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2009年6月

2009年6月30日 (火)

音楽好きのためのBar

Title:Ken's Bar II
Musician:平井堅

Ken’s Bar II

平井堅が、ブレイク以前から行っている、ライブイベント「Ken's Bar」。ライブ会場を、平井堅が店長の「バー」と見立て、お酒や食事を提供しつつ、平井堅が、洋邦の名曲のカバーをお客さんに聴かせる、というスタンスのライブイベントです。

本作は、いわばCD版の「Ken's Bar」の第2弾。今回も、平井堅が、数々の名曲のカバーに挑戦しています。

しかしいまさらなのですが、このカバーのセレクションを見る限り、平井堅というミュージシャンは、本当にジャンル、時代を問わず、音楽そのものが好きなんだなぁ、ということを実感させられます。

洋楽では、スティーヴィー・ワンダーにビリー・ジョエル、イーグルス。さらにNe-Yoのカバーまで挑戦しています。邦楽では、桑田佳祐に中島みゆき、さらには浜崎あゆみまで、と音楽に壁をつくらない選曲が好感をもてます。

あえていえば、どの曲もメロディー主体。どちらかというと、インパクトの強い、ウェットなメロディーの楽曲が多いでしょうか?なによりもまず、しっかりとしたメロディーを持ったポップスが好きなんだろうなぁ、という印象を受けました。

カバーはアコースティック主体のアレンジで、あくまでも平井堅のボーカルと、元曲のメロディー、歌詞を聴かせることに主眼を置いています。まあ、元曲もバラード曲が多く、メロと歌詞を重視するうたい方をしている曲が多いだけに、「新たな発見」みたいなものは薄かったかな?ただ、浜崎あゆみの「LOVE~destiny~」は、平井堅の力のあるボーカルでしっとりと歌われると、全く印象が変わりますね(^^;;

個人的に、一番良かったかな、と思うカバーは、中島みゆきの「わかれうた」。スピッツの草野マサムネがゲストボーカルとして参加しているのですが、彼の味のあるボーカルがまた、元曲にマッチしていていいんですよ・・・・・・・って、平井堅を褒めなきゃいけないですよね(^^;;いや、でも、癖のあるマサムネのボーカルと、端正な平井堅のボーカルが実にいいバランスを保っている、名カバーに仕上がっていたと思います。

ジャーナリスティックには、最後に収録されている、美空ひばりとのデュオ「Stardust」が話題なのでしょうが、こちらはふたりのバランスがチグハグで、話題性先行といった感じでしょうか?悪くはないけど、期待するほどでは・・・。

ともかく、「Ken's Bar」の名前の通り、お酒でも飲みながら、のんびりと、彼が歌う名曲の数々に耳を傾けたいカバーアルバムでした。「Ken's Bar」、昔一度だけ行ったことあるのですが、また行きたいなぁ~。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ONE/BONNIE PINK

ONE

かなり多彩な音楽性を聴ける作品・・・まあ、要するに、ジャンルがバラバラ。ギターポップあり、ソウルあり、スカあり、ファンクあり、今風のR&Bあり・・・と、様々な音楽性を1つのアルバムに取り込んでいるんですが、それをちゃんとまとめあげて、アルバム全体に統一感を持たせているのは、根底に流れるBONNIE PINKとしての個性をしっかり維持しているからでしょうか?勢いみたいなものはありませんが、安定感があり、安心して楽しめるポップなアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

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2009年6月29日 (月)

くるりの「魂」

Title:魂のゆくえ
Musician:くるり

魂のゆくえ

くるりというミュージシャンは、いままで、アルバムごとに新たな挑戦を行い、シーンに波紋を広げてきました。前作「ワルツを踊れ」でも、ロックのリズムに、管弦楽の音を取り込むなど、ロックの可能性を切り開く音づくりをしています。

そんな彼らにとって、今回のアルバムは、ともすれば「地味」に感じられるかもしれません。

本作は、くるりにとって原点に立ち返った作品、といえるでしょう。ルーツ志向の作品が多く、派手なアレンジや、真新しい音はありません。しかし、今回のアルバム、ここに至って彼らが、自らの土台を固めるために選択した音、といえるのかもしれません。

そんなこのアルバムを聴くと、ひとつ感じることは、くるりというミュージシャンは、ソウルやブルース以上に、カントリーやフォークからの影響が強いんだなぁ、という点でした。

日本のロックバンドで、ルーツ志向というと、どちらかというとソウルやブルース、ブラックミュージック志向に偏りがちです。また、各種音楽誌や「ロックの歴史」のような書籍も、ブラックミュージックは比較的大きく取り上げるものの、カントリーやフォークについては、ほとんど取り上げません。

もちろん、くるりの音楽からも、ソウルやブルースの影響は強く感じられます。このアルバムでも、「デルタ」や、そのものズバリ「太陽のブルース」など、ブラックミュージック色の強い作品も聴くことができ、彼らのソウルやブルースからの影響も感じられます。

その一方で、カントリー調の「夜汽車」やフォーク調の「Natsuno」など、アルバム全体としては、カントリーやフォークらしい、カラリとしたポップスが目立ったような気がします。まあ、実際、いままでの彼らの作品も、カントリーやフォーク調の曲が多かったのですが、その影響をあらためて前に押し出したようなアルバムになっていました。

また、これだけ地味な作風になっているからこそ、あらためて印象深く感じられるのが、くるり岸田繁の書くメロディーの素晴らしさでした。

以前から、くるりの肝は、岸田繁の天性のメロディーセンスだと思っていました。彼の書くメロディーは、決して派手ではないものの、しっかりと耳に残るメロディーを書いてきており、なにより、勢いだとか、サビの不自然の盛り上がりとかではなく、しっかしと音の構成によって、美メロを書き上げる彼の天性の才能は、素晴らしいものがあると思っていました。

このアルバムも、そんな岸田繁の書くメロディーの素晴らしさが、全編にあふれています。「愉快なピーナッツ」「つらいことばかり」など、ポップな作品も多く、聴いた後、しっかり耳に残るメロディーが繰り広げられていました。

そして、最後に特筆しておかなければいけないのは、今回のアルバム、なにより印象的だったのが、そのピアノの音。

なんと今回、ピアノに、元筋肉少女帯の三柴理が参加!実は個人的に以前から大好きなピアニストでして、くるりのサポートに彼が参加した、というニュースを聴いた時、大喜びしました。

今回聴ける、三柴理のピアノは、筋肉少女帯の時のような、狂ったような演奏ではなく、くるりの楽曲の中にしっかり溶け込んでいます。ただ、そんなくるりの音の中でも、しっかりと個性の強いピアノの音を強調しており、思わずピアノの旋律に耳を傾けてしまうような、パワーを持っていました。

このアルバム、その内容こそ渋い雰囲気を持ったアルバムでしたが、タイトル通り、くるりの「魂」のゆくえを指し示した傑作だったと思います。今後の彼らも、ますます楽しみになってくるような、そんな作品でした。

評価:★★★★★

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2009年6月28日 (日)

聴いても、決してだまされません

Title:Kitsune Maison Vol.7

Kitsune Maison, Vol. 7

パリを拠点とし活動を続け、音楽、ファッション、アートシーンで人気を集めているクリエーター集団Kitsune。その音楽レーベルKitsuneから発売された、コンピレーションアルバム第7弾がこれ。先日、ニューアルバムがリリースされ、話題のautoKratzや、日本から、80kidzの曲も収録されています。

「最先端のクラブ系サウンド」・・・というイメージなのですが、楽曲は、テンポよく聴きやすいテクノやトランス系の曲がメイン。ポップなメロディーを聴かせてくれる歌モノも多く、エレクトロポップが好きなら、とても気に入りそうな内容になっています。

また、Phoenix「Listztomania(Classixx Version)」La Roux「In For The Kill(Lifelike Remix)」など、80年代の香りを感じるような曲も多く、クラブ系のサウンドも、時代がめぐって一回りしてきたのかなぁ・・・なんていう印象も受けました。

トランス系の「Xtatic Truth」(Crystal Fighter)や、フォーキーなメロとエレクトロのサウンドの対比がおもしろい「This Sweet Love(Prins Thomas Sneaky Edit)」(James Yuill)、パンキッシュな「Make It Reverse」(Men)に、エキゾチックな雰囲気をかもす「Bejan」(Tanlines)などなど。エレクトロをベースにしながら、バリエーションは実に豊か。Kitsuneレーベルの音楽性の幅広さを感じます。

個人的には、やはり、ロック色の強い、autoKraz「Always More(Yuksek Remix)」がよかったなぁ。最新アルバムもリリースされているので、入手してみたいです。また、既にアルバムで持っているのですが、80kidz「Miss Mars」もよかったです。日本代表として・・・なんて言い方が小さく感じられるくらい、このアルバムの中でも確固たる個性を出していました。

最先端のシーンと、そのミュージシャンたちに出会いたいのなら、うってつけの1枚でしょう。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

22 DREAMS/PAUL WELLER

22 Dreams

全英チャートで1位を獲得。相変わらずの根強い人気を誇る、イギリスロック界の「アニキ」ことPAUL WELLERの新作。

ギターロックから、ピアノバラード、アコースティックでフォーキーなナンバーにラテン風の哀愁ただようナンバーまで・・・PAUL WELLERの音楽性の広さを感じさせます。そして、そのどの曲も、いい意味で力の抜けたポップなナンバーに仕上がっていました。本当に、理想的なロック界の「アニキ」ですね。年齢相応のカッコよさと、いまだに衰えない「若さ」を感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★

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2009年6月27日 (土)

栗の季節

・・・・・・にはかなり早いですが(^^;;このたび発売された、栗コーダーカルテットのアルバムを2枚。

Title:夏から秋へ渡る橋
Musician:栗コーダーカルテッ

夏から秋へ渡る橋

こちらはライブアルバム。ゲストが多数参加しているため、幅広い作風が魅力的。栗コーダーらしい、暖かい雰囲気のライブになっています。

ただ、ゲストボーカルが参加している曲に関しては、基本的に「伴奏」にまわっている曲も多いため、栗コーダーらしさ、という点では、ちょっと後ろに下がっていたような印象を受けました。

もっとも、ゲストで参加しているシンガーも、いずれも暖かいポップソングを聴かせてくれる、魅力的な方たちばかり。心地よいポップソングが楽しめます。

特に印象的だったのは、原マスミという男性ボーカル。ちょっとシュールな世界観に、どこか歪んだメロディーは、あの「たま」を思い出したりもしたのですが、調べてみると、既に大ベテランの域にはいる方なんですね(^^;;不勉強で全く知りませんでした。

そんな思わぬ出会いも楽しめる、とても素敵なライブアルバムでした。

評価:★★★★★

そしてもう1枚が・・・

Title:渋栗
Musician:川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ

渋栗

こちらは、ちょっとユニークな企画モノ。あの、大所帯フリージャズバンド渋さ知らズオーケストラとのコラボアルバムで、栗コーダーが渋さの曲を演奏し、渋さが栗コーダーの曲を演奏する、という、ユニークなアルバムになっています。

そもそも、リコーダーのみのシンプルな演奏が持ち味の栗コーダーと、ありとあらゆる楽器を持ち出し、大所帯で爆音を繰り出す渋さとは、ある種、対極的なバンド。そんな彼らの曲を、互いにカバーする、というのは、とても面白い試みだと思います。

そして、これがなかなかおもしろい結果を生み出していまして・・・

個人的には、栗コーダーの方がおもしろかった印象を受けます。特によかったのが、渋さのおなじみのナンバー「本多工務店のテーマ」の栗コーダーによるカバー。いつもは大音量で圧倒されるナンバーなのですが、それをリコーダーだけで演奏すると・・・意外や意外、哀愁たっぷりのメロディアスでポップなメロディーが浮かび上がってきました。この曲、こんなにポップな曲だったんだ・・・。驚きのカバーでした。

一方、渋さによる栗コーダーのカバーは、悪くはないけど、ちょっと大味だったかな、という印象を受けました。ただ、それでも、その圧巻な演奏には、惹きこまれるものがあったのは事実。それぞれが、それぞれの持ち味を生かしつつ、お互いの楽曲の違った魅力を引き出していた、とてもユニークかつ有意義な企画盤だったと思います。

