕上がっています。

もちろん、初期から続く、ポップなメロディーや軽快なリズムも随所に目立ち、全体的にはポップな作風にまとまっています。ほどよくハードなサウンドとポップなメロディーのバランスは、多くのリスナーの壺にはまりそうなバランスの良さを感じました。

ちょっと意外だったのは、例えば「WHAT DO THEY THINK...?」「SWISS MAMMY」も、基本、軽快なスカパンクなのですが、意外とバンドサウンドにヘヴィーさを感じるということ。今回、全曲リミックス+リマスタリングされたということで、その過程で少々雰囲気が変化したのでしょうか?それとも、私が把握していなかっただけで、初期からバンドサウンドは意外とヘヴィーなものを持っていたということなのでしょうか?

ただ、残念だったのは、作風がちょっと似た感じの曲が多かったという点。もうちょっとバリエーションがあれば、もっともっと大きなヒットを飛ばせそうなバンドなんですけどね。その点だけは、ちょっと残念でした。

評価:★★★★

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2009年12月28日 (月)

日本から世界へ???

Title:DELICIOUS JAPANESE
Musician:TERIYAKI BOYZ

DELICIOUS JAPANESE(DVD付)

TERIYAKI BOYZの新アイテムは、DJ Mix盤+ライブの模様を収録した、DVDがセットになったアイテム。いわばファン向けの作品なのですが、ただし、DJ Mix盤には、なんとJay-Zが参加した新曲が収録されていたり、Kool Keithを迎えたリミックスが収録されていたりと、かなりの豪華な内容になっています。

Amazonのレビューを見ると、「ビリオネイアの道楽」と書いて酷評されている方がいますが、本当に、ビリオネイアの道楽だよなぁ(笑)。ただ、例えばバロック期のクラッシック音楽が、いわば一部のパトロンに支えられたように、芸術というのはえてして一部の金持ちの道楽から発展する部分もあるので、ビリオネイアの道楽も決して否定はできないとは思うのですが。

ただ、Jay-Z参加の新曲にしても、Kool Keithのリミックスにしても、「おお、これが今の本場の音かぁ」という印象も薄く、やっつけとまでは言わないまでも、やはり遠い辺境の地の金持ちからの依頼による、単なるお小遣い稼ぎ・・・といった感じなのかなぁ?あまり強い印象は受けませんでした。

DVDの方は、「DO YOU LIKE JAPAN?TOUR」のファイナル公演を収録した内容。ヒップホップ系のライブって、楽器を弾いていれば様になるロックバンドのライブと異なって、それなりにエンタテイメントに走らないと、いまひとつ地味な雰囲気になってしまうのですが、それはさすが、エンタテイメント性にあふれ、とても楽しそうな雰囲気が伝わってくるようなステージになっていました。

まあ、ただ、ドキュメンタリーの方は、あくまでもファン向けかな?

全体的に、やはりファンズアイテムという要素が強く、5,000円近い値段も考えると、ファン以外にお勧めするのは厳しいかも。って、ファン向けにしても、アルバムのおまけとして、DVDが普通についてくるような今、この内容で5,000円はちょっとないんじゃないかな?純粋に内容だけ評価すれば★4つだけども、値段の高さに、★ひとつマイナスで。

評価:★★★

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2009年12月27日 (日)

間口は広く

Title:Ghost Apple
Musician:People In The Box

Ghost Apple

このアルバムを、最初に気になったのは、レコード店の店頭でした。注目のミュージシャンとしてディスプレイされており、さらにレコード会社はte'や、9mm Parabellum Bulletなどが所属している残響レコード。以前から名前だけは知っていたのですが、このアルバムをはじめて聴いてみることにしました。

しかし、最初にサラッと聴いた雰囲気では、かなりポップなバンドだな、というイメージを抱いてしまいました。特に「月曜日/無菌室」「日曜日/浴室」あたりは、BUMP OF CHICKENあたりを思い出すようなポップなギターロックで、正直、ちょっと期待していた雰囲気とは違うかな?とすら思ってしまいました。

ところが、しっかり聴くと、その思い込みが大きな誤解であることに気がつきました。

まずリズム。パッと聴いた感じ、ポップな雰囲気を出していながらも、変拍子を多用することによって、奇妙なリズム感覚と、それに伴う不思議な楽曲の雰囲気をかもしだしています。聴いていて、ちょっと不安定な、微妙な感覚を覚えながらも、聴いていて癖になるようなリズムがとてもおもしろく感じられます。

サウンドも、シューゲイザー風のノイジーなギターサウンドを入れてきたり、アコギの音などを用いて、ちょっと神秘的な雰囲気を出してきたり。聴きこめば聴きこむほど、癖になりそうな音の世界が楽しめます。どこかシガーロスとかその近辺の影響も感じられました。

そして、やはり特筆するのは歌詞の世界でしょう。波多野裕文の書く歌詞は、抽象的ながらも文学的。人によって解釈がいろいろとわかれそうな、意味深で、雰囲気のある歌詞がとても耳を惹きつけられました。

今回の作品では、「Ghost Apple」というタイトルからして、歌詞によく「神様」の存在があらわれていました。

「このクラブのリーダーは神ではないのさ」
(「水曜日/無菌室」より)

「まったく神様のしつけがなってないな」
(「木曜日/寝室」より)

のように、どこか、神様みたいな、絶対的な存在の前であらがう男女の姿を描いたような、個人的には、そんな印象を受けた歌詞の世界でした。

彼らの音楽、いわば間口は広いものの、奥行きが深く、一度入り込むと、ズブズブとはまってしまう、そんな音を奏でています。今回の作品がメジャーデビュー作なのですが、これからが本当に楽しみなバンド。これから、ますます注目を集めていきそうな予感がします。お勧めです。

評価:★★★★★

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2009年12月26日 (土)

マイラバらしい作品

Title:そらのしるし
Musician:MY LITTLE LOVER

そらのしるし

よく、誰かが誰かの物まねをやっているのを見て、本人以上に本人らしい、と感じることってありませんか?時として、本人よりも、周りの第三者の方が、その本人の特徴をよくつかみ、本人以上に「本人らしい」行動を真似することが出来たりします。

今回のマイラバの作品、基本的に、長くマイラバの音楽面を支えていた小林武史が、ほとんど関与していません(わずかにエグゼクティブ・プロデューサーとして名前を連ねていましたが・・・ほとんど名前だけでしょう)。それにもかかわらず、ともすれば小林武史がからんでいた時期よりも、マイラバらしい作品に仕上がっていました。

おそらく、作品に関わったメンバーが、意識的にしろ無意識にしろ、マイラバらしさというのを感じていて、そのマイラバらしさを忠実に曲に再現したのが、大きな理由ではないでしょうか?

メロディーはどの曲もとても爽やか。クリアなakkoのボーカルに実にマッチした曲が並んでいます。

また、タイトルも「そらのしるし」ということで、空にちなんだ曲も多く、透き通る大空のような、伸びやかで気持ちいい作品が並んでいました。

その中でもやはり、シングルにもなり、久しぶりのベスト10ヒットになった「音のない世界」はやはり素晴らしかったです。とてもメロディアスながらも、どこかひねくれたような曲の展開が、いい意味で癖を持っていて、魅力的。小林武史全盛期のマイラバの楽曲に、勝るとも劣らない傑作になっていたと思います。

その他にも、テクノポップ風味を取り入れた「ストレイシープ」や、ストリングスを取り入れて、スケール感を曲に与える「月の船」など、バラエティー豊かな作品が並んでいました。

ちなみにレミオロメンの前田啓介も作曲で参加し話題となっています。ここらへんは、小林武史人脈といった感じですね・・・。

確かに、小林武史が全面的にかかわっていた時代に比べると、少々スケールダウンは否めないのですが、キラリと光る良質なポップソングが並んでいた作品だったと思います。ただし、いままで小林武史がつくりあげてきた「マイラバらしさ」をなぞるような作風になっていただけに、次の一歩が見えてこず、今後に不安が残る作品ではあるのですが・・・それは今後の課題かな?

評価:★★★★★

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2009年12月25日 (金)

Merry Xmas!!

といっても、あと数分で終了なのですが・・・。

家に帰ってきたら、ちょうどNHKで「究極ヒットパラダイス」なる番組で、懐かしい80年代の歌手が歌う歌番組をやっていたのでついつい見てしまいました。辛島先生とか、小野正利とか、非常に懐かしい面子が揃っている中、ラストには渡辺美里登場!「悲しいね」と「10years」を聴けました。久しぶりに彼女の曲を聴いたのですが、やはりいいですね~。ちょっと懐かしい気分に浸ったクリスマスでした。

・・・で、チャンネルを変えると裏番組の「ミュージックステーション」で桑田佳祐が熱唱中。こちらは、現役の人気歌手たちがズラリと揃った番組なのですが、桑田佳祐は、さっきまで見ていたNHKの番組に出演して歌手より「先輩」なんですよね。そう考えると、やはり桑田佳祐はすごいなぁ・・・。

・・・なんて思いながら、ネットにつなぐと、あまりにショッキングなニュースに思わず声をあげてしまいました。

フジファブリック志村正彦、12月24日に急逝

あまりにも若い・・・そしてフジファブリックも、これからのミュージシャンだったのに・・・ショックです。

思えば、今年は大物のミュージシャンの逝去というニュースが相次ぎましたね。マイケル・ジャクソンに忌野清志郎、加藤和彦にアベフトシ・・・でも、おそらく60年代70年代に活躍したミュージシャンが老いを迎えた今、今後は毎年のようにこういう辛いニュースが続くんでしょうね・・・。

今年もあと少し。来年もいい年でありますよに。

・・・といっても、更新は今日で今年最後、ではありませんので(^^;;

