ラップの楽しさを伝える
Title:RAP MUSIC
Musician:らっぷびと
インターネットの動画投稿サイト「ニコニコ動画」や「You Tube」などで、アニソンやゲーム音楽にラップをのせた動画などが話題となったミュージシャン。
前にも書いたとおり、個人的に、ネット発の音楽、という動向に興味があったので、そんな彼のデビューアルバムを聴いてみました。
で、これがビックリするほどポップで、いい意味で聴きやすいアルバムでした。
いままでのネット発の音楽って、どこかおたく系の匂いがしてしまっていたんですよ。
要するに、「わかる人だけにわかればいい」みたいな内向きの要素が強く、リスナー層を限定するようなアルバムがほとんど。それもそれで悪くないとは思うのですが、どこか限界も感じられてしまいました。
しかし、彼に関しては、インタビューなどでも「ラップのおもしろさを広く伝えたい」といった趣旨のことを語っていることもあり、広い層のリスナーを意識した、ポップで聴きやすいラップを綴っています。
そのため、動画投稿サイトで話題になったような、アニソンやゲーム音楽とのコラボは(著作権の関係もあるのかもしれませんが)ほとんどなし。「リンゴ日和」や「Aikotoba」みたいな、メロディーメインの歌モノもあったりして、HIP HOPを聴かないリスナー層にも、抵抗なく聴ける作風に仕上げていました。
タイプとしては、HOME MADE家族やケツメイシあたりに近いものも感じます。そこらへんのミュージシャンが好きな人なら、文句なしに気に入る内容だったと思います。
ただ、あくまでもポップな作風を意識したからでしょうか、らっぷびとというミュージシャンの個性が薄くなってしまっているようにも感じました。
「ネット発」だとか「おたく系文化に興味を持っている」だとか、外枠の個性が先行してしまい、肝心の「音楽それ自体」のオリジナリティーに関しては、課題を感じてしまいました。
とはいえ、あくまでも外向きの志向で活動しようとするスタンスは頼もしい限り。そこらへんのいい意味での計算高さも含めて、今後、成長が期待できるラッパーだと思います。今後次第では、お茶の間レベルで人気を獲得できるポテンシャルもあるだけに、期待したいところです。
評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2009年」カテゴリの記事
- ハードなバンドサウンド(2009.12.29)
- 日本から世界へ???(2009.12.28)
- 間口は広く(2009.12.27)
- バランス感覚の良さ(2009.12.25)
- 直系ガレージパンク!(2009.12.24)
コメント