American Idiotの後
Title:21st Century Breakdown
Musician:GREEN DAY
前作「American Idiot」が、深いテーマ性と社会性、そして雄大に展開された物語で大きな話題となり、グラミー賞を受賞するなど、絶大な評価を得たGREEN DAY。その大注目の作品の後、ということで、俄然、注目を集める1枚といえるでしょう。
で。本作も、基本的には前作の方向性を引き継ぐ内容となっています。
3部構成となった本作は、グロリアとクリスチャンという2人の若者を主人公とする物語を軸とする歌詞。アメリカの現状の中での、若者たちの不満をストレートにぶつけたような歌詞は、かなり直感的に思われます。
ただ、現状をかなりシビアに切り取った内容ながらも、1幕目のラスト「LAST NIGHT ON EARTH」はやさしいラブソング。また、最後を締めくくる「SEE THE LIGHT」のラストも、どこか希望を持った終わり方をしており、アルバム全体として「優しさ」のようなものも感じられました。
アルバム1枚でひとつの楽曲のような内容。1曲単位で配信されていく、ネット社会の今だからこそ、逆にコンセプトアルバムでしか出来ないような内容で勝負する彼らの、確固たる主張が感じられる作品です。
しかし一方で、出来として前作と比べると、少々物足りなさも感じてしまいました。
一番の理由がやはりメロディーライン。どうも1曲1曲単発で聴いてもインパクトのあった前作と比べると、メロディーが平凡というか、いまひとつ印象に残りません。
ストレートでポップなパンクサウンドは、むしろ初期の傾向を感じさせるものの、初期のGREEN DAYにも感じたワンパターンさが、このアルバムでも感じられてしまいました。
それでも初期の作品は、勢いで押していけたのですが、残念ながら、この作品には、そんな「勢い」で押すタイプではありません。それだけに、メロディーがいまひとつという印象を受けてしまいました。
コンセプト的には文句なし。歌詞も非常によく出来ています。それだけに、メロディーにもうひとひねり・・・と思ってしまうのですが・・・。ただ、そこらへんを差し引いても、「American Idiot」の次としては、なんとか合格点かな?確実にGREEN DAYがその地位を固めつつあるように感じられました。
評価:★★★★★
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