どこかで聴いたことある曲ばかり
Title:ゆめのうた
Musician:tobaccojuice
個人的に、以前から注目している4人組のロックバンド。デビュー当初は、雑誌などでも大きく取り上げら得たのですが、売上の面では残念ながら伸び悩んでいるみたいです。
ただ、オーガニックな香りの漂う、アコースティック風のアレンジと、ポップなメロディーのバランスが絶妙。ともすれば「おしゃれ」「スノッブ風」に走りがちな路線ながらも、それを押しとどめて、あくまでもポピュラリティーを維持している点、とても魅力を感じます。
今回のアルバムは、そんな彼らのカバーアルバム。カバーといっても、普通にヒット曲をカバーしたアルバムではなく、彼らが取り上げたのは、洋楽のスタンダードナンバー。それも、普通、ロックバンドが取り上げそうなロックの名曲や、「80年代のヒット曲」ではなく、西洋の民謡や、カントリーといったナンバーを取り上げています。
おそらく、曲名を見ただけでは、知らない曲が多いのではないでしょうか。しかし、何十年も歌い継がれている曲ばかり。それだけに、聴けばおそらく誰もが一度は聴いたことのある曲ばかりが並んでいます。
そして、それらをただ単純にカバーするのではなく、自分たちの言葉におき直して―つまり和訳して―カバーしています。そのため、原曲の良さを損なわないまま、自分たちの曲として歌い上げています。
アレンジも、アコースティック風のアレンジから、スカ風のリズムでまとめた「ザ・ローズ」、ストリングスを入れてじっくりと聴かせる「テネシーワルツ」など、ちょっとした「スパイス」的な要素も加えつつ、実に魅力的に仕上げています。
そしてラストの「ダニー・ボーイ」は、歌詞も魅力的ながら、最後は泣きのギターソロを入れてきて、曲自体でも、バンドの演奏でもしっかりと心に染み入る曲を聴かせてくれます。
暖かく、そしてポップで、誰もが楽しめる、実に魅力的なカバーアルバムでした。tobaccojuice、ちょっとユニークな名前ですが、是非、これを機に、チェックしてみてください。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Portrait~THE BEST OF Radio Caroline~/Radio Caroline
残念ながら、今年3月、活動休止を発表した、元ミッシェルガンエレファントのウエノコウジ、元GYOGUN REND'SのPATCH、元THE NEATBEATの楠部真也によるバンド。
決して相性の悪い3人ではなかったものの、ミッシェルやGYOGUNの枠組みを超えられなかったのか、悪くはないものの、いまひとつインパクトに欠け、ワンパターンのアルバムが続いていました。そのため、活動休止も、ある意味バンドとしての限界を感じてのことでしょうか?
このアルバムも、ガレージパンクをメインに、パンク色が強くなったり、ポップ色が強くなったりと、彼らの模索の様子がよくわかります。全体的に勢いがあり、バンドのダイナミズムを感じる作品も多く、いい曲もたくさんあるのですが、もうひとつ、突き抜けた部分がなかったかな。メンバーの今後の活躍に期待したいところです。
評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2009年」カテゴリの記事
- ハードなバンドサウンド(2009.12.29)
- 日本から世界へ???(2009.12.28)
- 間口は広く(2009.12.27)
- バランス感覚の良さ(2009.12.25)
- 直系ガレージパンク!(2009.12.24)
コメント