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2009年11月

2009年11月30日 (月)

むしろプロ作家向き?

Title:ベスト
Musician:スネオヘアー

ベスト

おそらくその名前は、一度聴いたら忘れられないと思います。スネオヘアー。本名渡辺健二。もちろん名前の由来は、あの国民的漫画の、有名脇役のあの独特な髪型から。デビュー当初のアルバムも、どこか少年向け漫画の主人公を思い出すようなキャラクターが前面に描かれた、ユーモラスなものでした↓

スネスタイル

ただ、こういうユーモラスな部分と異なり、楽曲は正統派のオルタナ系ギターロック。歌詞にしてもユーモアな部分はあまり感じられず、ちょっと文学的で、ちょっと叙情的な部分もあるラブソングに仕上がっています。

そういう名前やPVなどで感じるユーモアさと、至って正統派な楽曲とのギャップがおもしろい、という見方も出来ないことはないのですが・・・・・・。

しかし、今回発売されたベストアルバム。彼の過去の作品を通して聴くと、すごく地味だなぁ、ということを感じました。

楽曲としては、メロディーにしても歌詞にしても、しっかりと作りこまれた曲が多く、メロディーラインにしても、派手ではないものの耳に残ります。売り方によっては、十分ヒットポテンシャルのある曲ばかりです。

しかし、どうも垢抜けた部分がないというか、インパクトがないというか。ちょっと地味な風貌の彼自身も含めて、(ファンには申し訳ないのですが)少々華がないんですよね(^^;;

それだけに、このインパクトとユーモアにあふれる名前とともに、もっと楽曲にユーモアセンスを入れればいいのに、と素人考えで思うのですが、楽曲はストレートなポップナンバーばかり。このある種、曲に対する生真面目さが、いまひとつヒットを産み出せない要因のような印象を受けます。

楽曲の出来自体は素晴らしいので、彼の場合、自身が歌うよりも、もっと華のあるシンガーに歌ってもらう方がいいと思うんです。彼みたいなタイプのミュージシャンは、むしろ他のシンガーに曲を提供する作家向けのミュージシャンだと思うんですよね。

実際、彼も既にYUKIや新垣結衣などに曲は提供しているみたいなのですが・・・もっといろんなシンガーに、例えばジャニーズ系あたりにも提供すれば、スネオヘアーの素晴らしい楽曲がもっともっと世に広まると思うんだけどなぁ。ちょっと今のままでは惜しいような、そんな印象を受けたベストアルバムでした。

評価:★★★★

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2009年11月29日 (日)

「倒産」前最後のアルバム

Title:凸~デコ~
Musician:仙台貨物

凸~デコ~

宮城県が産んだ謎の運送屋集団、仙台貨物(せんだいかもつ)。メタルからカントリー、しっとりしたバラードから演歌まで、オールジャンルを暖かい宮城弁であなたのハートへお届けいたします!公式サイトより)

だそうです。「運送会社」という設定を用いたコミックバンド。ぶっちゃけて言ってしまうと、ビジュアル系バンドナイトメアの別名バンドです。

こういうおふざけ(だけど真面目にコミックソングをつくる)企画は個人的に好きで、おもしろいなぁ~と思っているのですが、このたび、残念ながら、倒産(?)につき活動休止だそうで、そのラストとなるアルバムを、はじめて聴いてみました。

全編コミックソング、ということで抱腹絶倒だと思ったのですが・・・ごめんなさい、全然笑えませんでした(^^;;

といっても、内容が悪くってつまんなかった、という訳じゃありません。笑いの種類が下ネタメインで、かつ、全編、東北弁を駆使したボーカルでくりひろげられる感覚的な笑い。うーん、落語みたいな、話の展開で笑わせるような笑いが好きなので、申し訳ないけど、個人的にこの手の笑いは苦手なんです(苦笑)。

まあ、そんな訳で、↓の評価は、個人的な好き嫌いの感覚が多分に含まれています。そんな訳で、笑いのセンスは人それぞれなので、このセンスにピッタリはまる方なら、はまれるかも・・・。

ただし、楽曲的には決して悪くはないんですよ。基本的に、素直なポップスロック路線がメインなので、特別なおもしろみがある、とかではないのですが、しっかりとインパクトのあるメロディーで、聴き終わった後、おもわず口ずさんでしまう曲も。水戸黄門のオープニング曲や「俺ら東京さ行くだ」のカバーなどもなかなかユニーク。ひょっとしたら、ナイトメアとしての前作「Majestical parade」よりポップソングとしての出来はいいのでは??

これでこの企画が終わりというのは、ちょっと残念。この手のコミックバンドってあまりいないので。ただ、ネタがマンネリになる前に終わらせたかったのかな?また、次のユニークな企画、期待したいところなのですが。

評価:★★★

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2009年11月28日 (土)

衝撃、走る!

Title:LIVE AT READING
Musician:NIRVANA

Live at Reading

90年代を代表するロックバンド、NIRVANA。そんな彼らの最高のパフォーマンスと言われたのが、1992年8月30日、イギリスのレディング・フェスティバルでのステージ。そのステージの模様を、そのまま収録したライブアルバム+DVDがついに発売となりました。

NIRVANAに関しては、「NEVERMIND」も「IN UTERO」も聴いていて、決して嫌いなバンドではないのですが、大ファン、という訳ではありませんでした。

それだけに、このライブ盤も最初、どうしようか迷ったのですが、ちょっと気になったので購入。

で、このライブCDを聴いた瞬間、衝撃が走りました!

大げさじゃないんです。その荒々しいサウンドと、カート・コバーンのボーカルがあまりにリアル。心の叫びをそのまま表現しているようで、思わずその迫力あるサウンドの前に立ち尽くしてしまいました。

いや、マジで。

いままでライブアルバムはいろいろと聴いてきたのですが、CDで聴いただけで、ここまで衝撃を受けたのははじめて。その心に突き刺さるような楽曲の数々に、なんでNIRVANAが、90年代の若者の心をあれだけひきつけたのか、はじめてわかったような気がします。

音的に圧巻されたライブCDに対して、DVDの方は、意外にも楽曲そのものに衝撃はさほど受けませんでした。

最初にCDから聴いた影響もあるのかもしれませんが・・・変に「視覚」という要素が入るよりも、「聴覚」だけに頼って音を聴いた方が、より音楽の本質に迫れるのかなぁ、なんてことも考えたりして。

ただ、DVDも見所がたくさん。車椅子でステージにあらわれたカート、ステージ上で踊り狂う謎の男・・・MCまで含め、ライブの模様を完全に収録しているようなのですが、資料的価値もあるDVD作品になっています。

この後に起こる「事件」のことを知っているから、特に感じるのかもしれないのですが、ステージ上のカートの姿は、どこかピュアで、どこか弱い部分を抱えているようにも感じました。一番印象的だったのは、MCで、観客に、自分の妻であるコートニー・ラヴに対して、「コートニー・ウィー・ラヴ・ユー」と叫ばしているシーン。なんか、胸にグッとくるような、印象的なシーンでした。

様々な側面から、NIRVANAというバンドの魅力をしっかり捉えたライブ盤の傑作だったと思います。NIRVANAを聴いたことない方、「NEVER MIND」くらいしか聴いたことない方(って、私もだったのですが)、是非聴いてみてほしいライブ盤です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Everything Is Borrowed/The Streets

Everything Is Borrowed

トラックはシンプルなイメージ。AORやソフトロック風、といってもいいかも??しっかり聴かせる印象を受けました。国内盤では、タイトル曲の日本語バージョンが収録・・・といっても、日本語はサビの部分のみで、「すべては借り物~♪」って、そのくらいの英語はわかるって(^^;;という、少々失笑モノでした。

評価:★★★★

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2009年11月27日 (金)

引き算の美学

Title:MONDO ROCCIA
Musician:ザ・クロマニヨンズ

MONDO ROCCIA

ザ・クロマニヨンズとして、早くも4枚目となるニューアルバム。一言で言うと、かなり力の抜けた作品だなぁ、と感じました。

ヒロト&マーシーの楽曲は、ザ・クロマニヨンズになってから、シンプルな歌詞とメロディーの曲が、以前に増して増えてきた感があります。それが如実にあらわれたともいえるのが本作。アレンジはシンプルなギターロックがメイン。メロディーにしても、奇をてらったような曲は皆無。冒頭こそ、ジャングルのリズムのようなドラムの音に驚かされますが、その後は、いかにもヒロト&マーシーといったシンプルなロックンロールナンバーが続きます。

歌詞もユーモアセンスを持ちながらもシンプルにまとめあげていて、あげくの果てに、モノラル録音と、録音形態までシンプルにしてしまいました(笑)。ジャケットも、昔のレコジャケを彷彿とさせるようなデザイン。ロックンロールがシンプルだった、昔に戻ったような作風でした。

そんな作風なだけに、ファンの間でもかなり賛否が出ているみたいですね。確かに、ポップでメロディアスな名曲や、聴かせるような歌詞という側面では、少々物足りない部分もあるかもしれません。

ただ、こういう、「引き算の美学」を表現できるのって、ベテランの彼らの実力があってからこそ、なのではないでしょうか。様々な音を入れたり、歌詞の世界を広げたりすることによって、名曲をつくりあげようとするミュージシャンが多い中、あえてシンプルさを目指すというのは、さすがはヒロト&マーシー。その力量を伺えます。

そして、なにげにシンプルでユーモラスな歌詞が妙に印象に残ったりもするんですよね。特に11曲目。「あのね」だけをただひたすら繰り返す、とても奇妙な歌詞。しかし、そのタイトルが「恋に落ちたら」・・・・・・うーん、見事。恋に落ちた人の心境を見事に歌い上げています。こういう手法、考え付く人はいるかもしれないけども、よほどの自信がない限り、やらないよね~。

賛否はあれど、ザ・クロマニヨンズの実力と、彼らの今後を見事にあらわした1枚だと思います。「引き算の美学」というのを、あらためて実感した作品でした。

評価:★★★★★

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2009年11月26日 (木)

小室先生が輝いていた時代

Title:TM NETWORK THE SINGLES 2
Musician:TM NETWORK

TM NETWORK THE SINGLES 2

TM NETWORKデビュー25周年を記念してリリースされたシングルベストの第2弾・・・・・・だったのですが、例の小室先生の事件が発生してしまい、発売が10ヶ月遅れてしまいました。そのため、デビュー25周年に間に合わず・・・(^^;;

まあ、例の事件から発売まで早すぎやしないか、だとか、それ以前にまたベスト盤??とかいう声は、とりあえず置いておいて・・・

1曲目「COME ON EVERYBODY」から、とにかく聴いていてワクワクしてしまいました!

