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2009年10月

2009年10月31日 (土)

プチ・サザン??

Title:夜をかけぬけろ/アリシア
Musician:Jackson Vibe

夜をかけぬけろ/アリシア

え?これ、サザン・・??

Jackson Vibeのニューアルバムの、1、2曲目を聴いた段階での感想だったのですが・・・かなりストレートに、サザンオールスターズからの影響を感じますね~(苦笑)。

特に「夜をかけぬけろ」「ラブソング・オールナイト」。歌詞もメロも歌い方も。「ラブソング・オールナイト」なんて、完全に海辺のラブソングというシチュエーションだし・・・。いや、おそらくサザンをリスペクトしているのは間違いないんですが、それにしてもこれじゃあなぁ。

・・・と、まあ、これだけなら酷評の作品だったのですが(^^;;

それ以外の曲に関しては、しっかりJackson Vibeとしての魅力を出していました。よかったよかった。

中盤は、エレクトロなアレンジが、80年代のニューウェーヴやテクノポップを思い出させるような作品。どこか懐かしさと今風を同居させているような楽曲が続きました。

「野獣と花」なんかは、完全に80年代のポップスロックのヒット曲そのまんまという作品。懐かしく感じてしまう方もいるのでは?もちろん、疾走感のある耳に残るポップチューンに仕上がっていて、単なる「懐かしさ」だけではないヒットポテンシャルのある作品になっています。

しっかりと耳に残る、十分ヒットシーンで通用しそうな曲の連続。元SKA SKA CLUBといえば、かつての盟友ROCK'A'TRENCHがヒットを飛ばしましたが、彼らももっともっと売れてもいいミュージシャンだと思うんですけどね。

全体的に80年代のテイストが漂う、ちょっと懐かしさを感じるアルバム。一部、まんまサザンの楽曲は正直どうかなぁ、とも思うのですが・・・軽快なポップスロックのナンバーを楽しみたい方、お勧めの1枚です。

評価:★★★★

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2009年10月30日 (金)

すべてを詰め込め!

Title:Jam the Universe
Musician:SOFFet

Jam the Universe

SOFFetのニューアルバム。タイトルを直訳すると、「すべてを詰め込め」ということになるのでしょうか?今回のアルバムは、まさにそんなタイトルがピッタリ。様々なミュージシャンとコラボして、様々なタイプの楽曲に挑戦している、いわばSOFFetのすべてを詰め込んだアルバムになっています。

まず1曲目「イタダキ7」から、ジャズバンドPE'Zとのコラボでアップテンポなジャズナンバーからスタートしたかと思えば、2曲目「More than I love you ~365のキセキ~」はMAY'Sとコラボした、着うたヒットを狙えそうな売れ線のR&B風ポップチューン(まあ、この曲はあまりに売れ線狙いで「・・・」という感じだったのですが・・・。)

そしてSoweluとコラボした「The moment I saw you」や、それに続く「隣には君がいる」あたりはジャジーなソフトロックチューン。デビュー当初の彼らを彷彿とさせるような、クオリティーの高いポップチューンに仕上がっています。

その後も「Crossroad」は、スカパンクをイメージしたような作風に仕上がっていますし、COMA-CHIやアルファのTSUBOIも参加した「情熱のCarbonation」は、本格的なHIP HOPチューンに挑戦。ラストの「Universe ~ちぎれ雲の向こう~」は、wyolicaのSO-TOと作成した、メロディアスなラップが懐かしさを誘うチューン。このアルバムを締めくくります。

最後まで実に様々なバリエーションを聴かせてくれ、かつポップにまとめあげているアルバム。ちょっと今時の売れ線ポップを狙いすぎて、ヒネリがないなぁ、と思う作品もあったのですが、SOFFetらしい、爽やかなソフトロック風のサウンドをベースに、一緒にコラボした様々なミュージシャンが、彼らの良さをいろいろな側面からひっぱりあげている、そんな作品に仕上がっていました。

個人的に、ここ何作か、いまひとつだな、と思う作品が続いていたのですが、久しぶりに傑作と言える作品だったと思います。ベスト盤リリース後、あらたな一歩となる作品。今後の活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

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2009年10月29日 (木)

意外とロックな作風

Title:ayaka's History 2006-2009
Musician:絢香

ayaka's History 2006-2009

バセドウ病の治療のため、年内で活動を休止する絢香の、初となるベストアルバム。

絢香ってイメージ的に、90年代J-POPの正統な後継者、って感じがするんですよね。例えば、チャゲアス、B'z、ドリカム(初期)、LINDBERG、ビーイング系ミュージシャン・・・etcみたいな。

ポップスロックをベースに、80年代のバンドブームから出てきたバンドよりは垢抜けていて、ビートロックよりは洋楽テイストがあって、でも、あくまでもメロディーと歌詞が主導という歌謡曲的な曲づくり。

彼女の曲も、そんなイメージなんですよね。一応、ロックがベースになってるものの、基本はポップス。アレンジも出しゃばりすぎず、引きすぎず。メロディーと歌詞があくまでも主役。洋楽の匂いも感じるけれども、ベースに流れるのはヒット曲らしい歌謡曲。

今となっては懐かしい時代になってしまった、ヒット曲が100万枚200万枚とバブリーに売れた時代のなごりを、どこか彼女の曲からは感じます。ここ最近、こういう90年代風のJ-POPシンガー、少なくなってしまいました。最近では、コブクロやいきものがかりが彼女と同じく、J-POPの正統な後継者、といった感じでしょうか?

ただ、今回、彼女の曲をまとめて聴いて意外に感じたのは、絢香って、イメージよりも、ロックな曲を歌っているんだなぁ、ということでした。

「melody」「Real voice」あたりもかなりロック調。コブクロと組んだ「WINDING ROAD」も、アメリカンロックテイストですし、「CLAP&LOVE」なんて、Superflyあたりを思い出すような、結構本格的な60年代風のロックンロールナンバーになっています。

絢香って、「I believe」や「三日月」のヒットで、バラードシンガーというイメージが強く、ともすれば、ソウル、R&B寄りのイメージすらもっていたのですが、彼女が本当にやりたい音楽は、むしろロックンロールなのかなぁ。今回のベスト盤で、ちょっと意外に感じました。

このアルバムを置き土産に、その活動を休止する彼女。正直、そんなにファンじゃなかったので、活動休止については特になんとも思っていなかったのですが、今回のアルバムを聴いて、自分が中高生時代をすごした90年代J-POPの匂いを感じて、活動休止ということをちょっと残念に思いました・・・ファンになった訳ではないですけどね(^^;;

しっかり休養して、病気を克服して、できればまた、復帰してほしいなぁ。ただ、あくまでも急がずに。いまはただ、ゆっくりと休んでください。

評価:★★★★

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2009年10月28日 (水)

アキバ系ヒットチャート

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート1位は、AKB48「RIVER」が獲得。初動17万8千枚で、前作の初動9万枚から、ダブルスコアに近いペースで、初の1位獲得となりました。特に大きなタイアップがあった訳じゃないのに、なぜ??と思うのですが、購入者特典として、各所での握手会がついていたり、様々な特典がついていたりと、ファンの複数買いを露骨に狙ったみたいで、それが功を奏したってことなのかなぁ?

この手法、AKB48商法みたいに呼ばれ、賛否がわかれている(というよりも、批判するか、個人の趣味なんだからほっとけ、みたいな両論なんですが)、それ以上に、個人的には、80年代のおにゃん子クラブの亜流みたいな商法が、いまだに秋元康プロデュースの元、成り立ってしまうヒットシーンの進歩のなさが、正直どうなのかなぁ・・・と思ったりします。

で、AKB48といえば、ご存知おたくの聖地、東京の秋葉原がその活動の中心なのですが、今回のチャートは、いわゆる「アキバ系」と呼ばれる曲が並んでいます。

まず5位。シェリル・ノームstarring May'n「pink monsoon」がランクインです。映画「劇場版 マクロスF 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」の挿入歌。菅野よう子作曲による作品で、ちょっと色っぽい、R&B風の楽曲に仕上がっています。出来としてはアニソンという枠組みにとらわれないポップソングになっていて、ここらへん、さすが菅野よう子作品といった感じでしょうか?

8位、9位には、TBS系アニメ「けいおん」キャラクターソングが2曲。8位に「『けいおん!』イメージソング 平沢憂(Lovely Sister LOVE)」が、9位に「『けいおん!』イメージソング 真鍋和(Coolly Hotty Tension Hi!!)」が、それぞれランクインしています。こちらはどちらも、いかにもアニソンといったイメージの楽曲。あくまでもファン向けといった感じでしょう。

そして10位にテレ東系アニメ「極上!!めちゃモテ委員長」のオープニング曲、北神未海withMM学園合唱部,MM3(東條潮・西崎青・南雲波人)「大好きになれっ!」がランクインしています。こちらは、北神未海役の小川真奈というアイドルを前面に押し出しているので、アニソンというよりもアイドルソングという枠組みかな?楽曲も、いかにもアイドル歌謡曲といった感じでした。

一方、アキバ系シングル以外では、2位にAAA「Hide-away」がランクイン。いまひとつ、彼らのターゲットがどこなのかわかりずらいのですが、固定ファンを確保しているみたいで、初動は4万3千枚と、前作の4万4千枚からほぼ横ばいになっています。

3位にランクインしてきたのが平井堅「僕は君に恋をする」。映画「僕の初恋をキミに捧ぐ」の主題歌で、平井堅らしいバラード。初動は前作の1万枚から大きくはねあがり3万枚を売り上げました。彼は相変わらずバラードシングルの時だけ売れますね・・・。「楽園」のブレイクから、もう9年も経過するのに、いまだにいまひとつ固定ファンが定まらず、シングル毎に売上が大きく変動するのに、ちゃんとヒット曲を出せる、というのは脅威かも。普通、この手のシンガーは、何曲かヒットを出した後、早い段階で消えちゃうので・・・。

そしてもう1曲。6位に西野カナ「もっと・・・」がランクイン。自身初のベスト10ヒットです。例によって着うたからのヒットみたいです。で、例によって着うたヒットにありがちな、しんみり聴かせるR&B風ラブバラードになっています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート1位は、GLAYのベストアルバム「THE GREAT VACATION VOLUME 2.~SUPER BEST OF GLAY~」がランクイン。15周年を記念してリリースされたベストアルバムの第2弾。6月にリリースした第1弾が初動13万2千枚だったのに対して、こちらは初動12万2千枚と若干ダウン。なんだかんだいっても1位獲得は立派ですが、1997年にリリースしたベスト盤「REVIEW」が、初動200万枚を売ったことを考えれば、時代が変わったとはいえ、かなり寂しい結果ですね・・・。

2位は、また出ました!フジテレビ系バラエティー「クイズ!ヘキサゴンII」から生まれたユニットの曲をあつめたオムニバス盤「WE LOVE ヘキサゴン 2009」。ただ、初動は7万8千枚と、第1弾の初動27万枚に比べて大幅ダウン。そろそろここらあたりが限界か?