評価:★★★★★

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2009年6月26日 (金)

ラップの楽しさを伝える

Title:RAP MUSIC
Musician:らっぷびと

RAP MUSIC

インターネットの動画投稿サイト「ニコニコ動画」や「You Tube」などで、アニソンやゲーム音楽にラップをのせた動画などが話題となったミュージシャン。

前にも書いたとおり、個人的に、ネット発の音楽、という動向に興味があったので、そんな彼のデビューアルバムを聴いてみました。

で、これがビックリするほどポップで、いい意味で聴きやすいアルバムでした。

いままでのネット発の音楽って、どこかおたく系の匂いがしてしまっていたんですよ。

要するに、「わかる人だけにわかればいい」みたいな内向きの要素が強く、リスナー層を限定するようなアルバムがほとんど。それもそれで悪くないとは思うのですが、どこか限界も感じられてしまいました。

しかし、彼に関しては、インタビューなどでも「ラップのおもしろさを広く伝えたい」といった趣旨のことを語っていることもあり、広い層のリスナーを意識した、ポップで聴きやすいラップを綴っています。

そのため、動画投稿サイトで話題になったような、アニソンやゲーム音楽とのコラボは(著作権の関係もあるのかもしれませんが)ほとんどなし。「リンゴ日和」「Aikotoba」みたいな、メロディーメインの歌モノもあったりして、HIP HOPを聴かないリスナー層にも、抵抗なく聴ける作風に仕上げていました。

タイプとしては、HOME MADE家族やケツメイシあたりに近いものも感じます。そこらへんのミュージシャンが好きな人なら、文句なしに気に入る内容だったと思います。

ただ、あくまでもポップな作風を意識したからでしょうか、らっぷびとというミュージシャンの個性が薄くなってしまっているようにも感じました。

「ネット発」だとか「おたく系文化に興味を持っている」だとか、外枠の個性が先行してしまい、肝心の「音楽それ自体」のオリジナリティーに関しては、課題を感じてしまいました。

とはいえ、あくまでも外向きの志向で活動しようとするスタンスは頼もしい限り。そこらへんのいい意味での計算高さも含めて、今後、成長が期待できるラッパーだと思います。今後次第では、お茶の間レベルで人気を獲得できるポテンシャルもあるだけに、期待したいところです。

評価:★★★★

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あまりにも若すぎる・・・

http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200906260001.html

朝の眠気がこのニュースでぶっとびました・・・。

正直、自分くらいの世代だと、リアルタイムに知っているのは、スキャンダルネタが多くなってしまうのですが・・・

あまりにショックです。

数多くの名曲と素晴らしいダンスをありがとう。

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2009年6月25日 (木)

2人の対比はあいかわらず

Title:ブランニューピース
Musician:ホフディラン

ブランニューピース

完全復活後、2作目となる、約2年ぶりのニューアルバム。

ホフディランのアルバムって、個人的に、ワタナベイビーの曲の出来のよさが、アルバムを左右するように思います。

ユウヒの曲は、しっかりとしたメロディーで安定感があるのに対して、ワタナベイビーの曲は、勢い、インパクトの要素が強く、傑作とそうでない曲にバラつきがあるため、彼の曲の出来が、アルバムの出来を左右してしまうように感じます。

で、今回のワタナベイビーの曲の出来は「まあまあ」

そのため、アルバムの出来も「まあまあ」(笑)

あまりにもストレートなラブソング「恋はハチャメチャ」やその名の通り、カジヒデキが参加した「カジディラン」みたいに、恋する気持ちをストレートに歌ったベイビーらしい曲もあるのですが、やはりインパクトや勢いという点では、かつての勢いはありません。

一方、ユウヒの曲は、あいかわらず安定感のあるポップなギターロック。「悩める球体」など、実に彼らしい、爽快なギターサウンドを聴かせてくれます。

そんな訳で、アルバムの出来としてはポップで楽しいし、ホーンセッションを取り込んだ、底抜けに明るいポップソングあり、しんみり聴かせるナンバーあり、ハードロックテイストのナンバーありと、バラエティーも豊富。ポップスアルバムとしては十分、佳作といっていえる内容だとは思います。

ただ、ホフディランとして傑作だったか、といわれると、うーん・・・といった感じ。それなりに満足は出来る内容なのですが。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

FRIDAY,I'M IN LOVE/ROUND TABLE

FRIDAY,I’M IN LOVE

最近は、「feat.Nino」名義のアルバムの発売が続いていましたが、久しぶりのRound Table単独名義。約4年8ヶ月ぶりのニューアルバムです。Round Table名義では、もうリリースがないかと思った・・・。

爽やかなポップなのは「feat.Nino」名義と同様ですが、こちらはもっとジャジーやボッサな要素が強く、「おしゃれなポップ」という印象が強いです。ただ、以前のナンバーに比べると、メロディーはもっとベタにポップになっていたかな?ここらへん、「feat.Nino」での活動を経たからでしょうか?

もっとベタなポップ志向の「feat.Nino」名義の作品と、ジャズ、ボッサ志向の単独名義の作品。ちょうどいいバランスなのではないでしょうか?今後は、もっと短い間隔で、単独名義の作品も聴いてみたいです。

評価:★★★★

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2009年6月24日 (水)

ニュースの多いヒットチャート

今週のヒットチャートは、いろいろと「ニュース」の多いチャートとなりました。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

まずは・・・

忌野清志郎の遺作曲「Oh!RADIO」が、5位にランクイン!

先月2日、惜しまれながらこの世を去った忌野清志郎が、生前に、FM802キャンペーンソングとして書き下ろし、遺作となった「Oh!RADIO」が、このたび、忌野清志郎のボーカルによりシングル化。それが、なんとチャート5位にランクイン!ソロとしては初のベスト10ヒットとなりました。

大きくニュースになって、はじめてヒット・・・というのは、複雑な部分もあるのですが、ただ(こういう比較は少々不謹慎なのですが)葬儀の参列者数では、4万3千人と、ZARDや尾崎豊を上回ったそうなので、本来、このくらいのヒットは十分に出せるだけの影響力と人気を持ったシンガーだったといえるでしょう。

また・・・

人気アニメ「けいおん!」キャラクターソングが2位3位にランクイン

こちらも、人気アニメからのキャラクターソング「『けいおん!』イメージソング 秋山澪」が2位、「『けいおん!』イメージソング 平沢唯」が3位と、それぞれ上位にランクイン。話題となっています。

で、そんなニュースのほかにも、今週は多くのシングルがランクインしています。

まず1位はV6「スピリット」。前作に続いての1位獲得です。ただ、初動は前作の8万枚から6万4千枚に減少。ちょっと息切れ気味なのが気にかかります。

4位に南明奈のスーパーマイルドセブン「I Believe~夢を叶える魔法の言葉~」がランクイン。また、「クイズヘキサゴンII」から産まれたユニットです。なんでこんなに売れるのか、いまひとつ理解しがたい部分もあるのですが・・・ただ、この流れも、あと数ヶ月だろうなぁ・・・。

以下・・・

6位 少女S/SCANDAL
7位 Switch/mihimaruGT
8位 Faraway~星に願いを~/GACKT
10位 ∞1/Do As Infinity

と、それぞれランクイン。SCANDALは、ソニーがなりふりかまわず売ってきている、4人組ギャルバンで、アニメ「BLEACH」テーマソングのタイアップを経て、ようやくベスト10入り。ただ、Hysteric Blueといい、ZONEといい、Whiteberryといい、なんでこの手のギャルバンをソニーが必死で売り出したいのか、いまひとつ謎。ジュディマリの2匹目のドジョウを狙っているのかもしれないけど、いつまでも90年代的なバンドに拘っている点も、CD不況が続く原因だと思うんですが。

Do As Infinityって、まだいたんだ?確か、misonoがいたユニットだったよね?(←それはday after tomorrow)2005年に解散したらしいのですが、昨年、再結成したらしいです。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムも大きなニュースが・・・まずは

辻井伸行がピアニスト歴代最高位更新

先週、ベスト10入りした「debut」が2位に、辻井伸行×佐渡裕名義の「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」が、今週、ランクアップして一気に3位にランクイン。ピアニストのアルバムとしては過去最高位、クラシックのアルバムでは、最高位タイを記録したらしいです。

ニュース性があるといえ、こういうアルバムがあっさり売れちゃうところ、CD不況だといっても、音楽を欲している人は多いんじゃないかなぁ。まだ、この2枚のアルバムのヒットは続きそうです。

で、ニュースというよりも、ちょっと煽り気味の記事に、裏があるのではないか、と邪推しちゃうのが

「新たな歴史の幕開けか?初音ミク、リアルシンガーをさしおいてトップ10入り」

今週10位に、初音ミクをフューチャーした楽曲を集めたオムニバスアルバム「EXIT TUNES PRESENTS Vocalostar feat.初音ミク」がランクインしています。もっとも、初音ミクのアルバムは、既に数枚ベスト10ヒットを記録しているだけに、上の記事の「このトップ10入りは、ひとつの大きな歴史の幕開けを意味するのだ。ボーカロイド元年の始まりである。」はどう考えても煽りすぎ。

他に、今週、アルバムチャートにランクインしてきたのは・・・

5位に新垣結衣「hug」が、7位にステレオポニー「ハイド.ランジアが咲いている」がそれぞれランクイン。ステレオポニーは、これまたソニーが仕掛けているギャルバンですね。「hug」は、オリコンの名義が「初回限定盤A」。確かに他に「初回限定盤B」と「通常盤」がリリースされていますが、オリコンって、この手のバージョン違いって一緒に集計していなかったっけ?なぜ、彼女だけ別集計なの??(←未確認。違っていたらすいません)

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2009年6月23日 (火)

バラエティー富んだ作風

Title:CHRONICLE
Musician:フジファブリック

CHRONICLE(DVD付)

ついに、このアルバムで初のベスト10ヒットを記録したフジファブリック。

いつも1つのアルバムに、様々なタイプの楽曲を聴かせ、バラエティーに富んだ作風が魅力的なのですが、このアルバムに関しても、次から次へと繰り出される楽曲の数々に、彼らの持つ引き出しの多さを実感させられます。

基本的に、ギターロックがメインなのですが、テクノポップ風の「Sugar!!」、ハードロック風のギターリフが全開する「Monster」、フィードバックノイズをたっぷり聴かせる「Anthem」、ピアノバラードの「ないものねだり」など、次から次へと新しい作風の楽曲が展開してゆき、リスナーを飽きさせません。

もちろん、メロディーもポップでメロディアス。アレンジふくめて、とても楽しい雰囲気の楽曲が、多くのリスナーを惹きつける要因でしょう。

ただ・・・これは前作でも感じたのですが、今回の作品も、少々、このアレンジのバリエーションのユニークさに、頼りすぎているアルバム構成なのが気になりました。

というのは、アレンジのユニークさに比べると、メロディーのインパクト不足がやや気にかかるんですよね。アレンジの方に耳がとられて、いまひとつ、メロディーが後に残りませんでした。

また、歌詞も、別れた彼女への、ちょっと情けなくも素直な心境を描いた「同じ月」や、好きな相手への妄想全開、エロティックな歌詞の「Merry-Go-Round」のような、等身大の野郎の本音を描いた歌詞が魅力的ではあるのですが、こちらも、少々インパクト不足。もうちょっとドラマ性があったり、ドキッとするような言葉が出てこればおもしろいと思うのですが・・・。

実力はあるバンドだと思います。ポップな内容は、広い層に薦められるアルバムだと思います。ただ、そろそろ次のレベルに進んでほしいなぁ、と思ってしまいました。実力があると思うだけに、なおさら・・・。

評価:★★★★

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2009年6月22日 (月)

どこかで聴いたことある曲ばかり

Title:ゆめのうた
Musician:tobaccojuice

ゆめのうた

個人的に、以前から注目している4人組のロックバンド。デビュー当初は、雑誌などでも大きく取り上げら得たのですが、売上の面では残念ながら伸び悩んでいるみたいです。

ただ、オーガニックな香りの漂う、アコースティック風のアレンジと、ポップなメロディーのバランスが絶妙。ともすれば「おしゃれ」「スノッブ風」に走りがちな路線ながらも、それを押しとどめて、あくまでもポピュラリティーを維持している点、とても魅力を感じます。