ってことは、以前、マイケル・ジャクソンのアルバムの時も同じことを書いたのですが。ポップなメロディーに、ちょっと近未来的な打ち込みのサウンド。そしてハードなギターの音。ベタといえばベタなのですが、とにかくリスナーの壺を突くような音を詰め込んだ作品が、次々と展開されていきます。

正直、TM NETWORKの活動の中で、この時期の曲の評判は、決して芳しくはありません。実際、この時期の楽曲は、リズムと、ある種の「勢い」に頼った曲が多く、メロディーに関しては、初期の作品に比べると劣っていていまひとつ、と思ってしまいます。

それでも聴いていて、なんかワクワクしてくるんですよね。マイケル・ジャクソンにしてもそうなのですが、ちょっと時代の先を行っているように感じさせる(実際に先を行っているかは微妙ですが)サウンドと、ベタベタな、でも絶妙なポップスセンスがこのワクワク感の源じゃないでしょうか。

良し悪しは別として、最近の曲って、妙に必要以上に凝っていて、こういうポップソング特有のワクワク感を覚える曲って少ないと思うんですよね・・・・・・・単なる年齢のせいかもしれませんが(^^;;

いまでも時々、TMの曲って聴きたくなってしまうんですよね。そんな中、やはり久しぶりに聴いたTMの曲にはまってしまいました(笑)。なんだかんだいっても、この音は、自分のルーツのひとつなんだろうなぁ、間違いなく(^^;;

ただ、それでも苦言を。

まず、ありきたりな意見なのですが、ベスト盤出しすぎ(苦笑)。一応、初回盤として、レア音源とシングルのカップリングをまとめたボーナスディスクがついているのですが、ファンズアイテムとして、こういう音源のみをまとめて1枚のアルバムにしてほしいなぁ・・・。

あともうひとつ。復帰早すぎ(苦笑)。いやね、個人的に覚せい剤にしても詐欺にしても、きちんと罪をつぐなって、更生したなら、復帰してもいいと思うんですよ。でも、少なくとも、執行猶予の期間は活動を自粛すべきでは?なんか日本の音楽業界って、逮捕された時は、CDをすぐに販売中止にしたり、過剰なまでに反応するくせに、短期間で、何事もなかったかのように活動を再開させるんですよね。まあ、小室先生の場合、稼がなくてはいけない理由があったのかもしれないけど・・・ちょっと違うと思うんだけどなぁ。

下の評価はそんな2つの理由から。ただ、昔TMにはまっていた方、久しぶりにTMの過去の名曲を聴いてみてはいかが?

評価:★★★

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2009年11月25日 (水)

ロック系が目立つチャート

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先日、年末の紅白の出場者が発表となりました。初登場の嵐をはじめ、ジャニーズ系が4組も出場を決めて話題となりました。確かに「CD売上のチャート」ではジャニーズ系は圧倒的な強さですからね・・・。今週の1位もジャニーズ系、NEWS山下智久のニューシングル「Loveless」が1位を獲得しています。

ソロとしては約2年半ぶりのシングル。ただし、売上的には初動19万4千枚と、前作の40万3千枚から大きくダウン。前作は、初のソロシングルやドラマタイアップという話題性もあったのですが、それを差し引いてもかなりのダウン。先日の熱愛報道の影響もあったのか?

紅白といえば、続く4位に「ヒーロー」がランクインしてきたFUNKY MONKEY BABYSも今年紅白初出場を決めています。羽鳥アナが出演しているPVも話題の、お父さんへの応援歌を歌った作品で、初動3万7千枚は、前作の初動1万6千枚から大幅アップ。紅白出演を足がかりに、さらに人気を伸ばしそうです。

さて今週は、珍しくロック勢が目立つチャートになってます。まずは5位に、the HIATUS「Insomnia」がランクイン。現在活動休止中のELLEGARDEN細美武士率いる新バンドで、元ミッシェルのウエノコウジもギターで参加しています。

5月にリリースされたデビューアルバム「Trash We'd Love」はオリコンチャートで1位を獲得するなど話題となりましたが、今回リリースされたニューシングルも、好調な滑り出しを見せています。

6位にもYUKI「COSMIC BOX」が入ってきました。彼女の伸びやかなボーカルをよく生かした楽曲になっていて、YUKIの魅力がつまった曲になっています。

さらに7位にはSuperfly「Dancing On The Fire」がランクインしてきました。いままで最高位が10位だったので、これで過去最高位を記録。売上も前作の初動1万3千枚から若干あがり、初動1万7千枚を記録しています。キャノンのデジカメのCMソングとして流れまくっているおなじみのナンバーですね。

とりえあえずロック勢はこのくらい。あと今週は9位にMISIA「逢いたくていま」が、10位に加藤ミリヤ「WHY」がそれぞれランクインしています。

MISIAは2年ぶりのベスト10入り。ちょっと最近、売上が芳しくなかったのですが、この作品はTBS系ドラマ「JIN-仁-」の主題歌というタイアップにも恵まれ、久々のベスト10ヒットとなりました。彼女らしいしっかりと聴かせる心に響くようなバラードナンバー。ドラマも好調のようで、久しぶりのロングヒットとなるか??


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートはロック勢の活躍が目立ちましたが、アルバムチャートでも1位にはB'zのニューアルバム「MAGIC」がランクインしています。B'zが「ロック」なのか、という議論もありますが・・・(^^;;ちなみに前作「ACTION」が初動29万3千枚だったのに対して、この作品は初動34万枚とアップ。人気の根強さを感じさせます。

以下、2位以下の初登場は、女性ソロシンガーが目立っています。

2位には柴咲コウ「Love Paranoia」がランクインしています。こちらも根強い人気。初動売上では前作の5万6千枚を下回る4万1千枚でしたが、女優兼務の歌手は、歌手活動がフェイドアウトしていくケースが多い中、がんばっていますね、彼女は。

4位には声優アイドル平野綾「スピード☆スター」がランクイン。ただ、初動2万枚と、前作の初動2万2千枚から、若干初動売上は落ちてしまいました。

5位にランクインしてきたのが中島みゆきの36枚目(!)となるニューアルバム「DRAMA!」。こちらも根強い人気ですね。ただ、初動2万枚と、前作の初動3万3千枚からダウン。「夜会」で歌った曲からのセレクトと、ミュージカルへの提供曲という、ちょっと地味目なラインナップだったからでしょうか。

7位には、今、話題の女性シンガーLADY GAGAのニューアルバム「THE MONSTER」がランクインしています。ただこのアルバム、内容は、1stアルバム「THE FAME」に、新曲8曲を加えたような「企画盤」的・・・。一応「本人の要望」と公式にはアナウンスされていますが、レコード会社側の戦略的意図が見え隠れ・・・2,500円という価格設定は良心的ですが、1枚目を買ったファンにとっては、新曲部分だけもっと安く売ってほしいと思っちゃうよなぁ。ちょっと微妙な売り方のような印象を受けます。

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2009年11月24日 (火)

ポップだけど、奥は深そう

Title:フォグランプ
Musician:OGRE YOU ASSHOLE

フォグランプ

前作「しらないあいずしらせる子」ではじめて出逢って以来、個人的にかなり注目している新人バンド。それから約1年ぶりとなるニューアルバム。地元名古屋のバンドということもあってか、名古屋のタワレコではかなり大々的に展開しており、確実にその注目度を増しているみたいです。

今回の作品も、わずか8曲入りながらも、OGRE YOU ASSHOLEらしさがつまったアルバムに仕上がっています。

ポップでありながらも、どこか歪んだメロディーが魅力的な「クラッカー」。タイトル曲「フォグランプ」は、メロディアスでリズムも軽快ながら、リズムが微妙に変化して、不思議な雰囲気を醸し出しています。ラストの「ワイパー」も、メロディーを聴かせながらも、どこかサイケ風のアレンジをからませてきています。

歌詞の世界も、前作同様、寓話的で、どこか幻想的な不思議な世界観はそのまんま。ただ、歌詞に関しては、正直前作の方が、聴いていて素直に耳に入ってきたかも。もうちょっとインパクトのあるフレーズは欲しかったかな?

ボーカル出戸学の甲高い声もまた、OGREの魅力に一役買っています。しっかり耳に入ってくるインパクトを持ちながらも、無機質な雰囲気が、楽曲に不気味な雰囲気を与えている部分、このバンドのひとつの要になっているのではないでしょうか?個人的には、ちょっと中村一義に似ているような印象も。

メロディーにしてもバンドサウンドにしても、一度聴いた感じだとガツンと来るような強いインパクトを持っている訳じゃないんだけど、2度3度聴くうちに、その深みにズブズブとはまりこんでしまう、そんな不思議な魅力を持ったバンドです。

ただ一方で、前作もそうなのですが、本作もまだまだ伸びしろの部分を感じます。それだけに、まだまだこれからとんでもない傑作を作ってくれそうな予感も。ちょっと奇妙なOGRE YOU ASSHOLEという名前、今のうちから覚えておいた方がいいと思いますよ。お勧めです。

評価:★★★★★

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2009年11月23日 (月)

あのWARPのミュージシャンなれど

Title:Quicken The Heart
Musician:Maximo Park

Quicken the Heart

テクノシーンで著名な、WARPレーベル初のギターロックバンド。・・・としてデビューしてから、既に3作目。着実に、そのキャリアを築きつつある彼らの新作です。

WARPといえば、Aphex TwinやらAutchreやら、最近デビューしたロックバンドBATTLESやら、一癖も二癖もあるミュージシャンを多くかかえています。

そんな他のWARP勢に比べると、彼らのサウンドは、ビックリするほどポップで聴きやすい内容。パッと聴いた感じでは、ブリットポップの正統な継承者、なんてことを言い出しかねないような、シンプルなギターロック路線を貫いています。

「Overland,West Of Suez」あたりはまさに正統派ともいうべき、ノイジーなギターサウンドが心地よいロックチューン。他も、「A Cloud Of Mystery」は4つ打ちのリズムがテンポよくダンサナブルですし、「In Another World(You Would've Found Yourself By Now)」など、気持ちよく踊れるロックチューンも並んでいます。

ただ、その一方、シンプルそうな楽曲の裏で、シンセがおもしろい音を響かせて、曲に奥行きをあたえていたり、微妙なひねりがはいっていたりするあたりが、やはりWARPレコード所属のミュージシャンかな?とも。単純なポップとはちょっと異なる側面も見せていたりして、一筋縄ではいかない部分など、実に魅力的なバンドとも言えるでしょう。

その一方で、3作目となるこのアルバム、インパクトという面で、核となるような曲がなく、アルバム全体としては物足りなさも感じました。いいアルバムだとは思うけど、傑作か、といわれるとちょっと惜しい内容でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

And Winter Came.../ENYA

AND WINTER CAME

あいかわらずのENYAワールドが展開される1枚。まあ、彼女の場合、大いなるマンネリって感じだよね(^^;;そういうマンネリさに感じて、とやかく言うのも野暮ってもので・・・。

評価:★★★★

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2009年11月22日 (日)

復活!!

Title:EVOLUTION
Musician:FLYING KIDS

エヴォリューション

FLYING KIDS復活!!

90年代初頭、数々のファンキーな名曲を作り出し、多くのファンを集めたFLYING KIDS。1998年に惜しまれつつ、その活動に幕を閉じたのですが、2007年、再結成!その後、数多くのライブイベントに出演し、そして、それから2年、待望の、12年ぶりとなるフルアルバムがリリースされました!

