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2009年5月

2009年5月31日 (日)

錆びついた王国

Title:Kingdom of Rust
Musician:DOVES

Kingdom of Rust

邦題は、「錆びついた王国」・・・・

ま、原題の直訳なのですが、そんなイメージのアルバム、ということなのでしょうか、ドリーミーで重厚なポップソングという印象が強いDOVESですが、このアルバムに関しては、どちらかというとゴツゴツとした印象のアルバムになっていたように感じました。

いや、もちろん彼らの持ち味である、ドリーミーなポップソングも楽しめたんですよ。

例えばアコギのストロークス音が、心地よい響きを奏でる「SPELLBOUND」や、軽快なガレージロック風のサウンドとドリーミーな雰囲気のアレンジのバランスが心地よい「HOUSE OF MIRRORS」など、魅力的な曲も多く収録されていました。

ただ一方では、バンドサウンドやギターサウンドなどを前に出してきたような曲も多く、結果、いままでのアルバムに比べると、いくぶん棘を持ったようなアルバムになっていたかな、という印象を受けました。

まあ、しかし、それはそれ。あらたなDOVESの方向性なのかな、とも思うのですが・・・

今回のアルバムでちょっと残念だったのは、アルバム全体としてどうもインパクト不足。これといった核となるような楽曲が残念ながらありませんでした。

それでもDOVESらしい、夢みるようなアレンジで楽しめればよかったのですが、それに関しても今回は少々物足りなく終わってしまい、アルバムとして薄味になってしまったのが否めません。

ポップなメロディーは相変わらずだし、決して悪いアルバムではないのですが・・・ちょっと物足りなかったなぁ。とりあえず、次回作に期待、といった感じでしょうか?

評価:★★★★

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2009年5月30日 (土)

ポップス職人復活!!

Title:Focus
Musician:黒沢健一

Focus

なんと、7年ぶりとなる黒沢健一の新譜。その7年前までの黒沢健一は、「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」のヒット以降、どこかポップであることに迷っているような、初期のL⇔Rに比べると、物足りなさばかりが感じてしまう作品が続いていました。

しかし、この7年ぶりとなる作品は、久しぶりにポップス職人復活!と宣言したくなるような、傑作に仕上がっていたと思います。

今回の作品は、ヘタに凝った部分のない、メロディーと歌詞で勝負している作品。

そのため、黒沢健一のポップスセンスが存分に発揮された作品に仕上がっていました。

特に前半では「Love Hurts」が、初期のL⇔Rを彷彿とさせるような、キュートなメロディーが特徴的なギターポップチューン。そのキュンとくるようなメロディーが胸に響いてくる至極のポップスに仕上がっていました。

その後も、「Silencio」や、その名もずばり「POP SONG」など、美メロをしっかりと聴かせるナンバーも多く、まさにポップス職人黒沢健一の本領発揮ともいえる作品が続きます。そしてラストの「September Rain」は、打ち込みなどを取り入れつつ、どこかひねくれたメロが印象的。今後の黒沢健一の、さらなる可能性も感じられる作風でした。

それでもやはり、もうちょっと吹っ切れた方がよかったのでは?と思われるような作品もチラホラあり、正直言えば、まだまだこのレベルではないはずだ・・・と感じられる部分もありました。

しかし、後期L⇔R以降、ずっとスランプ続きだった彼が、ようやく長いトンネルを脱した、そう感じられる傑作だったと思います。黒沢健一復活!!これからも、珠玉のポップソングを、次々と聴かせてくれそうです。楽しみ~♪

評価:★★★★★

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2009年5月29日 (金)

American Idiotの後

Title:21st Century Breakdown
Musician:GREEN DAY

21st Century Breakdown

前作「American Idiot」が、深いテーマ性と社会性、そして雄大に展開された物語で大きな話題となり、グラミー賞を受賞するなど、絶大な評価を得たGREEN DAY。その大注目の作品の後、ということで、俄然、注目を集める1枚といえるでしょう。

で。本作も、基本的には前作の方向性を引き継ぐ内容となっています。

3部構成となった本作は、グロリアとクリスチャンという2人の若者を主人公とする物語を軸とする歌詞。アメリカの現状の中での、若者たちの不満をストレートにぶつけたような歌詞は、かなり直感的に思われます。

ただ、現状をかなりシビアに切り取った内容ながらも、1幕目のラスト「LAST NIGHT ON EARTH」はやさしいラブソング。また、最後を締めくくる「SEE THE LIGHT」のラストも、どこか希望を持った終わり方をしており、アルバム全体として「優しさ」のようなものも感じられました。

アルバム1枚でひとつの楽曲のような内容。1曲単位で配信されていく、ネット社会の今だからこそ、逆にコンセプトアルバムでしか出来ないような内容で勝負する彼らの、確固たる主張が感じられる作品です。

しかし一方で、出来として前作と比べると、少々物足りなさも感じてしまいました。

一番の理由がやはりメロディーライン。どうも1曲1曲単発で聴いてもインパクトのあった前作と比べると、メロディーが平凡というか、いまひとつ印象に残りません。

ストレートでポップなパンクサウンドは、むしろ初期の傾向を感じさせるものの、初期のGREEN DAYにも感じたワンパターンさが、このアルバムでも感じられてしまいました。

それでも初期の作品は、勢いで押していけたのですが、残念ながら、この作品には、そんな「勢い」で押すタイプではありません。それだけに、メロディーがいまひとつという印象を受けてしまいました。

コンセプト的には文句なし。歌詞も非常によく出来ています。それだけに、メロディーにもうひとひねり・・・と思ってしまうのですが・・・。ただ、そこらへんを差し引いても、「American Idiot」の次としては、なんとか合格点かな?確実にGREEN DAYがその地位を固めつつあるように感じられました。

評価:★★★★★

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2009年5月28日 (木)

マボロシを愛したの~♪

Title:マボロシのシ
Musician:マボロシ

マボロシのシ

マボロシの最新作。1曲目がいきなり「オリビアを聴きながら」・・・ってなんじゃそれは?と思いきや、いきなり、杏里の「オリビアを聴きながら」の

「マボロシを愛したの~♪」

のフレーズがサンプリングされ繰り返されるだけの内容(笑)。大笑いしてしまいました。

マボロシは、以前からユーモアあふれる歌詞が特徴的だったミュージシャンでしたが、今回もまた、ユーモアで、かつどこか皮肉めいたウィットの富んだ歌詞を多く聴かせてくれています。

日本のラップシーンを皮肉った「ジェイラップ」や、あまりにもまんまなエロ歌詞の「ワンモアヴァース」などかなりユーモラスな内容を楽しませてくれました。

一方で、いままでの課題だった楽曲のバリエーションに関しても、今回は幅が広がったような印象を受けます。

HIP HOPとロックのミクスチャー・・・という基本スタイルはいままでどおり。ただ、「あまいやまい」では椎名林檎を、「Music Is Mine」ではCrystal Kayを、といった具合に女性ボーカルを積極的にゲストとして起用し、曲に幅をもたせています。

また、HIP HOP+ロックとはいえ、「You Gonna Get Yours」ではかなりHIP HOP寄りの作風になっていたり、一方、「セクシー」ではハードなギターリフを入れたりと、HIP HOPとロックの間を自在に行き来する音楽性も魅力的。

さらには、アコースティックサウンドと歌詞で泣かせる「日本の親父 昭和の親父」や、ポップテイストが楽しい「ヒーロー」など、ポップであることをベースに、様々な作風の曲を聴かせてくれます。

どれもポップで軽快な作風がメインなだけに、HIP HOPリスナーやロックリスナーだけではなく、聴き手を選ばないポピュラリティーも魅力的。歌詞、メロディー、いろいろな側面で、マボロシの最高傑作であり、完成形といえる作品になっていました。最初から最後まで、本当に楽しいアルバムでした。

評価:★★★★★

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2009年5月27日 (水)

男性ソロが1位独占

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、また新譜ラッシュ。シングルでは今週も10曲中8曲が新譜となりました。

そんな今週、シングルアルバムともに1位を獲得したのが男性ソロミュージシャン!アイドル系はともかく、ここ最近、男性ソロシンガーで1位を獲得できるシンガーが少ないだけに、ちょっと珍しい(?)今週のチャートとなりました。

まずはシングル。見事1位を獲得したのが福山雅治。シングル「化身」が、2位GLAY「I am ×××」を下して、「milk」以来の1位獲得となりました。

福山は、初動13万枚で、前作の11万枚を上回る売上で見事な1位獲得。一方GLAYは、前作初動7万8千枚と売上が上向いてきたのですが、本作は初動4万枚と大きくランクダウン。6月に予定しているベスト盤が影響したのでしょうか?

