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2009年6月 1日 (月)

骨太な歌詞とボーカルは文句なしなんだけど。

Title:昇れる太陽
Musician:エレファントカシマシ

昇れる太陽

エレカシのニューアルバム。とにかく宮本浩次が暴れまくっています(笑)。

宮本のガナリたてるようなボーカル。そしてなんといってもその歌詞。宮本浩次のパワーが前面に押し出されたようなアルバムになっていました。

その宮本浩次の歌詞は、ポジティブに前を向いて生きていこうというメッセージ性あふれる曲。ただ、そのメッセージはよくありがちな応援歌ではありません。あえていえば、部屋にこもっている人を、胸倉をつかんでむりやり外に連れ出すような・・・そんなパワフルな内容になっています。

冒頭の「Sky is blue」からいきなり

「魂を引きずりまわせ!」
(「Sky is blue」より 作詞 宮本浩次)

と叫びまくる宮本。

ラストの「桜の花、舞い上がる道を」も、方向性としては、よくありがちな「桜」ソング風ながらも

「桜の花、舞い上がる道をおまえと歩いて行く
輝く時は今 そして胸をはって生きていこう
桜の花、舞い上がる道を」

(「桜の花、舞い上がる道を」より 作詞 宮本浩次)

と、非常に力強く、このアルバムを締めくくっています。

そのがなりたてるボーカルと力強い歌詞に対して、メロディーは至ってポップ。宮本のボーカルのおかげで、ちょっと後ろに下がっていますが、ただ、彼のボーカルをとれば、かなりポップなメロに仕上がっています。

ここらへんは、賛否両論ありそう・・・ってのは、エレカシがブレイクして以来ずっと論点になるような話かな。個人的には、このポップなメロディーが、個性むき出しの宮本の中和剤になって、ほどよいバランスに保っている・・・と思っています。

ただ、今回の作品、そんなボーカル、歌詞、メロディーに対して、あまりに物足りなかったのがそのアレンジ。

なんというか、必要以上に音数が多く、かつ陳腐。一番多かったのが、バンドサウンドに薄くストリングスをかぶせて音の厚さを増すという、単調な手法。うーん、あくまでも歌詞やボ駆るが売りのバンドなんだから、アレンジはもっとシンプルにした方がいいと思うんですけどねぇ(苦笑)。

特に「おかみさん」などは、力強いギターリフがカッコいいナンバーだったのに、無駄な「音」があまりにも多すぎて、一気に陳腐なアレンジになっていました。他も、なんら面白みのない打ち込みの「ジョニーの彷徨」とか、あまりにチープな内容で、せっかく宮本が作り上げた世界観を台無しにしていたように感じました。

なんか、そういう意味では惜しい作品なんだよなぁ。すごく残念。次回作は、変に外部からアレンジャーを導入するよりも、エレカシだけで音を作り上げたほうがおもしろくなると思うんですけどね。とても惜しい佳作でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

after you wake up/Pay money To my Pain

こちらは逆にバンドサウンドは文句なしにカッコいい。ヘヴィーでゴリゴリのハードコアサウンドの爆音が楽しめます。ただ、その反面、メロディーがつまらない・・・。ちょっと洋楽テイストながらも、バラエティーに欠け、インパクトも不足。そのため、アルバム全体としては、似たタイプの作品が多く、音楽性の狭さを感じてしまいました。こちらも悪い作品じゃないのですが、とても惜しい、と感じさせる作品でした。

評価:★★★★

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