久しぶりのアルバム、なのですが、のっけから全力疾走!1曲目「マタサブロウ」から、アップテンポなファンキーチューンでリスナーの耳をひきつけます。さらに「ドマナツ」もまた、ファンキーチューン。FLYING KIDSここにあり、を堂々と宣言するスタートとなっていました。

その後も、「フォーティーショルダー」「ア・ハーン」は、へヴィーなギターリフが魅力的な、ロックンロールチューン。さらに「ソウルシンガー」ではたっぷりとソウルフルなミディアムテンポのナンバーを聴かせたかと思えば、続く「ハチミツ」「ユルギナキコト」では、またファンキーでダンサナブルなナンバーで盛り上げ、ラストの「さよならレインボウ」では、しっとりとソウルフルなピアノバラードで締めくくり・・・と、そのままライブセットになるんじゃない??というほど最高の展開を聴かせてくれる内容になっています。

で。それでアルバムが終わらないのが素晴らしいところ。その後には、ある意味、12年待たせたお詫びというか、このアルバムではじめてFLYING KIDSを聴いた人への挨拶状というのか、代表曲のライブバージョンが続く内容になっています。

ある意味、1枚で2度おいしい内容。昔からのファンにとっても、最近FLYING KIDSのファンになったような方でも、FLYING KIDSの魅力を満喫できる傑作になっていました。

正直、FLYING KIDSって久しぶりに聴いたんですが、これほど日本でファンクとポップを高いレベルで融合させたバンドっていないんじゃない?本当に素晴らしいバンドだなぁ・・・ということを改めて実感した1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Sphinx Rose/浅井健一

Sphinx Rose

浅井健一名義でのベンジーの新作は、いままでの彼の作品に比べて、かなりポップで聴きやすい印象。ブランキー解散後、いまひとつ煮え切らない作品が続いているだけに、こういうポップな方向性もありかなぁ・・・と思いながら聴いていました。

前半は、かなりカッコよく、久しぶりにいい作品に出会えたかな??と思いながら聴いていました。ただ、後半になるにつれ・・・少々飽きた。うーん、曲の雰囲気も、歌詞の世界観も、なんか似たような雰囲気なんですよね。アコギで聴かせたり、ヘヴィーなギターを入れたり、それなりのバリエーションはあるのですが・・・。10曲40分程度の短さにおさめれば、もっといい作品に仕上がったような気がするのですが。

評価:★★★

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2009年11月21日 (土)

予想よりよくない・・・。

Title:くるり鶏びゅ~と

くるり鶏びゅ~と

くるり初のトリビュートアルバム完成!今回、この企画に沿って、数々の実力派ミュージシャンがくるりの名曲をカバー!奥田民生や曽我部恵一といったミュージシャンから、9mm Parebellum BulletやMASS OF THE FERMENTING DREGSといった若手実力派、さらには矢野顕子や松任谷由実といった大御所まで、くるりの楽曲をそれぞれの解釈でカバーしています。

が。これが予想していたほどはよくなかったんですよね・・・・・・。

それだけの実力派が、一堂に会している割には、聴いてみて、いまひとつピンと来なかったんです。

確かに、1曲1曲聴いてみると、それぞれのミュージシャンが、それぞれ持ち味を出していて、「よく出来ているなぁ」とは思うのですが、アルバムを通して聴くと、いまひとつ印象に残らなくて。

なんでだろう、と思ったんですが、下手に原曲をこねくりまわしすぎているんじゃないかな、という結論に至りました。妙にいろいろな音をサンプリングしてきたり、妙にメロディーをいじくってみたり、必要以上にボーカルを強調してみたり。もともと、くるりの曲って、淡々とシンプルな曲を、岸田が淡々と歌い上げるのが魅力的だったのですが、それにあまりにも手を加えすぎたのかなぁ、という印象を受けました。

一方、9mm Parebellum BulletやMASS OF THE FERMENTING DREGSといった若手勢は、素直にくるりの曲を自分の土俵に引きずり込んできたようなカバーを聴かせてくれるのですが、ちょっと物足りないというか、まだまだ成長の余地を感じるカバーでした。

ただ、そんな中でずば抜けていたのが、松任谷由実の「春風」のカバー。荒井由実時代を思い出させるような、シンプルなカバーに、ユーミンの癖はあるけどさわやかで、芯の通ったボーカルが実に魅力的。あらためてユーミンのすごさを実感できる名カバーに仕上がっていました。

他も、矢野顕子の「Baby I Love You」や、奥田民生の「ばらの花」とかは、比較的いいカバーには仕上がっていたとは思うけど・・・並んでいる面子と、くるりの曲ということから、かなり出来のいいトリビュート盤になるんじゃないか、と期待していたのですが、ちょっと物足りなさを感じてしまうカバーでした。

昨日から2日連続、トリビュートアルバムを紹介してきましたが、ある意味、対照的な結果になっちゃったなぁ。このアルバムに関しては、ちょっと残念でした。

評価:★★★

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2009年11月20日 (金)

予想以上によかった!

Title:LOVE LOVE LOVE

LOVE LOVE LOVE

ビートルズのリマスター盤がリリースされ、音楽シーンにはちょっとしたビートルズブームが巻き起こっていますが、そんな中発売されたビートルズへのトリビュートアルバム。椎名林檎や忌野清志郎、GLAYやユーミン、異色派としては坂本冬美といったミュージシャンが、ビートルズの名曲を、それぞれの解釈でカバーしています。

ただ、このアルバム、今回の企画にあわせて作品を提供・・・ではなく、基本的に、過去に発表している曲の寄せ集め的な作品。また、いかにもビートルズ作品のリマスターに伴うブームにのっかかったようなアルバム。そんな訳で、正直なところ、あまり期待していませんでした。

が、想像以上によかったんですよ、これが。

まず特筆すべきは、GLAYやTHE ALFEEといった、正直、音楽ファンからは、「J-POPのミュージシャン」として軽く見られているような彼らのカバーが、これまたよかったんですよね。

GLAYの「MOTHER NATURE'S SON」も、じっくりと情感あるボーカルを聴かせてくれますし、THE ALFEEもまた、ハードなギターリフが予想以上にカッコよく、また、「TICKET TO RIDE」のハードロック風カバーが、これまたピッタリと決まっていて、原曲とはまた違った魅力を感じさせてくれました。

もちろん、それ以外にも、椎名林檎の「YER BLUES」は、ブルージーに、かつどこか艶っぽいボーカルが魅力的でしたし、忌野清志郎とチャボが組んだ「DON'T LET ME DOWN」も、キヨシローのボーカルとチャボのキターの絡みが文句なしにカッコいい!吉井和哉の「HELP!」も、原曲とは違い、バラードに仕立て上げていて、これもまた、原曲とは違った魅力を聴かせてくれます。

なんといってもどの曲も、THE BEALTESへの愛情を感じられるんですよね。決しておざなりのカバーではなく、人によっては原曲に忠実に、人によっては大胆な解釈を加えて。それでもなく、原曲の魅力を失わないってのは、やはりTHE BEALTESのすごさでもあり、また、ミュージシャンのTHE BEATLESへの愛情があるからなんでしょう。

THE BEATLESへの大いなる愛情を感じさせ、また、思わぬミュージシャンの思わぬ実力も感じさせてくれる理想的なトリビュートアルバムだと思います。THE BEATLESファンも是非聴くべし!

評価:★★★★★

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2009年11月19日 (木)

偉大なるエンターテイナー

Title:MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT
Musician:MICHAEL JACKSON

マイケル・ジャクソンの、行われる予定だったライブリハーサルの模様を映画化し、大ヒットを記録した「MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT」。ちなみに、私も先日、近くの映画館に見に行きました。

この作品は、その映画のサントラ的アルバム。ライブ自体、彼のベストセレクション的選曲になっていたみたいなので、当然、このアルバムも、まさにベスト盤のような収録曲になっています。

正直言ってしまうと、映画こそ見に行って、このアルバムも買ったのですが、そんな熱烈なマイケル・ジャクソンのファンではありません(^^;;そんな訳で、偉そうに、このアルバムの内容に云々語ることは出来ないのですが・・・。

でも、このアルバムを聴いて感じたことをひとつだけ。それは

このアルバムで感じる、ワクワク感は異常!!

ということ(笑)。

とことんポップで壺をついたメロディーラインに、R&Bをベースにしながらも、ポップな曲をつくるためには、ロックの要素もどんどん取り込む貪欲さ。リズミカルなテンポに、打ち込みを用いた、ちょっと近未来チックなサウンド。

本当に、素直に楽しめる極上のポップソングって、なにより聴いていてワクワクしてきますよね。彼の曲って、変な理屈を抜きとして、リスナーを楽しませること、ただ、それを第一義に曲をつくっているような印象を受けます。それだけに、これだけワクワクするポップソングを作り出しているんでしょう。まさに、稀代のエンターテイナーとしてのマイケルの偉大な業績がよくわかる作品だったと思います。

ここ最近、こういう聴いていて、ただ素直にワクワクできるようなポップソングが少なくなってきたような気がします。今、CDが売れない、と盛んに言われていますが、その大きな理由のひとつが、そういうところなのかも・・・。

あらためてマイケルの偉大さを感じ、そして、早すぎる死を惜しみたくなる、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Journey To The West/Monkey

Journey to the West

ゴリラズのデーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットが新プロジェクト。パリの名門シャトレー歌劇場が制作した「西遊記」に基づくオペラ「Monkey:Journey to the West」に、作曲と舞台デザインで参加し、そこで使用された曲を中心に構成されたアルバムです。

中国風のリズムやメロディーと、西洋風のサウンドの融合・・・といっても、どうも中国文化のなじみが深い日本人にとっては、さほど新鮮さが感じられなかったような。サントラ的内容なだけに、アルバムだけで聴くには、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。

評価:★★★

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2009年11月18日 (水)

2大巨頭?がランクイン

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートは、CD不況の今でも、圧倒的な強さでシングルの売上を伸ばす、2組のシンガーが1位2位を独占しました。

まず1位はのニューシングル「マイガール」。初動43万1千枚は、まさにCD不況どこ吹く風。テレ朝系ドラマ「マイガール」主題歌というタイアップにも恵まれ、前作の34万2千枚を大きく上回る売上を見せました。

対する2位はEXILE「THE GENERATION~ふたつの唇~」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「東京DOGS」主題歌というタイアップの良さで、初動も18万3千枚と、前作の17万4千枚と、普段なら十分1位を獲得できる数字ながらも、嵐の前には1位獲得となりませんでした。

で、その2大巨頭(?)を先頭に、今週も1位から8位まで初登場がズラリと並んでいます。

3位 one way/シド
4位 SAHARA~feat.稲葉浩志/スラッシュ
5位 私の未来のだんな様/Berryz工房
6位 なくもんか/いきものがかり
7位 完璧ぐ~のね/渡り廊下走り隊
8位 W-B-X~W-Boiled Extreme~/上木彩矢wTAKUYA

まず興味深いのは、4位。人気ロックバンド、GUNS 'N ROSESの元メンバーによるソロシングルなのですが、なんとB'zの稲葉をフューチャー。もちろん、日本向けの企画とは思いますが、それに伴い、洋楽シングルとしては、バンゲリスの「アンセム」(ワールドカップのテーマソングだったやつですね)以来のベスト5入りだそうです。意外なことに歌詞は日本語なんですね。それはそれでカッコいいかも。

