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2009年4月

2009年4月30日 (木)

やはりまだ・・・

Title:supercell
Musician:supercell feat.初音ミク

supercell (通常盤)

個人的には、ニコニコ動画での投稿だとか、同人音楽とか、従来のスタイルとは違う、「素人」がネットとか「おたく文化」の中から音楽を生み出してくる流れに対して、楽曲の良し悪し、好みの問題は別として、とても興味を持っています。こういう「新しい文化」から、いままでにないタイプの音楽って生まれてくると思うんですよね。

で、またネット上で話題の「初音ミク」をつかったアルバムがヒットを飛ばしたので聴いてみたわけです。

それでこのアルバムに対するamazonなどでの評価で、「歌詞が平凡で・・・」というのがあるのですが・・・

歌詞が平凡かどうか以前に、歌詞が聞き取れません(苦笑)。

初音ミクのボーカルが、あまりに人工ボイス風そのまんまで、歌が聞き取りにくいんですけど・・・(^^;;

この「初音ミク」というソフト自体は触ったことないので、詳しい構造とかわからないのですが、ここらへんはわざと「人工っぽい」エフェクトにしているんでしょうか?

ただ、以前に聴いたlivetuneは、どちらかというとテクノ系のアレンジがメインで、「楽器の一部」としてボーカルを使っていた印象があったのに対して、こちらは、完全に歌メインで、メインボーカルとして初音ミクを使っています。

そうすると、完全に感情の欠落した人工ボイスを、アルバム1枚聴くのって、ちょっと辛いんですよね。「初音ミク」という技術や、それをめぐる動きに、最初から「好意」を持っているリスナー層ならともかく、それ以外のリスナー層が受け入れるのは、少々厳しい部分があるのではないでしょうか。

楽曲の方は、少々オーバーエフェクト気味なのが気にかかるものの、しっかりとしたアレンジで、骨格のあるサウンドとメロディーを聴かせてくれます。

ある意味「王道」ともいえるスタイルで、イメージとしては、「プロの作曲家が楽曲を提供した、アイドルが歌う一昔前のアニメソング」ってイメージかな。いや、悪い意味じゃなくて、素直に良く出来ている曲だな、という印象を受けます。

ただ一方で、せっかく「同人音楽」やら「ネット発」やら、既存のレコード会社などのシステムにまったくとらわれないミュージシャンなのに、斬新さみたいなのに乏しく、むしろ、既存の「王道」的な楽曲づくりをしているのは、ちょっと残念な感じがしました。

少々厳しい言い方をしてしまうと、よく出来た楽曲だとは思うけど、「初音ミク」という枠組みをはずしたら、「よくあるポップソング」の域を出ないなぁ、という印象。また「初音ミク」にしても、歌メインにしてしまうと、まだまだ厳しい部分があるなぁ、という感想も抱いてしまいました。

いわゆる「名作」ではないけど、今後のポピュラー音楽史的に「意味のある作品」になる可能性のある1枚だと思います。今後、もっともっとおもしろいアルバムが、このシーンからあらわれるのを期待したいところです。

評価:★★★

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2009年4月29日 (水)

今のチャートらしいチャート

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週はまたもや、最近のシングルチャートの典型的なチャートになりました。

まずはアニメソング。2位、4位にTBSアニメ「けいおん!」から桜高軽音部「Don't say "lazy"」「Cagayaku!GIRLS」、10位は純粋なアニメソングというよりも、キャラクターソングなのですが、「ヘタリア キャラクターCD vol.2 ドイツ」がランクインしています。

「けいおん!」は最近話題の高校の軽音楽部舞台のアニメだそうで、音楽は、それらしい、ハードロック風のギターロック。ただ、ネット上では、「最近のJ-POPよりすばらしい」みたいな書き方が目立つんですが、基本的に最近のヒット曲は、R&BやHIP HOP寄りの音が多いので、最近のJ-POPと比べてみても、「単なるジャンルの違い」でしかないんじゃないかなぁ・・・。

かういう私も、高校生の頃、はじめて洋楽を聴いた頃に、ピンクフロイドを聴いて、あまりに作りこまれた音に、「すげー!こんな音楽、ヒット曲にはないや!やはり洋楽は邦楽とは全然違うんだなぁ」と思って感動したのですが、今考えると、「あれはああいうジャンル。普通のヒット曲と違うのは当たり前で、優劣の問題ではない」と思うのですが、なんかそれと似たようなものを感じます。

あ、でもいまでも結構好きなんですけどね、ピンクフロイド。

ちなみに7位林原めぐみ「集結の園へ」はアニソンかと思いきや、パチンコのイメージソング。逆に6位絢香「夢を味方に」は、アニメ「クロスゲーム」のエンディング曲だそうです。

そしてもうひとつ強いのがアイドル系。

1位に東方神起「Share The World」、9位にAKB48からのユニット渡り廊下走り隊「やる気花火」がそれぞれランクインしています。ちなみに東方神起は、アニメ「ONE PIECE」主題歌と、なにげにアニメソングだったりします(^^;;

タイアップ効果もあってか、初動売上は前作の7万5千枚から大きくアップの9万8千枚で、堂々の1位。ちなみにふと思ったのですが、もし日本人アイドルが、韓国へ行って、「Share The World」なんて曲をリリースしたら、バッシングの嵐だろうなぁ・・・。

そんな中で孤軍奮闘?だったのが3位のゆず「逢いたい」でした。彼らも固定ファンに支えられているタイプのユニットですけどね。ただ、初動売上は、6万1千枚と、前作の5万2千枚よりもアップ。なにげに根強い人気を感じられます。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムは、オーバー30、40に懐かしいようなアルバムが・・・。

まず1位。つるの剛士「つるのうた」が1位獲得。先日の上地雄輔につづく、羞恥心メンバーからのソロによるヒット。なんか、ちょっとバブリーともいえそうな人気になっていますね、羞恥心・・・ちょっとビックリです。

で、ちょっと懐かしいのが3位のカーペンターズ「カーペンターズ40/40~ベスト・セレクション」。結成40周年を記念したベスト盤だそうで、しかし特に日本では彼女たちの人気は根強いですね。かつてリリースしたベスト盤「青春の輝き」も300万枚を超えるヒットとなりましたが、このアルバムも、かなりの売上を記録しそうです。

もうひとつ懐かしいのが、5位にランクインしているLINDBERGの再結成アルバム「LINDBERG XX」!デビュー20年を記念してこのたび、期間限定で再結成しリリースしたアルバムが、本人たちにとってはオリジナルでは「LINDBERG X」以来のベスト10ヒットとなりました。なにげに固定ファンが多くて、根強い人気があるんですね、彼女たちも。

ちなみに、このすぐ上4位にはドリカムのアルバムがランクインしているのですが、ドリカムとLINBERGって、ちょうどブレイクした時期がおなじくらいなんですよね(「今すぐKiss Me/LINDBERG」→1990年2月7日発売 「笑顔の行方/Dreams Come True」→1990年2月10日発売)。なんというか・・・差がついちゃったなぁ・・・。

他にアルバムは・・・

6位に韓流アイドルリュ・シウォン「Ryu Siwon Single Collection」が、8位にラルクのギタリストKenのソロアルバム「IN PHYSICAL」が、そして9位に、テレビアニメ「ソウル・イーター」のサントラ盤「THE BEST OF SOUL EATER」がそれぞれランクインしています。

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2009年4月28日 (火)

マドカプからのソロプロジェクト

Title:#1
Musician:AA=

#1

THE MAD CAPSULE MARKETSのベーシストであり、マドカプの曲のほとんどを手がける上田剛士によるソロプロジェクトの、初のアルバム。

現在、活動休止中のマドカプ。ボーカリストのKYONOは既にWAGDUG FUTURISTIC UNITYとしてアルバムもリリースしています。今回は、それに続き、上田剛士もついにソロでのデビューとなりました。

凶暴な爆音で突っ走るWAGDUG FUTURISTIC UNITYと比べると、こちらは比較的メロディアスでポップな作風となっています。そのため、パッと聴き、マドカプや、WAGDUG~と比べると、少々地味な印象を受けるかもしれません。

しかし、マドカプの頭脳であり、ほとんどの曲を手がけた上田剛士のソロなだけあって、基本的には完全にマドカプの路線を引き継いでいます。

ハードなギターサウンドに、テンポのよいリズミカルな電子音、そしてキャッチーとすら表現できるポップなメロディーライン。マドカプが好きなら、間違いなくはまるような曲が並んでいます。

例えば「FREEDOM」など、最初はハードコアな楽曲で爆音をかきならすデジタルハードコアを繰り広げながらも、サビの部分では一転ポップに・・・という展開はマドカプの王道ともいえるような楽曲構成。

他にも、ハードな電子音をかきならしながらも、ポップなメロディーが展開される「LOSER」や、ビートの重い打ち込みが前面に押し出されながらも、メロディーはとことんポップな「ALL ANIMALS ARE EQUAL」など、ポップとハードのバランス感覚が実に見事。マドカプが好きなら、絶対に楽しめる作品になっていました。

ただ一方で、WAGDUG FUTURISTIC UNITYのような即効性があるようなハードコアサウンドにはちょっと欠けていたような印象も受けました。そういう意味ではやはり、マドカプのメンバーが揃って、THE MAD CAPSULE MARKETSとしての作品を出したほうが、より傑作がリリースできるのでは・・・なんてことも考えてしまいました。

よく出来た作品ながらも、マドカプの不在を嘆いてしまう作品。そろそろ活動再開、期待したいのですが。

評価:★★★★★

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2009年4月27日 (月)

間違いなく「好みのタイプ」なのですが・・・。

Title:風味堂4
Musician:風味堂

風味堂4

思いっきりポップなメロディーラインと、ピアノのアレンジ・・・。

個人的にはかなり壺な曲、のはずなんですけどね。KANしかり、Billy Joelしかり。

実際に、今回収録されている曲は、1曲1曲取れば、いい曲が並んでいますし、かつ、バラエティーがあります。

アップテンポのさわやかなポップチューン「Hey,Boys and Girls!」「世界一甘いキスを交わしたら」とリスナーをひきつけますし、ジャズ風の「禁煙宣言」は、ギミックの効いたユニークな歌詞が楽しめます。

ムード歌謡曲風の「昼下がりのBallerine」にカントリーな「退屈な日曜日」。そして、「Bye Bye Goodbye」などは完全にBilly Joelを意識したように感じられますし、テクノポップ風の「未確認飛行物体な少女」あたりはPerfumeすら意識したのでしょうか?

