砂漠のブルース
Title:IMIDIWAN:COMPANIONS
Musician:TINARIWEN
今回、紹介するのは、いわゆるワールド・ミュージックにカテゴライズされるバンドです。
実は、ここ最近、ロックやポップに限らず、いろいろなジャンルの音楽に、手を広げていまして。ブルースにはじまりジャズや、クラシックなども、広く浅くですが、いろいろと聴きはじめていたりします。
そのうち、非欧米系の音楽にも興味が行くようになってきて、そんな中で気になったのが彼ら。もともと知ったきっかけはミュージック・マガジン誌の「アルバム・ランキング・ベスト100」という特集記事で、この「1990-2008年編」で、TINARIWENの前作「Aman Iman」が22位にランクインしていたことから、でした。
そんな彼らがニューアルバムをリリースした、と知って気になり、レコード店の試聴機や、彼らのMy Spaceで試聴してみて、なかなかよかったので、はじめて買ってきました。
で、今回、国内盤を買ったのですが、付属の解説書によると、彼らは「マリ北東部に位置するキダルを拠点とするトゥアレグ人のグループ」だそうで、「北アフリカにアラブ人たちがやってくる以前から住んでいる先住民(総称してベルベル人と呼ばれる)のひとつ」だそうです。
(上記文章及び以下、斜字は国内盤解説(田中勝則著)から引用)
ベルベル人ですか!ベルベル人といえばムラービト朝ですね!このインパクトある名前。世界史で習ったのをいまでもしっかり覚えています(笑)。
そんな彼らのアルバムから聴こえてくる音は、まずこぶしの利いた歌。イメージとしては、砂漠の中の火を囲んで、ひとりの歌い手が静かに、その部族に伝わる物語を歌で聴かせている・・・というイメージが浮かびました。
それに加わるのが、ブルージーな雰囲気を漂わせるギターサウンド。それもロックからの影響も感じるエレクトリック・ギターの音と、砂漠の大地をそのまま感じる歌との対比は奇妙であるのと同時にとても魅力的。ロックリスナーにも聴きやすいサウンドながらも、全く新しい音をつむいでいます。
また彼らトゥアレグ人は「もともと砂漠の遊牧民であり、現在でこそブラック・アフリカの国に住んでいる人もいるが、もともとアフリカ人ではない」そうです。
確かに、個人的にアフリカの音楽というと、アフロ・ビートの印象が強いのですが、彼らの音楽には、節回しといい、ちょっとインド音楽の流れすら感じるリズムといい、むしろアジアからの空気を感じられる・・・・気がします。
↑まあ、もっとも完全に素人の意見なので、完全に的外れなのかもしれませんが(^^;;ただ、どこか欧米からもたらされた、ロックやブルースからの影響も含め、無国籍という匂いも感じ、それもまた、彼らの音の大きな魅力のように感じました。
ある種の哀愁を帯びたメロディーが魅力的な「CHABIBA」をはじめ、そのメロディーは、どこか日本人の心にも触れそう。ワールド・ミュージックとはいえ、決して難解だったりせずに、ロックやポップスのリスナーにも聴きやすく、かつ、遠い異文化の魅力を放った作品でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Untitled/NAS
もともと「Nigger」というタイトルでリリースする予定だったのが、そのタイトルでは販売できなくなり、「無題」というタイトルでリリースすることになった作品。ハードコア、といっても、決して暑苦しい雰囲気ではなく、NASとしてのしっかりとした主張が音を通しても伝わってくるよう。ポップな作風の楽曲も多く、広いリスナー層の支持を集めそう。
評価:★★★★★
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