5位には、ソニーが必死で売り出しているギャルバン、SCANDALの初のフルアルバム「BEST★SCANDAL」がランクインしています。彼女たちってやはり、Hysteric Blue→Whiteberry→Zoneの流れ、なのか??

そして8位には、あのくるりへのトリビュートアルバム「くるり鶏びゅ~と」がランクインしています。正直、まだトリビュートされるのは早すぎやしないか??とも思うのですが、松任谷由実や矢野顕子、奥田民生といったベテラン勢から9mm Parabellum BulletやMASS OF THE FERMENTING DREGSといった若手まで、実力派がズラリと並んだこのアルバム。さすがはすごいぞ、くるり!といった感じでしょうか?ミュージシャン勢への根強い人気も感じられます。

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2009年10月27日 (火)

「歌謡ロック」は魅力的だが。

Title:CARNIVAL
Musician:椿屋四重奏

CARNIVAL

椿屋四重奏って、このアルバムもそうなんですが、アルバムを聴いている最中は、その魅力的なメロディーを楽しめるのですが、聴き終わった後の印象が薄いんですよね・・・。

メロディーにしても、歌詞にしても、魅力的な要素が多く、実力のあるバンドだなぁ、ということはわかります。

メロディーは、いい意味での「歌謡ロック」。Wikipediaによると、ボーカルの中田裕二は、影響の受けた歌手として、チャゲアスやら安全地帯やら、ストレートなJ-POP系のミュージシャンをあげているそうです。確かにチャゲアスや安全地帯のような、60年代フォークやその後の歌謡曲が、ロックとごっちゃになったような「歌謡ロック」テイストのメロディーが、楽曲になんともいえない哀愁を与えています。

またバンドサウンドも、基本的にストレートなギターロックながらも、「スピード」みたいに、歪んだ怪しげなギターリフを聴かせてきたり、「CRAZY ABOUT YOU」ではジャズの要素を入れてきたりと、それなりに一筋縄ではいかない要素を加えています。

一方歌詞も、どこかエロチックさを漂わせながらも、どこかピュアさを感じるラブソングなど、独特の世界観が魅力的に仕上がっています。

ただ、彼らの実力を、こうやって説明できても、いまひとつインパクトが薄いんですよね・・・

メロディーにしても歌詞にしても、ひとつリスナーの心をグッとつかむようなポイントがない、とでも言うべきでしょうか。

メロディーも「歌謡ロック」とはいえ、チャゲアスや安全地帯のように、一度聴いたら思わず口ずさんでしまうようなフレーズはありません。

歌詞にしても、抽象的な世界観がメインなだけに、軽く聴いていても思わず耳をそばだてて聴き入るようなインパクトのある歌詞がありません。

結局、そんな要素が相まって、聴いている最中はその世界を楽しむことが出来るのですが、聴き終わった後、いまひとつ印象に残らない、そんなアルバムになってしまっていました。

冒頭にも書いたとおり、実力があるバンドだとは思うんですよ。ライブとかもおもしろそうだとは思います。ただ、メロディーにしても歌詞にしてもバンドサウンドにしても、もうひとひねり欲しいというか・・・いろいろな意味で惜しいバンドだと思います。そろそろ、文句なしの傑作を聴きたいところなのですが。

評価:★★★

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2009年10月26日 (月)

エレクトロの枠組みに留まらない

Title:UP TO YOU
Musician:MiChi

UP TO YOU

最近、世界的に「エレクトロ」なポップチューンというのが、ひとつの潮流になっています。日本ではPerfumeが人気を集めていますし、海外でもLADY GAGAやLITTLE BOOTSといったミュージシャンが大きな話題を呼んでいます。

そんな中、今、新たに話題を呼んでいるのが、彼女、MiChi。中島美嘉やSOULHEADなども手がける松澤友和がプロデュースにつき、インディーズ時代からダウンロードチャートなどでヒットを飛ばすなど、大きな話題を呼びました。

いろいろなところで話題なのですが、あくまでも印象論として、どーもここ最近、雨後のたけのこのように出てくる着うたヒット先行の「歌姫」たちみたいなイメージがあって、正直どうなのかなぁ・・・と思っていたのですが、実際に聴いてみると、これが大ヒットでした。

全編に流れる、テンポのよい四つ打ちのリズムに、ポップなメロディーライン・・・序盤は、エレクトロサウンドを前面に押し出したダンスチューンが続きます。ギターノイズのようなノイジーな電子音に、重低音のビートの強いリズムは、最近の流行って感じですね(調べたら「ロッキン・エレクトロ」という言い方をするみたいですが)。ここらへん、テンポのよいエレクトロチューンを楽しむことが出来ます。

ところが、中盤以降はメロディーもアレンジもロック調の・・・それも洋楽ロック風の作品が続きます。タイプ的には、Superflyに近い雰囲気でしょうか?しっかりギターサウンドも入ったロックンロールチューンが続く展開となり、もっとエレクトロなダンスチューンが続くのかなぁ、と思っていたので、ちょっと意外な展開でした。

ただ、そんなロックな作品の中でも、よくよく聴くと、根底にはしっかりテンポのよい4つ打ちのリズムが流れていたりするんですよね。ここらへん、正統派のロックンロールと今風のエレクトロを融合させ、ポップにまとめあげている、というのはとてもおもしろいなぁ、と感じました。

終盤「YOU」ではピアノバラードという、これまた意外な展開で、ボーカリストとしての魅力を発揮し、ラストの「UP TO YOU」は、またまたロッキン・エレクトロなダンスチューンに仕上げて、リスナーを満足させる展開に。最後の最後まで楽しませてくれるアルバムでした。

しかしこの作品、MiChiのボーカリストとして実力ももちろんなのですが、松澤友和のプロデュースワークも上手いなぁ・・・と思いました。

決してMiChiの今回の作品、目新しいことをやっているとは思わないんですよね。エレクトロも完全に今の潮流の音そのままだし、メロディーも、SuperflyやBONNIE PINK、BENNIE Kなど、近いタイプのミュージシャンをいくらでもあげれそうだし。

でも、そんな「ありふれた音」を上手く融合させてMiChiとしての個性をつくりあげ、かつポップにまとめあげている手法は上手いなぁ・・・と感心してしまいます。メロディーやサウンドも上手くリスナーの壺をついていますし、いい意味で垢抜けている感もありました。

MiChiと松澤友和のコンビは、今後も注目したいコンビですね!この作品、オリコンでは見事初登場4位を記録しましたが、まだまだ売れる作品だと思います。これからも楽しみです。

評価:★★★★★

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2009年10月25日 (日)

Shing02とトレーニング

Title:SURDOS SESSIONS: Nike+ Training Run
Musician:Shing02

Shing02

今回紹介するShing02の作品は、一風かわった「企画盤」。長距離ランニングトレーニング用のトラックとして想定された作品でiTunes限定でのリリースになっています。

要するに、これをiPodにダウンロードして、iPodで聴きながらランニングのトレーニングしてくださいね、という意図のもとに作成された作品という訳

ランニング用・・・ということもあって、最初、アップテンポなビートがメインとなる作品かなぁ、と思って聴いてみたのですが、BPMは全編ゆっくり目。オーガニックな雰囲気のある太鼓の音が全編、心音のように鳴っていたり、ところどころで息継ぎのような音が挿入されたり。

曲によっては、スペーシーな電子音が入っていたり、静かでメロウなメロディーラインが入っていたりするのですが、音数は少なめ。どちらかというとアンビエント風な作品に仕上がっています。

ちなみに、全編で鳴り響いている太鼓の音はブラジルの打楽器、スルドだそうで、ちょっと独特なリズムの音がまた、とても気持ちよいです。

思ったよりのんびりとした曲調なんですが、よくよく考えたら、長距離走のトレーニングで、トランスみたいなアップテンポの曲を流したら、早々にばてちゃうよな(笑)。その中でも、比較的アップテンポなリズムのパートと、さらにゆっくりのリズムのパートが交互に続き、ここらへん、曲にあわせてペースアップしたり、クールダウンしたりと、音楽のテンポにあわせてトレーニングできるように考えられています。

また、ペースアップなリズムになる前には、Shing02が「Go!」の掛け声を出したり、クールダウンの前には「OK!」の掛け声を出したりするのもちょっとユニーク。Shing02と一緒に(?)トレーニングが楽しめる気分になれます。

音数をあえて減らすことによって、トレーニング中に発せられる「音」とのシンクロを狙ったみたいで、トレーニングをしながら聴いて、はじめて1つの作品となるのかもしれません。

で。私自身、まだトレーニングをしながら聴いたことないのですが(^^;;ただ、「普通」にひとつの作品として聴いても十分楽しめるんですよね。まあ、トレーニング前提の作品なんで、じっくり聴きこむ・・・という作品ではないのかもしれませんが、この作品単独でも、十分成り立つ作品だったと思います。

でも一度、これを聴きながらトレーニングに挑戦してみなくては・・・メタボ対策にも(笑)。

ちなみに、ダウンロードはこちらから。(iTunesが立ち上がるので注意!)