ちょっと意外に苦戦だったのが6位いきものがかり。初動2万4千枚は、前作の初動3万6千枚から大幅ダウン。しっかり聴かせるバラードナンバーで、比較的ヒットが狙えそうな雰囲気のナンバーなのですが・・・。

8位の「wTAKUYA」は、あの元ジュディマリのTAKUYA。ただ、ジュディマリらしくないなぁ、と思ったら、作曲はTAKUYAじゃないんですね。なぜ???上木彩矢は、このシングルからビーイングを抜け出して、avexに移籍したらしいです。別にレコード会社の移籍自体はよくある話なのですが、ビーイング系のレコード会社から、違うレコード会社に移籍すると、急に周りの作家陣がガラっとかわったり、曲の雰囲気や売り出し方も変わったりするから、目立つよなぁ。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート1位は大塚愛「LOVE is BEST」。タイトル通り、ベストアルバムです。彼女、ベスト盤としてはわずか2年前に「愛 am BEST」をリリースしたばかりなのですが・・・。デビューからわずか6年で2枚のベスト盤って、あまりに乱発しすぎじゃないか?ただ、「愛 am BEST」が初動35万枚に対して、こちらは初動わずか5万6千枚・・・人気急落、というのもあるかもしれないけど、こんな短いスパンでベスト盤を連発されても、ベスト盤を買うようなライトリスナーは買わないって(苦笑)。

続く2位に氷川きよし「演歌名曲コレクション11~ときめきのルンバ~」、4位に九州男「(R)」が上位にランクインしています。九州男は1年ぶりのアルバム。久しぶりに名前を聞いたような・・・。初動売上は前作の4万2千枚から下回り2万4千枚となりましたが、前作の頃は、「話題のミュージシャン」みたいに相当持ち上げられていたことを考えると、とりあえず2枚目でこの数字なら健闘といった感じでしょうか?

6位にNorah Jones「The Fall」がランクイン。いままで、ジャズというイメージが強かった彼女ですが、本作は、かなりロックの色合いが濃いアルバムになっているとか。

アルバムチャート初登場最後。8位にHAWAIIAN6「BONDS」がランクインです。久しぶりに名前を聴いた・・・と思ったら、なんと4年ぶりとなるアルバム(!)。前作「BEGINNINGS」の初動3万2千枚を下回る初動1万4千枚とはいえ、ほとんどその間メディアにも出ていませんし、このアルバムもそんなにプロモーションした印象もありません。それでも、これだけ売れるというのは立派なところ。根強い人気を見せ付けました。

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2009年11月17日 (火)

10周年の贈り物

Title:つじギフト~10th Anniversary BEST~
Musician:つじあやの

つじギフト~10th Anniversary BEST~

つじあやのが、デビュー10周年を記念してリリースされた、2枚組のベスト盤。つじあやの、デビューしてからもう10年になるのかぁ~出てきた当時はまだ大学生だったよな・・・月日が経つのは早いなぁ~。

で。2枚組のベストとはいっても、純然たるベスト盤というよりは、企画盤的な要素が強い作品になっていて、まず1枚目は、様々なミュージシャンとのコラボレートした作品を収録したアルバムになっています。

こちらの作品を聴いて感じたのは、つじあやのってミュージシャンは、思った以上に個性の強いんだな、ということでした。

コラボしたミュージシャンはBEAT CRUSADERSに奥田民生、GRAPEVINEに斉藤和義と層々たる実力派・個性派揃い。それにも関わらず、決して相手の個性にのみこまれず、つじあやのの曲に仕立て上げちゃっています。

個人的に一番よかったなぁ、と思ったのは、斉藤和義と組んだ「君に会いに行きましょう」で、つじあやのの個性と、斉藤和義の個性が上手い具合に融合した作品。どちらもアコースティックな作品を多くつくるミュージシャンだけに、相性がよかったんですね。つじあやのの作品としても、斉藤和義の作品としても傑作といえる出来になっていました。

2枚目の方は、この作品が初収録になるような作品やら、カップリング曲やら、「隠れた名曲」をセレクトした作品。ウクレレの響きをメインとした、シンプルなアレンジの聴かせる曲が多く、つじあやのの本質をよりあらわそうとした作品が多い印象を受けました。

こちらも「CMソングメドレー」など、貴重な音源も。また、(こちらも)斉藤和義の「寒い冬だから」のカバーは、ある意味せっちゃんらしい(笑)、Hな歌詞が、彼女のボーカルで歌われると、ちょっとドキドキしちゃいます(^^;;

ベスト盤といっても初心者向け、というよりも、ファンズ・アイテム的な側面も否めないのですが、つじあやのの魅力がつまっていて、彼女の実力がよくわかる、素敵なアイテムだったと思います。まだまだほんわかとした(でもどこか芯の強さを感じる)名曲をどんどんつくってほしいなぁ~。

評価:★★★★★

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2009年11月16日 (月)

あの「ヒット曲」(?)も収録!

Title:GOODDEST
Musician:真心ブラザーズ

GOODDEST

真心ブラザーズ、活動20周年を記念してリリースされた、オールタイム・ベストアルバム。

今回のアルバム、真心ブラザーズの代表曲を網羅的に収録されており、10年前にリリースされたベスト盤「B.A.D.」ではさらりと無視された(?)、彼らの代表曲が収録されています。

あのニュースステーションの名物コーナー、プロ野球1分勝負で使用された「どか~ん」、そして、テンポよいリズムが耳から離れなくなったCM曲「モルツのテーマ」。残念なことに(?)おそらく、いまなお、真心ブラザーズの曲で一番知られている曲かもしれません(笑)。

ちょっと懐かしくなってYou Tubeなんかに落ちていないか探してみました。

さすがに「プロ野球1分勝負」の動画は落ちていませんでしたが、「モルツのテーマ」がつかわれているサントリーモルツの懐かしいCMを発見↓

和久井映見かわいい(笑)。もう17年も前のCMなんですね(^^;;いまだにこのメロディー、はっきりと頭にこびりついています。

彼らの初期の作品って、正直ちょっと色モノっぽいイメージが強いんです。実際、「モルツのテーマ」みたいなタイアップソングが目立ったこの時期の彼ら。ただ、真面目なシングル曲に関しては、その後の真心の曲と比べて、何ら遜色ない名曲も多いんですね。ただし、この時期の曲は、フォークからの影響が強いのが特徴的。メロディーと歌詞をしっかりと聴かせる曲が並んでいます。

このベスト盤では「スピード」以降、ロック路線が強くなります。ハードロックにギターロック、ファンクやソウルなどの要素取り入れた、いわば正統派のロックチューン。ま、おなじみの真心の楽曲、といってもいいでしょうか。

ただ、初期の彼らから、最近の彼らまでひとつ変わらないものがあることを感じました。それは彼らの歌詞。具体性やドラマ性のある歌詞なのですが、ラブソングはどこかロマンチック。ところどころに見せる社会派な歌詞も、ウィットが効いていて魅力的。さらに、ユーモアセンスもたっぷりという歌詞の世界は、最初期のナンバーから変わりません。

なんといっても、彼らの歌詞の側面で傑作といえるのが、「拝啓、ジョン・レノン」。ジョン・レノンへの愛情を逆説的に描写した歌詞は、その過激さゆえ、一部で放送禁止にすらなったとか。しかし、これほどジョン・レノンへの愛情を高らかに歌い上げた曲を、私は他に知りません。歌詞の内容を含めてよく知られている曲といえば知られている曲なんですが、まだ聴いたことない方、これを機に、チェックしてみませんか?

真心ブラザーズって、骨太なサウンドに、時として暑苦しいくらいの(笑)YO-KINGのボーカルでボリュームたっぷりなのですが、さすが名曲揃いのベスト盤。2枚組のボリュームながら、最後まで楽しむことができました。

真心の歴史を知るのは最適なアルバム。また、ちょっとボリュームがありますが、真心ブラザーズの入門盤としても最適な作品だと思います。あらためて、彼らの実力と魅力を感じることが出来た作品でした。

評価:★★★★★

で、こちらは、「今」の真心。

Title:タンデムダンデイ20
Musician:真心ブラザーズ

タンデムダンディ20

わずか4曲入りのミニアルバムなのですが、ホーンセッションも入れて盛り上がる、ソウル風の「Song of You」、ロックンロールな「20の夏」、アコギのみで聴かせる「サンドウィッチ」、そして爽やかなポップチューンに仕上がっている「風を浴びて君想う」と、短い内容ながらも、真心の魅力がキッチリとつまった作品になっています。

上のベスト盤とあわせて聴くと、ほぼ真心ブラザーズがわかる作品だと思います。しかし、やはりいいミュージシャンだなぁ、彼らは。

評価:★★★★★

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2009年11月15日 (日)

名古屋のラッパー

Title:THE CARTEL FROM STREETS
Musician:AK-69

THE CARTEL FROM STREETS

詳しい理由は知らないのですが、なぜか、名古屋出身のラッパーって多いですよね。昨日紹介したSEAMOもそうですし、HOME MADE家族やnobody knows+、もうちょっとハードコア方面では刃頭など。地域性を重視するラッパーは、日米問わず多いのですが、その中でも、名古屋出身のラッパーというのは目立つような気がします。

名古屋・・・というよりも小牧出身のラッパー、AK-69。数多い名古屋出身のラッパーの中で、一番、「名古屋」ということを意識した曲が多いのが彼でした。

まず、ラップにかなり名古屋弁を取り入れています。「F××k Off」が一番典型だったのですが、細かい部分やイントネーションで、名古屋弁をそのままラップにしたような感じ(笑)。話言葉をそのままラップにしたのでしょうが、地域性がよく出ていました。

そしてなんといっても「Around My Hood」。清水口の美宝堂やら、ミッドランドスクエアやら矢場とんやら、地元民ならおなじみの固有名詞が並んでいます。あまりに地元(小牧方面)の有名店なども出てきていて、地元民でも、名古屋の北の方に土地勘がないと、わからない固有名詞も(笑)。かな~り地元密着というスタンスを取っているラッパーです。

さて、肝心の楽曲の内容なのですが、よくも悪くもポップで聴きやすいなぁ、という印象を受けました。

ラップの中に、要所要所、メロウなR&B風のメロディーを入れてきていて、ポップで聴きやすいですし、トラックも、リズミカルで爽やかな雰囲気のトラックがメイン。すんなりに耳に入ってくるような仕上がりとなっています。

ただ、「ギャングスター」を志向しているそうなのですが、リリックにしてもトラックにしても、ギャングスターラップらしい「やばさ」というのはあまり感じませんでした。リリックにしても、下流社会の悲哀を歌った「Only God Can Judge Me」ような、いかにもという曲もあるのですが、リスナーを訴えかけるような曲は少なく、全体的にひっかかりのある曲は少なめです。