今回のアルバムは、そんな彼らのカバーアルバム。カバーといっても、普通にヒット曲をカバーしたアルバムではなく、彼らが取り上げたのは、洋楽のスタンダードナンバー。それも、普通、ロックバンドが取り上げそうなロックの名曲や、「80年代のヒット曲」ではなく、西洋の民謡や、カントリーといったナンバーを取り上げています。

おそらく、曲名を見ただけでは、知らない曲が多いのではないでしょうか。しかし、何十年も歌い継がれている曲ばかり。それだけに、聴けばおそらく誰もが一度は聴いたことのある曲ばかりが並んでいます。

そして、それらをただ単純にカバーするのではなく、自分たちの言葉におき直して―つまり和訳して―カバーしています。そのため、原曲の良さを損なわないまま、自分たちの曲として歌い上げています。

アレンジも、アコースティック風のアレンジから、スカ風のリズムでまとめた「ザ・ローズ」、ストリングスを入れてじっくりと聴かせる「テネシーワルツ」など、ちょっとした「スパイス」的な要素も加えつつ、実に魅力的に仕上げています。

そしてラストの「ダニー・ボーイ」は、歌詞も魅力的ながら、最後は泣きのギターソロを入れてきて、曲自体でも、バンドの演奏でもしっかりと心に染み入る曲を聴かせてくれます。

暖かく、そしてポップで、誰もが楽しめる、実に魅力的なカバーアルバムでした。tobaccojuice、ちょっとユニークな名前ですが、是非、これを機に、チェックしてみてください。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Portrait~THE BEST OF Radio Caroline~/Radio Caroline

《送料無料》Radio Caroline/Portrait〜THE BEST OF Radio Caroline〜(通常盤)(CD)

残念ながら、今年3月、活動休止を発表した、元ミッシェルガンエレファントのウエノコウジ、元GYOGUN REND'SのPATCH、元THE NEATBEATの楠部真也によるバンド。

決して相性の悪い3人ではなかったものの、ミッシェルやGYOGUNの枠組みを超えられなかったのか、悪くはないものの、いまひとつインパクトに欠け、ワンパターンのアルバムが続いていました。そのため、活動休止も、ある意味バンドとしての限界を感じてのことでしょうか?

このアルバムも、ガレージパンクをメインに、パンク色が強くなったり、ポップ色が強くなったりと、彼らの模索の様子がよくわかります。全体的に勢いがあり、バンドのダイナミズムを感じる作品も多く、いい曲もたくさんあるのですが、もうひとつ、突き抜けた部分がなかったかな。メンバーの今後の活躍に期待したいところです。

評価:★★★★

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2009年6月21日 (日)

インディーズへの復帰作

Title:The Eternal
Musician:sonic youth

The Eternal

昨日、みなさんにお勧めしたthe pillows。そのthe pillowsが気に入ったのなら、次に聴いて欲しいミュージシャンが彼ら、sonic youthです。

いわゆるオルタナ系ギターロックの先駆け的なバンドで、その後に登場するギターロックバンドに多大な影響を与えた彼ら。いまだに第一線で活躍している現役のバンドで、このたび、約3年ぶりとなるニューアルバムが発売されました。

既に活動をはじめてから30年近いキャリアのある超ベテラン。にも関わらず、彼らの楽曲はいまだにパワフル。若手バンドのようなエネルギッシュなパワーにあふれています。

いきなりどしょっぱな「Sacred Tricker」から、ノイジーなギターサウンドに、パンキッシュなキム・ゴートンのシャウトでスタート。その轟音のギターサウンドに思わず鳥肌が立ってしまうような勢いのあるスタートでした。

その後も今回の作品は、比較的、パンキッシュで肉感的な作品が多いのが特徴的。「Anti-Orgasm」のようなヘヴィーな作風や、ギターリフを聴かせる「What We Know」など、ノイジーなバンドサウンドをしっかりと聴かせる作品が並んでいます。

ただ、一方では最後を締めくくる「Massage The History」のように、ギターのノイズをしっかり聴かせる、シューゲイザー系を彷彿とさせるようなインストメインの作風もあったりと、決して勢いだけではなく、しっかりとしたバンドとしての音を聴かせてくれる、というのも特筆すべきことでしょう。

また、これらの作品の後ろでは、いずれもしっかりとポップなメロディーが流れています。ノイジーなギターサウンドとポップなメロディーラインのバランスが実に心地よい作品に仕上がっています。

しばらくは、メジャーレーベルでの活動が続いていましたが、このたび、無事(?)インディーレーベルへ復帰。いつも以上に彼らのやりたいことが発揮されたアルバムといったところでしょうか。

デビューからそろそろ30年。いまだに現役として最前線で傑作をリリースする彼ら。その実力を再認識させられる作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

BEYOUND THE STANDARD/HIROMI'S SONICBLOOM

ビヨンド・スタンダード(通常盤)

ジャズピアニスト上原ひろみのスタンダードナンバー集。スタンダード・・・といっても、ジャズのスタンダードだけではなく、「上を向いて歩こう」や、ジェフ・ベックの「レッド・シューズ」等、様々なジャンルの曲にも挑戦しています。

全体的・・・特に前半はフュージョン風のギターも目立ち、ポップで聴きやすい内容になっていたと思います。ジャズリスナー以上に、ポップやロックリスナーに聴きやすい作品のように感じました。肩肘はらずに楽しめる、ポップな作品でした。

評価:★★★★

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2009年6月20日 (土)

20年目の大ブレイク

1989年の結成以来20年間。大きなヒットこそありませんでしたが、地道な活動で根強い人気を獲得してきたバンドがあります。その名もthe pillows。知る人ぞ知るバンドでした。

しかし、そんな彼らも最近は風向きがかわってきました。アニメ作品への楽曲提供や、超有名ミュージシャンが参加したトリビュート作品などといった要素もあり、その楽曲の良さが徐々に広まり、ついにベスト10ヒットを記録。さらには、武道館ライブも開催されるなど、20年目にはじめてブレイクというものを経験しています。

そんな彼らが、結成20周年を記念して、2枚のベストアルバムがリリースされました。

Title:Once upon a time in the pillows
Musician:the pillows

Once upon a time in the pillows

長らく所属した、キングレコードからリリースされたベスト盤がこちら。そして、先日移籍した、avexからリリースされたベスト盤がこちら。

Title:Rock stock&too smoking the pillows
Musician:the pillows

Rock stock & too smoking the pillows/the pillows[CD]通常盤

彼らのベスト盤、というと、8年前に「Fool on the planet」と題されたベスト盤がリリースされています。キングレコード盤は、「Fool on the planet」に収録された曲を除いて選曲されたベスト。「Smile」以降「MY FOOT」までの曲や、「Fool on the planet」以前の「隠れた名曲」も収録されています。

一方、avex盤は、彼らの代表曲も、最近のライブで披露されている、別アレンジで収録されているなど、オールタイムベスト的な様相になっています。ただ、avex時代の曲がやはり多め。また、20周年を記念した新曲「1989」も収録されています。

個人的には、キングレコード盤を買った上に、「Fool on the planet」を聴けば、ほぼthe pillowsの全てがわかるかなぁ、と思います。「Smile」から「MY FOOT」のあたりって、the pillowsがもっとも脂がのっていた時期で名曲も多く、ファンならずともおさえておきたい楽曲が並んでいるからです。

一方、avex移籍後、最近の彼らは、正直言うと、少々マンネリの影が近づいている印象を受けてしまいます。新曲「1989」にしても、名曲は名曲だと思うけど、ちょっと歌詞がパターン化しちゃっているような印象を受けちゃうんですよね・・・。

このベスト盤も、avex盤が見事ベスト10入りを記録するなど、人気の面では昇り調子の彼ら。ただ、ここ最近のマンネリ気味な部分は気にかかってしまいます。今回のアルバムで、ここ最近の曲と昔の曲を比べちゃうと、やはり差が出ちゃっているんですよね。

ただ、以前から、失速したかな、と思うと、次のアルバムでとんでもない傑作をリリースしてきていたりするので、まだまだ名曲名盤をつくってくれる!・・・と信じています。ともかく、the pillowsをまだ聴いたことない方には、是非とも聴いて欲しいベスト盤です。このサイトでも以前からよく取り上げていますが・・・これを機会に是非!!

評価:どちらも★★★★★

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2009年6月19日 (金)

バランスはよく取れているけど

Title:majestical parade
Musician:ナイトメア

majestical parade

ここ最近、すっかり復活し、ヒットシーンに定着した「ビジュアル系」。その中でも、本作がチャート3位を記録するなど、高い人気を誇っているのが彼ら、ナイトメアです。

人気のバンド、ということで、今回はじめてアルバムを聴いてみました。

まずこのアルバムで感じるのは、とてもバランス感覚のとれたアルバムだなぁ、ということでした。

ビジュアル系・・・といっても、そんなに詳しくは聴いていないのですが、個人的な感覚として、例えばDir en greyのような、ヘヴィーコアやメタルからの影響が強いヘヴィー路線のバンドと、Janne Da Arcみたいな、昔のビートロックのような、ベタベタなポップス路線のバンドがいるなぁ、という印象を受けていました。

そんな中で彼らは、「Can you do it?」「Cynical Re:actor」のような、バンドサウンドを聴かせるヘヴィーなナンバーがあるかと思えば、「MELODY」「Lost in Blue」のようなポップなナンバーもあります。

そういう意味では、幅広いリスナー層を取り込めそうな楽曲構成をとっていて、バランスの良さを感じますし、いい意味で、「売れる」タイプのバンドではないでしょうか。

ただ、その一方、ちょっと厳しいなぁと思ったのがメロディーライン。

マイナーコード主体のメロディーは、確かにポップで耳なじみはあります。ただ、ほとんど同じような雰囲気のメロディーが続くので、ちょっとワンパターンな印象を受けてしまいました。

また、どちらかというと勢いで押していく雰囲気のメロディーが多く、「これは」といったメロディーが少なく、印象が後に残りません。

「MASQUERADE」などは、歌謡曲風のメロディーを聴かせてくれて、歌謡曲とロックの融合、という路線を狙っているのかなぁ、とも思うのですが、それにしては、少々メロディーの単調さが気になりました。

悪いバンドではないけど、もうちょっとしっかりとしたメロディーを聴かせてほしいなぁ、と思ってしまいました。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

RGB/NIRGILIS

RGB

打ち込み+軽快なポップチューン。ストレートでダンサナブルなポップチューンの連続で、基本的には最後まで飽きずに楽しめるポップアルバムでした。ただ、「楽しい」というだけで、それプラスアルファに少々欠けて、物足りなさも残る印象も。

評価:★★★★

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2009年6月18日 (木)

山崎まさよしの本領発揮

Title:IN MY HOUSE
Musician:山崎まさよし

IN MY HOUSE(通常盤)

途中、カバーアルバムのリリースをはさんだものの、オリジナルとしては約3年ぶり。久しぶりとなる山崎まさよしのニューアルバムです。

それだけインターバルをはさんだのは、やはりそれだけアルバムを作りこんだ、ということなのでしょうか?山崎まさよしの魅力のつまった、傑作アルバムに仕上がっていました。

まずなんといっても、その音楽性。幅広い音楽性が、彼の持っている引き出しの多さを実感させます。

いつもながらのポップス、AORやソウル、さらにはレゲエ風の「バビロンの住人」や、バリバリのハードロック「Exit」「ロンサムライダー」などなど。他にも哀愁あふれるナンバーあり、3拍子でのんびりとした作風を作り出しているナンバーあり、ホーンセッションを取り入れたナンバーありと、1曲1曲、いろいろな顔を持ったナンバーが並んでいて、最後の最後までリスナーを飽きさせません。

それだけバリエーションを持ったアルバムにも関わらず、山崎まさよしらしさをアルバムを通じて感じられます。それは、彼が書くポップで暖かいメロディーラインが大きな要素でしょうし、もうひとつのこのアルバムの大きな魅力である歌詞が、山崎まさよしらしさを作り上げる大きな要素になっているように思いました。

このアルバムを通じて、彼のスタンスはとても前向き。ただし、それは青春パンク風な、根拠のない薄っぺらい前向きの応援歌ではありません。どこか現状に負けそうになっている、「大人」たちに、そっと後押しをするような、そんな暖かい歌詞を歌っています。

