太陽のように暖かい
Title:歩幅と太陽
Musician:eastern youth
昨日紹介した斉藤和義のアルバムが「月」をテーマにしていたとしたら、今日紹介する作品のテーマは「太陽」。それも、遠くで暖かく見守ってくれる、そんな太陽のような暖かさと優しさ、そして力強さを感じる作品でした。
作品は、彼ららしい日本語で綴られた歌詞。そしてその内容は、日本語だからこそ心に届く、力強くも優しい歌詞が綴られています。
そこで描かれる世界は、とても前向きで、かつ、自由や希望を求めようとする人の姿。ただ、彼らの歌詞は、決して単純な前向き応援歌ではありません。
彼らの歌を聴いて感じるのは、今の日常の中で、希望を見出す強さとでも言うべきでしょうか・・・。例えば1曲目「一切合切太陽みたいに輝く」では、こういう風に歌われています。
「流行らないメシ屋が太陽みたいに輝く
潰れたスナックが太陽みたいに輝く
ダサいTシャツが太陽みたいに輝く
手書きの看板が太陽みたいに輝く
空車のタクシーが太陽みたいに輝く
物干竿売りが太陽みたいに輝く
溢れたゴミ箱が太陽みたいに輝く
軒下のダルさが太陽みたいに輝く」
(「一切合切太陽みたいに輝く」より 作詞 吉野寿)
なにげない日常が、実はすごく素晴らしいものなんだ、そんなメッセージが伝わってきます。
もちろん、単純な現状肯定ではありません。「脱走兵の歌」では、自由を求めて現状から逃げ回る人物の姿を脱走兵に例えて歌い上げています。
なんというかなぁ・・・単純な希望や、「ここにはない何か」なんてことを歌い上げないで、地に足をつけて希望を歌っている、とでも言うのでしょうか。決して煽りたてるわけじゃない。暖かく見守る太陽のような、そんなイメージを、彼らの作品からは感じました。
サウンドの方は、ストレートでノイジーなギターロック。以前と比べると、かなりポップで聴き易い、というイメージはあるものの、バンドとして主張しながらも、歌詞を邪魔するほど前には出てこないバランスは、やはり見事だと思います。
ただ、サウンドの方は、やはり少々マンネリ気味な部分も否めないかな?「影達は陽炎と踊る」のように、音も歌詞もどこか幻想的で、不思議な雰囲気をかもし出している曲もあるのですが・・・。
そういう意味では、ちょっと無難、と感じてしまう面もあることは否定できないかも。もっとも、それを差し引いても、十分楽しめる名作なのは間違いないとは思うのですが。
評価:★★★★
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