評価:★★★★

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2009年10月24日 (土)

アングラちっくな香りも漂う

Title:cali≠gariの世界
Musician:cali≠gari

cali≠gariの世界

今年4月、消費期限付きの復活を表明したビジュアル系バンドcali≠gariが、復活に先立って発売したベストアルバム。インディーズ時代の作品から、活動休止前までの作品を、発売順に収録されていて、cali≠gariの活動の軌跡を知ることが出来ます。

cali≠gariをはじめて聴いたのは、メジャーデビュー後の「第7実験室」からで、活動休止前にリリースしたベスト盤「グッド、バイ。」も聴いていなかったので、インディーズ期の彼らの作品は、これではじめて聴いたのですが・・・おもしろいなぁ~。

インディーズ時代の作品は、ヘヴィーでノイジーなギターサウンドに、どこか怪しげな、昭和歌謡曲風の要素を入れた不思議な感触に、ちょっと奇妙で、ちょっとファンタジックな世界観を展開する歌詞の要素がとてもユニーク。怪しげなアングラ系の匂いを感じるあたりは、90年代のビジュアル系ブーム以前の、「古き良き時代」のビジュアル系の雰囲気を、色濃く感じます。

特に「37564。」「発狂チャンネル」などは、とち狂ったとしか思えないような(笑)楽曲が、みょ~な魅力を放っています。どこか「ナゴム系」の影響すら感じられます。他にも「禁色」など、西洋民謡のようなメロディーに、ファンタジックながらもエロチックな歌詞が、絶妙な世界観を作り出していて、とてもユニークです。

一方では、「ただいま。」では、失恋した男性の心境をアコースティックなバラードにのせて歌った聴かせるナンバー。歌詞もメロディーも比較的ストレートで、広い層にアピールできそうな作品で、彼らの音楽性の懐の深さを感じます。

メジャーデビュー後の作品については、「ヒズンダ!ヒズンダ!」「舌先3分サイズ(ver 1.5)」など、エレクトロやニューウェーヴ、80年代歌謡曲などの要素を取り入れ、さらに音楽的な幅を広げています。

ただ一方、インディーズ時代みたいなアングラ色は薄れ、また、ビートロックみたいな、悪い意味でよくありがちな歌謡曲ロック、みたいな雰囲気も感じられます。ここらへん、ここ最近の作品が、インディーズ時代に比べて良くなったか、悪くなったかは、人によって評価がわかれそう・・・。

いろいろな意味で癖のあるバンドですし、一般的に「ビジュアル系」でイメージされるような側面も持っていることも事実。そういう意味では、リスナーを選ぶバンドかもしれません。

ただ、圧倒的な個性と実力を持ったバンドであることは間違いないと思います。変な偏見を持たないで、是非聴いて欲しいなぁ・・・(合間合間の寸劇は、正直「微妙」だけど(^^;;)。タイトル通り、彼らの世界を知るには、もってこいのベスト盤だと思います。

評価:★★★★★

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2009年10月23日 (金)

人気が出ても曲はぶれない

Title:OOPARTS
Musician:the pillows

OOPARTS

ベスト盤のヒットを経て、確実に人気を伸ばし続けるthe pillows。このアルバムでは、なんとオリジナルとしては初となるベスト10入りを記録!(ただ、残念ながら初動は前作を下回ってしまいましたが・・・)確実に言えます。the pillowsの時代が来た、と。

ただ、そんな時代の中でも全くぶれないのが彼ら。前作「PIED PIPER」では、ちょっと曲調を広げようとする試みも垣間見れましたが、今回の作品は、実にthe pillowsらしい作品になっていたと思います。

今回は、いつも以上に、腰まわりが落ちついたような、ヘヴィーでノイジーなギターをベースとした作品が多かった印象があります。一方、後半はしっかり聴かせるナンバーも多く、いわば硬軟使い分け、the pillowsとしての魅力をしっかりと聴かせてくれています。

一方、相変わらず彼ららしいのがその歌詞。

「YOUR ORDER」では、純粋に音楽への愛情を歌い、「メロディー」では、最初

「トラブルメーカー気にしてないぜ
野良犬と旅に出よう」

と歌いながらも、ラストは

「誰からも嫌われないヒーローに
憧れた事もあるんだ」

(以上「メロディー」より 作詞 山中さわお)

と弱い本音をチラリと見せるのも彼ららしいところ。

そしてその中でも特に

「I believe no one.
I need clown's make-up」
(訳 誰も信じないぜ
僕には道化者の化粧が必要だ)

(「FOXES」より 作詞 山中さわお)

と歌う「FOXES」は、「常識的な普通の世間」になじめない自分をストレートに描く歌詞は、まさにthe pillowsの王道といえるでしょうし、また、

「町で一番美しい
キミは向日葵 僕は三日月
夜明けの狭間 会えるけど
すぐに太陽がキミを奪う」

(「Beyond the moon」より 作詞 山中さわお)

と、悲しい片思いを歌う「Beyond the moon」も、実に彼ららしいラブソングになっています。

大傑作「MY FOOT」以降、人気の高まりとは反比例に、ちょっとマンネリ気味かなぁ・・・とも感じられた最近の彼らですが、この作品は、ある意味吹っ切れた感もあり、いままで通りの彼らながらも、新鮮味すら感じられ、また、マンネリということをほとんど感じませんでした。

「MY FOOT」には及ばないものの、文句なしに傑作といえる作品。「OOPARTS」=場違いな工芸品というタイトルも彼ららしいなぁ。いい意味でヒットチャートのOOPARTSな彼ら。まだまだこの勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★★

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2009年10月22日 (木)

CDでもハイテンションを聴かせます

Title:Absolute POLYSICS
Musician:POLYSICS

Absolute POLYSICS

デビュー10周年で、ついに武道館ライブかよ!!

ビックリしたなぁ。「3回みたら飽きる」っていわれたバンドだよ。隔世の感があるなぁ(しみじみ)。

まあ、「3回みたら~」というのはジョークとしても、ハイテンションなライブバンドで、正直、決してポップという範疇で語られるようなバンドじゃなかっただけに、武道館レベルにまでファンを集められる、という事実はちょっとビックリです。どちらかというと、マニア向けに近いバンドだと思っていたのですが。

しかし、そんなインディー時代から彼らが確実に成長しているのは事実。だからこそ、一部のマニア向けバンドに留まらず、武道館レベルの人気バンドにまでにファンを増やすことが出来たのでしょう。

そして、そんな成長を感じられるのが、彼らのオリジナルアルバム。

デビュー当初の彼らのアルバムは、ライブのテンションの高さは垣間見られるものの、ライブそのままの内容は、CDで聴くと少々辛いものがあり、「ライブは最高だけどアルバムが・・・」という典型例のライブバンドでした。

ただ、ここ何作かは、あきらかにライブで見せるというモードと、CDで聴かせるというモードを使い分けてきている感じがする彼ら。前作「We ate the machine」も、そんな中で産まれた傑作でしたが、続く本作も、半分セルフタイトルのアルバムタイトルが自信のほどを感じられる傑作になっていました。

全体的にエレクトロでパンキッシュな作品が並んでいるのはいつも通り。ただ、その中でも、ポップなメロディーを聴かせる作品が何作も並んでいて、メロディーを聴かせるというのをかなり意識しているように感じます。

そのメロディーも、「Cleanng」はどこか80年代風だったり、「E.L.T.C.C.T.」のサビは、プリプリを彷彿とさせたりと、かなりベタな部分も。ここらへんは、パンキッシュなサウンドに、あえてベタなメロディーを対比させる、というユニークさを狙ったのかなぁ??

ただ、それらの曲以外も、全体的にポップスさを感じるんですよね。決してわかりやすいメロディーラインが流れていなくても、ライブと同じピコピコ音とギターの組み合わせだとしても、妙にポップで聴きやすいんです。

わかりやすいメロディー主体の曲でポップな作風に仕上げる一方で、いままではCDではポップとして聴けなかったようなパンキッシュな曲からもポップスさを感じることが出来る作品でした。

そういう意味で、さらなる成長を感じる作品でした。武道館という大きな舞台がしっかり似合うようなバンドになってきたなぁ。今後のさらなる活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

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2009年10月21日 (水)

男性ミュージシャン、がんばる。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、シングルチャートもアルバムチャートも、男性ミュージシャン勢の活躍が目立つチャートとなりました。

まず1位はB'zのニューシングル「MY LONELY TOWN」。これで43作連続の1位で、トップ10入り44作で歴代1位タイだそうです。トップ10の記録は他が浜崎あゆみとSMAPなので、こちらはお互い、「タイ記録」で記録を伸ばしていきそう。

続く2位も男性ミュージシャン。スキマスイッチ「ゴールデンタイムラバー」がランクインしています。アップテンポでファンキーな、なかなかカッコいいナンバー。11月には久しぶりのアルバムリリースも待っていますし、本格的に活動再開といった感じでしょうか?これからの活躍も楽しみです。

さらに男性ミュージシャン勢。5位にはゴスペラーズ「ラヴ・ノーツ」がランクインです。ゴスペラーズらしい、しっかりと聴かせるバラードナンバーになっています。彼らも10月にアルバムをリリースするそうなのですが、そちらも楽しみです。

男性ミュージシャンもう1組。9位にThe Birthday「愛でぬりつぶせ」が入ってきています。ちょっとベタなタイトルですが・・・(^^;;チバの歌声が印象的なガレージナンバーなのは相変わらず。初動売上は前作の1万枚から9千枚と微減なのですが、シングルでは初となるベスト10入りです。

ちなみに・・・7月に元ミッシェルのアベフトシの突然の訃報後、初となるシングル・・・。それにからめて話をするのは、本人たちの意図するところではないと思うのですが・・・やはりチバの歌声と、それにからむキュウちゃんのドラムを聴くと、もうあの4人での「音」は聴けないんだよなぁ、とちょっと悲しく感じてしまいました。

さて、それ以外には・・・

3位に新選組リアン「男道」がランクインです。日テレ系バラエティー「人生が変わる1分間の深イイ話」から生まれた男性アイドルユニットだそうで、作詞が島田紳助で作曲が高原兄というのは、完全に羞恥心のコンビですね。「ヘキサゴン」初のアイドルユニットが売れて味をしめた、といったところでしょうか?「男っぽさ」を前に押し出したスタイルと、80年代風のアイドルソングは、一世風靡セピアと昔のジャニーズ系の中間あたりの雰囲気か?なんだかんだいっても、この手のテレビ初のユニットが、簡単にヒットを飛ばせちゃうあたり、まだまだテレビというメディアの強さを感じます。

6位には中川翔子「『ありがとうの笑顔』」が入ってきました。最近はチャートの常連ですね。よくありがちなミディアムテンポのナンバーといった感じなのですが・・・。

ラスト10位には飯島真理,FIRE BOMBER,May'n,中島愛「超時空アンセム2009『息をしてる 感じている』」がランクイン。アニメ「マクロス」シリーズの歴代歌手が集合した作品だそうです。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートも男性ミュージシャンの活躍が目立ちます。初登場3枚はいずれも男性ミュージシャンのアルバム。そして、その中で、1位はAqua Timezのベスト盤「The BEST of Aqua Timez」が獲得しました。

ただ、初動売上は8万3千枚。オリジナルとして最新作の「うたい去りし花」の初動5万9千枚から大幅アップしたものの、インディー盤で1位を獲得した「空いっぱいに奏でる祈り」頃と比べると、ベスト盤としては少々寂しい印象も受けてしまいます。

7位には、来ました!the pillowsの新譜「OOPARTS」がランクインです!ベスト盤やシングルでのベスト10入りはありましたが、オリジナルアルバムとしては、初のベスト10ヒットとなりました!!ただ、初動売上は1万5千枚で、オリジナルとしては前作の「PIED PIPER」の初動1万8千枚から若干減少しています。

そして8位には、米米CLUBの、再結成後2枚目となるオリジナル作「SUNRISE」がランクインです。再結成後、初となるアルバム「komedia.jp」の初動2万3千枚に対して初動1万4千枚と減少気味。まあ、前作は再結成後初という話題もあったので、今後、この水準で人気を維持できるかがポイントかな?