例えば1曲目「マイシューズ」では

「矛盾も不条理も抱えたまま
ひとまず今夜も Sleep

何処かで待ってるさ
あっぱれな人生が」

(「マイシューズ」より 作詞 Yamazaki Masayoshi)

という歌詞が、まさに現実の中ではなかなか上手くいかない私たちに対するエールのような歌詞になっています。

また、ラストの「Heart of Winter」では

「このありふれた世界もそんなに捨てたもんじゃないから」
(「Heart of Winter」より 作詞 山崎将義)

と、彼のスタンスが、ありのままに語られています。

包み込むような彼の歌詞は、暖かくてとても魅力的。どこか「ほっ」と出来るような歌詞の世界を作り出しています。

また、その一方、「五月の雨」のように、恋人との別れを、思い悩むスタンスも、どこか弱く情けない男の姿をチラリと見せているあたりも、彼の歌詞に大きな共感をよぶ理由でしょう。

そんな歌詞はいずれも、大人の男の等身大の姿を、暖かい視点で描いていました。

山崎まさよしの魅力がたっぷりつまった、ハートウォーミングな作品。ともすれば、彼の最高傑作、ともいえる作品かもしれません。お勧めの作品です。

評価:★★★★★

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2009年6月17日 (水)

今話題のあのピアニストが・・・

今週も表題はアルバムチャートで。

まずは今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート、1位はいろいろな意味で話題にのぼることの多い、GIRL NEXT DOOR「Infinity」が初の1位獲得となりました。初動3万枚で、前作の2万5千枚から増加傾向。ドラマ「アタシんちの男子」主題歌と、あいかわらずの好タイアップで、なんだかんだいっても、徐々にファンをつけているということでしょうか。

2位は倉木麻衣「Beautiful」。初動2万9千枚は前作からほぼ横ばい。ビミョーな感じで、似たような「売れ線狙い」タイプのミュージシャンが1位2位と並びました。どちらも、90年代のヒットチャートのビジネスモデルをそのまま引き継いでいる「ミュージシャン」。ある意味、10年以上前の商業戦略が、いまだにある程度通用しちゃって、新しいビジネスモデルを作り出せていない点が、CD不況の要因のひとつのような感じがします。

で、残り初登場5曲は、5位から10位にズラリと並んでいます。

6位 小悪魔ヘヴン/GACKT
7位 本日、満開ワタシ色!/桂ヒナギクwith白皇学院生徒会三人娘starring伊藤静with矢作紗友里&中尾衣里&浅野真澄
8位 Summer Greeting/TUBE
9位 梟-フクロウ-/Plastic Tree
10位 EASY GO/加藤和樹

このたび、スペルが大文字になったGACKTは、ソロデビュー10周年記念の4週連続リリースの第1弾。ファンクラブ限定の先行盤では、GACKT本人が女装したアップの写真がジャケット写真になり話題となりました。

7位は、テレビアニメ「ハヤテのごとく!!」エンディングテーマ。8位、TUBEがランクインしてくると、そろそろ夏だなぁという感じがしますね(笑)。ここ最近は、あまり大きなヒットはありませんが・・・。

9位Plastic Treeは、既に10年以上のキャリアを持つ、ベテランのビジュアル系バンド。おそらくシングルでは初のベスト10ヒットでは?根強い人気を誇っていたのですが、昨今のビジュアル系ブームの影響で、人気再燃といったところでしょうか?ちょっとビックリですが、まだまだ人気は伸びていきそうな予感も。

10位は、「仮面ライダーカブト」の出演などでブレイクした男性アイドル。派手なヒットはないものの、根強い固定ファンに支えられている感じです。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムは今週はニューエントリーラッシュ。10枚中8枚がベスト10に初登場となりました。

その中で1位を獲得したのが、やはり強いですね、GReeeeN「塩、コショウ」。初動45万枚は、今年発売したアルバムの中では、初動最高売上らしいです。前作が37万7千枚だったので、それを上回る好セールス。その人気を確固たるものとしています。

以下

2位 THE GREAT VACATION VOL.1~SUPER BEST OF GLAY~/GLAY
3位 VAMPS/VAMPS
4位 JOURNEY/RIP SLYME
5位 魂のゆくえ/くるり

と並んでいます。

2位GLAYは、DVDを含め5枚組のベスト盤。初回盤で6,800円という価格設定もあり、売上は厳しいのでは?と思ったのですが、それでも2位に食い込むあたり、なんだかんだいってもまだまだ根強い人気があるなぁ、と実感します。

3位VAMPSは、ラルクのHydeとOblivion dustのKAZによるプロジェクト。初動6万は、ちょっと苦戦か?

4位RIP SLYMEは、最近、ILMARIの熱愛騒動がワイドショーを賑わせてますね。ただ、肝心のアルバムの売上は、前作の初動6万9千枚から4万8千枚へダウン。もうひとふんばり、がんばってほしいところなのですが・・・。

5位くるりも、前作の初動5万3千枚から3万9千枚とダウン。ここ2作、減少傾向が続いているのが気にかかるところ。こちらも根強いファンがついているので、そろそろ横ばい傾向になると思うのですが・・・。

で、7位にはBRAHMAN「ETERNAL RECURRENCE」、9位にさだまさし「美しい朝」がそれぞれランクイン。

さだまさしのアルバム、ベスト10入りとはすごいなぁ・・・と思ったら、なにげにアルバムはコンスタントにベスト20には入ってきているんですね。彼も、その人気には、本当に根強いものがあります。

そして、今週、8位にランクアップして初登場ベスト10入りを果たしたのが、辻井伸行「debut」でした。

ご存知、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝して、大きなニュースとなった盲目のピアニストのデビュー作。今週、1万7千枚を売り上げて、一気にベスト10入りを果たしました。

クラシックのアルバムがベスト10入りというのもビックリなのですが、それほど彼のニュースが大きなインパクトを私たちにもたらした、ということなのでしょう。個人的にも正直聴いてみたいですし、このアルバムを買いに走った人たちの気持ちも、基本的にミーハーな私にはわかるような気はします。

ただ、一方で、それだけクラシック音楽に対する潜在的な需要があった、ともいえるわけで。でも、クラシック音楽を聴きたい、と思えば、「名盤ガイド」みたいな手引きは、本屋へ行けば普通に入手できるし、クラシック音楽のCDも、「名盤」といわれるものでも、千円代の安価で入手も可能なんですよね。

今回このCDを買った1万7千人の人たちの一部が、こういうニュースになったから、ではなく、もう一歩踏み出して、自分からいい音楽を求めに少しだけ進み出せば、もっともっとクラシック音楽を含めた、音楽シーンにも活気が生まれると思うんですよね。なんか、こういうニュースになった時しか音楽を聴かない、としたら、それはそれでちょっと寂しいなぁ・・・なんてことも感じてしまいました。

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2009年6月16日 (火)

カバーアルバムのヒットで、人気復活

Title:WE ALL
Musician:徳永英明

WE ALL

カヴァーアルバム「VOCALIST」シリーズが大ヒットを記録。一時期は完全に「過去の人」になってしまっていたのですが、これを機に大復活。オリジナルとしては、4年7ヶ月ぶりとなるこの作品は、なんとヒットチャート1位を記録するなど、大ヒットを記録しています。

ただ、カヴァーアルバムという企画モノでの人気復活、ということもあって、楽曲の勢いが全盛期に戻ったか・・・と言われると、非常にビミョーな仕上がりになっています。

まずその内容。過半数がバラードになっています。

まあ、徳永英明といえば、その美声が大きな魅力。実際、今回の復活劇も、その美声ゆえの復活という側面が少なくありません。そういう意味では、その美声を最大限発揮できるバラード中心の構成、というのは、悪い選択肢ではないでしょう。

ただバラード中心の構成だと、どうしてもメロディーの出来が、アルバムの内容を大きく左右してしまいます。今回のバラード、そのメロディーの出来も決して悪くはありません。

しかし、どこか全盛期の徳永英明の楽曲をなぞったような雰囲気が目立ちました。それはそれでかつてのファンとしては安心して聴けるのかもしれません。でも、正直、熱烈なファンじゃない身としては、マンネリと映ってしまいました。

決して悪くはないのですが、かつての全盛期の徳永英明の、縮小再生産という印象が否めないアルバムになっていました。このレベルの内容の作品が続くと、正直、この人気を維持するのは難しいような気がするなぁ。バラードにばかり頼るのではなく、今だからこそ歌える、新しい徳永英明という曲を聴いてみたいです。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

少年メリケンサックオリジナルサウンドトラック

宮藤勘九郎監督/脚本、宮崎あおい主演で話題となった映画のサウンドトラック。もともと音楽を題材にした映画で、かつクドカン監督、ということもあって、ユーモアな楽曲が並んでいます。電気グルーヴっぽいテクノチューンあり、パワーポップ系のギターロックバンドや、弾き語りフォーク系ミュージシャンの楽曲をパロッたような曲あり。最後は向井秀徳と峯田和伸の「守ってあげたい」のアコースティックカバーありと、かなりユニークな内容になっています。

まあ、それだけに通して聴くと、その内容はバラバラだし、映画の「効果音」的なサウンドまで収録されているので、アルバムとして聴くのはちょっと辛いかも。ただ、音楽を担当している向井秀徳のファンは聴いて損はない内容かもしれません。映画自体は見ていないのですが・・・ユーモアセンスあふれる曲がいろいろと入った、何気に楽しいアルバムでした。

評価:★★★★

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2009年6月15日 (月)

若さあふれる

Title:BUFFALO SOUL
Musician:a flood of circle

BUFFALO SOUL

若いなぁ・・・・・・

・・・と、前作と全く同じ感想を抱いてしまった(笑)、a flood of circleのニューアルバム。

でも、若々しいボーカルももちろん、ひたむきにブルース色の強いガレージパンクを奏でるその姿勢も、若さゆえの純粋さと、勢いを感じさせるのは本作も同様でした。

また、歌詞も、未来への希望を信じる前向きの歌詞が多く、こういう点にも若さを感じさせます。特に、「ぶっ壊しに行こうぜ」とあまりにもストレートに歌い上げる「Thunderbolt」は、ある種の恐れを知らない彼らのスタイルが、大きな魅力にも感じられました。

ただ、その一方、初のフルアルバム、とはいえ、ミニアルバムを含めるとメジャーで3枚目。そろそろ純粋な若さだけでは、次に進めないのではないか、とも思えてしまいました。

ミッシェル・ガン・エレファントからの影響を強く感じる作風には、やはりあと一歩の個性が欲しいところですし。

前半がガレージパンク、後半はオルタナ系ギターロック色というスタイルも、前作と同じ。パターン化されてしまって、楽曲のバリエーションに心もとなさを感じてしまいますし。

前作でも未熟さは感じていたのですが、本作でも、その未熟さは同様。その未熟さも、魅力・・・ともいえなくはないのですが、やはりそろそろいま一歩、次の段階へ脱皮してほしいかなぁ、なんてことも感じてしまいました。

次回作あたりが、このまま、「よくありがちなロックバンド」に終わるのか、さらに一歩前に進み出るのかを分ける、勝負作になりそうな予感も。乗り越えるべき壁はあと少し、だと思うんですけどね。次回作、期待したいところです。

評価:★★★★

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2009年6月14日 (日)

ストーンズへの敬愛が伝わる

Title:NEW STONE AGE
Musician:ドン・マツオ

NEW STONE AGE

ズボンズのドン・マツオによる2枚目のソロアルバム。なのですが、今回は、ズボンズのメンバーもレコーディングに参加。さながら、ズボンズの新作ともいえるような作品になっています。

じゃあ、そこで、ズボンズのソロとの違いは何か、ということが問題になります。

それはやはり、ドン・マツオの個性が、より強くあらわれている、という点でしょう。

それはなにか、と問われると、間違いなく、

ストーンズへの愛情・・・ということになりそうです。

まず、タイトルからして、「NEW STONE AGE」・・・そのままですし、一番端的にあらわれたのが、その名も「Bill Wyman We Miss You」

91年に脱退した、ストーンズのオリジナルメンバー、ビル・ワイマンへの愛情を、ポエトリーリーディングという形で淡々と綴った作品をつくりあげています。

他も、全体的に、ストーンズ風といったらいいでしょうか、ブルージーな雰囲気のロックンロールが多く収録されています。また、Muddy Watersの「Mannish Boy」のカバーに挑戦するなど、こちらは完全にブルース。さらにこのカバーもストーンズによるカバーもおなじみのナンバーなだけに、選曲にもストーンズへの愛情を感じられます。