この2枚に続いたのが3位桜高軽音部「ふわふわ時間」。人気アニメの「けいおん!」の挿入歌だそうです。アニメ人気もあって、好調な売上を見せています。

以下・・・

4位 JAP/abindon boys school
5位 虹のレシピ/スキマスイッチ
6位 はじめての経験/真野恵里菜
8位 出会えてよかった/トモとスザンヌ
10位 Doing all right/GARNET CROW

と並びました。

スキマスイッチは久しぶりですね~。1年10ヶ月ぶりのシングル。ソロでの活動が続いたので、ひょっとしたら・・・と思っていたのですが、無事活動再開。やはりうれしいです。

6位真野恵里菜は、KANが作曲でサポートを続けているアイドル。ってか、順調にヒットを飛ばしているみたいで、KANのファンといてはうれしいところ(笑)。

8位には聞きなれないユニットが・・・。例のテレビ番組「ヘキサゴンII」からのユニットだそうで、スザンヌはあのスザンヌ、トモは品川庄司の庄司だそうです。でも、このバラエティーからのユニットも、なんか見境ないですね。レコード会社としては、久しぶりに出てきた「確実に売れる素材」から、なんとかたくさんCDを出させようと必死なんでしょうが。

GARNET CROWはいつも9位だとか10位だとか、ギリギリでランクインしているイメージが・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートも男性ソロミュージシャンががんばりました。なんと、アメリカの人気HIP HOPシンガーEMINEMのニューアルバム「RELAPSE」が見事1位を獲得!自身初の1位となりました。

ただ・・・売上ではオリジナルとしては前作となる「アンコール」が初動8万6千枚に対して、初動4万6千枚と残念ながら大きくダウン。すっかり日本でも人気が定着したEMINEMですが、久しぶりのアルバムということで、ちょっと人気は下降気味。個人的にファンなので、もっとがんばってほしいのですが・・・。

そのEMINEMに続く2位となったのは、氷川きよし「演歌名曲コレクション10~浪曲一代~」でした。同じ男性ソロながら、ある意味対極的ですね(^^;;

以下、4位以下9位まで初登場勢がズラリ。

4位 DJ MAKIDAI from EXILE Treasure MIX 2
5位 Janne Da Arc MAJOR DEBUT 10th ANNIVERSARY COMPLETE BOX/Janne Da Arc
6位 THE FAME/LADY GAGA
7位 No Reason~オトコゴコロ~/高橋真梨子
8位 CHRONICLE/フジファブリック
9位 The High End Of Low/MARILYN MANSON

4位はEXILEのMAKIDAIによる、DJ Mix盤の第2弾。なんか、洋楽ヒット曲のコンピレーションみたいな内容になっています・・・。

Janne Da Arcの10周年記念の全アルバムを集約したボックス盤が5位にランクイン。全9枚組で3万円超の値段で5位ランクインって、固定ファンの強さが目立ちます。

6位LADY GAGAは世界中で人気の、アメリカの女性シンガー。セクシーなパフォーマンスなどでも話題を呼んでいるみたいで、日本でも輸入盤の段階で話題になっていましたが、ついにブレイクとなったみたいです。

高橋真梨子の新譜は男性ボーカル曲のカバー・・・って徳永英明の企画のパクリ??「ワインレッドの心」みたいな、「いかにも」な選曲もあるかと思えば、スピッツの「ロビンソン」や、さらにはSUPER BUTTER DOGの「サヨナラCOLOR」のカバーも挑戦している点、なかなか興味深い選曲になっています。

フジファブリックは前作「TEENAGER」が残念ながら11位に終わったのですが、新作でついに初のベスト10ヒットとなりました!ただ、初動売上の方は、「TEENAGER」が初動1万6千枚だったのに対して、本作は初動1万2千枚とダウン。もうちょっとがんばりたいところでしょうか。

9位MARILYN MANSONは、ご存知アメリカのロックバンド。一時期に比べると人気は落ち着いたのですが、それでも根強い人気を感じさせます。

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2009年5月26日 (火)

全29曲入り!

Title:Everything She Touched Turned Ampexian
Musician:Prefuse 73

Everything She Touched Turned Ampexian

Prefuse 73の新譜は、なんと全29曲入り!かなり細切れのナンバーが次から次へと展開される作品で、1曲1曲を聴かせる、というよりも、アルバム全体としてひとつの作品として聴かせようとする内容になっています。

ただ、アルバム1枚としてひとつの作品・・・として意図したためか、どうもいまいとつインパクトが薄く、後に印象が残りませんでした。楽曲はいずれも、エレクトロニカ風の、アブストラクト・ヒップホップ。その次々と繰り広げられる音の世界には、魅せられるものがありました。が、どうもいまひとつ新鮮味に欠けるなぁ。

Prefuse 73ことスコット・ヘレンは、今回、Prefuse 73以外にもSavath&Savalas、Diamond Wathc Wrists名義で2枚のアルバムをリリースしているのですが、正直、Prefuse 73を聴くだけだと、ちょっと食指は動かなかったです。

久しぶりにエレクトロニカの作品を聴いてみたくなって聴いたのですが、やはりここに来て、このシーン、いまひとつ、新しい流れが生まれていないような印象を受けてしまいます。斬新な音を産み出し続けるのって、難しいんだなぁ・・・。

評価:★★★

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2009年5月25日 (月)

あのころのように?

Title:そしてもう一度夢見るだろう
Musician:松任谷由実

そしてもう一度夢見るだろう

3年ぶりとなるユーミンのニューアルバム。

久しぶりの新譜なのですが、どうもファンにとっては、かなり評判のよい作品になっているみたいですね。

なんとなく、その理由はわかります。この作品、とてもシンプル。ヘタな装飾がなく、ユーミンのメロディーと歌詞をしっかり楽しめる内容になっています。

また、その歌詞の内容も、一昔前のバブリーな作品と異なり、しっかり地に足をつけた内容になっています。ここらへん、3年前の「A GiRL iN SUMMER」から、ようやく、「バブルの女王」という位置付けを抜け出した感があったのですが、本作では、完全に80年~90年代の呪縛から解き放たれた印象を受けました。

アルバムタイトルといい、ちょっとオールドスタイルなジャケットといい、おそらくバブルの呪縛から抜け出して、原点回帰を目指した作品なのかもしれません。ただ、ユーミンの場合、その原点(=アルバム「ひこうき雲」)があまりに偉大すぎて、正直、原点に回帰しているとは思えませんでした(^^;;

むしろ、全体的には、あまりにもユーミンそのまんまのメロディーには、少々マンネリさすら感じてしまいましたし、ある種時代を感じてしまう、古臭さすら感じてしまいました。

そういう意味では、歌詞の面ではバブルの呪縛を抜けたかもしれませんが、メロディーの側面では、どうもマンネリズムも目立つ、悪い意味で「ベテラン」「大御所」になってしまったような、そんなアルバムのように思いました。

しかし、とはいえ、随所随所に松任谷由実の実力も垣間見れるアルバムであったのもまた事実。

歌詞では、例えば「ハートの落書き」の冒頭

「校庭のむこうから きみの打つ球音が
補習の窓に きこえていた夏
答えを探して でも見つけられなくて
とり残された 教室の隅の

机の傷あと ハートの落書き
最前線には 届かなかったけど」

(「ハートの落書き」より 作詞 松任谷由実)

なんか、たったこれだけの文章で、暑い夏の教室の風景が思い浮かんで、甘酸っぱいキモチになりませんか?ここらへんの風景描写と、心理描写は本当に天性の才能も感じさせます。

他にもメロディーでいえば「夜空でつながっている」のようなバラードなど、まさに絶品。ユーミンの天性のメロディーセンスを感じさせます。

それだけにこのアルバム。全体としては、確かに一時期の作品に比べれば、よい出来だったのは間違いないかもしれません。ただ、このレベルで終わるミュージシャンじゃないよなぁ・・・と感じてしまいました。

このレベルじゃないよね?次はまた、傑作を聴いてみたいです!!

評価:★★★★

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2009年5月24日 (日)

大味

Title:Music For The People
Musician:The Enemy

Music for the People

デビュー作が、全英で1位を獲得。各種メディアに大絶賛されるなど、大きな評判を呼んだ、イギリスの3人組ロックバンドの2枚目です。

まあ、正直、この手の「メディアが大絶賛」というバンドは、毎年、雨後の竹の子のようにたくさん出てきては消えていくわけですが、そんな中で、2作目というのは重要になってきます。この作品の出来いかんで、「やはりハイプだった」となって消えていくのか、大物になっていくのか決まるわけです。

The Enemyにしても、そんな2作目を意識したのでしょうか?待望の2作目を聴いてみて、パッと思ったのが、「気合いれすぎ」ということでした。

The Enemyの1作目は、そのポップでメロディアスなメロディーが大きな魅力でした。確かに、この作品でも、そのポップなメロディーラインは健在・・・なのですが、どうも全体的に大味という印象を受けてしまうのですよね。

叙情的なメロディーやアレンジ・・・うーん、ちょっと狙いすぎ、受けることを意識しすぎてしまったんじゃないかなぁ?ハードロックやアメリカンロックなどの影響も取り込んだようなサウンドは、ちょっと彼らの音楽性のベクトルを、あいまいなものとさせてしまっていました。

中には「Don't Break The Red Tape」のような、パンキッシュで、なかなかの出来の作品もあったし、メロディーには光るものもあったのですが・・・ちょっと残念。

決して「駄作」というレベルではないし、この作品だけで「彼らがハイプだった」と結論付けるのはもったいない、というレベルなのですが。次回作は、変に気負わず、もっと素直な作風の作品を、期待したいところです。

評価:★★★★

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2009年5月23日 (土)

ソウルフラワーユニオンの原点

Title:アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ
Musician:ニューエスト・モデル&メスカリン・ドライブ

アーリー・ソウル・フラワー・シングルズ

個人的に大ファンで、このサイトでもよく取り上げるソウル・フラワー・ユニオン。そのバンドは、もともと、ニューエスト・モデルとメスカリン・ドライブという2つのバンドが合体して誕生した・・・というのは、いまさら説明するまでもないですね(^^;;

で、今回発売されたこの2枚組のCDは、そのニューエスト・モデルとメスカリン・ドライブのシングルを集めたベストアルバム。私自身、ソウルフラワーにはまったのは、実はまだ最近、ということもあって、今回はじめて、ニューエスト&メスカリン時代のナンバーを、このアルバムで聴いてみました。

実はソウルフラワーに関しては、初期の作品ももちろん聴いていて、ニューエスト&メスカリン色がいまより濃かった初期の作品に関して、正直、さほどはまれない部分もありました。それだけに、ニューエスト&メスカリンについては、ちょっと好みからはずれるかなぁ・・・と期待していなかった部分もあったのですが・・・・

カッコいい!!まじで(笑)。予想以上にいい!

