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2009年8月

2009年8月31日 (月)

トップミュージシャンの雰囲気

Title:CALLING
Musician:コブクロ

CALLING(通常盤)

一時期ほどの勢いはないものの、いまだトップクラスの人気を誇るコブクロ。この作品も、初動20万超えで、2週連続の1位を獲得するなど、根強い人気を見せています。

まず驚いたのは、冒頭、いきなり打ち込みからスタートしたところ。バンドサウンドやストリングスなども普通に取り入れているとはいえ、コブクロ=アコースティックという印象が強いだけに、少々驚きました。

この1曲目「サヨナラHERO」に限らず、今回の作品は、いつも以上に楽曲のバリエーションが多かったような印象を受けます。

アメリカンロック風の「FREEDOM TRAIN」、ハードロック風の「神風」、ボッサ風の「Sunday kitchen」といった楽曲のほか、ストリングスを取り入れた楽曲も目立ちました。

ここらへん、様々な楽曲に手を出すあたり、ミュージシャンとしての余裕を感じます。2曲目「恋心」、3曲目「To calling of love」と、序盤からバラードの曲が続くあたりも、彼らの余裕と自信のあらわれ、と言えるかもしれません。

そして、アルバム全体から感じられるスケール感と、ある種の貫禄・・・デビュー当初の、路上での弾き語りミュージシャンの雰囲気は消え、スタジアムミュージシャンとしての雰囲気すら感じられます。トップミュージシャンとしての貫禄を備えてきた、といえるかもしれません。

ここらへん、同じ路上出身でデビュー当初は比較されてきたゆずとは対照的ですね。アコギにこだわり、スタジアムでライブをやっても路上の雰囲気をいまだに感じるゆずと、路上から卒業し、貫禄がついてきたコブクロ。ここらへん、どちらが良い悪いではないのですが、それぞれの道を歩んでいるのが、より鮮明になっています。

コブクロが、さらに新たな一歩を踏み出したことが明確になったアルバムだと思います。かつてのストリートミュージシャン時代のファンには、違和感のある人もいるかもしれませんが・・・今後、ますます大きくなってきそうな予感のする作品でした。

評価:★★★★

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2009年8月30日 (日)

ライブを見てみたい!

Title:EVEN KICK SOYSAUCE
Musician:neco眠る

Even Kick Soysauce

関西ゼロ世代の影響を受けた、「大阪発盆踊り系インストダブバンド」・・・

といううたい文句を聞くと、正直言うと、最初は、あふりらんぽみたいな、少々難解な音づくりを想像していました。

しかし、実際に聴いてみると、「難解」というイメージとは全く異なる音がそこにはありました。

シンセのメロが、どこか不思議な雰囲気をかもし出しているのですが、楽曲全体から伝わってくる雰囲気は、東洋風。どこか日本的というか歌謡曲的というか、哀愁の感じられるメロディーが楽曲の底辺からは流れていました。

その中でも、特に「SUN CITY'S GIRL」などは、お祭りのようなリズムが楽しめる楽曲で、ここらへん、「盆踊り系」なんてことを言われる理由でしょうか?

他にも「プール後の授業」は、ピアニカの奏でるメロディーが、けだるさを感じさせるまったりと聴きたくなるナンバー。まさに、あのプールで泳いだ後の、心地よい倦怠感を見事に表現している作品です。

どの楽曲も、日本風の風景が楽曲から感じられ、懐かしさすら感じられてしまいます。難解さからは程遠く、しかし、独特の個性をはっきりと感じる作品でした。

・・・しかし、このアルバムのクライマックスは、ラスト2曲に待っていました。ラスト2曲はライブ音源なのですが、そこまでのイメージを覆すような内容になっていました。

7曲目までと同様、和風の雰囲気は感じられるのですが、様々な音、バンドサウンドが加わったライブ音源は、サイケデリックロックの雰囲気が感じられます。その音から、ライブの熱狂が伝わってきて、思わず釘づけになりました。

ライブ音源2曲を聴いた後だと、スタジオ音源の作品が物足りなく感じられるほど(笑)。CD音源で、これだけの雰囲気を伝えられるとは・・・neco眠るについて、ライブの評判は高いみたいなのですが、その評判も納得。ライブも見てみたくなりました。

逆に言えば、ライブの雰囲気をもっとスタジオ音源でも伝えられるといいんですけどね。その点は、ライブ音源を聴いた後だと、あと一歩に感じてしまいました(^^;;

評価:★★★★

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2009年8月29日 (土)

20周年!!

Title:20
Musician:電気グルーヴ

20

で~んき グル~ヴ 20しゅうねぇ~ん しんだネズミをくわえてる~♪
(「電気グルーヴ20周年のうた」より 作詞 Takkyu Ishino/Pierre Taki)

てなわけで、電気グルーヴが、結成20周年を記念してリリースした新作です。

冒頭のフレーズが頭から離れないわけですが(笑)、今回の作品は、全編歌モノ!初期の彼らを彷彿とさせるような、不条理ギャグの世界満載の歌詞が繰り広げられています。

てなわけで、復帰後は真面目なテクノアルバムという路線が続いていた彼らですが、ここに来ての歌モノアルバム、というのは、初期からのファンにとっては、やはりうれしいといったところでしょうか。

不条理な歌詞の世界が頭にこびりつく「電気グルーヴ20周年のうた」を手始めに、ちょっとエロチックながら、どちらかというとシングル向けの「タランチュラ」、さらには「エンジのソファー」は、そのまま80年代歌謡曲風と、テクノがベースながらもバラエティーにとんだユニークな作品が魅力的です。

本編は全編、かつての電気グルーヴの王道ともいえる作風になっています。20周年という意味で、あえてファンに向けて、王道ともいえる作品をつくったのでしょうか?それとも、「いつでもこういう作品もつくれるんだ」という確認作業だったのでしょうか?少々「ベタ」ともいえる作品になっています。

ただ、正直言うと、通常盤のCD1枚9曲のみでは少々物足りなさが否めません。多少ファン向けにつくられた部分もあるだけに、リスナー層を選ぶ部分もあるし・・・。

しかし、初回盤についてくる、CDとDVDを含めると、印象が全く変わってきます。

まずは2枚目のCD。「20」のカラオケバージョンと、他のミュージシャンによるリミックスが収録されているのですが、このカラオケの出来が妙に素晴らしいんです。

ポップでポイントを抑えたテクノサウンドが非常に心地よく、カラオケ、というよりもテクノのインストアルバムとして十分通用する内容。というよりも、もともとそれを狙ったのかも?歌が入ると、後ろに下がってしまってちょっと目立たなくなっていたサウンドが前に出てきて、このアルバムの印象をガラリと一新させられます。

そして、なんといってもDVD!!「電気グルーヴ20周年のうた」「タランチュラ」のPVもさることながら、まずはやはり「ピエール瀧の体操42歳」でしょう!

「体操30歳」「体操36歳」に続く第3弾。ピエール瀧が様々なコスプレで奇妙なダンスを踊りまくる!シュールなギャグの世界で、最初から最後まで笑える作品です。それに続く「みんなの体操42歳」も、これまたシュールな世界がなんとも・・・。

上の画像は、通常盤を貼ってしまっているのですが、出来れば是非とも初回盤を買って聴いて欲しい!!電気グルーヴのユーモラスな部分も、シリアスなテクノミュージシャンとしての部分も、両方楽しめる作品です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

No Boys,No Cry Original Sound Track/砂原良徳

No Boys,No Cry Original Sound Track

電グルかつての盟友による新作。タイトル通り、映画「No Boys,No Cry」のサウンドトラックとなっています。前半は、アンビエント風の作品。後半は、オーケストラ風のアレンジなどもあって、いかにも映画音楽といった印象。無難にまとめあげた感が否めず、悪い作品ではないのですが、さほど印象に残りませんでした。ラストはiLLの作品が収録。こちらはテクノポップ風の聴きやすいポップチューンでした。

評価:★★★★

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2009年8月28日 (金)

異色のコラボ作

Title:Idea Of A Master Piece
Musician:Kool Keith&54-71

アイデア・オブ・ア・マスター・ピース

元Ultra Magnetic MCsのメンバー、Kool Keithと、日本のサブカルシーンで異色を放ったロックバンド、54-71が異色のコラボレート!話題の新作が、この作品です。

・・・といっても、Kool Keithの作品も、Ultra Magnetic MCsの作品も、全く聴いたことありません(^^;;あくまでも、54-71の作品として、このアルバムを聴いてみました。

正直なところ、54-71のアルバムとして聴くと、ちょっと肩透かしを食らうかもしれません。

エレクトロ風のトラックに、ビートの強いリズム、それにKool Keithの力強いラップがのった作品。音数を絞り、スカスカなサウンドの中で、強烈なインパクトを放つ、54-71の作品のイメージからは、少々異なります。

ただ、このビートの強いエレクトロのトラックに載っているのが、妙に不況和音テイストで不気味な旋律。この奇妙なフレーズが、ほぼどの曲のバックにも流れていて、Kool Keithのラップと微妙な掛け合いを繰り広げています。

でも、このバランスの妙が非常におもしろく印象的。54-71をはじめて聴いた時のような、「衝撃」みたいなものはありませんし、真新しさという意味合いもちょっと薄いかもしれません。

ただ、どこか耳に残る不思議な感触と、聴き始めると、ズブズブと沼に入りこむような、気がつけばはまってしまうようなサウンドは、54-71ならでは、といったところなのでしょうか?

文句なしにそのサウンドにはまってしまう傑作。今度は、Kool Keithの作品も聴いてみようかなぁ。

評価:★★★★★

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2009年8月27日 (木)

こういう音は久しぶり

Title:ブラック&ホワイト
Musician:detroit7

ブラック&ホワイト

正直言って、こういう音、聴くのって、久しぶりだよなぁ・・・。

ガレージパンク風のガツンと来るギターサウンド、ハードなギターリフやベースライン。王道ともいえるガレージロック路線。タイプとしては、ミッシェル・ガン・エレファントに近い感じでしょうか?