個人的に、ラップは情報量が多く、ただでさえ聴き取りにくいのだから、しっかりと日本語を丁寧にラップし、リスナーに伝えようとするスタイルのラップが好きなのですが、彼の場合、ラップをリズムにのせてさらりと流してしまい、また、英語に頼るリリックも多いため、いまひとつ、ラップの内容が聴き取りにくくなっていました。

ジャケット写真のスタイルといい、アメリカのラップのフォロワー的位置付けから抜け出していないなぁ、というのを感じます。何年か前なら、それでも十分だとは思うのですが、ラップが完全に日本のも根付き、日本語のラップというのもを、様々なラッパーたちが模索している中、彼のスタイルにも、もっと彼らしい個性があればな、と思いました。

ただ、楽曲の内容はポップで聴きやすく、耳馴染みがいいので、多くのリスナー層がすんなり楽しめそうな内容。実力はあると思うし、個人的に、やはり地元ラッパーは応援したいし(笑)今後の活躍に期待したいところです。

評価:★★★★

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2009年11月14日 (土)

SEAMOの一面しか表していないような・・・。

Title:Best Of SEAMO
Musician:SEAMO

Best Of SEAMO

SEAMO初のベストアルバム。SEAMOとしてのデビューシングル「関白」から、最新シングル「My ANSER/不景気なんてぶっとばせ!!」までの全シングルが発売順に並んでいて、SEAMOの歩みを知ることが出来ます。

ベスト盤・・・ということで、本来、「これでSEAMOについてわかる!」という作品であるべきだと思うのですが・・・ほぼシングル盤を並べただけの今回のアルバム、正直、SEAMOの全てを聴くことが出来る作品、とは思えませんでした。

彼のシングル盤って、なんか全体的に保守的というのか、きれいごとを並べたような歌詞が多いというのか・・・例えば「MOTHER」にしても、この曲だけを取れば素直にいい曲なんだなぁ、と思うのですが、今回のベスト盤みたいに、そういうおりこうさんな曲を並べられると、どうも徐々につまらなく感じてしまうんですよね。

トラックにしても、さほどひねりのあるような、耳をひきつけるものはありませんし、また、サンプリングネタも、「ルパンのテーマ」だったりエルガーの「威風堂々」だったりと、大ネタが目立ちます。この手の大ネタって、1曲だけなら話題性もあっておもしろいのですが、彼の場合、ちょっと大ネタに頼りすぎ。今回のベスト盤に収録された新曲「キミヲワスレナイ」も、「天空の城ラピュタ」をネタにしているし・・・。

じゃあ、それがSEAMOのコアの部分なのか、というとそうじゃないと思うんです。実際、オリジナルアルバムでは、もっとユーモアやウイットに富んだ歌詞を聴かせてくれるし、トラックも、もっとロックテイストだったり、もっとハードコア風だったり、バラエティーに富んでいます。

実際、B面ベストだった「Stock Deliver」では、そんなSEAMOの様々な側面を垣間見れ、とてもおもしろいのですが、肝心のベスト盤で聴くことのできるSEAMOは、少々一面的な印象を受けました。

ただシングルを並べただけ+αじゃ、彼の魅力は全く出てこないような気がするなぁ。もし、SEAMOをはじめて聴く、という方は、2ndアルバム「Live Goes On」か、B面ベストの「Stock Deliver」がお勧め。もっと、シングル曲を中心に、いろいろなタイプの曲を盛り込むような構成のベスト盤にしてほしかった・・・。

評価:★★★

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2009年11月13日 (金)

これはこれであり。

Title:RADITUDE
Musician:WEEZER

Raditude

前作の通称「レッド・アルバム」が、いままでのWEEZERのイメージを大きく変えた作品だったために、ファンの間で賛否両論が巻き起こったみたいです。

そして今回の作品も、またグッと、WEEZERのイメージを変えてくる作品でした。

まず1曲目「(If You're Wondering If I Want You To)I Want You To」から、ノイジーでヘヴィーなギター・・・ではなく、爽やかなアコギからスタート。軽快で爽やかなポップチューンは、WEEZERのイメージから大きく異なります。

その後の「I'm Your Daddy」も、ようやくヘヴィーなギターが楽しめるパワポ、と思いきや、エレクトロの要素なども見え隠れする新しいタイプのナンバー。「Can't Stop Partying」も、今風のエレクトロサウンドを大胆に導入した上、ラップを取り入れたり、「Love is The Answer」も、インド風のエキゾチックなメロを入れてきて、不思議な空間を作り出したり。

前作も、パワポの一言では留まらない広い音楽性に挑戦していましたが、今回の作品は、さらに脱泣きメロパワーポップバンドを志向した作品になっていました。

もっとも、ヘヴィーなギターが楽しめる「Let It All Hang Out」をはじめ、基本的にはやはりパワーポップ路線が主軸。とはいえ、かつての泣きメロ路線は薄くなり(まず第一に、「ヘヴィーなギターサウンドに線の細いボーカル」という泣きメロにピッタリするような組み合わせがなくなってしまっていますし)、とことん楽しく明るいポップソングを聴かせてくれます。

そんな訳で、かなりWEEZERというバンドのイメージが異なってきた作品なのですが、このアルバムを聴き終わると、これはこれでありかなぁ、という印象を受けました。

新しいWEEZERの路線も、基本的にポップで楽しく、それなりにヘヴィーなバンドサウンドも楽しめます。「I Don't Want To Let You Go」あたりでは、美メロをしっかりと聴かせてくれるあたり、卓越したメロディーセンスももちろん健在。魅力的なバンドであることは変わりありません。

泣きメロ路線を脱却し、あらたな路線に突き進む彼ら。今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Way To Normal/BEN FOLDS

Way to Normal

ピアノを主軸に、パンキッシュなナンバーから、ストリングスなども取り入れて、しっかり聴かせるナンバーまで、幅広いポップチューンが楽しめます。そして、どの曲も、インパクトのある聴かせるメロディーラインが魅力的。ピアノの音が実に魅力的かつ効果的で、個人的に、私みたいなピアノの音が好きな身にはたまらない作品でした。

評価:★★★★★

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2009年11月12日 (木)

ライブの魅力をそのままに

Title:エグザイル・オン・メイン・ビーチ
Musician:ソウル・フラワー・ユニオン

Exile On Main Beach

ソウルフラワー約10年ぶりとなるライブアルバム。

ソウルフラワーのライブといえば思いだすのは、2000年のフジロックフェスティバル。大トリのPrimal Screamの後に出てきた彼。メインが終わった後の登場とあって、会場の空気は最初、あまり盛り上がっておらず、私も後ろの方でマッタリとライブを見始めました。

しかし、一度彼らのライブがスタートすると一変。その「日本的ソウル」とでも言うべき、お祭りのリズム。祝祭色豊かな楽曲の連続に、ステージ前に人が徐々に集まり始めます。私も思わずステージ前に参戦。いつの間にか彼らの奏でるリズムにのって踊りまくっていました。

気がつけば、ヘタすればPrimal Screamより会場は盛り上がっていたのでは?この日のステージのことは、いまだに忘れられません。それまでは、さほど彼らについて注目していなかったのですが、その日から、すっかりファンになってしまいました。

そして、このライブアルバム。そんなライブバンド、ソウル・フラワー・ユニオンのライブの魅力がしっかりとつまっています。

前半は「ホライズン・マーチ」などで盛り上げ、聴かせどころは中盤の「満月の夕」。彼らの代表曲のひとつでありバラードの傑作を、感情豊かにしんみりと歌い上げています。

そして、アルバムのクライマックスともいえるのが後半、「風の市」以降でしょう。アップテンポな曲が続く作品群に、ライブの迫力がそのまま伝わってくるよう。気がつけば、聴いているこちらも、身体が自然に動き出しているようなアルバムになっています。

いわばライブの空気感がそのままつまったようなアルバムとでも言うんでしょうか。アルバムの構成も、まるでライブをそのままパッケージしたような内容ですし、演奏のテンションの高さもライブならでは。理想的なライブアルバムだと思います。

また、選曲の方も、ベスト盤的選曲で、(中川敬本人も語っているように)入門盤としてもピッタリの作品になっています。特に、このアルバムに収録されている2000年以降の彼らは、ソウル・フラワー・ユニオンのひとつの全盛期といっていいほどの充実した時期。ポピュラリティーとロック、そしてその他、様々な音楽の要素が幸福な融合を果たした時期。そんな楽曲自体の魅力もまた、このライブアルバムの大きな魅力です。

久々にソウル・フラワー・ユニオンのライブに足を運びたくなったなぁ~。まだ、彼らの魅力に触れたことない方にこそ、是非とも聴いて欲しいライブアルバムです。

評価:★★★★★

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2009年11月11日 (水)

洋楽強し!・・・だけど

タイトルはアルバムチャートで・・・。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

ここ最近、比較的おとなしいチャートが続いていましたが、今週は10曲中8曲が新譜!新譜ラッシュになっています。

そんな中でもやはり強いのはジャニーズ系。1位は関ジャニ∞「急☆上☆Show!!」が獲得。ホーンセッションも導入した、ミュージカルテイストのアップテンポなノリノリチューンなのですが、タイトルとは裏腹に、初動27万枚は、前作の34万8千枚から大幅ダウン。ちょっと厳しい結果となりました(とはいえ、初動27万枚は十分な売上ともいえるのですが・・・)。

さて今週も、シングルチャートの常連、アイドル系、アニソン系、ヴィジュアル系の御三家(?)は健在。まずアイドル系としては4位に、韓国のアイドルグループBIGBANG「声をきかせて」がランクインしています。ちょっとゴスペラーズっぽい曲調。日本語が微妙にヘタで舌ったらずなのは、韓国のグループならでは、といった感じでしょうか?