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2009年10月20日 (火)

バラードのイメージが強いけど・・・。

Title:BEST A.I.
Musician:A.I.

BEST A.I.

来年のデビュー10周年に先駆けてリリースされた、A.I.初となるベストアルバム。

A.I.といえば、「Story」「ONE」などのヒットによって、しんみりと歌い上げるバラード歌手、というイメージが強いかもしれません。

実際、このアルバムでも、最初にいきなり「Story」「Believe」「ONE」とバラード3連発からスタート。その後も「大切なもの」「おくりびと」のような、前半はひたすらバラードナンバーが続きます。

ただ、ここらへんのバラードナンバーって、どうも「よくありふれた」というイメージが強くなってしまうんですよね。特にここ何年か、似たタイプのR&B系ミュージシャンがすっかり増えてしまった中、A.I.のナンバーも、どうもOne Of Themみたいな印象が強くなってしまっています。

確かA.I.って、デビューしてきたころって、本格的なR&Bシンガー、みたいな位置付けだったんだよなぁ・・・。

で、このベスト盤を聴いていると、もちろんそんなA.I.のボーカルを聴かせるバラードナンバーも悪くないのですが、ビートの強い今風のR&Bの「365」だったり、横ノリのリズムがカッコよい「最終宣告」の方が、むしろA.I.の魅力をいかんなく出しているような、そんな印象を受けてしまいます。

ただ、一方で、そんな楽曲でも、いまひとつ吹っ切っていないというか、デビュー10年で、それなりのヒットを飛ばしてきた割りには、A.I.としての個性が確立しきれていないのではないか、そんな印象を受けます。

本格的なR&Bを歌ったり、売れ筋のバラードナンバーを歌ったり・・・A.I.のボーカリストとしての才能や、許容量があるからこそ、逆に周りに左右されてしまっているのではないか?とすら思ってしまいました。

だから、一時期はヒットチャート上位の常連でしたが、(このアルバムこそ1位を獲得しましたが)ここ最近、少々アルバムやシングルの売れ行きが伸び悩んでいるような・・・。

1曲1曲に関しては、間違いなく名曲揃い。もちろんA.I.も実力あるミュージシャンなのは間違いないと思います。だからこそ、そろそろひとつ、吹っ切れたような作品が聴きたいなぁ。本当のA.I.のコアの部分を見せて欲しい。そう感じてしまったベストアルバムでしあ。

評価:★★★★

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2009年10月19日 (月)

消費期限付きの復活!

Title:10
Musician:cali≠gari

10

様々な音楽をごっちゃにした、ユニークな音楽性と、独特な世界観で一部で絶大な人気を誇ったビジュアル系バンドcali≠gari。ビジュアル系が再度ブームとなる中、2003年に無期限の活動休止を宣言。しかし、それから6年が経ち、2009年、「消費期限付き」という名目で活動再開!そして、6年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

活動休止前にリリースされたアルバム「8」は、ニューウェーヴの影響を強く受けたアルバムでしたが、今回の作品も、80年代ニューウェーヴやエレクトロサウンドを多く取り入れた作品になっています。

特にあいさつ代わりの1曲目「ママゴトセンター」の冒頭から、今風のエレクトロサウンドからスタート。その後、ギターロックのスタイルに入るという構成は、ある種、今回のアルバムを象徴するような内容、と言えるかもしれません。

その後も、エレクトロサウンドとギターサウンドを重ねてダンスソングに仕上げた「ハラショー!めくるめく倒錯」や、ヘヴィーロック風のギターに、電子音やアコギのからみがおもしろい「混沌の猿」など、ギターロックサウンドにエレクトロサウンドを融合させたような作風が続きます。

それらの「音」は、決して真新しくはありません。むしろ、ここ最近、既にやりつくされた、という感も否めません。ただ、その上で、これらの楽曲にはどこかユーモラスな部分を感じます。

得てして、様々な音楽性を取り込んだアルバム、というのは頭でっかちになりがちなのですが、そこらへんはさすがといった感じでしょうか?力が抜けてユーモアセンスもたくさん。どこか斜めからの視点を含みつつ、音を楽しんでいるのは相変わらずだなぁ。

ただ、「シャ・ナ・ナ」「スクールゾーン」みたいな、まんま80年代のビートロック風の作品は、個人的にはちょっといただけなかったかも・・・。

ここ最近、再びビジュアル系というジャンルが注目を集める中での彼らの復活というのはうれしいニュース。本当は、「消費期限付き」じゃなくて、もっともっと新作を聴きたいなぁ。

評価:★★★★

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2009年10月18日 (日)

意外性は少ないけど

Title:m-flo TRIBUTE~maison de m-flo~

m-flo TRIBUTE ~maison de m-flo~

10周年を記念してリリースされた、m-floへのトリビュートアルバム。

参加した面子を見た時、いかにも「今、売出し中のR&B系シンガーを並べました」という印象を受けて、少々ひいてしまいました。

そういう意味で、ほとんど期待していないかったのですが・・・・・・

思ったより、いい。

正直、アレンジもボーカルも思った以上にシンプル。アレンジは、「come again」「Planet Shining」など、今はやりのエレクトロ風にアレンジされていたのですが、全体的なイメージはさほど変わりありません。そういう意味では、原曲のイメージを超えられていないですし、「カラオケ大会」と揶揄されるのもわからなくはないです。

まあ、逆に、ヘタに手を加えなかったため、逆にm-floの曲の良さが素直に出ていたかなぁ、という印象を受けました。

その中でも、西野カナの「Yours only...」や、清水翔太の「let go」はなかなかよかったかな?西野カナは、楽曲自体の良さに助けられた部分も多いけど、それなりに感情を加え、かつ、この手のシンガーにありがちな感情過多にならずに、しっかりと聴かせてくれます。清水翔太も、もともと女性シンガーの作品を、男性が歌うことによって、曲に新鮮味を感じておもしろかったです。

ただ一方、参加したシンガーがほとんどR&B系。そういう意味では意外性はありませんでしたし、ジャンルを問わずコラボレートしているm-floの音楽活動からすると、ちょっと参加ミュージシャンのジャンルの狭さは残念でした。

一応misonoが「Simple&Lovely」をヘヴィーロック風にアレンジしていて、お姉さんが歌った曲を妹がトリビュートというユニークさとあわせて、なかなかおもしろい試みながらも、ちょっと力量不足。物足りなさが否めませんでした。

もっと実力派のロックや他ジャンルのミュージシャンによる、原曲を大胆にリアレンジしたカバーも聴きたかったなぁ。まあ、もちろん、そういう試みは時として大失敗しちゃうもので、そういう意味では、無難にまとめあげたこのトリビュート、悪くはないとは思うのですが・・・。

そういう訳で、参加ミュージシャンなどでちょっと敬遠しているファンの方は、聴いてみても悪くはないかも。ただ、作品として少々意外性に欠けるし、絶賛はできない、そんなトリビュート盤でした。

評価:★★★★

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2009年10月17日 (土)

太陽のように暖かい

Title:歩幅と太陽
Musician:eastern youth

歩幅と太陽

昨日紹介した斉藤和義のアルバムが「月」をテーマにしていたとしたら、今日紹介する作品のテーマは「太陽」。それも、遠くで暖かく見守ってくれる、そんな太陽のような暖かさと優しさ、そして力強さを感じる作品でした。

作品は、彼ららしい日本語で綴られた歌詞。そしてその内容は、日本語だからこそ心に届く、力強くも優しい歌詞が綴られています。

そこで描かれる世界は、とても前向きで、かつ、自由や希望を求めようとする人の姿。ただ、彼らの歌詞は、決して単純な前向き応援歌ではありません。

彼らの歌を聴いて感じるのは、今の日常の中で、希望を見出す強さとでも言うべきでしょうか・・・。例えば1曲目「一切合切太陽みたいに輝く」では、こういう風に歌われています。

「流行らないメシ屋が太陽みたいに輝く
潰れたスナックが太陽みたいに輝く
ダサいTシャツが太陽みたいに輝く
手書きの看板が太陽みたいに輝く
空車のタクシーが太陽みたいに輝く
物干竿売りが太陽みたいに輝く
溢れたゴミ箱が太陽みたいに輝く
軒下のダルさが太陽みたいに輝く」

(「一切合切太陽みたいに輝く」より 作詞 吉野寿)

なにげない日常が、実はすごく素晴らしいものなんだ、そんなメッセージが伝わってきます。

もちろん、単純な現状肯定ではありません。「脱走兵の歌」では、自由を求めて現状から逃げ回る人物の姿を脱走兵に例えて歌い上げています。

なんというかなぁ・・・単純な希望や、「ここにはない何か」なんてことを歌い上げないで、地に足をつけて希望を歌っている、とでも言うのでしょうか。決して煽りたてるわけじゃない。暖かく見守る太陽のような、そんなイメージを、彼らの作品からは感じました。

サウンドの方は、ストレートでノイジーなギターロック。以前と比べると、かなりポップで聴き易い、というイメージはあるものの、バンドとして主張しながらも、歌詞を邪魔するほど前には出てこないバランスは、やはり見事だと思います。

ただ、サウンドの方は、やはり少々マンネリ気味な部分も否めないかな?「影達は陽炎と踊る」のように、音も歌詞もどこか幻想的で、不思議な雰囲気をかもし出している曲もあるのですが・・・。

そういう意味では、ちょっと無難、と感じてしまう面もあることは否定できないかも。もっとも、それを差し引いても、十分楽しめる名作なのは間違いないとは思うのですが。

評価:★★★★

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2009年10月16日 (金)

斉藤和義、復活!

