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2009年6月12日 (金)

Diggy-Mo'の志向がより強く

Title:Diggyism
Musician:Diggy-Mo'

Diggyism

SOUL'd OUTのMCによる、初のソロアルバム。

ソロアルバム、というと、グループとしての作品と比べて、どのような違いを出してくのか、とうのが大きなポイントとなります。そんな中で、結局グループとかわらない内容の作品をリリースしたり、逆にグループの音楽性から大きく離れた作品をリリースするミュージシャンも少なくありません。

しかし、今回のDiggy-Mo'のソロアルバムは、SOUL'd OUTの楽曲の雰囲気そのままに、Diggy-Mo'の嗜好を、より強く打ち出した作品になっています。

つまり、このソロアルバムを聴くことにより、Diggy-Mo'は、SOUL'd OUTの中で、どのような方向性を目指していきたいのか、ということが、よりわかる内容になっていました。

具体的に言うと、この作品の前半は、歌謡曲という色彩が、よりはっきりとあらわれた、「歌モノ」の作品になっています。

先行シングルにもなった「爆走夢歌」「ZAZA」など、ともすれば泥臭さすら感じられる、メロディーが貫かれた作品になっており、ある意味、「歌謡曲とラップのミクスチャー」ともいえるような内容になっています。

ここらへん、Diggy-Mo'自身、サザンオールスターズやMr.Childrenなど、邦楽からの影響を強く受けており、邦楽の歌謡性を嗜好している点を、強く感じさせます。

一方で後半は、ジャズピアノを取り入れた「Beladon'」やエレクトロサウンドを取り入れた「NOSTALJANE」「hurtt」など、凝ったサウンドメイキングを聴かせてくれる一方、マシンガンのようなラップを組み立て、いかにラップでリズムを作り出すか、といったような作風を感じ取れます。

どこか彼自身、ラップを使った「実験」ともとれるこれらの作品は、SOUL'd OUTの今後の可能性を占う作品ともいえるかもしれません。

また、LISAをボーカルに迎えた「FIRE WOO FOO FOO」は、m-floを思い出させるような軽快なクラブ風のR&Bを聴かせてくれたり、ホーンを取り込んだ軽快な作風の「La La FUN」を聴かせてくれたりと、様々な作風にも挑戦していました。

SOUL'd OUTより、特に前半、より歌謡曲風味を増したため、少々抵抗を感じる人もいるかもしれません。ただ、SOUL'd OUTらしいポピュラリティーそのままに、Diggy-Mo'としての個性をしっかり出している、とてもよく出来たソロアルバムだと思います。

この作品を土台に、次はSOUL'd OUTとしての久しぶりの新作を、期待しています!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

What's a Wonderful World! vol.2/オレスカバンド

アメリカでの活動も目立つ、6人組ガールズバンド。昨年リリースしたミニアルバムの第2弾。ジャンル的には「スカバンド」で、一応、スカの要素も取り入れているのですが、スカよりもロック志向を強く感じさせます。「Bouquet」など、ハードなギターサウンドも魅力的です。

ただ、全体的には軽快なポップチューンがメイン。特にラストで、アルバムタイトルにもなっている「What a Wonderful World」は、アルバムのラストを締めくくるにふさわしい、アップテンポで踊りだしたくなるようなナンバー。ちょっとボリュームの薄さと、楽曲のバリエーションの少なさが少々気になりましたが、短い内容もあり最後までウキウキしながら楽しめるような、ポップな作品でした。

評価:★★★★

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