いまどき珍しい(?)明確なルーツ志向
Title:THIS IS MY STORY
Musician:THE BAWDIES
デビューの時のレコード会社の煽り文句が「日本発!ビートルズの再来!」・・・・・・ってのは、どう考えても煽りすぎだと思うし、逆効果じゃないの??
ただ、MySpaceの彼らのサイトで楽曲を試聴してみたら、これがまたカッコいい!はっきりいって、はまってしまいました。
ジャケット写真を見る限り、どう考えても「今時の若者」のような風貌。にもかかわらず、本格的な60年代、あるいは50年代あたりの重厚なロックンロールサウンドに、しゃがれたハスキーボイス。はっきりいって、写真の風貌とは、かなり異質なイメージを受けます。
そして、このルーツ志向なロックンロールサウンドが、彼らの特徴であり、レコード会社が煽り文句として「ビートルズ」という言葉を出していた所以といえるでしょう。
彼らは、各種インタビューでも、明確にルーツ志向を打ち出しています。それって、ここ最近の日本のロックシーンとはちょっと違う風潮を感じます。ここ最近の日本のロックバンドって、ルーツにさかのぼっても、ヘタしたら10年程度前の日本のバンド。まあ、音楽ってのは、実力があればどんなミュージシャンに影響を受けようが関係ないので、それが一概にダメだ、とはいいません。ただ、少々あまりにバックボーンの薄っぺらさを感じさせるバンドが、最近は増えているように感じます。
そんな中で、ここまで明確にルーツにこだわり、それを忠実に再現しようとするバンドは珍しいのではないでしょうか。彼らのサウンドには、ロックンロールのルーツに対する、高い尊敬の念を感じさせます。
また、ブラックミュージックからの影響を強く受けているのも特徴的。ここらへんが、おなじくブラックミュージックの影響を強く受けたビートルズの再来という煽り文句を持ち出される理由なのでしょうか?中には、ファンクの影響を受けた曲もあり、ここらへん、決して60年代あたりに留まることなく、その後のシーンもきちんとフォローしていることも感じられます。
もうひとつ・・・というよりも、彼らがカッコいいと思った一番の理由は、そのリズムなのではないでしょうか。しっかりとブラックミュージックの影響を受けているだけあって、楽曲全体に、黒い雰囲気のリズムを感じさせます。ブラックミュージック独特のソウルテイストのリズムこそが、このバンドの大きな肝になっているように感じました。
「ビートルズ」なんて文句を用いられますが、露骨なブラックミュージックからの影響は、むしろストーンズの方に近いものも感じられます。ただ、アルバム全体を通じて聴くと、どの曲もとてもポップでメロディアスなんですよね。そういう意味では、確かに、ビートルズのポップスセンスを継承している、といえるかもしれません。
ただひとつ大きな弱点も・・・
それは、全編英語詞という点。うーん、日本のバンドなんだから、日本語の歌詞でこのグルーヴ感を出してほしかったなぁ。日本語の歌詞で、この作品と同じグルーヴを出せたら、まじでとんでもないバンドになるような予感もします。
個人的に、かなりはまってしまいました。これだけカッコよくて、そしてポップなバンド、なかなかいないのではないでしょうか。今年一番注目の新人バンドです。要チェック!
評価:★★★★★
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コメント
レビューに惹かれて買ってみたところ、大当たりでした。
単純に気持ちよくなれる音楽を聴いたのは久々かもしれないです。
このサイトのおかげで色々好きな音楽が増えました。
これからも応援してます。
投稿: | 2009年5月20日 (水) 00時13分
どうもありがとうございます!本当に、彼らの曲は、単純に気持ちよくなれますよね。このサイトで、いろいろな音楽に出会ってくだされば、これほどうれしいことはありません!これからも、よろしくお願いします。
投稿: ゆういち | 2009年5月22日 (金) 00時52分
お久しぶりです。(といっても覚えてらっしゃらないかも?笑)
BAWDIESは風貌と声が違いすぎて違和感のあるバンドですね。初めて聞いた時、笑いましたよ。
デビュー前の作品の方がビートルズっぽかった気がします。
投稿: 風車 | 2009年5月23日 (土) 16時56分
>風車さん
お久しぶりです。覚えていますよ~。
本当に、風貌と声に差がありますよね。でもそれがまたいいところなのかもしれないです。
以前の作品の方がビートルズっぽいんですか。そちらの方も、是非聴いてみたいです!
投稿: ゆういち | 2009年5月24日 (日) 18時51分