一方、「Chibi No Sad Boy」では、カントリー風のサウンドを入れたり、インプロビゼーション風のアレンジを入れてみたりと、こちらも60年代後半のロックへの愛情を感じさせるナンバーになっています。

まさにストーンズを筆頭とする、60年代の、古き良きロックの時代への敬愛が、色濃く感じられるアルバムでした。

その分、ズボンズらしいファンキーな要素はちょっと薄いのですが、申し分ないロックンロールのグルーヴを奏でているバンドサウンドが実に魅力的。ブルージーなギターが、絶妙な哀愁を漂わせ、渋みのあるロックンロールナンバーを聴かせてくれています。

ドン・マツオのやりたいことを存分に自由にやっているだけあって、文句なしの傑作。ズボンズのファンのみならず、ロックンロールが好きなら、絶対に楽しめる内容になっています。お勧めです。

評価:★★★★★

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2009年6月13日 (土)

ユーモアの中に、チクリと皮肉を

Title:11
Musician:スチャダラパー

11

スチャダラパーのオリジナルとしては、約2年半ぶりとなる新作。

スチャダラ、といえばポップでダンサナブルなラップが魅力的なユニット・・・という感覚でこの作品を聴くと、今回のアルバム、特に前半に関しては比較的ハードな内容。軽快でポップで・・・というイメージとはちょっと異なった印象を受けました。

後半になると、木村カエラをボーカルに迎えた、ポップでロック風のアレンジが魅力的な「Hey!Hey!Alright」や、「Good Old Future」など、ポップな作品も多いのですが、ここらへんの作品にしても、強いビートが特徴的で、決して耳障りがよくて軽快で、という訳ではありません。

また、今回のアルバム、現代社会に対する皮肉をチクリ、歌詞に含ませた作品が目立ちました。

「エコ」を唱えながらも、経済活動を推進する企業を痛烈に皮肉った「Antenna of the Empire」や、規制の中、思考停止に陥りがちな社会に警鐘を鳴らす「ベカラズ」など・・・

・・・って書くと、かなり堅そうな印象を受けるのですが、彼らはこの内容を、決して大上段から歌い上げているわけではありません。

あくまでもユーモアたっぷりの歌詞の中、強烈な毒のような社会風刺をチラリと入れる、それが彼らのやり方。これらの曲に関しても、そんなユーモラスな作風に仕上がっています。

まあ、ただユーモアたっぷりといっても、今回の作品、あくまでも比較論なのですが、スチャダラの作品としては、少々ハードな側面が出ていたかな、という印象を受けました。

もちろん、ウィットの富んだ社会風刺を繰り広げる歌詞といい、ポップなメロディーといい、彼らの魅力もしっかりつまった作品。アレンジの面でも歌詞の面でも、スチャダラパーの主張が、より前に出てきたアルバムだと思います。

評価:★★★★

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2009年6月12日 (金)

Diggy-Mo'の志向がより強く

Title:Diggyism
Musician:Diggy-Mo'

Diggyism

SOUL'd OUTのMCによる、初のソロアルバム。

ソロアルバム、というと、グループとしての作品と比べて、どのような違いを出してくのか、とうのが大きなポイントとなります。そんな中で、結局グループとかわらない内容の作品をリリースしたり、逆にグループの音楽性から大きく離れた作品をリリースするミュージシャンも少なくありません。

しかし、今回のDiggy-Mo'のソロアルバムは、SOUL'd OUTの楽曲の雰囲気そのままに、Diggy-Mo'の嗜好を、より強く打ち出した作品になっています。

つまり、このソロアルバムを聴くことにより、Diggy-Mo'は、SOUL'd OUTの中で、どのような方向性を目指していきたいのか、ということが、よりわかる内容になっていました。

具体的に言うと、この作品の前半は、歌謡曲という色彩が、よりはっきりとあらわれた、「歌モノ」の作品になっています。

先行シングルにもなった「爆走夢歌」「ZAZA」など、ともすれば泥臭さすら感じられる、メロディーが貫かれた作品になっており、ある意味、「歌謡曲とラップのミクスチャー」ともいえるような内容になっています。

ここらへん、Diggy-Mo'自身、サザンオールスターズやMr.Childrenなど、邦楽からの影響を強く受けており、邦楽の歌謡性を嗜好している点を、強く感じさせます。

一方で後半は、ジャズピアノを取り入れた「Beladon'」やエレクトロサウンドを取り入れた「NOSTALJANE」「hurtt」など、凝ったサウンドメイキングを聴かせてくれる一方、マシンガンのようなラップを組み立て、いかにラップでリズムを作り出すか、といったような作風を感じ取れます。

どこか彼自身、ラップを使った「実験」ともとれるこれらの作品は、SOUL'd OUTの今後の可能性を占う作品ともいえるかもしれません。

また、LISAをボーカルに迎えた「FIRE WOO FOO FOO」は、m-floを思い出させるような軽快なクラブ風のR&Bを聴かせてくれたり、ホーンを取り込んだ軽快な作風の「La La FUN」を聴かせてくれたりと、様々な作風にも挑戦していました。

SOUL'd OUTより、特に前半、より歌謡曲風味を増したため、少々抵抗を感じる人もいるかもしれません。ただ、SOUL'd OUTらしいポピュラリティーそのままに、Diggy-Mo'としての個性をしっかり出している、とてもよく出来たソロアルバムだと思います。

この作品を土台に、次はSOUL'd OUTとしての久しぶりの新作を、期待しています!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

What's a Wonderful World! vol.2/オレスカバンド

アメリカでの活動も目立つ、6人組ガールズバンド。昨年リリースしたミニアルバムの第2弾。ジャンル的には「スカバンド」で、一応、スカの要素も取り入れているのですが、スカよりもロック志向を強く感じさせます。「Bouquet」など、ハードなギターサウンドも魅力的です。

ただ、全体的には軽快なポップチューンがメイン。特にラストで、アルバムタイトルにもなっている「What a Wonderful World」は、アルバムのラストを締めくくるにふさわしい、アップテンポで踊りだしたくなるようなナンバー。ちょっとボリュームの薄さと、楽曲のバリエーションの少なさが少々気になりましたが、短い内容もあり最後までウキウキしながら楽しめるような、ポップな作品でした。

評価:★★★★

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2009年6月11日 (木)

極上のポップスアルバム

今日、紹介するのは、決して派手さはないし、ヒットチャートを賑わすタイプの曲ではないけど、しっかり聴かせる美しくも印象に残るメロディーが耳に残る、極上のポップスアルバム2枚です。

まずは・・・

Title:palette
Musician:大貫妙子

palette

大貫妙子の楽曲のうち、人気の高い曲、知名度の高い曲をあつめたセレクションアルバム。

で、この作品にも収録されていて、私くらいの30代前半の世代にとっては懐かしいのが、この曲

懐かしい~。「みんなのうた」ですね。なんか、こういう映像が、YouTubeあされば簡単に見れるって、いい時代になったなぁ、なんて思ってしまいます。

微妙に不気味な曲調やアレンジ、そして、ユーモラスながら同じく不思議な雰囲気の歌詞。クレーアニメとともに、妙な印象を残しています。

この曲に限らず、どこかファンタジックで幻想的。かつ、不思議な雰囲気をかもしだしている曲もこのアルバムには多く収録されています。ここらへんが、大貫妙子の個性を作り出している印象を受けました。

また一方、メロディーやアレンジの面でもAORやジャジー、かと思えばテクノポップやエレクトロニカと、音楽のジャンルに壁をつくらない、幅広い興味が見て取れてこちらも魅力的。

全体的に、少し不思議な雰囲気を出しつつも、心地よいポップスが展開される、素敵なアルバムでした。あまりヒットチャートによく顔を出すタイプのミュージシャンじゃないので、あまり聴いたことない、という方も多い(・・・というか、私もですが(^^;;)かもしれませんが、そういう方にこそピッタリなセレクション盤でした。

評価:★★★★★

そしてもう1枚。最近、話題のミュージシャンです。

Title:A BIRD
Musician:大橋トリオ

A BIRD

「トリオ」といっても、大橋好規のソロユニット。最近では、前作がCDショップ大賞の準大賞を受賞するなど、話題となっています。

ジャズやボッサ、AORなどの影響を見て取れる、アコースティックなポップソング。こちらも決して派手ではないものの、聴けば聴くほど味が出るような、美メロが魅力的なミュージシャンです。

インパクトが薄いので、シングル単位のヒットは難しいかもしれませんが、アルバム単位で、口コミベースで広がり、徐々に売れていきそうな予感がします。ポップス好きにはお勧めしたい1枚。心地よいサウンドがとても魅力的でした。

評価:★★★★★

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2009年6月10日 (水)

41年目にして初の快挙・・・だそうです。

表題はアルバムチャートで。

まずは今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、久しぶりにチャートの谷間。ベスト10のうち初登場がわずか4曲というチャートとなりました。

そんな中で1位を獲得したのが、YUI「again」。活動休止後初・・・といっても、約1年ぶりのニューシングル、って、それ仰々しく「活動休止」というほどのインターバルか??ただ、初動売上11万枚は自己最高らしく、好調な滑り出しとなっています。

続く初登場は4位Berryz工房「青春バスガイド」。初動2万9千枚で、前作の2万4千枚から微増。微妙な増加なのですが、その理由が、前作が初回盤or通常盤だったのに対して、本作では、初回盤が2パターンに増えた・・・なのかなぁ、やはり??(^^;;

そして5位には、9mm Parabellum Bullet「Black Market Blues e.p.」が見事ランクインです。アルバムではチャート2位を経験していますが、シングルでは、初のベスト10ヒットとなります。売上枚数も、前作の初動1万1千枚から1万7千枚にアップ。順調に人気を伸ばしています。

初登場最後は、7位の腐男熟「勝つんだ!」。「おたく」であることを売りにしている女性アイドルユニット中野腐女子シスターズの男装別名ユニット・・・だそうで、男性に受けているのか、女性に受けているのか、いまひとつわかりにくいユニットだなぁ。アニメ「ヤッターマン!」のエンディングテーマということもあって、ベスト10ヒットとなりました。

で、作詞作曲の「はなわ」って、あの「佐賀県」のはなわかよ!まだがんばっていたんだ・・・ちょっとビックリ。

また今週は、このほかに、JUJU「明日がくるなら」が、先週13位から9位にランクアップ。再度ベスト10ヒットを果たし、ロングヒットの様相を見せています。今後、この勢いがどれだけ伸びるか注目したいところでしょう。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

で、冒頭に書いたお話。

今週1位は、水樹奈々「ULTIMATE DIAMOND」が、初動7万4千枚で、見事1位となりました。

水樹奈々は絶大な人気を誇る声優さんなのですが、声優のアルバムが1位を獲得するのは、オリコン史上はじめての快挙だそうです。初動売上も、前作の4万3千枚から大幅アップしており、その人気の勢いをうかがわせます。

声優初のアルバム1位というのは、素直にすごいといったところ。ただ、声優アイドルの活躍はかなり以前から続いて、アニメ系の作品の1位は珍しくないために、いまさらはじめての1位というのは、ちょっと意外な感じもしました。

なお、アニメ系といえば、今週9位に「ヘタリア ドラマCD vol.2」がランクインしています。

また、今週は洋楽のアルバムも2枚ランクイン。2位にBlack Eyed Peas「The E.N.D.」が、8位にRANCID「Let The Dominoes Fall」が、それぞれランクインです。

Black Eyes Peasは、2位初登場は大健闘。初動売上も5万3千枚と、前作「Monkey Buisiness」の、初登場3位、初動売上4万8千枚を上回る結果に。世界的に人気のミュージシャンですが、日本での人気も確固たるものにしてきています。

そしてそして、やはり大注目なのが、7位にランクインしてきたthe pillowsのベストアルバム「Rock star&too smoking the pillows」!アルバムでは初のベスト10ヒットとなりました。

デビュー20周年を記念してリリースされたベストアルバム。こちらは、現在所属しているavexからリリースされたベスト盤で、かつてのレコード会社、KING RECORDからも「Once upon a time in the pillows」も同時に発売。こちらも今週14位にランクインしています。

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2009年6月 9日 (火)

歌謡曲とロックの狭間で?

