あのころのように?
Title:そしてもう一度夢見るだろう
Musician:松任谷由実
3年ぶりとなるユーミンのニューアルバム。
久しぶりの新譜なのですが、どうもファンにとっては、かなり評判のよい作品になっているみたいですね。
なんとなく、その理由はわかります。この作品、とてもシンプル。ヘタな装飾がなく、ユーミンのメロディーと歌詞をしっかり楽しめる内容になっています。
また、その歌詞の内容も、一昔前のバブリーな作品と異なり、しっかり地に足をつけた内容になっています。ここらへん、3年前の「A GiRL iN SUMMER」から、ようやく、「バブルの女王」という位置付けを抜け出した感があったのですが、本作では、完全に80年~90年代の呪縛から解き放たれた印象を受けました。
アルバムタイトルといい、ちょっとオールドスタイルなジャケットといい、おそらくバブルの呪縛から抜け出して、原点回帰を目指した作品なのかもしれません。ただ、ユーミンの場合、その原点(=アルバム「ひこうき雲」)があまりに偉大すぎて、正直、原点に回帰しているとは思えませんでした(^^;;
むしろ、全体的には、あまりにもユーミンそのまんまのメロディーには、少々マンネリさすら感じてしまいましたし、ある種時代を感じてしまう、古臭さすら感じてしまいました。
そういう意味では、歌詞の面ではバブルの呪縛を抜けたかもしれませんが、メロディーの側面では、どうもマンネリズムも目立つ、悪い意味で「ベテラン」「大御所」になってしまったような、そんなアルバムのように思いました。
しかし、とはいえ、随所随所に松任谷由実の実力も垣間見れるアルバムであったのもまた事実。
歌詞では、例えば「ハートの落書き」の冒頭
「校庭のむこうから きみの打つ球音が
補習の窓に きこえていた夏
答えを探して でも見つけられなくて
とり残された 教室の隅の
机の傷あと ハートの落書き
最前線には 届かなかったけど」
(「ハートの落書き」より 作詞 松任谷由実)
なんか、たったこれだけの文章で、暑い夏の教室の風景が思い浮かんで、甘酸っぱいキモチになりませんか?ここらへんの風景描写と、心理描写は本当に天性の才能も感じさせます。
他にもメロディーでいえば「夜空でつながっている」のようなバラードなど、まさに絶品。ユーミンの天性のメロディーセンスを感じさせます。
それだけにこのアルバム。全体としては、確かに一時期の作品に比べれば、よい出来だったのは間違いないかもしれません。ただ、このレベルで終わるミュージシャンじゃないよなぁ・・・と感じてしまいました。
このレベルじゃないよね?次はまた、傑作を聴いてみたいです!!
評価:★★★★
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