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バランス感覚の良さ

Title:MAGIC
Musician:B'z

MAGIC(通常盤)

個人的に、B'zをはじめて聴いたのは中学生の頃。ヒットしていた「LADY NAVIGATION」が一番最初で、既にその頃からシングルをリリースすれば1位という人気を確保していました。

それから20年。いまだにシングルもアルバムもリリースすれば1位を獲得するという、驚異的な人気を確保している彼らです。

彼らがそれだけ長い間、人気を保っているのって、純粋に楽曲の良さとか言う話もあるのかもしれませんが、それ以上に、ファンがB'zに期待するような楽曲を、期待を裏切らず、きちんとリリースしているという点が大きいような印象を受けます。

しかし、一方では、今風の音を取り入れたアルバムをつくってみたりと、あくまでもB'zというイメージの中で振れ幅のあるアルバムもリリースしたりし、マンネリさを回避につつ、また、実に「B'zらしい」アルバムをつくってくる、ここらへんのバランス感覚の良さが、彼らの人気が長続きしている理由ではないでしょうか。

で、今回の新作は、また、とても「B'zらしさ」を感じさせる作品でした。

まず、シングルにもなった「DIVE」が、実に彼ららしさを象徴している作品といえるでしょう。

そのサビに歌詞は・・・

「ラララ 何ひとつ決めずに
ラララ セキララに DIVE
ラララ キミと手をつないで
ラララ アケスケに DIVE
こんなんじゃいやだもん」

(「DIVE」より 作詞 稲葉浩志)

なんか、これだけ書き出すと、メロディアスなギタポバンドの歌詞みたいです。こんなポップな歌詞にのせるサウンドは、ストレートでヘヴィーなハードロックナンバー。この絶妙なバランスが彼ららしいし、ハードなギターサウンドは好きだけど、ともすればマッチョ方面に走りがちなメタルやハードロックの世界には抵抗がある・・・というリスナー層を取り込んでいるのではないでしょうか。

同じ「Time Flies」もハードロックなナンバーが続くと思えば、逆に「イチブトゼンブ」は、かなりポップな雰囲気のナンバー。また、「TINY DROPS」はさりげなくブルージーなギターを入れてくるあたりが、ちょっと洋楽的な匂いを感じさせ、こちらもファンをひきつける要素のひとつでしょうか?

正直言うと、「DIVE」「Tim Flies」あたりの流れからは、もっと純粋にハードでカッコいいナンバーが続くのかと思っていたのですが、後半あたりはちょっとダレてしまった印象も。

きちんとB'zファンの求める要素を取り入れた作品になっていた一方、少々マンネリ気味な点も否めませんでした。そういう意味では、ちょっとファン向けかな?と思いつつ、その一方で、ファンなら満足のいく作品であったかも、と思うようなアルバムだったと思います。

よくも悪くもB'zらしさが出ていた、とてもバランス感覚の良い作品でした。

評価:★★★★

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2009年12月24日 (木)

直系ガレージパンク!

Title:All de Fashion
Musician:黒猫チェルシー

All de Fashion(オール・ド・ファッション)

時々、日本のロックシーンに出てきては、話題になりそうな、ストレートな直球のガレージパンクバンド。

最近、雑誌などでよく名前を聴くようになった彼ら。ちょっとオールドスタイルな雰囲気を感じさせるジャケット写真もいいですし、「黒猫チェルシー」という、かわいらしくもどこかひねりを感じさせるバンド名も、センスを感じさせます。

曲も、1曲目「スピーカー」からいきなりハードなギターリフが心地よいガレージパンクサウンドが炸裂。その後も「廃人のロックンロール」や、ミディアムテンポの「毛にからまって」も、ヘヴィーなギターリフが心地よいロックンロールな作品になっています。

ただ、個人的に、このアルバムを1枚聴いて、どこか違和感を覚えました。

それは決してネガティブな意味ではなく・・・それは、感覚先行で、単純に初期衝動をサウンドに載せているのとは、どこか異なるウィットさを、このバンドから感じたからです。

例えば、どこかGS風の匂いを感じる「ショートパンツ」のような、どこか60年代70年代の雰囲気をパロディー化しているような曲の作り方といい、ユーモアさと独特の世界観を感じさせる歌詞といい、決して初期衝動だけではおさまらない、プラスアルファを感じさせてくれます。

そういうことを考えながら聴くと、渡辺大知のボーカルも、熱狂的なシャウトの中、どこか醒めたような部分も感じられて、とても魅力的に感じました。特にミドリのボーカル後藤まりことのデゥオとなる「南京錠の件」は、強烈な2人のボーカルがぶつかりあい、このアルバムの中でも、特に強烈なインパクトを持ったナンバーに仕上がっています。

まだまだ若さを感じさせるバンドなのは事実だけど、今後がおもしろくなりそうな予感もします。大傑作!というレベルではないのですが、これから先が楽しみになってくる作品でした。

評価:★★★★

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2009年12月23日 (水)

歌姫、強し!

今週は、シングル、アルバムチャートともに、新譜ラッシュとなりました。シングルは10曲中8曲が初登場、アルバムも10枚中6枚が初登場となっています。そんな中、アルバムチャートで強かったのは、いわゆる歌姫たち。今週は、邦洋多くの女性ソロシンガーが、チャートに華を添えました。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートは、ガラリと顔ぶれがかわってしまったのですが、その中で1位を獲得したのが、福山雅治の約半年ぶりとなるニューシングル「はつ恋」。CMソングでおなじみの、古き良き歌謡曲テイスト満載の哀愁たっぷりバラードナンバー。初動15万枚は、前作の初動13万枚を上回り、変わらない強さを見せつけています。

続く2位は、シングル連続ベスト10入り記録を続けているTHE ALFEE「この愛を捧げて」。映画「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の主題歌で、初動3万6千枚で、前作の初動2万8千枚を上回る好セールスを記録しました。これでシングルは44作連続トップ10入り。浜崎あゆみ、B'z、SMAPと並ぶタイ記録だそうです。

3位はabingdon boys school「From Dusk Till Down」が入ってきています。TBS系アニメ「DARKER THAN BLACK 流星の双子」で、これでシングルは4作連続アニメタイアップ。ご存知T.M.R.西川のバンドですが、90年代のJ-POPを思い出すような曲調なのは、やはり作曲が元WANDSの柴崎浩だからでしょうか?初動2万2千枚は前作からほぼ横ばい。熱心な固定ファン層に支えられているようです。

さて、前述の通り、アルバムチャートでは歌姫の活躍が目立っているのですが、以下、シングルチャートでも女性ボーカル勢がズラリと並んでいます。

まずはアイドル勢。4位にBuono!「Bravo☆Bravo」が、10位にぷよぷよアイドリング!!!「ラブマジック・フィーバー」がそれぞれランクイン。10位は人気アイドルグループアイドリング!!!からの選抜メンバーによるユニットだそうです。

一方、声優勢も、5位にランカ・リー=中島愛「CMランカ」が、7位に田村ゆかり「You&Me」がそれぞれランクインしています。同じアニソン勢でも、ランカ・リーは、菅野よう子作曲による、しっとりと聴かせる普遍性あるポップスナンバーになっているのに対して、田村ゆかりはちょっと時代遅れな雰囲気を感じさせるユーロビート調のバリバリのアイドルソングになっています。

そんな中で、一組気を吐いているのが(?)「ピアノ」が8位初登場のThe Birthdayでしょうか。チバのボーカルが物悲しく響く、美しくも聴かせるナンバー。売上は前作からほぼ横バイで、固定ファン層の支持を集めているようです。

ちなみに、今週はTHEE MICHELLEGUN ELEPHANTのベスト盤「THEE GREATEST HITS」がアルバムチャートで8位にランクインしています。ミッシェルの映画や、DVDの発売も予定されていて、ミッシェルが再度注目されているのですが、それがアベフトシ急逝によるためのもの、という事実が余りにも悲しい・・・。

ちなみにベスト10とは直接関係ないのですが、今週は、96位に山下達郎の「クリスマス・イブ」がランクイン!これで24年連続ベスト100入りとなったそうです。話題となったJR東海のCMソングも遥か昔に終わり、不景気の中、昔のように「クリスマスは恋人と2人で」という雰囲気も薄れていって、クリスマスで浮かれた雰囲気も薄れる中、この根強さには驚かされるものもあります。やはり逆に不景気だからこそ、クリスマスくらいは楽しい気分で過ごしたいですよね。

そんな訳で、ネット上で見つけた懐かしいCM↓

ちなみに有名な話ですが、ロケ地は地元名古屋駅です(笑)。牧瀬里穂がかわいい~♪と思うのと同時に、新幹線が懐かしの100系だったり、改札口が自動改札じゃないところに時代を感じてしまいます(と思ってしまう私は鉄ちゃん(笑))


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは、前述の通り、女性ボーカリストの新譜がズラリと並んでいます。

そんな中で1位は安室奈美恵「PAST<FUTURE」。初動33万枚で、前作の25万枚を大きく上回る結果となりました。ここ最近、人気が再度急上昇中の彼女。自身の顔写真を破るというジャケット写真も話題となりましたが、タイトルも、過去から脱却し、未来に突き進むという意思をストレートに表現しています。

ちなみに、女性シンガーでは初となる10代20代30代で1位獲得だそうです。正直、小室系だった10代の頃は、30代になるまで人気が持続するとは思わなかったなぁ・・・。あと、安室奈美恵ももう30なのか・・・時が進むのは早いなぁ・・・。

他に歌姫としては、日本にR&Bというジャンルを根付かせた立役者、MISIA「JUST BALLADE」が4位に、アメリカを代表するR&Bシンガーの1人、ALICIA KEYS「THE ELEMENT OF FREEDOM」が9位に、それぞれランクインしています。

ただ、MISIAは、前作の初動7万枚を下回る初動5万7千枚で少々苦戦気味。4位という順位はまだまだ立派なものの、ここ最近、人気が低迷気味で、気になります。

さらに女性シンガーとしては7位に愛内里菜のベストアルバム「ALL SINGLES BEST~THANX 10th ANNIVERSARY~」がランクインしています。

男性勢は、シングルチャートで書いた通り、8位にミッシェルのベスト盤がランクインしている他、2位に遊助「あの…こんなんできましたケド」がランクインしています。今年の紅白出場も決まった遊助こと上地雄輔の初となるアルバム。なんか、タイトルがGReeeeNっぽいんですが・・・。

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2009年12月22日 (火)

端正なボーカルがマイナス?

