こんなアルバムも売れるんだ・・・。
Title:PB
Musician:SPECIAL OTHERS
昔のヒットチャートはよかった・・・だとか、最近のヒットチャートはつまらない曲が多くて・・・だとか。そういう声は、今に始まった話ではないのですが、ネットとかでヒットチャートの話題になると、よく声があがりがちなお話だったりします。
まあ、今のヒットチャートは、CD不況の影響で、ベスト10入りできる売上枚数が極端に落ちていて、ちょっと話題になればすぐベスト10入りできちゃって、そういう意味では、以前に増して玉石混合の度合いが大きくなった印象は強いですけどね。
でも、それだけに、以前より「え?こんなアルバムがこんなに売れちゃうの??」というケースが増えているんですよね。あ、もちろんいい意味で。
このSPECIAL OTHERSの新作も、まさにそんなケース。オリコンチャートで、なんと10位にランクインしちゃいました!
つーか、彼ら、いわゆるジャムバンドだよ?インストメインだし。ある意味、ヒットチャートから最も遠い位置のジャンルのバンドだと思うんですが・・・。
確かに「LIFE」みたいな、ポップなメロを楽しめる曲もあるし、ジャムバンドとはいっても、ジャズや、あるいはフュージョンの要素も強く、聴きやすいバンド、だとは思うのですが、聴きやすいといってもあくまでも程度の問題。ヒットチャートの王道といった曲からは、ほど遠いサウンドを奏でています。
もっとも、ヒットチャートの王道から遠い、というのは、もちろん褒め言葉。売れてきたとはいっても、決して媚びることのないジャズサウンドを奏でています。
このアルバムも、冒頭「Title」「PB」と、ジャズやフュージョンの色合いの強い、明るいナンバーでリスナーを盛り上げ、続く「Stay」では、爽やかなギターサウンドを奏でながらも、ジャムバンドらしい、狂乱的なサウンドを繰り広げます。
「SPinWednesday」は、序盤、ジャジーな雰囲気で聴かせながらも、終盤にわたって一気に盛り上げていく展開がおもしろいナンバー。中盤は、ちょっとダビーな雰囲気の「Potato」などしんみり聴かせるナンバーなど織り交ぜつつ一気に終盤へ。
メロディアスな「LIFE」をはさんで、ラストの「sunrise」では、ピアニカとパーカッションとアコギのみというシンプルな演奏でしんみりとアルバムを締めくくります。
アルバム1枚でひとつのライブのような、バラエティーの富んだ、考えられた展開が楽しめる作品。ジャムバンドとしての本領も発揮しており、決してポップに媚びたわけではないどころか、むしろ、よりジャムバンドとしての深みを追及しているようにすら感じました。
今のヒットチャートは・・・みたいにいろいろと言いたくなることもあるけど、こういうアルバムが売れちゃうところは、やっぱりうれしいですよね~。今後も、どんどんおもしろいアルバムがチャートインしてくることを期待したいです。
評価:★★★★★
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