とにかく最初から最後まで様々な曲を織り交ぜ、懐の深さを感じさせるのですが・・・

しかし、どーもいまひとつ、聴いた後の印象が薄いんですよね。

あまりにもいろいろなタイプの曲を詰め込んだ結果、アルバム全体がバラバラ・・・といいたいところなのですが、冒頭のポップなピアノチューンという一本の柱が通っていて、それなりの「統一感」があります。

で、この後に残らなさはなんだろうなぁ・・・と思ったのですが、おそらく彼らには、ともすれば「好き嫌い」がわかれそうな「癖」が足りないんじゃないかなぁ、という結論に達しました。

昨日のBUCK-TICKのレビューでも同じような表現をつかったのですが、ある意味、BUCK-TICKのような、一度聴けば誰でも彼らだとわかるような、ともすれば嫌いな人には受け付けないような「癖」を持っていたほうが、インパクトがあって、逆に高い支持を得られたりするんですよね。

要するに彼らの曲って、ほどよくきれいにまとまりすぎていて、よく出来ているけど、それ以上ではない、という感じになってしまっているんですよね。

ある意味、変な癖がないほうがいい、CMソングなどにはピッタリなのかもしれないのですが・・・やはりもうひとひねりほしいところなんですよね。

冒頭に書いたとおり、基本的に「好みのタイプの音を出すバンド」なだけに、もっとがんばってほしいところなのですが。このまま消えていきそうでもあるんだよなぁ、彼らは(苦笑)。

評価:★★★★

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2009年4月26日 (日)

歌謡曲も意識?

Title:memento mori
Musician:BACK-TICK

memento mori

正直、BUCK-TICKみたいな、「大」がつくベテランバンドについて感想を書くのって難しいんですよね。特に、彼らの場合、アルバムをきちんと聴き始めたのが最近で、過去の曲に関しては、「ベスト盤」程度しか聴いていなかったので・・・。

まあ、そんなエクスキューズしながら感想を書いてしまうわけですが(^^;;

パッと聴いてまず思ったのは「かなりポップな作品だなぁ」ということ。

特にここ最近は、ヘヴィーなインダストリアルメタル方面に進んでいたような印象が強いだけに、シンプルなハードロック路線のバンドサウンドにポップなメロディーラインという作品も多かった今回の作品は、かなり軽いという印象を受けました。

で、その一方で、様々なジャンルの音をほどよく取り入れていたな、という印象も。

「Les Enfants Terribles」は、ガレージパンク風な音も取り入れていたり、「Memento mori」は、THE BOOMの「島唄」を思い起こすような、沖縄音楽風の楽曲にしていたり、「アンブレラ」などは歌謡曲・・・それもアイドル歌謡曲を意識したような作品だったり・・・。

かなり全体的にはポップで明るい雰囲気がある作風に仕上がっていました。

ただその一方で、歌い方といい歌詞の世界といい、どこかBUCK-TICKらしい「癖」を持っていて、ここらへんが強い個性であると同時に、好き嫌いはでそうなイメージも。まあ、逆に、「癖」の部分こそ、彼らが長いこと人気を持続している大きな理由なのでしょうが。

個人的には正直、インダストリアル方面が結構気に入っていて、もっとゴリゴリのバンドサウンドを聴かせてくれた方がうれしかったかなぁ、とも思うのですが・・・様々な作風の曲を聴かせてくれ、BUCK-TICKというバンドの懐の深さも感じられた作品でした。

評価:★★★★

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2009年4月25日 (土)

目指す方向はどっち?

Title:HYDE
Musician:hyde

■送料無料■通常盤■HYDE(L'Arc〜en〜Ciel) CD【HYDE】09/3/18発売

L'Arc~en~Cielのボーカリスト、hydeのソロとしての作品を集めたベスト盤。

ここ最近、hydeの活動としては、VAMPSとしての活動がメインとなっているだけに、hyde名義での活動に一区切りをつける、という意味でのベスト盤、といったところなのでしょうか。

こういうバンドのボーカリストのソロ、というとやはり気になるのが、メインとなるバンドとの音楽性の差というポイント。

前半は、現段階でのhyde名義での最新作「FAITH」からの作品が並ぶのですが、こちらは、ニューロマにメタルの要素を加えた、一般的に「ビジュアル系」と呼ばれるバンドの音として想像されそうな楽曲が続きます。

初期のラルクっぽい雰囲気もあり、最近ではすっかり「オルタナ系ギターロックバンド」的な方向にすすんじゃったラルクですが、hydeとしてはもっとこういうタイプの音をやりたかったのかなぁ、なんて思ってしまいました。

ただ、後半あたり「HELLO」「HIDEAWAY」など、最近のラルクっぽいギターロック路線の曲もあり、あれ?やはりラルクの方向性も彼の中では「やりたい方向」なのか?なんてことも思ったりもしてしまったり・・・。

もっとも、このアルバム、どちらかというとアルバムは最近の曲から昔の曲にさかのぼる形なんですよね。初期のソロの作品は、「ラルクのhyde」として求められる曲をやり、徐々に最近になるにつれ、hydeのやりたい曲をやるようになった・・・と考えると、やはり、最近の楽曲こそ、彼がやりたい曲なのかなぁ・・・と思ったりして。

で。VAMPSとしての活動になるわけですが、正直、VAMPSとしての楽曲は、まだきちんと聴いたことないんですよね(^^;;アルバムは聴こうと思っているのですが。今度リリースされるVAMPSとしてのアルバムで、hydeの進みたい方向性はどちらなのかわかりそうです。

評価:★★★★

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2009年4月24日 (金)

ブリット・アワーズ功労賞受賞!

Title:Yes
Musician:Pet Shop Boys

Yes

祝!ブリット・アワーズ功労賞受賞!

日本では、そこそこの知名度、といった感じの彼らですが、イギリスでは既に大物ベテランミュージシャンとして、絶大な支持を得ている・・・・・・といっていいのでしょうか?

そんな彼らの新作が到着しました!

なんかね、「功労賞受賞」なんて、すっかり大物なんだなぁ、と思ったりもするのですが、彼らのアルバムは、本当にどの作品も、気取らない素敵なポップソングを聴かせてくれるんですね。

「くるみ割り人形」をサンプリングした、ユニークな「All over the world」、テンポがよくリズミカルな「Did you see me coming?」や、同じくポップソングでインパクトのある「Pandemonium」あたりが特に耳を惹きます。

しかし、どのナンバーも、打ち込みのサウンドをベースとしたアレンジながらも、とても暖かみのあるポップスばかり。そのやさしい包み込むような歌声とともに、しっかりと心にしみこんでくる、素敵なポップソングの連続でした。

本当は、既に大物ミュージシャン、なはずなのですが、シンプルなポップソングは、素朴さと魅力と親近感を覚える曲ばかりです。

正直、決して真新しいわけではありません。しかし、どんなリスナー層にも薦められる、素敵なポップアルバムがまた登場しました。暖かいメロディーのポップソングが聴きたい方、お勧めです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Accelerate/R.E.M.

R.E.M.といえば、個人的には泥臭くて、いかにもアメリカンロックといった雰囲気で、あまり好みのタイプではないかも・・・という印象があったのですが、しかし、この作品は、出だしの「Living Well Is The Best Revenge」からアップテンポでポップな楽曲。その後も特に前半は、アップテンポで聴きやすいナンバーが並んでいて、アルバム全体としても、確かにR.E.M.っぽい泥臭さは健在ながらも、いい意味で聴きやすいアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Hard Candy/Madonna

Pharrell Williamsや、Justin Timberlakeなどをむかえ、R&B、HIP HOP色の強い作品となった新作。しかし、これだけの大ベテランになっても、いまだに新たな音を取り込もうとする挑戦心には本当に感心します。

ただ、もっとも内容の方は、実力派を並べただけに、悪くはない出来ながらも、「今時の音を卒なくまとめました」といった感じで、悪くもなく、絶賛するほどもなく・・・といった感じかな。テンポのいいアルバムで十分楽しめる作品ではあるのですが。

評価:★★★★

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2009年4月23日 (木)

でしゃばりすぎず、引っ込みすぎず

Title:m-flo inside-WORKS BEST III-
Musician:m-flo

m-flo inside-WORKS BEST III-

m-floが、他のミュージシャンたちの作品に、フューチャリングなどの形で参加したり、楽曲を提供したりした楽曲を集めた、アナザーワークベスト。「III」にはなっていますが、LISA在籍時の「ソトシゴト」もあるので、正式には、「第4弾」ということになります。

今回も、Crystal Kayや加藤ミリヤ、melody.などといった以前の作品にも参加しているミュージシャンたちや、LISAの作品も収録されている他、注目は、The Ting Tingsや、T-PAINというミュージシャンたちと組んだ作品も収録されていること。どちらも、日本盤においてのゲスト参加で、決して「世界に進出!」というわけではありませんが、海外勢とのコラボは、やはり、曲の幅も広がりおもしろいなぁ、と思ってしまいます。

そんな海外勢の参加もあって、ちょっと気になっていた「I」「II」の頃の、参加ミュージシャンが仲間内がほとんど、という閉鎖性が、比較的薄れたかな?ということを感じます。

海外勢以外にも、RYUKYUDISKOと組んだディスコチューン、Soweluと組んだデジロックチューンなど、ソウル、HIP HOPに留まらない曲調が魅力的です。

個人的には、もっとバリバリのロック勢とか、意外なポップスミュージシャンとも組んでよ、とも思うのですが・・・m-floの「顔の広さ」を、本作からは感じることが出来ました。

で、こういうベストであらためて感じるのですが・・・

彼らがいろいろなミュージシャンの楽曲に参加できるのは、彼らの「でしゃばりすぎず、引っ込みすぎず」のスタンスがちょうどいいんだなぁ、と思います。

なんというか・・・彼らが参加している曲って、決して完全な「m-flo色」に染まることはないんですよね。例えばレイハラカミなんか、どんな曲に参加しても、レイハラカミ色に染まってしまうのですが、それとは対照的といったところでしょうか(いや、その人の色に染まっちゃうというのもまた魅力なんですが)

かといって、個性がないか、と言われるとそうではなく。特にverbalのラップなんかはちょっと聴けばすぐわかるような個性がある声をしています。プラス。適度に「今風」なサウンドを、ちょうどいい塩梅で加えてきて、かつ、しっかりとポップにしあげる・・・ここらへんのバランス感覚が、特に「あまり自分の個性を殺されたくないけど、今風のサウンドも加えたい」という、売れ筋のミュージシャンたちに受け入れられやすいのではないでしょうか。

ちなみにこのアルバム、2枚組になっていて、2枚目は、彼らの過去のヒット曲を、クラブでのDJプレイ風にまとめたDJ Mix盤。過去のヒット曲を概観できる作品。こちらは・・・本当に「ちょっとだけ」何曲も入った構成になっているので、部屋のBGM向けかな?