Title:PARADOX PARADE
Musician:a flood of circle

PARADOX PARADE

1曲目「博士の異常な愛情」に関しては文句なしにカッコいい!!へヴィーなバンドサウンドに、ちょっとファンキーなリズムを取り入れたハードロック路線は、a flood of circleの成長を感じさせる作品だったのですが・・・。

その後の作品については、アップテンポでポップな作風が多く、例えて言えば、売れ線のビートロックみたいな雰囲気の作品が並んでいました。

ガレージやハードロックをベースとしたバンドサウンドは、随所随所に光るものがあるのですが、それに対して、歌謡ロックだと映えそうな、端正なボーカルが、彼らのサウンドだと、逆にマイナスに働いてしまったかも。

全体的に聴きやすくポップ。ヒットポテンシャルがある、という表現になるかもしれないのですが、以前の作品から感じた、彼らの目指す方向からすると、少々物足りなさも覚える作品でした。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

anthem/DOPING PANDA

anthem(DVD付)

5曲入りのミニアルバム。表題曲は、ドーパンで、タイトルが「anthem」といえば、バキバキのダンスチューン・・・かと思いきや、ちょっと地味な聴かせるポップスでした。

5曲の作品が、それぞれの顔を持った作風で、完全生産限定のミニアルバムということもあって、新たなドーパンのスタイルを模索した作品になっています。バキバキに音数を増やしたダンスチューンというよりも、シンプルながらもユニークな音を入れてくるダンスチューンが多く、ドーパンの新たな一歩を感じれます。

ただ、ポピュラリティーという面ではいまひとつ。ここらへん、もっと実験性とポップを結び付けられれば、一気にブレイクしそうな感じがするのですが・・・そこらへんが彼らの弱点といったところでしょうか?いい作品だと思うのですが、ちょっとファン向けかも。

評価:★★★★

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2009年12月21日 (月)

友人にお勧めしやすい1枚

Title:I Got Rhythm?
Musician:大橋トリオ

I Got Rhythm?

前作「A BIRD」の紹介のところでも書いたのですが、ちょうど1年前に発売されたアルバム「THIS IS MUSIC」が、第1回CDショップ大賞の準大賞を受賞した彼。大賞の相対性理論や、同じく準大賞を受賞したPerfumeに比べると、その注目度の面では一歩劣る感がします。ただ、「CDショップ店員が選んだ売りたい、聴かせたい作品」という意味では、一番、広い層に薦めやすいミュージシャンではないでしょうか。

例えば、好きな子に「普段、何聴いているの?」と聞かれた時に、一番、CDを貸しやすいミュージシャンとでもいうべきでしょうか(笑)。

相対性理論は、ある種の癖が強いミュージシャンですし、Perfumeはやはり世間一般的にはアイドル。「音楽性が評価されているんだよ」と熱弁したところで、思いっきり引かれかねません。

それに対して大橋トリオは、ジャズ、ボサノヴァ、シティーポップなどの要素を上手く取り入れ、かつ、あくまでもポップにまとめあげていて、無駄なスノッブ臭は感じません。

少なくとも、お勧めとして彼の音楽を聴かせたら、はまるはまらない、社交辞令か否かは別として、10人中10人「いい音楽だね」と感想を返してくれそうな、そんな作品を聴かせてくれます。

前作からわずか半年でリリースされた彼の新作「I Got Rhythm?」は、そんな彼のセンスの良さが、さらに光る作品に仕上がっていました。

明るく、爽やかなピアノのリズムが全編にちりばめられているポップなナンバー。ストリングスやアコースティックギターが、爽やかな音楽に彩りを与えています。ジャズの要素も強く、「Here To Stay」「EMERALD」のピアノには、ちょっとジャジーな雰囲気も感じますが、ジャズはあくまでも彼の音楽性を底辺で支えている「出汁」のような存在。必要以上に主張することなく、ジャジーと言われるイメージは薄く、あくまでもポップミュージックとしてまとめあげています。

今回の作品は「ダンス」をテーマとしたそうです。確かに、「sing,sing」みたいに、軽快なピアノを聴かせてくれるナンバーも多く、「VOODOO」みたいな、ちょっとファンキーな雰囲気も感じられる曲もあり、ライブ栄えがしそうな曲も多く収録していました。

本人はインタビューなどで「大橋トリオとダンスというイメージのギャップがおもしろいかなと思って作った」といっているのですが、ただ、軽快なピアノを聴かせてくれる大橋トリオの楽曲とダンスの相性は意外と良いのでは?そうも感じることの出来るアルバムでした。

もちろん後半では「ここにあるから」「僕と月のワルツ」のような、しっとり聴かせるナンバーも収録されています。ここらへんのバランス感覚の良さとポピュラーセンスをもってすれば、もっともっとヒットを飛ばせそうなミュージシャンなんだけどなぁ。

いい意味で、より垢抜けたような印象も受けた作品。前述の通り、「CDショップ大賞」の受賞組では、ちょっと遅れをとった彼ですが、これからの飛躍が期待できそうです。

評価:★★★★★

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2009年12月20日 (日)

プライベートなカバー盤

Title:Sings
Musician:曽我部恵一

Sings

曽我部恵一名義としては約2年ぶりとなるニューアルバムは、アコースティックなライブ盤。以前行われたソロライブの会場でのみ販売されていたのですが、このたび、ファンの要望に答え、全国流通という形で再発売された作品です。

とにかくプライベート色の色濃い作品で、深夜の事務所で、テープレコーダーに録音された作品だとか。そのため、周りの雑音もそのまま収録されている、手作り感のある作品になります。

曽我部恵一としてのソロ活動をはじめてからの彼は、どうも内輪でガヤガヤ楽しんでいるような、内向きな作品が多く、楽しそうに演っているのはわかるけど、どうもいまひとつの作品が多い・・・ということは、以前からこのサイトでも何度か書いていました。

そういう観点からすると、このアルバムは究極に内向きな作品。完全に手作りな作品な上、ライブ会場のみで販売されたアルバム。ある意味、「売れる」ということを完全に無視したような作品です。

ところが、これが予想に反して、素晴らしい出来でした。それは、原曲のメロディーと歌詞の良さをシンプルに導き出した、アコースティックなアレンジだったり、曽我部恵一の優しい歌声だったり・・・そういう要素が傑作を導き出した大きな理由なのは間違いありません。

しかし、それに加えて、選曲も、このアルバムを傑作にした大きな理由のような気がします。

このアルバムの選曲、必要以上にマニアックにならず、時として、とてもベタな選曲をしています。

そもそも、The Beatlesの「Yesterday」をカバーしているあたり、逆に勇気のいる選曲かも・・・。他にも「Like A Virgin」「Stand By Me」など、洋楽を聴かない人でも知っているような、スタンダードナンバーのカバーにも挑戦しています。

個人的にはThe Velvet Undergroundや、Pixiesをカバーしていることがうれしかったのですが、The Velvet Undergroundにしても「Sunday Morning」という、あのバナナジャケットで有名な「The Velvet Underground&Nico」の1曲目を飾る曲だし、Pixiesにしても「Here Comes You Man」という代表曲。で、このPixiesのカバーもまた、アコースティックなカバーが、メロディーの良さをシンプルに引き出していて、とてもよかったなぁ・・・。

確かに、GALAXY 500やらジャックスやら、決してメジャーのど真ん中というミュージシャンではないのですが、いずれの曲も名曲揃い。それをシンプルに、曲の良さを最大限引き出したカバーは、絶品・・・というよりも、素朴な味のするお味噌汁のようなカバー。派手さはないけど、飽きの来ない、素敵なカバーアルバムでした。

評価:★★★★★

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2009年12月19日 (土)

伝説のミュージシャン

Title:俺たちに明日はない
Musician:頭脳警察

俺たちに明日はない

ロック=反権力、という、既に使い古されたような図式があります。

欧米では、RAGE AGAINST THE MACHINEのように、明確に「反権力」を打ち出しているバンドもいますし、また、かなり多くのバンドが積極的に政治的な発言を行うように、ロック=反権力という図式は、いまなお有効なように思われます。

ところが日本では、このロック=反権力という図式は、あまり当てはまりません。日本と欧米の、政治に関わるスタンスの違いもあるのかもしれませんが、日本のミュージシャンで政治的な発言をするミュージシャンは(ソウル・フラワー・ユニオンみたいな一部のバンドをのぞいては)ほとんどいません。あげくの果てには、ロックバンドと名乗るミュージシャンが「友達を大切にしよう」だの「親を大事にしよう」だの、道徳の教科書のようなことを歌いだす始末。

そんな日本でも、デビュー以来、強烈な「反権力」のスタンスを貫き、「伝説のバンド」とも呼ばれたミュージシャンがいます。頭脳警察。かなりインパクトのある名前ですが、フランク・ザッパの曲のタイトルからバンド名を拝借したこのバンドは、3億円事件の犯人モンタージュ写真をジャケットにしたデビューアルバムが、政治的な理由から発売中止になり、大きな話題を呼びました。

