名古屋のラッパー
Title:THE CARTEL FROM STREETS
Musician:AK-69
詳しい理由は知らないのですが、なぜか、名古屋出身のラッパーって多いですよね。昨日紹介したSEAMOもそうですし、HOME MADE家族やnobody knows+、もうちょっとハードコア方面では刃頭など。地域性を重視するラッパーは、日米問わず多いのですが、その中でも、名古屋出身のラッパーというのは目立つような気がします。
名古屋・・・というよりも小牧出身のラッパー、AK-69。数多い名古屋出身のラッパーの中で、一番、「名古屋」ということを意識した曲が多いのが彼でした。
まず、ラップにかなり名古屋弁を取り入れています。「F××k Off」が一番典型だったのですが、細かい部分やイントネーションで、名古屋弁をそのままラップにしたような感じ(笑)。話言葉をそのままラップにしたのでしょうが、地域性がよく出ていました。
そしてなんといっても「Around My Hood」。清水口の美宝堂やら、ミッドランドスクエアやら矢場とんやら、地元民ならおなじみの固有名詞が並んでいます。あまりに地元(小牧方面)の有名店なども出てきていて、地元民でも、名古屋の北の方に土地勘がないと、わからない固有名詞も(笑)。かな~り地元密着というスタンスを取っているラッパーです。
さて、肝心の楽曲の内容なのですが、よくも悪くもポップで聴きやすいなぁ、という印象を受けました。
ラップの中に、要所要所、メロウなR&B風のメロディーを入れてきていて、ポップで聴きやすいですし、トラックも、リズミカルで爽やかな雰囲気のトラックがメイン。すんなりに耳に入ってくるような仕上がりとなっています。
ただ、「ギャングスター」を志向しているそうなのですが、リリックにしてもトラックにしても、ギャングスターラップらしい「やばさ」というのはあまり感じませんでした。リリックにしても、下流社会の悲哀を歌った「Only God Can Judge Me」ような、いかにもという曲もあるのですが、リスナーを訴えかけるような曲は少なく、全体的にひっかかりのある曲は少なめです。
個人的に、ラップは情報量が多く、ただでさえ聴き取りにくいのだから、しっかりと日本語を丁寧にラップし、リスナーに伝えようとするスタイルのラップが好きなのですが、彼の場合、ラップをリズムにのせてさらりと流してしまい、また、英語に頼るリリックも多いため、いまひとつ、ラップの内容が聴き取りにくくなっていました。
ジャケット写真のスタイルといい、アメリカのラップのフォロワー的位置付けから抜け出していないなぁ、というのを感じます。何年か前なら、それでも十分だとは思うのですが、ラップが完全に日本のも根付き、日本語のラップというのもを、様々なラッパーたちが模索している中、彼のスタイルにも、もっと彼らしい個性があればな、と思いました。
ただ、楽曲の内容はポップで聴きやすく、耳馴染みがいいので、多くのリスナー層がすんなり楽しめそうな内容。実力はあると思うし、個人的に、やはり地元ラッパーは応援したいし(笑)今後の活躍に期待したいところです。
評価:★★★★
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