ニューエスト・モデルに関しては、中川敬のバンドということで、はっきりいってしまえば、完全にソウル・フラワー・ユニオンそのまんま(というよりは、正確にはソウルフラワーがニューエストそのまんま、というべきなんでしょうが)。パンクロックをメインにしながらも、ソウルや民俗音楽の要素を取り入れたスタイルは、この時期に完成された、ということでしょう。「杓子定木」なんで、ソウルフラワーの曲として演奏されても、まったく違和感がなさそう。また、反権力的な歌詞を、ユーモアをまじえて繰り広げる世界観も、この時期からかわっていません。

一方、メスカリン・ドライブの方は、骨太のロックサウンドに、ソウルの要素を色濃く取り入れたサウンド。ニューエストよりも、よりヘヴィーに、黒い音を鳴らしています。ここらへんは、今のソウルフラワーとは、ちょっと違った雰囲気かな?こちらもリスナーの耳をグイグイと惹き込むパワーを持ったロックンロールナンバーは文句なしでカッコいいです。

そしてどちらのバンドも、音楽で自分たちの主張を表現するのに、非常に貪欲な姿勢を感じます。特に、既にある程度完成されたソウルフラワーユニオンの音楽に比べると、この時期のサウンドは、まだ、いろいろな表現、ジャンルを自分たちのものとして取り込むのに手探りの状態。しかしだからこそ、逆に、緊張感のある作品が産み出されています。

ソウルフラワーユニオンの原点として、ソウルフラワーのファンなら、まず聴いておくべき作品。かつ、いまでもなお迫力のある彼(女)らの楽曲は、ソウルフラワー関係なく、チェックしておいて損はないと思います。彼(女)らのほとばしるパワーに圧倒された作品でした。

評価:★★★★★

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2009年5月22日 (金)

ひねくれポップが耳に残る

Title:monobright two
Musician:monobright

monobright two

個人的に、今、もっとも注目していて、かつ、勢いのある新人バンドの一組。

とにかくまず、メロディーがなんといってもおもしろいんです。

ひねくれポップとでも言うべきでしょうか?次から次へと展開されるメロディーラインが、妙にひねられていて、先の見えないようなメロディーを次から次へと繰り出してきます。

それなので、一般的な「売れ筋」バンドみたいな、キャッチーなメロディーは出てきません。それにも関わらず、このメロディーが特に耳に残るんです。

コード進行とかに特に詳しくないのですが、Wikipediaによると「Maj7を多用する独特のコード感が特徴」なのだそうで、メロディーを聴いていて感じる不思議な感覚は、こういう独特のコード感によるものなのでしょうか。ただ、変わったコードを使えばいい、というものではないでしょう。おそらく、ここらへんの絶妙なポップセンスは、天性のものなのではないでしょうか。

その中でも本作は、アニメ主題歌になり、自身初のベスト10ヒットとなった「アナタMAGIC」をはじめ、シングル曲を3曲も収録されているなど、かなりポップであることを意識したような作品になっています。

特にディスコチューンの「SGS」からリズミカルなカッティングギターが特徴的な「踊る脳」へと続く序盤は、いきなりアップテンポなダンスチューンの連続で、リスナーを否応なくアルバムに惹きこませる展開となっています。

ベスト10ヒットとなったシングルが、アニメタイアップによるヒットだったこともあり、そのシングルの売上の割りには、いまひとつ売上が伸びなかった本作。ただ、間違いなく、もっともっと注目を集めていいミュージシャンであり、作品だと思っています。今後も楽しみなミュージシャンです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Beyond The World/Tokyo No.1 Soul Set

内容云々はとりあえずおいておいて、とりあえず

Beyond The World(DVD付)

↑このジャケット写真はどー考えてもセンスないと思うんですが(苦笑)。

で、内容は。BIKKEのラップと渡辺俊美のボーカルのからみがとても美しく、また、聴いていて切なくなるような、少年時代のセピア色の風景を歌ったような歌詞も魅力的・・・なのですが、どうも全体的には、マンネリ感も否めません。

悪いアルバムではないし、それなりに満足でき、聴いて損になるようなアルバムではないと思うのですが。ちょっとワンパターンさが気になりだしてしまった作品でした。

評価:★★★★

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2009年5月21日 (木)

ライブの臨場感そのまま

Title:LeftRightLeftRightLeft
Musician:Coldplay

Leftrightleftrightleft

最近、ミュージシャンが自身のサイトで、無料ダウンロードで楽曲を提供するケースが多くなりました。

CDのパッケージとしての売上が、とか、ミュージシャンの収入云々、とかの議論はあるのですが、やはり音楽ファンとしては、こういう試みは素直にうれしいところ。特に、「買うまではないけど、気にはなる」というレベルのミュージシャンの曲を簡単に聴くことができるようになったのは、出会うミュージシャンの数が増えて、とてもうれしい話です。

今回紹介するのは、あのColdplayが公式サイトで無料ダウンロードをはじめた9曲入りのライブアルバム。なんでも、今年行われるライブ会場でもCDとして無料配布されるということ。ライブに来れない人も、こうやってダウンロードで聴けるというのは、すごくうれしい話です。

しかし、このライブ盤、無料で、というにはあまりにもお得感のある「名盤」になっていました。

まず、これは音のバランスの問題なのかもしれませんが、このアルバムから伝わるライブの臨場感が並じゃありません。

ファンの歓声や手拍子、また、楽曲によってはファンが一体になって歌う模様などがダイレクトに伝わってきて、会場のスケール感とともに、会場の「空気」もしっかりと伝わるような内容になっています。

そのため、会場の盛り上がりもダイレクトに伝わってきて、それが楽曲に相乗効果として反映されていました。

特に「The Hardest Part/Postcards From Far Away」から「Viva La Vida」への変り目での盛り上がりが異常(笑)。静かなバラードナンバーから、一気に盛り上がる展開には、mp3音源で聴いていても、ゾクゾクっと来るものがありました。

アルバム全体として会場のスケール感が伝わってくるのですが、その反面、アコースティックナンバーの「Death Will Never Conquer」では逆に、会場がアットホームな雰囲気になっていました。会場をスタジアムのような雰囲気にもライブハウスのような雰囲気にも、曲1つで作り上げられるColdplayというバンドの、ライブバンドとしての実力を感じられた一幕でした。

評価:★★★★★

ちなみにダウンロードするには・・・

バンドの公式サイト(http://www.coldplay.com/)にアクセス

右の「NEWS REEL」から、「Download LeftRightLeftRightLeft Now」をクリック
(5/21現在。おそらく、今後は「NEWS」をクリックすると、同じ表記のリンクにたどり着けるようになると思います)

「Click here to download your free copy」をクリック

Emailに自分のメールアドレスを入力。Countryは日本を選択。メルマガに登録されることになりそうなので、不要なら「Receive news from Coldplay.com?」のチェックをはずす。

メールが送信されるので、ダウンロードを開始

しかし、最近は、本当にこの手の無料ダウンロードによる楽曲提供が増えました。

ちなみに、ASHも同様に、1曲だけですが新曲を無料ダウンロード中だそうです。

さっそく新曲をダウンロード。ASHらしい、ポップでテンポのよいロックナンバーなので、ASHが好きな方は、さっそくダウンロードしてみることをお勧めします。

上の記事を読む限り、ASHは、今後、新曲をCDではなくダウンロードによって提供していく方針らしいですね。もし本当に今後、新曲をダウンロードのみで発表するなら、おもしろい試みですし、こういうバンドが増えれば本格的にCDという媒体は消滅してしまう運命にあるのかも・・・。

前にも書いたと思うのですが、現在は、「音楽をリスナーにどう提供するのか」「ミュージシャンは音楽からどう生活の糧を得るのか」を、予想以上に進歩のスピードの速い今のインターネット社会の中で模索している最中のようですね。今後、どう展開していくのか、リスナーの側としても注目していきたいところでしょう。

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2009年5月20日 (水)

なんだかんだいっても強いのね

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、またGW明けということで新譜ラッシュ。ベスト10のうち8曲までが新譜というチャートとなりました。

そんな中で見事1位となったのがモーニング娘。「しょうがない 夢追い人」2年半ぶりの1位獲得だそうで、最近はすっかりお茶の間レベルの人気からは遠ざかってしまったものの、根強い人気を感じさせます。

初動も前作の4万4千枚を上回る4万7千枚。人気が上昇・・・というよりも、初回限定盤として、DVD付2パターンで発売された影響といったところでしょうか?ただ、ここ最近、ようやく人気が下げ止まっている感はあります。

そして以下、上のオリコン記事でも記載されているように、今週は、なぜか「スペシャルユニット」のランクインが続いています。

2位のw-inds「Rain In Fallin'」は、韓国のBIGBANGとのコラボで話題だそうですし、ゆずとキマグレンのユニット、ゆずグレン「two友」が3位にランクイン。5位には加藤ミリヤ×清水翔太のコラボによる「Love Forever」もランクインしています。ちなみにオリコンの記事だと4位VAMPS「EVANSCENT」も含めていますが、VAMPSは恒久的に活動しているユニットなので、区分としてはちょっと違うような・・・。