2位にランクインしてきた遊助「いちょう」も一応アイドルの括りなのかな?しかし、パッヘルベルの「カノン」をベースにして、ラップを入れました・・・ってのは、曲の作り方として、あまりに安易では?初動10万枚で、初動売上は、21万9千枚→17万6千枚と下落傾向が止まりません。

アニソン系としては、3位にfripSide「only my railgun」がランクイン。アニメ「とある科学の超電磁砲」の主題歌を歌う2人組ユニットです。曲はまんま90年代のavexサウンド・・・ただ、ボーカルが声優の2人組ユニットということで、ちょっとTWO-MIXを思い出してしまう部分も。

そして8位のステレオポニー「ツキアカリのミチシルベ」もTBS系アニメ「DARKER THAN BLACK -流星の双子-」の主題歌。2作ぶりのベスト10なのですが、以前にベスト10入りした曲もガンダムのオープニング曲・・・アニソンタイアップがついている曲しかヒットしないというのはちょっと厳しいなあ。

そしてヴィジュアル系としては、7位にLM.C「GHOST HEART」がランクインしています。元PIERROTのギタリストAijiのユニットだそうです。

他は今週、5位にBREAKERZ「LOVE FIGHTER~恋のバトル~」、10位に中島美嘉「流れ星」がそれぞれランクインしています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートは、BON JOVIのニューアルバム「THE CIRCLE」が1位を獲得。洋楽ミュージシャンとしては、1位獲得の最多タイ記録だそうで、相変わらずの人気の強さを見せ付けました。

今週は、この1位BON JOVI以外にも、洋楽のアルバムのヒットが目立つチャートとなっています。

7位にはNIRVANA「LIVE AT READING」が、8位にはzebrahead「Panty Raid」がランクイン。また、2位には先週1位を獲得したMICHEAL JACKSONの「MICHEAL JACKSON'S THIS IS IT」が引き続きランクインしています。

あ、あと一応、5位の韓国アイドルのリュ・シウォン「万華鏡」も非邦楽という意味では洋楽なのか??(^^;;

ある意味、産業ロックの代表格BON JOVIと、それに対するアンチとしてのグランジロックの代表格NIRVANAのアルバムが同時にランクインしているのがおもしろいのですが、ただ、ちょっと思うのは、BON JOVIもなんだかんだいっても80年代に人気を獲得したバンド。マイケルジャクソンも80年代のミュージシャンですし、NIRVANAも90年代を代表するミュージシャン・・・といずれも「過去の栄光」によるヒットなんですよね。

zebraheadは孤軍奮闘していますが、どうもここ最近、洋楽ミュージシャンでチャート上位に食い込むような新人ミュージシャンが出てきていないような感じがします。(最近だと、EMINEMくらい?)邦楽に比べると、洋楽の不振が際立っているみたいなのですが、やはりいまひとつ、新人の人気ミュージシャンが出てきていない影響もあるのでしょうか?洋楽勢が目立った今週のチャートが、逆に洋楽の苦境の理由を際立たせるチャートになってしまった、そんな印象を受けました。

他には3位にスキマスイッチ「ナユタとフカシギ」、9位に柴田淳「ゴーストライター」、10位にJuliet「ラブ」がそれぞれランクインしています。

スキマスイッチは、約3年ぶり!久しぶりのニューアルバムです。ただ、初動売上は4万6千枚と、前作「夕風ブレンド」の17万3千枚から大きくダウン。活動休止がマイナスと出てしまった模様です。

10位のJulietは、ギャル3人組のユニット。最初覆面で活動していたそうなのですが・・・別に有名人の覆面ユニットじゃないのだから、覆面で活動しても無意味なのでは?一応、ギリギリベスト10入り。それなりの話題性は確保できたのかな?

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2009年11月10日 (火)

エレカシの全て

エレファントカシマシが、1989年以来毎年行っている日比谷野音でのライブ。その20周年を記念して、3組のベストアルバムが発売されました。「創世記」「浪漫記」「胎動記」と名づけられた3組のアルバムは、それぞれエピック、ポニキャン、EMIとエレカシが所属したレコード会社ごとに宮本浩次選曲のもとに選ばれたベストアルバム。「創世記」「胎動記」はそれぞれ2枚組みになっており、かつ、どれも60分を超えるボリュームのある作品になっています。全部聴くだけで、かなりの体力を使いそう・・・(^^;;

彼らは、エピック、ポニキャン、EMIとレコード会社を代えるたびに、その作風を大きく変化させています。そういうこともあり、3組のアルバムを聴き比べることによって、エレカシの歴史がよくわかるベスト盤になっていました。

まずは、エピック時代の作品。

Title:エレカシ自選作品集EPIC 創世記
Musician:エレファントカシマシ

エレカシ 自選作品集 EPIC 創世記

ちょっと前、某FM番組で、パーソナリティーが、エレカシの作品を評して「食べにくい」といったところ、宮本浩次が切れた、という事件がネット上でちょっとした話題となりました。まあ、事件自体は実に宮本らしいなぁ、といった感じなんですね。

ただ、万が一本人が見ていたら、切れられそうなのですが、初期の彼らの作品、はっきりいってしまうと、とても「食べにくい」作品になっています(笑)。

エレカシのパッションをそのままぶつけたようなメロディーにサウンドは、いわゆるポップというものからはほど遠く、録音にしてもかなり荒々しい内容になっていて、「これがメジャーレーベルで発売できたのか?」と少々驚いてしまうほど。強烈に好き嫌いがわかれそうな、癖の強い作品になっています。

それだけに、エレカシのコアの部分を最も忠実に切り取った作品だと思いますし、一度はまると、抜け出せないような、強いパワーも感じられます。「エレカシ=今宵の月のように」のイメージを持っているのなら、単純に薦められないベスト盤なのですが・・・ただ、ロックファンなら、是非とも聴いておきたい作品群ばかりだと思います。

しかし、そんな作風がガラリとかわるのが、ポニキャン時代の作品。

Title:エレカシ自選作品集PONY CANYON 浪漫記
Musician:エレファントカシマシ

エレカシ自選作品集 PONY CANYON 浪漫記

「今宵の月のように」のヒットなどもあり、一般的に知られているエレカシの作品といえば、ポニキャン時代の作品になるんでしょう。

ただ、EPIC時代からのファンにとっては、この変わりようは驚いただろうなぁ。あくまでも推測ですが、本人たちも音楽性を変えることには、相当の葛藤があったのではないでしょうか?

メロディーはポップに、メロディアスに。歌詞は、英語を極力つかわず、文語体も姿を見せる和風なスタイルは相変わらずながらも、叙情的で、攻撃性は薄め。総じてヒットチャート向けを狙ったような作品になっています。

この時期からファンになった方も多いのでしょうが、古くからのファンにとってはこの時期の作品は賛否両論あるのではないでしょうか?しかし、この時期の作品が大ヒットを記録することによって、その後もエレカシが順調に活動を続けられるようになったのは事実でしょうし、また、この時に宮本浩次が手にいれたポップスセンスは、その後の彼らにとって、大きな武器になったと思います。

実際、「今宵の月のように」「悲しみの果て」は、やはり普遍的な名曲だと思います。ポニキャンでの活動期間は短かったものの、彼らにとっては大きな意味を持った時代だと思います。

Title:エレカシ自選作品集EMI 胎動記
Musician:エレファントカシマシ

エレカシ自選作品集 EMI 胎動記

エレカシのEMI時代の作品って、正直、個人的には、迷走しているなぁ、という印象を受けていました。エピック時代のような、荒々しい攻撃性の強い作品と、ポニキャン時代のような、ポップな作品の間を揺れ動いている、そんな印象を受けていました。

ただ、今回、あらためてこの時期の宮本の作品を聴いて思ったのは、彼は揺れ動いていたというよりも、エピック時代とポニキャン時代の良い部分をあわせたような曲を作ろうとしていたんだなぁ、ということでした。

例えば名曲「ガストロンジャー」。この曲で見せる荒々しいバンドサウンドと、攻撃性の強い歌詞は、まさにエピック時代そのもの。その一方ではサビの部分はポップにまとめあげていて、録音状態も比較的クリア。ポニキャン時代に獲得したポップスセンスも随所に感じます。

この時期の代表曲は、やはりエピック時代、ポニキャン時代を経た宮本浩次だからこそ書けた傑作ではないでしょうか。

正直、ポップな作品と荒々しい作品が混ざっていて、迷走という印象もなお、否定しきれない部分もあるのですが、それでも、彼らが新たな一歩を踏み出そうとしている、強い意志を感じることが出来ます。

そしてさらにユニバーサルミュージックへ移籍した彼ら。まだまだ彼らの活躍は続きそう。これからも、エレカシの活動に期待したいところです。

評価:
創世記 ★★★★★
浪漫記 ★★★★★
胎動記 ★★★★★

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2009年11月 9日 (月)

マイケルよ、永遠に・・・。

Michael見に行きましたよ!今、話題の映画、「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」!!ロンドンで予定されていたものの、彼の急逝で実現できなかったライブ「THIS IS IT」のリハーサルの模様をまとめた映画で、生前最後のマイケル・ジャクソンの姿がおさめられている、ということで大きな話題にもなりました。

正直に言ってしまうと、この映画、やはり基本的にはリハーサルの模様をおさめたもの。おそらく、普通だったら、ライブ本編をまとめたDVDの「ボーナスディスク」に収録される内容を無理やり映画にした感じ。熱烈なファンならともかく、私みたいに、それほどファンではない、という人には、「あ~本番見たかったなぁ。」というフラストレーションがたまってしまう部分もありました(笑)。

しかし、その部分を差し引いても、リハーサルとはいえ、そのパフォーマンスには思わず見入ってしまいました。

マイケルのダンス、まじでカッコいいよ~。こんなことを言ったら、ファンには怒られるかもしれないけど、晩年のマイケルって、あきらかに整形した顔のため、外見に関しては「・・・・・・」という印象を持ってしまっていたのですが、彼のダンスパフォーマンスは、他を寄せ付けません。思わず、そのパフォーマンスに釘付けになってしまいました。

彼はこの段階で、もう50歳だったんですよ。でも、全然衰えていませんね。ステージの上では、本当に輝いていました。彼が稀代のエンターテイナーだったんだなぁ、ということは、この映画から、嫌というほど伝わってきました。

そういう「いまだに変わらないマイケル」を映画からヒシヒシと伝わってきたから、余計感じたのですが、この映画のマイケル、まるで、80年代から、そのままタイムスリップして現在にあらわれたような、そんな印象を受けました。

90年代以降、アルバムは寡作になってしまいましたし、久々の復活公演だったということで、ベスト盤的選曲になっていたため、余計そういうことを感じたのかもしれません。メロディーだけではなく、アレンジも(ハードロック風のギターなんか特に)そのまんま80年代。最新アルバムでは、ジャスティン・ティンバーレイクなどを起用することにより、最新サウンドを追及し、いまだに現役感バリバリのマドンナと比べると、あまりに対照的でした。

それだけに、今後、本格的に活動を再開すれば、21世紀のマイケルの音楽が聴けたのになぁ、ととても残念に感じました。ただ、それと同時に、時代に寄り添ったスーパースターは、次の時代が来る前に、神様は自分達の下に呼び寄せてしまうのかなぁ・・・なんてちょっと柄でもないことを考えたりして。エルヴィス・プレスリーしかり、90年代のカート・コバーンしかり。日本でも、尾崎豊しかり・・・・・・。

あらためて、マイケル・ジャクソンというエンターテイナーの偉大さを感じることの出来るドキュメンタリーでした。彼に少しでも興味のある方は是非、映画館の大スクリーンで、彼の最後のパフォーマンスを、目に焼き付けることをお勧めします。

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2009年11月 8日 (日)

夢の国の破壊?

