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2009年7月13日 (月)

意外とさわやかな面も

Title:HOU ON
Musician:大西ユカリ

HOU ON

正直言ってしまうと、大西ユカリって、ちょっと苦手なタイプのミュージシャンだったんですよね。

いや、確かにそのソウルフルなボーカルや、歌謡曲とファンク、ブラックミュージックをごった煮にしたような音楽性、女性の情念みたいな部分もストレートに表現した歌詞など、いずれもとても個性的で魅力的で・・・というのはわかります。

だからこそ、アルバムは基本的に毎回、耳を通していたのですが。

ただ、あのグイグイと自分を押し付けてくるような、いかにも「なにわのおばちゃん」みたいな泥臭い部分がどうも苦手で・・・。評価が高いのは理解できるけど・・・という状況がつづいていました。

しかし、「大西ユカリと新世界」活動休止後初となるソロ名義となるこのアルバム、個人的に、苦手に感じることがほとんどなく、素直に楽しめる作品になっていました。

なんでかなぁ?純粋に、大西ユカリの世界が耳なじんできた・・・のかもしれないのですが・・・。

ただ、今回の作品、いわゆる歌謡ソウルな作品だけではなく、意外とポップでさわやかな雰囲気の作品も多く、それが耳馴染みやすかった理由かもしれません。

例えば、ボッサ風の「幸せのあと Re-mix」のような爽やかな作品や、「FIRST TIME」のような、ポップな作品なども聴くことが出来ました。

一方で、「もう海へなんか行かない」のような歌謡曲テイストの強い作品や、ともすれば演歌の領域にすら入っている(笑)「ざんざ大阪」のような、和のテイストの強い作品も相変わらず目立つ反面、ファンキーな「MARU-CHO inside out!」や、ジャジーな「ポートメリーのスー」、スカのリズムを取り入れた「追憶のSKA」など、洋のテイストも強い作品も多く、バラエティー豊富な展開が楽しめます。

また、今回は、高田渡の「値上げ」、山中一平の「ざんざ大阪」、中山ラビの「その気になってるわ」のように、カバー曲も多く、これらの楽曲を、パワフルな大西ユカリのボーカルで楽しめるところも魅力的です。(ただ、「値上げ」は、今の風潮とは、ちょっとあっていない感じがするのですが・・・)

いままで彼女の作品は、何枚か聴いてきたのですが、その中では一番の出来だったなぁ。そのパワーともども、彼女の様々な魅力が楽しめた作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

銀河手帖/遊佐未森

銀河手帖

上で取り上げた大西ユカリとは、真逆な女性ボーカリストのような感じがするのですが(笑)。

相変わらず幻想的でファンタジックな世界観はそのままだけども、デビュー当初ほど「この人、本当に実在するんだろうか?」みたいな、この世のモノとは思えない感覚はなくなり、また、一時期ような、エレクトロ路線からも離れ・・・うーん、その世界観は相変わらずで個性的ながらも、リスナーをそれだけで惹きつけられるほどの個性は薄れちゃったかな?

心地よい、森の中にいるようなやさしい風のような作風はとても魅力的なのですが、パンチがちょっと不足気味かも。

評価:★★★★

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