評価:★★★★★

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2009年4月22日 (水)

大型合併の効果は?

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週1、2位は、どちらも1位でも不思議ではない人気ミュージシャンの曲が並びました。

結果、1位を獲得したのが、突然のJ Soul Brothersとの統合で話題となった新生EXILEのニューシングル「THE MONSTER~someday~」でした。

前作は初動で20万枚を突破したのに対して、本作は17万枚・・・うーん、この「大型合併」の効果を判断するには、なんとも微妙な数字・・・(^^;;前々作「The Birthday」の初動も17万枚ということを考えるとほぼ横ばい。良くも悪くも大型合併の「効果なし」といった感じかなぁ。ただ、この合併劇には、否定的意見が多かっただけに、「その割には」健闘した、ともいえるかも。

ちなみに今回の合併劇、「大型M&A」なんて表現をよく見かけたんですが、J Soul Brothersは、EXILEの弟分なので、どちらかというと、親子会社間合併ですよね。一般的な「M&A」の意味合いとは、ちょっと異なるかと。

残念ながらEXILEに敗れて2位におわったのが、コブクロのニューシングル「虹」でした。初動6万7千枚。前作「時の足音」が初動13万枚だったのに比べて約半減。前作がドラマタイアップだったのを考慮しても・・・どうしちゃったんだ?

コブクロといえば以前、解散説がニュースになって、それの影響なんかもあるのか?と思いふと調べたのですが、ネタ元からガセネタだったと謝罪文が出ているみたいですね。(こちらのサイトの真ん中あたり参照)。ただ、この手のネタって、よくあるゴシップ記事だし、「サイゾー」の記事なんて、話半分しかみんな受け取らないし(笑)、ちょっとひねくれた見方ですが、わざわざ謝罪文をのせるあたり本当は・・・・・・なんて思ってしまったり・・・して??

この2曲に続く3位初登場は、GIRL NEXT DOOR「Seeds of dream」がランクインしてきました。

前作は初動2万2千枚だったのに対して、本作は初動2万5千枚と微増。4枚目にして固定ファンを確保してきたのか、意外と健闘といった感じ。思ったよりも人気が続きそうだなぁ。

4位にアイドルグループ℃-ute「Bye Bye Bye」がランクインしています。こちらは固定ファン層で根強い人気といったところ。

今週は初登場があと1枚。10位にBase Ball Bear「神々LOOKS YOU」がランクインしています。

これで3作目のベスト10ヒットと、固定ファンがしっかりついたか、と思いきや、初動売上は前作8千枚から6千枚弱と減少傾向。映画「鴨川ホルモー」主題歌と話題性もあるんですけどね・・・。ここがふんばりどころかな?


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートは、相変わらずチャートの谷間が続いています。今週もベスト10入りしてきたアルバムはわずか3枚というチャートになりました。

そんな中で1位は関ジャニ∞のニューアルバム「PUZZLE」が獲得。初動21万枚。シングルとしては最新作「無責任ヒーロー」は初動34万枚だったので、典型的なシングル型なのは、さすが(?)ジャニーズ系アイドルといった感じかな。ちなみにアルバムの前作も初動21万枚と見事な横ばい。完全に固定ファンに支えられているといった感じです。

5位には安藤裕子のベストアルバム「THE BEST '03~'09」がランクインしてきています。安藤裕子は、いままでアルバム「shabon songs」の6位が最高位だったので、自己最高位を記録。直近のアルバム「クロニクル」が11位に終わり、少々人気が下降傾向なので、このヒットはうれしいところです。ただ、初動売上は「shabon songs」が1万9千枚に対して、1万6千枚と及びませんでした。でも彼女、「クロニクル」は彼女にとっても最高傑作だと思うし、勢いはあるミュージシャンだとおもうので、もっと人気が出てもいいと思うんだけどなぁ~。

アルバム初登場最後は6位に吉田拓郎「午前中に・・・」がランクインしています。このアルバムで、アルバムトップ10入り最年長記録を更新だそうで、こちらもオリコンらしい重箱の隅的記録ではなく、堂々とした立派な記録。でも、いつの間にエイベックスに移籍していたんですね。ちょっとビックリです。

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2009年4月21日 (火)

ほっとするようなポップソング・・・だけど

Title:ベースボールサンセット
Musician:ははの気まぐれ

ベースボール・サンセット

京都を中心に活動を行っている、4人組ギターポップバンド。メジャー2作目となる本作なのですが、最近、サブカルシーンを中心に話題・・・ということで、新作を聴いてみました。

基本的に、おそらく「ギターポップ」とカテゴライズされるようなバンドサウンドを軸に曲は構成されています。

一方のメロディーラインは、フォーキーで、どこか暖かいポップサウンド。特に、「ブギー」をはじめとして、60年代のギターポップやフォークあたりの影響を感じさせます。

歌詞の世界観も、例えば表題曲の「ベースボールサンセット」のように、少年時代の甘酸っぱいような思い出を描いた歌詞など、どこかセピア色で暖かいものを感じさせます。

・・・・とまあ、これだけなら、フツーのギターロックバンドにすぎないのですが・・・

一方で、どこかひねくれていて、「暖かいポップソング」の中にもユーモアの要素を感じさせます。

例えば、前述の「ベースボールサンセット」のような、暖かいポップソングの直後に「ベースボールオールナイト」という、ガレージパンクの曲でシャウトしてみたり

「化石になった」はどこかアレンジがユーモラスですし・・・

また、バブルガムポップ調の「ドロドロのチョコレイト」みたいなナンバーを入れてきたり。

まあ、どの曲も、基本的にはポップソングという要素を貫いているだけに、アルバム全体としては一貫性を感じられるのですが、単純にフォーキーなギターポップで終わっていない、という点におもしろさを感じました。

ただもっとも、全体的にインパクトの要素が不足していたり、「フツーのポップソング」に感じては、もうちょっとバンドとしての個性もほしいかな?

でも、そこらへんの点を差し引いても、今後に注目したいバンドなのは間違いないと思います。今後の展開が楽しみなところ。早耳なリスナーは今のうちにチェックしておきたい1枚でしょう(もう遅い?)

評価:★★★★

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2009年4月20日 (月)

楽隠居?

Title:FREEDOM
Musician:Dragon Ash

FREEDOM

どうもなぁ・・・ここ最近のDragon Ashって、正直、なにか後ろ向きなものを感じてしまうんですよね。

ここ最近、ラテンフレーバーの作品が続いています。この作品も、いわばそんな作品を継承した作風に仕上がっていました。

一方で、いままでの作品と比べると、ロックテイストが強く、メロウで聴かせて、なおかつロックテイストのダイナミズムも持ち合わせた、という意味では、Dragon Ashが徐々に世に出てきたころ・・・「陽はまたのぼりくりかえす」や「Under Age's Song」のあたりの雰囲気も感じられます。

そういう意味では、とても聴きやすい作風のアルバムになっていて、多くのリスナー層が楽しめる作品になっていたとは思います。

ただ・・・それでもどうも、かつての彼らみたいなパワーを、この作品からは感じられないんですよね。

おそらく、「普通」のバンドがこんな作品をつくれば、十二分に佳作として評価できる作品だと思います。

しかし、かつての彼らのような、無理やりリスナーの耳をこじ開けるような、攻撃的な姿勢をこのアルバムからは感じることが出来ません。作風も、この曲を聴かせたい、というような「パワー」というよりも、ラテンという音楽の持った、耳障りのいいメロウな雰囲気に頼ったような作風が多いように感じます。

どうもそんな姿勢が、「後ろ向き」なものを感じてしまうんですよね・・・。

「いつまでも、昔のイメージを引きずっているだけじゃない?」と言われそうですし、いつまでたっても「Deep Impact」みたいな曲もないでしょう。

ただ、ベテランになって、かつての勢いがなくなっても、ベテランならベテランなりの攻撃的な姿勢ってのがあると思うんですよね。今のDragon Ashには、かつての彼らから感じられた、この音楽界に殴りこみをかけようという攻撃的な姿勢がほとんど感じられません。

悪いアルバムじゃないし、十分すぎるほど楽しめるアルバムだと思うのですが、Dragon Ashの作品として考えると、物足りなさが残ってしまうんですよね。自分の、彼らに抱くイメージが、既に「古い」のかなぁ・・・?

評価:★★★★

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2009年4月19日 (日)

ジャズの要素も見え隠れ

Title:TOUCH
Musician:土岐麻子

TOUCH

「見え隠れ」って、3曲目はビル・エヴァンスのあまりにも有名なジャズナンバーのカバーなだけに、全然隠れていないんですけどね(笑)。

ただ、「Waltz For Debby」のカバーは、コマーシャルソングとしても流れていただけに、新作は、かなりジャズテイストの強いナンバーになるのかな?と思っていたのですが、ジャズ、というよりもシティーポップという色合いの強い作品になっていました。

「SUPERSTAR」「smilin'」など、特にシティーポップという雰囲気の強い作品。一方で、「FOOLS FALL IN LOVE」ではキリンジの堀込泰行を迎え、昔のテクノポップ風味なユニークなアレンジを加えつつ、キリンジっぽい雰囲気もかもしつつ、堀込とのデゥオで聴かせるポップソングに仕上げています。

一方、「Waltz For Debby」はいわずもがな、「How Beautiful」でもちょっとジャジーなピアノを加えるなど、ジャズの要素も随所に感じられます。ただ、ジャズの要素はあくまでもちょっとした隠し味程度。アルバム全体としてはさわやかなポップアルバムに仕上がっていました。

基本的に前作も、シティーポップにジャズの要素を加えた路線だったし、土岐麻子としてのスタイルをほぼ確立したかな?という印象を受けました。決して派手ではないものの、しっかりと心に響くポップの佳作といったところでしょうか。大人のポップを聴きたい方にはお勧めです。

評価:★★★★★

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2009年4月18日 (土)

小林武史って、こんなプロデューサーだったっけ?