Title:EMBRYONIC
Musician:The Flaming Lips

Embryonic

The Flaming Lipsの新作を聴いて、ビックリしてしまった方、少なくないのではないでしょうか?The Flaming Lipsといえば、ドリーミーなサウンドにポップなメロディー。リスナーを夢の世界に引きこむような、そんなポップソングを書いてくるバンド、そうイメージしていました。

しかし、今回の作品、1曲目「CONVINCED OF THE HEX」から、いきなりガレージサウンドバリのゴツゴツしたバンドサウンドに、サイケデリックなアレンジ。いわば、いきなり夢の国を破壊されたような、そんな印象すら受ける作風になっています。

今回の作品は、全体的に、バンドサウンドを前面に押し出したような作風の曲が多く収録されてます。それも、生々しい、ガレージパンクのサウンドになっていて、ロックバンドとしてのリアリティーを感じさせます。

それにサイケデリックなサウンドを加えることにより、ガレージパンクともサイケとも異なる、独特な音の世界が繰り広げられています。特に、曲によってはところどころ、ドリーミーな雰囲気をかもし出す、ハープの音がアレンジされており、不思議な感触を味わえます。

そんな訳で、いままでの彼らの作品とはかなり異なる作風に戸惑う方も多いのではないでしょうか?「SILVER TREMBLING HANDS」みたいな、以前の彼らの作風に比較的近い、美メロが楽しめるチューンもあるのですが、夢の世界を味わいたい、そう期待すると、大きく裏切られてしまいます。

インタビューなどによると、美メロのポップソングのイメージがついたため、今回の作品は、あえて実験的な作風にしたのだとか。まあ、彼らのやりたいことはよくわかるし、こういう実験精神があるからこそ、美メロのポップソングにしてもどこかひねくれていて、奥深い世界が楽しめるのでしょう。

そういう意味では今回の作品、彼らの活動の中では意義深い作品だといえるかもしれません。ただ、正直・・・いままで何度も聴いていた過去の作品に比べて、このアルバムを何度も聴きたいか、といわれるとちょっと微妙かなぁ(^^;;ちょっとゴチャゴチャしすぎている部分があって、聴いていて、すごく体力を使うんですよね。

いい作品だとは思うし、聴きこめばもっと感想はかわるのかもしれないけど。できれば次回作は、まだ夢の世界を見せてほしいなぁ。

評価:★★★★


ほかに聴いた作品

RISE AND FALL,RAGE AND GRACE/THE OFFSPRING

Rise and Fall, Rage and Grace

まあ、彼らの場合、「大いなるマンネリ」に近いものはあるよね。ポップなメロディーは相変わらずだし、哀愁のあるメロは、日本人の琴線にも触れそうだし、安心して楽しめるけど・・・それ以上でもそれ以下でもない点、ファン以外にはちょっと辛いものもあるかも。

評価:★★★

The Eraser Rmx/Thom Yorke

The Eraser Rmxs

RADIOHEADのボーカリスト、トム・ヨークのソロアルバムのリミックス盤。トム・ヨークお気に入りのクラブ系ミュージシャンによるリミックスだそうで、エレクトロニカ、テクノ方面が好きなら、かなり楽しめそうな、個性豊かな仕上がりになっていました。

評価:★★★★★

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2009年11月 7日 (土)

新作、出せたんだ~!

Title:チョコレートボックスオーケストラ
Musician:FREENOTE

チョコレートボックスオーケストラ

↑タイトルみたいな言い方、すごく失礼だと承知していますが(^^;;このアルバムがメジャー4枚目となるミニアルバム。いや正直、デビュー時にかなりプッシュされたにも関わらず、ほとんど売れなくて、その後のアルバムもいまひとつ・・・となれば、普通、アルバム2、3枚でメジャー契約終了・・・となりがちな中、4枚目をリリースできた、というのは、個人的にはほっとしています(笑)。

1枚目から3枚目まで、アルバムをリリースする毎に作風が変わって、迷走気味だった彼女たち。でも、4枚目となるこのアルバムで、ようやくそのスタイルを確立したような印象を受けます。

ただ・・・それはよくありがちなポップスロック。正直なところ、メロディーにしろ歌詞にしろ、さほど目新しさはありません。

うーん、FREENOTEの立ち位置って、微妙なんですよね。同じ女性ボーカルのポップスロックなら、例えばもっとロック寄りならチャットモンチー、J-POP寄りならいきものがかりを聴いちゃうんですよ。要するに、少々中途半端、ということ。

今回の作品でも「片恋ライナー」など、インディーズ時代の「終電マスター」や、メジャーデビュー作「キライチューン」を思い出させるような軽快なギターロックチューンで、十分楽しませてくれるのですが、どうもいまひとつ、突き抜けたものがありません。

ただ、メロディーにしても歌詞にしても、素直でストレート。それゆえに個性みたいなのは薄いものの、安心して楽しめることは出来る作品になっています。

個人的には、こういう女性ボーカルのポップスロックは結構好きなんで、そこそこ気にいってはいるんですが、積極的に薦められるかはちょっと微妙なところ。評価は↓の通りなのですが、LINDBERG、JUDY AND MARY、Hysteric Blueここらへんに一度でもはまった方はひとつ追加で。

メジャーリリースはやはりこれで最後かなぁ・・・。次、ベスト盤が1枚出て、メジャー契約終了ということになりそう。個人的にはもっとがんばってほしいのですが。

評価:★★★

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2009年11月 6日 (金)

夢を諦めきれない男たち

先日、最近、一部で大きな話題となっている評判の音楽ドキュメンタリー映画を見に行きました。

Anvil 「アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち」

アンヴィルという、80年代の一時期に、数多くのバンドに影響を与えたものの、全く売れず、その後、忘れ去られたバンドの今を追ったドキュメンタリーです。

個人的に、メタルはほとんど聴かず、当然、このアンヴィルというバンドも全くの初耳でした。

ただ、ネット上の評判を見てみると、なかなか高い評価を得ているよう。メタルが好きではない・・・とはいえ、「売れていないバンドを追ったドキュメンタリー」というテーマにも興味を抱き(これが「同情」ってやつか??byクラウザー様(笑))、映画館まで足を運びました。

で、感想なのですが・・・

素晴らしかったです!

音楽ドキュメンタリーといえば、淡々とメンバーの動向やライブを追っただけ、という、ファンにはうれしいけど・・・という内容が多い中、このドキュメンタリーにはひとつのドラマがありました。

詳しい展開は下のネタバレの感想で書きたいのですが、このドキュメンタリー、売れないバンドの物語、というよりも、オリジナルメンバーのリップスとロブ、夢を追う2人の、友情以上ともいえる強い絆を描いた物語、といった方がいいかもしれません。

男同士の絆・・・というと、ジャンルは違いますが、「まんが道」で描かれる藤子F不二雄先生と藤子不二雄A先生の物語を思い出してしまいました(作品中では才野と満賀)。

こういう男の絆の物語って、なんかいいですよね。映画を見ていると、こちらの胸が熱くなってきました。

以下、ネタバレな感想

続きを読む "夢を諦めきれない男たち"

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2009年11月 5日 (木)

やっぱりLISAが好き(?)

Title:MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-
Musician:m-flo

MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-

タイトル通り、デビュー10周年を迎えた、m-floのオールタイムベストアルバム。2枚組のCDは、1枚がLISA在籍時の作品が、もう1枚は、いろいろなシンガーをゲストで迎えた、いわゆるlovesプロジェクトの曲が収録されています。

なんか、先日発売されたトリビュートアルバムでも感じたのですが、m-floの一番の良さは、やはりそのメロディーラインなんだよなぁ・・・ということを、あらためて感じました。

正直、m-floの曲って、決して突出して個性的、という訳じゃないんですよね。lovesプロジェクトで、R&B以外のシンガーと組んだ曲を除いては、(デビュー当初こそ、一歩先を行くイメージがありましたが)たくさんのR&Bシンガーがデビューし、ヒットを飛ばす今では、「よくあるR&Bチューンのひとつ」になってしまいます。

しかしそれでも気がつけば、m-floのメロディーってしっかりと耳についているんです。決して派手なサビがあるわけでもないし、特徴的な歌詞を書いているわけでもありません。なのにしっかりと耳に残るフックの効いたメロディーを書いている。それが彼らの大きな魅力のひとつでしょう。

で、もうひとつ。こうやってオールタイムベストを聴いて強く感じたこと、それは

やはりボーカルはLISAがいいなぁ~ということ。

lovesプロジェクトになってから、特定のボーカリストがいないのって、m-floのイメージが薄くなっちゃうんですよ。上にも書いた通り、突出して個性的なメロやアレンジをするユニットではないだけに、特に。

それに、やっぱLISAは上手いよ、ボーカリストとして。何より、高音部を魅力的に聴かせながらも、しっかり低音部でのアピールできるという音程の幅広さが素晴らしい。高音部を魅力的に出せるシンガーはいくらでもいるけど、低音部でアピールできるシンガーって最近、少ないんですよね。

lovesプロジェクトでも、安室ちゃんやCrystal Kay、野宮真貴などはもちろん素晴らしいボーカルを聴かせてくれるのですが、そういった曲って結局、m-floとしての個性よりも、それぞれのシンガーの個性が前に出ちゃうんです。

で、具体的な名前をあげて申し訳ないのですが、melody.とか日之内エミだとLISAに比べると力不足。これならLISAの方がよっぽどいいのに・・・と思ってしまいます。

和田アキコみたいな別の畑のシンガーと組む場合は、LISAがコーラスにまわればいいだけで・・・lovesプロジェクトが終わった今、次に活動を再開する時は、是非ともLISAに戻ってきて欲しいなぁ~。

さて、m-floのもうひとつの大きな魅力というのは、クラブシーンなどではやっているサウンドをポップにまとめて、半歩先を行くような音楽を広い層に楽しませてくれる、という点でしょう。

大ヒットした「come again」あたりが顕著できたが、こういう時代の一歩・・・ではなく半歩だけ先を行くような先駆性が彼らの大きな魅力でした。

ただ、ここらへんの先駆性が、どうも最近の作品からはあまり感じられないような気がするんですよね。このアルバムで収録されている新曲「SOUND BOY THRILLER」は、ちょっと今風のエレクトロチューンかな?という印象も受ける一方、次の一歩を模索して、迷走気味なのかなぁ、という印象も受けてしまいます。

実際、Wikipediaによると、現在、事実上活動休止状態なのは、時代の先を走るのに疲れたから・・・という記述があります。そういう意味で、ベスト盤以降の彼らの活動、どうなるのか・・・注目していきたいところです。

個人的には、やはりLISAにボーカリストとして戻ってきてほしいんですけどね~やはり。

評価:★★★★★

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2009年11月 4日 (水)

いまでも"KING"OF POPS

タイトルはアルバムチャートで・・・。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート1位は、Kinki Kids「スワンソング」が獲得しました。これで29作連続1位のギネス記録だそうです。ただ、初動売上は16万枚と、前作の17万枚を下回る結果。もっとも、まだこれだけ売れていれば、リリース日を選べば、まだまだ記録は伸びそう。

ちなみに作詞も6年ぶりにあの松本隆が担当。メロディーもマイナーコード主体の哀愁たっぷりの作品になっていて、いい意味で王道歌謡曲といった作風に仕上がっています。

2位はUVERworld「哀しみはきっと」がランクイン。TBS系ドラマ「小公女セーラ」主題歌という好タイアップながらも、初動は5万1千枚と、前作5万3千枚からほぼ横ばい。まあ、前作もドラマタイアップだったのですが・・・。

3位には水樹奈々「夢幻」がランクインしています。アニメ「WHITE ALBUM」主題歌だそうですが、アニソンというよりも、一昔前のアイドル歌謡曲みたいな雰囲気の曲になっています。

続いて4位にランクインはモーニング娘。「気まぐれプリンセス」でした。初動3万6千枚で、前作の初動5万5千枚から大幅ダウン。とはいえ、なんだかんだいってもそれなりの順位に入ってくるのは、まだまだ人気がある証拠でしょうか?楽曲も相変わらずの正統派アイドルポップス。ここらへんのブレのなさも、根強い人気の秘密か??

