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2009年6月 5日 (金)

リッチーは今も・・・

Title:Journal For Plague Lovers
Musician:MANIC STREET PREACHERS

Journal for Plague Lovers

マニックス、といえば、デビュー時、4人組のバンドで、ギタリストのリッチー・ジェイムスが、1995年、突如失踪した・・・という話は、おそらくファンならずとも知っているエピソード、かもしれません。

その後もメンバーやファンは、リッチーの帰りをまちのぞみ、活動を続けていたのですが、法的には、昨年11月、リッチーの死亡宣告が裁判所よりなされた、というニュースが報道されました。

その後リリースされたこのニューアルバムは、おそらくそんな法的なリッチーの「死」に対抗し、いまでもリッチーはマニックスの一員である、ということを高らかに宣言するように、全曲、リッチーが残した詩により構成されたアルバムになっていました。

・・・なんて話を聴くと、感傷的な気分になってしまうのですが、肝心のアルバムの内容については、いつも以上にパンキッシュでポップ、そして疾走感あふれる内容になっています。

とくにメロディーは王道ともいえるポップなメロディー。それにハードなギターロックのアレンジが重なる、という、ある意味、王道ともいえるオルタナ系のギターロック路線になっています。

でも、上手いなぁ、と思うのは、「ME AND STEPHEN HAWKING」「SHE BATHED HERSELF IN A BATH OF BLEACH」のような王道ともいえるギターロックの曲もありながらも、「JACKIE COLLINS EXISTENTIAL QUESTION TIME」のようにポップなメロディーを前に出した曲や、「PEELED APPLES」みたいなヘヴィーなバンドサウンドを前に出してきた曲などを取り混ぜつつ構成しています。

一方では、哀愁あふれる「THIS JOKE SPORT SEVERED」「FACING PAGE:TOP LEFT」など聴かせる曲もしっかりおさえるバランス感覚の良さ。基本的にはギターロック路線ながらも、こういういろいろなタイプの曲を上手く織り交ぜることによって、とてもポップな出来に仕上がっているアルバムでした。

「安心して聴ける」と言ってしまうと、ロックにとってはマイナス評価になりかねないのですが、彼らの場合、しっかりとしたバンドサウンドが後ろになっているんですよね。

特に本作では、プロデューサーにスティーヴ・アルビニを起用しており、軽快な、しかし、パンキッシュなバンドサウンドが、彼らのメロディーを支えている構成になっています。そのため、「安心して聴ける」といっても、しっかりとロックなアルバムに仕上がっていました。

UKギターロック好きには壺をつきまくる作品だと思います。ちょっとジャケットにひいてしまいそうなのですが・・・(^^;;お勧めの1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Consoler Of The Lonely/The Raconteurs

ご存知ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト率いるバンドの2枚目。かなりストレートにギターリフが心地よいガレージパンクサウンド。タイプ的には、ちょっとTHE HIVESに近いものも。ただ、あくまでもギターリフ主導のガレージパンクにこだわるTHE HIVESに比べ、ストリングスとかピアノとかも組み合わせた、もっとギターポップ風の多く収録されています。しかし、どの曲もあくまでも60年代風という観点では共通。古き良き時代のポップなロックを彷彿とさせる内容は、とても心地よいものでした。

評価:★★★★★

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