Title:月が昇れば
Musician:斉藤和義

月が昇れば

斉藤和義は、ここ数作、どうもいまひとつピンと来ないアルバムが続いていました。正直、もう終わっちゃったのかなぁ、なんてことすら考えてもいたのですが(失礼!)、2年のインターバルを置いてリリースされたニューアルバム、斉藤和義完全復活!とも言える、久々の傑作に仕上がっていました。

特に前半は飛ばしまくっています。

アップテンポで陽気なロックナンバー「COME ON!」からスタート。彼らしい表現でありふれた表題のテーマを歌う「LOVE&PEACE」と、アップテンポなナンバーの連続で、リスナーをグイグイひきつけてきます。

その後も、テクノ風の打ち込みサウンドやミニマルなピアノを取り入れたユニークな「後悔シャッフル」、CMソングとしてすっかりおなじみの「やぁ 無情」、わがままな女性に怒りをぶつける歌詞がユニークな「Bitch!」など、様々な作風に、ユーモアセンスたくさんの楽曲の連続に、リスナーを全く飽きさせません。

今回のアルバムで、なんといっても聴かせどころは「Phoenix」でしょう。忌野清志郎に捧げたこのナンバーは、分厚いサウンドに哀愁たっぷりのメロディーが印象的なナンバーなのですが、なんといっても歌詞が印象に残ります。

「いつかきっとまた会える 目を閉じれば夢の中で
そうさまるで不死鳥フェニックス どこまでも飛ぶ火の鳥」

(「Phoenix」より 作詞 斉藤和義)

・・・清志郎のことをそう語るこの作品は、清志郎への愛情がいっぱいつまった歌詞が続きます。最後の最後、「国立の空」で締めくくるこの曲は、聴く者の涙すら誘います。

そんな聴かせどころたっぷりのこのアルバム。また、もうひとつ感じたのですが、どれか1つの曲がずば抜けている・・・ということのないアルバムだなぁ、ということでした。

逆に言えば、どの曲もそれぞれが個性を持って、アルバムを支えているんですよね。捨て曲がないというか、どの曲を除いてもこのアルバムは成り立たないというか、そんなことを感じるアルバムでした。

ここ最近、いまひとつ勢いに乏しかったせっちゃんですが、間違いなくこの作品で完全に勢いを取り戻しましたね。これからがますます楽しみになってくる傑作でした。

評価:★★★★★

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2009年10月15日 (木)

骨太なバンドサウンドが気持ちいい

Title:DO NOT KILL'EM
Musician:FOE

DO NOT KILL’EM

アイゴンこと曾田茂一率いるスリーピースロックバンドの、3年ぶりとなるニューアルバム。

まず、このアルバムをプレイヤーにかけると、1曲目でガツンと来ます。

ゴツゴツのハードでヘヴィーなギターサウンドに、打ち込みのリズミカルなリズムが重なる「PYRAMID OF THE QUEEEN!!!」は、ゴリゴリのハードロックながらも、テンポよいリズムをのせることにより楽曲をポップにまとめあげています。

この、ヘヴィーなロックンロールをベースにしながらも、ポップにまとめあげている、というのは、このアルバムを象徴するスタイル、といえるかもしれません。

前半は、ヘヴィーなギターリフを中心に、バンドサウンドを聴かせるハードロックテイストのナンバーが続きます。一方で、「GO WEST」「DANCE,DANCE,DANCE」など、メロディーは実にポップ。ヘヴィーなサウンドとポップなメロディーのバランスがとても面白い楽曲になっています。

一方、後半は、オルタナ系のギターロックの影響が強いナンバーが続きます。ポップなメロディーと相まって、イメージ的にはthe pillowsあたりに近い雰囲気も感じました。特に「TO BE ALONE」などはコーラスラインがとても美しいポップスナンバー。また、ミディアムバラードの「RERA TO IU NANO HANA」は、微妙な展開が聴いていて癖になるような、不思議な感じのナンバーです。

で。このアルバムに関して一番感じたのは、どの曲も、妙にリスナーの壺をついてくるようなサウンドやメロディーを書いてくるんですよね。

最近、曾田茂一は、木村カエラへの楽曲提供や、映画音楽への参加など、積極的な活動が目立ちますが、その中で、ポップの壺をつく方法を手に入れたのかなぁ、なんてことを漠然と考えたりしました。

それほどこのアルバム、気持ちいいんです。ゴリゴリのヘヴィーなギターに、美メロともいえるポップなメロディーライン。絶妙にベタといえばベタなのですが、それを微妙にはずすような要素も随所にちりばめられていて、アイゴンの実力をあらためて感じさせます。

ギターロック好きには文句なしにお勧め。ロックのダイナミズムとポップスの楽しさを同時に味わえる作品でした。

評価:★★★★★

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2009年10月14日 (水)

ベテラン勢がんばる。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まずシングルチャート。1位はYUI「It's all too much」が獲得しました。ただ、初動売上は7万5千枚で、前作の11万1千枚からダウン。少々厳しいスタートとなりました。

映画「カイジ 人生逆転ゲーム」の主題歌だそうです・・・うーん、あの「カイジ」の映画の主題歌かぁ。ちょっとイメージ違うなぁ・・・もっと、本格的なパンクバンドとかに歌って欲しかった。例えば、今週もランクインしているクロマニヨンズだとか・・・。

2位はthe GazettE「BEFORE I DECAY」がランクインしています。デス声のサビに、ラルクを彷彿とさせるメロディー。緩急使い分けた構成がうけている、のかな?

で、タイトルのベテラン勢の活躍は3位から。3位にUNICORN「半世紀少年」がランクインしました。川西幸一の50歳を記念してリリースされたシングルだそうで、タイトルの付け方が彼ららしくてユニークだなぁ。

テクノ風のアレンジに、HIP HOPなラップと歌詞をのせ、サビはなぜかベートーヴェン「歓喜の歌」をサンプリング、と、彼ららしい遊びまくった楽曲になっていて、ベテランとしての余裕と実力を感じさせます。初動は2万8千枚と、残念ながら復帰第1弾シングル「WAO!」の初動5万枚を下回ってしまいましたが、3位は自己最高位タイ。これからの活躍も楽しみです。

それに続く4位も超ベテラン。THE ALFEE「夜明けを求めて」がランクインです。これで43作連続のベスト10入り。一時期は、ベスト10入りかなりギリギリの位置をさまよっていたのですが、シーン全体のシングル販売枚数が減ってくると、固定ファン層が多い強みで、ここ最近は、チャートのかなり上位にコンスタントにランクインしています。

ベテラン勢はもう1組。7位にザ・クロマニヨンズ「グリセリン・クイーン」が入ってきています。相変わらず・・・というよりも、ここ最近、なんか再び勢いを増した感じがするヒロト&マーシー。今後もこの勢いは続いていきそうです。

初登場はもう1枚。5位に韓国人俳優リ・シウォン「女夢-Memu-」がランクインしています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート、今週はゆずのニューアルバム「FURUSATO」が1位獲得です。初動売上も前作の10万3千枚から11万4千枚にアップ。底力を見せ付ける結果となりました。

続いて初登場はベスト盤が2作ランクイン。4位にはSEAMOのベスト盤「Best of SEAMO」が、5位にはm-floの10周年記念オールタイムベスト「MF10 -10th ANNIVERSARY BEST-」がそれぞれランクインしました。

そしてアルバム初登場はあと2枚。どちらも女性シンガーがランクインしています。7位は詩音「Truth」、8位はYU-A「You Are My Love」。ここらへんの似たようなタイプの女性シンガーがはやる(けど、大ブレイクはしない)のって、やはり着うた人気にひっぱられて、ってことなんでしょうか??

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2009年10月13日 (火)

変わっていくのか?

Title:BEST STORY
Musician:RYTHEM

BEST STORY

デビューシングル「ハルモニア」がスマッシュヒットを記録してから・・・もう6年になるんですね。2人組女性デゥオRYTHEMの、初となるベストアルバムです。

彼女たちの魅力は、なんといっても2人の奏でるコーラスラインでしょう。「ハルモニア」や、同じくスマッシュヒットを記録した「万華鏡キラキラ」のような、美しい透き通ったガラスのような、クリアな歌声が、絶妙に絡み合うコーラスはまさしく絶品。聴き惚れる・・・そんな言葉がまさしく当てはまる、美しい楽曲です。

今回のベスト盤には、そんな2人の美しいコーラスが、心ゆくまで楽しめる楽曲がたくさんつまっています。最近の女性ボーカルといえば、R&B風のメロディーにラップが絡む、というパターンがほとんどの中、彼女たちみたいに、ひねりのないストレートなポップスに、ただただ美しいボーカルを聴かせるというスタイルは、珍しくなってしまっているのではないでしょうか。

しかし、そんな彼女たちも、ここ最近の作品には、徐々に変化の傾向を感じます。

キマグレンと組んだ「Love Call」や、スキマスイッチの常田真太郎と組んだ「ぎゅっとして」にしても、新たな挑戦を感じますし、他にも、ビリージョエル風のピアノポップに挑戦している「WINNER」にしても、徐々に、その音楽性を広げていこうという意気込みを感じることが出来ます。

また、歌詞にしても、ちょっとファンタジックな雰囲気のあった「ハルモニア」や「万華鏡キラキラ」などの初期のヒット曲と比べると、ここ最近の作品は、比較的、地に足をつけたというか・・・具体的な心境を描いたような歌詞を描いている印象も受けます。

その意気込みはよし!ミュージシャンとしての新たな成長といったところでしょうか。

ただ、その一方でそんな変化に不安を感じる部分もあったりして・・・。

典型的なのは・・・音楽とは直接関係ないのですが、そのルックス。うーん、このベスト盤のジャケットにしても、完全に「ギャル」になってきているんですよね~(^^;;

それでちょっと不安に感じてしまうのが、キマグレンと組んだ「Love Call」。ポップソングにラップを絡ませるという手法は、完全に今のはやりのスタイル。まあ、次にリリースした「ぎゅっとして」は、普通のポップソングに戻っているだけに杞憂であることを願うのですが・・・・・・「今風」の売れ線に走ったら嫌だなぁ、ということを漠然と思ったりしてしまいました。

そんなちょっとした不安を抱えつつも、このベスト盤については文句なしの内容。RYTHEMの楽曲にはじめて触れる方には、ちょうどよい入門盤になっています。また、これからも2人で美しいコーラスの素晴らしいポップを聴かせてほしいなぁ。楽しみにしています。

評価:★★★★★

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2009年10月12日 (月)

クレイジーケンバンド流歌謡曲?

Title:ガール!ガール!ガール!
Musician:クレイジーケンバンド

ガール!ガール!ガール!

