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2009年9月 9日 (水)

世界の音

Title:Tai Rei Tei Rio
Musician:高木正勝

タイ・レイ・タイ・リオ【文庫本付き】

高木正勝の、久しぶりとなるニューアルバム。昨年の秋から、このアルバムを軸にプロジェクトとして立ち上がっているそうで、このアルバム発売に続き、本人出演・音楽による、ドキュメンタリー映画「或る音楽」も公開されていたりします。

なんか、いろいろと詳しい説明が必要になりそうな作品なのですが、説明は公式サイトの「概要」を見ていただくとして・・・。

そんな訳で、世界の音を広いあつめたような、ちょっと不思議な感じのアルバム。

ただ、単純に世界の民族音楽を集めてきました・・・という雰囲気ともちょっと違います。「Ceremony」は、ボリュームのある男女ボーカルはどこかオペラ風だったり、「Laji」は尺八(?)とパーカッションという不思議な組み合わせから、ピアノや笛、コーラスなどがごっちゃになる色合いにかわったり、「WAVE」では、西洋クラッシックのようなピアノの調べと、民俗音楽のようなパーカッションのリズムのからみがユニークだったり・・・と、世界各地のいろいろな「音」を取り入れながらも、高木正勝の世界に染め上げようとしています。

しかし、それらの「音」を使いあげて、全く新しい音の世界を組み立てられていたか、といわれると、少々微妙な雰囲気も。聴いていて、まるで何かの映画音楽か、ミュージカル音楽のような感想を持ってしまう曲もちらほら。

むしろ、今回のアルバムで、特に心に響いたのが、「Watch the World」「Omo Haha」のような、フォーキーなメロディーラインがのった作品。とても美しいボーカルに、これまた澄み切ったメロディーラインがマッチした、透き通った泉のようなクリアな雰囲気を楽曲がかもしだしている名曲になっていました。

高木正勝の素晴らしさって、やはりメロディーセンスなのかなぁ、なんてことをあらためて思いました。このアルバムを含め、ひとつのプロジェクト、ということで、意図する方向性はとてもよくわかります。ただ、ちょっと意図が先走っちゃった部分も否定できないかな?

もっとも、音の使い方はとてもきれいで美しいし、彼らしいメロディーの良さも随所に光る作品。高木正勝というと、エレクトロニカやポストロックというイメージがあるのですが、比較的、広いリスナー層が聴いていて素直に楽しめる作品だと思います。興味があれば、是非。

評価:★★★★

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