ただ、ミッシェル解散後、ここまでストレートで、かつ、衝撃的な音を聴かせるガレージロックバンドのアルバムは久しぶりだったかもしれません。もちろん、detroit7も、これがデビュー作ではありません。つまり、本作で彼女たちは、また一回り大きく成長した、ということなんでしょう。

また、ハードなバンドサウンドとは、ある種対照的な、クリアな女性ボーカルや、ポップなメロディーも印象的。女性ボーカル+メロディアスなメロディーという、ポップな要素が強いために、楽曲自体、とても聴きやすくまとまっています。

歌詞は日本語詞と英語詞がほぼ交互となっています。言葉の影響でしょうか、英語詞の曲はより洋楽テイストが強く、日本語詞の曲は、少々邦楽的な要素が強く感じられました。ここらへんもまた、アルバムのおもしろさの原因のひとつ、でしょうか。

ストレートなカッコよさを感じるロックンロールのアルバムです。特に前半の勢いは半端ありません(まあ、その分、少々中盤から後半にかけて、失速気味な部分も否めないのですが)。最近のロックバンドはちょっと物足りなくて・・・なんて感じている方にはお勧めのアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

A beautiful greed/ACIDMAN

A beautiful greed

相変わらず、ロックをベースに、アシッドジャズや、打ち込みや、シガーロス(?)を彷彿とさせるような曲や、ストリングスを取り入れたような曲やら、幅広いサウンドを楽しませてくれる作品。ただ、どうもいろいろなタイプの曲を取り入れすぎていて、広く浅くな感が否めないんだよなぁ。まあ、それはそれでポップソングってそういうものなのかもしれないのですが、どうも物足りなさが否めない作品でした。

評価:★★★

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2009年8月26日 (水)

珍しく「大人」向けの多いチャート

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート。ここ最近、アイドルやらアニソンやら、極端に若者志向の曲のヒットが目立ちましたが、今週は、どちらかというと「大人」向けの曲が目立ちました。

まず1位。氷川きよし「ときめきのルンバ」がチャートインです。「大人」向けというよりも「おばさん向け」って感じなんですが・・・(^^;;楽曲は演歌というよりも、思いっきりムード歌謡曲。3作目の1位獲得で、初動は6万8千枚と、前作の初動7万3千枚と若干ダウンしています。

そしてなによりも「大人向け」といえるのが、5位原由子「夢をアリガトウ」、そして8位山下達郎「僕らの夏の夢」でしょう。

原由子は「涙の天使に微笑を」から、なんと約12年ぶりとなるニューシングル。作詞作曲は、言わずもがな旦那の桑田佳祐。夏らしい軽快なポップチューンに仕上げています。

山下達郎も夏のイメージですね。前作から1年5ヶ月ぶり。決して目立った大ヒットではないものの、しっかり聴かせる名曲をコンスタントに出してきますね。そろそろアルバムを・・・とも思うけど、前作からまだ(?)4年しか経っていないから、もうちょっと先かな??

そして、こちらも「大人向き」といえるでしょう。7位にランクインしたのがゴスペラーズ「宇宙へ~Reach for the sky~」でした。5人のハーモニーをしっかり聴かせる、タイトル通りの伸びやかなナンバーとなっています。売上は前作の初動1万5千枚に対して、初動1万3千枚。ここ最近、ほぼ横ばいの傾向が続いています。

他には今週、3位にTOKIO「太陽と砂漠のバラ」、10位に彩冷える「夏物語」がランクインしています。彩冷えるは、これで「アヤビエ」と読むらしい・・・ってありえねーだろ(苦笑)。これが初のベスト10ヒットとなるビジュアル系バンド。正統派のポップスロックといった感じで、外見もあまりビジュアル系色が強くないし、売れ筋な印象。もうちょっと売れるかもしれないですね。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートで1位を獲得したのが、のベストアルバム「All the BEST! 1999-2009」で、初動売上が75万枚。今年の初動売上No.1を記録しました。 散々、ジャニーズ系のアイドルユニットが出てきたのですが、ここ最近、嵐が他のユニットと比べて、頭ひとつ出た印象が・・・。

一方、続く3位に初登場したのも韓国のアイドルグループBIGBANGの日本デビューアルバム「BIGBANG」。東方神起といい、日本だと、男性アイドルユニットはジャニーズ系じゃないとジャニーズ系につぶされるので、韓国に新しい男性アイドルユニットを求めている、といったところなんでしょうか?

4位はイギリスの人気ロックバンドArctic Monkeyのニューアルバム「Humbug」がランクインです。日本でも強い人気を誇っています。ただ、初登場順位こそ前作と同じながらも、初動売上が前作の4万枚から初動2万枚と大幅ダウンしてしまっています。

5位はMINMI「SUMMER COLLECTION WITH MUSIC CLIPS」。ビクター在籍時の楽曲のうち、夏をテーマとした楽曲を選曲した企画盤。レコード会社移籍に伴う、前のレコード会社のお小遣い稼ぎですね。それでもこの好順位はMINMIの根強い人気をうかがわせます。

6位電気グルーヴ「20」がランクイン。タイトル通り、今年20周年を迎えた電気グルーヴの、20周年を記念してリリースしたアルバム。活動再開後、真面目なインストメインのアルバムが続いていましたが、こちらは久しぶりの歌モノメインのアルバム。電グルらしい、不条理ギャグの世界がシュールでユニークです。ちなみに、初回盤はPVをおさめたDVD付。特に「ピエール瀧の体操42歳」はぶっとんで笑えるので、購入するなら初回盤を是非。売上は、前作「YELLOW」が初動1万5千枚に対して本作は初動1万4千枚とほぼ横ばいでした。

そしてラスト、8位にランクインしてきたのがHi-Fi CAMPのデビューアルバム「1st BEST」。ポカリスウェットのCM曲などで話題となった仙台在住の4人組バンド。MONKEY MAJICやGReeeeN、キマグレンなどを輩出した音楽事務所「エドワード・エンターテインメント・グループ」所属のミュージシャンです。今後、人気が伸びてきそうな注目のバンドです。

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2009年8月25日 (火)

ダイナミックなデジロック

Title:Join the Q
Musician:The Qemists

Join the Q

先日のLittle Bootsの回でもちらっと書いたのですが、最近、再びエレクトロ系のミュージシャンが勢いづいてきました。

一時期は、絶滅危惧種のようになりかけた、デジタルロックと呼ばれそうなミュージシャンたちについても、最近は息をふきかえしてきて、今年リリースしたProdigyのアルバムも文句なしにカッコいい傑作でしたし、PendulumやHADOKEN!といったバンドも話題になっています。

そして、彼らもそんな話題の一組。

彼らの音楽、一言でいえば、非常にストレートです。トランシーな打ち込みのリズムに、ダイナミックなロックサウンドが融合して、聴いていて、直感的に気持ちいいと思えるサウンドになっています。

ただ、この手のデジタルロックって、どうしてもリズムは単調になりがちだし、音圧と勢いでごまかしている部分もあるので(笑)、それを補うだけの音のパターンやメロディーを作り出す必要があります。

彼らも「ON THE RUN」でラップを取り入れたり、「GOT ONE LIFE」でレゲエの要素を入れたりと、それなりにバリエーション多彩な作風に仕上げています。

最後まで十分楽しめるし、Prodigyなどのデジタルロックが好きなら聴いて損はない作品だと思います。ま、それでもあえていえば、Prodigyでいえば「Invaders must die」や「OMEN」のようなキラーチューンがなかった点、ちょっとマイナス点なのですが・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

All Hope Is Gone/Slipknot

All Hope Is Gone

ヘビーな音圧で直感に訴える・・・といったら彼らもそうですね。ミュージシャンの装いとは異なり、比較的、メロディアスで聴きやすい・・・のは、ファンにとっては賛否みたいですが、私みたいに、特にファンという訳でもない外部の人間にとっては、素直に楽しめる作品でした。

評価:★★★★

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2009年8月24日 (月)

そっと背中を押してくれるような

Title:FIRST
Musician:トータス松本

FIRST

いままで、カバーアルバムとしてはソロアルバムをリリースしていましたが、オリジナルとしては初となる、トータス松本のソロアルバムです。

楽曲の方向性としては、基本的にはウルフルズと同じく、ソウルをベースとしたポップス。ただ、よりロック色やファンク色が強く、バンドサウンドで盛り上がったウルフルズと比べると、ロックやファンク色は薄め。アコースティックなポップ色の強い音楽を聴かせてくれます。

そして、特にこのアルバムで感じたのは、歌詞の暖かさでした。

今回のアルバム、主に歌われている内容はふたつ。ひとつはラブソング。そしてもうひとつが、人生の応援歌でした。

ただ、人生の応援歌といっても、ただ単純に「頑張れ」を繰りかえすような内容ではありません。「どこかで愛が待っている」と歌う「エビデイ」にしても、「うつむかないで」とはげます「いつもの笑顔で」にしても、そっと背中を押してくれるような、優しさを感じる応援歌になっています。

特に特徴的なのが、彼が応援歌を届けている相手が、日々の生活に疲れたり、失敗してしまったりした人たちということ。どこか「弱者」に厳しいここ最近の風潮の中、彼の歌声はそんな人たちの心にしっかりと届くのではないでしょうか?

正直、全16曲というのはちょっとボリューム過多な部分があり、中盤、少々だれてしまった部分もあります。そういう意味では、もうちょっと曲数を絞ったほうが、傑作が産まれたのでは、とも思いました。

ともかく。このいろいろと辛いニュースの多い今の世の中で、しっかりと心に響いてくる、そんなアルバムでした。・・・・・・ただ、やはりウルフルズ、復活してほしいなぁ・・・。

評価:★★★★

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2009年8月23日 (日)

彼女もまた、話題のミュージシャン

Title:HANDS
Musician:Little Boots

Hands

今、最も注目される新人シンガー・・・のひとり。

女性シンガーであること、エレクトロポップであることから、昨日紹介したLady Gagaと並び称されることの多い彼女。楽曲の雰囲気としては、Lady Gagaと重なる部分も多く、両者のファンは、重なる部分も大きいような印象を受けます。

ただ、エレクトロというよりもポップスシンガーとしての側面が強く出ていたのに対して、彼女は、あくまでもエレクトロポップのシンガーという感じを強く受けました。

つまり、Lady Gagaの曲が、どちらかというとポップなメロディーが主軸になっているのに対して、彼女の曲は、ポップであると同時に、ビートの強いエレクトロサウンドも強い売り。あくまでもエレクトロサウンドがあってこそ成り立つような曲がメインでした。

職業作家という側面や、計算高さの側面が強く感じられたLady Gagaに関して、彼女の場合、「シンガーソングライターである」という側面を強く感じます。

「Remedy」といい、「Ghost」「Mathematics」といい、メロディーに哀愁が感じられるのも、イギリス出身のミュージシャンならでは、って感じかな?「あくまでもエレクトロポップ」と書いたのですが、もちろんメロディーもしっかりと聴かせてくれます。

あと「Symmetry」「Tune Into My Heart」みたいな、女の子らしい、かわいらしい雰囲気の曲も魅力的。既にスター然としているLady Gagaに比べて、ちょっと身近に感じられる雰囲気を持っているのも、彼女の魅力かもしれません。

ビートの強い曲も多く、ロックリスナー層からの支持も得られそうな彼女。今、最も注目されている新人のひとりなだけに、今後、さらなる人気の高まりを見せるかもしれません。

余談。

ちょっとおもしろいのは、日本でもPerfumeみたいなエレクトロポップが人気を集めているのですが、欧米でも同じ動きを見せているんですよね。

これでおもしろいのは、普通、音楽の流行って、欧米ではやった後、日本に上陸してくる、というのが多くのパターンだったのですが、今回は、日本でも欧米でも、同時並行で、エレクトロポップに対する人気が高まっています。

踊れてポップな楽曲を聴きたい・・・世界的な不況下での、万人共通の嗜好性なのかな?まあ、詳しく分析したことのない印象論なのですが、ちょっと興味のある現象じゃないかな、なんて思ってしまいました。

評価:★★★★

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ちょっと早くないか?