今週、初登場の新譜はあと3枚。6位THE ALFEE「桜の実の熟する時」、8位中島美嘉「Over Load」、そして10位清春「狂った果実」がそれぞれランクインしています。

THE ALFEEは、これで連続ベスト10記録を42作に伸ばしています。前作は見事ベスト3入りを記録したのですが、今回も6位と難なく記録達成。まだ、記録は伸びそうです。

さて、今週は、この新譜ラッシュに関わらず、もう1曲、なんとベスト10圏外からロングヒットの末に見事初のベスト10入りしてきた曲があります。

それが今週9位にランクインしてきた樋口了一「手紙」。昨年10月に発売したシングルなのですが、ここ最近、各種テレビなどで大きく取り上げられ、デイリーチャートでも1位を獲得。そしてウイークリーでのベスト10ヒットとなりました。

「老い」をテーマに、認知症になった親の視点から、切実に介護の現実をまじえて歌い上げる内容が話題になった曲。たしかに、かなりドギツイ表現もあったりして、リアリティーを感じさせます。

その一方で、すごく時代性を感じさせるなぁ・・・という印象も。はっきりって、歌詞自体は、ある意味ヒネリもなにもなくて、むしろアイディアの勝利という感も否めません。ただ、こういう内容の曲が売れるという現実が、高齢化社会と呼ばれる今を如実に反映しているよなぁ、という印象を強く受けました。

使い古された表現に「歌は世につれ」という言葉がありますが、時代がレコードからCD、そしてダウンロードに着メロとかわっていっても、ヒット曲がその時代を反映しているという事実は、なんらかわることないんだなぁ、ということを実感させられるヒットでした。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムも、GW明けで新譜ラッシュ。こちらも10枚中8枚が新譜となりました。

そんな中、1位を獲得したのが、アメリカのメロディアスパンクバンドGREENDAY「21世紀のブレイクダウン」!こちらも根強い人気を見せ付けています。ただ、前作「American Idiot」が初動10万6千枚に対して、初動6万枚と大きく減少。「American Idiot」の評判がよかっただけに、もっと初動は伸びるかなぁと思ったのですが・・・。

以下、初登場は・・・

2位 IN MY HOUSE/山崎まさよし
3位 majestical parade/ナイトメア
4位 just A moment/凛として時雨
5位 ONE/BONNIE PINK
8位 THE IDOLM@STER MASTER SPECIAL 04
9位 jacaranda/tacica
10位 All My Love/SS501

となっています。

注目は4位の凛として時雨。前作「Inspiration is DEAD」は、初動が39位でわずか5千枚の売上だったのに対して、初のベスト10ヒット+初動1万9千枚と大躍進。一躍、人気バンドの仲間入りです。以前から、サブカルシーンでは注目のバンドだったのですが、ここに来て、その支持層を一気に広げたみたいですね。

9位tacicaも最近話題の3ピースバンド。アルバムでは初のベスト10ヒットとなりました。ただ、こちらはシングルの売上の割には思ったほど伸びなかったかな?

ちなみに、8位はゲームミュージック、10位SS501は、韓国のアイドルグループだそうです。

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2009年5月19日 (火)

やさしいメロディー

Title:THE BEST '03~'09
Musician:安藤裕子

THE BEST’03~’09

安藤裕子というミュージシャンは、間違いなく、今のシーンにおいて、女性ポップスシンガーの中で、頭ひとつもふたつも出ているミュージシャンの一人だと思います。

特にここ最近、オリジナルアルバムでも傑作が続いており(特に昨年リリースした「クロニクル」は、私個人でも年間ベスト10に入れたほどの傑作!)、もっとも勢いのあるミュージシャンの一人でもあります。

そんな彼女の初となるベストアルバム。

CD2枚組でのバージョンと、PV集を含めたCD+DVDでのバージョンという2パターンでの発売というのが、いかにもavexらしくてなんだかなぁ・・・と思うのですが、それでも、次から次へと繰り広げられる名曲の数々は、是非とも安藤裕子未体験の方はチェックしてほしいベスト盤です。

彼女の曲の大きな魅力は、やはりシンプルながらもリスナーをやさしく包み込むのような、そのメロディーと、おなじくやさしいボーカルでしょう。

特にメロディーに関しては、決して派手な盛り上がりがあるわけではないのですが、しっかりとリスナーの耳をつかむようなインパクトを持っています。

加えて、メロディーの合間合間にあらわれる、ドキっとするほどの美メロが実に魅力的。淡々としながらも、人をひきつけてやまないような美メロを要所要所に取り込む・・・という点では、どこか初期のユーミンを思い起こさせるようです。

楽曲は、ピアノアレンジのポップがメインながらも、バンドサウンドを取り込んだ、ロックテイストの「聖者の行進」や、和風のテイストを感じさせるバラードナンバーの「はじまりの唄」などバラエティーのある音楽性も垣間見せてくれます。

あらためて、安藤裕子というミュージシャンの素晴らしさを感じさせてくれるベスト盤でした。まだ彼女の曲をしっかり聴いたことない方。是非とも聴いてみてください。お勧めです。

評価:★★★★★

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2009年5月18日 (月)

パンキッシュでポップなエレクトロ路線

Title:It's Blitz!
Musician:Yeah Yeah Yeahs

It's Blitz!

Yeah Yeah Yeahsのアルバムを聴くのは、実は本作が最初。それなので、以前のことはよくわからないのですが・・・前作以前は、ガレージパンク路線のバンドだったみたいですね。それが本作では一転。エレクトロサウンドを大幅に取り入れ、ガラリとその雰囲気を変えた・・・そうです。

今回の作品で、エレクトロ路線がより忠実だったのは特に前半。「SOFT SHOCK」「SKELTONS」などは、ミニマルなシンセサウンドが印象的な、ある意味、「いかにも」なエレクトロポップ。心地よいリズムが耳に馴染みよい作品でした。

ただ、中盤以降は、エレクトロという括りよりも、様々な音楽性を随所に取り入れたサウンドが目立ちます。

「DULL LIFE」はパンキッシュな雰囲気ですし、「SHAME AND FORTUNE」はハードロック風。ラストの「LITTLE SHADOW」は、シューゲイザーからの影響も感じられます。

ここらへんのロックやパンクのダイナミズムを取り入れつつ、エレクトロのリズミカルな部分を取り入れつつ、かつポップにまとめあげている・・・少々まとまりの悪さも感じますが、ポップの壺を心得ているバンドだなぁ、という印象を強く受けました。

決して目新しいわけでありません。でも、ポップなメロディーが心地よく、かつパンキッシュなサウンドもワクワクさせてくれるようなアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

MAIL ON SUNDAY/FLO RIDA

アメリカで大人気のラッパーの作品。一見、かなりハードな雰囲気だが、楽曲はかなりポップで聴きやすく、ここらへんが人気の理由なのかなぁ?

ただ、なんでこう邦題がカッコ悪いんだろう・・・アメリカで大ヒットした「Low」の邦題が、「今夜はロウ☆ロウ☆ロウ」って・・・・・・(苦笑)。

評価:★★★★

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2009年5月17日 (日)

にほんのうた

Title:にほんのうた 第三集

にほんのうた 第三集

コモンズ・レーベルから、シリーズとして発売されている、日本の童謡・唱歌を、現在のミュージシャンたちがカバーする「にほんのうた」シリーズの第3弾。本作でも、UAや、曽我部恵一、bird、浜田真理子などのメンバーが、日本の懐かしい童謡・唱歌をそれぞれのスタイルでカバーしています。

基本的に、童謡や唱歌が現在まで歌い継がれているのは、そのメロディーと歌詞がいいから。今回のカバーも、やはりメロディーをきちんと軸として強調し、歌詞をしっかりと歌っているミュージシャンのカバーが、一番心に響きました。

ただ・・・どうもここらへんが、いわゆるサブカル系ミュージシャンの悪い癖なのでしょうか。必要以上に凝ったアレンジをほどこし、自己主張の激しいカバーも目立ちました。

具体的には・・・SANDII+BUN「うれしいひなまつり」とか、曽我部恵一「荒城の月」とか、アレンジが凝りすぎていて、元曲の良さがあまり生かされていなかった印象を強く受けました。

一方、力強いボーカルが魅力的だった吉田美奈子「早春賦」や、ウクレレを中心にシンプルなアレンジでまとめた浜田真理子「春の唄」などは、なかなかの絶品。どちらも元曲のメロディーの良さをいかしながらも、しっかりとしたボーカルで聴かせる作品だったと思います。

もちろん、こういう曲を、単純なアレンジ、無難なボーカルで収録すれば、よく通信販売などで売っている「日本の歌全集」みたいなものと全く一緒になってしまって、面白みに欠けるとは思います。

だからといって、エレクトロ風にアレンジしたり、民俗音楽風にアレンジしたりと、自己主張の強いアレンジは、元曲の良さをゆがめているような印象を受けちゃうんですよね。

そういう意味では、童謡や唱歌を今のミュージシャンでカバーしようとする企画って、難しいとは思うんですよね。この企画に関しても、半分成功していたけど、一方で、サブカル系の悪い部分が如実に出ちゃっていたなぁ・・・なんてことも思ったり。

ただ、悪いアルバムじゃないと思いますよ。前述のように、なかなかおもしろいカバーも多かったですし、童謡や唱歌のおもしろさも、しっかりと楽しめる企画だったと思います。今後も同じシリーズが続くのでしょうか?第四集、五集も聴いてみたいなぁ。

評価:★★★★

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2009年5月16日 (土)

沖縄風味のポップス

Title:でーじ、かりゆし
Musician:かりゆし58

でーじ、かりゆし【通常盤】

シングル「さよなら」が、テレビドラマ「銭ゲバ」の主題歌となり、ベスト10ヒットを記録した、沖縄出身の4人組バンド。このアルバムは、その「さよなら」も収録された彼らのフルアルバムでは2枚目となる作品です。

その「さよなら」のヒットもあり、はじめて彼らのアルバムを聴いてみたのですが・・・うーん、思った以上に薄味(^^;;

ちょっと言い方は悪いかもしれないけど、遅れてきた青春パンクバンドっていう感じでしょうか?