Title:レミオベスト
Musician:レミオロメン

レミオベスト

レミオロメン初のベストアルバム。彼らにとっての大ブレイク作「粉雪」や、名曲「3月9日」をはじめ、数々のヒット曲が収録されています。

なんかなぁ・・・。あらためて彼らの過去から現在に至る曲を聴いていると、あらためてなんか悲しくなってしまうんですよね。

前作「風のクロマ」もかなり酷い内容だったのですが、「粉雪」の大ヒットの後の楽曲が、あまりにも狙いすぎ。特にアレンジが、無駄にスケール感を出そうとしていています。

まあ、楽曲にスケール感を出すことによって、大物然とさせる手法は必ずしも間違いではないんですよね。例えばミスチル、海外だとU2だとかColdplay。彼らの楽曲には一種の「スケール感」があって、それがまた、大物としての安定感の裏づけとなっています。

しかし、彼らのスケール感の出し方は、あまりにも安直なストリングスの導入。ただただ彼らのバンドサウンドとメロディーをなぞるだけのストリングスアレンジは工夫もなにも感じません。

結果、シンプルで味わいのある彼らのメロディーラインを、無駄なストリングスアレンジで殺してしまうだけに終ってしまっています。

つーか、小林武史のプロデュースワークが、あまりにもレミオロメンと相性が悪いような印象を受けるんですよね。

小林武史といえば、ミスチルやサザンのプロデューサーとして、その実力は世に知れ渡っていました。しかし、レミオロメンのプロデュースワークを聴く限り、その実力は、ミスチルやサザンのものであって、小林武史はそれにのっかかっていただけじゃないか?なんて思ってしまいます。

このベスト盤を聴くよりも、「朝顔」や「ether」を聴いたほうが、レミオロメンの良さはより感じられるのではないでしょうか?

個人的には、一日も早く、彼らは小林武史と手を切ったほうがいいと思います。今のままでは、レミオロメンの良さが、全く出ていない・・・はいいすぎとしても、プロデュースワークに殺されてしまっているような印象が否めないんですよね・・・。

評価:★★★★

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2009年4月17日 (金)

ベスト盤2枚

ここ最近聴いた、ベストアルバムを2作品ほど。

Title:best of nobody knows+
Musician:nobody knows+

best of nobody knows+

まずは名古屋出身のラップグループ、nobody knows+のベスト盤。

以前のレビューにも書いたのですが、nobody knows+が売れた時、「HIP HOPも歌謡曲化しちゃったなぁ」なんてマイナス評価の文脈で書きました。

そんなこと言うと、先日のMCUのレビューで、「歌謡曲の影響を受けた」とプラス評価の文脈で書いてたりするので、「どっちなんだよ!」とお叱りをうけそうですが、MCUの場合は、意識的に歌謡曲の要素を取り込み、HIP HOPという音楽と、歌謡曲の「良い部分」を融合させようとしているのに対して、彼らの場合、自身のラップに日本人受けしそうなキャッチーでベタなメロディーを加えただけ。だから、彼らの曲はベタで、HIP HOP特有の「やばさ」みたいなものが感じられません。

それでも、今、彼らの曲を聴くと、思った以上にHIP HOP的な要素を入れてきているなぁ・・・なんてことも思ってしまったりして(^^;;彼らが売れた時点よりも、HIP HOPの歌謡曲化がさらに進展しているってことなんでしょうか。

ただ、ある意味振り切れていない彼らのスタンスが、逆に彼らが一発屋で終ってしまった大きな要因かもしれません。もっと意識的に「売れ線」のメロディーをベタに取り込んでこれば、もっとヒットが続いたのかも・・・そんなことも感じてしまいました。

難しいこと抜きに聴く分には、アップテンポで楽しい曲も多く、素直に楽しめるアルバムだと思います。「ココロオドル」が好きだった方は、あらためて聴いてみても損はないかと。

評価:★★★★


そしてもう1枚は・・・

Title:THE BDBEST
Musician:BACK DROP BOMB

THE BDBEST(DVD付)

ミクスチャーロックバンドの雄、BACK DROP BOMBのベストアルバム。

「BACK DROP BOMB」「BLAZIN'」のような、王道ともいえるミクスチャーロック路線があるかと思えば、「TURN ON THE LIGHT」ではスカ、「YOU UP AROUND」「SIGH」はギターロック。「Clap」に至っては、ポストロックの様相すらあります。

そういう意味では、冒頭に「ミクスチャーロックバンド」という表現を用いましたが、彼らにとっては既に、その括りは完全に無意味。いわばジャンルレス。「BACK DROP BOMB」というジャンルの音を鳴らし続けている、といえるのかもしれません。

ただ、もっともいわゆるラップメタル系の楽曲以外に関しては、いまひとつチグハグで、BACK DROP BOMBとしてのスタイルをいまひとつ出し切れていないような印象も受けました。いかにも「いろんなジャンルに手を出してみました」みたいな感覚が消えておらず、BACK DROP BOMBというバンド血となり肉となっているか、と言われると、少々微妙な部分も感じてます。

まあ、その点を差し引いても十二分にかっこいいヘヴィーなロックアルバムなのは間違いないかと思います。重低音のヘヴィーなサウンドに身をまかせたい方にはお勧めです。

評価:★★★★★

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2009年4月16日 (木)

現在形のYMO

YMO復活!!ちょっと前から、Sketch Showでの坂本龍一の参加や、HASとしての活動など、徐々に復活の兆しが見えてきていたYMO。2007年には3人揃ってのCM出演など、ついにYMOとしての活動が復活!同じく2007年8月にはYellow Magic Orchestra名義でのシングルリリースときて、昨年6月にはロンドンとスペインでライブを行うなど、本格的に活動を再開しています。

そして、そのロンドン公演とスペイン公演の模様を収録したのが、このライブ盤です。

Title:LONDONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON 15/6 08-
Musician:YELLOW MAGIC ORCHESTRA

LONDONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON 15/6 08-

ロンドン公演をおさめたのが本作。で、

Title:GIJONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08-
Musician:YELLOW MAGIC ORCHESTRA

GIJONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08-

どちらの作品も、収録曲はほぼ同じ。両者の聴き比べをすることによって、先行ライブであるロンドン公演と、後発のスペイン・ヒホンでの公演の違いを楽しむことが出来ます。

楽曲は、YMOとしての楽曲のみならず、Sketch Showとしての作品も多く、全体として、今風のエレクトロニカ、あるいはアンビエントの作品が多くなっています。一般的な「YMO」のイメージからすると、少々異なるかもしれません。

もっとも、継続的に3人の活動を追いかけてきた人や、Sketch Showとしての作品を聴けば、現在形のYMOとしては、予想通りの内容といった感じ。決して「過去のバンド」ではないという、彼らの意識の強さを感じることが出来ます。

ライブの雰囲気としては、ロンドン盤の方が、よりポップで聴きやすくヒホン盤の方が、より、今のYMOとして目指すものを追及したライブ、という印象を受けました。

全体として、音数を少なめに。ポップなメロディーも加えるものの、音と音の間に広がる「空間」を聴かせるステージ・・・すごく熱感が低いだけに、ライブとしてはどこまで魅力を伝えきれているのかは、現状、本人たちがまだまだ探っている部分も感じられました。

ただ、このライブ盤を聴いて、YMOとしての歩みを全く止めていない部分に、彼らのたくましさを感じます。今後はもっと積極的に活動を再開させるのでしょうか?はやく純然たる新作のアルバムを聴きたいなぁ。この3人、まだまだ日本のシーンをかきまわしてくれそうです。

評価:
LONDONYMO ★★★★
GIJONYMN ★★★★

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2009年4月15日 (水)

シングルベスト3は初顔??

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャート、ベスト3のうち2組に、普段見慣れない名前が・・・・・・

といっても1位の剛紫は、Kinki Kids堂本剛の別名義。ちなみに同時発売のアルバム「美 我 空 - ビ ガ ク 〜 my beautiful sky」も、アルバムチャートの3位にランクインしています。ちなみに、アルバムにはこのシングルは収録されていません。ここらへん、ファン思いなのかそうでないのか、ちょっと微妙なところ・・・。

ちなみに初動売上は4万4千枚と、ジャニーズ系としてはかなり寂しい数字。堂本剛としても、244 ENDLI-x名義でリリースした前作が、初動7万6千枚なので、かなり落ち込んでしまいました。堂本剛としては人気がまだまだあるように感じるんですけどね。ただ、本人はアイドルとしての活動とミュージシャンとしての活動を切り離しているみたいで、ミュージシャンとしては本人が作詞作曲を手がけるなど本格的に活動しています。っていっても、この手のアイドルのファンは、いくらアイドルとミュージシャンの活動を切り離したって、あまり数字的に変化はないような感じはしますが・・・。

2位BREAKERZ「Everlasting luv」は、初動最高位で、ベスト3としては初顔。「ビーイング系」の牙城、名探偵「コナン」のオープニングという効果もあってか、初動売上も、前作1万7千枚を上回る2万1千枚と好調。

で、完全に初顔なのが3位に「久遠の河」をランクインさせたalan。中国出身のボーカリストだそうで、突然のヒットにビックリなのですが、映画「レッドクリフpartII」ということ。ただ、話題の映画のテーマ曲といえ、ここまでヒットを飛ばすのはちょっとビックリです。

以下初登場は・・・

6位 砂時計/徳永英明
8位 RAIN OF TEARZ/詩音
10位 大丈夫だよ/川嶋あい

がそれぞれランクイン。徳永英明は、前作こそベスト10入りできませんでしたが、ここ最近、人気がまた定着してきましたね。川嶋あいも、久しぶりのベスト10ヒットなのですが、こちらも映画「八月のシンフォニー」主題歌だそうです。今週は、映画のテーマ曲のヒットが目立ちますね。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週は、初登場わずか1枚という谷間の週ですが、今週は新譜がボチボチ。ベスト10のうち5枚が新譜というチャートになっています。

そんな中、1位は湘南乃風のニューアルバム「湘南乃風~JOKER~」がランクインです。前作に続いての1位獲得。ただ、前作が初動22万枚と文句なしの1位だったのに対して、本作は初動8万4千枚と激減。かなり厳しい結果となりました。

で、前述の3位剛紫をはさんで

4位に松任谷由実のニューアルバム「そしてもう一度夢見るだろう」がランクインしています。約3年ぶりとなるニューアルバム。初動は5万7千枚と、前作の6万2千枚に比べると減少傾向。うーん、一時期の「出せば必ずミリオン」の時代と比べると、かな~り寂しい雰囲気なのですが・・・