小室哲哉、『a-nation‘09』で音楽活動再開

http://www.oricon.co.jp/news/music/68604/

判決からわずか3ヶ月だよ?ちょっと早くないか??

いや、犯罪おこしたら芸能界に復帰するな、とかそういうことが言いたいわけじゃないくて、なんか日本のレコード会社って、逮捕された時はCDを徹底的に回収したり、過剰ともいえる対応を取るわりには、ほとぼりがさめたらすぐ復帰させちゃうんだよなぁ。

なんか、ここらへんのバランスが間違っているような感じがするんだけど・・・せめて、執行猶予中の期間は、表立った活動を控えるべきような気がするんですが・・・それとも、保釈金、立て替えてもらったので、奴隷のように働け、ってことなんでしょうか?(^^;;

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2009年8月22日 (土)

今、もっとも話題のミュージシャン

Title:The Fame
Musician:Lady Gaga

The Fame

今、世界でもっとも注目を集めている女性シンガー。この作品は、昨年にリリースしたデビューアルバムなのですが、その後、世界各地でヒットを続け、日本でも、今年に入ってから国内盤がリリースされ、オリコンで最高位6位を記録するなど、ヒットを記録しました。

その奇抜なファッションやパフォーマンスが話題となり、ともすれば過激なイメージで捉えられがちな彼女。しかし、その外見的なイメージとは裏腹に、アルバムに収録されている楽曲については、至ってオーソドックスな印象を受けました。

基本的にはリズミカルな打ち込みベースの楽曲。最近のエレクトロ隆盛の中心に位置しているアルバムとも捉えられるかもしれません。ただ、一方で、今どきのR&B風の楽曲や、ロック風の作品、ピアノを取り入れた作品や、メロウなメロディーをしっかり聴かせる作品など、ほどよいバラエティーに富んだ構成になっています。

また、メロディーに関しても、奇抜さはほとんどなく、むしろシンプルかつ王道ともいえるメロディーライン。決して目新しさはないものの、ヒットポテンシャル十分のインパクトのあるメロディーを書いていました。

外観とは逆に優等生的なものすら感じられるアルバム。もともとは、他のシンガーに曲を提供する作家としてのデビューが先だったそうで、そういう意味では、「職業的音楽家」という側面が強いのかもしれません。

時代の一歩先を行く、というよりは、時代の半歩先の音を、今のヒットシーンにマッチして取り入れ、かつ、普遍的なメロディーを載せるという点では、ある種の計算高さすら感じてしまいます。過激なパフォーマンスでマドンナと比較されることの多い彼女ですが、その計算高さもまた、マドンナと似ている部分があるのかもしれません。

かつてのマドンナやマイケル・ジャクソンのような世界的な大スターが不在の今、普遍的なポップソングといい、世界的なスターになれる要素を持ったミュージシャンかもしれません。今後、どこまで伸びてくるのかなぁ。とても楽しみです。

評価:★★★★

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2009年8月21日 (金)

ソカバンのアルバム!

Title:ハピネス!
Musician:曽我部恵一BAND

ハピネス!

曽我部恵一BANDが、今、とても充実した時期を迎えている・・・

というのは、例えばアルバムの出来にしても、ライブの評判の高さにしても、よくわかります。事実、アルバムから伝わってくる雰囲気といい、マイペースな製作活動といい、とてもよい状態で音楽活動を続けているんだろうなぁ・・・というのは、とてもよくわかります。

ただ、正直なところ、サニーデイ解散後の曽我部恵一は、手放しで絶賛できない部分があるんですよね。

それは、どうも彼の作品から感じてしまう、内輪向けな部分。

このアルバムにしても、とてもよく出来た良作なのは間違いないと思います。実際、バンドサウンドはとてもシンプルなギターロック。パンクやパワーポップ風のサウンドから、王道のロックンロール風の楽曲まで、ロックの持つダイナミズムを見事体現した作品になっています。

メロディーもポップで十分ヒットポテンシャルがありますし、話題になった「永い夜」みたいな、普遍性を持った、かつ、胸をうつ反戦歌も、このアルバムのキーになっています。

ただ、そんな普遍性を持ったロックンロールのアルバムの中に、例えば「東京ディズニーランド」のような、家族の絵日記みたいな、内輪受けを感じてしまうような歌詞とかが入ってきちゃうと、とたんに、その内向きな雰囲気が気になってしまいます。

アルバムの出来としてはシンプルに楽しめるアルバムなのは間違いないと思います。ただ、個人的には、もうちょっと外を意識した曲を書いてほしいなぁ、と思ってしまうんですよね。もっとも、本人は、きちんと外のリスナーを意識した曲づくりをしているのかもしれないのですが・・・聴いていて、どうもその内向きな雰囲気が気になってしまいました。

評価:★★★★

で、そんな曽我部恵一BANDが、ほぼ同時にリリースした企画盤がこちら。

Title:ソカバンのみんなのロック!
Musician:曽我部恵一BAND

ソカバンのみんなのロック!

日産セエナのCM曲「思い出のアルバム」をはじめ、いわゆるみんなが知っている童謡をロック風にかばしたアルバム。おそらく大人から子供まで、誰もが知っている曲を、ロック風にカバーしています。

ただ、ダブ風にミックスした「かえるのうたDUB」や、アコースティックカバーの「手のひらを太陽に」など、それなりのバリエーションはあったものの、全体的にはストレートなギターロックによるアレンジ。ちょっとシンプルに、ワンパターンすぎたかなぁ。

みんなが簡単に口ずさめる曲ばかりなのでそれなりに楽しめたのですが、童謡を別の観点から切り取って、新しい魅力を知らしめる・・・とまでは至っていなかったのが残念。もうひとひねりがあればおもしろかったのに・・・と思ってしまいました。

評価:★★★★

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2009年8月20日 (木)

ファーストインスピレーションが一番!

Title:URMX
Musician:ユニコーン

URMX

これは、よく言われることなのですが・・・例えば試験を受けていて、全部終わったあと見直した時に、最初、答えを「a」と書いていた問題が、実は答えが「b」じゃないかと迷うことってよくありますよね。そういう時は、大抵、最初に思いついた「a」が正しい答えだったりするんですよね。

要するに、人間、得てしてファーストインプレッションが結局のところ一番正しかったりするんですよ。

で、今回発売された、ユニコーンのリミックスアルバム。

あ~やっぱり最初のアレンジが一番だよなぁ、と思ってしまいました。

特に今回のリミックスアルバム、原曲のイメージを大きく違えることなく、そのイメージ通りのリミックスが大半でした。

かつ、例えば原曲が、3ピースバンドで生音だけで作っている曲を、思いっきり打ち込みを導入して作り変えた、というわけでもありません。ユニコーンはもともと、楽曲のイメージにあわせて、いろいろな音を加えているバンドです。

そのため、結局のところ、一番最初のアレンジが、やはり楽曲にはピッタリマッチしているんですよね。

だから、冒頭みたいな、全くアルバムとは関係ない試験のことなんて思い出したりしちゃったんです(^^;;

そんな中でも、アコースティック風味にアレンジした「WAO!」なんかはまずまずの出来だったとは思うのですが・・・アレンジャーも、アレンジ自体も、概して全体的に決して悪い出来ではないと思うのですが、いまひとつ、原曲の新しい良さを再発見できた、とか、原曲の違う側面を知ることが出来た、とかがなかったんです。

ぶっちゃけ、熱烈なファン向けのファンズアイテムかなぁ。ファンの方で、興味ある方はどうぞ・・・。

評価:★★★

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2009年8月19日 (水)

お盆真っ盛りの時期なのに・・・

お盆の時期って、もっと新譜が少なかったようなイメージがあったけどなぁ・・・。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルチャートは10曲中7曲が新譜。1位は浜崎あゆみ「Sunrise」でした。44作ベスト10入りは史上最多記録だとか。ただ、ここ最近の彼女の曲って、以前に増してインパクトが薄いんですよね。また、初動売上も前作の9万5千枚から7万5千枚にダウン。苦戦気味です。

2位は、なんだかんだいっても強いモーニング娘。「なんちゃって恋愛」で、初動売上は前作の4万8千枚から5万4千枚とちょっとアップ。もう、メンバーの誰一人として、顔も名前も一致しない状態なのですが(^^;;なにげにまだつんくがしっかり曲をつくっているんですね。ここらへん、某TKさんと違って偉いなぁ、と思います。

続く初登場は4位のGACKT「The Next Decade」。映画「劇場版仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」主題歌だそうで、疾走感あるハードロックテイストのナンバーになっています。

で、ある意味GACKTと似たタイプなのが、6位にランクインした高見沢俊彦「VAMPIRE~誘惑のBlood~」で、メタルちっくなアレンジといい、歌詞といい、特にPVなんか、完全にビジュアル系の親分みたい(笑)。

ビジュアル系(?)畑とともに健闘しているのが、相変わらずのアニソン系。まず5位にsupercell「君の知らない物語」で、初音ミクをフューチャーしたアルバムをヒットさせて話題となったミュージシャンの初のシングルです。今回は生身の(笑)女性ボーカルをフューチャーしたシンプルなポップナンバーで、爽やかなピアノの音がさりげなく入っていたりするあたり、光るものはある一方、メロディーがちょっと普通すぎて面白みがないかなぁ・・・。

