アングラちっくな香りも漂う
Title:cali≠gariの世界
Musician:cali≠gari
今年4月、消費期限付きの復活を表明したビジュアル系バンドcali≠gariが、復活に先立って発売したベストアルバム。インディーズ時代の作品から、活動休止前までの作品を、発売順に収録されていて、cali≠gariの活動の軌跡を知ることが出来ます。
cali≠gariをはじめて聴いたのは、メジャーデビュー後の「第7実験室」からで、活動休止前にリリースしたベスト盤「グッド、バイ。」も聴いていなかったので、インディーズ期の彼らの作品は、これではじめて聴いたのですが・・・おもしろいなぁ~。
インディーズ時代の作品は、ヘヴィーでノイジーなギターサウンドに、どこか怪しげな、昭和歌謡曲風の要素を入れた不思議な感触に、ちょっと奇妙で、ちょっとファンタジックな世界観を展開する歌詞の要素がとてもユニーク。怪しげなアングラ系の匂いを感じるあたりは、90年代のビジュアル系ブーム以前の、「古き良き時代」のビジュアル系の雰囲気を、色濃く感じます。
特に「37564。」や「発狂チャンネル」などは、とち狂ったとしか思えないような(笑)楽曲が、みょ~な魅力を放っています。どこか「ナゴム系」の影響すら感じられます。他にも「禁色」など、西洋民謡のようなメロディーに、ファンタジックながらもエロチックな歌詞が、絶妙な世界観を作り出していて、とてもユニークです。
一方では、「ただいま。」では、失恋した男性の心境をアコースティックなバラードにのせて歌った聴かせるナンバー。歌詞もメロディーも比較的ストレートで、広い層にアピールできそうな作品で、彼らの音楽性の懐の深さを感じます。
メジャーデビュー後の作品については、「ヒズンダ!ヒズンダ!」や「舌先3分サイズ(ver 1.5)」など、エレクトロやニューウェーヴ、80年代歌謡曲などの要素を取り入れ、さらに音楽的な幅を広げています。
ただ一方、インディーズ時代みたいなアングラ色は薄れ、また、ビートロックみたいな、悪い意味でよくありがちな歌謡曲ロック、みたいな雰囲気も感じられます。ここらへん、ここ最近の作品が、インディーズ時代に比べて良くなったか、悪くなったかは、人によって評価がわかれそう・・・。
いろいろな意味で癖のあるバンドですし、一般的に「ビジュアル系」でイメージされるような側面も持っていることも事実。そういう意味では、リスナーを選ぶバンドかもしれません。
ただ、圧倒的な個性と実力を持ったバンドであることは間違いないと思います。変な偏見を持たないで、是非聴いて欲しいなぁ・・・(合間合間の寸劇は、正直「微妙」だけど(^^;;)。タイトル通り、彼らの世界を知るには、もってこいのベスト盤だと思います。
評価:★★★★★
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