にほんのうた
Title:にほんのうた 第三集
コモンズ・レーベルから、シリーズとして発売されている、日本の童謡・唱歌を、現在のミュージシャンたちがカバーする「にほんのうた」シリーズの第3弾。本作でも、UAや、曽我部恵一、bird、浜田真理子などのメンバーが、日本の懐かしい童謡・唱歌をそれぞれのスタイルでカバーしています。
基本的に、童謡や唱歌が現在まで歌い継がれているのは、そのメロディーと歌詞がいいから。今回のカバーも、やはりメロディーをきちんと軸として強調し、歌詞をしっかりと歌っているミュージシャンのカバーが、一番心に響きました。
ただ・・・どうもここらへんが、いわゆるサブカル系ミュージシャンの悪い癖なのでしょうか。必要以上に凝ったアレンジをほどこし、自己主張の激しいカバーも目立ちました。
具体的には・・・SANDII+BUNの「うれしいひなまつり」とか、曽我部恵一の「荒城の月」とか、アレンジが凝りすぎていて、元曲の良さがあまり生かされていなかった印象を強く受けました。
一方、力強いボーカルが魅力的だった吉田美奈子の「早春賦」や、ウクレレを中心にシンプルなアレンジでまとめた浜田真理子の「春の唄」などは、なかなかの絶品。どちらも元曲のメロディーの良さをいかしながらも、しっかりとしたボーカルで聴かせる作品だったと思います。
もちろん、こういう曲を、単純なアレンジ、無難なボーカルで収録すれば、よく通信販売などで売っている「日本の歌全集」みたいなものと全く一緒になってしまって、面白みに欠けるとは思います。
だからといって、エレクトロ風にアレンジしたり、民俗音楽風にアレンジしたりと、自己主張の強いアレンジは、元曲の良さをゆがめているような印象を受けちゃうんですよね。
そういう意味では、童謡や唱歌を今のミュージシャンでカバーしようとする企画って、難しいとは思うんですよね。この企画に関しても、半分成功していたけど、一方で、サブカル系の悪い部分が如実に出ちゃっていたなぁ・・・なんてことも思ったり。
ただ、悪いアルバムじゃないと思いますよ。前述のように、なかなかおもしろいカバーも多かったですし、童謡や唱歌のおもしろさも、しっかりと楽しめる企画だったと思います。今後も同じシリーズが続くのでしょうか?第四集、五集も聴いてみたいなぁ。
評価:★★★★
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