山崎まさよしの本領発揮
Title:IN MY HOUSE
Musician:山崎まさよし
途中、カバーアルバムのリリースをはさんだものの、オリジナルとしては約3年ぶり。久しぶりとなる山崎まさよしのニューアルバムです。
それだけインターバルをはさんだのは、やはりそれだけアルバムを作りこんだ、ということなのでしょうか?山崎まさよしの魅力のつまった、傑作アルバムに仕上がっていました。
まずなんといっても、その音楽性。幅広い音楽性が、彼の持っている引き出しの多さを実感させます。
いつもながらのポップス、AORやソウル、さらにはレゲエ風の「バビロンの住人」や、バリバリのハードロック「Exit」「ロンサムライダー」などなど。他にも哀愁あふれるナンバーあり、3拍子でのんびりとした作風を作り出しているナンバーあり、ホーンセッションを取り入れたナンバーありと、1曲1曲、いろいろな顔を持ったナンバーが並んでいて、最後の最後までリスナーを飽きさせません。
それだけバリエーションを持ったアルバムにも関わらず、山崎まさよしらしさをアルバムを通じて感じられます。それは、彼が書くポップで暖かいメロディーラインが大きな要素でしょうし、もうひとつのこのアルバムの大きな魅力である歌詞が、山崎まさよしらしさを作り上げる大きな要素になっているように思いました。
このアルバムを通じて、彼のスタンスはとても前向き。ただし、それは青春パンク風な、根拠のない薄っぺらい前向きの応援歌ではありません。どこか現状に負けそうになっている、「大人」たちに、そっと後押しをするような、そんな暖かい歌詞を歌っています。
例えば1曲目「マイシューズ」では
「矛盾も不条理も抱えたまま
ひとまず今夜も Sleep
何処かで待ってるさ
あっぱれな人生が」
(「マイシューズ」より 作詞 Yamazaki Masayoshi)
という歌詞が、まさに現実の中ではなかなか上手くいかない私たちに対するエールのような歌詞になっています。
また、ラストの「Heart of Winter」では
「このありふれた世界もそんなに捨てたもんじゃないから」
(「Heart of Winter」より 作詞 山崎将義)
と、彼のスタンスが、ありのままに語られています。
包み込むような彼の歌詞は、暖かくてとても魅力的。どこか「ほっ」と出来るような歌詞の世界を作り出しています。
また、その一方、「五月の雨」のように、恋人との別れを、思い悩むスタンスも、どこか弱く情けない男の姿をチラリと見せているあたりも、彼の歌詞に大きな共感をよぶ理由でしょう。
そんな歌詞はいずれも、大人の男の等身大の姿を、暖かい視点で描いていました。
山崎まさよしの魅力がたっぷりつまった、ハートウォーミングな作品。ともすれば、彼の最高傑作、ともいえる作品かもしれません。お勧めの作品です。
評価:★★★★★
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コメント
初めまして。
「5月の雨」は、ラブソングにも聞こえますが
実際のところは 亡くなった親しい友人の方への
レクイエムらしいですよ。
ご本人がライブでおっしゃってたそうです。
あらためて聞くと・・・なるほど~ってかんじなんですが。
このアルバム、確かに傑作だと思います。
投稿: MARI | 2009年6月19日 (金) 13時24分
>MARIさん
はじめまして!書き込みありがとうございます。
おお!そうですか。確かに、歌詞を聴いた時、ラブソングとしては、少々違和感もあったんですよ・・・すっきりしました。そう思いながら聴くと、また心に染みますね!
情報ありがとうございます。このアルバム、本当に傑作ですよね。また、遊びに来てくださいね!
投稿: ゆういち | 2009年6月19日 (金) 19時40分