次の次元に
Title:VOLT
Musician:吉井和哉
「あ、次の段階に来てしまったな」。この作品を聴いて感じたのは、これ。
もともと、イエモンの時代から、洋楽風のロックンロールサウンドと、歌謡曲風の泥臭さをあわせもった、独特の「日本のロックンロール」という路線を築いてきた彼ら。
そしてイエモンの時代は、あえてそれを意識的に、「新しい日本のロックを築くんだ」という意気込みも感じられました。
しかし、吉井和哉のソロである本作からは、そんな意気込みは感じられません。
なんというか・・・すごく自然体なんですよね。本作は、いつも以上にヘヴィーなロックサウンドを前に押し出してきていると同時に、歌謡曲直系のベタベタなメロディーもそのまんま。
でも、そこには変な意気込みみたいなものは感じられず、実に自然に、マイペースに、そして時にはユーモラスをまじえて自分の音楽を楽しんでいるミュージシャン、吉井和哉がいました。
ちょっとタイプは違うかもしれませんが、なんというか、奥田民生あたりと同じ括りといっていいでしょうか?無理をしない。活動に余裕を感じられる。でも、しっかりと現役感を出して、大いなるマンネリに陥っていない。そういう意味で彼は、このアルバムで次のステップに到達した、そう感じたのです。
アルバムとしても、いつも以上にポップで聴きやすい内容。にも関わらず、ロックテイストも強い傑作に仕上がっていたと思います。
肩肘はらずに楽しめ、かつ、聴きこめば聴き込んだで楽しめる作品。なんか、ひょっとしたらかなりすごいミュージシャンになってきたのかも、吉井和哉・・・。
評価:★★★★★
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