ソカバンのアルバム!
Title:ハピネス!
Musician:曽我部恵一BAND
曽我部恵一BANDが、今、とても充実した時期を迎えている・・・
というのは、例えばアルバムの出来にしても、ライブの評判の高さにしても、よくわかります。事実、アルバムから伝わってくる雰囲気といい、マイペースな製作活動といい、とてもよい状態で音楽活動を続けているんだろうなぁ・・・というのは、とてもよくわかります。
ただ、正直なところ、サニーデイ解散後の曽我部恵一は、手放しで絶賛できない部分があるんですよね。
それは、どうも彼の作品から感じてしまう、内輪向けな部分。
このアルバムにしても、とてもよく出来た良作なのは間違いないと思います。実際、バンドサウンドはとてもシンプルなギターロック。パンクやパワーポップ風のサウンドから、王道のロックンロール風の楽曲まで、ロックの持つダイナミズムを見事体現した作品になっています。
メロディーもポップで十分ヒットポテンシャルがありますし、話題になった「永い夜」みたいな、普遍性を持った、かつ、胸をうつ反戦歌も、このアルバムのキーになっています。
ただ、そんな普遍性を持ったロックンロールのアルバムの中に、例えば「東京ディズニーランド」のような、家族の絵日記みたいな、内輪受けを感じてしまうような歌詞とかが入ってきちゃうと、とたんに、その内向きな雰囲気が気になってしまいます。
アルバムの出来としてはシンプルに楽しめるアルバムなのは間違いないと思います。ただ、個人的には、もうちょっと外を意識した曲を書いてほしいなぁ、と思ってしまうんですよね。もっとも、本人は、きちんと外のリスナーを意識した曲づくりをしているのかもしれないのですが・・・聴いていて、どうもその内向きな雰囲気が気になってしまいました。
評価:★★★★
で、そんな曽我部恵一BANDが、ほぼ同時にリリースした企画盤がこちら。
Title:ソカバンのみんなのロック!
Musician:曽我部恵一BAND
日産セエナのCM曲「思い出のアルバム」をはじめ、いわゆるみんなが知っている童謡をロック風にかばしたアルバム。おそらく大人から子供まで、誰もが知っている曲を、ロック風にカバーしています。
ただ、ダブ風にミックスした「かえるのうたDUB」や、アコースティックカバーの「手のひらを太陽に」など、それなりのバリエーションはあったものの、全体的にはストレートなギターロックによるアレンジ。ちょっとシンプルに、ワンパターンすぎたかなぁ。
みんなが簡単に口ずさめる曲ばかりなのでそれなりに楽しめたのですが、童謡を別の観点から切り取って、新しい魅力を知らしめる・・・とまでは至っていなかったのが残念。もうひとひねりがあればおもしろかったのに・・・と思ってしまいました。
評価:★★★★
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コメント
こんにちは
まだこのアルバムは聴いていないので、何とも言えないのですが、’ほし’とか’永い夜’とか、曲自体は相当良さそうですね。
でもなんとなく、内輪向け、ってのもわかるような気がします。数か月前にソカバンのライブ見てもそう思いました。良いライブなんですが、全く知らない人はついていけるのか?という、観客も含めたノリが少々あったような。
ソカバン自体、それまでの曽我部さんのイメージと全く違う音楽性(パンクとか)でびっくりしましたが。
まあその点は、サニーデイで何かやってくれるのでは?
でもソカバンの方はものすごい充実してる感じなので、どうなんだろう?と思ったり。
しかし、今の時点で曽我部さんはうれしいけど、ワーカホリックかというぐらいの働きぶりですね。ライブもすごいやるし、ばんばん曲をリリースするし、鈴木慶一と共作とか、プロデュース業とか
( ̄▽ ̄)
投稿: たくちゃん | 2009年8月22日 (土) 10時06分
>たくちゃん さん
そうなんですよ。楽曲自体は名曲も多く、アルバム自体、聴いて損のない内容だと思います。
ライブでも、そういう雰囲気なんですか。以前見たライブだと、そこまで内輪は感じなかったのですが、曽我部恵一BAND自体にファンがついてくると、徐々に内輪な雰囲気になってくるのかなぁ?
サニーデイも復活したみたいなので、こちらの活動も気にかかるところです。しかし、本当にワーカホリックですね、彼は(笑)。
間違いなく、脂になっているんだろうなぁ~。
投稿: ゆういち | 2009年8月23日 (日) 18時43分