クレイジーケンバンドといえば昭和歌謡風・・・なんていうステレオタイプな見方を書いたりすると、ファンの方にはかなり怒られてしまうかもしれません。

でも、言わせてください。このアルバムを聴いて、クレイジーケンバンドというのは、実に歌謡曲的だなぁ、ということを感じてしまいました。

いや、それは昭和歌謡曲風のこぶしの聴いたムード歌謡風のポップが多いという意味ではないんです。

例えばジャズ、ロック、ソウルにファンクといった欧米音楽のあらゆる要素を節操なしに取り込むスタイル。これも一種の歌謡曲風。

そして、そんな外来音楽の要素を取り込みながらも、メロディーは憂いを帯びて、歌詞もどこか日本的にウェットにまとめあげるというのも実に歌謡曲風。

そんな感じに、彼らの音楽からは、古き良き時代の歌謡曲の要素をしっかりと引き継いでいる、そんな印象を受けました。

特に今回の作品で、そんな印象を強く受けたのは、様々な音楽の要素をごった煮にして、さらにそれを前面に押し出していた前作に比べて、今回の作品はメロディーや歌詞をしっかりと聴かせて、さらりとポップにまとめあげているから。

そのため、歌詞がすんなり耳に入ってきて、かつ、その歌詞もどこかエロティックでどこかユニーク。ストレートに女性への愛情を歌い上げた「VIVA女性」やら、女性と夜をすごした翌朝の様子をユーモラスに描いた「うっかり八時の半次郎」やら、男女の濃い関係(ラブソングとは言わない)をしっかり描いた歌詞は印象に残ります。

一方、「僕らの未来は遠い過去」やら「俺の夢」やらは、CKB流の応援歌といった感じでしょうか?ただ単純に夢を歌った前向きな歌じゃないところ、CKBらしいいい意味でひねくれた歌詞に仕上がっています。

相変わらずCD容量一杯のボリュームたっぷりの内容ながら、様々な音楽的な要素や、そのユニークな歌詞のため、最後までまったくだれることなく楽しめる最高のポップスアルバムでした。

和風の歌詞やメロディー、様々なジャンルのごった煮。歌謡曲の本来もっている楽しさをあらためて今の時代に伝えてくれるような、そんなアルバムだったと思います。

評価:★★★★★

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2009年10月11日 (日)

ウォール街を襲撃する時にふさわしい曲

Title:Street Sweeper Social Club
Musican:Street Sweeper Social Club

Street Sweeper Social Club

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが、ザ・クープのブーツ・ライリーと結成した新バンド、Street Sweeper Social Club。この作品は、そのデビューアルバムです。

ヘヴィーでファンキーなギターリフに、ラップが載るというスタイルは、レイジとほぼ同様。ボーカルのブーツ・ライリーが黒人なこともあって、ブラックミュージックの匂いはより感じるものの、レイジのスタイルを踏襲しているように感じました。

ただ、そんな中で気になったのが、ボーカルの弱さ。私たちみたいに歌詞の内容がわからない人が聴いても、ザック・デ・ラ・ロッチャのボーカルは怒りのエネルギーを感じ、心に響くものがありました。しかし、残念ながらブーツ・ライリーのボーカルには、そのような怒りのパワーをあまり感じられません。もっとも、ザックみたいに怒りのエネルギーを前面には押し出さない、というのがひょっとしたら彼らの意図なのかもしれませんが・・・。

また、全体的にミディアムテンポのナンバーが多かったのも特徴的でした。

このアルバムに関してトム・モレロは「失業者がウォール街を襲撃する時にipodで聞くにふさわしい曲」とコメントしているそうです。そういうコメントからすると、リスナーを煽るような作風を想像するかもしれません。しかし、実際はその逆でした。

このコメントは純粋に歌詞の内容についてコメントしたのかもしれません。ただ、このアルバムを聴いて、失業者がウォール街を襲撃したとすると、それは、誰かに煽られて襲撃したわけではなく、自らの意思で、強烈な怒りを胸に襲撃した、ということ。本当にそうなった場合は、金儲け資本主義の世の中が、本当に変わるのかも・・・そんなことも考えてしまいました・・・考えすぎかな?

アルバムとしては、悪いアルバムではないのですが、正直、ちょっと地味だったかも。トム・モレロのギターについては文句なしだったのですが・・・全体的にパワーが弱かった感が否めませんでした。やはりレイジを本格的に復活、と思ってしまうなぁ・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

YEAR OF THE GENTLEMAN/Ne-Yo

Year of the Gentleman

1曲目「Closer」は、テンポのよい爽やかなチューン。一時期、ラジオでも流れまくっていたのでおなじみですね。他も、メロウで爽やかなR&Bチューンが続き、日本でも十分ヒットしそうなポップなナンバーの連続。素直に聴いていて気持ちいい作品でした。

評価:★★★★

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2009年10月10日 (土)

人気の秘密

Title:Life is sweet
Musician:10-FEET

Life is sweet

すっかり過去のモノとして過ぎ去った「メロコア」「メロパンク」のブーム。その後の「青春パンク」みたいな流れもどこへやら・・・となってしまいました。そんな中で、いまだに人気を誇るバンドが彼ら10-FEET。このアルバムもしっかりベスト10にランクインしてきています。

でも、そんな人気の秘密も、このアルバムを聴けばわかるような気がするなぁ。「メロコア」の括りで見られる彼らですが、その音楽性は実にバラエティー豊かです。

「compli-K-tion」「back to the sunset」みたいなメロコア系の曲はもちろんのこと、ヘヴィーロックだったり、オルタナ系のギターロックだったり、むしろギターポップに近い楽曲だったり、さらにはレゲエの要素を入れてきたりとユニークです。

それらのジャンルについては、正直つまみ食い程度なのですが、それでも自分のモノとして取り込み、しっかりポップにまとめあげています。

また、メロディーについても、彼らはいわゆる「美メロ」を書いてくるバンドなのですが、正直、決してそれだけで勝負できるほどの巧みなメロディーラインを書ける・・・という訳ではありません。

しかし、様々なジャンルにあわせて、ラップを組み入れたり、メロウなポップスに仕上げたりとバラエティー豊かに作風を展開させ、最後までリスナーを飽きさせません。

歌詞も、英語詞中心ながらも「STRIKE!!」「Mr.bullshit」で描く、落ちこぼれたような男の心境をユーモラスに描いたりして、印象に残ります。

決して迫力のあるロック(とはいえ、ヘヴィーな曲に関しては、かなりエッジの効いたバンドサウンドを聴かせてくれますが)を売りにしたり、先駆的な音を売りにしたりするバンドではありません。

それでもリスナーを最後まで飽きさせないバラエティー豊かな作品スタイルは、壁をつくらない音楽に対する愛情と、リスナーに対するサービス精神を感じさせます。

このバンドが、いまでもコンスタントにヒットを飛ばすのはわかるような気がするなぁ・・・そう感じた1枚でした。

評価:★★★★

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2009年10月 9日 (金)

中村一義の原風景

Title:世界のフラワーロード
Musician:100s

世界のフラワーロード

中村一義って、デビューしたころは、その独特の節回しとポップスセンスが衝撃を与えたのですが、100sになってからは、そういう衝撃を感じないよなぁ・・・・・・

なんてこと漠然と思いながら聴いていたのですが、よくよく聴くとそうではないんですよね。いまだの中村一義らしい天性のポップスセンスと独特の節回しは健在。慣れちゃった、といえば語弊があるのですが、それ以上に、そんな小難しいことを感じさせないポップスさと楽しさが100sの音楽から流れてくるのではないでしょうか。

特に100sになってからは、仲間と音楽を奏でる楽しさが、楽曲から伝わってくるようです。今回の作品は、にぎやかなサウンドがより楽しさを伝えてくれる作品。特に前半はテンポの良さもあいまって、軽快でとても楽しい楽曲が連続していました。

後半は、ミディアムテンポの聴かせるナンバーが多いのですが、中村一義のポップスセンスや独特の節回し、また、にぎやかに奏でる100sの演奏で、しんみり聴きながらもさらっと楽しむことが出来ました・・・

が。中村一義の生まれ育った街の原風景を描いたというこの作品。Wikipediaによると、「幼い頃より、家庭内不和があり、両親との離縁を経て父方の祖父母の家へと移住する。」という経歴を持つらしい彼。あらためて歌詞を聴くと、実にヘヴィーな歌詞が、彼独特の節回しでさらっと歌われていたことに気がつきます。

「いろんな物語が生まれ、死んだ、この場所で」
(「フラワーロード」より 作詞 中村一義)

と歌う「フラワーロード」もそうですし、

「赤が青に黄色になって赤に。
ボーッとかしても常にこの視線は空に。
ボーッとかしてるうちに、黄色になって赤に。
もう数時間もすればあの星が空に。」

(「最後の信号」より 作詞 中村一義)

と歌われる「最後の信号」の風景も、どこか寂しげです。

しかし、どの曲も最後は明確に前向きの希望が歌われています。こういう歌詞を書いてくるのって、本当に彼自身、今100sとして仲間と音楽を奏でられるのが楽しいんだろうなぁ~なんてことを、思ってしまいました。

そしてラストの「空い赤」は、また楽しくてにぎやかなポップチューンで締めくくられます。本当に音楽の楽しさが伝わってくるようなアルバムでした。やはり音楽を楽しく、素直に鳴らし続けるミュージシャンの曲って、聴いていて気持ちいいよなぁ・・・。

評価:★★★★★

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2009年10月 8日 (木)

海辺に流れるメロディーのよう

以前、「もっと売れてもいいと思うミュージシャン」として、いい曲をつくっているのに、いまひとつ売上がパッとしないミュージシャンたちを紹介しました。今日紹介するミュージシャンももっと売れてもいいと思うんですけどね~。

このたび、デビュー10周年を迎えたLeyonaが、2枚組のベストアルバムを発売しました。

比較的、明るい雰囲気の曲を集めたのがこちら。

Title:SUN
Musician:Leyona

SUN

で、ミディアムテンポのナンバーを集めたのがこちら。

Title:SEA
Musician:Leyona

SEA~10th Anniversary Best

どちらもオーガニックテイストのソウル風味なアレンジをベースとして、ロック、ジャズ、ブルース、ボッサといった雰囲気を取り込んだポップなナンバーがとても魅力的です。

「SUN」では、ちょっとファンキーな「星の上 空の下」や、ロックテイストの「LOVE」など、明るい陽射しの下で、みんなで楽しく聴きたい曲がたくさん収録されています。

一方、「SEA」の方は、横ノリの楽曲がメイン。海辺に寝転んで・・・というよりも、波間を浮かぶ船に横になりながら、ゆっくりと聴いていたい感じでしょうか?ピアノをベースにジャジーなポップスを聴かせる「ナツメロ」や、ブルージーなバラードナンバー「JOY TO THE WORLD」など、その横ノリのリズムがとても心地よいナンバーがたくさん収録されています。