ベースにあるのは、パワーポップって感じかなぁ?「レイニー・レイニー」とか、かなり分厚いギターのパワーポップを聴かせてくれます。かと思えば、「エーデルワイス」はGOING UNDER GROUNDを思い出させるような、メロウなポップス。

全体的に、ギターロック主導のアレンジながらも、メロディアスなポップソング。ブルーハーツの「情熱の薔薇」もコピーしているように、基本的なベースにパンクの影響があるんでしょうが、メロディーはあくまでもポップス・・・という点に、一時期の青春パンクバンドからの流れも感じます。

沖縄出身ということで、多くの楽曲に沖縄風の味付けがされていますが、こちらもかなり薄味。「沖縄出身だから」というハク付けをするためじゃないの?なんてことまで思ってしまいます。

確かにメロにはそこそこのインパクトはあるのですが、いまひとつパンチに欠け、おもしろみがありません。「さよなら」のヒットで注目を集めたけど、これから先は、かなり厳しいかも。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

24 City&Plastic City/半野喜弘

映画「プラスティック・シティ」と「四川のうた」という、2つの映画に提供した楽曲を集めたサントラ盤。

↓みたいな非常に低い評価をしちゃっているのですが、これはあくまでも「CDで聴いて」の感想。映画の中では、非常に効果的につかわれているんだと思うし、音楽性が高いのはいうまでもありません。

ただ、静寂なサウンドに、悲しいストリングスが鳴り響く。それも、どこか不気味で、不協和音も響かせる・・・という楽曲は、楽曲だけ取り出して聴くには、とても辛いものがありました。正直、聴いていて欝になってきそうで・・・(苦笑)。

熱烈なファンか、映画を楽しんだ人じゃないと、ちょっと聴いていて辛くなる作品でした。

評価:★★

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2009年5月15日 (金)

典型的な「ヤンキー文化」

Title:湘南乃風~JOKER~
Musician:湘南乃風

湘南乃風 ~JOKER~

先日、某ニュース番組を見ていたら、最近の若者消費をうながすキーワードとして、「ヤンキー」という言葉をキーワードとして取り上げていました。

「ヤンキー」といっても、反社会的な不良・・・というよりも、いわゆるヤンキー漫画などによく取り上げられるような世界にあこがれを持つ、仲間の結びつきを大切にし、地元志向の若者たちが増えている、というお話。

で、ポップスの世界で、典型的なヤンキー系といえるのが湘南乃風ではないでしょうか?

仲間をなによりも大切にする歌詞に、連帯感を強調した前向き志向の歌詞。このアルバムにも、そのものすばり「親友よ」という楽曲まで収録されています。

うーん、でも個人的にはどうしてもこういう世界観には抵抗があるなぁ・・・。

てか、仲間内の連帯感を高らかに歌う傾向って、Dragon Ashのブレイク以降続いているのですが、ただ、本当の仲間なら、わざわざ「仲間が大事」って歌う必要ないですよね?こういうわかりきったような道徳感を、ことさら重要そうに歌うスタイルって、一昔前の教育テレビみたいで、すごく違和感があるんですよね。

ただ、そこらへんの内向きな世界観を差し引くと、意外と彼らの楽曲はポップでダンサナブル。やはり絶大な人気を誇るだけあって、この手の世界観に抵抗がある人でも、メロディーはすんなりと耳に入るような、そんな力を持っています。

もっとも、広い範疇で「ダンスホール・レゲエ」という括りにされそうな彼らのサウンドですが、あまりにポップ志向に走りすぎていて、リズムにもサウンドにもあまり面白みはありません。

ここらへんも、ヤンキー文化にありがちな、保守的な音づくりをしている・・・といったところなんでしょうか?いろいろな意味で、本当に典型的なヤンキー系のバンドだよなぁ・・・ちょうどこのアルバムを聴く直前に、テレビでヤンキー文化のことを取り上げられていたので、そんなことを考えてしまいました。

評価:★★★

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2009年5月14日 (木)

次の次元に

Title:VOLT
Musician:吉井和哉

VOLT 【通常盤】

「あ、次の段階に来てしまったな」。この作品を聴いて感じたのは、これ。

もともと、イエモンの時代から、洋楽風のロックンロールサウンドと、歌謡曲風の泥臭さをあわせもった、独特の「日本のロックンロール」という路線を築いてきた彼ら。

そしてイエモンの時代は、あえてそれを意識的に、「新しい日本のロックを築くんだ」という意気込みも感じられました。

しかし、吉井和哉のソロである本作からは、そんな意気込みは感じられません。

なんというか・・・すごく自然体なんですよね。本作は、いつも以上にヘヴィーなロックサウンドを前に押し出してきていると同時に、歌謡曲直系のベタベタなメロディーもそのまんま。

でも、そこには変な意気込みみたいなものは感じられず、実に自然に、マイペースに、そして時にはユーモラスをまじえて自分の音楽を楽しんでいるミュージシャン、吉井和哉がいました。

ちょっとタイプは違うかもしれませんが、なんというか、奥田民生あたりと同じ括りといっていいでしょうか?無理をしない。活動に余裕を感じられる。でも、しっかりと現役感を出して、大いなるマンネリに陥っていない。そういう意味で彼は、このアルバムで次のステップに到達した、そう感じたのです。

アルバムとしても、いつも以上にポップで聴きやすい内容。にも関わらず、ロックテイストも強い傑作に仕上がっていたと思います。

肩肘はらずに楽しめ、かつ、聴きこめば聴き込んだで楽しめる作品。なんか、ひょっとしたらかなりすごいミュージシャンになってきたのかも、吉井和哉・・・。

評価:★★★★★

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2009年5月13日 (水)

GW中は新譜は少なめ・・・

今週のヒットチャートの対象は、ちょうどゴールデンウィーク真っ只中。GWは世間もお休みで、レコード会社も・・・という訳で、例年のことながら、新譜が少なめのチャートとなっています。

 

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

そんな中で1位を獲得したのが、滝沢秀明「シャ・ラ・ラ」でした。ただし、初動はわずか4万6千枚。前作の初動5万7千枚をさらに下回るかなり厳しい結果に。確かに、ここ最近、彼の名前も、以前ほどは聞かなくなったような印象も。かなり厳しい岐路に立たされているような印象があります。

初登場は、このほか3枚。4位に木村カエラ「BANZAI」、7位SOPHIA「Baby Smile」、そして10位にMay'n「キミシニタモウコトナカレ」がそれぞれランクインしています。

SOPHIAは、約1年8ヶ月ぶりのシングル。かなり久しぶりに名前を聞いた印象が。前作は初動1万6千枚の売上だったのに対して、本作は、初動1万4千枚とほぼ横ばい。ここらへんも根強い人気をうかがわせます。

10位のMay'nはマクロスのエンディングテーマなどでヒットを飛ばした歌手。この曲もアニメソングながら、さすがにさほど伸びませんでしたね。アニメソングメインで行くと、曲にファンがついて、歌手本人になかなかファンがつかないから、今後は厳しそうです・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムも新譜は少なめ。そんな中、1位を獲得したのが、なんと、徳永英明「WE ALL」でした。

初動3万枚と、チャートの谷間的な数字とはいえ、オリジナルアルバムでは、17年の1位獲得だそうで、さらに男性ソロで3年代にわたって1位を獲得したのは、矢沢永吉、長渕剛に続く3人目だそうえ、これはまさしく快挙の一言でしょう。

さらに彼自身、オリジナルはなんと約5年ぶり(!)。その5年前のアルバムは、最高位25位という、ある意味完全に「過去の人」になってしまっていました。その後、「VOCALIST」シリーズが徐々に話題になるなど、人気を回復。途中、シングル「hapiness」では、「史上最低売上でのベスト10入り」という、微妙に不名誉な記録なども打ち立てたものの、「VOCALIST3」では、ついに1位獲得と、大ヒットを記録。続くオリジナルアルバムでも、見事な1位獲得となりました。

プロ野球界には、「カムバック賞」という賞がありますが、音楽界に「カムバック賞」があれば、間違いなく、満場一致で彼に贈呈したいところでしょう。これからも、まだまだ活躍は続きそうです。

他にアルバムで新譜は、9位に玉木宏「Times...」が、10位にマクロスFのドラマCD「娘ドラ◎ ドラ2」がそれぞれランクインしています。

また今週は、8位にJUJUのアルバム「What's Love?」が、先週の12位からランクアップしています。映画「余命1ヶ月の花嫁」のテーマソング「明日がくるなら」が、シングルチャートでヒットを記録。今週も2位にランクアップしていますが、その影響でアルバムもランクアップです。シングルヒットと同時に、アルバムも売れるというのは、完全にミュージシャンにファンがつきましたね。彼女、今後も長く人気が続いていきそうです。

 

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2009年5月12日 (火)

日本発 世界レベル?

