リミックスを通じて知るハラカミの歴史
最近は、くるりや矢野顕子とのコラボレートで、すっかり知名度も上がったレイハラカミ。電子音ながらも暖かみのある独自の音をつむぐミュージシャンとして、以前より、多くのミュージシャンのリミックスを手がけてきました。
そんな彼のリミックスワークをまとめたアルバムが2枚同時に発売されました。
まずは、1990年代から2000年初頭までの作品をまとめた作品がこちら。
Title:あさげ-selected re-mix&re-arrangement works/1
Musician:レイハラカミ
1曲目のミュージシャン、Flareは、KEN ISHIIの別名プロジェクトで、この作品が、正真正銘、レイハラカミのデビュー作となります。
いわゆるアーリーワークスにあたるこれらの作品は、ハラカミが、個性的な今の音を作り上げる過程がわかり、とても興味深く楽しめます。
特に1曲目「curved flow」、2曲目「Alien to whome?」は、まだ硬質なリズムが前に出ていて、ちょっと今のハラカミのイメージからは異なるかもしれません。ただ、その中には、ハラカミらしい暖かい音も混じっており、レイハラカミの個性が、徐々に花開いていく様子がよくわかります。
その後は徐々にハラカミらしさが表にあらわれて、「skyline」あたりは、まさにレイハラカミらしさがしっかり確立しているといえるでしょう。
この作品、テクノ系ミュージシャンとのコラボが多いこともあって、どの曲も、レイハラカミとそれぞれのミュージシャンががっぷり4つになって組み合っていながらも、とても相性のよいアレンジが多かったと思います。
特にこの時期のハラカミは、初々しさもあるものの、若さゆえの勢いを感じます。まさに今のハラカミの原点ともいえるこれらの作品群。ファンならずともお勧めできる作品たちです。
評価:★★★★★
そして、もう1枚が、2001年以降の作品をまとめたアルバム。
Title:ゆうげ-selected re-mix&re-arrangement works/2
Musician:レイハラカミ
こちらは、くるりやUA、Great 3やNUMBER GIRLなど、ロック畑のミュージシャンとのコラボが多く収録されています。
この頃のハラカミは、既に自らの個性を確立しています。それだけに、コラボの相手も個性を持っていないと、原曲がハラカミのアレンジに負けてしまい、リミックスとしてはいまひとつの作品になっていました。
特にコラボ相手が個性的だったのがNUMBER GIRLやGreat 3、そしてなによりもUAが印象的。レイハラカミの音とUAのボーカルが、まるで曲の中で勝負しているような、個性と個性がぶつかりあう「閃光」は、まさに傑作の一言。この2枚の作品の中でもベストかもしれません。
一方・・・いまひとつだったのがCHOCOLAT。ボーカルの線が細くて、個性もいまひとつ。レイハラカミのアレンジが浮いてしまって、リミックスとしてはいまひとつとなっていました。
リミックスの良し悪しが、楽曲ごとにはっきりしたアルバムだったように感じます。それだけに、個人的には「あさげ」の方がよかったかな、と思うのですが・・・ただ、2枚あわせてレイハラカミの足跡がよくわかる作品なだけに、ファンとしては2枚ともチェックしておきたいところでしょう。
評価:★★★★
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