ただ、このアルバムで、44作目のベスト10入りで、女性ミュージシャンとしては最高記録を更新したらしいです。重箱の隅的記録が目立つオリコンですが、この記録は文句なしの偉業。特にアルバムで、というあたりに、彼女の圧倒的な人気のほどがうかがえます。

アルバム残り2枚初登場は、9位に黒木メイサ「hellcat」が、10位にかりゆし58「でーじ、かりゆし」が、それぞれランクイン。タイプは異なれど、両者とも沖縄出身のミュージシャンのアルバムが並んでいます。

かりゆし58は、ドラマ「銭ゲバ」のテーマ曲で話題になりました・・・のですが、シングルアルバムともに、思ったほど伸びませんでしたね。結構、一時期はかなりプッシュされていたのですが・・・。

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2009年4月14日 (火)

MCUの原点

Title:SHU・HA・RI~STILL LOVE
Musician:MCU

SHU・HA・RI~STILL LOVE~

KICK THE CAN CREWのMC、MCUによるソロ3枚目となる作品。

MCUのソロとしての作品は、彼の音楽的な原点を強く感じる作品が続いていました。

1作目は、かなりロック寄りを意識させる作品。2作目は、ハードコアな作風の楽曲もありながら、やはりロックテイストの強い作品になっていました。

3作目となる本作は、ロック、というよりも「日本のポップスロック、歌謡曲」からの影響を強く感じる作品になっていました。

特に1曲目「STILL LOVE」では、GLAYのTERUをボーカルに迎え、やはりGLAYっぽい作風になっています。GLAYといえば、いかにも日本風のポップスロックバンドの代表格。そしてそれもまた、MCUの原点のひとつ、なのでしょう。

その後も、全体的に歌謡曲テイストが強く、ポップで聴かせる作風になっていました。「涙のtake a chance」に至っては、風見しんごのヒット曲のカバー。いかにも「アイドル歌謡曲」といった雰囲気の楽曲で、こちらもまた、MCUの音楽的原点を感じさせます。

しかし、決して「歌謡曲ラップ」にはとどまっていません。「FREE 3MC'S 1」「FREE 3MC'S 2」のように、フリースタイルを取り入れた、ラップにこだわったHIP HOPチューンや、日本のHIP HOPの黎明期を支えたいとうせいこうを迎えた「マイク2本」など、本格的なナンバーもしっかりと聴かせてくれています。

しかし、ここ3枚のMCUのソロを聴くと、彼の音楽的な影響が本当に幅広いなぁ、と感じさせてくれます。他にも「グッドイナフ」ではチップチューンを取り入れていますし、「JUMP少年」はテクノを取り入れたりと実に多彩。最後まで、そのバラエティー富んだ作風に全く飽きることがありません。

「歌謡曲」色の強い作品から、本格的なHIP HOPナンバーまで、実に幅広い作風を楽しめます。前2作同様、リスナー層を限定しないポップアルバムといっていいと思います。HIP HOPに普段触れていない方にもお勧めできる作品です。

評価:★★★★★

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2009年4月13日 (月)

第2の全盛期か?

Title:DO YOU DREAMS COME TRUE?
Musician:DREAMS COME TRUE

DO YOU DREAMS COME TRUE?通常盤

ドリカム、というと一時期、「過去の人」になりかけていたミュージシャンでした。

しかし、ここ最近、人気が再燃。このアルバムも、初登場に1位を獲得後、チャートの谷間とはいえ今週のチャートで、浜崎あゆみをおさえ、1位に返り咲くという快挙を成し遂げています。

でも、そんな人気再燃の理由は、このアルバムを聴くと、痛いほどわかるのではないでしょうか。

このオリジナルアルバム、かつての全盛期を思い起こさせるような、名曲がズラリと並んでいます。いままさに、彼女たちは第2の全盛期といっていいほどの勢いを感じさせます。

例えば、陽気で明るく、どこか童謡テイストのポップソング「MERRY-LIFE-GOES-ROUND」、しんみり聴かせるバラード「大っきらい でもありがと」、かわいらしいポップチューンながらも、メジャーコードからマイナーコードへの転調がたくみに含まれ、曲に奥行きを持たせている「ALMOST HOME」あたりは彼女たちの王道ともいえる雰囲気になっています。

でも、そんなかつての王道チューンを並べただけでは単なる「マンネリ」で終ってしまうでしょう。

このアルバムが、さらにすばらしかったのは、楽曲にアレンジの妙が加わっていた点でした。

本作の特徴としては、リズムがとてもおもしろいということ。テンポのよい四つ打ちのリズムとギターの組み合わせがおもしろい「連れてって 連れてって」、微妙にリズムをずらして、レゲエの雰囲気をかもし出している「TO THE BEAT,NOT TO THE BEAT」、ドラムンベースの要素を取り入れた「サヨナラメータ/タメイキカウンター」など、凝ったリズムの楽曲が多く並んでいて、決して耳障りのよいポップソングだけで終っていません。

こういう実験的、今風のサウンドを取り入れた傾向は、かつて、アメリカ進出を目指していたころに、顕著に感じられました。

しかし、あの頃の作品は、凝った楽曲づくりを目指すあまり、ドリカムの本来の良さである「ポップであること」という要素が失われてしまい、逆に、彼女たちの人気を低めてしまう結果に終ってしまいました。

それに対して今は、そんな新しいサウンドに挑戦しながらも、ドリカムの良さも十二分に生かした楽曲作りを進めています。そんな意味では、むしろ今の彼女たちは、全盛期を超える勢いすら感じられてしまいます。

前作の時は、「かつてのドリカムじゃない」という部分でひっかかりを感じたのですが、本作に至っては、そんなひっかかりも忘れさせる勢いを感じさせる傑作でした。

やっぱりドリカムの勢いが戻ってきたというのは、ファンとしてはうれしいなぁ。これからも、この勢いで、また次々と傑作を聴かせてほしいです!!


で、本作の特徴は、初回限定盤として、ライブDVD、もしくはベスト盤「GREATEST HITS "THE SOUL 2"」がついてくること。ま、この手のやり方については、正直なんだかなぁ・・・とは思うのですが、今回は、ベスト盤付の初回盤を購入してみました。

楽曲については、文句なしの名曲揃い・・・というか、ここ最近、勢いが戻ってきた、とは書いたのですが、シングルレベルでは、コンスタントに傑作をリリースしてきたんだなぁ、ということを、あらためて感じてしまいました。

また、ドリカムというと、イメージ的にはいかにも「ドラマみたいなラブソングを歌うユニット」というイメージがあります。

まあ、実際に「いかにも」なドラマちっくな恋愛模様を描いた曲も多く書いていることも事実。

ただ、一方では、決して単純な恋愛ソングばかりを書いているわけじゃないんですよね。

例えば、このベストでいえば「好きだけじゃだめなんだ」が典型例。タイトル通り、お互いに思いあっているのに別れなければいけなかった元恋人同士の心境を歌った歌。こういう単純に「好き」で終れない恋愛関係を、さらりと書いてしまうあたりが、それこそ(そろそろ)20年近く人気を維持できる理由なのではないでしょうか。

もっとも、今回のベスト盤、後半に「未来予想図」「WINTER SONG」「LOVE LOVE LOVE」と昔のヒットナンバーの別バージョンを入れてきてしまったあたりに、いつまでも90年代の全盛期を引きずっている部分も感じてしまって、ちょっと後ろ向きな姿勢も感じてしまいました。

まあ、そういう点を除いても、このアルバム、ベスト盤込みは文句なしで買い。特に、かつてファンで、ここ最近、ちょっと離れていた方にお勧めしたい作品です。

評価:★★★★★

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2009年4月12日 (日)

ジョイントアルバム・・・なんだよなぁ?

Title:the CHEMISTRY joint album
Musician:CHEMISTRY

the CHEMISTRY joint album

CHEMISTRYって、テレビ番組から産まれた企画モノ的ユニット、というイメージが強いですよね。でも、そういう「企画モノ」出身の割りには(出身だからこそ?)以前から、数多くのミュージシャンたちと積極的にコラボレーションを行っていた印象があります。デビューアルバムでもDABOとコラボレートしていましたしね。

そして、このアルバムは、そんな他のミュージシャンとのコラボレーションや、他のミュージシャンたちのカバーを収録した、企画盤。

こういう、いろいろなミュージシャンたちのコラボレーションって、とても素晴らしいことだと思います。

特に、他のジャンルとのミュージシャンとのコラボは、自身の音楽性をさらに広めますし、なにより、新たな音楽同士の融合は、全く新たな音楽を生み出す可能性もあるわけです。

しかし、少々辛口で言わせてもらうと、このアルバム、そんなコラボレーションの妙が、いまひとつ発揮されていなかったような印象を受けました。

特に前半。1曲目は布袋寅泰とのコラボによる「SUPERSTAR」・・・・なのですが、打ち込みがメインのサウンドになっていて、布袋のギターがあまり生かされていませんでした。

また、ウクレレ奏者ジェイク・シマブクロと、バイオリニスト宮本笑里とのコラボ「ALIVE」にしても、打ち込みメインのアレンジが目立ってしまい、肝心のウクレレとバイオリンが脇にひっこんでしまっていました。

その他の楽曲にしても・・・あらためて聴くとどうも、CHEMISTRYのボーカルって、他の人の個性を塗りつぶしてしまうような面があるんですよね。一本調子に歌い上げる歌い方のため、曲の雰囲気によってボーカルの色合いが変化せず、そのため、コラボレーションした相手の個性が、いまひとつ生かされていないような印象を受けました。

楽曲自体は決して悪くはないと思います。また、CHEMISTRYのボーカルも「一本調子」とはいえ、十分歌唱力はあり、聴いていて十分楽しめます。ただ、コラボという目的の中では、いまひとつといわざるを得ません。

CHEMISTRYのコラボなのですが、あえてCHEMISTRYを後ろにひかせたほうが、コラボとして光ったんじゃないかなぁ。試みはいいだけに、ちょっと残念な印象を受ける作品でした。

評価:★★★

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2009年4月11日 (土)

ポップでメロディアスな佳作

Title:Hurray!
Musician:ゴスペラーズ

Hurray!