Title:THIS IS MY SHIT
Musician:80kidz

THIS IS MY SHIT

海外でも話題になるなど、日本発世界レベルのエレクトロユニットとして今、最も注目される、80kidzの新作・・・・・・

らしいですね(^^;;はっきりいってほとんど知りませんでした。

先日、タワーレコードへ行った時に、大々的にディスプレイされており、パッと試聴してみて、かなりよかったため、半分衝動買いで買ってしまった作品(笑)。

ただ、試聴してかなりピンと来た作品ながら、正直言ってしまうと、「世界レベル」といわれて、具体的にどこかどういいのか、あまりわかりません。

JUSTICEあたりに通じるような、エレクトロ路線は、今のシーンの中で、よくありがちな音。決して目新しいわけでも斬新なわけでもありません。

にも関わらず聴いていて、はまってしまうんですよね。

おそらくこれは、彼らが抜群のポップスセンスを持っていて、リスナーの壺をついたような音づくりをしているから、なのではないでしょうか。

全編にわたって、ビートが強いロックテイストの作品が多く、かつダンサナブルな音づくり。リスナーの期待をいい意味で全く裏切らない展開は、何も考えず素直にその音に身をまかせることのできるポピュラリティーを持っています。

テクノポップ風の「7inch Pop」や、ディスコ風の「Frankie」など、ともすればベタに捉えられそうなポップソングを上手く組み合わせつつ、ハウス風の「Arab.Hertz Club」なども組み合わせ、バリバリの強いビートを効かせた「Fait La Danse」など、バリエーション豊富な楽曲を展開させ、ラストまで飽きさせません。

こういうバランス感覚の良さというか、リスナーの壺をつくという、ポピュラリティーに対するセンスの鋭さというか、ここらへんが高い評価を受ける要因なんでしょうか?

本当に「世界レベル」かどうか、といわれると、判断しずらい部分はあります。ただ、このアルバムが名作なのは間違いありません。エレクトロ好きに限らず、ロック好き、ポップス好きにもお勧めできる作品です。

評価:★★★★★

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2009年5月11日 (月)

少年と少女の物語

Title:Hymn To The Immortal Wind
Musician:MONO

Hymn To The Immortal Wind

どこか物悲しいジャケット写真も印象的な今回の作品は、「不死の風への賛歌」(Hymn To The Immortal Wind)という、本作のために書き下ろされた物語に基づく、コンセプチュアルな作品。ひとりの少年と少女の生と死、魂の永遠性をめぐる作品で、ブックレットにその作品が掲載されています。

今回は、その世界観を表現するためにオーケストラサウンドを導入しており、いつもの作品以上に荘厳で、そして雄大な作風に表現されています。

また、美しいストリングスやピアノの音色が奏でられる一方、楽曲全体としては、どこか物悲しさが表現されており、どこまでも美しい雰囲気がアルバム全体を支配しています。幻想的かつ神秘的なこの雰囲気は、独特の世界を作り出しており、リスナーをその世界に引きずり込ませる魅力を漂わせています。

ただ、その一方で、どこか限界も感じさせる作品だったのも事実で・・・

ちょっと厳しい言い方になるかもしれませんが、ただ音数を増やして盛り上げていこう、というパターンがアルバム全体に散見され、ちょっとワンパターンだったかな、ということも感じました。

また、このタイプのサウンドも今となっては決して珍しいわけではなく、新鮮味という意味では、いまひとつ物足りなさを感じられたのも事実。

いいアルバムだと思います。ただ一方で、彼らの限界・・・というよりも、既にこのジャンルって、やりつくされて、パターンが出尽くしちゃったのかなぁ・・・なんてことも感じてしまった作品でした。

評価:★★★★

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2009年5月10日 (日)

いまどき珍しい(?)明確なルーツ志向

Title:THIS IS MY STORY
Musician:THE BAWDIES

THIS IS MY STORY

デビューの時のレコード会社の煽り文句が「日本発!ビートルズの再来!」・・・・・・ってのは、どう考えても煽りすぎだと思うし、逆効果じゃないの??

ただ、MySpaceの彼らのサイトで楽曲を試聴してみたら、これがまたカッコいい!はっきりいって、はまってしまいました。

ジャケット写真を見る限り、どう考えても「今時の若者」のような風貌。にもかかわらず、本格的な60年代、あるいは50年代あたりの重厚なロックンロールサウンドに、しゃがれたハスキーボイス。はっきりいって、写真の風貌とは、かなり異質なイメージを受けます。

そして、このルーツ志向なロックンロールサウンドが、彼らの特徴であり、レコード会社が煽り文句として「ビートルズ」という言葉を出していた所以といえるでしょう。

彼らは、各種インタビューでも、明確にルーツ志向を打ち出しています。それって、ここ最近の日本のロックシーンとはちょっと違う風潮を感じます。ここ最近の日本のロックバンドって、ルーツにさかのぼっても、ヘタしたら10年程度前の日本のバンド。まあ、音楽ってのは、実力があればどんなミュージシャンに影響を受けようが関係ないので、それが一概にダメだ、とはいいません。ただ、少々あまりにバックボーンの薄っぺらさを感じさせるバンドが、最近は増えているように感じます。

そんな中で、ここまで明確にルーツにこだわり、それを忠実に再現しようとするバンドは珍しいのではないでしょうか。彼らのサウンドには、ロックンロールのルーツに対する、高い尊敬の念を感じさせます。

また、ブラックミュージックからの影響を強く受けているのも特徴的。ここらへんが、おなじくブラックミュージックの影響を強く受けたビートルズの再来という煽り文句を持ち出される理由なのでしょうか?中には、ファンクの影響を受けた曲もあり、ここらへん、決して60年代あたりに留まることなく、その後のシーンもきちんとフォローしていることも感じられます。

もうひとつ・・・というよりも、彼らがカッコいいと思った一番の理由は、そのリズムなのではないでしょうか。しっかりとブラックミュージックの影響を受けているだけあって、楽曲全体に、黒い雰囲気のリズムを感じさせます。ブラックミュージック独特のソウルテイストのリズムこそが、このバンドの大きな肝になっているように感じました。

「ビートルズ」なんて文句を用いられますが、露骨なブラックミュージックからの影響は、むしろストーンズの方に近いものも感じられます。ただ、アルバム全体を通じて聴くと、どの曲もとてもポップでメロディアスなんですよね。そういう意味では、確かに、ビートルズのポップスセンスを継承している、といえるかもしれません。

ただひとつ大きな弱点も・・・

それは、全編英語詞という点。うーん、日本のバンドなんだから、日本語の歌詞でこのグルーヴ感を出してほしかったなぁ。日本語の歌詞で、この作品と同じグルーヴを出せたら、まじでとんでもないバンドになるような予感もします。

個人的に、かなりはまってしまいました。これだけカッコよくて、そしてポップなバンド、なかなかいないのではないでしょうか。今年一番注目の新人バンドです。要チェック!

評価:★★★★★

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2009年5月 9日 (土)

なにもかも昔のままだ

Title:LINDBERG XX
Musician:LINDBERG

LINDBERG XX

90年代、「今すぐKiss Me」の大ブレイクで、一躍、人気バンドの仲間入りを果たし、その後も「BELIEVE IN LOVE」や「恋をしようよ Yeah!Yeah!」などのヒット曲を連発したバンド、LINDBERG。

はい。このサイトでも以前から何度か取り上げているように、中学から高校にかけて、私、大ファンでした(^^;;

2002年に、その活動に幕を下ろしたのですが、今年、結成20周年ということで再結成・・・・・・

って、ちょっと再結成が早くないか?

まあ、あくまでも期間限定の再結成なので、「イベント」という意味で、アリといえばアリなんでしょうが。

そして、その再結成にあたってリリースされたのが本作。アルバムとして18枚目ながらもタイトルが連番じゃないのは、「20周年」ということを特に強調しているからでしょう。

内容は、過去のヒット曲をリメイクした12曲+新曲3曲という内容。新曲の方は、往年のヒット曲を中心としたおなじみの選曲で、「POWER」あたりが選ばれているあたり、ライブも意識したのでしょうか?一方、「MINE」が収録されていないところは、少々意外な印象も。

ただ、本作、間違いなくリメイクなのですが、基本的には見事昔のまんまのアレンジで仕上げています。

まあ、あえていえば今風に、重低音部分の音を強調するようなバランスになっているのですが、「Dream On 抱きしめて」など数曲をのぞくと、原曲そのまんま。

リメイクにしてもあまりに忠実な原曲の「コピー」にちょっとビックリしてしまったのですが、再結成があくまでも期間限定の「同窓会的」な位置付けである点と、LINDBERGのファン層を考えると、仕方ないのかなぁ、なんてことも思ったりします。

新曲に関しても、「Re-FLIGHT ~あの日描いていた大人になってるかい?~」は、まさに「LITTLE WING」や「Over The Top」あたりに直結する王道の応援歌路線。また「それでも地球はまわるんです」「行こう!!!」は後期のポップス路線といった感じで、ファンが求めるLINDBERGらしさの壺をついたような作品になっています。

全体的には、あくまでも「昔を懐かしむアイテム」に留まっていて、かつてのファン向けアイテムの枠組みは出ていません。ただ、かつてのファンに対しては、きちんと求めるものをリリースしている点、彼らがいまなおポピュラリティーセンスを持ち続けているんだなぁ、ということを感じると同時に、それが彼らが一時期、かなりの人気を誇っていた理由なのかな、とも思いました。