1975年に解散後、なんどか再結成を繰り返した彼ら。そしてこのたび発売された約18年ぶりとなるニューアルバムが本作です。

偉そうに語っておいて何なのですが、頭脳警察に関しては、再発売された話題のデビューアルバムだけが、私のCDラックの中に並んでいました。「赤軍兵士の詩」やら「銃をとれ」やら、あまりにも時代性を感じさせる政治的な歌詞が強烈的。ただ、その一方で、時代に寄り添いすぎた歌詞は、21世紀の今聴くと、違和感を覚えますし、おそらく、共感を覚えるという方は少ないのではないでしょうか。

例えばはっぴいえんどやフラワー・トラベリン・バンド、あるいは村八分などといった、日本ロックの黎明期で「伝説」と呼ばれるようなバンドの作品が、いまなお普遍的な魅力を放っているのと対象的に、彼らのデビュー作は決して「時代を超えた普遍的な傑作」ではありません。

しかし、時代に寄り添うというのもまた、ポピュラーソングの大きな魅力なのは間違いないでしょう。

さて、そう考えると今回の作品。あいかわらず「反権力」というスタンスが貫かれているのが彼ららしいところ。ここらへん、デビューから40年近くたつのに、そのスタンスは全くかわっていません。ただし、今回の作品でアンチの対象となっているのは、マスメディアやら社会全般やら、もっと広く抽象的な対象。「時代に寄り添う」という感覚はちょっと薄まっています。

ただし、その歯に衣着せぬ歌詞の数々は相変わらず。ロック=反権力は使い古された、と冒頭に書いたものの、やはり世の中のタブーに果敢に挑戦しようとするスタイルは、純粋なカッコよさを感じます。ジャケットも、見るからに悪そうなおやじ2人組なだけに(笑)、アウトロー的な魅力を放っています。

そして、頭脳警察の魅力って、単純な反権力じゃなくて、どこか歌詞にユーモアが混ざっていることなのではないでしょうか。このアルバムも、「死んだら殺すぞ」やら「ヒトを喰った話」やら、タイトルもどこかユーモラス。権力に対して真正面からこぶしを振り上げて反抗するのではなく、どこか斜めから皮肉めいて攻撃するスタイルが、単純な反権力ではなく、反権力をロックというエンタテイメントに昇華させているのでしょう。

さて、これだけ反権力、反権力といいながら、さて、CDを聴いてみようと実際にアンプのプレイボタンを押すと、あまりにポップなメロディーにビックリするのではないでしょうか。正直、もっとパンキッシュな作品を予想していた私も、彼らの作品を最初に聴いた時、意外に端正な作風に、ちょっと驚かされました。

ただ、シンプルなメロディーとサウンドなだけに、より歌詞の凶暴さが際立つのかなぁ。もちろん、そのポップなメロディーもなにげにインパクトが強くて魅力的。「頭脳警察1」の頃と大きく変化はないのに、歌詞と違ってメロディーは、時代を超えた普遍性を持っています。これもやはり彼らの大きな魅力でしょうか?

最後に。ちょっとビックリしたこと。ドラムスがLINDBERGの小柳"Cherry"昌法だったこと(笑)。かなり意外な組み合わせにビックリしました。

評価:★★★★

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2009年12月18日 (金)

キリンジ×1/2

Title:River
Musician:馬の骨

River

ミュージシャンの名前としてはかなり突飛に思えるのですが・・・「馬の骨」の約4年ぶりとなるニューアルバム。って、ご存知の通り、キリンジの弟、堀込泰行によるソロユニットです。

キリンジとしても、良質なソフトロックの名曲を数多く手がけてきた彼。それだけに、このソロアルバムも、そんな「大人のポップス」とでもいうべきでしょうか、良質なポップソングが数多く収録されています。

アコースティックテイストなソフトロック「Fine day」からはじまり、馬の骨流クリスマスソング「Carol」は、とても鐘の音がかわいらしい逸品。アコーディオンの音色がちょっと悲しげな「遠い季節」や、のんびりと聴かせる「River」をはさみ、ラストは「To Be Continued」。明るい雰囲気で終わるこの曲は、馬の骨としての活動が、今後も続くであろうことを示唆している・・・ということでしょうか??

そんな良質なポップソング揃いの作品なのですが、正直、ちょっと物足りなさも覚えました。

キリンジの場合、堀込泰行のポップソングに挟まって、兄堀込高樹の、ファンタジックながらも口語文を多用する、独特の歌詞の世界が繰り広げられるポップソングが入ってくるわけです。

そういう2人の個性のぶつかりあいが、キリンジの曲のバリエーションを広げていたのですが、正直、このアルバムは、そんなキリンジに比べてしまうと、ちょっと物足りない。結局「キリンジ×1/2」なのかなあ、ということを感じてしまいました。

もちろん、1枚のポップスアルバムとしてはクオリティーの高い作品なのは間違いないと思います。ただ、これならキリンジとしての新作を早く聴きたかったかも。

大人向けのポップスアルバムとして、お勧めはできる作品だと思います。でも、次はキリンジとして、是非。

評価:★★★★

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2009年12月17日 (木)

耳なじみある曲がたくさん

Title:15周年ベスト
Musician:栗コーダーカルテット

15周年ベスト

栗コーダーカルテット、このバンドについては、以前からアルバムを何枚か取り上げたこともありますし、ご存知の方も最近では増えてきたか、とは思います。栗原正己をリーダーに活動する4人組バンド。バンド名通りのリコーダーや、ウクレレなどでポップなメロディーを奏でるインストバンドで、ほんわかとした暖かみのあるアコースティックな音が持ち味の、独特の味わいを醸し出しているバンドです。

NHKの「おかあさんといっしょ」の挿入歌や、アニメソングなども手がける彼らなだけに、その名前は知らなくても、その曲を聴けば「ああ、あの曲ね」と思う方も多いかもしれません。

そんな彼らが結成15周年を記念してリリースしたベストアルバム。そのまんまのタイトルも実に彼ららしいのですが(笑)。

おそらく、このアルバムを聴いて、「ああ、あの曲!」と思うのは、「小組曲『ピタゴラスイッチ』」ではないでしょうか。そう、あの話題となった「ピタゴラスイッチ」のテーマ曲を手がけたのは彼らなのです。

その他にもユニークなのが、ネット上で話題となった「帝国のマーチ」。あの「スター・ウォーズ」の「ダースベイダーのテーマ」なのですが、不気味で威厳のある「ダースベイダーのテーマ」をウクレレ&リコーダーでカバー。不気味さも威厳もどこへやらといった感じの、脱力系カバーになっていて、その原曲とのあまりのイメージのギャップがとてもユーモラスなカバーになっています。

もちろん、その他にも「遠くの友達」のように、メロディアスで暖かみのある楽曲や、「純な賛美」のような、哀愁たっぷりのアコギでしっかり聴かせる大人の雰囲気満載の楽曲など、リコーダーやウクレレメインながらも、その音楽性の広さに、彼らの実力を感じさせてくれます。

ポップな作風のインストナンバーなので、かなり広い層に支持されそうなアルバムだと思います。ただ、随所随所に感じユーモアさや、独特のポップスセンスが彼らは持っていて、そのため、単純なイージーリスニングとも一線を画しているのも魅力的。これからの寒い季節にピッタリの、心が温かくなるような1枚です。

評価:★★★★★

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2009年12月16日 (水)

冬の到来

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート1位は、桑田佳祐の2年ぶりとなるシングル「君にサヨナラを」が獲得しました。サザン活動休止後初となるソロシングルなのですが、初動7万1千枚は、前作の初動9万4千枚から大幅に減少してしまいました。

ただ、楽曲は彼らしい、暖かい曲調のミディアムテンポのナンバーで、これからの季節にもピッタリ。ファンの裾野が広いだけに、ロングヒットになるか??

で、ちょうど今日、列島を寒気が襲い、一気に肌寒い冬の季節への到来となりましたが、そんな気候にあわせるように、冬を感じさせる曲が今週は多くランクインしています。

3位にBoA「まもりたい~White Wishes~」、4位にGACKT「雪月花-The end of Silence-」はどちらも冬の季節を感じさせるナンバー。どちらもゲームのテーマ曲なのも、冬休みに向けて、暖かい部屋の中で楽しむためのゲームが多く発売されるためでしょう。

そしてもっともこの季節らしいのが、5位に初登場してきたL'Arc~en~Ciel「Hurry Xmas」でしょう。2007年にリリースしたシングルの、パッケージを変えた再々発盤。昨年の再発盤も、初動2万枚8位初登場8位でベスト10入り。初動は1万5千枚とダウンしましたが、三度のベスト10入りとなりました。

ただ・・・山下達郎の「クリスマスイヴ」や、ワムの「ラストクリスマス」と違って、国民的なスタンダードナンバーになった、とはいいがたいこの曲。毎年買っているのは、やはり熱烈な固定ファンということでしょうか?そうだとしたら、毎年パッケージを変えて再発するというやり方は、少々アコギような気がするなぁ・・・。

他に今週は、2位にw-inds「New World」、8位に清水翔太「君が好き」がそれぞれランクインしています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート1位は、Kinki Kidsのニューアルバム「J Album」がランクインしてきました。「A Album」からはじまって、「J」だからこれが10枚目・・・ではなく、前作のタイトルが「Φ」だったので、11枚目となるニューアルバムです。初動売上は17万枚で、前作の19万枚から少しダウンしています。

3位には、UVERworldのベストアルバム「Neo SOUND BEST」がランクインしています。初動売上は10万枚で、オリジナルアルバムとしては前作「AwakEVE」の初動売上11万5千枚からダウン。ベストアルバムの初動がオリジナルを下回ってしまったということは、浮動票が確保できていないということ。少々気にかかる結果です。

5位には女性2人組R&BユニットLil'Bの2枚目となるアルバム「ONE」がランクイン。前作の初動4万枚から、初動2万2千枚と半減近いダウン。ここらへんがふんばりどころか?