Title:THE WORLD'S EDGE
Musician:DOES

The World’s Edge

至って正統派のオルタナ系のバンドサウンドと、歌謡曲的ともいえるポップなメロディーが特徴的。

好意的にとれば、日本的な歌謡曲風のメロディーと、西洋的なロックサウンドを融合させた・・・と取れないことはないですし、事実、そこを狙っているのかもしれません。

実際、THE YELLOW MONKEYあたりを思い出すような、ちょっと妖しげなメロディーラインを聴かせたり、「夏の散歩道」のような、叙情的な歌詞を書いてくるあたり、「日本におけるロック」みたいなものを意識しているのかもしれません。

ただ、それにしてはあまりにもメロディーにひねりがないんだよなぁ。ポップで耳なじみやすいのはいいとして、彼らだけが持っている「個性」みたいなものはメロディーからは感じられません。

バンドサウンドも、しっかりとバンドの音は鳴っているけど、こちらも特にひねりがなくて、DOESらしさ、というものは感じられません。ポップで耳なじみやすく、そこそこカッコいいロックの音は奏でているけど、プラスアルファがないなぁ、という印象で終わってしまっています。

光る部分もあるにはあるんですが・・・ちょっとこれだと厳しいかも。もっと、歌謡曲とロックの融合を目指すのなら、大胆に勝負してほしいかも。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

I KILL MY HEART/Tommy Heavenly6

Tommy Heavenly6もかなりマンネリ気味。もちろんポップでキュートなメロディーラインや、それと対極のようなヘヴィーなサウンドは魅力的なんだけども、バリエーションがあまりにも少ないんだよね。

まあ、確かに、もっとオルタナ色を入れるとブリグリになっちゃうし、ポップ色を強めると、トミフェブになっちゃうし、と、かなりその音楽性が制限された中での活動になっちゃうんで、マンネリ化も仕方ないといえば仕方ないんだけど、だからこそ、この企画はそろそろ手仕舞いなんじゃないかな?

評価:★★★★

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2009年6月 8日 (月)

裏バンドブーム?

Title:バンドブームとかそのころロック!

バンドブームとかそのころロック!

先日まで紹介してきた「ザ・ベストテン」のコンピレーション。そんな歌謡曲全盛期が終わると、次に登場してきたのがいわゆるバンドブームでした。

ただ、私自身、「ザ・ベストテン」と同様、バンドブームに関しても、リアルタイムで聴いていたか、といわれると微妙な世代。同じ世代でも人によってはバンドブームの真っ最中に、ポップソングを聴き始めたという方もいるでしょう。私自身、かつてはまっていたLINDBERGも、広い意味で、バンドブームの最末期に出てきたバンド、という見方も出来るかもしれません。でも、「イカ天」やら「ホコ天」やらが話題になったころは、もう物心がついていたとはいえ、その手のロックバンドは、ほとんど聴いていませんでした。

そういう意味では、「ザ・ベストテン」の時と同様、あくまでも後付の知識での「感想」ということになるのですが・・・

この作品は、筋肉少女帯の大槻ケンジが選曲した、バンドブームの頃に活躍したバンドのオムニバスアルバム。

なので、「バンドブームのバンド」といっても、BOOWYやブルーハーツのように、バンドブームの中心にいたバンドは収録されず、完全にインディー系のバンドを中心としたセレクションとなっています。

バンドブームっていうと、私が音楽を聴き始めた90年代後半の頃って、どちらかというとすぎさったブームで、評価が低かったように思います。また、現在でも、バンドブームでデビューした個々のバンドの評価は高くても、バンドブームという言葉は、文脈の中で、否定的な意味合いでつかわれることが多いように感じます。

でも、バンドブームは玉石混合で、リアルタイムではつまんないバンドもたくさん出ていたんだろうなぁ、と思いつつも、このアルバムに収録されているバンドは、めちゃくちゃカッコいいバンドばかりなんですよね。バンドブームって、実は日本のロックシーンが、もっとも勢いあった時代なんじゃないのか?なんてことすら思ったりしてしまいます。

実際、バンドの音楽性のバリエーションも豊富。有頂天のようなニューウェーブ、筋肉少女帯のようなハードコア、Jitterin' JinnのようなスカパンクにLA-PPISHのようなレゲエ、FLYING KIDSようなソウル・・・その後のビーイングブームやら小室系ブーム、あるいはその後の青春パンク系のブームなんかより、よっぽど面白くて、かつ、後の世代に影響を与えているバンドがたくさん誕生しています。

どのバンドも発想も自由だし、楽曲も実にユニーク。実に個性的です。そのあまりの個性の強さゆえ、たまをはじめとして一部、誤解を受けてしまったバンドも多いのですが、そういう面も含めて、いままでのヒットシーンにはおさまりきらないミュージシャンが多かったんだなぁ、ということを感じさせます。

別にこの時代が今のシーンに比べて単純に素晴らしい・・・という安直な懐古趣味に走るつもりはありません。ただ、この過剰な個性は、ともすれば似たようなスタイルで、似たジャンルの曲が多い最近のバンドにも見習って欲しいなぁ・・・とも思います。

というか、日本に限らず、無難にまとまっているミュージシャンが最近は多すぎるような感じもしますしね。ビジュアル系ですら、この時期に比べると、メイクはかなりおとなしくなっちゃってるし。

これは完全な推測にすぎないのですが、レコードの売上が伸び悩んでいる現在、ここに登場しているような、過剰に個性的なバンドを受け入れる余裕が、今のシーンにはないってことなのかなぁ。

ともかく。

ちょっとつらつらと思うことを書き並べただけの感想になってしまったのですが。

今聴いてもユニークで、かつカッコいいバンドが多く収録されているアルバム。バンドブームの・・・というよりも、バンドブームを裏側から支えたようなバンドの名曲が収録されたコンピ。リアルタイムでファンだった方はもちろん、あの頃のバンドといえば、BOOWYやブルハしか聴いていなかったような方や、私みたいにバンドブームをリアルで経験していない方にも是非聴いて欲しい、絶好のオムニバスアルバムだと思います。

評価:★★★★★

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2009年6月 7日 (日)

歌謡曲 華やかなりしころ その2

昨日に続き、「ザ・ベストテン」コンピレーションのお話。今日は、6枚それぞれの感想をば。

ザ・ベストテン 1980-81

Title:1978-79

ピンクレディーとかキャンディーズとか山口百恵とか桜田淳子とか。時代的には、「ザ・ベストテン」全盛期のアイドル歌手より、一世代前って感じでしょうか?ただ、昨日も書いたとおり、このあたりがむしろ歌謡曲全盛期。

この時期は、アリスとかゴダイゴとか、むしろニューミュージック系の方が、様式化しちゃっている部分があって、今で言えば「歌謡曲っぽい」んですよね。アイドル歌謡曲と、地位が逆転しちゃっているという感じ。

ただ、ニューミュージック系も含めて、インパクトの強い曲が多いなぁ。「UFO」といい「関白宣言」といい「チャンピオン」といい、曲の良し悪し以前に強烈な個性を放つ曲が多いような印象を受けます。そういう点も含めて、歌謡曲全盛期をそのまま反映している作品ですね。

でも、とりあえず昨年話題になった水谷豊は、歌わないほうがいいと思う。

評価:★★★★

Title:1980-1981

田原俊彦に近藤真彦、松田聖子に河合奈保子と、ベストテン全盛期に突入といった感じでしょうか?一方、山口百恵の事実上のラストシングル「さよならの向こう側」を同時に収録している点、世代交代を強く意識させるような選曲になっています。

また、ちょっとおもしろいのがイモ欽トリオの「ハイスクールララバイ」。細野晴臣作曲・アレンジのテクノポップで、YMO人気を反映しているのが、これまた時代を感じさせます。

個人的には、「贈る言葉」やら「昴」やら「セーラー服と機関銃」やら「ランナウェイ」やら、結構好きなんですよね~。インパクトの強さは「1978-79」ですが、邦楽のスタンダードナンバーという点では、こちらの方が名曲が並んでいたかな?

評価:★★★★

ザ・ベストテン 1982-1983

Title:1982-83

あいかわらずアイドル歌謡曲全盛期ながらも、前作に比べると、少々インパクトという面で薄くなってきてしまった感もあります。それでも「赤いスイートピー」「時をかける少女」などのスタンダードナンバーが発表されたのもこの時期。

忌野清志郎&坂本龍一の「い・け・な・いルージュマジック」が収録されている点もポイント。時期が時期だけに、思わずしんみりしてしまいそうですが・・・。ただこの時代、華やかな歌謡曲の後ろで、脈々と勢いづいていたのが、RCサクセションやYMOといった、次の時代を形作るバンドたち。そんな、「ザ・ベストテン」的な歌謡曲とは異なる、ヒットシーンの潮流が、ほんの少しだけ「ザ・ベストテン」にも顔をのぞかしています。

評価:★★★★

Title:「1984-85」

「ザ・ベストテン」自体は1989年まで放送されていたのですが、オムニバスは1985年まで。ちょうどこの時期から、アイドル歌謡曲がすたれはじめ、バンドブームがはじまるのですが、それを象徴するような内容。純粋なアイドル歌謡曲がわずか7曲なのに対して、中村あゆみやレベッカ、安全地帯などの、ロック系ミュージシャンが急増しています。

また、チェッカーズや吉川晃司のように、アイドルとミュージシャンの中間あたりを狙ったミュージシャンも見受けられ、ここらへんも、新しい時代への幕開けを感じられます。

特にラストが、まさにバンドブームの先駆けともいえるレベッカの「フレンズ」で締めくくるあたり、アイドル歌謡曲からバンドブームへの流れを明確に意識した選曲なんでしょうね。そいう意味では、いろいろとよく考えられた選曲になっているな、このコンピレーション。

評価:★★★★

ザ・ベストテン 歌謡曲編(1978~85)

Title:歌謡曲編 1978-85

個人的に、この時代の歌謡曲の遍歴をあらわしているなぁ、と思ったのがこの歌謡曲編。ムード歌謡曲と演歌が収録されているのですが、この時期のムード歌謡曲や演歌って、完全に様式化しちゃった今の演歌と違って、メロディーが素直にいい曲が多いんですよね。「氷雨」とか「みちのくひとり旅」とか、一度聴いたらすぐ覚えられるようなメロディーで、しんみりと聴き入ってしまう名曲ですよね。

ただ一方、その後の演歌冬の時代を彷彿とさせるような、完全に様式化しちゃった演歌も少なくなく、「夢追い酒」とか「奥飛騨慕情」とか、もう、完全にド演歌ですね。こういう演歌やムード歌謡曲が様式化、パターン化するにつれ、徐々に時代から遅れていってしまったんでしょうね。

そして、このオムニバスがユニークだったのが、最後にとんねるずによる「雨の西麻布」が収録されている点。ある意味、ムード歌謡曲をパターン化してパロったこの作品は、様式化して、没落していくムード歌謡曲、演歌を皮肉っているようにも感じます。作詞が、これまた、アイドル歌謡曲を完全に素人化してしまって、その後のアイドル冬の時代の原因をつくりだした秋元康という点もまた、皮肉的。これを「歌謡曲編」の最後にもってくる点、狙っていたのか偶然なのか・・・。ともかく、歌謡曲の隆盛と衰退を象徴するような内容でした。

評価:★★★★

Title:スポットライト編 1978-85

売れて何ぼの歌謡曲を、これまたレコード会社がプッシュしているにも関わらず、あまり売れなかった曲たち・・・ということで、他のコンピレーションに比べると、その内容はどうしても一段落ちてしまいます。

いや、決して駄作ばかりじゃないんですが、あれだけ個性の強かった時代に、この曲たちはあまりに薄味・・・。なんとなく、なんで売れなかったのかが、わかってしまいます。

評価:★★★

こうやって、あらためて眺めると、70年代後半の歌謡曲の、個性の強かったこと強かったこと・・・。まあ、ある意味「個性重視」で、音楽性という面ではどうなんだろう、と思わなくもないんですが、逆にシーンを活性化するためには、とにかく個性第一の曲が必要なのかなぁ、とも思ってしまいました。