かつてのファンなら間違いなく「買い」。それ以外の方にはあまりお勧めはできないアイテムといったところかな?かつてのファンだった私には、やはりとても懐かしく感じたのは間違いないのですが。

評価:★★★★

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2009年5月 8日 (金)

選曲がおもしろい

Title:PUFFY AMIYUMI×PUFFY
Musician:PUFFY

PUFFY AMIYUMI×PUFFY

PUFFYが、いままでカバーしてきた作品をまとめた、「カバー版ベストアルバム」

カバーとしては、はっきりいってしまって、特筆するような「解釈」みたいなものはありません。

どの曲も、ベタなギターロック風アレンジで、ボーカルも基本的に2人のユニゾン。ご存知の通り、決して「ボーカルで聴かせる」タイプの2人ではありませんし、そのため、原曲を「超えた」ようなカバーはありません。

しかし、それにも関わらずこのアルバム、聴いていてとても楽しく、ポジティブになるカバーアルバムになっています。

それはおそらく、PUFFYの2人が、素直に楽しく歌っているからなんでしょうね。彼女たちの歌は決して上手くはありません。しかし、誰よりも歌うことに対する「愛情」が感じられるカバーになっています。

そして、それにもましておもしろかったのが、彼女たちがカバーした楽曲の選曲でした。

GREENDAYやTHE HIGH-LOWSといったパンキッシュな作品、奥田民生、ユニコーンといった「さもありなん」的なカバー、PUFFYの名付け親が所属していたJellyfishのカバーから、ギターウルフにElectric Light Orchestraに、松田聖子に山口百恵・・・もちろんTHE BEATLESのカバーもありますが、選曲が、サイケデリックな作風で有名な、「Lucy In The Sky With Diamonds」・・・。

まさに古今東西の楽曲を集めたカバーアルバム。ジャンルを問わないこの選曲のセンスは、これまた音楽に対する素直な愛情が感じられます。

とにかくなにより歌うことの楽しさが全体から伝わってくるようなカバーアルバムでした。なんとなく、日本だけではなくアメリカでも、なぜPUFFYの人気が広がったのか、その理由がわかるようなカバーアルバムでした。

評価:★★★★

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2009年5月 7日 (木)

これからが楽しみ・・・かな?

今日は、新人バンド2組。

まずは、ボーカルがチェロ弾きという独自の編成で話題(?)ののあのわ。

Title:ゆめの在りか
Musician:のあのわ

ゆめの在りか

チェロを加えた編成・・・という割りには、チェロをあんまり生かしていなかったような印象が強く、普通のギターロックバンドという印象が。

あえていえば、JUDY AND MARY meets Charaって感じかな?クラムボンみたいな雰囲気も感じたけど。バンドサウンド主体のポップスに、クラッシックの要素を隠し味的に入れた、といっていいかな?

個人的には、もっとチェロを加えた、という独自の編成を前に押し出してきてもよかったように思います。前述のように、既存のミュージシャンの顔が思い出せちゃう時点で、少々のあのわとしての個性が薄かったかも。

伸ばすべき個性を持っているバンドだと思うだけに今後の成長次第ではおもしろいと思うのですが。

評価:★★★★

そしてこちらは、名古屋から出てきたギターロックバンド。

Title:SHY!!
Musician:竹内電気

SHY!!

基本的には「パワーポップ」バンドということになるのかな?ただ、パワーポップの一言ではおさまらない多様な音楽性が垣間見れます。

「happy end」は、あえていえばスキマスイッチ+くるり。他にも「semisuite」のように、ソウルの要素が入った曲があるかと思えば、「graffiti」は、VAN HALENあたりを思い出させるような、80年代のハードロック路線。かと思えばラストの「memories」は、いきなりThe Byrdsの「Mr.Tambourine Man」のイントロからスタート・・・と、実に多彩な音楽性を感じさせます。

それだけに、実力のほどを感じられるのですが、一方で、メロディーがいまひとつだったかなぁ。インパクトがないというか、ちょっとベタというか。幅広い音楽性の割りには「ヒネリ」を感じられず、これだけバリエーションのある楽曲にも関わらず、アルバムの最後には飽きがきてしまいました。

こちらも個性と実力のほどは垣間見れるだけに、成長次第ではおもしろくなりそうな予感はします。ただ、現段階だと、乗り越えなければいけない壁は多いかも。

評価:★★★

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2009年5月 6日 (水)

今らしいチャート その2

先週は、アニメソングとアイドル系がチャートを席巻し、実に「今らしい」チャートになりました。今週もまた、特にシングルチャートは「今らしい」チャートになっています。

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週強かったのは、アイドル系。1位NEWS「恋のABO」を筆頭に、4位中川翔子「涙の種、笑顔の花」、7位Buono!「MY BOY」、そして10位アイドリング!!!「baby blue」とアイドル系がズラリと並びました(中川翔子がこの括りなのかは、ちょっと微妙ですが・・・)

NEWSはこれでデビュー以来11作連続の1位。初動売上は、前作20万枚に対して23万枚と微増となっています。

他にランクインしてきたのも、今どきらしいミュージシャン。

2位は、最近、すっかりチャートの常連となってきたビジュアル系バンドシドのニューシングル「嘘」がランクイン。ビジュアル系というジャンルが、人気を取り戻してきて、チャートの常連になってきましたね・・・ただ、90年代後半のビジュアル系ブームが、お茶の間を巻き込んだ国民レベルの人気バンドを作り出したのに対して、最近のビジュアル系ブームは、アニソンやアイドルと同様、「一部の固定ファン」にとどまっているのが気になるところなのですが。

で、ここ最近のどちらかというと「薄く広く」というスタイルでのヒットは、着うた系。ただ、着うた系から産まれたミュージシャンって、ほとんど一発屋に終わっているんですよね・・・。

ただし、その中でも彼女はがんばっているみたい。3位にJUJU「明日がくるなら」がランクインです。ご存知、Spontania feat.JUJU名義の「君のすべてに」が、着うたからのヒットとなり、一躍注目を集めた彼女。同じ着うた主導でブレイクしたシンガーが、続々と脱落する中、彼女だけはいまだに高い人気を誇っているみたいですね。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アイドル人気はアルバムチャートにも波及(?)しています。今週1位はKAT-TUN「Break the Records -by you&for you-」でした。ただ、こちらは前作の初動24万枚から初動20万枚と、微減傾向。最近は、嵐とかの人気に隠れて、ちょっとKAT-TUNの影が薄いように感じられるからなぁ・・・。

そして、3位には、来ました!エレファントカシマシ「昇れる太陽」がランクインです。ここ最近、再び人気が上昇中の彼ら。前作では久しぶりのベスト10ヒットを記録しましたが、なんと本作では、ベスト3入りを記録!初動売上も前作の1万8千枚から2万6千枚に大きくアップしています。

アルバム初登場はあと4枚。7位以下に初登場が並びました。

7位 We(Love)hide~The Best in The World~/hide
8位 俺のルーツ/フロー・ライダー
9位 I KILL MY HEART/Tommy heavenly6
10位 ネクスト・タイム・アラウンド/MR.BIG

7位hideは、一体何枚目だ?的なベストアルバム。いかにもX JAPAN再結成&ツアーの便乗的な売り出し方には、ちょっと嫌な感じもしてしまいますが・・・。

フロー・ライダーはアメリカで人気のHIP HOPシンガー・・・なんですが、なんで、アメリカのHIP HOPミュージシャンの邦題って、こんなにダサいんでしょうか?以前、ヒットしたシングル「Low」も邦題は「今夜はロウ☆ロウ☆ロウ」なんて時代遅れな邦題でしたし、以前買った、Lil Wayneの国内盤アルバムも、全編ダサダサな邦題がついていたし・・・。

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2009年5月 5日 (火)

漫画のイメージにもピッタリ

Title:魔界遊戯~for the movie~
Musician:デトロイト・メタル・シティ

(CD)デトロイト・メタル・シティ/「魔界遊戯」〜for the movie〜【通常盤:CDのみ】

ちょっと「いまさら」の感はありますが・・・。

いまだに高い人気を誇る漫画「デトロイト・メタル・シティ」。昨年8月には実写映画化され、漫画の中でも登場するデトロイト・メタル・シティの「歌詞」に、実際のメロディーがつき、「デトロイト・メタル・シティ」名義でリリースされました。

シングル単位では聴いていたのですが、このたび、いまさらながらアルバムの方も聴いてみました。

いやはや、これはまた、よく出来ているなぁ~(笑)。

私自身、メタルはあまり聴かないし、デスメタルは全く聴きません。各種レビューサイトなどで、「これは決してデスメタルではない」という評をよく見かけていたので、このアルバムを聴くにあたって、You Tubeなどでデスメタルを聴いてみたのですが、確かに、本当のデスメタルと比べると、このアルバムの楽曲はあまりにポップすぎます(笑)。

ただ、もっとも、この漫画及び映画が意図する支持層は、コアなデスメタル愛好家ではありません。メタルを普段聴かない層にとっては、ちょうど「デスメタル」と聴いてイメージするような、かつ、普通にすんなり受け入れられるような、このアルバムで聴けるような「メタル風」の楽曲は、ほどよいバランスが取れている楽曲と言えるかもしれません。

もっとも、後半の楽曲に関しては、いわゆるデス声を強調した作風も多く、メタルを普段聴かないようなリスナー層にとっては、かなりヘヴィーな印象を受ける曲も多いのも事実。正直、「なんちゃってメタル」とはいえ、メタルに関して忌避感がある人にとっては、ちょっと厳しい内容かもしれません。

しかし、漫画で登場する歌詞の内容をそのまま曲にしちゃったこのアルバム。原作がもともとギャグマンガなだけに、このアルバムも、かなり笑えるような部分もチラホラ見受けられる内容になっています。

特に笑えるのは「メス豚交響曲」。テンポのよい、4つ打ちの打ち込みサウンドを入れてきた楽曲なのですが、テンポよく

「下半身さえあればいい」

という、漫画そのままのフレーズが繰り返されるシュールで、かつかなり笑える楽曲に仕上がっています。

確かに、映画のための企画盤であり、決して正統派のメタルではありませんが、漫画及び映画のイメージにピッタリくるような作品だったのは間違いないと思います。

ま、これが最初で最後だとは思うのですが、かなり楽しめた作品でした。前提として、漫画を読んでいる必要があると思うのですが・・・漫画のファンなら、チェックしてみて間違いない作品かと思います。

評価:★★★★

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2009年5月 4日 (月)

原点に戻ってきた、かな?