6位には、2004年に惜しまれつつ解散したTHE YELLOW MONKEYへのトリビュートアルバム「THIS IS FOR YOU~THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM」がランクインしています。結成20周年を記念してリリースされたトリビュート盤で、奥田民生やあがた森魚のようなベテラン勢から、TRICERATOPSや9mm Parabellum Bulletみたいな、いわゆる「ロキノン系」と呼ばれそうなオルタナ系バンドに、ムックのようなビジュアル系バンドまで、幅広いバンドが参加しており、あらためてイエモンの影響力の大きなを感じさせます。

最後。8位には里田まいwith合田家族の同タイトルのアルバム「里田まいwith合田家族」がランクインしています。

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2009年12月15日 (火)

美しいメロディー

Title:空気人形オリジナルサウンドトラック
Musician:world's end girlfriend

空気人形 O.S.T.

world's end girlfriendの新作は、映画「空気人形」のサントラ盤。WEGというと、ピアノやストリングスの美しい音に、歪んだ電子音などを絡ませて、美しいんだけど、強烈に毒気を帯びた独自のサウンドを作り出しています。

今回の作品は、映画のサントラということもあって、いわばWEGの音を、ろ過して、「美しい音」の部分だけを抽出した、といった印象を受けました。とても美しくクリアな、ピアノやストリングスのメロディーが楽しめます。

・・・という書き方をすると、毒気が抜けた音って、全然よくなさそう・・・という感想を持つかもしれません。しかし、そうじゃないんですよね。ピアノとストリングスの美しい音色の中に、忍び込むような独特なメロディーラインや音が、強烈なインパクトを持っています。

いわば、ろ過されても取れなかった、こびりついたWEGの毒気とでもいうべきでしょうか。こんなこと言うと、あまり良くない印象に取られがちなのですが、WEGの個性の強さをあらためて感じました。

評価:★★★★★

で、そんなworld's end girlfriendが、かつて、world's end boyfriend名義で発売したクリスマスアルバムを無料配信するというニュースが飛び込んできました。

world's end boyfriendの名作クリスマスアルバムを無料配信 (「ナタリー」より)

もちろんさっそく聴いてみました。

Title:Xmas Song
Musician:world's end boyfrined

Web_xmassong

こちらはまさにWEGらしさ満載といった感じの作品。1曲目から「ジングルベル」のカバーなのですが、基本的にはクリスマスらしいハッピーでポップなメロディーが流れていながらも、サイケデリックなエレクトリックサウンドがそれに絡んで、一種独特の狂気ともいうべき世界観をつくりあげています。

ベルの音を入れるなど、クリスマスの雰囲気は全編に流れているのですが、かな~りひねくれたクリスマスアルバム(笑)。ただ、それがまた彼ららしいといったところでしょうか?その世界についついはまってしまう作品。ただし、クリスマスパーティーで流すのには全く向きません(^^;;

評価:★★★★★

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2009年12月14日 (月)

聴かせるバラードからおバカソングまで

Title:米米米~SUNRICE~
Musician:米米CLUB

米米米~SUNRICE~

本格的に再始動した米米の、再始動後2枚目となるアルバム。

米米CLUBといえば、やはりおバカなコミックソングから、心にしんみりと響くようなバラードまで、ひとつのアルバムに収められているバリエーションの豊富さが大きな魅力でしょう。

今回のアルバムも、ひとつのアルバムでよくぞこれほど・・・と思うほどのフレ幅。

「つ・よ・が・り」のようなバラード路線に、「ふりむかないで」あたりは、かつての大ヒット曲「君がいるだけで」を彷彿させるような、伸びやかなポップナンバーになっています。

かと思えば、アップテンポな「恋のギャンブル」は、米米らしい歌謡ファンクともいうべきチューン。ファンクに歌謡曲の要素を入れてポップにまとめあげるという手法は、米米のお得意とする手法。ある意味、もっとも彼ららしさが出ている曲といえるでしょう。

その一方で、「愛夢泥酔野郎」のような曲や、そのまんまSEXを歌ったような「SUNRICE」みたいなおバカソング(タイトル曲なのに・・・)を入れちゃうのも彼ららしいところ(笑)。

でもって、「SPACY ROADSTER」のような、ジェームス小野田ボーカルのロックナンバーや、「愛の銀河旅行」のような、シュークリームシューボーカルの歌謡曲風のナンバーを入れてきて、さらに楽曲の幅を広げています。

まさに次から次へと繰り返される様々な楽曲に、アルバム1枚でひとつのショーを見ているような、そんな雰囲気にさせてくれるアルバムです。

ある意味、マンネリといえばマンネリな部分も否めないのですが、きっちりとリスナーの壺をついてくるのはさすが。ベテランバンドとしての実力も感じさせます。

やはり彼らは最高のエンターテイナーだなぁ、ということをあらためて感じることの出来る1枚でした。

評価:★★★★

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2009年12月13日 (日)

絶滅危惧種??(笑)

Title:STRAWBERRIES AND CREAM
Musician:カジヒデキ

STRAWBERRIES AND CREAM

映画だったりサントラだったりで、このサイトでも時々登場する漫画「デトロイト・メタル・シティ」。その漫画の主人公がこよなく愛し、かつ、主人公のバンド「デトロイト・メタル・シティ」の音楽、デスメタルの対極として登場するのが、「おしゃれなポップス」。具体的には、スウェーディッシュ・ポップや、渋谷系のギターポップがその代表格として登場してきます。

ただ、実際には、現在、この漫画の中で登場するような、典型的な「おしゃれなポップスバンド」というのは、ほとんど絶滅寸前となっています。主人公が熱烈なファンである、として登場してくるカヒミ・カリィにしても、ここ最近では、おしゃれなポップスサウンドからどんどん離れて、独自の世界を構築してきています。

そんな中、今なお愚直に、おしゃれでポップなスウェーディッシュ・ポップ路線を追及するのが彼、カジヒデキ。「デトロイト・メタル・シティ」の主人公、根岸崇一の壺にピッタリはまりそうな、スウェーディッシュ・ポップスを、このアルバムでも奏で続けています。

このアルバムでも、「ミニスカート」「パッション・フルーツ」など、冒頭から、いかにもなギターポップス路線でスタート。キュートでポップなメロディーと、かわいらしい歌詞の世界は、今回のアルバムでも健在です。

スカ風のリズムを取り入れた「泡いっぱいの恋の中」や、ダンサナブルな「明日は明日の風が吹け」など、それなりのバリエーションを取り入れてはいますが、基本的には、王道のスウェーディッシュ・ポップ路線が続く作品。ある種のマンネリ気味である点も否めないのですが、これだけ愚直に、好きな音楽を演り続けるという彼には、ある種の敬意も感じてしまいます。

もちろん、昔と同じ、という訳ではなく、それなりに大人のカジヒデキも感じられ、勢いだけではない、安定したサウンドを聴かせてくれます。ただ、ベースは以前から変わらず、昔からのファンもある意味安心して聴ける作品だと思います。

先の漫画の中でも、明らかにカジヒデキをモデルとした人物が登場したり、映画の中でも彼が出演していたり・・・そもそも主題歌を提供していたりと、「デトロイト・メタル・シティ」との結びつきも強い彼。ある種、ギターポップをパロディー化し、「笑い」の対象とすらしている中、積極的に参加しているというのは、自分の音楽に対する、確固たる自信も感じさせます。

今後もおしゃれな渋谷系ギターポップスを変わらず聴かせてくれそうです。これからの活躍も楽しみですね。

評価:★★★★

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2009年12月12日 (土)

ポップだけど、ベタになりすぎず

Title:(R)
Musician:九州男

(R)「マルアール」

シングル「1/6000000000」が着ウタ主導のヒットで、内容が、典型的な着ウタヒット系(?)のラブソング・・・ということもあり、九州男は最初、あまり期待してなかったんです。ところがアルバム「HB」が意外や意外、聴かせる充実の内容に仕上がっていてビックリしました。

それに続くメジャー2枚目のアルバム。タイトルは正式には、○の中に「R」で「マルアール」だそうです。今回も、なかなか評判はいいみたいで、また聴いてみたのですが・・・

あらためて思うのですが、九州男って、リスナーの壺をついてくるのがとても上手いんですよね。

メロディーはしっかりインパクトがあって、メロディアス。東洋風の哀愁あるメロディーが特徴的の「桜道」といい、見方によってはある種ベタに近いメロディーと捉えられるかもしれませんが、必要以上に盛り上げるわけではなく、しっかりとメロディーを聴かせることによって、インパクトだけが残る、キャッチーなポップナンバーになることを回避しています。

歌詞にしても、東京に出てきた青年の心境を歌った「大都会」、子供の成長を歌った「桜道」など、誰でも経験するような素材を、しっかりと心に響く言葉で歌い上げています。

アレンジにしても、レゲエのリズムをメインに、「Happy Drive」「Movin'」では、打ち込みのリズムを前面に押し出したダンスチューンを楽しませてくれたり、「キミが居るなら…」ではスティール・パンでしっかり聴かせたり・・・ラストの「いないいないばあ」は、ストリングスを使って、スケール感たっぷりのナンバーになっています。

様々なバリエーションあふれるメロディーに、心にしっかりと届く歌詞がとても魅力的なアルバム。哀愁たっぷりのメロディ+レゲエというスタイルで、ちょっとケツメイシに似ている部分も感じてしまったのですが・・・前作同様、予想していた以上にいい作品だったと思います。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★

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2009年12月11日 (金)