すごく聴きやすいアルバムだよなぁ。ポップでメロディアスで。と思ったら、12曲中6曲もシングル曲が収録されているんですね(^^;;そりゃあ、ポップで聴きやすい作品になっているよなぁ。

ただ、そういう点を差し引いても、この作品はポップでバラエティー色豊か。最後まで勢いがあって、前作から2年以上のインターバルで、待ちに待ったファンも納得がいきそうな内容なのは間違いない作品だと思います。

ファンキーでアップテンポな「1,2,3 for 5」から、いきなりワクワクさせてくれますし、続く「ローレライ」は、さわやかなシティーポップ。こちらは、あのヒットメイカー井上大輔の遺作としても話題になりました。

さらに「セプテノーヴァ」は、スキマスイッチの常田真太郎が作詞と編曲で参加。どこかスキマスイッチっぽい、ソウル風ポップなナンバーに。「愛は探し出すのさ」は、ちょっとベタだけども聴かせるラブバラード。そして「Armonia」は、彼らの真骨頂ともいえるアカペラ・・・と、実にバリエーションたくさん。様々な側面から、ゴスペラーズの魅力を伝えてくれます。

前作「Be as One」も、ゴスペラーズとしてのひとつの到達点を示した傑作でしたが、それに続く本作も、少々ベタな売れ筋系が多いものの、またもやゴスペラーズの魅力をしっかりと伝えてくれる佳作と言えるのではないでしょうか。

確かに人気の面では、一時期ほどの勢いはないのですが、いやぁ、まだまだゴスペラーズは健在ですね。まだこれからも、あの美しいハーモニーで傑作を世に届けてくれそうです。

評価:★★★★★

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2009年4月10日 (金)

AIRとしての集大成

Title:Three Cheers For Goodbye~The Best Of Air~
Musician:AIR

Three Cheers For Goodbye~The Best Of Air~

今年2月、AIRとしての活動を終了した、車谷浩司。そんな彼の、AIRとしての活動をまとめた2枚組となるベストアルバムが本作です。

AIRのベスト盤というと、以前発売された「Best Not Best」。この時、以前のサイトで書いていた感想と、今回のベストアルバムを聴いた感想が基本的には同じなんですよね(^^;;まあ、「Best Not Best」リリース後、活動のスタンスがあまりかわらなかった影響なのですが。

以下、当時の文章から転載。

「私がAIRの音楽が壺でありながら、手放しで絶賛できない理由、それは、彼の活動スタンスに、どこか地に足をつけていない部分を感じるから、ではないでしょうか。そんな彼のスタイルが端的にあらわれたのは、アルバム「FREEDOM/99」の頃の、政治活動でした。この頃、彼は「動物実験反対」を叫んでライブツアーを行ったり、また、アルバムの中で、強く社会問題を歌っていました。しかし、その活動はどこかとってつけた感があり、心からの社会参加というよりも、この時期、彼が影響を受けていた(であろう)ミュージシャン、Rage Against The
Machineが、社会活動を行っていることを参考にして真似た、スタイルだけの活動・・・と感じる部分も少なからずありました。

 それは、正直、音楽自体に関しても思うところがあり、マイブラ調の音楽があるかと思えば、ミクスチャーロックに強く影響を受け、さらには最近はジャジーなナンバー・・・と、どこか「それじゃあ、AIRの本質は何?」と思ってしまうような部分を感じてしまいます。それがすごく残念なのは、どのジャンルを取り入れても、しっかりとした楽曲を作ってくるんですよ。だから、このアルバムを聴いていても、基本的にはとても気持ちよく楽しく彼の音世界を楽しみながら聴くことができます。また、ライブも最高にカッコよくて、実際、彼がしっかりとした実力のあるミュージシャンであることは間違いないでしょう。だからこそ、BAKUの時代から、spiral lifeを経て、いままで人気を保っているわけで・・・。」
(以上「ゆういちの音楽研究所」→「Review」→「A」の欄の中程にあります)

今回のアルバムで、彼の作品を通して聴いてみると、思ったよりは、AIRとしてのキャリアを通じて、似たような雰囲気は貫いているな、とも思いました。

最終的に、「メロディアスでジャジーな聴かせる作風」というスタンスにたどり着いたわけで、これが、AIRとしての最終系であり、車谷浩司が、AIRとしてやりたかったこと、なのかもしれません。

ただ、そのスタイルにしても、決して真新しい個性を感じるわけではないですし、これがAIRだ、という主張に対しては、少々弱いように感じてしまいます。

なーんとなく、ふらふらとしたスタンスの中で漫然と活動を続けて、あいまいなままにAIRとしての活動を終えちゃったなぁ・・・ちょっと辛口な意見ですが、このベスト盤で、なんか中途半端なままAIRとしての活動が終ってしまった、というと、そんなことを感じてしまいました。

現在は、しばらく音楽活動は休止するみたいです。ただ、今後、また新たな名義でいつかは音楽活動を再開するでしょう。その時こそ、彼が目指している音楽は何なのか、ちゃんとしたそのスタンスを示して欲しい、そう感じざるを得ないベスト盤でした。

評価:★★★★

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2009年4月 9日 (木)

バンドの勢いがあらわれた傑作

Title:アルトコロニーの定理
Musician:RADWIMPS

アルトコロニーの定理

バンドにとって、その時の脂にのりまくった勢いがそのままあらわれた傑作、というのがあります。

例えば、ここ何年かで印象に残っている作品は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「君繋ファイブエム」や、ケツメイシの「ケツノポリス3」あたりも、そんな勢いを感じる作品でした。

もうちょっとさかのぼると、ミスチルの「Atomic Heart」や、洋楽ではoasisの「(WHAT'S THE STORY)MORNING GLORY」なんかも、そんな類のアルバムと言えるかもしれません。

そして、RADWIMPSの新作に関しても、まさにそんな脂ののりまくった勢いが、そのまま体現化された傑作といえるでしょう。

まずは1曲目「タユタ」と2曲目「おしゃかしゃま」の展開が、ゾゾっとくるものがあります。

ギターのアルペジオをベースに、幻想的な雰囲気を与える不思議な曲が、このアルバムに対する期待と、その後の盛り上がりを否応なしに高めてくれる「タユタ」。そして、ファンキーなリズムに、ユーモアたっぷりの歌詞。ファンタジックながらも、シニカルな歌詞が、このアルバムを代表するナンバーとしてふさわしい「おしゃかしゃま」。

雰囲気の全く異なりながらも、インパクトの強いこの2曲を冒頭にもってくることによって、リスナーの耳をアルバムにひきつけることに、まずは成功しています。

このアルバムで一番感じたのは、メロディーやサウンドに関しての、彼らの大きな成長でした。

今回の作品に関しては、以前と同様、パワーポップや、オルタナ系のギターロック主体ながらも、テクノポップの要素を入れた「謎謎」や、アメリカンロック風の「七ノ歌」、アコースティックなバラードナンバー「メルヘンとグレーテル」など、様々なバリエーションをくわえてきているのは前作以前と同様。

ただ、一方で、メロディーに関して、あきらかに垢抜けてきたように感じます。

前述の「おしゃかしゃま」もそうなのですが、「One man live」や、「オーダーメイド」など、決してセルアウトという訳ではありません、しかし、しっかりと後に残り、かつ、インパクトを持ったメロディーラインを数多くこのアルバムでは聴くことが出来ます。

そういう面もあわせて、まさに勢いがあり、脂ののりまくった作品で、最後まで耳の離せない内容になっていました。

一方で、歌詞に関して言うと、前作に比べると、ユーモアのある歌詞が、少々減ってしまったかな、という印象は受けます。

しかし、それでも「おしゃかしゃま」のような

「来世があったって 仮に無くたって だから何だって言うんだ
生まれ変わったって 変わらなくたって んなこたぁどうだっていいんだ
天国行ったって 地獄だったって だからなんだって言うんだ
上じゃなくたって 下じゃなくたって 横にだって道はあんだ」

(「おしゃかしゃま」より 作詞 野田洋次郎)

のような、ユーモアさの中に、確実な自己主張と、自分は自分というスタイルを貫く内容の歌詞や、

孤独の中に、無上の愛情を歌い上げる「One man live」

ファンタジックな内容の中に、愛情や人を思う気持ちの大切さを歌い上げる「オーダーメイド」などなど。

誰にも指図されない自分を貫く力と、人を思うこと、そして愛することを歌うRADWIMPSの歌詞の世界観は、このアルバムでもしっかりと貫かれています。

文句なしの傑作だと思います。バンド史上はもちろんのこと、今年を代表する傑作になりそうな予感のある1枚。今、もっとも勢いのあるバンドのひとつ、RADWIMPS。今後もさらに注目したいバンドなのは間違いないでしょう。

評価:★★★★★

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2009年4月 8日 (水)

上位は女性陣が独占

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

「比較的」おとなしいチャートが続くヒットチャート。とはいえ、今週は1位から5位まで新曲が並びました。

そんな中で1位を獲得したのが、倖田來未×misono「It's all Love!」。ご存知、実の姉妹によるユニット。兄弟・姉妹ユニットでは、初の"初登場"1位だそうで・・・って、どんなにニッチな記録だよ!(苦笑)

倖田來未は、前作、初動わずか5万8千枚から、本作では初動7万4千枚と大幅にアップ。普通、この手のユニットって、ソロより売上が落ちるのですが、今回は話題性の勝利といったところでしょうか?

以下、2位から4位は、同じ女性ミュージシャンながらも、様々なタイプのミュージシャンが並びました。

2位 チューしようぜ!/AKBアイドリング!!!
3位 PUZZLE/倉木麻衣
4位 安芸の宮島/水森かおり

2位はアイドルユニットAKB48とアイドリング!!!の合同ユニットだそうです。こちらはAKB48の前作の初動売上が6万6千枚に対して初動3万2千枚と大きくランクダウンしてしまっています。

3位倉木麻衣は、前作2万1千枚から、微増の初動2万9千枚。あのビーイング系御用達「名探偵コナン」タイアップの影響か?

水森かおりは約1年ぶりの新作。例のごとく「ご当地ソング」シリーズで、今回は広島ですか。初動2万2千枚は、前作の初動2万枚から微増。ただ、数多い演歌歌手の中、なぜ彼女が、人気の面で頭ふたつくらい出ているのか、ちょっと不思議なんですが・・・??