Title:KOKIA∞AKIKO~balance~
Musician:KOKIA

KOKIA∞AKIKO~balance~

一時期、あきらかに「売れ線のポップス歌手」として「消費」されてきた彼女でしたが、ここ最近、再び彼女の本当に歌いたい曲を歌いはじめています。

前作「The VOICE」もそんな彼女らしさがよく出ていた佳作でしたが、今回の作品も、「KOKIA」という名前と、彼女の本名「AKIKO」の名前を、無限大で結んでアルバムタイトルとした作品らしく、KOKIAというミュージシャンの本質が、よく出ていた作品になっていたと思います。

クラッシックやオペラなどの要素を取り入れた雄大な作風に、和風や東洋風のメロディー、アレンジを取り入れた楽曲の数々。彼女がこれまでに身に付けてきた音楽を、彼女の中でミックスさせ、体現化させた作品といえるかもしれません。

特にこの作品で一番の盛り上がりは、「KOKIA語」ともいえる、「意味不明な」でもトランシーな歌詞を綴った「ゲマトリア」から、クラッシックの要素を取り入れた、雄大で、かつ幻想的な「星屑のヴォーカリーズ」の流れでしょうか?「星屑のヴォカリーズ」は、彼女が昨年亡くした家族を思って歌った歌だそうで、それだけに、KOKIAの感情が胸にしみる作品になっています。

その後も、「戦火の花」では、絶えることのない戦争の悲しみと、その中で、彼女が歌い継ぐ意味を綴った傑作の歌詞に仕上がっていますし、ラストの「INFINITY」も、じっくりとこぶしの利いた彼女のボーカルを聴くことが出来る作品になっています。

ただ、あえてマイナスな点をあげてしまうと、ちょっとあまりにも感情を前に出しすぎてしまってたかな?もっとメロディーに凝ってほしかったなぁ、という点。そういう意味では、ここ最近ではよく出来た佳作ながらも、彼女をはじめて知った「trip trip」には及ばなかったかな?という印象を受けました。

ちなみにこの作品、配信&通販限定で、「AKIKO∞KOKIA~balance~」という作品もリリースされていて、それと2枚あわせてひとつの作品だそうです。残念ながら、こちらの作品に関しては、まだ聴いていないのですが・・・そういう意味では、この作品だけでいろいろと評価してしまうのは間違いかもしれません。しかし、KOKIAが、本当に歌いたい歌を歌っているな、そう十分に感じされる作品でした。

評価:★★★★

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2009年5月 3日 (日)

Do You Like Dance Music?

Title:GO
Musician:NONA REEVES

GO

ダンスミュージックというジャンルを、過去から現在の流行まで、幅広く取り上げ、NONA REEVES風のポップスにまとめあげた作品。

本作を、ワンセンテンスにまとめるのなら、そういう表現になるのでしょうか?

とにかく、冒頭からラストまで、とことん踊らせることに特化したような、ダンサナブルで、それでいてとてもポップな作品が並んでいます。

そして、ただダンサナブルでポップ、なだけではありません。ダンスミュージックと一言でいっても、幅広い音楽性を感じられるバラエティー豊かな作風に仕上がっているのもこの作品の大きな特徴といえるでしょう。

「A-ha」は、ディスコチューンながらも、テクノやロックの色合いが強い作風かと思えば、続く「Hey,Everybody!」はファンクより。さらに「GO」ではラップや、ハードロックなどの要素まで取り入れています。

その後も「Still」はニューソウルともいえる雰囲気の作品に仕上がっていますし、「N.e.g.a.t.i.v.e.B.o.y」「Clappin'」あたりは、最近のUKのニューウェーヴバンド、Frank Ferdinandの影響も感じさせますし、さらにラストの「Do It Again」に至っては、Perfumeからの影響か?と思わせるテクノポップ。

まさにブラックミュージックから、いまどきのテクノポップまで、いろいろな「ダンスミュージック」を取り込み、ポップに仕上げている・・・なによりもリスナーを踊らせること、そしてポップなメロディーで楽しませることを主軸にした作品になっています。

勢いも感じさせるし、なにより彼らのダンスミュージックとポップに対する愛情の伝わってくる作品でした。NONA REEVES、ここ最近、名作が続いているような印象が。これからの活躍が本当に楽しみです。

評価:★★★★★

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2009年5月 2日 (土)

・・・・・・・・・

ロック歌手の忌野清志郎さん死去

・・・・・・あまりのショックに思わず絶句してしまいました・・・・・。

復活してくれると、信じていたのに・・・・・・。本当に、言葉がありません。

ご冥福をお祈りします。

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ソニーの意図も見え隠れ

Title:JUDY AND MARY 15th Anniversary Tribute Album

JUDY AND MARY 15th Anniversary Tribute Album

タイトル通り、今なお人気の高いロックバンド、JUDY AND MARYのデビュー15周年を記念してリリースされたトリビュートアルバム。

といっても、ズラリと並んだソニー系のミュージシャンたち(^^;;SCANDALやらschool food panishmentやら、いかにもソニーが売り出したいんだなぁ、という新人バンドも並んで、ジュディマリの名前でプロモーションをしたいソニーの意図が見え隠れします。

そういうレコード会社の意図が見え隠れするようなトリビュートなだけに、幅広いリスナーをひきつける必要がある・・・・

ということもあるのか、どのカバーも基本的には原曲を大きく逸脱することなく、ポップにまとめあげていて、ジュディマリファンが素直に聴けるような内容になっていました。

昔、確かプリプリも同じような感じで「トリビュート」とか出されていたなぁ・・・なんてことを考えたりして・・・。

そうとはいっても、このトリビュート、ところどころにおもしろい組み合わせも見受けられます。

奥田民生「散歩道」とか、彼らしい脱力テイストあふれるポップに仕上がっていて、とてもユニークでしたし、HALCALIなどもわが道を行きながらも「ラッキープール」を彼女たちなりの解釈でカバーしていました。

ミドリ「ミュージックファイター」も楽曲をぶっ壊していておもしろかったけど、この曲、もとからぶっ壊れている雰囲気だったので、元曲を聴いた時のインパクトに比べちゃうと、ちょっとインパクトが薄かったかも。

いろいろな意味で一番おもしろかったのがやはり真心ブラザーズ「ドキドキ」でしょう。そう、真心ブラザーズといえば、ジュディマリのボーカルYUKIの旦那さんYO-KINGのいるバンド。カバーはホーンセッションも取り込んだ、真心らしい明るい雰囲気でのカバーになっていましたが、夫婦の「共演」という意味で、興味深いカバーだったと思います。

前述の通り、概して「無難なカバーアルバム」。なのでジュディマリファンや、参加ミュージシャンのファンは聴いてみても損はないかと思います。ただ、新しい出逢い、みたいなのは少ないかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

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2009年5月 1日 (金)

メタル+ポップ

Title:球体
Musician:ムック

球体

いままでの作品の中で、一番軽く、ポップに感じられた作品・・・かも。

なんて言っているのとは矛盾するかもしれないのですが、一方で、メタルテイストも強く感じられた作品。「咆哮」といい、いかにもメタルっぽい、早弾きのギターイントロが印象的な「レミング」といい、ハードコアテイストが印象的だったここ数作に対して、メタル路線がより強調された作風になっていました。

一方で、メロディーを主眼においたポップな楽曲も多い印象を受けました。前述の「レミング」も、メタル風のアレンジながらも、ポップなメロディーラインが特徴的でしたし、テンポのよい「オズ」のような、楽曲もあるかと思えば、物悲しいメロが印象的な「浮游」や、和風な雰囲気のメロを奏でる「hanabi」など、メロディーをしっかりと聴かせる楽曲も目立ちました。

メタル風のアレンジに、打ち込みのリズムを取り入れ、ハードコアテイストに仕上げた「ハイドアンドシーク」みたいなおもしろい曲もあったのですが・・・アルバム全体としては、ポップで聴きやすい半面、ある意味誤解をおそれずに言えば、「フツー」のビジュアル系バンドっぽい内容だったかも。

・・・という言い方をすると偏見のあるような言い方かもしれないのですが(^^;;いろいろなタイプの音楽性を取り入れた結果、全体としては少々薄味になってしまったような感じもしました。

とはいえ、メロディーをしっかり聴かせてくれて、全体的にポップにまとめたおかげで、比較的広いリスナー層も取り込める内容になっていたと思います。ただ・・・個人的にはもっとムックとしての個性がゴリゴリと出ているような作風の方がおもしろかったかも。悪いアルバムじゃないけど・・・というなんか煮え切らないような感想が残ってしまう作品でした。

評価:★★★

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