今の時代の音

Title:Rated R(邦題 R指定)
Musician:Rihanna

Rated R

アメリカのヒットチャートをにぎわせるR&BやHIP HOPといったジャンル。もちろんロックもそれなりには頑張ってはいます。ただ、ここ最近、ヒットチャートの王道を行って、かつ、新しい音を感じさせるのは、やはりR&Bの系統が多いのかなぁ・・・(特にアメリカ系では)と思ってしまいます。

彼女、Rihanna(リアーナと読みます)は、まさに、そんな今風の新しい音を届けてくれるR&Bの、典型的なシンガーといっていいかもしれません。

まずはプロデューサー勢が、まさに今の時代を象徴する名前が揃っています。

日本でも人気のNe-Yoをはじめ、Justin TimberlakeやStargate、Tricky Stewartなど、いまをときめくメンバーがズラリ。

それだけに、音もまさに今風。エレクトロサウンドがメインとなっていて、冒頭の「Mad House」「Wait Your Turn」をはじめ、ヘヴィーなナンバーが続き、怪しげな雰囲気を作り出しています。

「ROCKSTAR 101」では、あのSlashがゲストで参加した、ロッキン・エレクトロなナンバーで、まさに今ジャストの流行の音といった感じ。ここらへん、ロックリスナーでも楽しめるナンバーになっています。

一方では、「Stupid in Love」「Russian Roulette」など、哀愁たっぷりに聴かせるバラードナンバーも楽しませてくれ、王道のR&Bといったサウンドも楽しませてくれます。もっとも「Russian Roulette」などは、強いビートに、どこかロック風な香りも感じますが・・・。

また「Photographs」では、男女デゥオでしっかり聴かせると思いきや、中盤からアップテンポな楽曲となり、さらにはラップも加わる・・・などといったユニークかつ展開がおもしろい作品も聴かせてくれたり、「Te Amo」などではどこかエキゾチックなリズムを聴かせてくれたり、と様々な作風も楽しませてくれます。

ジャンル的にはR&Bなのですが、ロック風のリズムも多く、ロックリスナーでも楽しめそうな作品。なによりも、ちょっと一歩先を行くようなサウンドは聴いていてワクワクしてきます。こういう純粋にワクワクさせてくれる今風なサウンドが、今のロックシーンには少々不足しているような気がするんですよね・・・。まさに今の時代を感じさせてくれるような作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

808s&Heartbreak/Kanye West

808s & Heartbreak

今の音といったら、彼のまさにそんな今の音を作り出すミュージシャン。エレクトロのサウンドがメインながらも、中にはエレクトロニカ的な無機質な電子音を見事ポップにまとめている実験的な作風もあり、とても楽しめました。ロックリスナーにもかなりお勧めしたい作品です。

評価:★★★★★

The Sound Of The Smiths/The Smiths

The Sound of the Smiths

上2枚が、まさに今の音とすれば、こちらはまさに80年代風の音。また、上2枚が、ネットスラングを使うと「リア充」の音楽とすれば、こちらは「喪男」たちの音楽(笑)。そんな訳で、今の時代、The Smithsがもっと聴かせたり、そのフォロワーがもっと出てきたりしてもいいと思うんですけどね。ただ、彼らみたいに、自分の恵まれない境遇を歌にして世に出る時点で、もっと「もてたい」「認められたい」という欲求が底辺にある訳で、そういう意味では今はやりの言葉を使うと、大きくわけて「肉食系」。「草食系男子」が増えてしまった現代では、The Smithsみたいなバンドも、出ずらくなってしまったのかなぁ・・・。

評価:★★★★★

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2009年12月10日 (木)

ソロとしての本領発揮

Title:MIDAGE RIOT
Musician:伊藤ふみお

MIDAGE RIOT

元Kemuriのボーカリスト、伊藤ふみおの、バンド解散後初となるソロアルバム。彼自身、バンド活動中に1枚ソロアルバムをリリースしていますので、事実上、2枚目のアルバムとなります。

前作は、あくまでもバンドのサイドプロジェクトの側面がありました。ある種、あえてKemuriとは違う側面を出していました。それに対して本作は、あえていえばソロとしての本領発揮。ミュージシャン伊藤ふみおの様々な側面を前面に押し出したアルバムになっています。

で、そのミュージシャン伊藤ふみおなのですが、その懐の大きさに驚かされます。

以前のKemuriは、スカパンクバンド。もちろんその実力は折り紙つきながらも、スカパンク一本で、少々音楽性の幅という側面では狭かったのも否めません。

それに対して本作では、冒頭「Love is a giving thing」から、ホーンセッションを入れてあかるく盛り上げる、いわばミュージカル風なナンバー。その後も、「my funny little girl」は、あの「マイ・ウェイ」すら思い出させるような、雄大な、そして少々歌謡曲風な要素も加わった聴かせる楽曲になっていますし、「晴れわたる空へ」は、スティール・パンがとてもさわやかなナンバー・・・と、実にバリエーション豊かです。

一方、もちろんKemuri同様、スカのリズムをベースにした曲は目立ちますし、「心の鐘」のように、スカで、かつダンサナブルなナンバーなど、Kemuri時代のファンも満足いけるかと。

少々一本調子だったKemuriの曲に比べて、そのバリエーション豊かな展開は最後まで飽きさせず、かつ、今後の彼の活動が、さらに楽しみになってくるようなアルバムでした。

こういうソロとしての方向性は、ソロとしての前作「変わりつづける景色の中を」でも垣間見れていたのですが、それがよりクリアになった作風でした。彼の暖かい歌声とあわせて、Kemuriをあまり聴かなかった方でも取り込める作品。ミュージシャン伊藤ふみおのこれからが、とても楽しみになる作品でした。

評価:★★★★★

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2009年12月 9日 (水)

ロックバンド、がんばる。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先々週のチャートも、ロックバンドが目立つチャートでしたが、今週のシングルチャートも、ロックバンドの活躍が目立つチャートになっています。

まず1位は、東京事変「能動三分間」が獲得!椎名林檎のソロ活動があったため、約2年3ヶ月ぶりの新曲が、見事自身初となる1位となりました。初動売上も、前作の3万3千枚から4万5千枚へアップ。グリコ「キスミントガム」CMソングという効果もあるのでしょうが、アップテンポでダンサナブルな曲自体のインパクトの強さによるところも?ちなみに、楽曲の長さはもちろんちょうど3分です(笑)。

で、続く2位もDir en grey「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」とロック勢が続きます(まあ、こちらはビジュアル系というカテゴライズにも入るのですが・・・)。こちらも2位は自身最高位。ただ、初動売上は、前作からほぼ横ばいの2万6千枚となっています。

さらに3位BUMP OF CHICKENをはさんで、4位にも初登場でASIAN KUNG-FU GENERATION「新世紀のラブソング」がランクインしています。ちょっとポエトリー・リーディング風のAメロが、いつものアジカンとはちょっと違った感じを覚える作品です。

そして9位に銀杏BOYZ「ボーイズ・オン・ザ・ラン」が入ってきました。あいかわらずもてない男の叫びを歌にのせた彼ららしいナンバーなのですが、12分にも及ぶPVがすごい!↓様々な男たち(それもいけてない男たち)が夢を語る一種のドキュメンタリーのようになっていて、今の時代を切り取ったような、楽曲以上に登場する男性たちが印象に残る作品になっています。つーか、ある意味、曲のプロモーションになっていないし(^^;;

その他には・・・。

5位 スノープリンス/スノープリンス合唱団
7位 Dear…/西野カナ
10位 心こめて/ベッキー♪#

がそれぞれランクインしています。

スノープリンス合唱団は、てっきり何かのアニメ主題歌かと思ったら、ジャニーズJr.の別働隊ユニットで、映画「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」のための期間限定ユニットだそうです。

10位ベッキー♪#は、あのバラエティー番組などで活躍中のベッキー。一応、歌手デビューとされているみたいですが、実際は既に何曲もCDはリリースしているみたいで、ここらへんの過去の楽曲は、「黒歴史」となるわけですか(笑)。とりあえず「ベッキー♪#」名義では、初となるシングルです。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは、EXILEのニューアルバム「愛すべき未来へ」が初動73万枚。ぶっちぎりで1位を獲得しました。14人になってから初のオリジナルアルバムで、初動売上は前作「EXILE LOVE」の67万枚からさらにアップしています。

他に今週、7位にBREAKERZ「FIGHTERZ」、9位にGackt「RE:BORN」がそれぞれランクインしています。

BREAKERZは、前作が初動2万5千枚で初のベスト10ヒットとなりましたが、本作は初動2万枚と若干ダウン。最近、DAIGOも一時期ほどさわがれなくなりましたし、人気も一段落といった感じでしょうか?

Gacktは、前作の初動6万1千枚から初動1万9千枚に大きくダウン。ただ、本作はファンクラブ限定版が他にリリースされているみたいなので、その影響でしょうか?もっとも、熱烈なファン以外の浮動票が、わずか1万9千枚というのは、ちょっと厳しい印象もあるのですが・・・。

また、今週、6位にEnyaのベストアルバム「The Very Best Of Enya」(邦題「エンヤ~オールタイム・ベスト」)がランクアップ。初のベスト10入りとなりました。彼女の人気にも根強いものがあります。

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2009年12月 8日 (火)

ジャズとロックの狭間で??