で、9位はDEATH DEVIL「Maddy Candy」で、こちらは、人気アニメ「けいおん!」の劇中歌。山中さわ子というキャラクターが組んでいた設定だそうで・・・って、完全にあのバンドのボーカリストのパロディーですか(^^;;その割りには、曲の雰囲気が全く違うんですが(苦笑)。出来の方もちょっとやっつけ感が否めず、いまひとつでした。

最後。10位に秦基博「Halation」がランクインです。最近、ベスト10でもおなじみになっていた彼。ただ、残念ながら売上的には、前作の初動1万4千枚から1万1千枚に少々ダウン。この手の男性ポップスシンガー、ヒットシーンには数少ないので頑張って欲しいんですが。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートと異なり、アルバムチャートはお盆休みらしいおとなしいチャート。1位は、先週に引き続きコブクロのニューアルバム「CALLING」が獲得しました。

続く2位につけたのは長渕剛2年ぶりのニューアルバム「FRIENDS」でした。本作に関しても、かなりプロモーションしているようですが、その影響か、初動7万2千枚と、前作の初動6万2千枚を上回る好セールスを記録しています。

4位には、クレイジーケンバンド「ガール!ガール!ガール!」がランクインです。前作「ZERO」が初動2万枚で、本作も初動が2万1千枚・・・ファンが固定してきたということでしょうか。もうちょっと売れてもいいバンドだと思うのですが・・・。

アルバム初登場はあと1枚。9位にEvery Little Thingの持田香織のソロアルバム「moka」がランクインしています。ELTといえば、avexといわれてイメージする代表的なユニットなのですが、彼女のソロでは、なんと小野リサ、原田郁子、SAKEROCKなど、どう考えてもELTとファン層が全く重ならなさそうなミュージシャンが参加しています。彼女って、本当はこちらの方面の音楽が好きなんでしょうか?ちょっとビックリです。

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2009年8月18日 (火)

ヒットシングル収録の新作

Title:ACTION!
Musician:ROCK'A'TRENCH

ACTION!

元SKA SKA CLUBの山森大輔と畠山拓也を中心に結成された新バンド。

元SKA SKA CLUBといえば、グローバー義和が率いるJackson Vibeも活動中。個人的にはJackson Vibeはブレイクの有力候補だったのですが、こちらの方が先にブレイクしちゃいましたね。ドラマ主題歌となりベスト10ヒットも記録した「My Sunshine」も収録したニューアルバムです。

SKA SKA CLUB直系の、軽快なメロディーラインに、レゲエやスカ、ファンクなどの要素も加えたポップスロックサウンド。「My Sunshine」のヒットからもわかるように、十分、ヒットポテンシャルのあるメロディーを書いています。

ただ・・・このアルバムに関しては、正直、「My Sunshine」を超える曲がなかったよなぁ、というのが正直な印象。

かなりのインパクトと、耳なじみのあるメロディーを持った「My Sunshine」の印象が強く、他の曲の印象がいまひとつ残らずに、いまひとつ、イメージの薄いアルバムになってしまっていました。

この人気が今後も続くためには、いま一歩のがんばりが欲しいような・・・どうもいまひとつ、惜しいアルバムでした。

評価:★★★


ほかに聴いた作品

ペズモク大作戦/pe'zmoku

ペズモク大作戦

ジャズバンドPE'Zとフォークシンガーsuzumokuによるユニット。suzumokuの突然の失踪がニュースとなりましたが、このたび無事復帰。ファンのために、ということで既発曲に新曲を加えたニューアルバムを完成させました。

ただ・・・これは以前の作品でも思ったのですが、PE'Zの個性とsuzumokuの個性が中途半端に遠慮しあって、単なる「ホーンメインのバンドがバックバンドについたポップスアルバム」という印象を受けてしまいます。いまひとつ、PE'Zの魅力もsuzumokuの魅力も感じられませんでした。

評価:★★★

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2009年8月17日 (月)

ジャケットが・・・・・・。

Title:HANNYA
Musician:般若

HANNYA

最初、このアルバムのジャケットを、CD屋でみかけた時、まさかあのHIP HOPミュージシャンの般若の新譜とは思いませんでした(^^;;

般若のいままでのジャケットといえば・・・

ドクタートーキョー

とか・・・

内部告発

とか・・・どれもハードな印象を受けるジャケ写ばかり。最初、同名の違うミュージシャンかと思いましたよ、まじで。

ただ、おそらくこのポップで明るいジャケットは、アルバムの内容を反映したのでしょう。いままでの社会派なリリックは後ろに下がり、内省的なリリックやユニークなリリックがメインとなった作品になっていました。

携帯電話にからむ人間模様を、携帯電話の視点から綴った「ケータイ」や、東京新大阪の新幹線での移動の模様を読み込んだ「のぞみ」など、ユニークな視点のリリックが印象に残ります。

ただ、一方では、日本のHIP HOPシーンに鋭く切り込んだ「最ッ低のMC」や、人の死をテーマとした「ゼロ」など、ハードな作風の曲も多く、硬軟のバランスが取れた構成になっています。

個人的に印象に残ったのが、現代の日本と、どこか戦争状態の国の兵士の「死」を、空をテーマとして描いた「空」。どこか叙情的なリリックが、とても印象に残ります。

般若の曲って、そのねられたドラマ性のあるリリックもさることながら、それをしっかり一語一語丁寧にラップしていくのがいいんですよね。日本のラッパーって、リズムばかりを気にいていて、肝心のリリックが聴き取りにくいという人が多いんで・・・。

正直なところ、彼の楽曲のトラックって、決して目新しいわけでもなければ、迫力があったりインパクトがあるわけでもありません。だからこそ、リリックがよけいに前に押し出されてくるのでしょう。

社会派でディープな作品が多かった前作と比べると、全体としてサラッとした印象があり、ジャケットのようにポップになった感があります。それでも、最後まで飽きさせず、しっかりと聴かせる彼のリリックの魅力は本作も健在。むしろ、ヘタにハードなジャケット写真からとっつきにくかったいままでの作品に比べ、リスナー層を広げそうな作品かもしれません。

評価:★★★★★

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2009年8月16日 (日)

エレクトロニカの新しい流れ?

Title:Nights Out
Musician:Metronomy

Nights Out

昨年のSnoozer誌年間ランキングの第1位の作品

・・・・・・だから気になった、というと、ちょっと露骨にミーハー精神出しすぎなんですが・・・すいません(^^;;

その後、今年に入って国内盤も販売になり、遅ればせながらこのアルバム、聴いていました。

ジャンル、という話になると、一応「エレクトロニカ」というカテゴリーになるんでしょうね。テンポのよい、だけどちょっと不思議な音色の電子音が並んでいます。

オウテカやエイフェックス・ツインの影響を受けた・・・らしいし、事実、音的にはそんな影響も感じられなくはないのですが、ただ彼らのサウンドは、決してオウテカやエイフェックス・ツインのような、不条理なサウンドが並んだ難解なものではありませんでした。

むしろ彼らのサウンドは、テクノポップやニューウェーヴなどに通じるものを感じました。そのため、打ち込みメインの楽曲ながらも、どこか懐かしさと暖かさを感じさせる楽曲の数々・・・うーん、なんというか、暖かさと、電子音らしい冷たさが同居する、不思議な感覚、とでもいえばいいのでしょうか・・・。

また、いわゆる歌モノも多く、それがまた、アルバムをよりポップなものとしていました。特に「A Thing For Me」は男女デゥオの作品になっていて、ここに「エレクトロニカ」と呼ばれるジャンルからイメージされる難解さはありません。

最近また、エレクトロ系のミュージシャンの活躍が目立っているのですが、ただ、最近話題になるエレクトロ系ミュージシャンの作品って、どれもポップなんですよね。今のシーンの新しい流れなのでしょうか?

昨年の1位・・・といわれるとそこまでかなぁ、とは正直思うのですが、いい作品なのは間違いないと思います。エレクトロニカというイメージにこだわらず、広い層に支持されそうな作品でした。

評価:★★★★★

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2009年8月15日 (土)

あえて空気を読まない

Title:幻想
Musician:TOMOVSKY

幻想

TOMOVSKY2年ぶりの新作。うーん、ある意味、全く変わっていません(^^;;

いや、もちろんいい意味で。

あいかわらず彼らしい、宅録のポップなサウンドとメロディーが並んだ楽曲の数々。そしてなによりもふとした日常や、ユニークな人生訓を、独特な観点から読み取った歌詞がとても魅力的な作品に仕上がっています。

ちなみに本作に共通するテーマは

「目的を達成するためなら、周りのことは気にするな。目的に向かって一直線に進め」

・・・・・・だと思います。

例えば「AKY」・・・なんの略語かと思えば「あえて空気読まず」らしいです(笑)。その略語タイトル通り、「空気読まないで進め」という、それだけをシンプルに伝える曲で、

他にも先行シングルとなった「我に返るスキマを埋めろ」も、タイトル通り、「余計なことを考えるな」という曲。

さらに「スピード」では、「スピードをあげれば、都合の悪いことは見えなくなるよ」という元も子もない内容になっていて、まさにユーモアなセンスが炸裂しています。

ただ、日本人というのは、ともすれば周りの影響を気にしすぎて、「空気が読めない」ということを必要以上に問題視する民族性を持っています。そんな中で、「己を貫け」というのが彼のメッセージでしょう。

しかし、そのことだけがメッセージであったら、特別目新しいメッセージではありません。それをTOMOVSKYは、さらにオーバーに、そしてユニークな観点で歌詞にしてしまうところがとてもおもしろいんです。

ある意味、癖のある歌詞だとは思うんですが、一度はまると抜け出せなくなる彼の歌詞の世界。このアルバムに限らないのですが・・・一度、TOMOVSKYの世界、味わってみてください。

評価:★★★★★

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2009年8月14日 (金)

逆輸入バンド

Title:FACT
Musician:FACT

FACT

能面をあしらったジャケット写真がとても印象的。いかにも「日本的」という部分を前に押し出したようなジャケット写真になっています。

今回紹介するFACTというバンド。実は正確にいうと「邦楽」にカテゴライズするのは間違いかもしれません。もちろん、彼らは純然たる日本人のバンド。ただ、海外での活動がメインで、このアルバムも、VAGRANTという海外のレーベルからリリースしています。いわば逆輸入の形をとったバンド、ということになるわけです。

