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2009年7月28日 (火)

もっと注目されてもいいミュージシャン第2弾!

Title:転向しよう、そうしよう
Musician:田辺マモル

転向しよう、そうしよう

昨日の森広隆に続き、個人的にもっと注目されてもいい、と思っているミュージシャン第2弾。

まずは、このアルバムで言えば、1曲目「幸福の経済学」2曲目「タバコを吸う女の子」が、彼の真骨頂ともいえる内容。

この「真骨頂」の部分が歌詞のユニークさにあって、詳しく書いてしまうとネタばれになってしまうので、具体的には説明できないのですが・・・。

「セックス」のような表現まで踏み込んだ、性的にまでストレートで、ある種エゲツナイ内容になっていながらも、同時に切なさも感じてしまう歌詞が実に見事。

楽曲の方は、基本的にアコースティックギターメインのアレンジに、フォーキーなメロディーというシングルなものなのですが、彼自身のボーカルもあわせて、このアレンジやメロも、楽曲に独特の切なさを与えています。

そしてなんといってもユニークなのがその歌詞。

秋葉原の通り魔事件を扱った「時間です」のような作品もありますが、それを含めて、内省的な部分にターゲットを絞った歌詞になっています。

ただ、その「主人公」の描き方が、決してきれいごとにとどまらず、時として、いわゆる「エログロ」の世界まで、鋭く切り込む歌詞が魅力的でかつ、聴くものにグサっと来るものがあります。

子供が産まれる親の心境を歌った「明日の暮らし」や、プロポーズのシーンを歌った「デザイン・フォー・ライフ」のような、比較的、フツーの題材(といっても、ポップミュージックで出産を題材にした例は少なそうですが(^^;;)もあるのですが、一方・・・

中年になって、はじめて恋をした男の心境を歌った「遅すぎた思春期」、別れた恋人が、次の彼氏と寝たことを知って悶々とする男を歌った「僕よりいいのか」や、微妙な心境の女の子の部屋に訪れて、Hしちゃった時の心境を歌った「ユニットバス」など、ある意味、隙間産業的な、でもどこか共感できちゃうような心理を、時にはユーモアまじえて、時にはエグイ視点から歌い上げています。

まあ、確かに癖のあるテーマだし、セックスのこともストレートに歌っちゃったりするので、広く一般受けするタイプ、ではないと思うんですけど、でも、もっともっと注目されてもいいシンガーだと思うんですけどね~。

あえていえば、このアルバムに関しては、アルバムとしてちょっとボリュームが多すぎて、もうちょっと絞ってもよかったかな、と思わないことはないのですが、それを差し引いても、田辺マモルのユーモアな世界観が楽しめる傑作だと思います。

好き嫌いはわかれそうなのは事実なのですが、是非一度聴いてみてください!その歌詞の世界に、はまってしまうかも。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

影の無い人/ASA-CHANG&巡礼

影の無いヒト

なんともいえない不思議なアルバム・・・まあ、毎度のことながら・・・。

基本的に、不思議な感触を楽しむ、実験的な現代音楽といった感じ。「影の無い人」は、タブラと人の声を1つ1つあわせた、不協和な雰囲気をかもし出しています。ただ、「くるみ合わせのメロディ」「家へかえりたい」みたいな、ポップな曲もあるのですが、微妙にメロやボーカルが歪んでいて、それが一種のホラー映画みたいで、すごく不気味なんですよね・・・。

個人的に、このポップであることを拒否するような作風は、あまり好きじゃないんですが・・・でも、ライブはとんでもなくカッコいいんですよね、ASA-CHANG&巡礼。なので、アルバムもついつい聴いちゃうんだよなぁ・・・。

評価:★★

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