Title:THE FALL
Musician:Norah Jones

The Fall

ノラ・ジョーンズの新作は、ロック/ポップス色が強い作風になる・・・このアルバムを聴く前に、そういう話を耳にしていました。

今回のアルバムは、プロデューサーにキング・オブ・レオンやトム・ウェイツを手がけるジャクワイア・キングを起用。また、それに伴って、バックのバンドも、グッとロック色の強いメンバーが揃いました。

ただ、彼女の魅力って、やはりポップながらもジャジー、ジャジーながらもポップ。ポップとジャズの中間点あたりの微妙な位置付けが魅力だったりするだけに、あんまりロック寄りになっちゃうのは、どうなのかなぁ、と不安半分、期待半分でこのアルバムを聴いてみました。

で、実際に聴いてみると

なんだ、思ったよりジャジーな雰囲気じゃん(笑)。

彼女の美しいボーカルでしんみりと歌い上げる曲の数々は、いままでのノラの作品同様、ジャジーなポップソングに仕上がっており、思ったほど、以前の作品から大きな変化はないなぁ、とそう思いました。

でも聴いているうちにどうも違和感を覚えるんですよね。

それは、彼女のジャジーなボーカルと反して、バックバンドのリズムがとてもロックテイスト。横ノリのリズムでゆらいでいる彼女のボーカルに対して、バンドのリズムがしっかりと縦ノリなんですよね。

そのボーカルとバンドの絶妙なバランスが逆に面白く、ジャズでもなくロックでもない、いわばジャズとロックの狭間に入ったような、個性的な音を出していました。

「EVEN THOUGH」のような、ギターを前面に押し出した曲や、「YOUNG BLOOD」「IT'S GONNA BE」のように、ドラムスの音を前に押し出して、ロックのグルーヴを作り出している曲など、このメンバーだからこそ生まれた、ロックテイストの強い曲も多く収録されています。

その反面、ノラの歌声をしっとりと聴かせる「BACK TO MANHATTAN」「MAN OF THE HOUR」あたりは、かなりジャジーな雰囲気。かと思えば「DECEMBER」あたりは、フォークミュージックの香りが漂っていて、ジャズやロックをベースにしながらも、ノンジャンルな楽曲を聴かせてくれるのは、彼女の大きな魅力でしょう。

ノラ・ジョーンズとしての個性をしっかり保ちながら、新たな一歩を踏み出した意欲作。いままでのファンも安心して聴ける作品になっている一方、ノラが次にむかう方向も見えてきた作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

4:13 Dream/The Cure

4:13 Dream

基本的に、オルタナ系のギターロックながらも、どこかひねった曲調がおもしろい作品。ギターロックが好きなら、素直に楽しるポップさをもちながらも、一筋縄ではいかないようなサウンドが魅力的でした。

評価:★★★★

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2009年12月 7日 (月)

さらに 一歩前へ!

Title:ナユタとフカシギ
Musician:スキマスイッチ

ナユタとフカシギ

スキマスイッチは、前作「夕風ブレンド」以降、ソロ活動がメインとなり、昨年はスキマスイッチとしての活動も休止・・・と、ある種「解散フラグ」が立ちまくりの状態で(笑)、一時期、かなり心配していました。

で、ようやくリリースされた3年ぶりのニューアルバム。

無事リリースした、という事実だけでもほっとしたのですが、内容も、3年間、待っただけある出来栄えに仕上がっていました!

一言で言えば、一回りも二回りも成長を感じさせる作品。

まず、序盤の3曲から飛ばしまくります。ホーンセッションも導入したアップテンポなポップ「双星プロローグ」からスタートし、続く「雫」は、アップテンポな雰囲気から一転、哀愁たっぷりのラテン風メロディーが胸に響くナンバーに。さらに「ゴールデンタイムラバー」はファンキーでエッジの効いた楽曲と、3曲3様に、スキマスイッチの魅力をたっぷり聴かせる曲が続きます。

そして、個人的にうれしかったのが続く「ムーンライトで行こう」。東京と大垣をむすぶ夜行快速電車「ムーンライトながら号」で帰省する道のりを歌った曲で、私も学生時代よくお世話になっただけに、その歌詞を聴くと、その時の懐かしさがよみがえって来ます。

歌詞には、「蒲郡」なんて地名も入ったりして。スキマスイッチって、「名古屋出身」を思いっきり前面に押し出している訳じゃないけど、要所要所に地元を感じさせるフレーズが入っているのがうれしいんですよね。

歌詞といえば、しんみり聴かせるバラードナンバー「8ミリメートル」も絶品。恋人との別れを、恋人と映った8ミリフィルムの中の思い出に投影させ歌い上げるナンバーで、思わず泣けてくるような歌詞が魅力的。恋人時代の2人の思い出と、別れた今の心境が上手く表現されていて、心に響きます。

こんな感じで、出だしからリスナーをグッとひきつけ、かつ、魅力的な歌詞も満載のアルバムなのですが、それ以上に、音楽の幅がグッと広がったように感じたアルバムでした。

上にも登場した「ムーンライトで行こう」は、アメリカカントリー風に仕上げていますし、「レモネード」はグッと大人びたジャジーなナンバー。さらに「SL9」では、バンドサウンドとストリングスを組み合わせて、スケールの広さを感じさせる曲になっていて、ある種の「大物感」を漂わせています。

大物ミュージシャンとしての風格すら感じられるアルバムで、ソロとしての活動が、スキマスイッチの活動に、見事に還元された作品でした。本格的に活動を再開した彼ら。これからの活動がますます楽しみになってきました。

評価:★★★★★

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2009年12月 6日 (日)

20周年

Title:四重奏
Musician:THE BOOM

四重奏

デビュー20周年となる節目に発売された、5年ぶりのニューアルバム。

久しぶりとなる作品なのですが、まずは聴いて、「地味」「おとなしい」という印象を受けました。

THE BOOMというと、「島唄」をはじめ、沖縄音楽の要素を入れてきたり、「手紙」ではポエトリーリーディングの要素を入れてきたり、スカやらブラジル音楽やら・・・要するに、いろんな音楽を楽曲に取り込み、いろいろなタイプの曲を奏でてきました。

歌詞でも「敬称略」みたいな、リスペクトするミュージシャンを並べたような、ユーモラスのあるナンバーもあったりしましたね。

そういうTHE BOOMのイメージからすると、今回の作品は、とてもシンプル。ちょっと目新しいところといえば、「What I Want」でMCUをフューチャーし、ラップの要素を入れたくらいで、ストレートなギターロックやポップのナンバーが多くなっています。

他にも、アコギのアルペジオが美しい「ふたりのもの」や、ピアノとアコギの音色でバラードナンバーを聴かせる「風をなぞるように」など、シンプルでアコースティックなアレンジの暖かいポップチューンを聴かせてくれます。

あまりにもシンプルな内容で逆にとまどったほどでした(笑)。

ただ、あくまでも推測なのですが・・・20周年という節目にあたって、逆にバンドとしての原点を見直すべく、彼らはあくまでもシンプルなメロディーとアレンジで勝負したのかなぁ、ということを思いました。

「四重奏」というタイトル自体、あくまでもTHE BOOMのメンバー4人によって音楽を奏でる、という意味がこめられているような感じがします。それだけに、4人だけで奏でられるような、いろいろな音楽の要素を入れないシンプルなポップアルバムを、あえてつくってきた、のかもしれません。

もっとも、それだけに、インパクトのある曲がとくになく、正直なところ、物足りなかったなぁ、というのが率直な感想なんですけどね(^^;;

とはいえ、シンプルながらも暖かく、聴かせるナンバーの数々に、メロディーと歌詞だけでももちろん十分勝負できるTHE BOOMの実力は感じることが出来ました。21年目に突入する彼ら。今後も多くの名曲を期待したいです!

評価:★★★★

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2009年12月 5日 (土)

大御所の貫禄

Title:Love Notes II
Musician:ゴスペラーズ

Love Notes II

これが約8年ぶり2作目となる、ラブソング集第2弾。

デビューから14年。いまではヒットチャートでもすっかり当たり前となったR&Bというジャンルの先駆的存在である彼ら。今回のラブソング集で感じたのは、ある種の大御所としての貫禄でした。

・・・・・・って、まだデビューからわずか14年で、大御所って言っちゃうと、ファンに怒られるかな?(^^;;

ただ、ベテランとしての余裕みたいなものを感じるんです。

メンバー5人のハーモニーという根底の部分は昔からそのままに。その上で、時にはアカペラで、時にはバックのサウンドを入れて、様々な作風を聴かせてくれます。

そんな中でも、例えば「Body Calling」あたりは、完全に今風のR&Bのサウンドを取り込んでいるなど、決してマンネリには陥っていません。

どの曲も純粋に「いい曲」を歌い続ける彼ら。そんな彼らの魅力がつまった企画盤になっています。

新しいサウンドを取り込みつつも、必要以上に時代に媚びない彼ら。ゴスペラーズの活動って本当に実直ですよね。今風の着メロ受けしそうな曲もなければ、誰かさんみたいに、いきなりメンバーが14人に増えちゃうこともなく。ただひたすらいい曲を歌い続ける彼ら。これからもそんな彼らの素敵な曲を、たくさん聴きたいですね!

評価:★★★★★

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2009年12月 4日 (金)

歌モノはあわないな・・・・・・。

Title:pleasure
Musician:RYUKYUDISKO

pleasure

RYUKYUDISKOの2年ぶりとなるニューアルバムは、ゲストミュージシャンとのコラボをメインとした作品。歌モノの作品がメインとなっており、テクノユニットとしての新たな可能性を切り開こうとした作品・・・といっていいのかな?