初登場はもう1枚。8位にBoA「BUMP BUMP! feat.VERBAL(m-flo)」がランクインしています。タイトル通り、m-floのVERBALと組んだ作品。初動は1万枚で、前作の1万5千枚からも大きくダウン。そろそろ厳しい状況になってきました。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

さて、アルバムチャート1位は、MICHAEL JACKSON「MICHAEL JACKSON'S THIS IS IT」が見事1位を獲得。1位獲得はなんと22年ぶり(!)だそうで、「KING OF POPS」としての人気のほどを見せ付けました。

この作品、幻となったロンドン公演のリハーサルの模様をドキュメンタリーで追った映画「THIS IS IT」のサントラ盤。マイケルジャクソンのベスト盤的な選曲となっていて、映画ともどもの大ヒットとなりました。まだまだマイケル人気は続きそうです。

2位にランクインしてきたのが、ゴスペラーズ「Love Notes II」でした。ラブソングを集めたラブソングコレクションの第2弾。オリジナルとしては前作の「Hurray!」の、初動3万枚を若干上回る初動3万1千枚を記録しています。

5位にはザ・クロマニヨンズ「MONDO ROCCIA」が入ってきました。約1年ぶりのニューアルバム。初動売上は前作の2万7千枚から1万9千枚にダウン。根強い固定ファンのいるバンドなだけに、そろそろ底打ちになると思うのですが・・・ザ・クロマニヨンズとしてのシングルヒットがそろそろ欲しいところ。

6位には男性R&BシンガーJAY'EDのニューアルバム「MUSICATION」がランクインしてきました。JUJU with JAY'ED名義でリリースした「明日がくるなら」が大ヒットを記録しましたが、JAY'ED単独名義でもヒットを記録。人気を見せ付けました。

9位にランクインしてきたのが、稲垣潤一「男と女2」。J-POPの名曲を、女性とのデゥオでカバーしている作品。歌手として活動休止中である森高千里が参加するなど話題を呼んでいます。売上も、前作の最高位14位を上回る8位にランクイン。彼自身としては、1994年の「Signs of Trust」以来のベスト10ヒットとなりました。

ただ、ちょっと意地悪な見方をすると、徳永英明の「VOCALIST」のヒットに触発されたのかなぁ、なんて思ってしまいました。徳永英明は、「VOCALIST」のヒットを機に、自身のオリジナルもヒットを飛ばし、見事復活しました。稲垣潤一も、ここ最近、売上が伸び悩んでいる中、彼の復活劇を見習ったのかなぁ・・・なんてうがった見方をしてしまいました。

ベスト10最後は、10位に鬼束ちひろのニューアルバム「DOROTHY」がランクインしてきました。約2年ぶりとなるニューアルバム。前作が5年ぶりで、その後2年ぶり・・・と、ちょっと活動が細切れ状態なのが気にかかるところですが・・・。今回の活動休止も、昨年9月に、極度の疲労による体調不良からの活動休止だそうで、無事復活してうれしいところなのですが・・・その後の体調は大丈夫なのでしょうか?気にかかります。

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2009年11月 3日 (火)

実はとてもポップ??

Title:Warp20[Chosen]

Warp20[Chosen](チョーズン)

いわゆる「テクノ3大レーベル」として知名度の高いWARPレコード。個人的に、おそらく唯一、レーベル買いをしてしまうレーベルです。まあ、それだけ有名だってことですね。かつ、非常に個性的なミュージシャンを数多くかかえているレーベルだったりします。

今回、レーベル創設20周年を記念してリリースされた2枚組のベストアルバム。AutechreやAphex Twin、SquarepusherにBoards Of Canadaといった、WARPを代表するミュージシャンの曲がズラリと並んでいます。

Disc1は、オフィシャルサイト上で行われた人気投票をもとに決定された作品で、Disc2は、WARP主宰Steve Beckettにより選曲された作品が収録されています。

Disc1の方は、思った以上に聴きやすいですね~。WARPといえば、実験的なエレクトロニカ作品をリリースするミュージシャンが多い・・・というイメージで、Autechreをはじめ、初めて聴く方には、強烈なインパクトのあるミュージシャンが多いのですが、ここに並んだ作品を聴くと、やはりポップで聴きやすい作品に人気が集まるのかなぁ、とも思ってしまいます・・・まあ、私自身の耳が慣れてきただけ、かもしれないのですが。

一方で、Disc2の方は、Steve Beckett選曲ということもあるのでしょうか、比較的実験的。Disc1に比べると、癖のある作風の曲が多かったような印象を受けました。ある意味、WARPレコードとしての目指す道が示されている、ということなのでしょうか?常に新しいスタイルを求めていく・・・これが、このレーベルの大きな魅力なのかもしれません。

ただ、この2枚のディスクを聴いてあらためて感じたのは、「実験的」みたいな枠組みで語られることの多いWARPですが、実はその根底にしっかりとしたメロディーが流れていて、とてもポップにまとまっているんだなぁ、ということに気がつきました。

Jamie Lidellの「Daddy's Car」など、かなりポップなメロが楽しめますし、特にBoards of Canadaの「Amo Bishop Roden」やXeper(Black Dog Productions)の「Carceres Ex Novum」のメロにはどこか哀愁すら感じられ、日本人好みかも。

ぱっと聴いた感じ、不思議なリズムや様々な音に隠れがちなのですが、その後ろでしっかりと鳴っているポップなメロディーこそがWARPの魅力なのかなぁ・・・なんてことを考えたりもしました。

個人的には、Autechreの「Gantz Graf」やBattlesの「Race:Out」が特によかったかな?Autechreの個性は、このアルバムでも際立っていますね。不条理な音が、どこかメロディアスで癖になりそうです。Battlesは、低音のストリングスに重いドラムスという幕開けから、やがて明るいギターが鳴り響き、風景が開けていく、という展開がたまりません。

もちろん、それ以外の曲も個性な曲揃い。テクノ、エレクトロニカ好きには、是非とも聴いて欲しい(・・・というか、もう聴いているか(^^;;)アルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

BRASS KNUCKLES/NELLY

Brass Knuckles

かなりマッチョなジャケ写ですが・・・(^^;;

ジャケ写のイメージ通り、ヘヴィーな曲もあれば、メロウなチューンもあり、バリエーションが豊富なアルバム。いろいろな層にアピールできる曲があり、いい意味で、売れそうだなぁ、という感想を持ちました。

評価:★★★★

PAPER TRAIL/T.I.

Paper Trail

マイヤヒー~~!

・・・にはちょっとビックリしました(笑)。いや、「Live Your Life」に、日本でも大きな話題となった「恋のマイヤヒ」がサンプリングされていたって話なんですけどね(^^;;ちなみにこの曲、邦題は「マイヤヒ・ライフ」なのね・・・。

基本的にヘヴィーな曲が多かった一方、後半には聴かせる曲も。特に「You Ain't Missin' Nothing」では、悲しげなトラックに、淡々としたラップがとても印象的。その実力を存分に味わえる1枚でした。

評価:★★★★★

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2009年11月 2日 (月)

ベテランの安定感

Title:太陽のめぐみ
Musician:スターダストレビュー

太陽のめぐみ

スターダストレビューというバンドは、広い層のリスナーが安心して聴けるバンドだと思います。

で、このアルバム。そんなスタレビの期待を裏切らないアルバム・・・とでも言うべきでしょうか?実にスタレビらしいアルバムに仕上がっていました。

例えばラテン調の「太陽の女神」「ニッポンの汗」、軽快な、ちょっとアメリカンポップの要素も入ったような「恋の呪文はRing My Bell」、しっとりと聴かせるピアノバラードの「潮騒静夜」に、ソフトロック調の「ALIVE」などなど。

それなりのレパートリーの広さを持ち、かつ、スタレビっぽい曲という軸は全くぶれない。ここらへん、ベテランバンドとしての安定感かなぁ、という印象を受けます。

一方で、「僕らの本能」では、根本さんがラップに挑戦していてちょっとビックリ。正直、ちょっと「おやじが無理やり若者文化に背伸びをして・・・」という印象はぬぐえないのですが(^^;;ここらへんはご愛嬌といった感じでしょうか?

そんな感じで、このアルバムだけを取れば、いつも通りのスタレビ。少々マンネリ気味な部分も否めないけど、安心して聴ける作品、という評価になるのでしょうか。積極的にファン以外にアピールできる要素は少ないものの、ファンなら安心して聴ける作品だと思います。

ただ・・・先日聴いた「Blue Stardust」「Red Stardust」の昔の作品と比べちゃうと、ちょっと物足りなさも感じちゃうんですよね。もっと躍動感があって、垢抜けていて、おもしろい曲をいっぱい演っていたバンドだった、と思うんですけど。

いい意味でも悪い意味でもベテランバンドとしての安定感を感じてしまった作品でした。

評価:★★★

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2009年11月 1日 (日)

壮大なゆずの世界

Title:FURUSATO
Musician:ゆず

FURUSATO

ゆずの最新アルバムを聴いてまず感じたのは、とてもスケール感のあるアルバムだなぁ、ということでした。

冒頭の「虹」「逢いたい」をはじめ、最後を締めくくる「みらい」まで、ストリングスやピアノを効果的に用いて、オーケストラテイストにアレンジした、壮大さを感じる楽曲が続きます。

他にもかわいらしいポップチューンの「いちご」や、伸びやかなメロディーが印象的な「Yesterday and Tomorrow」など、シングル曲が多かった影響もあるのでしょうが、とても垢抜けた印象のあるアルバムに仕上がっていました。

いまさら・・・と言われそうなのですが、ゆずのスタジアムバンドとしてのスケールの大きさを感じさせる、そんなアルバムだったと思います。

ただし、その一方でアコースティックギターをメインとした、まだストリートバンドとして活動をしていたころのゆずを思い出させるようなナンバーもしっかり収録されているのが彼ららしいところ。

その中でも印象的なのは「レストラン」という作品。田舎から出てきた東京に出てきた男の子と女の子をテーマにしたちょっと切ないナンバーで、そのアコースティックなサウンドとともに、とても印象に残るナンバーです。

また、今回のアルバム、インストをのぞいて実質11曲中、6曲が既にシングルとして発表されている曲。そういう意味では、シングルも欠かさず買っている、熱心なファンには不評な面もあるみたいです。

ただ、それだけシングルを収録されていながら、アルバムとして、しっかり流れをつくり、かつ、コンセプトを感じさせる作品になっているんですよね。全体的なサウンドメイキングも統一感がありますし、歌詞もシンプルで素直なラブソング・・・というよりも人と人のふれあいを描いたような歌詞で、「FURUSATO」というアルバムタイトルから想像できるように、どこか暖かさを感じさせるアルバムになっています。

スタジアムバンドとしてのゆずの魅力と、ストリートで活動していた時代のゆずの魅力を同時に味わえる傑作アルバムだと思います。彼らの実力をあらためて感じることの出来た1枚でした。

評価:★★★★★

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