人気が出ても曲はぶれない
Title:OOPARTS
Musician:the pillows
ベスト盤のヒットを経て、確実に人気を伸ばし続けるthe pillows。このアルバムでは、なんとオリジナルとしては初となるベスト10入りを記録!(ただ、残念ながら初動は前作を下回ってしまいましたが・・・)確実に言えます。the pillowsの時代が来た、と。
ただ、そんな時代の中でも全くぶれないのが彼ら。前作「PIED PIPER」では、ちょっと曲調を広げようとする試みも垣間見れましたが、今回の作品は、実にthe pillowsらしい作品になっていたと思います。
今回は、いつも以上に、腰まわりが落ちついたような、ヘヴィーでノイジーなギターをベースとした作品が多かった印象があります。一方、後半はしっかり聴かせるナンバーも多く、いわば硬軟使い分け、the pillowsとしての魅力をしっかりと聴かせてくれています。
一方、相変わらず彼ららしいのがその歌詞。
「YOUR ORDER」では、純粋に音楽への愛情を歌い、「メロディー」では、最初
「トラブルメーカー気にしてないぜ
野良犬と旅に出よう」
と歌いながらも、ラストは
「誰からも嫌われないヒーローに
憧れた事もあるんだ」
(以上「メロディー」より 作詞 山中さわお)
と弱い本音をチラリと見せるのも彼ららしいところ。
そしてその中でも特に
「I believe no one.
I need clown's make-up」
(訳 誰も信じないぜ
僕には道化者の化粧が必要だ)
(「FOXES」より 作詞 山中さわお)
と歌う「FOXES」は、「常識的な普通の世間」になじめない自分をストレートに描く歌詞は、まさにthe pillowsの王道といえるでしょうし、また、
「町で一番美しい
キミは向日葵 僕は三日月
夜明けの狭間 会えるけど
すぐに太陽がキミを奪う」
(「Beyond the moon」より 作詞 山中さわお)
と、悲しい片思いを歌う「Beyond the moon」も、実に彼ららしいラブソングになっています。
大傑作「MY FOOT」以降、人気の高まりとは反比例に、ちょっとマンネリ気味かなぁ・・・とも感じられた最近の彼らですが、この作品は、ある意味吹っ切れた感もあり、いままで通りの彼らながらも、新鮮味すら感じられ、また、マンネリということをほとんど感じませんでした。
「MY FOOT」には及ばないものの、文句なしに傑作といえる作品。「OOPARTS」=場違いな工芸品というタイトルも彼ららしいなぁ。いい意味でヒットチャートのOOPARTSな彼ら。まだまだこの勢いは止まらなさそうです。
評価:★★★★★
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コメント
移籍後、ちょっと変に力んでるような作品が続いたように感じてましたが、
今作では余計な力が抜けて、彼らの持ち味がしっかり出ていましたね。
個人的にはMY FOOTより気に入ってます。
彼ららしいヒネた歌詞やメロディーもさることながら、
あまり売る気の感じられないジャケ写もポイント高いです。(笑
投稿: ブラックシープ | 2009年10月30日 (金) 16時24分
>ブラックシープさん
そうそう。いい意味で力が抜けた作品になっていますよね。久しぶりに快作がリリースされたなぁ、という印象です。
確かに、ジャケット、売る気ないようなジャケットですよね(笑)。絶対、ジャケ買いしなさそうな(^^;;そういうひねくれ方も彼ららしいですね~。
投稿: ゆういち | 2009年11月 5日 (木) 00時08分