ジャンルはハードコアを主軸としたハードなロック。ただ、いわゆる洋楽的な雰囲気を出しているかといわれるとそうではありません。「snow」「stretch my arms」など、哀愁を感じさせるメロディーを前に押し出していて、メロディーにはむしろ邦楽、特に歌謡曲に強く感じられる「影」の部分を前面に出しているようにも感じられます。

坂本龍一の曲をサンプリングした「merry christmas mr.lawrence」といい、いかにも日本的な能面のジャケットといい、また、アーティスト写真でも本人たちが能面をかぶっている姿といい、意図的に日本のバンドであるということを前に出しているように感じました。

一方、サウンドに関しても、ハードコアやメタルの影響が強い一方で、パワーポップ風の「a fact of life」や、アコースティックサウンドで聴かせる「45days」、さらにはエレクトロ路線の「1-2」などバラエティー豊富。音楽性の幅を感じられます。

ここらへんのバリエーションも、いろいろな国からの音楽が、等距離に輸入され、ごった煮状態になっている日本の音楽シーンの中で育ったから・・・といえるのかなぁ・・・。

逆輸入のバンドですが、むしろ純正の日本バンドよりも日本という部分を強く感じたバンドでした。

逆輸入とはいえ、海外での評価はほとんど聴こえてこないのですが・・・(^^;;今後が楽しみなバンドではないでしょうか。哀愁を感じるメロディーは意外とポップですし、ハードなサウンドとは対照的に、幅広い層が楽しめるアルバムだと思います。

評価:★★★★★

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2009年8月13日 (木)

メロのセンスがもっとよければ・・・

Title:DIM
Musician:the GazettE

DIM

最近のビジュアル系って、本当に玉石混合だと思います・・・・・・って偉そうに語れるほど片っ端からは聴いていないけど(^^;;

基本的に、ハードコア、メタルメインで、シーン全体としての音楽的なバリエーションに乏しいのは大きな問題点だとは思うけど、カッコいいバンドサウンドを聴かせるバンドは、例えばDir en greyにしろムックにしろ、ビジュアル系という枠組みを超えて、注目されてもいいバンドも少なくありません。

ただその一方で、80年代のビートロックそのままの、何ら面白みのないバンドも少なくないのですが・・・。

今回、はじめてアルバムを聴いてみたthe GazettEは、そんなシーンの中では、バランスのよいバンドのように感じられました。

ハードコアをベースとしたヘヴィーなサウンドに、緩急つけたサウンド。「HEADACHE MAN」「OGRE」など、そのバンドサウンドは、ヘヴィーでテンポのよく、素直にカッコよさを感じられる音を出しているように感じました。

一方、「IN THE MIDDLE OF CHAOS」などは、疾走感のあるメロコア風のチューン。こちらはオルタナ系の支持層にも受け入れられそうな、ポップでハードな作風になっていました。

ただ、バンドサウンドについてはカッコよかったのですが、メロディーに関しては、もうひとひねりもふたひねりも欲しかったなぁ。

メロの展開のおもしろさやインパクトよりも、雰囲気を重視したようなメロディーは、「いかにもビジュアル系っぽい」と思ってしまいました。ここらへん、正直、熱烈な固定ファン向きといった感じで、その閉鎖性が気にかかるところです。

鼻にかかったような歌い方も、なぜかビジュアル系共通なんですよね。もっと素直な歌い方をすればいいのに、と思ってしまうのですが・・・なんでだろう?

もっと広く聴かれてもいいようなサウンドを感じさせる半面、閉鎖性も同時に感じさせるようなアルバムとなっていました。ただ、比較的聴きやすい内容ではあるので、興味があれば聴いてみても損のない作品かも。もうちょっとメロディーにインパクトがあれば、もっとおもしろいバンドになると思うんだけどなぁ。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

BAND AGE/SOPHIA

BAND AGE

90年代のビジュアル系ブームの数少ない生き残りバンドのひとつ・・・といっても、あきらかに他のビジュアル系とは一線を画していて、そのカテゴリーに入れるのは間違いかもしれませんが。

メロディーのインパクトという点でいえば、やはり上手いなぁ、と思うし、だからこそ、ブームが終わってもしっかり生き残ってきたんでしょう。ただ、ここ最近、完全にマンネリ気味。それなりのメロを書いてくるだけに、最後まで聴けてしまうけど、聴き終わった後、アルバム全体としての印象が薄いんですよね。もうちょっとがんばってほしいなぁ、とは思うのですが・・・。

評価:★★★

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2009年8月12日 (水)

お盆前の新譜ラッシュ?

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週もまた新譜ラッシュ。ベスト10のうち8曲までが新譜となっています。

そんな中、今週の1位は、ちょっと久しぶりの新譜となったB'z「イチブトゼンブ」が獲得。初動売上は18万枚と、前作の14万枚から若干増加しています。ロック・・・というよりもメロディアスなポップテイストの強い楽曲になっていて、ある意味「歌謡曲的」。こういう曲をシングルで切れちゃうあたりが、B'zらしいなぁ、と思ってしまいました。

2位は、ここ最近、安定した人気を感じるUVERworld「GO-ON」がランクイン。ただ、初動売上は前作の11万9千枚から5万3千枚と大きくダウン。まあ、前作が「機動戦士ガンダム00」のテーマ曲というタイアップに恵まれたからでしょう。

で、3位は両さん「こちら葛飾区亀有公園前派出所」・・・って、いろいろと話題となった「こち亀」の実写版ドラマのテーマ曲で、歌っているのは、香取慎吾。ちなみに作詞作曲はあの小西康陽で、スカ風の軽快なナンバーになっています。

以下・・・

4位 Be your wings/GIRL NEXT DOOR
5位 強き者よ/SKE48
7位 風になりたい/レッドシアターズ
8位 華/Alice Nine
9位 Stairway Generation/Base Ball Bear

と続きました。

GIRL NEXT DOORは前作の初動3万枚から初動2万2千枚へとダウン。前作は初の1位を獲得したのですが、前作がピークだったのか?

5位SKE48は、AKB48の亜流(?)で、名古屋の栄を舞台に活動しているアイドルユニットだそうです。TX系アニメ「真マジンガー」のエンディングテーマで、楽曲はいかにもアニソンといった雰囲気の曲。いきなりのベスト10ヒットは、アニメ人気なのかアイドル自体の人気なのか少々微妙なのですが・・・。

7位のレッドシアターズは、フジテレビ系バラエティー「爆笑レッドシアター」で活躍中の人気若手芸人によるユニット。フジテレビのイベント「お台場合衆国」の応援ソングですが、タイトルからもわかる通り、THE BOOMの名曲のカバーです。ってことは、いつも「めざましテレビ」で流れてくる曲はこれかぁ。いまだに、お笑い芸人の曲が、それなりに売れちゃうんだなぁ。

8位Alice Nineは、以前の「アリス九號.」から表記変更したらしいです。ここ最近、コンスタントにベスト10入りしています。

コンスタントにベスト10入りといえば、9位のBase Ball Bearもそう。ただ今回もアニメ「銀魂」のオープニングテーマというタイアップ付。テンポのよいオルタナ系ギターポップの王道的な曲なだけに、個人的にはもうちょっとがんばってほしいところなんですが。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートと同じく、アルバムチャート1位も男性2人組ユニット。コブクロのニューアルバム「CALLING」が1位獲得です。

約1年9ヶ月ぶり。ちょっと久しぶりのアルバムとなりました。売上も、前作の初動39万1千枚から初動23万1千枚とダウン。人気のピークは過ぎてしまったかな?今後、どのくらい固定ファンを確保して、初動売上を下げ止められるか、あるいは、再び大きなヒットを出して、再度人気を獲得できるか、がポイントになってきそう。

続く2位を獲得したのが、SPEED「SPEEDLAND The Premium Best Re Tracks」でした。デビューからちょうど13年目となる8月5日にリリースした、過去の楽曲をリテイクしたベスト盤。初動5万5千枚で初登場2位というのは、いまだに根強い人気が続いているところを見せ付けたといっていいでしょう。

3位は、矢沢永吉の新譜がランクイン。タイトルはそのものズバリ「ROCK'N ROLL」。純然たるオリジナルとしては、約4年ぶりとなるニューアルバムです。ロックフェスに積極的に参加したり、テレビ番組に出演したりと、かなり積極的なプロモーションが目立ちましたが、結果は、初動5万3千枚。前作の初動4万枚より若干アップ。プロモーションの効果はあり、といったところでしょう。

そして4位に入ってきたのがORANGE RANGE「world world world」でした。初動はわずか3万枚。2年8ヶ月前の前作が初動21万枚なので、正直、異常ともいえる下がり方をしています。(すいません。前作は1年1ヶ月前の「PANIC FANCY」で7万5千枚でした。しかし、それにしても、前々作21万枚→前作7万5千枚→本作3万枚と急激な落ち込みようです。)確かに、人気のピークは遥か昔に過ぎ去ったのはわかるのですが、それにしてもここまで急激に人気が落ち込む例は少ないのでは?どうしちゃったんでしょうか??

8位にランクインしてきたのがNoaというミュージシャンの「LUCY LOVE-Season II」というアルバム。最近はやりの泣きメロ系のR&Bシンガーで、試聴してみた印象としては「またこのタイプか・・・」といった印象(苦笑)。「Noa」という、どう考えてもgoogleで検索しても引っかかってきそうにないミュージシャン名といい、なんか仕事がやっつけっぽいんだよなぁ・・・と思ってしまいました。

ベスト10入り最後はゲームミュージック。10位に「THE IDOLM@STER MASTER SPECIAL 06」がランクインしています。

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2009年8月11日 (火)

テクノの歴史を知る

Title:Thoroughbreds-Best Of R&S

 Various/Thoroughbreds - Best Of R & S (Rmt)

ワープ・レコーズ、ライジング・ハイと並ぶ3大テクノレーベルとして、90年代に一世を風靡したR&S Records。セカンド・サマー・オブ・ラブ発祥20周年を記念してリリースされた、野田努セレクトによる、日本独自企画によるベスト盤がリリースされました。

・・・・・・といっても、すいません、私、R&S Records自体を知りませんでしたm(_ _)m

ただ、テクノ系の音楽は個人的に好きなので、これを機に、勉強するつもりでも、このアルバムを聴いてみました。

感想としては・・・思った以上に聴きやすかったなぁ、ということ。

この手の時代の先端を行く音って、すぐ陳腐になってしまうケースが多いのですが、このアルバムに関しては、そんな時代を遅れな部分を感じませんでした(野田努さんが、「今の時代にもあった」セレクトをしたせいかもしれませんが)。

作品としては、クリアな雰囲気の陽性の音、比較的音数を絞ったシンプルなアレンジ、テンポのよいリズム、ミニマルなサウンド・・・などなど、壺を押さえたような音作りが印象的。

また、アンビエント風のゆっくりと聴かせる曲も多く、一方ではリズミカルなテンポのよう作品も多いなど、フロアでもCDでも楽しめるような、幅広い選曲だと思います。

どの曲も名曲ばかりだったので、これを機に、いろいろ手を広げてみようなかぁ。テクノの入門としてはピッタリなベスト盤でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Phoenix/zebrahead

フェニックス

軽快なミクスチャーロックが楽しいポップなアルバム。メタルの様相が強い曲があるかと思えば、オルタナ系の曲もありと、自由自在。一時期、かなり増えたミクスチャーロックバンドだけど、この手の明るいポップな音を出すバンド、少なくなってしまった印象が。深みみたいなものには欠ける反面、素直に楽しめるポピュラリティーを持ったアルバムでした。

評価:★★★★

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2009年8月10日 (月)

天才、現る!