シングルチャート、新曲はあと1曲。9位に山崎まさよし「春も嵐も」がランクインです。前作と同じCMソングのタイアップ・・・なのですが、前作の初動1万4千枚から初動9千枚に大きくダウン。うーん・・・。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャートの方は、なんと今週は新譜が1枚のみ!完全にチャートの谷間の週となりました。

そして、その1枚が、なんと10位にランクインしたSPECIAL OTHERS「PB」!インストメインのジャムロックバンドという、ちょっとマニアックな方向性ながらも、徐々にその人気を集め、見事ベスト10入りです。正直、この順位はかなりビックリ。でも、このタイプのバンドが人気を集めるというのは、やはりうれしいなぁ。

で、そんなチャートの谷間で1位を獲得したのが、なんとDreams Come True「DO YOU DREAMS COME TRUE?」。先々週の1位から、先週は浜崎あゆみに1位を明け渡したものの、今週、見事返り咲きで2度目の1位獲得となりました。

しかし、一方の浜崎あゆみは、かなり厳しいですね。渋谷に突然あらわれたというニュースが、芸能ニュースで大きく取り上げられたりしていますが、こういうチャート動向をみると、なりふりかまわない広告宣伝活動、なんて見えてしまいます。ここがふんばりどころか??

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2009年4月 7日 (火)

1曲1曲は名曲だと思うのに・・・。

Title:LUCKY STAR
Musician:GOING UNDER GROUND

LUCKY STAR

なんというか、こういうアルバムって、なんともコメントしずらいんだよなぁ・・・。

とにかくまず1曲目「世界のまん中で」を聴いた時、「おお」と思いました。どこか甘酸っぱいメロディー、セピア色の風景・・・まさにGOING UNDER GROUNDらしい曲で、こういうキラキラとしたポップスこそ、彼らの醍醐味だよなぁ、なんて思ったりして。

ま、この「世界のまん中で」の出来は間違いなくよかったと思うんですけどね。

他の曲に関しても、少なくとも1曲1曲じっくりと聴く限りにおいては、「名曲」といってしまえるようないい曲が並んでいるんですよ。

しかし、アルバム1枚聴き終わった後、なんか、いまひとつ心に残るものがないんです。

うーん、結局、どの曲に関しても、確かにメロディアスで聴いていて心に染みる曲が多いのですが、方向性が一緒である種のワンパターンなんでしょうね。だから、1曲1曲を別々に聴くと「いい」と思うけど、全部似たタイプの曲だから、アルバムとしてのインパクトが薄くなってしまいます。

この作品で、ドラムスの河野丈洋がはじめてボーカルに挑戦したのって、そんな一種のマンネリを打破するためなんでしょうか。ただ、彼も、結構ボーカルの松本素生と方向の似ている「甘いタイプ」の声を持っているだけに、結局は楽曲も似たタイプになってしまい、現状を打破できていなかったように思われます。

コンスタントにいい曲は書いていると思うだけに、惜しい作品なんですけどね。思い切って、違うタイプの曲に挑戦する、とか、そろそろ別のベクトルも欲しいなぁ。

評価:★★★★

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2009年4月 6日 (月)

派手なジャケットとは対照的

Title:VIVA A.I.
Musician:A.I.

VIVA A.I.

なんか、雑誌の表紙みたいなド派手なジャケット写真。センスの良し悪しはともかく(笑)、かなりインパクトのあるジャケ写になっています。

ただ、この派手なジャケットと対照的に、今回の作品、全体的にミディアムテンポのナンバーが目立つ、地味目な作風となっていました。

「So Special」「君といた場所」など、前半もメロウなナンバーが並び、後半にも「Nobody like you」「ROSE」などのバラードナンバーが続きます。また、後半には、あのアカデミー賞授賞映画のイメージソング(の割りには全く話題にならなかった(苦笑))「おくりびと」も収録。彼女のイメージとはかなり異なる、クラッシック音楽風のバラードナンバーに挑戦しています。

もちろん、冒頭の「YOU ARE MY STAR」や、デジロック風の「SCREAM」などアップテンポなナンバーも多かったのですが、全体として、いまひとつ、アルバムとしてのインパクトが薄いように感じました。

悪いアルバムではなかったのですが・・・勢いという側面で、かつてほどのものは残念ながら感じられません。全盛期に一区切りがついて、いかにこの人気を固定化するかの過渡期かもしれません。彼女にとっては今が正念場。まあ、このくらいの出来なら、急に人気を落とすことはないと思うんですけどね。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

ファンキーモンキーベイビーズ3/FANKY MONKEY BABYS

「桜」「雪が降る街」・・・・・・わぁ、タイトルだけですごいベタだよぉ(^^;;

そして、肝心の内容もすごくベタベタ。まさに前向きソングのオンパレード。一応、「HIP HOPミュージシャン」なのですが、ラップもただおまけみたいなポップソング。まあ、聴きやすく、インパクトはあるのですが・・・高校生の頃なら、それなりにはまったかも(^^;;ちょっと30超えてから聴くには辛いなぁ(苦笑)。

評価:★★★

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2009年4月 5日 (日)

新しいビジネスモデルなのか?

Title:NINJA 2009 Tour Sampler
Musician:JANE'S ADDICTION,NINE INCH NAILS,STREET SWEEPER

Ninja

先日のコラムでも紹介した、フリーダウンロードのアルバム。3ミュージシャンによるライブツアーに先駆けてリリースされたオムニバスアルバムで、NINE INCH NAILSの2曲は新曲。さらにSTREET SWEEPERは、あのRAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロの新バンドということでも大きな話題となっています。

私は、このサンプラーのフリーダウンロードから、以前、ネット上で大きな話題となった、↓の記事を思い出しました。

大手レコード会社はいずれ降伏する, しかし2011年までは悪あがきする

この中で、今後、CDなどの音源については「彼らレコード会社は、これからは録音された音楽が、マーケティングの素材や契機にすぎないことも理解している。」と指摘し、将来的なビジネスモデルは「すべてのアーチストが音楽に関する‘360契約’を結び、レコード会社は、アーチストのすべての収益源…ファンサイト、コンサート、さまざまな商品、広告出演、などなど…からマージンを得ることになる。」と指摘しています。

この考え方については賛否もあるでしょう。ファンサイトやグッズなどの収益が、音楽業界のビジネスモデルの主軸になるのが、はたして「音楽業界」として健全なスタイルなのかは疑問もあるかと思いますし、また、実際、将来のビジネスモデルがこの指摘の通りとなるかは、現段階で不確実です。

ただ、今回のフリーダウンロードは、いわば、「NINJA Tour」に対する宣伝。つまり、NINの新曲2曲は、「マーケティングの素材」として私たちに提供されたことになります。

そうなると、今回のフリーダウンロードは、上記のコラムで指摘された、ミュージシャンの新曲が、ツアーだったり、ファンサイトへの勧誘だったりの、「宣伝材料」となるとするビジネスモデルを具現化してしまっているのかなぁ、なんてことを思ってしまいました。

さて、そのフリーダウンロードのサンプラー。NINE INCH NAILSの曲については、比較的、ストレートなヘヴィーロック。決して小難しくなく、メロディアスでポップな楽曲になっていて、聴きやすい内容になっています。

STREET SWEEPERについても、比較的シンプルなミクスチャーロック。歌詞も知りたいところで、英語がわからない身がもどかしいのですが(笑)、ヘヴィーなギターリフと、歌詞をしっかりと聴かせようとするラップのからみが、決して新しいスタイルではないものの、リスナーの耳にしっかりとメッセージが届く、聴かせるラップメタルの曲になっています。

JANE'S ADDICTIONは・・・今回、はじめてその音源を聴いたのですが、シンプルなハードロックナンバー。ストレートなロックといった感じで、難しいこと抜きに楽しめそうな印象を受けました。

6曲ということで、ボリュームはあっという間なのですが、中身は充実の1枚。また、こういうスタイルに、将来的な新曲提供のビジネスモデルを感じました。まだダウンロードできるみたいなので、みなさん、是非一度、ダウンロードして聴いてみてください。

ダウンロードサイトは↓
http://www.ninja2009.com/

評価:★★★★

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2009年4月 4日 (土)

テイ・トウワ流

Title:BIG FUN
Musician:テイ・トウワ

BIG FUN

約4年ぶりとなるテイ・トウワの新作。まあ、DJとしての活動や、リミキサー、楽曲提供などの活動は活発に行っているみたいなのですが、自身のオリジナルアルバムとしては、その前も6年のインターバルがありますので、とてもマイペースな活動、と言えるでしょう。

そのマイペースさは楽曲にもあらわれていました。

この作品におさめられているのは、よくも悪くもテイ・トウワ流。

決して時代遅れというわけではありません。ただ、一方で、決して「斬新」「目新しい」ともいえない内容。あくまでも、彼らしさが貫かれているアルバム、といってもいいかもしれません。

エキゾチックな東洋色が強い「Out of My Addiction of Love」「Lyricist」など、どこか「東洋」を意識したようなナンバーから前半にほどこされていたかと思えば、中盤はテンポのよいエレクトロチューン「Twinkle Twinkle Little Star」を聴かせてくれたり、メロウな大人の雰囲気を出した、その名も「A.O.R.」など聴かせどころたくさん。後半は、チルアウトチューン「Siesta」「All」で締めくくるなど、アルバムの流れについても、ある種の隙がない一方で、目新しさもありません。

いいアルバムだとは思うんですけどね、間違いなく。ただ、ちょっと安定感がありすぎるかなぁ。まあ、これはこれで彼らしさなのかもしれませんが、せっかく久々の作品なら、もうちょっと挑戦してくれてもおもしろかったかも、なんて思ってしまいました。

評価:★★★★

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2009年4月 3日 (金)

本当に久しぶりに行ってきたライブはこれ!!