ゲストミュージシャンとしては、曽我部恵一やiLL、MEGといったかなり豪華な布陣が参加。アルバムを盛り上げています。

・・・が、正直、この歌モノの作品に関してはいまひとつだったなぁ・・・(^^;;

後ろに流れているテクノサウンドについては、相変わらずの彼ららしい作品。沖縄風のサウンドやリズムを要所要所に入れつつもポップにまとめあげているスタイルは、いつものRYUKYUDISKOでした。

ただ、肝心のメロディーがいまひとつというか、どうも面白みがないんですよね・・・(苦笑)。ひねりもインパクトも薄くて、よくありがちなポップソングという枠組みを出ていません。

で、一番よかったのが、本人たちも何も考えずに作ったとコメントしていて、「おふざけ曲」の枠組みに入ってしまっている「てくのNOひみつ」だったというのも、かなり皮肉な感じが。「Top of the Island」もよかったと思ったけど、これもインスト曲なんだよなぁ。

彼らの楽曲って、いままでもある種のベタさがあって、それがいい意味でポップに機能しており、彼らの魅力となっていたのですが、歌モノに関しては、そんなベタさが、逆効果だったような印象を受けました。

後ろで鳴っているサウンドに関しては、相変わらず魅力的だっただけに、彼らの力が衰えた、という訳じゃないと思うんですよね。そういう意味では、歌モノは彼らと相性が悪かったのかなぁ、と思ってしまいます。

次回作は、インストメインの作品をやはり聴きたいかも。次回作に期待!

評価:★★★

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2009年12月 3日 (木)

ロマンティックな大人

Title:世界が明日も続くなら
Musician:GAKU-MC

世界が明日も続くなら

EAST ENDとしての活動があったため、ソロとしては約7年ぶりとなるニューアルバム。

目玉となるのは、やはり、桜井和寿と組んでヒットさせた「手を出すな」が収録されていることと、藤井隆に歌詞を提供しヒットした「ナンダカンダ」のセルフカバーが収録されているところでしょう。

特におもしろかったのは、「ナンダカンダ」のセルフカバーで、アップテンポなポップチューンを、横ノリの、ちょっとタブの要素も入れた、しっとりと聴かせるカバーに仕上げています。

一方、「手を出すな」の方は、シングルリリースの時も感じたのですが、完全に桜井に飲み込まれちゃってますね・・・。GAKU-MCが、というよりも桜井の実力なんだろうなぁ、やはり。

さて、今回の彼のアルバム、聴いてまずとても印象に残ったのが、その歌詞でした。

しっかりと具体的な内容を綴った歌詞は、丁寧にラップされていて、耳にすんなりと入ってきます。また、とてもロマンティックな歌詞が多かったのが印象的でした。

かつて人間にも翼がはえてたんだ、と歌う「屋上へと続くドア」も印象に残るのですが、なんといっても素晴らしいのは、夏目漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と約した逸話から着想した「月が綺麗です」でしょう。日本人の情を表現した日本人らしいラブソングは、これぞ日本語ラップともいえる作品になっています。

楽曲の方も、HIP HOPという枠組みにとらわれないバラエティーあふれる作風が魅力的。ハードロックバンドがスタジアムライブを行っているようなアレンジがユニークな「I hope you lik it」や、アコースティックなアレンジでしっとり聴かせる「リラックスリラックス」、ブルージーなアコギのアレンジをほどこした「昨日のNo,明日のYes(acoustic version)」など、ジャンルに括れない作風を聴かせてくれます。

ただ、全体的にはちょっと地味というか、薄味だったような気がします。一番の核になりそうな「手を出すな」も桜井に食われちゃっていたし・・・(苦笑)。魅力的な作品も多いのだけに、ちょっと惜しい印象も受ける作品でした。

評価:★★★★

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2009年12月 2日 (水)

安定した人気と・・・・・・。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート。1位は映画「BANDAGE バンデイジ」の劇中のロックバンド、LANDS「BANDAGE」が1位を獲得しました。作詞作曲はあの小林武史。ただ、楽曲自体は、普通のアイドルポップで、思ったよりロック風味は薄い感じです。

で、今週のシングルチャート。安定した人気を誇るミュージシャンと、人気の下降が止まらないミュージシャンがきれいに分かれたチャートになっていました。

まず安定組は、2位BUMP OF CHICKEN「R.I.P.」と、3位ポルノグラフィティ「アニマロッサ」。前者が前作の初動17万枚から14万6千枚、後者が前作の初動5万2千枚から5万枚といずれもダウンしていますが、どちらもまだまだ高い人気を誇っており、安定した人気を感じさせます。

一方、そろそろベスト10が危うくなってきたのが・・・9位GIRL NEXT DOOR「Orion」と、10位レミオロメン「恋の予感から」。前者が、初動売上で前作の2万3千枚から1万6千枚、後者が前作の2万6千枚から1万5千枚と大幅ダウン。ギリギリのベスト10入りになっています。

GIRL NEXT DOORは、いわば完全にレコード会社によって作られたユニットだけに、これ以上人気が落ちたら、一気に解散とかいう流れになりそう・・・。レミオロメンは、今回、なんとサウンドプロデューサーにトーレ・ヨハンソンを起用(懐かしい名前だな)しています。ただ、曲の出来は「・・・」。レミオロメンの場合、売上ダウンの理由は純粋に曲の出来による面が大きいと思うだけに、このままでは厳しいよなぁ。

皮肉にも、両者とも今年の紅白出場者。特にレミオロメンは初出場を決めています。なんだかんだいっても広告効果のある紅白なだけに、紅白出場が新たな人気獲得にむすびつくのか??

他に6位に「ヘタリア キャラクターCD Vol.6 アメリカ(W・D・C~World Dancing~)」が、8位にノースリーブス「キスの流星」がそれぞれランクインしています。ノースリーブス、一瞬NONA REEVESかと思った・・・AKB48の別働ユニットなんですね。思いっきり80年代風歌謡曲って感じで、懐かしさすら感じられるナンバーでした。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート、今週の1位はGReeeeNのベストアルバム「いままでのA面、B面ですと!?」がランクインしています。今、人気絶頂の彼ら・・・なのですが、初動はわずか25万5千枚。オリジナルアルバムとしては前作の「塩、コショウ」の42万5千枚からも大きくダウンしています。

シングルやオリジナルアルバムのヒットから考えると、これだけ売上が伸びなかったのは、かなりの驚きなのですが。正直、似たようなメロと歌詞が多いだけに、ちょっと飽きられてきたのかなぁ。解散騒動も、彼らにとってはマイナスに働いたのかもしれません。

続いて3位にはシェリル・ノームstarring May'n「ユニバーサル・バニー」がランクイン。映画「劇場版 マクロスF(フロンティア) 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」のイメージソングなどを収録したミニアルバムで、相変わらずのマクロス人気を感じさせます。

で、このMay'nのアルバム「Styles」も今週7位にランクインしています。アニソンって、曲自体にファンがついて、ミュージシャン自身の人気に結びつきにくいだけに、May'n名義でもベスト10ヒットというのは十分健闘といえるでしょう。

そして今週、話題となったのが5位にランクインしたSUSAN BOYLE「I Dreamed A Dream」(邦題「夢やぶれて」)。イギリスのオーディション番組に出演し、大きな話題となった、なんと48歳(!)の新人歌手。(失礼ながら)外見は、ともすれば年齢以上に老けて見えるさえないおばちゃん。しかし、その歌声は、美しく、クリアで、かつ表現力豊か。そのギャップの大きさも話題となり、イギリスをはじめ、世界中でヒットを飛ばしています。

日本でも昨年ヒットを飛ばし話題を呼んだ秋元順子という歌手がいましたが・・・ただ、団塊の世代に受けた秋元順子に比べ、彼女はその「天使の歌声」が、40代50代のみならず、若い世代でも受け入れられそう。まだまだ日本での売上も伸びていきそうな予感がします。

他に、6位にDJ KAORIによるMIXアルバム「DJ KAORI'S JMIX III」が、10位にアメリカで大人気を誇るR&BシンガーRIHANNA「RATED R」(邦題「R指定」)が、それぞれランクインしています。

また、BRITNEY SPEARSのベスト盤「The Singles Collection」(邦題「コンプリート・ヒット・シングルス」)が、先週よりランクアップし、8位初登場を記録しています。

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2009年12月 1日 (火)

新たな一歩は、どこへ?

Title:DOROTHY
Musician:鬼束ちひろ

DOROTHY

前作が、約5年ぶりとなるニューアルバムだったのですが、さらに2年のインターバルをおいてリリースされたニューアルバム。昨年のツアーも、疲労による体調不良で中止され、その後の活動が休止されるなど、本調子ではない状態が続いています。

以前は、ロック色の強いシングルが発売されるなど、少々迷走気味な部分も見受けられた彼女。そんな中で発売された前作「LAS VEGAS」は意外なほど、以前からの鬼束ちひろらしい作品だったのですが、今回のアルバムも、以前と同じく、力のある伸びやかなボーカルで聴かせる美しいバラードナンバーがメインのアルバムとなっています。

1曲目「A WHITE WHALE IN MY QUIET DREAM」こそ、ボーカルとドラムスのみという、異色な作風になっていますが、「陽炎」「ストーリーテラー」などは、しっかりと聴かせるバラードナンバーで、彼女の本領発揮ともいえる作品。さらに後半の「蛍」などはピアノバラードの作品となっており、「月光」「私とワルツを」あたりの全盛期のシングル群を思い出させるようなナンバーになっています。

一方、「帰り路をなくして」のような、孤独さを抱え、心の奥を吐露するようなどこか幻想的な歌詞も彼女らしいところ。ただ、以前の活動休止中の、精神状況の悪さを反映しているとも取れるだけに、以前にまして、その歌詞にリアリティーを感じてしまいます・・・。

ただ、今回のアルバムでは、80年代風のシンセサウンドを入れたポップチューン「STEAL THIS HEART」や、アコースティックなロックチューン「I Pass By」など、明るい雰囲気を持った、バラエティーあふれるナンバーも多く収録されていました。ここらへん、徐々に彼女の状況が明るくなっていることのあらわれでしょうか?

アルバム全体としては、少々インパクトが弱く、全盛期に比べると物足りなさも感じました。ただ、活動再開後の彼女の方向性がはっきりと見えた作品だったとも思います。まだ、いろいろな意味で本調子ではないみたいですが・・・無理をしないで、新たな傑作の登場を期待しています。

評価:★★★★

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