Title:ノウニウノウン
Musician:たむらぱん

ノウニウノウン

このアルバム、聴いていて、あまりの傑作ぶりに、感動で思わず身震いがしてしまいました。

正直、こういう経験、年に何度かある訳ではありません。間違いなく、今年5本の指には入る、傑作が誕生しました。

たむらぱんの新作が傑作という話は、いろいろなところから伝わり聴いていて、それだけに事前から期待していました。

ただ、最初、CDを聴き始めた段階では「うーん」と思ったんですよね。1曲目「ジェットコースター」は疾走感があって耳障りのよいポップチューンながらも、至って普通なガールズポップ。少々肩透かしをくらわされてしまった感じすらしました。

しかし、2曲目以降、文句のつけどころないアルバムの展開に、最後の最後まで、全く耳が離せなくなりました。

続く「ちょっといいとこにいたい」も、パッと聴いた感じだと、普通のポップチューン。しかし、メジャーコード主体の明るい展開の中に、要所要所マイナーコードが紛れ込み、楽曲に妙な癖を与えています。

そして、なんといってもこのアルバムで一番の名曲だったのが「ちゃりんこ」!こちらもマイナーコードから入る、ちょっと憂いを感じる導入からの楽曲の展開が神がかり!懐かしい友達に久しぶりに会いに行くという、ドラマ性ある歌詞とあわせて、胸が切なくなってくるメロディーラインがとにかく印象的。とりあえず、この曲だけでも聴いて欲しいという傑作でした!

その後も、歪んだギターや重いベースラインなどでロックテイストをふんだんに取り込んだ「十人十色」や、哀愁漂う昭和歌謡曲風に仕上げている「恋は四角」、さらにストリングスも導入し、雄大な風景が楽しめる「スクランブル街道」まで、実にバラエティー豊富。最後まで耳が離せません。

このアルバム、なんといっても素晴らしかったのが、そのメロディーライン。ヒットチャートでも通用しそうな、強度の強いポップなメロディーラインを書いていながらも、一筋縄ではいかないコードの展開が魅力的で、独特なグルーヴ感を作り出しています。

また、アレンジも、ピアノを積極的に取り入れたアレンジが印象的なのですが、どこか一癖も二癖もあり、こちらも聴けば聴くほど深みにはまるような魅力があります。それにも関わらず、全体的にはポップに聴こえているようにまとめあげているのが、とても見事でした。

はっきりいえば、女性のポップスシンガーとしては、aiko以来の天才だと思います!ひねくれたコード進行を使いながらも、全体としてはポップにまとめあげるという点でも、aikoに近いものを感じますし・・・。

もう、とにかく聴いて欲しい大傑作!以前聴いた「ブタベスト」も、かなりのいい出来だったのですが、ここまですごいミュージシャンになってくるとは・・・。本当に素晴らしい作品でした。

評価:★★★★★

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2009年8月 9日 (日)

キング・オブ・ロックの最後のロックショー

Title:忌野清志郎 青山ロックン・ロール・ショー2009.5.9 オリジナルサウンドトラック
Musican:忌野清志郎

忌野清志郎 青山ロックン・ロール・ショー2009.5.9 オリジナルサウンドトラック

正直言うと、このアルバムに関して、いろいろと偉そうに感想を述べるのって、少々心苦しいものがあります。私自身、忌野清志郎というミュージシャンは大好きなミュージシャンの一人でした。ただ、RC時代の曲はベストや「Rapsody」などの代表的なアルバムはざっと聴いていて、キヨシローのソロも、少なくとも熱心にポピュラーミュージックを聴き始めてからは、大体聴いているのですが、RCをリアルタイムでは知らないし、熱心なファンだったのか、と言われると、本当に熱心なファンの方と比べると、申し訳なくなってしまいます・・・・・・・・・。

でも、ちょっとだけ、キヨシローに関しては、自慢(?)がありまして(笑)、Wikipediaの「忌野清志郎」の「主な事件」の欄にも取り上げられている、2003年4月22日のアースディ・ライブの話。実は、そのライブの現場に、私も参加していました。

いまさらながら、当時のライブレポートを読み直してみたのですが・・・確かに「事件」の件は、その直後にはニュースにもなったりしたのですが、ライブに参加している時は、ほとんど「事件」だとは思わなかったんですよね。

というのも、その直前に見たチベタン・フリーダム・コンサートにもキヨシローが参加していて、その時のセットリストとこの日のセットリストはほぼ同じ。つまり、彼にとっては、あくまでも普段通りに演奏しただけ、だったんじゃないでしょうか?

要するに彼は、ラジオ番組の生収録がある、とかそんな事情は関係なく、やりたいようにやっただけ。でも、そんな普段通りやった結果がこんな風に「事件」になってしまった訳です。決して、意図して事件を起こそうとしたわけではなく、彼は自分の自由を貫いただけ、のように思いました。

今回のアルバムでは「自由」という曲も収録されていますが、まさに「誰の圧力にも屈せず、自分の自由を貫く」ということが、キヨシローが一貫して守り抜いた信念だったのかなぁ・・・なんてことも、あらためて思ったりしました。

今回のベストは、忌野清志郎の葬儀の際に流れた曲を、その順番どおり収録したアルバム。まさにキング・オブ・ロックの最後のロック・ショーの模様をそのまま収録したアルバムです。

この「青山ロックン・ロール・ショー」には、私は残念ながら参加できなかったのですが、オープニングのMCもあわせて、その日の空気がそのまま伝わってくるよう・・・。ラストの「雨上がりの夜空に」がライブ音源というのも、なんか憎い演出ですね。

あらためて、名曲の数々に彼の偉大さを感じざるを得ないアルバムでした。R.I.P.

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Crystal Scenary II/岡本真夜

Crystal SceneryII

彼女の過去の代表曲を、アカペラやクラシカルなアレンジでセルフカバーした企画盤。彼女の美しいボーカルや、瑞々しいアレンジが印象的・・・なのですが、ちょっとアレンジがワンパターンというか、あまり新鮮味がないような・・・。岡本真夜のボーカルも、確かに魅力的ではあるのですが、ボーカルだけで聴かせるには少々力不足のようにも感じます。ファンズアイテムといった感じかなぁ。

評価:★★★

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2009年8月 8日 (土)

砂漠のブルース

Title:IMIDIWAN:COMPANIONS
Musician:TINARIWEN

イミディワン〜アフリカの仲間たち(初回盤DVD付き)

今回、紹介するのは、いわゆるワールド・ミュージックにカテゴライズされるバンドです。

実は、ここ最近、ロックやポップに限らず、いろいろなジャンルの音楽に、手を広げていまして。ブルースにはじまりジャズや、クラシックなども、広く浅くですが、いろいろと聴きはじめていたりします。

そのうち、非欧米系の音楽にも興味が行くようになってきて、そんな中で気になったのが彼ら。もともと知ったきっかけはミュージック・マガジン誌の「アルバム・ランキング・ベスト100」という特集記事で、この「1990-2008年編」で、TINARIWENの前作「Aman Iman」が22位にランクインしていたことから、でした。

そんな彼らがニューアルバムをリリースした、と知って気になり、レコード店の試聴機や、彼らのMy Spaceで試聴してみて、なかなかよかったので、はじめて買ってきました。

で、今回、国内盤を買ったのですが、付属の解説書によると、彼らは「マリ北東部に位置するキダルを拠点とするトゥアレグ人のグループ」だそうで、「北アフリカにアラブ人たちがやってくる以前から住んでいる先住民(総称してベルベル人と呼ばれる)のひとつ」だそうです。
(上記文章及び以下、斜字は国内盤解説(田中勝則著)から引用)

ベルベル人ですか!ベルベル人といえばムラービト朝ですね!このインパクトある名前。世界史で習ったのをいまでもしっかり覚えています(笑)。

そんな彼らのアルバムから聴こえてくる音は、まずこぶしの利いた歌。イメージとしては、砂漠の中の火を囲んで、ひとりの歌い手が静かに、その部族に伝わる物語を歌で聴かせている・・・というイメージが浮かびました。

それに加わるのが、ブルージーな雰囲気を漂わせるギターサウンド。それもロックからの影響も感じるエレクトリック・ギターの音と、砂漠の大地をそのまま感じる歌との対比は奇妙であるのと同時にとても魅力的。ロックリスナーにも聴きやすいサウンドながらも、全く新しい音をつむいでいます。

また彼らトゥアレグ人は「もともと砂漠の遊牧民であり、現在でこそブラック・アフリカの国に住んでいる人もいるが、もともとアフリカ人ではない」そうです。

確かに、個人的にアフリカの音楽というと、アフロ・ビートの印象が強いのですが、彼らの音楽には、節回しといい、ちょっとインド音楽の流れすら感じるリズムといい、むしろアジアからの空気を感じられる・・・・気がします。

↑まあ、もっとも完全に素人の意見なので、完全に的外れなのかもしれませんが(^^;;ただ、どこか欧米からもたらされた、ロックやブルースからの影響も含め、無国籍という匂いも感じ、それもまた、彼らの音の大きな魅力のように感じました。

ある種の哀愁を帯びたメロディーが魅力的な「CHABIBA」をはじめ、そのメロディーは、どこか日本人の心にも触れそう。ワールド・ミュージックとはいえ、決して難解だったりせずに、ロックやポップスのリスナーにも聴きやすく、かつ、遠い異文化の魅力を放った作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Untitled/NAS

もともと「Nigger」というタイトルでリリースする予定だったのが、そのタイトルでは販売できなくなり、「無題」というタイトルでリリースすることになった作品。ハードコア、といっても、決して暑苦しい雰囲気ではなく、NASとしてのしっかりとした主張が音を通しても伝わってくるよう。ポップな作風の楽曲も多く、広いリスナー層の支持を集めそう。

評価:★★★★★

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2009年8月 7日 (金)

表現しがたい音の世界・・・でもポップなんだよね!