KAN BAND LIVE TOUR 2009「じゃあ、スイスの首都は?」

会場:Zepp Nagoya 日時:2009年3月29日 18:00~

いろいろと身の回りで転機となることが多く、すっかり足が遠のいていたライブ。ようやく、少し落ち着いてきたので、そろそろライブに行きたいなぁ~と思った矢先に目に入ってきたのが、このライブ!ひっさしぶりに足を運んできました!KANちゃんのライブ@Zepp Nagoya。ライブ自体が、約2年前のスキマスイッチ以来、KANちゃんのライブでは、なんと8年ぶり(!)。本当に久しぶりのライブでした。

でも、久しぶりのライブだったのですが、そのノリは8年前とまったくかわりませんでした(笑)。

序盤は、1曲目「健全 安全 好青年」から、「愛は勝つ」まで、アップテンポな曲を中心の構成で会場を暖めます。バンドサウンドを前に押し出した、ロックなテイストが強い雰囲気となっていて、いつも以上に「バンドツアー」ということを意識しているように感じたのは、やはり、その一方で「弾き語りライブ」というのをはじめたからでしょうか。

この日のライブは、アルバムが出た後のツアーではないということもあって、過去から現在に至るまでの、比較的「知る人ぞ知る」的な選曲がなされた、マニアックな(でも、コアなファンにはうれしい)選曲になっていました。

なんといってもうれしかったのは、中盤「ときどき雲と話をしよう」を歌ってくれたこと!個人的に大好きなナンバーなだけに、この曲が聴けただけでも、今回のライブに足を運んだかいがあったなぁと思いました(笑)。

「けやき通りがいろづく頃」「香港SAYONARA」「1989」などなど、ほかにも知る人ぞ知る名曲たちをたくさん聴くことが出来ました。そんな曲にまじって、「まゆみ」も聴くことが出来たのも、個人的にはうれしかったなぁ。

ライブはあいかわらずエンターテイメント性の高いステージ。途中にはさまれるステージは、ギャグありコントありなのですが、コントがしっかりと作りこまれていて、おもしろいんです。それを、KAN本人だけじゃなくて、バンドのメンバーも一緒になって演じている姿は、ある種、バンド全体での結束の良さを感じることが出来ます。

アンコール後は、まずはビートルズの「Revolution」のカバー。こちらもちょっとマニアックな+ロック色が強いナンバーのカバー。ライブ全体の流れにあわせたような選曲でしょうか。

そしてその後はおなじみのライブダイジェスト。この日のライブをダイジェストバージョンで3分程度に圧縮した「曲」なのですが、途中、この日、やらなかった曲などもはさみつつ。この日は、「崖の上のポニョ」の替え歌で爆笑を誘っていました。

ラストは、これまたおなじみKAN1人でのピアノ弾き語り。今回は「50年後も」でしんみり聴かせつつ、2時間半に及ぶライブは幕を下ろしました。

文字通り、「笑いあり涙あり」の最高のエンタテイメントショー!ライブのスタイルは、以前と全くかわらないものの、心の底から楽しめる、最高のライブでした。久しぶりのライブがこれだったので、また、ライブにいろいろと足を運びたくなってしまいました(笑)。

はじめてライブで耳にした曲も多く、また、個人的には「ときどき雲と話をしよう」が聴けたのがとてもうれしかったです。一方で、一般的に「一発屋」的に捉えられがちで、ともすれば忌避しそうな「愛は勝つ」もしっかり歌ってくれるあたり、なによりも観客を楽しませようというスタンスも感じられます。そんな彼のスタンスが、ステージの至る所で感じられ、そのため、マニアックな曲が多くても、最初から最後まで飽きることなく楽しめ、かつ、曲の良さもしっかり味わうことの出来るライブでした。KANのライブ、今度はもっと短いインターバルで、また足を運びたいです。

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2009年4月 2日 (木)

旅立ちの唄

Title:あしたは晴れますように
Musician:中村中

あしたは晴れますように

中村中の今回の作品、テーマは「旅立ち」だそうです。

で、曲のタイトルが

「命日」

・・・ってそっちの「旅立ちかよ!」(^^;;

とおちょくるつもりはないのですが、彼女が歌う「旅立ち」は、ポップスソングにありがちな、「ここではないどこか」や「本当の自分を探す」ような「旅立ち」ではありません。

「あしたは晴れますように」というタイトルも象徴的なのですが、辛い現実から、少しでも「ましな」明日を見つけ出すために一歩を踏み出す、そんな歌詞をつむぎだしています。

そんな彼女の歌詞の主人公は、この社会に受け入れられない疎外感を抱きながら、辛い毎日を生きています。

まさに1曲目「ちぎれ雲」で歌われている

「真っ暗闇明けたとて 陽の光に脅えて
傷を隠しながら 生きる者もいる」

(「ちぎれ雲」より 作詞 中村中)

こそ、このアルバムの主人公の姿。その後も

「風が止んだら 私は帰る ひとりぼっちの冷たい部屋に
雨が止んだら 私を帰す ここに居ろよと言えない貴方」

(「台風警報」より 作詞 中村中)

と、微妙な男女関係を描いていたり、

「使ったナイフは持ち帰ります 争い事にはならないように
明日も来ます もしも嫌なら 部屋の鍵は替えておいて」

(「林檎の皮剥き」より 作詞 中村中)

のような、恋人のいる男性を好きになった女性の姿を描いたり、どこかむくわれなかったり、影を感じさせる歌詞が目立つ作品になっています。

後半、「『側にいること。』」のような、比較的前向きな曲も見受けられるのですが、全体的には、孤独を抱いている主人公を描いており、そんな描写が、ナイフのようにリスナーの心をえぐるような作品になっています。

ただ、こういうリアルな作風を描けて、さらに紅白出場で知名度もアップした割りには、いまひとつブレイクにむすびついていないんだよねぇ、彼女は。

まあ、メロディーラインの方は、一昔前の歌謡曲風のシンプルなメロディーで、斬新とか、耳に残る美メロという訳ではありませんが、彼女の歌詞の作風からすれば、ピッタリはまるようなメロディーであり、アレンジであると思います。

それで思うのですが、やはり歌詞にもう一工夫ほしいんじゃないかな?

しっかり聴くと心に響く描写をしている彼女ですが、サビのワンフレーズでリスナーの心をつかみとるような、そんなインパクトのある表現には、このアルバムでは出会えません。

例えば、同じような「孤独な女性」を描いたら、右に出るものはいない中島みゆきの歌詞。「わかれうた」の冒頭なんていきなり

「途に倒れて だれかの名を
呼び続けたことが ありますか」

(「わかれうた」より 作詞 中島みゆき)

ですよ。街のBGMとして流れていたとしても(まあ、この曲が街のBGMになることはないでしょうが)、すぐ意識が歌に集中し、聴き入ってしまうと思います。

残念ながら、彼女の歌詞には、そういうインパクトが薄く、それが、アルバム全体としてのインパクトの薄さに繋がってしまっているような印象を受けました。

ここらへんの、リスナーを耳をガッと捉えるようなインパクトがほしいんですよね。もっている歌詞の世界観は抜群のものがあると思うんですけどね。今後に期待したいところです。

評価:★★★★

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2009年4月 1日 (水)

大物アイドルと話題のアイドル

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週も、先週に続き「比較的」おとなしいチャートに。それでもシングルは10曲中6曲が新曲というチャートになっています。

その中で1位を獲得したのがなにかと話題のPerfumeの新譜「ワンルーム・ディスコ」。前々作に続く2作目の1位で、初動7万7千枚は、前作7万1千枚から微増といったところか。

うーん、初動7万7千枚というのは、ちょっと微妙な数字だなぁ。Perfumeって、どうもいまひとつ、「サブカル系のアイドル」的地位から抜け出せず、紅白をはじめ、メディアの露出や、音楽誌やネットでの絶賛の割りには、お茶の間レベルでは受け入れられていない印象が強いんですよね。

このまま「サブカル系」レベルの人気で終るか、もう一皮向けるか、いまが正念場のような感じがします。

続いて2位にはGackt「Journey through the Decade」、3位にthe GazettE「DISTRESS AND COMA」とビジュアル系勢が並びました。

Gacktは前作からわずか2ヶ月のインターバルでのリリース。そして、前作の初動1万6千枚から、本作は初動5万1千枚に大幅アップ!どうしたんだ、急に?と思いきや、テレビ朝日系「仮面ライダーディケイド」のテーマ曲なので、違うファン層を取り込んだからですね。しかし、この急上昇ぶりは・・・この手のタイアップって、リスナーをミュージシャンのファンに取り込みにくいし、ある種の麻薬というか、ドーピングみたいだよなぁ。

the GazettEは、前作初動4万1千枚から、本作は初動3万4千枚に微減。ちょっと人気が頭打ち気味か?

そして、5位、6位は共にテレビの企画モノ。5位は矢島美容室「SAKURA-ハルヲウタワネバダ-」が、6位には矢口真理、エアバンド「青春 僕」がそれぞれランクインしています。

矢島美容室は、前作の初動3万9千枚から、2万4千枚にダウン。ただ、この手のテレビ企画モノの第2弾としては、まずまず好評なのかな?まあ、シングル、リリースされてもあと1作くらいで飽きられそうですが。

矢口真理、エアバンドは、ご存知「クイズ!ヘキサゴンII」からの企画モノ。エアバンドは、その名の通り、エアバンドのユニットだそうで、アンガールズや、ますだおかだの岡田らが参加。つーか、金剛地武志は、こんなことやるより、yes,mama ok?を復活させてほしいよなぁ・・・・・・。

あと1作。10位に10-FEET「1sec.」がランクイン。なにげに人気のほどを見せています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

アルバムチャート今週の1位は、浜崎あゆみの「NEXT LEVEL」が獲得。デビューから11年連続1位獲得だそうで、本作は、USB形態での発売も話題となりました。ただ、「11年連続」という微妙な言い回しなのは、前作「GUILTY」が2位だったからなんだよね。こういうあおり方って、実にオリコンらしいなぁ(苦笑)。

そして、決して「11年連続」と浮かれていられないのは、隠し切れない売上の落ち込み。本作は、初動24万枚。前作「GUILTY」の初動42万枚から大きく落ち込んでいるのは、前作が発売日の関係で集計期間2週間だったことから仕方ないとして、前々作「Secret」の初動38万枚からも大きく落ち込んでいます。もちろん、まだまだ初動24万枚は立派な数字ながらも、ここ最近の彼女の状況は、必ずしも楽観視できません。だからこそ、ハリウッド映画「ドラゴンボール」の主題歌を歌うなど、以前以上にプロモーションに力を入れているんだろうなぁ、最近は。

一方、人気上昇中なのが2位東方神起の新作「The Secret Code」。初動15万7千枚で、前作「T」の初動5万2千枚より大幅にアップ。完全に固定ファンのみの人気かと思っていたのですが、ここに来て、売上急増はちょっと意外です。

他に初登場は3枚。

4位にアニメ「銀魂」の主題歌を集めた「銀魂BEST」がランクイン。Tommy heavenly6や、DOES、キャプテンストライダムなどの楽曲も収録されています。

6位7位には、倖田來未の企画盤が2枚ランクイン。6位の「Koda Kumi Driving Hit's」はノンストップミックス盤、7位「Out Works&Collaboration Best」は、タイトル通り、他のミュージシャンとのコラボ作などを収録した企画ベストとなっています。企画盤とはいえ、初動3万程度というのは、ちょっと厳しいよなぁ・・・。

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