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2009年6月 6日 (土)

歌謡曲 華やかなりしころ

Title:ザ・ベストテン

ザ・ベストテン 1978-1979

1978年から1989年、足掛け11年にわたって放送され、最高視聴率が40%を超えたお化け番組「ザ・ベストテン」。ある世代以上の方なら、毎週、テレビの前で楽しみにこの番組を見ていた、という方も多いのではないでしょうか。

今回、この番組でベストテン入りし、ヒットした楽曲を集めたコンピレーションアルバムが発売されました。年代別に「1978-79」「1980-81」「1982-83」「1984-85」の4枚と、演歌・ムード歌謡曲を中心にあつめた「歌謡曲編」、ベストテン入り直前の曲を紹介したスポットライトのコーナーで取り上げた「スポットライト編」の計6枚のアルバムが同時にリリースされています。

これに、「ザ・ベストテンのテーマ」、「ミラーゲートのテーマ」、「スポットライト編」では「スポットライトのテーマ」、さらに番組の最後に撮られた集合写真のシャッター音の効果音を最後に入れて、CD全体で、「ザ・ベストテン」を思い出すような内容。これに「ザ・ベストテン」をリアルタイムに見た世代が反応し、好調な売上を見せているようです。

ただ、内容的には企画の勝利というか、少々ボッタクリ気味というか・・・(^^;;80年代のヒット曲を集めたこの手のコンピレーションは、それこそ深夜の通販などでも、もっと安く販売してそうな代物ですし、歌詞カードに関係者のインタビューやコラムが掲載されているのですが、たった2ページの薄っぺらい内容。正直、コンピレーションとしてはあまりよく出来た内容とは思えません。

それでも今回聴いてみたのは、私が「ザ・ベストテン」世代だったから・・・・・・ではないんですよね。はっきりいって、「ザ・ベストテン」ほとんど見た記憶がありません。なので全く思いいれもありません。今回聴いてみたのは、単純に70年代から80年代のヒット曲を聴いてみたかったから。それだけ。

青春歌年鑑 1979

実はちょっと前から、「過去のヒット曲」をあさって聴いていまして、いままでは主に、邦楽に関しては、「青春歌年鑑シリーズ」で戦前から80年代までのヒット曲を一通り聴いてみました。今回のシリーズ、収録曲はかぶる部分もかなりあるのですが、あらためて、今回のコンピレーションで、この時代のヒット曲を聴いてみたわけです。

この「青春歌年鑑シリーズ」で、編年的にヒット曲を聴いていると、時期によって、名曲が多く生み出され、シーン全体に勢いのあった時期と、似たタイプ、パターン化された曲が増え、シーンがつまらなくなった時期が繰り返し訪れていることに気がつきます。

そんな日本のヒットシーンがおもしろかった時期が、まず60年代後半。ビートルズや、その後の欧米でのロック全盛を受け、日本でもGSからフォークへと、実力のあるミュージシャンたちがたくさんあらわれた時代でした。

そして、その後、シーンがおもしろくなるのが70年代後半から80年代初頭にかけて・・・そう、ちょうど「ザ・ベストテン」がスタートした時期。「ザ・ベストテン」があれだけ人気があった背景には、この頃、数多くの名曲がヒットシーンに産み出されたから、なのではないでしょうか。

では、なぜこの時期、ヒットシーンが活気付いたのでしょうか?

これはあくまでも個人的な推測なのですが、60年代後半の、ビートルズをはじめとする全盛期の欧米のロックに強く影響を受けた人たちが、作曲家として花開き、かつもっとも脂がのっていた時期だったから、ではないでしょうか。

例えば、
都倉俊一(作品「UFO」他)・・・1946年生まれ
井上大輔(作品「ランナウェイ」他)・・・1941年生まれ
筒美京平(作品「ギンギラギンにさりげなく」他)・・・1940年生まれ
小田裕一郎(作品「青い珊瑚礁」他)・・・1950年生まれ

・・・・・・と、だいたい60年代に青春期を迎え、この時期は、もっとも脂ののった30代あたりの作曲家ばかり。他にもユーミンや大滝詠一、細野晴臣など、層々たる面子が、作曲家として名を連ねています。

まさに、この時期は最も歌謡曲が華やいでいたころ。歌謡曲のバリエーションも、様々でかつユニークで聴いていて飽きません。逆に、皮肉なことに特に70年代後半は、ヒットシーンに出てくるようなニューミュージックやフォーク系のミュージシャンの方が、変に様式化してしまって、面白みに欠けるなぁ・・・なんて思ってしまいました。

しかし、残念なことに、このシーンの勢いは80年代になると急速に落ちてくるように感じます。

その理由は・・・80年代あたりから出てくるアイドル歌手のヘタなことヘタなこと・・・(^^;;

いまさら具体的に名前をあげるのもあれなんですが、田原俊彦や近藤真彦、小泉今日子も微妙ですし、松田聖子も決して上手くありません。

ここらへんから、楽曲の良し悪し以上に、歌手のルックスやアイドル性に重点がおかれてきたことが、如実にわかるんですよね。

このコンピレーションではカバーされていないのですが、70年代までって、アイドル歌手でも多くはそれなりの力量があったように感じます。ピンクレディーしかり、山口百恵しかり。

しかし、この時期から、歌手が露骨に下手くそになっていくように感じました。でもこれって、完全に推測なんですが、「ザ・ベストテン」をはじめとするテレビの歌番組の影響なのではないでしょうか?

結果、アイドル歌手はどんどんルックス重視、むしろ「素人っぽさ」が受けるようになっていき、徐々に大人や、本格的に音楽を聴きたいような若者の層にそっぽをむかれるようになってきたのではないでしょうか。

そう考えると、皮肉なことに、歌謡曲全盛期を作り出した「ザ・ベストテン」が同時に、歌謡曲衰退の原因を作り出した、と言えるのかもしれません。

そんな歌謡曲華やかなりしころの姿と、徐々に衰退していく姿がおさめられたコンピレーション。通して聴くと、あの頃のシーンがよくわかる内容でした。

次回、1枚1枚について、簡単な感想を書いていこうかなぁ、と思います。

捕捉

ちなみに、「歌謡曲全盛期」は70年代後半から80年代にかけてなのですが、ここでも何度も言っているように、決して「昔の方がヒット曲はおもしろかった」というつもりはありません。特にビーイング系・小室系ブームが過ぎ去ったあとの1990年代後半あたり(宇多田ヒカルや椎名林檎、aikoがデビューしたころ)も、日本のヒットシーンが最もおもしろかった時期のひとつだと思っていますし・・・。

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2009年6月 5日 (金)

リッチーは今も・・・

Title:Journal For Plague Lovers
Musician:MANIC STREET PREACHERS

Journal for Plague Lovers

マニックス、といえば、デビュー時、4人組のバンドで、ギタリストのリッチー・ジェイムスが、1995年、突如失踪した・・・という話は、おそらくファンならずとも知っているエピソード、かもしれません。

その後もメンバーやファンは、リッチーの帰りをまちのぞみ、活動を続けていたのですが、法的には、昨年11月、リッチーの死亡宣告が裁判所よりなされた、というニュースが報道されました。

その後リリースされたこのニューアルバムは、おそらくそんな法的なリッチーの「死」に対抗し、いまでもリッチーはマニックスの一員である、ということを高らかに宣言するように、全曲、リッチーが残した詩により構成されたアルバムになっていました。

・・・なんて話を聴くと、感傷的な気分になってしまうのですが、肝心のアルバムの内容については、いつも以上にパンキッシュでポップ、そして疾走感あふれる内容になっています。

とくにメロディーは王道ともいえるポップなメロディー。それにハードなギターロックのアレンジが重なる、という、ある意味、王道ともいえるオルタナ系のギターロック路線になっています。

でも、上手いなぁ、と思うのは、「ME AND STEPHEN HAWKING」「SHE BATHED HERSELF IN A BATH OF BLEACH」のような王道ともいえるギターロックの曲もありながらも、「JACKIE COLLINS EXISTENTIAL QUESTION TIME」のようにポップなメロディーを前に出した曲や、「PEELED APPLES」みたいなヘヴィーなバンドサウンドを前に出してきた曲などを取り混ぜつつ構成しています。

一方では、哀愁あふれる「THIS JOKE SPORT SEVERED」「FACING PAGE:TOP LEFT」など聴かせる曲もしっかりおさえるバランス感覚の良さ。基本的にはギターロック路線ながらも、こういういろいろなタイプの曲を上手く織り交ぜることによって、とてもポップな出来に仕上がっているアルバムでした。

「安心して聴ける」と言ってしまうと、ロックにとってはマイナス評価になりかねないのですが、彼らの場合、しっかりとしたバンドサウンドが後ろになっているんですよね。

特に本作では、プロデューサーにスティーヴ・アルビニを起用しており、軽快な、しかし、パンキッシュなバンドサウンドが、彼らのメロディーを支えている構成になっています。そのため、「安心して聴ける」といっても、しっかりとロックなアルバムに仕上がっていました。

UKギターロック好きには壺をつきまくる作品だと思います。ちょっとジャケットにひいてしまいそうなのですが・・・(^^;;お勧めの1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Consoler Of The Lonely/The Raconteurs

ご存知ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト率いるバンドの2枚目。かなりストレートにギターリフが心地よいガレージパンクサウンド。タイプ的には、ちょっとTHE HIVESに近いものも。ただ、あくまでもギターリフ主導のガレージパンクにこだわるTHE HIVESに比べ、ストリングスとかピアノとかも組み合わせた、もっとギターポップ風の多く収録されています。しかし、どの曲もあくまでも60年代風という観点では共通。古き良き時代のポップなロックを彷彿とさせる内容は、とても心地よいものでした。

評価:★★★★★

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2009年6月 4日 (木)

「音」にこだわる

Title:out of noise
Musician:坂本龍一

out of noise

某音楽誌で、彼が、このアルバムに関するインタビューで、「最近は、『音楽』よりも『音』に興味がある。」という趣旨の話をしていたのが、とても印象に残りました。

要するに、人が「音」を「音楽」として聴き始めたのは、ここ数百年のこと。それ以前に人間は、ずっと長いこと「音」を聴き続けてきた。そういう人間が昔から聴いていた「音」に興味がある・・・という話。

坂本龍一の5年ぶりとなるニューアルバムは、そんな彼の最近の興味を直接反映した作品となっています。

アルバム全体としてはアンビエントの静かな作風。とことんまで音を削り落としたシンプルな曲調が印象的です。

特に前半はエレクトロニカ的な要素が強く、カノン様式でミニマルなピアノを聴かせる「hibari」、同じくミニマルテイストな作風で、バイオリンの響きも美しい「hwit」と続いています。

一方、後半は、様々な音をサンプリングしているのが特徴的。「tama」では備長炭の音、「disko」ではグリーンランドの犬の鳴き声、「ice」「glacer」では、北極圏の氷や海の音が収録されている・・・・・・そうです。

・・・そうです、と書いたのは、あくまでも聴いてすぐわかったわけじゃないから・・・って当たり前か(^^;;

ただ、それらの曲に関しても聴いていて、水の音などの自然の音をダイレクトに感じられ、不思議な音感ながらも一方で暖かみも感じられる作風に仕上がっていました。

そんなある種「実験」的な作風になっている本作。それだけに一歩間違えると、非常に聴きにくい作品に仕上がりそうなのですが、それがこのアルバムに関しては、とてもポップに仕上がっているから不思議です。

それは、これら楽曲の根底には、しっかりとメロディーが流れているからなんじゃないかなぁ・・・と思いました。そのメロディーは決してヒット曲のキャッチーなメロディーラインではありません。それはおそらく坂本龍一が天性の才能としてもっているメロディーセンスや、あるいは自然の音が本来持っている「和音」が、マッチして、ポピュラリティーを形成しているのかなぁ・・・なんてことを思ったりしました。

まあ、正直、一歩間違えればニューエイジ風の環境音楽に走ってしまうギリギリ・・・という感じもしないわけもなくて、実際、後半に関しては、「うーん、ちょっとテレビの『自然』に関するドキュメンタリーのバックとかによく流れてそうな・・・」なんて思ったりもしてしまったもの事実(^^;;

ただ、それでも単純に自然の音を取り込むだけではなく、様々な今風の音を組み合わせることにより、単純な環境音楽になることをなんとか回避していました。

そんな訳で、「実験」的ながらも、とてもポップで聴きやすい傑作に仕上がっています。坂本龍一の、ある意味現段階での興味がそのままつまっています。自然の音の偉大さ・・・というよりも、それをベースにしっかりとまとめあげてくる坂本龍一の実力に、あらためて感服する作品でした。

評価:★★★★★

・・・で、坂本龍一の盟友といえば、高橋幸宏。そんな彼も3年ぶりに新作をリリースしてきました。

Title:Page by Page
Musician:高橋幸宏

Page By Page

こちらもエレクトロニカ、あるいはアンビエント系の影響を強く受けた作風。ただ、あくまでもメロディー、歌モノが中心となっています。また、アレンジも、かなり美しい雰囲気のアレンジになっていて、小難しいこと抜きで楽しめる作風だと思います。

ただ、全体的には、ちょっときれいにまとまりすぎている感も否めなかったかな?聴いている時は心地よく楽しめたのですが、どうも聴いた後のインパクトの薄さが気になる作品でした。

評価:★★★★

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2009年6月 3日 (水)

ちょっと懐かしい名前が並んでいます。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週もまた、10曲中8曲が初登場という新譜ラッシュ。シングルは1枚1枚売れないから、数打ってなんとか稼ごうという戦略が続いている、といったところなのかなぁ?