どの曲も、ベースはしっかりソウルやロック、ブルースなどの影響を取り入れながらも、楽曲としてはポップにまとめあげているでとても聴いていて心地よいです。幅広いリスナー層が楽しめる、素敵なポップスソングが並んでいます。

で。そんなお勧めな彼女なのですが・・・正直、一方、いまひとつ売れない理由もわからなくはなくて・・・(^^;;

一言で言ってしまうと、「地味」なんですよね。

例えば・・・まあ、並べて比較しちゃうのは妥当じゃないのかもしれないのですが、同じ女性シンガーとしてCharaとかUAとかと比べると、好き嫌いがわかれそうな強烈な個性が薄いというのか。

じっくり聴いてももちろん楽しめるのですが、部屋のBGMとしてさらりと流れていってしまいそうなのも事実なんですよね。

もっとも、そういう地味さというのもまた、Leyonaの魅力だとは思うんですけどね。

そんな訳で、まだ聴いたことない方、このベスト盤を機に、是非一度聴いてみてください。心地よいポップソングが楽しめますよ。

評価:
「SUN」★★★★★
「SEA」★★★★★

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2009年10月 7日 (水)

台風が近づいています。

みなさんの地域は大丈夫でしょうか?くれぐれも、お気をつけて。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルはまたもや新譜ラッシュ。今週も10曲中9曲が初登場となっています。

その中で1位はJEJUNG & YUCHUN「COLORS ~Melody and Harmony~」。韓国のアイドルユニット東方神起からのソロユニット。さすがに東方神起の前作「Stand by U」の初動18万2千枚には及ばなかったものの、14万9千枚という好セールスで1位獲得となりました。端正なボーカルが魅力的な、デゥオナンバーです。

2位はVAMPS「SWEET DREAMS」がランクイン。初動3万1千枚は、前作の初動3万6千枚からはダウンしたものの、アルバムからのリカットシングルなどで、かなりの好セールス。しんみりとしたバラードナンバーになっています。

そして3位が「ヘタリア キャラクターCD Vol.5 フランス(トレビアンな俺に抱かれ)」がランクイン。アニメ「ヘタリア」のキャラクターソングです。

で、以下・・・

4位 CANDY GIRL/中島美嘉
5位 Cold Edge e.p./9mm Parabellum Bullet
6位 春夏秋冬/ヒルクライム
7位 この胸のときめきを/真野恵里菜

と続いています。

中島美嘉は、久しぶりに上位に顔を見せた印象が・・・。初動売上も前作の1万6千枚から1万9千枚にアップしています。ちょっと怪しげで、ちょっとロックな雰囲気の曲調が印象的なナンバーです。

9mmも、徐々に安定した人気を見せてきましたね。ただし、初動売上は前作の1万8千枚から1万5千枚にこちらは減少しています。タイトル通りエッジの効いたバンドサウンドと、哀愁を帯びた、どこか歌謡曲風のナンバーが魅力的な、いつもの9mmらしいナンバー。もうちょっと売れそうな印象もあるのですが。

6位には初顔がランクイン。男性2人組のHIP HOPユニットで、着うた先行のヒット。そういえば、この間「とくダネ」でも紹介されていたなぁ。いい曲といえばいい曲なんだけど、歌謡曲テイストの憂いを帯びたメロディーにラップをのせて歌うスタイルは、完全に今の売れ線といった感じです。この手のミュージシャン、次々と出てきているから、今後ヒットを続けるのは、よっぽどがんばらないと難しいだろうなぁ・・・。

真野恵里菜もすっかりヒットチャートの常連になってきましたね。初動1万5千枚は、前作の初動1万4千枚から微増。固定ファンがついた感じです。でも、今回の作品、なんと作曲がKANじゃないんだ~(TT)。で、作曲が畠山俊昭って誰だよ?と思ったら、シャ乱Qのはたけかよ!

で、あと2曲。

9位 Brilliant Stars/河村隆一
10位 HOME TOWN/ザ!!トラベラーズ

がそれぞれランクインしています。

河村隆一は、かなり久しぶりにベスト10で名前を見た印象が・・・。メロディアスでクリアな雰囲気のポップチューンは相変わらずといった感じ。

最後。ザ!!トラベラーズは、「地元応援バラエティ このへん!!トラベラー」という番組から産まれた、吉本芸人13組によるユニット。タカアンドトシ、オリエンタルラジオ、雨上がり決死隊の蛍原と、層々たる面子が集まっている・・・割りにはなんとかベスト10入りしたといった感じ。曲は、この手の企画系によくありがちな雰囲気のポップソングで、無難な仕上がりといった感じです。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートと同様、アルバムも6枚の新譜がランクインしている新譜ラッシュに。しかしその中でもアルバムチャートの1位は先週に続いて絢香のベスト盤「ayaka's history 2006-2009」が獲得しています。

アルバムチャートで今週目だったのが洋楽勢。2位には相変わらず強いアメリカのアイドルグループBack Street Boysの新譜「This Is Us」が、3位にはMADONNAのベストアルバム「Celebration」が、10位にはMARIAH CAREY「MEMOIRS OF AN IMPERFECT ANGEL」(邦題「メモワール」)がそれぞれランクインしています。

マドンナは初のオールタイムベスト。今年、なんと51歳(!)の彼女なのですが、外国人女性ミュージシャンで、初となるベスト3ヒットだそうです・・・って相変わらずニッチな記録だなぁ(苦笑)。ただ、マドンナの根強い人気を感じるすごい記録だとは思います。

一方マライアはギリギリベスト10・・・とはいえ、このアルバム、発売されたのが土曜日。条件的にかなり不利な中、ベスト10入りは立派というところ。なにげにその強さを見せ付けてくれました。

邦楽勢では4位にMiChi「UP TO YOU」がランクイン。最近話題の女性ミュージシャンで、これがメジャーでは初となるアルバム。かなりプッシュされていたみたいですが、見事初のベスト10ヒットとなりました。

他に7位にGARNET CROW「STAY~夜明けのSoul~」、9位にDo As Infinity「ETERNAL FLAME」がそれぞれランクインしています。

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2009年10月 6日 (火)

ドラマ本編も見てみたい・・・。

Title:PRETTY IN PINK FLAMINGO サウンドトラック
Musician:BEAT CRUSADERS

PRETTY IN PINK FLAMINGO サウンドトラック

これはおもしろいや!

BEAT CRUSADERSの今回のアルバムは、彼らのDVD作品に収録された、彼ら主演のドラマ「PRETTY IN PINK FRAMINGO」で使用された曲を集めたオリジナルサウンドトラック。ドラマへの書き下ろしとして提供された曲なのですが、問い合わせが多く、急遽CDでも発売されたそうです。

そのため、あくまでも「ドラマの中のミュージシャン」が歌った曲が収録されているのですが、これが、ビークルらしい遊び心があふれていて、とてもユニーク。

高橋瞳と組んだ1曲目「ウォーアイニー」こそ、ビークルらしいパワーポップの爽快なナンバーなのですが(まあ、この曲は、純粋な新曲らしいのですが)、5曲目「ビコーズ・ザ・ナイト」はアコースティックでしんみりと聴かせるバラードナンバー。4曲目「五月雨ゲッタウェイ」は、怒髪天の増子直純が歌っているのですが(楽曲提供はビークル)、大滝詠一ばりのイントロに、本編はおもいっきりムード歌謡曲って状況・・・・・・ってこれ、完全に森進一の「冬のリヴィエラ」を意識したの??(笑)

その合間に入る、元ZEPPET STOREの木村世治こそhurdy gurdyの楽曲がまた、渋いこと渋いこと。まさにココロに染み入る大人のバラードといった感じ。他の曲が、明るい雰囲気+どこかユーモラスなだけに、その間に入り、アルバムをほどよいバランスに保っています。

もちろん、曲はしっかりと作りこまれているのですが、BEAT CRUSADERSらしいユーモアセンスたっぷりの曲ばかり。30分にも満たない作品なのですが、とてもボリュームがあり、十分楽しむことの出来る作品でした。

ただし、普段のビークルをイメージして聴いてみると、ちょっと肩透かしを食らうかも。いわゆるビークルらしい曲は1曲目のみ。それもボーカルはあくまでも高橋瞳なので、ビークルよりも、もっと「売れ線のヒット曲風」という印象を受けるかもしれません。

でも、ユーモアたっぷりの内容に、ドラマ本編の方も気になっちゃうなぁ。田渕ひさ子嬢も出ているみたいなのも気にかかります(笑)。

評価:★★★★★

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2009年10月 5日 (月)

左心室と右心室

Title:心臓
Musician:KREVA

心臓

KREVAのニューアルバムは、非常にコンセプチュアルな作品になっています。

「心臓」というタイトルになぞらえて、前半は「左心室」、8曲目の「心臓」を境として、9曲目以降の後半は「右心室」というテーマとなっています。

前半の「左心室」は、メロウなラブソングを並べた作品。男性の好きな女性に対する心境をストレートにつづった歌詞がとても魅力的。それを、甘く切ないメロディーにのせて歌い上げています。特に、女性の恋愛心理描写には定評のある古内東子を迎えた「シンクロ」は見事。男性パートのKREVAと女性パートの古内東子のやりとりがとてもおもしろい作品に仕上がっています。

一方で後半の「右心室」は、前半ほどテーマで統一はされていないのですが、とてもバラエティーに富んだ作品が並んでいます。

Mummy-Dとのやりとり・・・特に、その声の違いが際立つマイクリレーが魅力的な「中盤戦」や、産まれてきた子供への愛情をしんみりと歌い上げた、さかいゆうとのコラボ作「生まれてきてありがとう」、ユーモラスでドラマ性のある歌詞を聴かせてくれる「この先どうする?」など、1曲1曲がとても楽しい構成となっています。

ただ、コンセプトが異なるといっても、前半と後半、そんなに大きな違いがあるか、といわれればそうではありませんでした。どちらもポップなメロディーが主軸となっており、正統派のHIP HOPというよりも、ポップス色が強い作品になっています。もちろん、トラックもしっかりと作りこまれ、特に後半ではおもしろいトラックの作品も続くのですが、あくまでもメロディーと歌詞が売りの作品でした。