Title:Question
Musician:KIRIHITO

Question

ギターの竹久圏と、ドラムス早川俊介による2人だけのバンド。結成15年というベテランバンドで、このアルバムはなんと9年ぶりの新作です。

・・・・・・なんて偉そうに語ってはみたのですが、私自身、このアルバムではじめて彼らのことを知りました(^^;;某音楽専門誌で結構プッシュしていたので聴いてみた、というミーハーな理由で聴いてみたんです・・・・・・。

で、はじめて彼らの作品を聴いたのですが、これがなかなかユニークでポップ。聴いていて、とにかく楽しくなるような傑作でした。

・・・といっても、いざ、「どういう音」といわれると、特に私みたいな表現力が稚拙な人間にとっては、すごく難しいんですよね・・・。

簡単に言ってしまうと、リズミカルなドラムに、ユニークなキーボードの音色を重ねたインストメインのバンド、といった感じでしょうか?

ただ、そうとはいっても、その音楽の中にはテクノ、ジャズ、ファンク、ロック、サイケ、様々な要素がごった煮になって突っ込まれています。

そんな訳で、決してメロディアスなメロディーが表面的に流れているわけでもありませんし、歌モノもあるのですが、決してわかりやすいポップソングが流れているわけでもありません。

しかし、彼らの奏でるその「音」は、とても明るく、ポップ。なによりも音の使い方がとてもユニークかつユーモラスで、聴いていて楽しくなってきました。

なんでも、彼らのライブパフォーマンスは、ある種の「見世物」的の楽しいエンタテイメント性あふれるステージなのだとか。そんなユーモアセンスが、アルバム全体から伝わってくるような、楽しいアルバムでした。

余談。KIRIHITOって名前、なんかパッと聴いた感じ、ビジュアル系っぽいよね・・・だから何?って感じですが。

評価:★★★★★

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2009年8月 6日 (木)

blur入門

Title:MIDLIFE:A Beginner's Guide to Blur
Musician:blur

Midlife: A Beginner's Guide to Blur

blur復活!!いやぁ、ファンとしては狂喜ニュースですよ。それも、なんといっても一度は脱退した、グレアム・コクソンが復帰して、オリジナルメンバーでの復活、というのは、単なる活動再開という以上に、うれしいニュースです。

そんな彼らがリリースしたのが、2枚組のベストアルバム。タイトル通り、活動再開を機に、はじめてblurを聴くようなリスナーも対象にした、blurの入門書という位置付けを意識してのベスト盤になっています。

ただ、blurのベスト盤は、2000年にリリースされたばかり。その後発売されたアルバムは、「Think Tank」の1枚だけ。新曲もなければ、レアトラックもないだけに、前のベスト盤を持っているファンにとっては、わざわざ買うまでもないベスト盤、かもしれません。

ま、それでも買ってしまうのがファン心理ですけどね(^^;;

しかし、blurといえば、初期のブリットポップ期と、アルバム「blur」以降で、アルバムの雰囲気がガラリと変わった印象があるのですが、こうやってベストアルバムで彼らの作品を通して聴くと、初期から最近の作品まで、ベースにあるものはあまり変わっていないなぁ、ということに気がつきます。

・・・って、このことは、前のベスト盤の時も全く同じことを思ったんですが・・・。

初期の作品も、実験的な要素は入れてきていますし、最近の作品も、楽曲にはしっかりとポップなメロディーが流れていますし。なによりも、どこかひねくれたポップスセンスや、自身の楽曲を、どこか第三者的な視点から冷静に見つめているような、そんなスタンスは初期から最近の作品まで変わっていません。

あらためて、blurのポップでユーモアたっぷりの作品世界に触れることの出来たベスト盤でした。

とはいえ、次は早く新曲を聴きたいなぁ。次はどんな作品になるんだろう?オリジナルメンバーに戻った後の作品なだけに、その出来が楽しみです。

そしてそれ以上に、来日コンサート希望!!oasisもRADIOHEADもPIXIESも、ライブは見たのですが、blurだけはまだ一度も生で見たことないんだよなぁ。一度、ライブを見てみたい・・・。

評価:★★★★★

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2009年8月 5日 (水)

ジャニ系がまた1位

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

シングルチャート今週の1位は、堂本光一のソロシングル「妖~あやかし~」。初動15万枚は、米寿司名義で発売したソロとしての前作「No More」の初動11万1千枚を大きく上回る、好調なスタートとなりました。

以下、今週もまた新譜がズラリ。10曲中8曲が新譜というチャートとなっています。

堂本光一に続き2位を獲得したのがゆず「いちご」で、相変わらずの根強い人気を見せています。ただ、初動は4万6千枚と、前作「逢いたい」の初動6万2千枚を大きく下回ってしまう結果となりました。

3位はAAA「Break Down」がランクイン。こちらはドラマ主題歌というタイアップ効果もあってか、前作の初動2万3千枚から大幅アップの初動4万3千枚と、好セールスを記録しています。

続く4位はAcid Black Cherry「優しい嘘」。こちらは前作の初動4万7千枚から初動4万枚に微減。まあ、これは8月に発売されるアルバムの影響でしょう。

以下、6位以下初登場は・・・

6位 ヘタリア キャラクターCD Vol.4イギリス(絶対不敗英国紳士)/イギリス
7位 ブルメリア~花唄~/Aqua Timez
8位 蝉 semi/長渕剛
10位 世界はサマー・パーティー/真野恵里菜

と続きます。

6位は、ヒットチャートでもおなじみのWebコミックからのキャラクターCD。

7位Aqua Timezはいまひとつパッとしないような・・・。orange rangeといい、この手のミクスチャーロックバンドが苦戦しているような印象が・・・。

8位長渕は、この暑い季節がますます暑くなるような(笑)。でも、この人気は根強いですね。

10位真野恵里菜は、相変わらず作曲はKAN!ピアノの音が入ってくるあたり、非常にKANらしくてちょっとうれしくなってしまうかも(笑)。KANのファンとしてはもっとうれてほしいなぁ、なんて思ったりして(^^;;


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは、今週もおとなしいチャートになっています。

そんな中、1位を獲得したのがComing Centuryのアルバム「Hello-Goodbye」でした。Coming Century名義の初のミニアルバム。ただ、初動は5万3千枚なので、チャートの谷間を突いての1位獲得といったところでしょうか。

さて、今週も2位にランクインしたのがMicheal Jacksonのベスト「KING OF POP」でしたが、今週はもう1枚、追悼盤がランクインしてしまいました。忌野清志郎「忌野清志郎 青山ロックン・ロール・ショー 2009.5.9 オリジナルサウンドトラック」が7位にランクインです。

ご存知の通り、今年5月に惜しまれつつこの世を去った日本を代表するロックンローラー忌野清志郎。その彼の、「青山ロックン・ロール・ショー」と名づけられた葬儀会場で流された曲をまとめたアルバムで、RCサクセション、ソロ、各種バンドなどの名義を問わない、彼のオールタイムベストにもなっています。ベスト10ヒットを記録したのは、RCサクセション解散後、初のソロとなる「Memphis」以来。追悼盤がヒットというのは、少々複雑ではあるのですが、こういう形でも彼の音楽が、世に広まるというのはやはりうれしいことだと思います。あらためて、ご冥福を祈りたいと思います。

アルバム初登場はあと2枚。

4位にACIDMAN「A beautiful greed」がランクイン。こちらも最近、固定ファンを確保してきたかな?ただ、前作「LIFE」が初動2万4千枚だったのに対して、本作は初動1万8千枚と減少傾向なのが気にかかります。

そして9位に「あいのり 1999-2009 THE BEST OF LOVE SONGS」がランクインしています。あの、いろいろと話題を呼び起こしたフジテレビ系バラエティー「あいのり」の主題歌を収録したコンピレーション。一時期、あいのり主題歌といったらヒットの代名詞で、このアルバムにももちろん、スピッツの「スターゲイザー」やI Wish「明日への扉」などのヒット曲が収録されています。ただ、もっと前に発売されていれば、もっと大ヒットを記録したんでしょうけどね。ちょっと発売の機を逸した感じもします。

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2009年8月 4日 (火)

ポップにリアレンジ

Title:Re-clammbon2
Musician:クラムボン

Re-clammbon2 (通常盤)

しょーーーじきに言うと、久しぶりの新譜が、2枚目のセルフカバーアルバム、というのは、個人的には、ちょっとびみょーー。いや、2年前の久しぶりの新譜の前も、ライブアルバムにカバーアルバムと、オリジナルアルバムがなかなかリリースされなかったからね。早くニューアルバムが聴きたい!!!

・・・・・・とは思うのですが、セルフカバーアルバムとして、このアルバムはとても上出来の傑作。なによりも、このアルバム、まずはいい意味で聴きやすい、ポップな内容に仕上がっているのがうれしいですね。

ここ最近のオリジナルアルバム「てん、」「Musical」は、以前のポストロック路線を続けながらも、実験的にばかり走りすぎず、きちんとポップに着地しようとした作風になっていました。

このセルフカバーアルバムも、基本的な方針は、この2枚のアルバムと同じように感じます。

爽やかなバンドサウンドが魅力的な「Re-THE NEW SONG」や、ある意味クラムボンらしいピアノポップのアレンジに仕上げた「Re-Re-華香るある日」、エレクトロポップに仕上げた「Re-Re-サラウンド」など、ポップで聴きやすい作品が多く収録されています。

一方で、「Re-Re-シカゴ」は序盤はアコースティックでポップな様相ながらも、後半は徐々にジャムっぽくなっていきますし、「Re-意味はない」も、徐々に狂乱していくサウンドがインパクト満点。「Re-アホイ!」も幻想的な仕上がりになっているなど、ポストロック、ジャムバンドといった、クラムボンの実験的なバンドという側面も見せてくれます。

ただ、実験的な作風の作品も、リスナーを置いてきぼりにすることなく、ある意味、ライブでの盛り上がりが、その向うに見て取れるような作品。そんなこともあって、アルバム全体としては、ポップで楽しいアルバム、という後味を得ることが出来ます。

セルフカバーアルバムとしての出来は文句なしの傑作!ただ、1つマイナスなのは、やはり早くオリジナルアルバムを・・・という贅沢な要求から(^^;;オリジナルアルバムに関しては、ここ最近、悪くはないけど、もろ手をあげて絶賛は出来ないような作品が続いているだけに・・・早く傑作を聴きたい!

