バラードのイメージが強いけど・・・。
Title:BEST A.I.
Musician:A.I.
来年のデビュー10周年に先駆けてリリースされた、A.I.初となるベストアルバム。
A.I.といえば、「Story」や「ONE」などのヒットによって、しんみりと歌い上げるバラード歌手、というイメージが強いかもしれません。
実際、このアルバムでも、最初にいきなり「Story」「Believe」「ONE」とバラード3連発からスタート。その後も「大切なもの」「おくりびと」のような、前半はひたすらバラードナンバーが続きます。
ただ、ここらへんのバラードナンバーって、どうも「よくありふれた」というイメージが強くなってしまうんですよね。特にここ何年か、似たタイプのR&B系ミュージシャンがすっかり増えてしまった中、A.I.のナンバーも、どうもOne Of Themみたいな印象が強くなってしまっています。
確かA.I.って、デビューしてきたころって、本格的なR&Bシンガー、みたいな位置付けだったんだよなぁ・・・。
で、このベスト盤を聴いていると、もちろんそんなA.I.のボーカルを聴かせるバラードナンバーも悪くないのですが、ビートの強い今風のR&Bの「365」だったり、横ノリのリズムがカッコよい「最終宣告」の方が、むしろA.I.の魅力をいかんなく出しているような、そんな印象を受けてしまいます。
ただ、一方で、そんな楽曲でも、いまひとつ吹っ切っていないというか、デビュー10年で、それなりのヒットを飛ばしてきた割りには、A.I.としての個性が確立しきれていないのではないか、そんな印象を受けます。
本格的なR&Bを歌ったり、売れ筋のバラードナンバーを歌ったり・・・A.I.のボーカリストとしての才能や、許容量があるからこそ、逆に周りに左右されてしまっているのではないか?とすら思ってしまいました。
だから、一時期はヒットチャート上位の常連でしたが、(このアルバムこそ1位を獲得しましたが)ここ最近、少々アルバムやシングルの売れ行きが伸び悩んでいるような・・・。
1曲1曲に関しては、間違いなく名曲揃い。もちろんA.I.も実力あるミュージシャンなのは間違いないと思います。だからこそ、そろそろひとつ、吹っ切れたような作品が聴きたいなぁ。本当のA.I.のコアの部分を見せて欲しい。そう感じてしまったベストアルバムでしあ。
評価:★★★★
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