派手な作風の曲がないので、全体的には地味な印象を受けます。そういう意味ではパッと聴いた感じ、物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、ポップなメロディーや時にはユーモラスな、時にはしんみりと聴かせる歌詞が魅力的。特に、聴いていて、歌詞がしっかりと耳に届いてくるのは彼の実力でしょうか?良質なポップスアルバム、そういう評価がピッタリの作品でした。

評価:★★★★★

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2009年10月 4日 (日)

ポップに振り切った作品

Title:Force
Musician:iLL

Force

iLLの最新作は、完全にポップに振り切った作品。はっきりいってしまえば、かなり「ベタ」で「わかりやすい」作品が並んでいます。スーパーカーも、新しい音に挑戦しながらも、ベースにあくまでもポップスさが流れていた点が魅力的でしたが、このアルバムは、そんな「ポップスさ」の部分をより強調した作品、といったところでしょうか。

結構、各種レビューやアマゾンでの感想を見ると評価は高いみたいなのですが・・・

うーん、本作もいまひとつピンと来なかったなぁ・・・というのが正直な感想。

確かに要所要所におもしろいポイントはあって、ナカコーの実力はうかがえるんですよ。

前半のベタなギターロックながらもスペーシーにまとめあげて空間の広さを感じさせるのもおもしろいし、「Radio Radio」みたいな、ベタな80年代風テクノポップを、今風のフィルターに通しているのも楽しくてユニークだし、(一応)シークレットトラックの「Piano」みたいに、ミニマルなピアノに静かな歌をのせている曲も、クリアな音の世界がとても魅力的だし・・・。

どうしてだろう・・・と思いながら何度か聴いてみたのですが・・・。

少々頭でっかちのところがあるのかなぁ。スパカ時代はもっと無邪気に、音楽を楽しんでいた感もあったのですが。あと、スパカ時代だとミキちゃんの歌声が、ちょうどバランスよく曲の中にマッチしていて、ポップス感を出していたのかもしれないですね。

あと、スパカ時代の傑作アルバムの感激を期待しちゃうから、ちょっと物足りなく感じてしまうのかも。もっとも、スパカの頃も、「傑作だとは思うけど、手放しに絶賛するのは何か物足りない」という作品も多かったのですが(笑)。

というわけで、次回作こそ傑作を期待しています。もっとも、このアルバムもいいアルバムだとは思うので、聴いて損のないアルバムだと思います。素直に楽しめるアルバムだと思いますよ。

評価:★★★★

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2009年10月 3日 (土)

ビジュアル系では異端派?

Title:ゲシュタルト崩壊
Musician:Plastic Tree

プラスティック・トゥリー/ゲシュタルト崩壊

決して派手なブレイクがあった訳ではないのですが、根強く活動を続け、いつのまにか90年代のビジュアル系ブームの、数少ない生き残りバンドとなったPlastic Tree。この作品は、既にデビューから10年以上を迎え、ベテランバンドとなった彼らのベストアルバムです。

Plastic Treeが、ビジュアル系の中で異端なのは、ヘヴィーメタルからの影響を受けたバンドがほとんどのビジュアル系の中で、数少ない、オルタナ系ギターロックバンドの影響を受けたバンド、という点。実際、Plastic Treeという名前からしてRADIOHEADの楽曲からとったように、イギリスのギターロックからの影響を強く感じます。

実際、このアルバムでも、特に前半は、かなりストレートなUK風のギターロック。その中でも「ザザ降り、ザザ鳴り。」「うつせみ」は、完全にシューゲイザー系の音。マイブラやジザメリあたりが好きなら、かなり壺をついた音かもしれません。

アルバム後半、特に最近の作品では、「Ghost」「メルト」のように、ヘヴィーロックの要素が強くなり、ハードな音づくりにはなっています。ただ、基本的にはオルタナ系ギターロックの影響が根底に流れているだけに、メタルが苦手という方でも、かなりポップで聴きやすい内容になっていました。

また、歌詞もなかなか魅力的。「記憶行き」「スピカ」のように、ちょっと情けない男の視点から失恋を描いた歌詞が、センチメンタルでロマンチックに心をうちます。

ただ、マイナスポイントとして・・・これは、ファンにとっては「魅力」なのかもしれませんが、やはりいかにもビジュアル系っぽい、鼻にかかった耽美的な歌い方は好き嫌いがわかれるかも。

また、そういう歌い方をしているがために、少々歌詞が聴き取りにくいのもマイナスポイント。これは、ちょっともったいない感じがします。

あと、ギターロックは魅力的ではあるのですが、ちょっと「よくありふれた」といった感じになっちゃうのも事実なんだよなぁ・・・。決して新しい音ではないし。

そういう意味で、正直、広い層に無条件でお勧めできる傑作・・・という訳にはいかないのですが、UKギターロックが好きならチェックしてみて損はないバンドかも。今回のベスト盤、その第一歩として、お勧めです。

評価:★★★★

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2009年10月 2日 (金)

21世紀のQUEEN

Title:The Resistance
Music:MUSE

The Resistance

もともとから、いろいろな音を取り込んで壮大に仕上げた・・・といい方すると言葉の響きはいいけれど、早い話、仰々しいアレンジがある種の魅力的なMUSE。しかし、この作品は、これまたロックやクラッシック、ある種のオペラすら思い起こさせるような音世界に圧巻とされます。

なんか、聴いていて、おなじイギリスの大人気ロックバンド、QUEENを思い出したんですよね。

あまりにストレートで脳天を直撃するような壮大な音の世界は、QUEENの名曲「Bohemian Rhapsody」や「WE ARE THE CHAMPIONS」あたりを彷彿とさせます。

特に「UNITED STATES OF EURASIA」は(また、タイトル自体も「壮大」だなぁ・・・)、ピアノとストリングスでゆっくり聴かせ、徐々に盛り上がっていく雄大なアレンジは、まさにQUEEN風。ロックにクラッシック的要素を融合させ、さらに東洋風のフレーズなども見え隠れする、重厚なナンバーに仕上がっています。

最後は「EXOGENESIS:SYMPHONY」の3部作になっていて、完全に管弦楽風の構成。一方では、打ち込みのリズムを入れてきたり、ヘヴィーなギターを入れてきたりと、ロック的な要素もたくさん。本当にこれでもか、というほど盛りだくさんの音の世界を楽しめます。

すっかり人気ミュージシャンとしての貫禄がついてきている彼らですが、その音も、すっかりスタジアムバンドレベルのスケール感のある音に仕上がっていますね。デビュー当初はRADIOHEADのフォロワー的な位置で見られていましたが、いまだにインディーな雰囲気を残しているRADIOHEADとは、かなり遠い位置に来てしまいました。

日本ではイギリスほどの人気は見せていないみたいですが・・・QUEENは日本先行で人気が出たみたいに、日本でも熱烈な支持を受けていましたが、彼らも徐々に、日本での人気も出てくるのかなぁ~。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

WIRE 08 COMPILATION

WIRE 08 COMPILATION

ご存知電気グルーヴ主催の屋内レイヴのコンピレーションアルバムの、これは2008年度版。相変わらずセンスのよく、かつポップなテクノチューンがたくさんおさめられていて、WIREに行けなかった方でも、その雰囲気をちょっとだけ味わうことが出来ます。個人的には、DISC TWINSの「B-DAY」やRYUKYUDISCOの「Beyond The Island」の個性的でポップな内容がよかったなぁ。

評価:★★★★★

DEATH MAGNETIC/METALLICA

デス・マグネティック~ストロング・エディション

王道。安心して聴いていられるといった感じ。いわゆるメタルなのですが、ヘヴィーロックに近い雰囲気で、グランジ系に耳馴じみのあるリスナーでも比較的聴きやすい内容かも。いい意味でも悪い意味でも安定感がありますね。

評価:★★★★

One Of The Boy/Katy Perry

One of the Boys

同性愛願望をストレートに歌った「I Kissed A Girl」が、全米でヒットし、大きな話題を呼ぶとともに、「良識派」からは大ブーイングをあびた彼女。このアルバムでも、他にもストレートにSEXのことを歌っていたり、かなり過激な歌詞にビックリさせられます。

・・・・・・が、日本人にとっては、そんな歌詞、ただ聴いているだけじゃ気がつかないんですよね(^^;;だから、普通のガールズロックのアルバムとして、アヴィリル・ラヴィーンと同じような感覚で聴けちゃうところが、いい、というべきなのか悪いというべきなのか・・・。ただ、それだと彼女の「魅力」が半分も伝わっていないのが間違いないのですが・・・。

母国語以外で歌われる曲を聴くことの意味を考えてしまった1枚でした。

評価:★★★★

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2009年10月 1日 (木)

学生時代の甘酸っぱさ

Title:(WHAT IS THE)LOVE&POP?
Musician:Base Ball Bear

(WHAT IS THE)LOVE&POP?

あぁ~なんか、甘酸っぱいなぁ・・・・・・(^^;;

なんかね、Base Ball Bearの曲は、学生時代の恋愛を思い出させる、甘酸っぱい雰囲気がにじみ出てきているんですよね。

例えばこの作品でも「SOSOS」では「制服のあの子が泣いてた」なんていう出だしからスタート。「制服のあの子」なんて段階でもう、学生時代にトリップですよ(笑)・・・って発想はおやじ臭いのか??

他にも例えば「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」では

「自転車と焼却炉 ふたりだけ
塞がる センチメンタルの壁」

(「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」より 作詞 小出祐介)

自転車!焼却炉!焼却炉なんて、高校を卒業した後、みかけたことありませんよ(笑)。こういう学生時代を彷彿とさせるアイテムをなにげなく挿入させて、「あの頃」をリスナーに思い出させちゃうんですよね。

そんな甘酸っぱさを感じさせる歌詞が、彼らの大きな魅力。そこにはいる関根史織のかわいらしいボーカルが、そんな甘酸っぱさを増幅していて、とても魅力的な要素となっています。

ただ、歌詞に関してちょっとマイナスポイントは、もっと具体的、ドラマ性を持った歌詞の方がいいんじゃないか、ということ。NUMBER GIRLあたりの影響か、やけに抽象的。悪く言えば、ヘタに文学臭い歌詞が、ちょっと気になります。

一方、メロディーやアレンジの方は、これでもかというほどストレートなギターロック。ノイジーなギターサウンドがとても魅力的で、メロディーもポップでキュート。いい意味で変な癖がなく、ポップなメロディーとノイジーなギターを楽しませてくれます。

大傑作!としてもろ手をあげて絶賛するには微妙な部分もなきにしもあらずなのですが・・・うーん、こういうギターロック、やはり素直に好きだなぁ。甘酸っぱいあの時代にちょっとだけ戻れる1枚です。

評価:★★★★★

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