そんな中、今週は、ちょっと懐かしい名前がチャートに並んでいます。

3位に椎名林檎「ありあまる富」、5位にZARD「素直に言えなくて」、そして8位SPEED「S.P.D.」といずれもちょっと懐かしい名前です。

椎名林檎は、東京事変などで活動は続けていましたが、椎名林檎としては、椎名林檎×斎藤ネコ+椎名純平名義の「この世の限り」以来、約1年4ヶ月ぶり。純粋な椎名林檎名義としては「りんごのうた」以来、約5年半ぶりのリリースとなります。

ちなみに6月には、こちらも椎名林檎名義のオリジナルとしては、なんと6年ぶりのニューアルバムも予定されています。ちなみに、このシングルは未収録だそうなので、ファンの方はシングルも手に入れておきたいところでしょう。

ZARDは、懐かしい名前・・・といっても約1年ぶり、死後3枚目になるシングルです(苦笑)。なんか、ビーイングという会社のやり方からいって、今後も普通に1年に1枚くらいのペースでシングルを発売していきそうなんですが・・・。別にZARDに限らないのですが、こういう商法って正直どうなんだろうなぁ。

SPEEDも、完全復活後2枚目となる作品。ただ売上は、前作の初動4万に対して、本作は初動2万枚と約半減。かなり厳しい結果になっています。なんとなく、今回の復活はいつのまにかフェイドアウトしていきそうな予感が。

ちなみに今週の1位は「明日の記憶」で、初動50万枚と、ここだけシングル不況と全く関係ない世界が繰り広げられています。それに続いた(といっても枚数的には全然続いていないのですが)のが、GReeeN「遥か」。これでもか、というほど宣伝しまくっている映画「ROOKIES」の主題歌ですね。前作初動6万3千枚に対して、本作は初動6万2千枚とほぼ横ばい。固定ファンがついてきた、といった感じでしょうか。

他には今週、7位にいきものがかり「ふたり」、9位に「ヘタリア キャラクターCD Vol.3 日本」、10位に新垣結衣「うつし絵」がそれぞれランクインしています。

いきものがかりは、前作の初動2万4千枚から、初動3万枚にアップ。ドラマ主題歌という好タイアップもあるものの、人気が安定してきた感じです。

新垣結衣は、初動売上が前々作の3万4千枚から前作1万8千枚ときて本作は1万5千枚。前作の時も書いたのですが、女優・タレントとしての活動がメインなだけに、歌手活動は、人気下落とともに、フェイドアウトしそうな予感が。ベスト10落ちしちゃったら、もうしばらくCD出さなそうだな。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートの1位は、the HIATUS「Trash We'd Love」が獲得しました・・・って誰?といった感じなのですが、現在活動休止中のELLEGARDEN細美武士の新プロジェクト。ベースに元ミッシェル・ガン・エレファントのウエノコウジ、キーボードに堀江博久が参加するなど、豪華なメンバーも話題となっています。

ただ、初動売上は7万9千枚と、ELLEGARDENの、現段階での最後のオリジナル盤「ELEVEN FIRE CRACKERS」の初動売上21万6千枚から大幅ダウンと、順位的には好調でも、売上的には少々厳しい出足となっています。なんか、例によってロッキンオンジャパンあたりが細美武士を必要以上に煽っている傾向になるので、変な勘違いをしなきゃいいんだけど・・・なんてことも思ったり。

以下、アルバムチャートもなんと10枚中9枚が初登場ベスト10と、例によって新譜ラッシュ。

2位 Ken's Bar/平井堅
4位 FAMILY/MAY J.
6位 YOKO KANNO SEATBELTS 来地球記念コレクションアルバム スペース バイオチャージ/YOKO KANNO SEATBELTS
7位 DREAM/伊藤由奈
8位 DJ KAORI'S PARTY MIX
9位 SONG FROM THE UNDERGROUND/LINKIN PARK
10位 BEAUTIFUL/MEG

2位は平井堅によるカバーアルバム。今回は、邦楽を多くカバーしているのですが、「Stardust」では、なんと美空ひばりとのデゥオを実現しており、話題となっています。

10位のMEGのアルバムはあの中田ヤスタカプロデュース。ようやく、Perfume、capsule以外の中田ヤスタカプロデュース作品が売れてきましたね。今後は、さらに伸びるのか?

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2009年6月 2日 (火)

エミネム復活!

Title:RELAPSE
Musician:EMINEM

Relapse

エミネム復活!!

一時期は、プロデューサー業に専念し、もう新曲は出さないのかな・・・とも心配されたエミネムでしたが、ついに、4年半ぶりとなる新譜を発売!英語で「再発=RELAPSE」と名づけられた本作は、アメリカはもちろん、イギリス、そしてなんと日本のチャートでも1位を獲得し、エミネム復活を印象づけています。

で、その内容の方もあいかわらず。

先行シングル「WE MADE YOU」は、あいかわらず、アメリカのセレブたちを小馬鹿にした痛快な内容。今回は、あのAMY WINEHOUSEも登場しています(笑)。また、「MY MOM」は、母親への愛憎いりまじる感情を、そのまま歌詞にした内容は、彼の心の闇をそのままさらけ出しており、印象的です。

そんな感じで、ありのままのエミネムを、その奥の奥まで切り売りするスタイルはあいかわらず。そこに、下ネタもまじえたユーモアセンスもつけて、ポップにあじつけしている点、彼の実力を感じさせます。

ただその一方、デビュー当初から変わらないこのスタイル。ある意味、そろそろマンネリ感も漂うのは事実。実際、最初聴いた時は、ちょっとマンネリかな?とも思いました。

しかし、そんなライムをのせるリズミカルなラップ。そして、同じくリズミカルでポップなアレンジ。全部まとめると、聴いていて素直に楽しめる、エンタテイメント性あふれる作品に仕上がっているんですよね。だからこそ、歌詞の内容が直感的にわからない日本人にも、支持されるのでしょう。

そんなこと思いながら何度か聴いているうちに、彼のこのスタイルは、ある意味、「大いなるマンネリ」になりつつあるなぁ・・・と思いました。

それに、マンネリといっても、そのセレブやアメリカの芸能界、また自分の身の回りに対する攻撃的な姿勢はあいかわらず。そんな攻撃性すらエンタテイメントの次元に高める彼の才能。ヘタにこのスタイルを変えるよりも、このスタイルを今後も貫いていった方が、もっともっとおもしろいアルバムが産まれてくるのではないでしょうか。

攻撃的なヤバさをアルバムに漂わせつつも、「ああ、いつものエミネムだ」と安心して聴けてしまうという、この相反する矛盾。でも、それこそがエミネムの大きな魅力ではないでしょうか。

今後もやはりこのスタイルを貫きつつ、ユニークな曲をたくさん聴かせてほしいです。近日中に出る、といわれる「RELAPSE2」も楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Spirit/Leona Lewis

このアルバムからリカットされた「Bleeding Love」が、全世界で大ヒットを記録したイギリスのシンガーソングライター。なんか、雰囲気としては、マライア・キャリーとセリーヌ・ディオンの中間みたいな印象が・・・。R&B風のポップソングといった感じで、日本でも売れそうなタイプ。ここらへん、本格的なR&Bに走らないのが、イギリスのシンガーらしいよな。ただ、それだけにポップで聴きやすかったけど、おもしろみは薄かったかも。これなら、日本のR&Bシンガーで十分かも・・・とも思ってしまいました。

評価:★★★

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2009年6月 1日 (月)

骨太な歌詞とボーカルは文句なしなんだけど。

Title:昇れる太陽
Musician:エレファントカシマシ

昇れる太陽

エレカシのニューアルバム。とにかく宮本浩次が暴れまくっています(笑)。

宮本のガナリたてるようなボーカル。そしてなんといってもその歌詞。宮本浩次のパワーが前面に押し出されたようなアルバムになっていました。

その宮本浩次の歌詞は、ポジティブに前を向いて生きていこうというメッセージ性あふれる曲。ただ、そのメッセージはよくありがちな応援歌ではありません。あえていえば、部屋にこもっている人を、胸倉をつかんでむりやり外に連れ出すような・・・そんなパワフルな内容になっています。

冒頭の「Sky is blue」からいきなり

「魂を引きずりまわせ!」
(「Sky is blue」より 作詞 宮本浩次)

と叫びまくる宮本。

ラストの「桜の花、舞い上がる道を」も、方向性としては、よくありがちな「桜」ソング風ながらも

「桜の花、舞い上がる道をおまえと歩いて行く
輝く時は今 そして胸をはって生きていこう
桜の花、舞い上がる道を」

(「桜の花、舞い上がる道を」より 作詞 宮本浩次)

と、非常に力強く、このアルバムを締めくくっています。

そのがなりたてるボーカルと力強い歌詞に対して、メロディーは至ってポップ。宮本のボーカルのおかげで、ちょっと後ろに下がっていますが、ただ、彼のボーカルをとれば、かなりポップなメロに仕上がっています。

ここらへんは、賛否両論ありそう・・・ってのは、エレカシがブレイクして以来ずっと論点になるような話かな。個人的には、このポップなメロディーが、個性むき出しの宮本の中和剤になって、ほどよいバランスに保っている・・・と思っています。

ただ、今回の作品、そんなボーカル、歌詞、メロディーに対して、あまりに物足りなかったのがそのアレンジ。

なんというか、必要以上に音数が多く、かつ陳腐。一番多かったのが、バンドサウンドに薄くストリングスをかぶせて音の厚さを増すという、単調な手法。うーん、あくまでも歌詞やボ駆るが売りのバンドなんだから、アレンジはもっとシンプルにした方がいいと思うんですけどねぇ(苦笑)。

特に「おかみさん」などは、力強いギターリフがカッコいいナンバーだったのに、無駄な「音」があまりにも多すぎて、一気に陳腐なアレンジになっていました。他も、なんら面白みのない打ち込みの「ジョニーの彷徨」とか、あまりにチープな内容で、せっかく宮本が作り上げた世界観を台無しにしていたように感じました。

なんか、そういう意味では惜しい作品なんだよなぁ。すごく残念。次回作は、変に外部からアレンジャーを導入するよりも、エレカシだけで音を作り上げたほうがおもしろくなると思うんですけどね。とても惜しい佳作でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

after you wake up/Pay money To my Pain

こちらは逆にバンドサウンドは文句なしにカッコいい。ヘヴィーでゴリゴリのハードコアサウンドの爆音が楽しめます。ただ、その反面、メロディーがつまらない・・・。ちょっと洋楽テイストながらも、バラエティーに欠け、インパクトも不足。そのため、アルバム全体としては、似たタイプの作品が多く、音楽性の狭さを感じてしまいました。こちらも悪い作品じゃないのですが、とても惜しい、と感じさせる作品でした。

評価:★★★★

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