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2008

ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN COMPILATION 2008

アジカンが毎年行っているライブイベント、NANO-MUGEN FES.に出演するミュージシャンの楽曲を集めたコンピ盤。これは2008年のバージョン。基本的にアジカンと同路線のパワーポップバンドがメインなのですが、一方で、SPECIAL OTHERSのようなジャムバンドや、エレクトロロックのTHE YOUNG PUNX!などが入っているのがおもしろいところ。Ash、STEREOPHONICSのような、洋楽勢も含まれていて、アジカンのファンも抵抗なく、いろいろなタイプのミュージシャンに触れられるようになっているのが、うれしいところでしょう。

個人的には、トクマルシューゴ、THE YOUNG PUNX!、8ottoあたりがよかったなぁ。アジカンみたいな人気バンドが、こうやって、他の(日本ではアジカンほどは売れていない)ミュージシャンたちを積極的に紹介するのってうれしいですね。今後も、このイベントは続いてほしいなぁ。

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SPARTA LOCALSが・・・

Sparta Locals、11年間のバンド活動に終止符

とてもショックなニュースが飛び込んできました。

個人的に、SPARTA LOCALSは思い出深いバンドで、出逢ったのは、このサイトの常連さんの熱烈なプッシュから。チラッと試聴してみて気になって、彼らの東京での一番最初のライブを、下北沢のシェルターに見に行きました。

このサイトを立ち上げたからこそ、早い段階で知ることの出来たバンド。そういう意味では、とても感慨深いものがあります。

その後も一時期結構はまって、ライブにも何度か足を運んだのですが・・・最近はちょっと足が遠のいちゃったなぁ。ラストライブに行きたいけど、東京だと厳しいなぁ・・・。

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2009年8月 3日 (月)

狂おしき薫り

Title:HOREHOUND
Musician:THE DEAD WEATHER

Horehound

ザ・ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトによるソロプロジェクト。ラカンターズとしての活動もあるのに・・・と思ってしまうのですが。

今回は、そのラカンターズからのメンバーも含め、ボーカルにはTHE KILLSのアリソン・モシャート、ギターにQUEENS OF THE STONE AGEのディーン・フェティータを迎え、ジャック自らはドラムスに挑戦するというバンド編成になっています。

基本的に、オールドスタイルのロックンロールといった感じで、特に冒頭「60 Feet Tall」「Hang You from the Heavens」みたいな、ゴリゴリでヘヴィーなギターリフを中心に構成されたバンドサウンドは、ロックが好きなら、鳥肌モノのカッコよさです。

それに、モシャートの高音ボーカルが絶妙にマッチ。「狂おしき薫り」というのは邦題なのですが、この無機質さすら感じるボーカルとバンドサウンドの絡みが、邦題のイメージにピッタリ来ます。

ラスト「Will There Be Enough Water?」のブルージーなギターサウンドまで、古き良きロックンロールの体現者、といった印象を受けるのですが、その一方で「I Cut Like a Buffalo」では、レゲエのリズムを入れてきたり、「Bone House」では、軽く打ち込みのリズムを入れ、テンポよくまとめてきたり、と単なる懐古趣味ではない部分もちらほら。

また、「Treat Me Like Your Mother」では、ヘヴィーなギターリフとラップを絡ませる手法は、どこかRAGE AGAINST THE MACHINEの影響も感じられるなど、古き良きロックンロールを今に甦らせる一方で、今風の解釈もきちんと加えている点、彼らの実力と個性を感じられました。

サイケ風にまとめた「3 Birds」など、どこか怪しげな不気味な雰囲気もアルバム全体に漂っていて、まさに「狂おしき」というイメージもピッタリあてはまる、独特の雰囲気も魅力的。60年代のハードロック好きから、現在のヘヴィーロックリスナーまで楽しめる、ロックのダイナミズムを体現化した、とても魅力的な作品でした。

現在、活動休止中のホワイト・ストライプスですが、ジャック・ホワイトの創作意欲は全く衰えないみたいですね。ホワイト・ストライプスとしての新譜も早く聴きたいのですが・・・そちらはいつになるのかなぁ・・・。

評価:★★★★★

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2009年8月 2日 (日)

じめじめした季節が続きますが・・・

Title:Do!
Musician:DEPAPEPE

Do!

もう、8月に入ったにも関わらず、いまだに梅雨が続いています。じめじめした天気が続いていますが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

さて、そんなじめじめした季節に是非ともお勧めしたいアルバムが、このDEPAPEPEの「Do!」。アコギのインストアルバムなのですが、彼らが奏でる爽やかなアコースティックギターの調べが、あら不思議、お部屋を爽やかな高原の別荘のようにしてくれます。

(以上、通販のCM風に)

・・・・・・

てなわけで、約1年2ヶ月ぶりにようやくリリースされたDEPAPEPEのニューアルバムです。

上の煽り文句ばりの、爽やかなアコースティックギターのインストサウンドがとても魅力的。まるで清涼剤のようなアルバムです。

また、例えば「二人の写真」などは、インストの楽曲にも関わらず、聴いていると、「写真を見て、別れた恋人のことを思い出している・・・」という風景、心理描写が浮かび上がってくるようです。まるで1曲1曲がひとつの物語のよう。まるで、アコースティックギターが奏でるメロディーが、リスナーに語りかけてくるようです。

「清涼剤のようなアルバム」といっても、よくあるギターインスト系のアルバムのように、単なるイージーリスニングのアルバムではない点も魅力的。メロディーを前面に押し出した作品がメインなのですが、ギターが単純にメロディーをなぞっているわけではありません。アコギの演奏で、しっかりとその世界を広げようとしており、幅広い音楽性を感じられる演奏を楽しむことが出来ます。

個人的に、DEPAPEPEも、もっともっと売れてもいいミュージシャンだと思っているのですが・・・(もっとも、デビューアルバムはギターインストとしては珍しいベスト10ヒットを記録しているのですが)。いまだ続く梅雨の季節にも、これから訪れるであろう夏の季節にも、ピッタリの作品です。

評価:★★★★★

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2009年8月 1日 (土)

足腰がしっかりしているからこそ

Title:TWANGS
Musician:GRAPEVINE

Twangs

新しいGRAPEVINE

このアルバムを聴いて、そう感じたファンは少なくないのではないでしょうか。

今回のアルバムで、GRAPEVINEは、いままでの作品ではなかったような試みに挑戦しています。

まず「Vex」では、初の英語詞に挑戦。さらには、ストリングスを大胆に導入し、バンドサウンド主体だったいままでの作品とは異なる部分をみせています。

このストリングスは、他にも「Darlin' from hell」「フラクタル」でも聴くことが出来、他にも「She comes(in colors)」でピアノを取り入れるなど、バンドサウンドにこだわらない、新しい作風を感じられるアルバムとなっています。

それにも関わらず、いつものGRAPEVINEだ、そう感じた方もいるのではないでしょうか。

ソウルやファンク、ブルースなどに裏づけされた、グルーヴィーなリズムは今回も相変わらず。しっかりとGRAPEVINEらしさというのは楽曲の隅々から感じることが出来ます。

新しいことに挑戦しつつ、いつものGRAPEVINEもしっかりと残す・・・こういう難しい芸当を簡単にこなしてしまうのは、やはりGRAPEVINEというバンドが、しっかりとソウルやブルースというルーツを踏まえたうえで、自分たちの曲づくりをしているからでしょう。

いわば自分たちの足腰がしっかりしたバンド。それだけに、その上に載っているものが、少々変わったところで、GRAPEVINEというバンドは変わりません。それこそが彼らの強さでしょう。

実際、デビュー以来、GRAPEVINEのアルバムは、多少の差こそあれ、基本的に傑作続き。はずれというのはありません。

その上でこのアルバム、そんな彼らのアルバムの中でも指折りの大傑作だったと思います。いままでのGRAPEVINEそのままに、新たな歩みも感じさせる作品で、7分にも及ぶ長さの中、ヘヴィーなロックサウンドからブルージーなギター、優しく聴かせるピアノなど、様々な顔を見せてくれる「Pity on the boulevard」やサイケデリックなサウンドに、ソウルやファンクのリズムを混ぜたGRAPEVINEらしいハードロックチューンが魅力的な「NOS」など、たくさんの聴きどころで楽しませてくれます。

おとといまで、森広隆、田辺マモル、THE BOOMと、「もっと評価されてもいいミュージシャン」たちを取り上げてきたのですが、彼らGRAPEVINEも、もっともっと評価されてもいいミュージシャンだと思うんですけどね。これだけ、ブルースやソウルの要素をロックに取り入れているバンド、日本では数少ないと思うのですが・・・。

ちなみに、ちょっと余談なのですが、このアルバムで気になったのが、やけに「別れ」を意識した歌詞が多かった点。

「おわかれを云わなきゃ
おわかれを云わなきゃ
成熟が訪れたんだ
成熟が訪れたらおわかれを云わなきゃ
云えなきゃ」

(「Afterwards」より 作詞 田中和将)

「手にまだ振動が残ってる
これ以上の寂しさが歌えるか
ただ力が
俺に力があれば」

(「Twang」より 作詞 田中和将)

「おわかれだったわダーリン
だけどきっといつかまた会えそうな
気がしてた」

(「Darlin' from hell」より 作詞 田中和将)

といった具合に、人と人の別れの中、一人の個人の無力さを描いたような歌詞が続きます。何かあったんだろうか、と邪推しちゃうのですが・・・うーん・・・。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

hikari/シド

hikari

90年代のビジュアル系ブームの時のバンドサウンドそのまんま(^^;;

うーん、歌謡曲っぽいといえば必ずしもマイナスの意味ではないのですが、なんか、90年代のビートロックからあまりに進化もヒネリもないメロディーとサウンドは、いまさら・・・と思ってしまいます。適度にハードなバンドサウンドと、適度にポップなメロディーは、いい意味でも悪い意味でも「売れ線」って感じでした。

評価:★★★

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